辛すぎるのだ

  • 1二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:00:53

    この絵の考察スレを見てからあまりにも辛すぎるから憂さ晴らしのSSを見てほしいのだ
    ちなみにURLは見失ったのだ

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:01:50
  • 3二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:02:14

    🍲🐉待つぞ

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:03:17

    ⚠️鍋警報発令中

  • 5二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:04:00

    ハム太郎もあにまんをやる時代か…

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:04:01

    >>2

    これなのですこれなのです

    精神的に離れすぎて分かり合えなくなってる説が辛すぎるのです

    だからあらゆる妄想を使ってなんとしてでも分からせるのです

    >>3

    >>4

    感謝するのです

  • 7二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:06:23

    ウタは胸しか成長してないのか。中身は何ならもっと幼くなってないか。

  • 8二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:12:00

    しかし残酷な絵だよな
    もう同じステージに立ってないんだなってよくわかる

  • 9二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:13:27

    ウタ「ロジャーの処刑によって始まった大海賊時代を…ルフィ!アンタの処刑で終わらせる!」
    ルフィ「くゥ…ウタァアアああああああ!!!」

    これを振り下ろせば、ルフィは死ぬ。
    ウタワールドから出られなくなれば、もうどこへも行くことは無くなる。私と同じように。やっと苦しさから解放される。
    …ドットットッ
    それは嬉しいことのはず。
    …ドンドントットッ
    ほら、聞こえる。『解放のドラム』が。
    きっと私の心は喜んでるに違いない。
    さぁ、あと一息だ。
    タッ

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:20:28

     振り下ろされたナイフがルフィに触れることは無かった。
    …ドンドットットッ
    ウタ「・・・なんでよ」
    シャンクス「お前の歌を聞きに来た」
    ドンドットットッ
     シャンクスだ。突然の登場に一瞬泣き出しそうになるも、すぐに無理矢理笑って気持ちを立て直す。

    ドンドットットッ

    ウタ「みんなァ!1番悪い海賊がいるよ!!!」
    赤髪海賊団に操られた観客たちが迫る。

    ド ン ド ッ ト ッ ト ッ

     その時、『彼』は笑った。

  • 11二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:30:35

     一瞬の出来事だった。突然伸びた腕が観客を捕らえ、あっという間に島の反対側まで運ばれてしまった。
    ウタ「何!?」
    ??「よぉ〜し!絶好調!」
     状況が飲み込めないウタに対し、赤髪海賊団の視線は一点に集まっていた。
     そこには、ルフィが立っていた。しかし、どう見ても様子がおかしかった。髪はおろか服の色まで白く染まっており、放つ蒸気を羽衣のように羽織っている。しかもウタワールドでの鬼気迫った表情で自身に立ち向かうルフィに対し、この男はあまりにも状況に見合わない愉快な雰囲気を醸し出していた。そもそも、ウタワールドから自力で脱出するなんて出来るはずがない。

  • 12二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:31:24

    釜の準備はできているぞ!

  • 13二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:32:45

    空想世界に引き込む能力と空想を具現化する能力か

  • 14二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:35:59

    ウタ「ねぇ、アンタは誰!!」
    ルフィであるはずはないけど、ルフィでなければあり得ない。この謎の男に対して、尋ねずにはいられなかった。
    ルフィ?「オレ?」
    ウタ「アンタ以外いないでしょ!」
    苛立ちが募る。
    ルフィ?「う〜ん…そうは言っても長いこと名前で呼ばれてないしな〜…思い出せねェよ」
    ルフィ?「ま、名前なんてどうでも良いじゃねェか!オレは お前を解放する」

  • 15二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:42:08

    ウタ「解放するって?何から?解放されるのはみんなよ!『新時代』へ行けば、みんなが自由になんでもできる、幸せな時代が来るの!そして、私はウタワールドではなんでもできる」
     この間にも、トットムジカは成長している。その力はウタの身体から現実世界へ溢れつつあった。
    ルフィ?「へぇ〜、そりゃあ嬉しいねェ!じゃあさ、出してほしいもんがあるんだ!」
    ウタ「何を?」
    ルフィ?「それはな・・・・“ヘラクレス”!!!」
    ウタ「…へらくれす?」

  • 16二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:53:35

    ルフィ?「そう、“ヘラクレス”!すっげェカッコいいヤツでさぁ!また見てみてェんだ!アレ出してくれよ!」
    分からない。“へらくれす”が何を指しているか全く。
    ウタ「ごめん、何かわからないから出せないな」
    何故か申し訳ない気分になってきた。
    ルフィ?「な〜んだそっか。じゃあおめェひょっとして何にも知らねェんじゃねェか?」
    ウタ「急に何を言い出すの?」
    ルフィ?「だっておめェ、ここから外に出たことあるのか?」
    急に鋭いことを言い出した。イライラしてくる。
    ウタ「無いけど、だから何?」
    ルフィ?「そのウタワールドってのは、おめェの知らねェもんは出せねェってことだろ?つまんねェの。そんなの…」
    ルフィ/ルフィ?「「自由なんかじゃねェ!!」」
    現実とウタワールドのルフィのセリフがシンクロしたことに驚く。やっぱりこの男はルフィなのでは?

  • 17二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 00:59:38

    ウタ「じゃあ教えてよ。“へらくれす”って何?」
    『何にも知らない』と吐き捨てられたことに腹が立つ。私だって思いつきで『新時代』を作りたいわけじゃないんだ。
    ルフィ?「おう、それはな…ていうか、おめェの力でルフィの記憶見るとか出来ないのか?」
    ウタ「ここは現実世界。ウタワールドじゃないの。だからこんな風にアンタの頭に指をあてて映像を出したり〜なんて…あ、出来た」
     ルフィの記憶が映像として出てくる。現実でウタワールドじみたことができるのは、それだけトットムジカの力が強まっているということだが、そんな自身の状態も忘れ、現実のウタはルフィの記憶に集中した。

  • 18二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 01:07:17

    ウタ「何?これ」

    ルフィ?「“ヘラクレス”。カッコいいだろ〜」

    “ヘラクレス”は虫のことだったのか。拍子抜けしたけど、とりあえずスッキリした。

    ウタ「そういえば、アンタなんて呼べば良いかな?」

    ルフィ?「しらねッ」ニカッ

     無駄に良い笑顔で謎の男は返す。

    ウタ「じゃあ、『ニカ』って呼んでおく。今にかっって感じで笑ったから」

    ニカ「おう!良いなァそれ!気に入った!」ニカッ

    ニカ「そうだ!いろいろ見せたいもんがあるんだ!」

     記憶映像が切り替わる。

  • 19二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 01:16:46

    ウタ「これは・・・どうしたの?」

    ニカ「航海初日」

    ウタ「えぇ!?」

    ニカ「泳げなくなる能力者で、しかもあんな小舟で1人で海に出るなんてホント酔狂だよアイツは!しかもこの後タルに入って助かるんだぜ!?」アヒャヒャヒャ

    ルフィにもそういう時期があったんだよね。一緒に遊んでた頃の無鉄砲さの面影がある。でも、今のルフィには…

  • 20二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 01:26:54

    ニカ「あぁそうだ、コイツは見せてやりてェ。」

    映ったのは、見るからに冴えない少年だった。

    ウタ「この子が…何なの?ていうか誰?」

    ニカ「コビーだ。ルフィの友達。おめェも知ってるはずだぜ?」

    コビー?そういえば、さっき名前を聞いたような・・・

    ↓before/after

    ウタ「え!!?さっき『コビー大佐』って呼ばれてた人!?」

    ニカ「そうそう!見違えたよなァホント」

    ぜんっぜん分からなかった。成長するにしたってこんなに変わることある?

  • 21二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 01:46:13

    ウタ「ん?待って。確かコビーって海兵でしょ?じゃあルフィとは敵同士なんじゃないの?」
    ニカ「それはなァ、コビーが海兵になれたのは……」
    映像が流れながらニカは話す。コビーがもともと海賊の雑用だったこと・そんな状況からルフィに助けられたこと。
    ウタ「あ…」
    海軍に仲間かどうかつるまれた時、2人は殴り合いだした。急に突き放すところがさっきのルフィみたいで心が痛くなる。
    【海兵「君らが仲間じゃないことはよく分かった!」】
    ニカ「ここは大事なとこだ。ルフィとコビーが仲間だって思われたら、コビーは海軍に入れなかった」
    ウタ「じゃあルフィは、コビーが海軍に入れるように、わざと…」
    ニカ「そうさ。そして、それはコビーにはしっかり伝わった」
    【コビー「ありがとうございました!!!この御恩は一生忘れません!!!」
    ルフィ「また逢おうな!!!コビー!!!」】
    コビーのルフィを見る眼差しには、確かな信頼を感じるものがあった。
    ニカ「そういうわけだから、立場は敵でも今だって2人は友達なのさ」ニカッ

  • 22二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 01:59:30

    その後もいろいろと記憶を見た。さっきからニカが見せるルフィは、困ってる人や傷つけられてる人を放っておけない…そう、まるで私の見知ってるシャンクスみたいだ。
    ウタ「そうだ。ルフィは何か事件は起こしたことないの?」
    この質問は自分で言っておきながら後悔した。これじゃあ粗探ししてるみたい。
    ニカ「あるぜ!どでかいのがたくさん!特にすげェのはインペルダウンの…」
    ウタ「…!」
    これには絶句した。ゴードンがたまに新聞を読んでいたので耳にしたことはある。どうせ海賊のやったことだと深く聞いてはいなかったけど、まさかルフィが加担していたなんて。
    ウタ「…なんでルフィはこんな…犯罪者たちを外に出すなんてこと…」
    その瞬間、ニカから笑顔が消え、ウタワールドのルフィと同じくらい真剣な表情になった。
    ニカ「・・・兄ちゃんを、エースを助けるためだ」
    ウタ「エース?」

  • 23二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 02:05:59

    期待

  • 24二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 02:18:55

    『エース』の姿が映し出される。聞こえてくるルフィの声は自分の思い出にいる幼いルフィとかなり近い。
    ウタ「これはいつの話?」
    ニカ「7歳の頃。シャンクスたちが村を出た後だな。少なくともおめェよりは後だ」
    ウタ「7歳で初めて会ったってことは本当の兄弟じゃない?」
    ニカ「兄弟とは言っても血の繋がりはねェから、幼馴染みてェなもんだな」
    自分が幼馴染第1号なのだ。そう思うとなんだか嬉しくなった。
    ニカ「ただし、コイツらはいろいろあって盃を交わした。つまり魂の兄弟と言えるな」ニカッ
    一瞬だけニカが笑う。様々な出来事があり、その中でエースと、もう1人の兄『サボ』に認められ、兄弟となる様がはっきりと映されていた。

  • 25眠いから続きは明日なのです22/09/11(日) 02:37:29

    そして、成長したエースが映し出される。
    【ルフィ「エース…!?」
    エース「変わらねェな、ルフィ」

    エース「ルフィお前…ウチの『白ひげ海賊団に来ねェか?」
    ルフィ「いやだ」
    エース「プハハハ…だろうな、言ってみただけだ」

    エース「おめェらもコイツにゃ手ェ焼くだろうが、よろしく頼むよ…」】

    時間が経ってもなお、とても親しい間柄に思えた。お互いに分かり合っている。…私と違って。
    ウタ「・・・エースって人とは上手くいってるんだね。今も仲は良いの?」
    ニカ「死んだよ」

  • 26二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 02:41:19

    上手いなぁ…

  • 27おはようなのです22/09/11(日) 07:55:50

    ウタ「・・・え?」

    ニカ「インペルダウンから囚人たちを引き連れて…海軍本部のあるマリンフォードまで乗り込んで…いっときは処刑台から…連れ出せたのに…」

    ニカの声はどんどん涙を含んでいく。

    【サカズキ「貴様らの血筋は既に“大罪”だ!!!」

         「貴様ら兄弟だけは絶対に逃がさん!!!」

         「よう見ちょれ」

    エース「…おい!!待て!!」

       「ルフィ!!!」

    ルフィ「!!!」

    映されたのは、ルフィを庇い、腹にとんでもなく大きな穴が空いてしまったエースの姿だった。

    ウタ「こんなの…絶対…」

    助かるはずがない。そう言おうとした時に見たニカの顔からは、ボロボロと涙が落ちていた。

    【エース「ごめんなァ………ルフィ」

    ルフィ「エース!!!…急いで手当て…」

    エース「ちゃんと助けて貰えなくてよ…!!!すまなかった…!!!」

    ルフィ「…ぃ…約束したじゃねェかよ!!!…お前絶対死なねェって…!!!言ったじゃねェかよエースゥ〜〜〜!!!」】

  • 28二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 09:29:05

    シャンクスたちはどんな感じで見てるんだろう。そのうち飯や酒の用意始めたりするかな(そしてウタちゃんに手渡されるお薬入りジョッキ)

  • 29二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 09:48:49

    ニカ「アイツ…言ったのに…『お 前 を 残 し て 死 ね る か』って…そう…言ったのに…」

    【エース「心残りは……1つある…お前の“夢の果て”を見れねェことだ……だけどお前なら…必ずやれる……!!!おれの弟だ……!!!」


    エース「…昔…誓い合った通り…おれの人生には…悔いはない…!!」

    ルフィ「…ウソだ!!ウソつけ!!」

    エース「ウソじゃねェ……!!」


    エース「…ルフィ、おれがこれから言う言葉を……お前、後からみんなに…伝えてくれ」


    エース「……オヤジ!!!みんな……!!!そして、ルフィ……」


    エース『愛してくれて……ありがとう!!!』】

    ウタ「そんな…」

    ルフィは、失くしていたんだ。無二に等しい存在を。エースはもう、いないんだ。どこにもいないんだ。

  • 30二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 10:03:05

    >>28

    シャンクスとホンゴウが2人の近くで見守り、残りは海軍の牽制をしてると思ってほしいのです

  • 31二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 12:00:36

    私は死なない。心はウタワールドに残る。でも、現実では?身体は無くなる。私以外は自分でウタワールドへは行けない。それなら、みんなにとっては死んだのと何が違う?
    ニカ「ルフィが今、なんで強えのかわかるか?」
    ウタワールドで、ルフィたちは私の出したトットムジカと懸命に戦っている。
    ウタ「なんで?」
    【ルフィ「おれが誰よりも強くならなきゃ、そいつらをみんな失っちまう!!!」】
    ニカ「弱ェと仲間を守れねェからだ。それを感じたことは何回かある。特に、助けたかったエースに助けられた上にそのまま死なれちまった時は、ルフィは自分の弱さを強く呪った。だからアイツは強くなりてェんだ。何も失いたくねェから。そして、オレが出てこれるぐらいに強くなった」
    ウタ「ニカが出てこれるぐらい?」
    ニカ「そうだ。ルフィ自身の心身が追いつかねェとオレは姿を出せねェ。オレが出てこれた主は随分長いこと、ルフィ以外じゃ1人しかいねェ」
    そんなに、ルフィは頑張ってたんだ。仲間を、みんなを守るために。そりゃあ、昔と同じってわけにはいかないよね。なんだか寂しい気分。

  • 32二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 12:15:22

    神SSきたこれ!!

  • 33二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 12:15:50

    黒煙の勢いは強まる。今か今かと、私の身体から現実世界へ出ようとしている。ダメ。まだダメ。もっとルフィの話をしていたい。
    願いが届いたのか、黒煙は引っ込んだ。
    ニカ「だから、言えねェんだ弱音を。仲間を頼ることはたくさんある。でも船長だから、海賊王になるから、弱ェところを見られちゃならねェと、ルフィは強くあろうとする。そういうところに仲間たちは惹かれるんだがな。長ェこと会ってなかったおめェには、人が変わったように見えただろ?前より冷たくなったとか」
    図星だった。昔よりルフィはあっさりしてるなって。すぐに帰ろうとしてたし。
    ウタ「うん…でもこんなにいろいろあったんじゃ、しょうがないよね…」

  • 34二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 13:36:41

    ニカ「なんか寂しそうだな〜」

    気がつけばニカの頭に当てていた指は離れ、互いに寄っかかって頭を合わせていた。

    ウタ「うん。なんかもうルフィにとって私は小さい頃の思い出でしかないのかな〜って…」シュン

    ニカ「そう言うなって」

    記憶が切り替わる。今日の、ライブが始まってすぐの時だ。

    【ルフィ「ウタ!お前ウタだろ!」

    ウタ 「?」

    ルフィ「おれだよおれ!!」

    ウタ「……!!!ルフィ〜〜〜!!!」 】

    ニカ 「おめェがその程度なわけねェだろ!ライブ中に乱入するぐらいなのによ!!!ルフィにとっちゃ今だっておめェは変わりなく大切だ!!!」ニカッ


    ルフィの感情と連動するように、ニカも嬉しそうに話す。そう、この瞬間はすごく楽しかった。 人生で1番と言っても良いぐらい。久しぶりのハグやチキンレースが、言葉に出来ないぐらい嬉しくて、楽しかった。

  • 35二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 14:04:26

    このまま救われてくれ

  • 36二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 14:20:11

    その後も、しばらくは談笑が続く。私もルフィも、とっても楽しそう。
    ニカ「ほら、やっぱりおめェたちはちゃんと仲良しじゃねェか。そんな不安がることねェって」ニカッ
    ウタ「でも…この後は…」
    問題の場面が来る。正直見たくない。
    【ウタ「ルフィは今何やってるの?」
    ルフィ「ああ、海賊やってる。海賊王になるんだ〜」
    ウタ「ねぇルフィ。海賊やめなよ」】
    酷いこと言っちゃったな。ルフィの道のりも知らないで。
     そう思い、ふとニカに目をやると、途轍もなく真剣な表情で記憶の中のウタを凝視していた。

  • 37二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 14:50:24

    【ウタ「ここならずーっと楽しく暮らしていけるよ!」
    ルフィ「おれ、サニー号に戻って寝るよ。お前が元気そうで良かった!それじゃあな!」
    ウタ「ダメだよ。海賊王になるなんて」】
    ニカ「…そりゃあねェだろ…流石によォ…」
    ニカの声色と表情は、もはや怒りすら感じるほどの形相だった。当たり前だ。ルフィの海賊王になることへの想い、今日に至るまでの努力を全部否定するようなことを私は言ったんだ。ずっとルフィの中にいたニカだって、許せるはずがない。
    ニカ「…ウタ」
    ウタ「…!その…ごめん…」

  • 38二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 18:10:21

    思わず謝った。怖くてつい。ニカは「なんで謝ったんだ?」と言いたそうに首を傾げた後、話を続けた。
    ニカ「おめェ、やっぱり寂しいだろ」
    ウタ「!」
    そう言われて、心の曇りが少し晴れた気がした。やっと私以外から「寂しい」と言ってもらえた。
    ウタ「…なんでわかったの?」
    ニカ「だって辛そうじゃねェか。目つきも喋り方もなんか必死だし。『置いていかないで』『一緒にいたい』『1人にしないで』。こんなこと思わなかったか?」
    ウタ「……うん」
    思った。もっと言えばずっと前からそう。ゴードンがいてくれたけど、やっぱり滅びた国で2人だけは辛かった。

  • 39二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 20:58:34

    ニカ「しっかし、ルフィがあんなにマズい対応するなんてなァ。いくらショック受けてたとはいえよ」
    ウタ「あ…やっぱりショックは受けてたんだ」
    ニカ「そりゃあな。ずっと赤髪海賊団の音楽家って自慢してて、シャンクスが大好きだったヤツから久しぶりに会って言われたことがアレじゃあ冷静でいられっこねェ。オレもムカついた!」ムッ
    ウタ「ごめん…」
    ニカ「そこは別に良いよ。オレが引っかかったのはルフィがロクに張り合わなかったこと」

  • 40二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 21:30:58

    ウタ「そこが?どうして?」
    ニカ「あの時、昔のルフィなら絶対言い返してただろ。『シャンクスがあんなに好きだったじゃねェか!!』とか『なんだと〜〜💢』とかな。ウタはこの方がルフィらしいって気がするだろ?」
    ウタ「うん…そう思うかも…今の、私の知ってるルフィみたいだった…」
    あの時は、私のムキになってたから気づかなかったけど、言われてみれば全くその通りだ。というか、ニカの方がよっぽど私の中のルフィに近い。ニカの声がルフィと同じなためだろうか。ニカの真似したルフィの台詞に懐かしさと寂しさがせめぎ合い、涙が出かかった。本物のルフィがどんどん遠くにいると感じてしまう。

  • 41二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 21:55:32

    ニカ「聞いておく。本当に『新時代』へ行っちまうのか?」
    ウタ「…」
    ニカ「ルフィやシャンクスと…ずっと…心残りの…ある…まま……」
    ウタ「……」
    ニカの声が震え出す。もう、言えなかった。とても、やるなんて言えなかった。ニカの機嫌とか関係なく、私自身がやる気になれなかった。
    ニカ「おめェも…いなくなっちまうのか?エース…みたいにィ…」
    エースを思い出し、ニカはまた泣き出す。本当に全く感情を隠さない。笑う時は輝くような笑顔、楽しい時は全身でアピール、怒る時は鬼みたいな形相、不満があればプンプン喚き、悲しい時は涙をボロボロ流す。子どもどころかまるで赤ちゃんだ。だけど、そんな様の方が私は安心する。…ずっと成長してないんだなぁ、私って。

  • 42二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 22:10:50

    そんなこと言わないでくれ…純粋なあなただからこそ皆惹かれたんだよ…

  • 43二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 22:26:43

    シャンクスやルフィは、ウタワールドを絶対に受け入れない。もし閉じ込めたら2人の幸せを奪うことになる。間違いなく心から笑ってくれなくなる。だから、もし行くとしたら…私1人だけ。
    ウタ「……やだぁ、1人なんてやだよお…!!シャンクスと…みんなと…ルフィといっしょがいいよぉ…!!!」
    ニカ「これ以上…いなくなんないでくれよ〜〜〜!!!ルフィに失くさせないでくれよ〜〜〜!!!」
     気がつけば2人は駄々っ子のように泣き喚いていた。

  • 44二次元好きの匿名さん22/09/11(日) 23:08:43

    いいぞ

  • 45二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 00:36:56

    ひとしきり泣いて少し落ち着いたウタは少し考える。ニカはまだ泣いてる。
    ニカはルフィの記憶があるんだよね。だから仲間たちも知らないルフィの弱さや気持ちがわかる。それでいて、ルフィと違って感情を隠さない。つまり、ニカは『ルフィの本音』と言ってもいいのか。でも、あくまでルフィじゃない。ルフィへの呼び方がずっと他人だもん。さっきみたいにルフィに文句言ったりもしてたから、中身は別っぽい。…もっといろいろ聞いてみよ。
    ウタ「ニカ」
    ニカ「ん?」
    彼も流石に泣き止んでいた。

  • 46二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 01:01:13

    ウタ「ルフィにはニカのことはわかるの?」
    ニカ「わからない。そもそもオレがいることにも気づいてない」
    ウタ「じゃあ、今ルフィが起きたら?」
    ニカ「オレの心はルフィの内側に戻る。こうして喋っていられるのはルフィの心がここに無いから。その時が来たら、目の前にいるのはルフィだ」
    ウタ「そっか…ルフィが起きたらもう話せないのか…」
    今日会ったばかりなのに、もういないと寂しい気分。そういえば、友達と思えたのはこれで2人目か。
    ニカ「おいおい!そんなお別れみたいな顔すんなよ!オレはいつでもルフィといるんだ!つまりルフィといっしょでいる限りオレもいっしょだ!」ニカッ

  • 47二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 08:28:25

    ウタ「ルフィと…いっしょ?」
    ニカ「そうだ!この騒ぎにケリつけたらシャンクスかルフィに船に乗せてもらおう!2人とも絶対歓迎するぞ!!!」
    ウタ「だけど…良いのかな?私ずっとシャンクスを信じられなかったし、ルフィにもあんなこと言っちゃったし…それに、船に乗れても今更みんなについていけるかなって…」
    ニカ「ついていける?」

  • 48二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 13:10:34

    ウタ「だってさ…ルフィもみんなも旅の中で成長したのに…10年もずっとここに篭ってきただけで…意味のないことしてきた私じゃ…足手まといにならないかなぁ…」
    また不安になってきた。泣きそう。
    ニカ「な〜に、最初から一人前なヤツなんていねェ。仲間なら助けるのは当たり前よ!それにルフィは仲間が強ェかどうかなんて気にしねェ」ニッ
    ウタ「そうなの?」
    ニカ「ああ!でも、ルフィを見てるとみんなアイツの力になりたくなるんだ。ルフィを海賊王にしてやるんだって。みんなが心からそれを望んで、鍛えて、強くなった」
    力になりたくなる、か。私もルフィの仲間たちみたいに強くなろうって思えるのかな。
    ニカ「それによ」
    久しぶりに記憶が映される。

  • 49二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 13:32:31

    ウタ「ん?」

    仲間の人数が少ないから、きっと航海を始めてすぐなのだろう。船の上で転がったり、病院で傷を癒やしたり。でもなんでこれ?

    ウタ「ここがどうしたの?」

    ニカ「ルフィは旅の仲間に何を欲しがってる?」

    ウタ「航海士と、船医と、……音楽家?」

    1個だけ浮いている、実利とは関係なさそうな役職。仲間集めは海賊を始めたならまずやるべきことだろう。ならばもっと大事な役職があるはずなのに。

    ニカ「シャンクスは、いつだってルフィの憧れだ。特に航海したての時は赤髪海賊団みたいな仲間を夢見ただろう。で、赤髪海賊団には確か“音楽家”がいたよな?」ニィ

  • 50二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 17:13:58

    あぁ、そうか。ルフィの『憧れの海賊』にはいたんだ。私が、ちゃんと。嬉しさで気持ちが昂る。

    ニカ「そういうことだからよ!ルフィといっしょに行こう!今船にはブルックって音楽家がいてさァ、アイツも喜ぶだろうな〜!音楽家が多けりゃもっと楽しくなれるぞ〜!!」

    楽しくなったのだろう。おそらくブルックのことであろうガイコツの記憶を映しながら、ニカは両腕をめいっぱい広げて笑顔で話す。

  • 51二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 18:11:40

    ウタ「そうだね!私……いや…やっぱりダメ」
    ダメだって。それは喋らなくていい。もうすぐなんだよ。やっと1人じゃなくなれる。なのに不安な気持ちがそれを許してくれない。せき止められない。

     黒煙が一瞬、うっすらと見えた気がした。

    ウタ「エレジアをめちゃくちゃにしたのがトットムジカでも、私があれを歌わなければ、出てこなかった…私がいなければ、みんな…死ななかった……」
    【「あの子から出てきたんだ!」「あの娘はバケモノだ!!」「うわああああああ!!!」】
    私自身の記憶が流れ出す。もう止められない。ひたすら悲鳴が溢れ出る。
    ウタ「シャンクスは私を庇ってくれたのに…シャンクスが大好きだったのに…こんなことするはずないって考えもしないで…ずっと恨んで…」
    ニカ「……」
    何を言うでもなく、ニカは聞いてくれている。とても真剣な眼差しで。ごめん。

  • 52二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 19:04:27

    ウタ「ファンのみんなやルフィたちを閉じ込めようとして…ルフィを殺そうとして…トットムジカをウタワールドで…自分で出しちゃった…ルフィたちが危ない!」
    ニカ「……ルフィ…!!!」
    ニカは何かを見たらしい。ルフィの記憶が映る。記憶と言っても直前のもの、つまりほぼリアルタイムでウタワールドでトットムジカと戦う様子が見えた。攻撃してはいるが、手ごたえはない。
    ニカ「コイツが…」
    ウタ「もう、私じゃ止められない…みんなを救いたかったのに、こんな目にあわせてばかりで…!……あわせる顔がない……!!!」

  • 53二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 19:22:10

    ニカ「………」ニカッ
    ニカは急に笑った。
    ウタ「…?なんで笑ったの?」
    ニカ「あっちの心配はいらねェ。見てすぐわかった。あのでけェのにルフィたちは倒せねェ」

     確かに、ルフィ側の攻撃はトットムジカに効いていない。だが、トットムジカの攻撃もルフィ側にはほとんど当たっていなかった。

    ウタ「えっでも」
    ニカ「それよりさ〜」
    ウタ「トットムジカ…」
    ニカ「おめェホントに良いヤツだな〜」ニィッ
    ウタ「……え??」

  • 54二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 20:08:36

    こんな時に急に何を言い出すの?焦っていて意図がわからない。

    ニカ「そりゃあみんなおめェを大切にしたいわけだな〜」

    ウタ「待って!今何の話をしてるの!?」

    【ゴードン「あの子の歌声は!みんなを幸せにできる力があるんだ!!なのに…これじゃああまりにもあの子が不憫だ!!!」】

    ウタ「…ゴードン」

    ウタワールドの景色は、トットムジカの力で禍々しく染まっていた。そんな中でもみんなは諦めていない。

    【ゴードン「ルフィくん!あの子を…あの子を救ってくれ!!!

    ルフィ『… 当 た り 前 だ ろ !!!』】

    ウタ「ルフィ…!」

    ニカ「今ならわかる。『新時代』を作ろうとしたこと。おめェはみんなの辛そうな声をたくさん聞いたから、そこから逃がして喜んでほしかったんだな」

    ウタ「…」

  • 55二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 22:05:14

    ニカ 「おめェほど人の幸せで喜べて、人の不幸で悲しめるような優しいヤツはそう多くねェ。 歌を聞いて喜んでほしいだけなのに、たくさん不幸な話を聞かされたり、救世主だなんて言われたらそりゃあ辛ェよな。放っておけねェから救世主になってみんなを救わなきゃってなる」
    ニカは優しく語りかける。小さな子どもにそうするように。
    ウタ「うん…辛い現実から『新時代』へ連れていけば、みんなを喜ばせられる…って思ったんだけどなぁ」
    ニカ「シャンクスもトットムジカのことを喋ったら気を病むと思ってああ言ったんだろうな。今のおめェが実際そうなってるし」

  • 56二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 22:25:22

    ウタ「はは…それは、気をつかわせちゃったな」
    ニカ「そういうとこだ。おめェが好かれるのは。人の心に親身で寄り添えるおめェが、心から幸せそうに笑ってくれるのがみんな嬉しいんだ」ニッ
    ウタ「私の、笑顔が、嬉しい」
    ニカ「だからよ、そんな良いヤツにはいなくなってほしくねェ。ルフィがおめェを殴らねェのも、こうして必死に助けようとするのもそういうことだ。おめェは殴るような悪ィヤツじゃねェし、もし殴ったらせっかくの笑顔が台無し!」
    ウタ「そうか…」

  • 57二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 22:53:59

    そういえば、自分が大切にされてるかなんて、あんまり考えてなかったな。みんなを大切にっとはいつも思ってたけど。私の中で、勇気が湧いてきた。
    ウタ「ありがとう、ニカ。私がんばれる気がするよ!ルフィやシャンクスと仲直りして、良いことでも悪いことでも世界を見てまわって!世界中に私の歌を届けたい!!!」
    ニカ「…!おう!やろうぜ!!」パァアア
    さっきからマジメな雰囲気だったニカは、私の宣言を聞いた途端無邪気に瞳がキラキラ輝かせた。ホントにわかりやすいなぁ。いっしょにいると楽しい。

  • 58二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 23:19:21

    ニカ「よ〜〜し!それじゃあトットムジカをなんとかするぞ〜!…って、どうすりゃいいの?」

    ウタ「私が眠れば、ウタワールドは閉じる。トットムジカもウタワールドにいるから、いっしょに消えるはず!」

    ニカ「そうすればトットムジカはいなくなってみんなは起きるんだな!」

    ウタ「あ!でも…私…ウタワールドを閉じないために…ネズキノコを食べてたんだ!」

    ニカ「えェ〜〜〜〜〜!!!??」

    ニカとの話に熱中してすっかりネズキノコのことを忘れていた。冗談じゃない!死にたくない!ニカもとんでもないリアクションをかまし、大慌てだ。

  • 59二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 23:31:51

    ニカ「喋ってる場合じゃなかったァ〜〜〜!!誰かァ〜〜〜!!!」
    周りを走りながらニカは喚き散らしている。今危ないのは私なのに、なんだかコメディを見ているようで、少し笑いがこぼれた。
    ?????「まだ間に合うさ!」ヒュン
    ニカ「!」パシッ
    そこへ、ある瓶が投げ込まれた。慌てている中でも、ニカは見逃さずに腕を伸ばしてキャッチする。投げたのは、シャンクスだ。そういえばずっと近くにいたんだった。さっきまでの話が全部聞かれていたと思うと恥ずかしくなった。

  • 60二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 23:40:19

    シャンクス「それが解毒剤だ。これを飲めばネズキノコの毒を打ち消せる」
    ニカ「サンキュー!シャンクスー!!」ニカッ
    良かった。シャンクスたちが解毒剤を持っていた。…じゃあ私がネズキノコを食べるようなことするってバレてた?シャンクスには全部お見通しか…
    ニカ「とにかくこれで一件落着だ!ルフィが起きたら言ってやれ!『ここにずっといて辛かった!』『さっき張り合ってくれなくて寂しかった!』『ルフィも弱音の1つぐらい言ってくれよ!』ってな!!」キュポッ
    ウタ「ええ!ルフィにいっぱい文句言って、船に乗せてもらうから!」

  • 61二次元好きの匿名さん22/09/12(月) 23:46:29

     ウタは解毒剤をニカから受け取り、それを口へ運んだ。これを飲んで寝てしまえば、全ては元通り。シャンクスも、赤髪海賊団も、ニカも、全員が安心していた。しかし、薬が間もなくウタの口へ届くという瞬間


       黒煙が一気に広がり、瞳を覗かせた。

  • 62二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 00:07:53

    ニカ「!!!!!!」
     瞳が見えた瞬間、ニカは黒煙へ拳を放った。だが、拳は空を切り、放たれた衝撃波に吹き飛ばされた。遂に、トットムジカが現実世界へ姿を現したのだった。
    ニカ「くゥ……!!ふざけるなァ〜〜〜!!!」
     トットムジカに何を言っても無駄だと、考えることもなくニカは叫ぶ。その足元へ、割れた解毒剤の瓶が飛んできた。中身がこぼれているということは、まだ、飲めていない。
    ニカ「やっと!やっとウタがこっちで生きようと!頑張ろうとしてたのに!!こんな時に出てくるんじゃねェ〜〜〜!!!」
    トットムジカ「………♪」ニタァ
     ニカが必死に泣き叫ぶのが聞こえたのか、トットムジカは嬉しそうに顔を歪めた。

  • 63二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 00:21:24

    ニカ「……!まさかおめェ…わざとウタの中に…ずっと!!」
    トットムジカ「………♪♪」ニカッ
     「ご名答」とでも言うかのように、トットムジカは更に笑顔になる。実は、もっと前から現実世界に存在してはいた。ただ、悪意に基づいて機が熟すのを待っていたのだ。トットムジカの形態が変わると共に周囲の空間は崩れ去り、ウタワールドと同様の、異質な様相を呈した。
    ニカ「おめェなんかにウタを…連れていかせるかよ!!!」ブンブンブンブン!
     死んでしまえばウタはずっとウタワールドから出られなくなる。そんな真似はさせまいと怒りに任せて腕を振り回し、今にも飛び出そうとするニカを制したのは、シャンクスだった。

  • 64二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 00:34:11

    シャンクス「心配するな。あの子は強い。死にはしないさ」
    ニカ「だけどよ…」
    シャンクス「それに、もうみんなは『やり方』をわかってる」
    ヤソップ「ああ!攻撃のタイミングは任せろ!!」
     そう。この場にいる面々が倒されることはない。問題は倒すまでウタが持ち堪えられるかだけ。
    シャンクス「あとは、ルフィたちを信じて、攻め立てるだけだ」
     ニカはルフィの記憶を探った。見たところ、あちらも既にトットムジカの攻略法は掴んでいた。全員目立った負傷は無い。ウソップが見聞色をヤソップと共有しているのも見えた。つまり、倒す準備はできている。
    ニカ「……ああ!!だよな!!!」

    ルフィ/シャンクス「「野郎ども!!!」」
      「「気合い入れろォ〜〜〜〜!!!!!!」」

    みんな「「「うおォ〜〜〜〜〜!!!!!」」」

  • 65二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 00:37:50

    うおおおおおおおおおおおおおおお

  • 66二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 01:23:28

     戦いは極めてスムーズに進んだ。ウソップとヤソップによる見聞色の視界共有で攻撃の位置やタイミングは正確に合わせられ、トットムジカの手脚は瞬く間に破壊され、本体の身を守る術は奪われていった。そして、ウタワールドではルフィ・ゾロが、現実世界ではシャンクス・ニカが最後の攻撃を仕掛けた
     ウタワールドで、ウタは見た。ルフィの身体が白く染まっていくのを。ニカと瓜二つな姿に変わっていくのを。
    【ニカ「ルフィ自身の心身が追いつかねェとオレは姿を出せねェ」】
    心の世界のウタワールドで、この姿になった。つまり、ルフィの心がニカに追いついたんだ。……ありがとう。強くなってくれて。逢いに来てくれて。

    トットムジカ「………!!!」
    ルフィ/シャンクス/ゾロ/ニカ「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」
    ド ォ ン!!!!


    トットムジカ「………ギッ!」
    ギャァアアああぁアアアアァあぁあぁああ!!!!!

  • 67二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 01:39:35

     トットムジカの崩壊と共に、空間が崩れ落ちていく。そんな中、ルフィとニカは探していた。
    ルフィ「!」
    ニカ「!」ニッ
     見つけた。ウタだ。空間と共にゆっくりと落ちていく。一瞬で真下へと移動し、2つの世界で、同じように優しく抱き止めた。


    ニカ「……お〜い、生きてるよな…?」
    とても不安そうなニカの声がする。
    ウタ「ん…生きてるよ」
    ニカ「!」パァアア
    目を輝かせ、満面の笑みを浮かべた。嬉しそうで嬉しい。

  • 68二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 05:04:10

    ニカ可愛い保守

  • 69二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 05:05:12

    ニカがメイン久々に見た、良いssだ…

  • 70二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 09:29:34

    ニカ「ウタワールドは!みんなは出られたのか!!」
    ウタ「うん。あとは…ルフィだけ。ちょうどいいから、そこでルフィと話したいな…」
    ニカ「おう!さっきのこと忘れてねェよな!いろいろ言ってやれ!」

    ウタ「ルフィ」
    ルフィ「…」
    静かに腰を下ろしているルフィに語りかける。あっちから話しかける雰囲気は無い。
    【ニカ「言えねェんだ弱音を。ルフィは強くあろうとする」】
    ニカと話した後だと、そんなルフィの様子に違った気持ちが出てくる。仲間たちを守ろうと、強くあろうと、頑張ってるんだよね。

  • 71二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 13:35:58

    ウタ「今日は、その…来てくれてありがとう」
    ずっとルフィみたいなのと話してたのに、いざルフィ本人と話すと何故だか緊張する。なんて言ったらいいかな。
    ウタ「みんなはちゃんとウタワールドから返したよ」
    ルフィ「……そっか」
    ルフィはただそれだけ返した。私ももう大丈夫って言わなきゃ。きっとまだルフィは知らないから。
    【エース「心残りは……1つある…お前の“夢の果て”を見れねェことだ……」】
    ウタ「私行かないよ。ルフィの“夢の果て”を、ルフィの作る『新時代』を、ちゃんと見たいから」
    “夢の果て”を見たかったのに、見れないまま死んだエース。もしエースと話が出来たら、きっとこう言う。「アイツの“夢の果て”を見届けてやってくれ」って。

  • 72二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 16:14:18

    ルフィ「……!!」

    ルフィの表情が変わる。驚いているらしい。

    ウタ「それに、1人じゃ連勝記録伸ばせないからね〜、184連勝から〜♪」

    ルフィ「何ィ…!?」

    ウタ「?」

    ルフィ「184連勝してるのはおれだろ!!あんなの認めねェぞ!!」

    ウタ「出た、負け惜しみ〜♪……!!」

    今の反応…!ルフィだ…!今日チキンレースをしたから長くて数時間ぶりだけど、すごく久しぶりに思える。そう、ルフィはルフィのままだ。いろいろなことがあって、背負うものができて、成長はしたけど、確かに根っこは元のままある。

  • 73二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 17:17:37

    シャンクス「ウタはルフィとどんな話をしてるんだろうな」

    ニカ「すぐにわかるぜ」ニッ

    シャンクス「ルフィの身体にこんなことを聞くのもおかしな話だがな」

    ニカ「…あ!そうだ!オレはルフィじゃねェから『約束』は破ってねェぞ!!」ワタワタ

     ルフィとシャンクスの『約束』を思い出し、慌ててニカは弁明する。

    シャンクス「ははっわかってるとも。ちゃんとルフィが起きてくる前には離れるさ」

    ニカ「ふゥ〜〜。助かったよシャンクス。その時が来たらルフィを祝ってやってくれよ」

    シャンクス「ああ、もちろんだとも。ところで、ルフィの記憶が見えるのなら今の話も見えるんじゃないか?」

    ニカ「ヤボなこと思いつくなァおめェ。ま、やってみよっか」


     その直後、ニカの表情が変わる。

    ニカ「…………ホンゴウ、薬はまだあるよな?」

    ホンゴウ「もちろん」ヒュッ

    ニカ「サンキュー」パッ

  • 74二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 17:48:40

    船に乗れ

  • 75二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 19:46:57

    普段は子どもっぽいけど、いざって時はすごい頼りになる。今のルフィはそんな人。私の好きなタイプで、まるでシャンクスみたい。思えば私やトットムジカと戦った時のルフィは、みんなを引っ張る立派な船長の風格があった。そりゃあみんな、好きになるよね。私だってそうだもの。
    ウタ「私の知ってる頃より、ずっと立派になったんだねルフィ」
    ルフィ「海賊王になるからな」
    嬉しい。それはすごく嬉しい。だけど、なんだかスッキリしない。この気持ちは言っておきたい。いや、言わなければならない。
    ウタ「……寂しいよ」
    ルフィ「!」

  • 76二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 21:13:17

    ウタ「こんなことしたのは、本当にごめん。悪いことしたって思う。けど、……ずっとエレジアで、ゴードン以外誰とも会えなくて、今日のライブでファンのみんながいるから平気って言い聞かせて、新時代へ行こうとしてた。そんな時急に来てくれたの凄く嬉しかった…逢えるなんて思ってなかったから……なのに……」

    感極まってきた。喋ることがどんどん支離滅裂になる。すぐ泣きそうになるなんて子どもみたいだし、間違ってるのが私だってわかってる。でも構わなかった。

    ウタ「ルフィ…すぐ帰ろうとした…何にも言い返さないで……昔みたいにケンカしてくれなくて……またいなくなっちゃうのが嫌で……!!」

    ルフィ「……」

    ニカ「うぅ……」

     ルフィとニカは同時にうつむく。まるで同じ存在であるかのように。ニカは既に涙が落ちている。

  • 77二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 21:30:53

    >>76

    そりゃ辛いよ

    好きで子供のままでいたわけじゃないんだ

    成長したくてもできない環境を強いられただけなんだ

  • 78二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 22:02:02

    ウタ「だから…だからぁ……!」
    パサッ
    2つの世界で麦わら帽子を被せ、声を搾り出す。
    ウタ「私…!みんなに歌を…!もっと聴いてほしいから!!たくさん、歌声をみんなに届けて…喜んでほしいから…!!ちゃんとあっち(現実)で応援してるから!!!その時は絶対逢いに行くから!!!」
    ルフィ/ニカ「…!」
    ウタ「………その麦わら帽子が、もっと似合う男になるんだぞ」

  • 79二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 22:12:19

    最後は綺麗に締め括れた……と思う。『新時代』のマークが見えるように腕を曲げたけど、見えたかな?
    ウタ「むぐっ!?」
    ちょうど言い終わった時、ニカが瓶を口に突っ込んだ。勢いのまま瓶の中身、解毒剤を飲み干す。
    ニカ「…」ポイッ パリ-ン
    これで良い。あとはルフィを現実に返すだけ。それだけで良い。船には乗らないけど、さっきまでと違って逢えなくなるわけじゃない。何も心配は要らない。けど…でも……。
    気がつくと、私はルフィ/ニカに抱きついていた。

  • 80二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 22:57:54

    ギュウ!
    ウタ「!!!」
    ルフィ/ニカは抱き返した。優しいけど、同時に力強く。
    ルフィ「ひっぐ……!!うぅ……えっく……!!」ギュウ
    とうとうルフィが泣いた。堪えようとはしてるけど、既に大粒の涙があふれている。
    ニカ「言った…!聞いたぞ今!!おめェ!!絶対逢いに行くって!!!わすれんじゃねェぞォ〜〜〜!!!」
    ルフィとは逆に、ニカは泣き喚く。こっちは堪えようともしないから顔がぐしゃぐしゃだ。
    ニカ「シャンぐス〜〜〜!!!ウタを頼んだ〜〜〜!!!コイツ1人だと!ずぐ寂しぐて落ち込んぢまゔから〜〜〜!!!側で寄り添ってやっでぐれェ〜〜〜!!!いっしょにいでやってぐれ〜〜〜!!!」
     実際、ウタは1人にすべきではなかった。海賊・海軍・天竜人・世界政府など、狙ってくる者があまりに多いから。しかし、ニカはそれを分かっていてこう言ったわけではない。ただひたすら、この心優しい寂しがりを1人にするのが耐えられなかった。

  • 81二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 23:26:19

    良かったなルフィ
    涙流すだけじゃなく泣くことが出来て

  • 82二次元好きの匿名さん22/09/13(火) 23:38:26

    ルフィとニカの動きは、完全に重なっていた。ニカはルフィと自分は別だって言ったけど、今この瞬間はそう思えなかった。
    ルフィ「ぐぅ…ぅ〜〜!!!」ギュウウ!
    2人はきっと同じで、大きな想いを持っている。ルフィが成長して想いを隠せるようになった分、ニカが幼く想いを曝け出す。ルフィの弱さを、幼さを、ニカが見せているんだと、そう思った。
    ウタ「〜〜〜〜!」
    ニカ「おめェ!もう!いなぐなるんじゃねェぞ〜〜〜!!!今度がっでにいなくなっでみろォ〜〜!!ぜっだいゆるざねェがらなァ〜〜!!!」ギュウ!
    ウタ「うぅぅ〜〜〜ぁぁあああ〜〜!!まだいっじょがいいよ〜〜〜〜!!!」ギュウウ!

  • 83二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 00:25:42

     『ニカ』

     それは、解放の戦士、あるいは太陽の神と称される者に与えられる名。それは、意味や由来があって、受け継がれているのではない。『彼』と出逢い、救われた者たちがその都度『彼』をたまたまそう呼んだ結果である。『彼』は自由に振る舞い、戦い、寄り添う。そうして人々を苦悩から解放した。希望を与えられた者たちは、やがて『彼』を神と崇めるようになった。

    ただし、それを『彼』自身は知らない。



     しばらくした後、ウタたちは泣き疲れて眠っていた。ニカの白い髪や蒸気は煙のように消え、元のルフィの身体に戻った。

    シャンクス「それじゃあ、俺たちもそろそろ行かなくちゃな」

    赤髪海賊団はウタを抱きかかえ、その場を後にした。

  • 84二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 00:59:44

    〜レッドフォース号〜
    ウタ「ねぇシャンクス」
    シャンクス「どうした?ウタ」
    ウタ「ルフィが作る『新時代』ってどんなのなんだろうね」
    シャンクス「それはルフィにしかわからないな〜。だが俺も楽しみだ」
    ウタ「そっか〜。早くルフィにまた逢いたいな〜」
    エースの言ってた“夢の果て”がそれなのか、“夢の果て”のためにそれが必要なのか、それはわからない。
    そもそも“夢の果て”がなんなのかもよくわからないし。ただ1つ確かだと思えるのは、ルフィなら必ず叶えられるということ。私はそれを期待しながらできることをやる。ただそれだけだ。
    ウタ「みんな〜!新しい曲が出来たから、歌っちゃうよ〜!」
    シャンクス「おっ!野郎ども〜!うちの“音楽家”のステージだ〜!」
    「よっしゃ〜!」
    「久しぶりのウタのステージだ〜!」
    「俺も弾くぜ〜!」
    「♪」
    「初めてなんで楽しみなんすけどねェ」


    シャンクス「……心配は無いさ、ウタ。ルフィとはまたすぐに逢える」
      『新時代』は、すぐそこまで来てるからな

  • 85二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:07:12

    これでSSは終わりなのだ
    ルフィへの理解度がめちゃくちゃ高そうでルフィの内面まではっきり喋ってくれそうなキャラを探した結果悪魔の実に意思があることに目をつけてニカを喋らせることにしたのだ
    ところどころ妄想設定が紛れ込んでるのは許してほしいのだ
    ちなみに書いてる途中でニカ×ウタに目覚めかけたのだ
    時々書かれるコメントが割とガチで嬉しかったので、見てくれた人本当にありがとうなのです

  • 86二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:17:21

    見事なSSと、お前は語り継がれる
    いや、俺が語り継ぐ

  • 87二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:17:51

    >>85

    ありがとう

    今夜は良い夢が見られそうだ

  • 88二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:19:07

    めちゃくちゃ好きなSSなのだ
    別スレとかでもいいから思い付いたらまた書いてほしいのだ
    だけどとりあえずはお疲れ様なのだ
    ありがとうなのだ

  • 89二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:32:37

    感情丸見えなニカがかわいかった
    このSS好き

  • 90二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:40:14

    この絵どこの絵だっけ

  • 91二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 01:42:29

    >>90

    スレ画は>>2のスレにあった

  • 92二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 05:18:03

    お前は立派な解放の戦士だよニカ

  • 93二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 06:47:09

    ニカ×ウタかぁ…よきかな…

  • 94二次元好きの匿名さん22/09/14(水) 07:45:17

    かなり模写だが、ニカのスマイルを捧げる
    スレ主の憂さ晴らしに感謝

オススメ

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