- 1二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 18:45:26
それは麦わらの一味がある島の側方を通り過ぎようとしていた時だった。
直近の島で購入した高性能な双眼鏡の性能を試そうと狙撃手ウソップが通過中の島の岩浜を観察していると、血だらけの子供が横たわっているのを発見した。
そこは波が高く、いつ波に攫われてもおかしくない状況だった。
ウソップの具申により、船側方のゲートよりミニメリー2号が発進、少年の身柄の確保へと向かった。
高低差の激しい岩たちを乗り越えると、岩からずり落ちる寸前の血だらけで倒れる少年を発見した。歳は8歳程度だろうか、随分と血を流し意識が無かった。すぐさま少年は救助され治療の為、サニー号へと輸送された。
少年の状況は芳しく無いものであった。
額はパックリと割れ、左目には大きな青あざができており、歯も何本か欠けていた。口の中を切ったのであろう、海水と血で溺れる寸前の状態になっていた。身体中には無数の切り傷と打撲後があり、右腕の骨折、左足の捻挫、胸骨骨折等おおよそ1人でいてつく傷ではなかった。
極め付けは右胸についた弾痕。少年が何者かによって傷を負わされたことは確かであった。
今は船医であるチョッパーの手によって適切な処理がされ、体内にあった弾も取り除かれてある。
現在は船医室でチョッパーが付きっきりで容体の観察を行なっている。
少年の容体に問題はないが、少年から取り除かれた弾には問題があった。
少年から摘出されたのはダムダム弾と呼ばれる、殺傷目的で使われる弾である。本来は使用が禁止されているものである。それが使用されたということは、この少年が何らかの事件に巻き込まれたと考えるのが普通であろう。
これに怒りを表したのが航海士ナミであった。
子供好きの彼女にとって少年が他者によって暴行されたという事実だけで、はらわたが煮えくりかえるのには充分すぎる要因であった。
少年が目を覚ましたのはその日の夜であった。 - 2二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 18:47:14
これは期待
- 3二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 18:57:38
ダムダム弾て懐かしいな
ルパンの再放送子供の時にやってたので聞いて以来だ - 4二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 19:00:58
一味が食事の準備を始めた頃、突然として船医室から一味の誰かのものではない叫び声が発せられた。
慌てて船医室へと向かうと、そこでは目覚めた少年を必死にベッドに押さえ付けるチョッパーの姿があった。
少年はギャーギャーと騒ぎ立て、チョッパーの拘束を振り払おうとしベッドで暴れる。その腕から点滴の針が外れ、バランスを崩した点滴台が机の上にあった書類を部屋に散乱させる。
他の仲間も手を出しあぐねていた時、突如、ベッドに女性の手が生え、少年の体を拘束した。
歴史学者ロビンの能力によるものである。ロビンに対して礼を言うチョッパーであったが、未だ暴れる少年のことが心配で仕方ないようだ。
ロビンに頼み、口の拘束を外してもらうと君は誰なのか何があったのかを一つ一つゆっくりと訪ねた。
だが少年は「友達が!助けに!約束!」と短い言葉を震える声で叫び続けていた。
そんな少年を見かねて、ナミが側へとより、少年の頭を撫でた。最初は暴れていたが、次第に落ち着くと、キョロキョロと周りを見渡した。どうやら頭に血が上り周りが見えていなかったのだろう。
少年が場所を尋ねると、ここが海上で船の中であることを伝えた。
自分の現在地を理解すると少年は血気迫る勢いで「俺の友達を知らないか!?」と聞いてきた。
無論、誰も少年の友達のことは知らない。
少年は続ける
「人魚……なんだ、白い髪の。あいつ寂しがり屋で独りぼっちにしちゃダメなんだ!」
先ほど暴れたからであろう、額には新しく傷だできていて、そこからまた血を流していた。
慌てて止血するチョッパーを気に求めず、少年は拘束の解除を求める。まだ暴れ出すかもわからない為そんなことはできないのだが。
「早く助けなきゃ!じゃなきゃ……あいつが…!天竜人に連れてかれちまう!」
その一言で、一味は静まり返った。
そして、少年がどうしてそんな傷を負ったのかの理由も何となくではあるが分かってきた。
少年は友達の人魚を助ける為にたった1人で奴隷商に立ち向かったのであろう。だが、子供1人が大人に勝てるわけがない。返り討ちにあい、そして胸に銃弾を打ち込まれた。
何ともシンプルでわかりやすい構図だ。それ故にそこに詰め込まれた悪意がより際立っていた。 - 5二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 19:29:08
「うぅ……あぁ……!」
ベコっ!とと言う音と共にベッドが真っ二つに割れる。驚異的なことに、少年は自力でロビンの拘束を脱した。ベッドの破壊はそれによって起こった副次的なものであった。
床に叩きつけられた少年は、這いつくばって、船長ルフィの足首を掴む。
「お゙っ゙……お゙願゙い゙で゙ず…助゙げでぐだ゙ざい゙………俺゙が゙守゙る゙っ゙で…必゙ず゙守゙る゙っ゙で、゙あ゙い゙づど……あ゙い゙づど約゙束゙じだの゙に゙…今゙の゙俺゙じ゙ゃ゙…ア゙イ゙ヅら゙に゙ば……勝゙でな゙い゙………弱゙い゙がら゙…!……だ゙がら゙お゙願゙い゙で゙ず……俺゙が゙あ゙い゙づを゙救゙ゔの゙を゙……助゙げでぐだ゙ざい゙……手゙伝゙っ゙でぐだ゙ざい゙……………」
少年は大粒の涙をこぼし、ルフィや麦わらの一味に懇願していた。
傷だらけの少年はたった今あったばかりの名前も知らない人間達に救いを求めねばならないほどに追い詰められていた。
顔中から体液を流し、嗚咽を漏らす少年にルフィはたった一言「わかった」とだけ伝えると、踵を返し仲間に伝えた「出港だ!」と - 6二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 19:41:42
これは船長
- 7二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 20:07:17
とは言ったものの手がかりがなければ探し物はできない。この広大な海であてもなく彷徨うのは自殺行為に他ならない。
というわけで一行は、島での聞き込みを始めた。
少年は自分も行くと言ったが、怪我の回復を優先させられ今は船でチョッパーと2人っきりである。
島の町の酒場にて奴隷船と思しき船の情報は手に入れることができたが、その目的地は以前分からなかった。
次の聞き込み先を悩んでいた時、見るからに無法者な集団がゲラゲラと大声で騒いでいた。
なんでも「兄貴分が乗っている船が人魚の子供を捕まえた」との話であった。
そこからは早かった。マナーのなっていない騒音集団と"お話"をし、その船の行き先を聞き出すことに成功した。
どうやら人魚をさらった一行は近くの無人島にて船旅の準備を進めているらしい。
行く先がわかったらあとはそこへ行くだけである。一行は店の修理を要求する店主の声を背に船へと戻った。 - 8二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 20:15:23
期待
- 9二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 20:21:42
港を出たサニー号は無人島へ向けて進路を進んでいた。このスピードで行けば明日には到着するだろう。
一味はいつもと変わらない日常を過ごしていた。
そんな中、少年は1人メインマストを取り囲むベンチに腰を掛け、深く項垂れていた。
チョッパーには無理をするなと言われたがもう大丈夫だと嘘をついた。しかし、まだ傷は治っておらず、ここまで来るのに体力のほとんどを使ってしまった。
少年の脳裏には大人によって蹂躙される痛みと恐怖、そして友達の涙がこびりついて離れなかった。
「よほほほ〜よ〜ほほほ〜よほほほ〜よ〜ほほほ」
気分を紛らわせる為に、いつも一緒に歌っていた歌を歌う。伴奏などなくても楽しかったデュエットとは違う。楽しい思い出にしがみついて、唇を噛み締め痛みに耐える。傷だらけの少年が辛い現実から逃げるためのソロだった。
「ビンクスの酒を届けに行くよ♪海風 気まかせ 波まかせ♪」
ハッと見上げると、少年の歌に合わせるように、アフロの骸骨ブルックがバイオリンを奏で、歌っていた。
見事な歌と演奏の腕前であった。子供の自分なんかが歌う歌よりも何倍も人の心を揺さぶる、そう、少年の友達が歌う歌とどこか似たものを感じる、そんな歌。
ブルックにつられるように一味たちも歌い出す。
少年はそれを黙って聞いていた。あまりにも場違いだと思った。この船では自分はよそ者で、この歌は彼らの歌なのだ。自分が入る余地などどこにもありはしなかった。 - 10二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 20:24:42
下を向き俯く少年に、ブルックは演奏を続けながら語りかける。
「貴方に何があって、その友達をどれくらい気にかけているのかは正直、私には完全には理解できません。ですが、貴方の目を見ればどれほど大切に思っているかなんて痛いほどわかります。自分の力不足を嘆くのも痛いほどわかります。だから信じてください。私たちは貴方の友達を助ける手伝いを必ず果たすと約束しましょう。だからどうです?一緒に唄いませんか?貴方の歌は素晴らしかった。是非とも歌に加わってほしいのです」
ブルックには瞳はなかったが、少年には自信をまっすぐと見つめ、優しく微笑んでくれているその瞳がありありと想像できた。
「ビンクスの酒を届けに行くよ♪今日も明日かと宵の夢♪」
怪我人だというのに腹の底から声を出して歌った。悲しい身も痛みも消えることはなかったが、それでも心から楽しいと思えた。その日の歌は少しだけ血の味がした。
歌い終えると、ブルックは少年に拍手をしていた。素晴らしい歌だったと、賛辞を述べていた。
少年にとっては複雑だった。この歌も歌い方も全部友達から教えてもらったものだったからだ。
「オータムです」
「俺の友達の名前。俺よりもずっと歌が上手なんです」
やっと自分から口を開いてくれた少年にヨホホホとお決まりの笑い声をかけると、ただ一言
「では、次はお二人のデュエットを聞かせてくださいね」
と声をかけると再び演奏に戻っていった。
その日はコックのサンジが作ってくれたバイタルレシピを食べ、泥のように眠った。
夢は見れなかった。 - 11二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 21:10:23
ブルックは
お前みたいな
優しい奴だよ - 12二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 21:34:36
次の日には目的の島へとたどり着いた。
何の変哲もない無人の夏島であった。
少年としては島の反対に回り込み、奴らのアジトに潜入してオータムを奪い返す気でいたが、どうやらこの海賊たちにそんな考えは通用しないようで何と真正面から突撃していった。
少年も負けじと飛び出して行く。
目の前では麦わらの一味が武装したならず者たちをちぎっては投げちぎっては投げを繰り返しており、あたりには気絶したならず者たちの山が出来上がっていた。
ならず者たちが守るのは周りの倉庫よりも大きい石造の塔。恐らくあそこにオータムが囚われているのだろう。
少年は塔へと走った。
だが、防備は硬い。木箱や樽で作られた即席のバリケードから顔を出した並ぶものたちが一斉に銃弾を少年へと浴びせる。
近くにいた一味が少年を守る為に走る。しかし間に合わない_______ - 13二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 21:51:04
ああ…
- 14二次元好きの匿名さん22/09/08(木) 22:16:16
無数の銃弾が少年の体を貫く___その筈であった
「今度は……効かないぞ!」
カランカランと金属音をたてて地面を転がる銃弾たち。少年の身には傷一つなかった。
「俺はジュシジュシの実のシリコン人間だ!俺に銃は効かないぞ!」
グッと歯を食いしばると大きく上半身をそらし、何もない真正面の空間にストレートを打ち込む
「10枚瓦!」
撃ち抜かれた拳はそこに止まらず、その腕は十数メートル先のならず者の顔を打ち抜いた。
シリコンとは合成樹脂の一つである。耐油性・耐酸化性・耐熱性に優れ、ゴムのような性質を持つこともある。
言ってしまえば多少耐久性に優れる代わりにそこまで良く伸びないゴムゴムの実のような能力がジュシジュシの実である。
しかし、まだ体も出来上がっておらず体格も小さい少年には拳を撃ち抜くだけでも負荷が大きいようで、殴りつけた右手を確認しながら肩で息を整えている。
ここは敵の本拠地、まだまだ敵はうじゃうじゃいる。次の銃弾に対処する為防御姿勢を取る。
しかし、一向に球は飛んでこなかった。それどころか少年の後ろから飛んできた火の玉によって次々に吹き飛ばされていった。
「必殺 向日葵星!!」
振り向けば、死にかけの自分を見つけてくれた大恩人ウソップが次々に敵を撃ち抜いていた。
「お前スゲーな!うちの船長みたいだったぜ!ナイスファイトだ」
ぽんぽんと少年の頭を叩くと敵の本陣に突っ込んで行った。彼の本職は狙撃手と聞くが、あれでは剣士か何かの間違いじゃないだろうか。少年は狙撃手というものがよくわからなくなっていた。 - 15二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 04:13:05
最初に銃でやられてたのは特殊な弾丸だったからか、それとも海楼石かなにかか
- 16二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 07:12:47
塔の中は吹き抜けになっていって、見た目とは裏腹に階層は地上の一階しかないようだ。
大袈裟な広さの塔内部には大きな金魚鉢のような水槽と複数人の男たち、そしてその中央に陣取る埃っぽい塔には似合わない豪華な椅子に座る気丈な男が1人。その人物こそが少年に傷を負わせ、人魚オータムを連れ去った張本人。
"奴隷船船長"「溶酸」のアシッドである。
侵入者に気づいたアシッド「ドーロドロドロ」と特徴的な笑い声と共に立ち上がり、少年を見下ろした。
「どんな奴かと思えば、これこれはあの時の勇敢な坊やじゃないか!今度はお仲間を連れてきたのかい?ドーロドロドロ!」
下品に笑う長身の男はこれが目的だろと言わんばかりに少年によく見えるような位置まで金魚鉢を動かした。
さっきまでは暗くてよくわからなかったが、塔の窓から指す光によってオータムの姿がくっきりと映し出される。
傷一つない白い肌、整った顔立ちの顔、そして光を浴びて輝く白い長髪……確かに輝いていた。"半分だけは"
オータムの美しい白い髪は"右半分が赤色に染められていた"
少年には意味がわからなかった。つい一昨日、引き剥がされる瞬間までその目に写っていたオータムは綺麗な白い髪で、赤色なんてどこにもなかった。仮に返り血か何かで赤くなっていても水中ならそれも溶けて無くなるはずだ。
「なのになぜ?とお前は思っただろう?」
少年の心を見透かすかのようにアシッドは的確に少年の疑問を言い当てる。
「答えは簡単。染めたんだよ!俺特性の染め液でなもう2度とオチねぇぜ?この方が高く売れるのさ!ツートンなんておめでてぇからな、おめでてぇ頭の天竜人はこぞって欲しがる!」
この男は商品価値が上がるからただそれだけの理由で、オータムの美しい白い髪を汚した。
この男は少年の友達をただの物扱いしているのだ。そんなこと、少年が許せるわけもない。
「宝石は加工し美しくすればするほど価値が上がる。奴隷もそうさ!どんな物でも手を加えた方が高く売れる!これこそ商売ってもんだ!」
アシッドのご高説の終わらぬうちに少年は拳を振り抜いていた。 - 17二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 11:55:37
だがしかし、修練不足の子供の相手などアシッドにっては造作もないことだった。
閃光の速さで抜かれたピストルから少年に向かって弾が発射される。本来なら少年の体に触れて威力を殺され無効化されるはずであったが、男の弾は少年の"肌を焼き"、"白化"させ、その体内で鉄の花を咲かせた。
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!」
再びダムダム弾を打ち込まれた少年は左肩口を抑えもがき苦しんでいた。
これこそがアシッドの悪魔の実「超人系 サンサンの実」の恐るべき力である。
アシッドはダムダム弾に強酸性の自身の体液をコーティングしてある。これは対象の耐久を脆性化させる狙いのものだが、こと少年にとっては能力の相性が最悪であった。
シリコンは強酸性の液体に触れると白化し脆くなってしまう。全身が酸のアシッドと全身がシリコンの少年では体格差に加え相性差という覆し難い格差があった。
「手伝ってくれ」と言った手前、この最低な男は少年1人が何とかしなくてはならない。
少年の後方では麦わら帽子の船長がアシッドの仲間たちを蹴散らしていっている。
塔の外では一味のメンバーがそれぞれ敵の相手をしている。
救援は期待できない。
息を整える少年の視界の端では、美しかった髪を汚され、鎖で繋がれ涙を零すオータムの姿があった。
負けるわけにはいかなかった。ここで自分が負ければ二度とオータムを救えなくなってしまう。助けてくれた優しい海賊たちの面子も汚してしまう。
血がとめどなく流れる左肩を押さえ、必死に立ち上がる。
足は生まれたての子鹿のように震えていた。一度に大量に血を流したせいで視界がチカチカする。腹の底から冷えていく実感が少年の体を支配した。
立つのがやっとの少年をアシッドは足蹴にし、痛ぶる。顔、腹、足、背中、そして重点的に左肩を。
わざと蹴り殺さないように力を弱めていた。
彼は根っからのサディストであり、少年が傷つき死に近づいていく様を見て興奮する性質だった。
数分間痛ぶられ続けた少年は、すでに虫の息であり、胸部を圧迫するアシッドの足を退かせずにいた。
胸を踏み潰されているせいで、うまく呼吸ができない。ヒューヒューと情けない呼吸を上げ、それが余計にアシッドを増長させた。 - 18二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 12:18:44
踏みつけられた少年は嘲笑するアシッドの右足首に噛みつくことで、なんとかアシッドの拘束から抜け出した。
服の上からならば酸の影響はない。少年にとっては大きな収穫だった。
だがしかし、散々嬲られた少年にはもうほとんど体力が残っていない。昨日のバイタルレシピのおかげである程度回復はしているが、ここまで痛めつけられては、その回復分も吹き飛んでしまった。
良くてあとパンチ一発。それが少年が出せる最後の攻撃であった。
ならばその一撃に己が全てをかけなければいけない。少年は腰を低く落とし、左手を軽く曲げ相手に伸ばす。
俗にいう技の溜めの動作である。
何か珍妙な構えを取る少年をアシッドは嘲笑った。この期に及んでまだ歯向かうその馬鹿さ加減は彼が今まで見てきた無鉄砲な愚民そのものだったからだ。
今度こそ少年を殺そうと、アシッドは懐よりナイフを取り出す。彼の体液でコーティングされたそれは強い酸性を持ち、たやすく少年の命を奪う威力を持っていた。 - 19二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 12:23:48
ジリジリと縮まる2人の距離。
これから少年を殺すことへの悦に浸るアシッドに対し、少年は呼吸を整え、オータムとの会話を思い出していた。
少年の技は彼女から口伝えに聞いた"ある武術"が元となっている。遥か海の底、魚の特徴を持つ種族「魚人」が得意とするその武術は周辺の水を支配することで完成する。
少年にはその極意が理解しきれていなかったが、この状況ではなりふりなど構っていられなかった。
拳を溜めイメージするのはいつも遊んでいた海岸から見える景色。
寄せては返す波、船を喰らう海流、吹き付ける水飛沫。少ない人生景観から得られた少ない知識で大気中の水を支配するイメージを固める。
寄せては返す波のように抵抗なく力を伝達するイメージ
「……魚人空手!」
船を喰らう海流のように水を掻き分け突き抜けるイメージ
「百枚瓦………」
そして吹き付ける水飛沫のように本来失われるエネルギーすらも相手に叩き込むイメージ
「終わりだ!坊主!」
黒光する刃が少年の命を奪おうと脳天めがけて振り下ろされる
クワっと目を開き、打つべき相手をまっすぐ捉え、振り抜く全力の一撃
「正拳ッ!!!」 - 20二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 12:46:04
おぉ!魚人空手!
- 21二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 20:01:31
少年の全力をかけた一撃は倍以上の体格差のあるアシッドを遥か後方、塔の外壁まで吹き飛ばした。
だがその尋常ならざる破壊力は反作用として少年の身にも跳ね返ってくる。
「ぶぅ゙ー゙ぶぅ゙ー゙…゙…゙ぶぅ゙ー゙」
体力の限界のため、声を出すことができないが、少年は今にも叫び出しのたうち回りたい程の激痛に襲われていた。
振り抜いた衝撃で右肩は外れ、指も親指を除く4本全てが根元から骨折しており、中指と薬指に至っては骨が皮膚を飛び出して貫通していた。腕全体も筋繊維が断裂しており、もはやまともに動かすことができないほどに破壊されどす黒く変色していた。
火事場の馬鹿力で過ぎた力を引き起こそうとしたが故の代償ではあるが、その拳は紛れもなく本物であった。
しかし、もう少年にその拳を振るう必要はない。
どうやら周囲の敵は掃討されたようであり、少年の友達を攫った悪人は少年の拳によって倒された。
アシッドが埋まる瓦礫の山を一瞥すると、重い足取りでオータムが囚われている水槽へと歩を進める。
もはや歩くのさえ困難なほどに蓄積されたダメージは、一歩ごとに少年の幼い体を蝕んでいく。
それでも、水槽まであと数歩と言ったところだった。
___突如として、瓦礫の山からアシッドが姿を現した。
見ればアシッドの周りには彼の体から流れる酸性の液体が床に広がっていた。
恐らく、衝突の直前、酸性の液体で自身の体を保護し、壁や瓦礫を溶かすことで衝撃を和らげたのだろう。
ゴキゴキと首を鳴らすと、右腰からあのダムダム弾が装填されていたのとは違うリボルバーを取り出した。
狙いは__オータムに向けられていた。
アシッドは完全に頭に血が昇っていた。齢8歳の子供に一撃を食らったこと、圧倒的相性有利な相手に後塵を期したこと。彼にとっては屈辱的なことであった。
だからこそ、少年が最も絶望する方法で彼への鬱憤を晴らすのだ。もはや商品など関係ない。取引先には輸送中の襲撃で死んだとでも言えばいい。
ある程度距離が離れていても、水槽の壁を溶かし、容易に人魚の命を奪うことのできる弾丸の発射トリガーに指がかけられる。
少年も何とかオータムを守ろうとするが、もはや水槽の前に飛び出す力さえ残っていなかった。
水槽まで届く手は、両方とも力なく体にぶら下がっているだけで何の役にも立ちはしない。彼女が凄いと褒めてくれた手は彼女には届きやしない。 - 22二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 20:20:22
外道が…
- 23二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 20:24:33
支援
どうなっちゃうんだ… - 24二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 20:31:28
フッと、風が少年の体を吹き抜けた。
いや、正しくは風などではない。風は体を通り抜けないし、舌の先がヒリヒリとするような感覚はしないはずだ。
それに、銃声が聞こえない。
いくら硬く目を瞑っても、火薬の匂いも、発射の音も何もしなかった。
恐る恐る目を開ける。
そこには先ほどと変わらない瓦礫とアシッドの部下の山、しかし、そこにアシッドの姿はなかった。
どこにもいない、必死に周りを探すが、塔の中にいるのは少年と人魚、そして麦わら帽子の船長だけだった。
ともかく、彼女は助かった。その事実が全てだ。
重い体を引きずり、彼女の元へと向かう。だがしかし、あと一歩のところで、限界がきてしまう。
地面へと近づいていく視界の端に、あの最低な男が履いていた悪趣味な尖り靴の先が写り、視界が真っ黒に染まった。 - 25書いてる人22/09/09(金) 20:31:54
すまない、もちっとだけ続くんじゃ
- 26二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 22:48:39
少年は夢を見ていた。それは1人の少女との記憶。
少年は一人ぼっちだった。
少年の親は北の海からやって来た外者だったらしい。何でも海賊の父と元奴隷の母の元に生まれたのが自分らしく、そんな境遇であったから、両親共々島の人たちとの関わりはほとんどなかった。
同年代の友達はいなかったし、彼らが港で遊んでいるのを遠巻きに眺める薄気味悪い子供だった。
少年が6歳の時、両親が公開中の無茶な生活が原因の病で亡くなると、少年は本当に一人ぼっちになってしまった。
別に寂しいわけではなかった。1年ほど前から両親はかなり衰弱していたし、家のことは少年が1人でこなしていた。徐々に死にゆく両親を見て来たから、お別れの悲しみも後を引くことはなかった。
だからその日、少年が島の西側の岩浜を彷徨いていたのも寂しかったわけではないのだ、決して。
日も傾いてきて、まもなく夕暮れとなる頃、家へと帰ろうとした時だった。
岩陰に浮かぶ人型の物体を発見した。本来ならばそれが何か確かめてから近づくのが良いのだろうが、少年はその物体を見るなり考えるよりも先にその手を取っていた。
当時から能力者であった少年は海水に濡れた手を触れたことで、体に力が入らなくなってしまった。しかし、ここで話してはこの手の主が溺れて死んでしまう。
根性を入れ、全ての力を振り絞って、手の主を浜へと引き上げる。
しばらく空を仰ぎ息を整えていた少年が見たのは、衰弱しぐったりとした少年と同い年くらいの少女の姿であった。
ただ人他と違ったところと言えば、少女の足は魚のようになっていたことだろう。
この日少年は人魚を拾った。 - 27二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 23:21:02
拾ってしまったものはしょうがないと、少年は少女を自分の家へと連れ帰った。
幸い少年の家は西の岩浜の目と鼻の先で、滅多に人が来ないこともあり、少女を匿うのにはもってこいの場所だった。
少女の白く美しい髪を乾かし、ベッドに横にさせて安静にさせる。わずかな記憶を伝い、自身が体調を崩したときに親がしてくれたことを実行していく。
暖かい卵がゆには生姜をすりおろして入れ、冷え切った少女の体を少しでも温めるための工夫を凝らす。
少女は未だ目覚めないため、少年が少女の体を抱き抱えて起こし、少年の口である程度咀嚼して砕いたお粥を少量ずつ食べさせた。
ご飯を食べさせた後は汗をかいた体を拭き、次の食事の時間までベッドのそばで少女が起きるのを待ち続けた。
少女が目覚めたのは少年が拾い上げてから1週間後のことだった。
目覚めた少女はひどく怯えた様子で少年を見つめていた。
こんな場所に人魚の少女が1人、何も事情がないわけがなかった。
怯える少女に、少年はいつものように卵がゆを差し出した。それからベッドの端に座り、少女がかゆを食べ切るまで待ち続けた。
食べ終わると、少女もほとんど同年代の少年への警戒心が薄らいだのか自己紹介を始めた。
少女の名はオータム。歳は7歳ということで少年よりも一つ年上だった。
魚人島というところに住んでいたが、ピクニックに行った際に両親とはぐれてしまい、それから海を泳ぎ続けて力尽き、この島へと流れ着いたようだ。……どうにもそれだけではなさそうだが。 - 28二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 23:22:41
少女の体力が回復すると、少年は少女を海に帰そうとした。
少女には家族がいる。こんな遠くの島ではきっと探しには来れない。少年にも彼女を送り届ける術はない。だから、彼女の足で帰ってもらう他なかった。
しかし、彼女はそれを拒否した。勿論、帰り方が分からなかったのもある。
だがそれ以上に、少女を見送ろうとした彼の横に顔がとても寂しそうに見えてしまった。少年には家族がいない。友達も彼の周りにはいなかった。
このまま自分が帰れば、彼はまた1人になってしまう。
自分を助けてくれた優しい少年がだ。
だから少女は少年に提案した。
「いつか君が大人になったら私を魚人島に送ってほしい」と
少女のその提案に少年は多少呆れつつも、彼女の手を取り、その提案に乗ることにした。
提案に乗ってもらえて嬉しくなった少女は、陽気に歌を歌い始める。少年にとってその歌はどこか聞き覚えがある、懐かしい歌だった。
「「ヨホホホーヨーホホホー」」
一曲を歌い終えると、少年は砂浜に上がった少女の横に座り込み、水平線に沈みゆく夕日を見つめ続けていた。
そしてポツリと口を開く。
「俺が大人になるまで、俺がおまえを守るよ。約束だ」
そう言って少女に小指を差し出した。少女は不思議そうにその小指を両手で包んだ。
少年は多少のため息と共に約束を契る。
それは一人ぼっちの少年にはとても暖かくて、一人ぼっちの少女には何よりも安らぎを与えてくれるものだった。 - 29二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 23:29:52
てえてえ…
- 30二次元好きの匿名さん22/09/09(金) 23:45:24
それからは2人でいろんなことをした。
一緒にご飯を作ったり、少年が少女のための水槽付きの手押し車を作ったり、海に潜れない少年の代わりに少女が貝や海藻を取ってきたり、少女を背におぶり島の森を探検したり
1人ではできないこと、1人ではつまらなかったことが2人ならできたし、楽しいことに代わっていった。
失敗することもたくさんあった。
少女を風呂に入れる時に盛大にお湯をこぼしてしまったり、着替えを除いてしまって怒られることもあった。
そんな時は一緒に歌って仲直りをした。少女の歌は透き通るような綺麗な歌声で、少年はその歌を聞くことが何よりも好きだった。
そんなこんなで共同生活を始めて2年が経ったある日のことだった。
少年が少女の元へ持ってきたのは黒い円盤であった。少年が作った「レコード」と呼ばれるものであった。
近頃は森の作物が不作で開墾した畑の収穫量も乏しかった。そこで、このレコードに少女の歌を刻んで、それを路上で披露することで物珍しさに金を落とす客を狙った、子供の考えそうな商売であった。
実際、少年の狙いは成功し、そこそこの額の金を稼ぐことに成功した。少女の「人魚の歌」は瞬く間に人気となり、路銀の数は増えていった。
だが、これがダメであった。
この歌を聞きつけ、よくない大人達が少年の前に現れた。大人達はこの歌を歌った素晴らしい歌手に会いたいと、少年に頼み、少年はこれを快諾した。
そして、少女の末裔に案内すると「ご苦労」の一言と共に少年は家の壁に蹴り飛ばされた。
何が起こったのか少年には分からなかったが、朦朧とする意識の視界で少女が大人達に連れ去られようとしているのだけはわかった。
生来の多少頑丈なだけの体に鞭を打ち、少年は少女を連れ去ろうとする大人達に立ち向かった。
だが、結果は想像の通りである。
集団で少年よりも圧倒的に優れた肉体を持つ男達は、少年を嬲り、痛ぶり、半殺しにした。
だがそれでも少年は大人達に食らいついた。
もはや一種の執念であった。
絶対に叶うはずのない相手に立ち向かわなくてはならない。彼女と交わした約束が少年を突き動かしていた。
雄叫びを上げ、そしてダムダム弾を打ち込まれ、少年は岩浜へと倒れ伏した。
少年が暗くなっていく視界で最後に見たものは、血だらけの少年に必死に手を伸ばす少女の泣き腫らした顔だった。 - 31二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 00:01:49
次に少年が目覚めた時、彼はサニー号の甲板の上にいた。普通の船とは違い、サニー号の甲板には芝生が敷き詰められている。
どこか他の土地の香りのする芝生の匂いを感じながら、少年はゆっくりと目を開けた。
真っ先に飛び込んできたのは青い空と、紫色の泣き腫らした見知った少女の瞳だった。
少女は少年が目を開けたのを確認すると、勢いよく少年の体に抱きついた。
まだ傷は治ってすらいないので、程良く激痛が走るが、少女と再び再開できた喜びで少年は痛みのことを気にしていなかった。
少女に支えられ、ゆっくりと体を起こす。
少年の周りには、彼を助けてくれた優しい海賊達がいて、それぞれ「よく頑張った」「カッコよかったぜ」と労いの言葉を少年にかけてくれた。
そして、船長の号令と共に宴が始まった。
テーブルに並ぶのは色とりどりの食事達、この宴の主役の少年と少女にはサンジ特製のバイタルレシピのメニューと酒の代わりに麦わらの一味謹製のみかんジュースがグラスに注がれた。
食事を楽しむと今度は、音楽家ブルックが少年と少女を、メインマスト前に作られたステージに誘導すると、バイオリンを持ち出し旋律を奏で始めた。
勿論、曲は海賊を象徴するあの歌。
手を握り歌う少年と少女のデュエットを肴に酒が進む。
狙撃手と船長とコックは肩を組んでリズムを取り、女性2人は軽い手拍子、船医は綿飴を齧り、鉄人は号泣し、山のような大柄な魚人は剣豪と共に酒を交わし合っていた。
皆思い思いに楽しんでいた。
歌い終えると、盛大な拍手が送られた。
2人ともどこか気恥ずかしそうに揃って俯き、互いの顔を見合って笑っていた。 - 32二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 00:06:01
昔の劇場版みてえだ…wkwk
- 33二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 00:11:37
宴も終わり、食事の片付けが終わった頃、少年と少女はメインマストのベンチで互いに寄り添いあっていた。
なんてことはない、2年前からずっとこうしてきたのだから、2人にとってはいつも通りのことだった。
ただ今日は少年の方が先に眠ってしまったが。
船の上から見上げる星空は美しい。親とはぐれて泳ぎ回っていた頃に見上げた星空も、少年と二人きりで何度も見た星空もこんなふうに綺麗に輝いていた。
寄り添い合う二人のもとに先程号泣していた、この船の船大工フランキーがやってきた。時刻ももう遅い。二人を寝室まで運びにきたのだろう。
寝室まで運びれる間、少女は鉄人に自分と少年のことを少しだけ話した。
親とはぐれてここまで流れ着いたこと、少年が助けてくれたこと、歌はある島の浜辺で歌う女の子の歌を聞いて覚えたこと、少年と約束したこと、少年が助けに来てくれて嬉しかったこと。
女子部屋の前にたどり着く頃には、フランキーは再び号泣していた。
勿論、女子陣にドンびかれたことは言うまでもないだろう。 - 34二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 00:23:38
翌朝、目覚めて少年は甲板から海を眺めていた。
今回の事件を通じ、強くならねばと思った。
自身にあの大人達を撃退できる力があれば、少女が連れ去られることもなかった。
今回のことは自分の「弱さ」が招いた事態だということを少年は痛感していた。
強くなりたい。
でも、方法がわからない。がむしゃらに無駄な特訓をしてそれで強くなれるわけがないことは少年でも理解できた。
だが、人とのつながりのない少年は強くなる術を知る由がない。それ故にこんな朝早くから海を眺めて黄昏ていた。
勿論、良い考えが浮かぶはずもないのだが。
「なんじゃい、悩み事かい?」
急に後ろから声をかけられ、驚いて振り返るとそこにはあの大きな魚人、ジンベエが立っていた。
改めて近くにいると、とてつもない迫力である。何か全身から凄みというかオーラというかそういうものが漂っている気がしてしてならなかった。
その迫力に圧倒されていると、一つ妙案を思いつく。
「あの_________」 - 35二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 00:27:15
偉大なる航路後半の海「新世界」
海賊船、サウザンドサニー号は今日も海を行く。
大秘宝「ワンピース」を目指して! - 36書いた人22/09/10(土) 00:27:39
オマケもあるからちょっと待ってて
- 37オマケ22/09/10(土) 00:37:46
むかしむかし、あるところにひとりぼっちの少年がいました。
少年は友達も作らず、仲間にもならず、ずっとひとりぼっちで浜辺の家で暮らしていました。
ある時、海から人魚の歌姫がやってきました。
歌姫は少年と仲良くなり、二人で森を探検したり、歌を歌って楽しく過ごしました。
ある日のこと、少年が歌姫の歌をみんなに教えていると、奴隷商が現れました。
奴隷商は少年を騙し、歌姫を攫ってしまいました。
冷たい風の吹く島で歌姫がシクシクと泣いていると、バーンと扉を開いて少年が助けにやってきました。
少年は奴隷商と一騎討ちをし、奴隷商に勝った少年は歌姫と一緒に歌姫の故郷の魚人島まで旅をしました。
少年は魚人達から空手を習うとメキメキと強くなり、勇敢な海の戦士へと成長しました。
そして、成長しみんなを元気にすることができるようになった歌姫といつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ
おしまい - 38二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 08:12:16
素晴らしい
- 39書いた人22/09/10(土) 16:28:36
ここからはこの物語の元になった要素や補足を書いていくよ!
少年→周りに誰もいなかった少年ルフィがモチーフ。周りに誰もいなかったので少年期のルフィよりはるかに弱いが、なんでも一人でやらなくてはいけなかったので精神がある程度成熟してしまっている
憧れも夢もないが、両親のこともあり海賊への嫌悪はない
少女(オータム)→元ネタは岡田有希子の「10月の人魚」
こちらは分かりやすくウタがモチーフの一つとなっている。
本来は救いのない最期を遂げる予定だったがカロリー不足で断念
アシッド→元ネタは筆者の経験した化学実験から。
典型的な三下を目指し、強さも全然強くない。
酸の強度を調節すれば洗剤としても利用できる - 40二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 16:31:33
乙、すごく良かったよ〜
- 41書いた人22/09/10(土) 16:36:11
作品の要素について
この話の至る所に、麦わらの一味の地雷となる要素が組み込まれています
詳しくは言いませんが、例えば
「鎖に繋がれた人魚の少女」
まずこれだけでナミさんがカンカンに起こりそうな事案ですが、この時の少女はアシッドによって髪を染め上げられ、白と赤のツートンになっています。この髪色の少女が「物」として扱われ自由を奪われ束縛される。これは散々この掲示板でも妄想されてきたウタのIFの一部を抜き取った物です。まぁ、これ無しでもルフィはアシッドのことが嫌いでしょうが。