- 1122/09/15(木) 01:03:42
- 2122/09/15(木) 01:04:25
今、何をしているかというと……
「しらねぇ……」
唇を逆3にし目を泳がせながらルフィは応えた。
「……パンケーキ」
「しらねぇ!俺はホイップがたくさん乗ってるパンケーキなんてしらねぇ!」
「はぁ……」
ウタはルフィの顔を見てため息をついた。幼馴染だ。ルフィが食べていたことなど、当然気づいていた。今日に限ってウタワールドを使ったのは、みんなからの要望だ。最近は特に迷惑をかけているらしい。なので今日は、ウタワールドを使って、ルフィを反省させるのが目的なのだ。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 01:04:32
鍋の用意はできてるぞ
🍲 - 4二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 01:04:43
続けろ
- 5122/09/15(木) 01:05:25
「なぁ、出してくれよ!」
「……はぁ……じゃあ、私と勝負して勝ったらいいよ。そうだ!ついでに強くなったかも見てあげる」
「よし!俺は184連勝中だ!負けねぇ!」
「私が183連勝!一回しか私に勝ててないよ!」
ウタはルフィの発言に食い気味に答えた。幼少期にしていた勝負。チキンレースや可愛さ対決、ウタとルフィはどんなことでも競い合ってきた。最後は身長対決で負けてしまったが……それ以外ならルフィに負けるはずないのだ。
目的はルフィを反省させること。パンケーキを食べた恨みを晴らすためにも、今まで通りの勝負ではいけない。そう思ったウタはルフィを音符で包み子供の姿に変えてしまった。 - 6122/09/15(木) 01:06:00
「おいウタ!小さくするなんてずりーぞ!」
「私のパンケーキ食べたんだから、これくらい当然でしょ、それとも私に負けるのが怖いの?」
不満げな顔をするルフィに対し、ウタは嘲笑うかのような表情でいた。
「ふん!俺はお前がいなくなってから強くなったんだ!小さくてもお前に勝てるね!!」
「ルフィ!手加減しないからね!」
「望むところだ」
ルフィは腕をグッと構え、ウタの方へと走り出す。
「ゴムゴムの銃!」
ウタの体を目掛けて一直線に伸びた腕は確実にウタを捉えた。が、ウタはピクリともしなかった。
「そんなへなちょこぐるぐるパンチ、私には効かないよ〜。ま、この世界で私に勝つなんて無理なんだけどね」
そう言ったウタはルフィを音符で弾いた。
「ぬ〜!卑怯だぞ!!!」
「でた!負け惜しみ〜!
私はルフィの仲間になったんだよ?つまり海賊、卑怯もないのよ」
「くそ〜!もう一回だ!」
「何度やっても同じだよ!じゃあ次は……」 - 7122/09/15(木) 01:06:38
「ダメだ〜」
あれから何戦しただろうか。ウタによって子供の姿に変えられたルフィは力も子供に。ルフィがどれだけあの時より強くなろうと、21歳のお姉さんには勝てないのだ。
「どう?ルフィ、反省した?」
「いや!まだだ!勝負はついてねぇ!」
「これだけやってまだ認めないの?じゃあ、これが最後!とっておきので行くよ」
「よし!こい!」
「そ〜だなぁ〜。じゃあね〜、お互い怖いものをやっつけるっていうのはどう?それなら公平でしょ?」
「怖いものか〜」
「ルフィでも怖いものはあるでしょ?」
「当たり前だ!例えばじいちゃんだろ……」
ルフィは手で数えながら、ぶつぶつと自分の怖いものを呟き始めた。
「ルフィって怖いものあるんだね。しかも、こんなにたくさん」
「当たりめーだろ」
「だって、昔は度胸をつけるとか言って崖から飛び降りたりしてたじゃーん」
「それは、怖くねーよ」
怖いとは何なのか。ルフィと話しているとそれがわからなくなりウタは呆れてしまった。
「そういうウタはよ、なんかねーのかよ」
「私ぃ?」
そういえば、考えていなかった。怖いもの……怖いもの……。腕を組み、首をかじけるウタの脳裏にふと、ピアノの手を持つ魔王の姿が浮かんだ。
トットムジカ--。 - 8122/09/15(木) 01:07:11
ウタは自分の体を包むように肩を押さえながら、膝から崩れ落ちてしまった。身体中から震えが止まらなかった。
綻んだ隙間を広げるように、黒い渦は大きく、ウタを中心に溢れ出していく。黒い渦はやがて、トットムジカへと形を変えていく。だが、あの日とは少し違う。おそらく、ウタの中にあるトットムジカの姿だろう。姿形は似ていても、それは全くの別物だった。
あの日のことを思い出してしまった。みんなが幸せになれる新時代のためにトットムジカを使ったこと。みんなを危険に晒してしまったこと。何より、それを使う力が自分にあることが怖かった。
ウタの心は再び、闇に取り込まれてしまった。 - 9122/09/15(木) 01:07:46
ドラムの音が聞こえる……。
闇に光が差し込んでくる。
光の先から声が、叫び声が聞こえる。
全身は白いが間違えない。
ルフィだ--。
黒い渦は消え、麦わら帽子が風に乗りウタの方へと飛んできた。
「ウタ!大丈夫か」
「う、うん」
ルフィはいつのまにか大人の姿に戻っていた。理由はわからない。でも、心のどこかで、ルフィ頼っていたのかもしれない。そんなことを考えながら、ウタは麦わら帽子をぎゅっと抱え込んだ。
「ウタ!」
「何?」
ウタはそっとルフィの方を見上げだ。
「この勝負、俺の勝ちだな!ししし!!!」
「え?!違う!これは事故!勝負はなし!」
「なっはっはっ、負け惜しみ〜!」
「も〜!違う!」
からかうルフィを、ウタは追いかけていった。 - 10122/09/15(木) 01:08:12
- 11二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 01:09:14
- 12二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 12:31:30
- 13二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 12:32:23
良き
- 14二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 21:19:28
これはいい…
- 15二次元好きの匿名さん22/09/15(木) 21:26:20
ブラボー、ブラボー。