- 1二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 18:12:30
「…」
『………』
今自分は、ライバルチームである〈ファースト〉のメンバーである…ビターグラッセとお出かけをしていた。
『…何か食べる?』
「いや、私は自分で弁当を作ってきたから大丈夫だ!」
『そ、そっか…なら大丈夫だな…』
「…」
とても…気まずい。
そもそもなぜこうなったのか。
ことの発端はこうだ。
「なあ、キャロッツのトレーナー。最近樫本トレーナーとよくお出かけしてるらしいじゃないか」
『え?ああ、うん…最近よく行くな』
「…悪いんだけど、とても不愉快でね!やめてもらえると嬉しいんだが」
彼女は、普段の表情を崩さないままそう言い放つ。
『えっ!?そ、そう言われても…』
「不愉快なものは不愉快なんだ。最近樫本トレーナーがキミの話をするたびにモヤモヤする…なあ、もうやめてくれないか?」
…真剣な目。冗談で言っているわけではなさそうだ。
とはいえ彼女とのお出かけは自分にとっても担当にとってもプラスなことだし…
と、悩んでいると。
「そんなにお出かけがしたいなら、私としたらいいんじゃないか?もう樫本トレーナーに手は出さないでくれ」
『…へっ?』 - 2二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 18:12:43
その謎の提案を呑んでしまい、今日こうしてお出かけをしているわけだが。
「さ、弁当弁当!」
彼女はそう言って座り込み、大きな2段の弁当箱を取り出した。
だが自分はまさか弁当になるとは思わず、何も食べるものがない。
『あ、俺適当に何か買ってくるな』
なので買ってこようとしたのだが…
「いいや、大丈夫だ。ほら、私が作ってきたからさ!」
そう言って彼女は、弁当の下の段を差し出してきた。
『えっ!?あぁ、ありがとう…わざわざ作ってくれたのか?』
「ああ、ついでだったからね」
弁当の蓋を開けると、玄米の混じったご飯に、彩りこそないが旨味が滲み出ていそうな茶色いおかずたちが並んでいた。
『料理、上手なんだな』
「はは、自力で蕎麦を作るくらいには得意なつもりだよ!」
その日食べた弁当は、とても…美味しかった。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 18:12:56
その日以降も「お出かけ」といったことを色々した。
とある日の学園へと帰る道すがら、グラッセと色々話していた。
「あの映画はよくわからなかったな…主人公もさっさと告白すればいいものを」
『そこが面白いんじゃないか』
「さ、次はどこに行く?もう水族館も遊園地も映画館も行ったけど…」
『そうだな…そろそろ、3年間も終わるんだよな…』
…もうすぐ、〈ファースト〉との決戦だ。
なぜかその横でビターグラッセと仲良くなっているわけだが…
「そうか。まあもう樫本トレーナーもキャロッツトレーナーの話はしなくなったし、満足かな」
『そんなに樫本トレーナーが好きなんだね…』
「ん…?ああ、尊敬してるさ!」
『俺の話ばっかりでやきもち妬かせちゃってたかな?』
「…え?」
そこでビターグラッセははっとしたような顔をした。
「ああ…違う、違うんだ」
『違う?』
「違う。…私が嫌だったのは、樫本トレーナーが他の人の話をすることじゃなくて」
そこで、学園についた。
『あ、学園についたね!それじゃ俺帰るから!』
「え!?あ、ああ!また今度!」
…あの先は予測できた。
けれど、それを聞くわけにはいかない。
彼女は学園のウマ娘で、自分はトレーナーだ。
しかもライバルチーム同士の。
…特別な関係になるわけには、いかない。 - 4二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 18:13:19
- 5二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 18:22:47
また新しい概念だな…
- 6二次元好きの匿名さん22/09/10(土) 19:45:58
湿度70%。ふつうだな!