- 1二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:14:48
- 2二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:15:41
正直好みです
- 3二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:17:26
まぁ気持ちはわからなくもないがウタがそもそも劇中通りなのかそれともそのまま生きてるのかウタとルフィの関係を明確化しないと俺は結構分かれるぞ。個人的には当て馬はそんな好きではない。
- 4二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:20:38
- 5322/09/16(金) 02:22:05
自問自答してモヤモヤしてるのはアリだ。そして願わくばウタちゃんとも仲良くなるのだ。描いてくれ。
- 6二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:28:22
まあ一読者の戯言と思って気軽に書いていきます
まだ書きかけなので一気に投下はできんが許せ - 7二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:30:28
このレスは削除されています
- 8二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 02:45:54
音楽の島、エレジア。世界の歌姫が初めて人前でライブをすると女ケ島でも話題になっていた。あまり興味はなかったが、妹達が見たいというものだから映像電伝虫を繋いでやった。
しばらくの間何をして暇をつぶそうかと考えていたが、ライブが始まった瞬間、映し出された映像に目を奪われた。華やかで楽しげな演出に、力強くも美しい声。後から振り返ってみれば、悪魔の実の能力に引きずり込まれていたわけだが、当時はそんなことには全く気付く余地もなく、ただ目の前で繰り広げられるパフォーマンスに見入っていた。
1曲目が終わり、妹達の後ろで我関せずといった感じで椅子に腰掛けていたが、内心次の曲が待ち遠かった。あらゆるものが島内で完結しており、また過去の苦い経験もあって、外の世界に目を向けてこなかったことを、少しだけ後悔した。
歌姫の語りを横目で眺めていると、突然画面外から人影が飛び込んできた。これも演出の一環かと思ったが、歌姫の反応を見る限り思わぬ乱入のようだ。折角の盛り上がりに水を差すなと若干苛ついたが、その姿が画面に映り、声が聞こえた瞬間、自分の目を疑った。
「おい、お前ウタじゃねえか?」
「…?」
「おれだよおれ!」
「「…ルフィ!?」」 - 9二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 03:00:33
歌姫とほぼ同時に驚嘆の声を漏らした。ライブに乱入した招かれざる客、と思っていたのは、間違いなく自分の想い人、ルフィだった。久しぶりにルフィを目にすることができた喜びと驚き、あの歌姫とルフィが何故顔見知りなのかという疑問、様々な感情が渦巻いて止まらない。
それらの感情の整理もつかないまま、椅子を跳ね上げ、妹達を押しのけて画面の前に躍り出た。1秒たりともルフィの姿を見逃すまい、目に焼き付けようと映像に齧りつく。が、それが裏目に出た。
ルフィと歌姫が、全世界の人々が見ている真っただ中、お互いを強く抱き締めあった。
その光景を脳が理解するのに数秒かかった。しかし理解した瞬間に身体は無意識に動いていた。
「ど、どういうことじゃルフィ!?その娘とはどういう関係なのじゃ!!」
「落ち着いて姉様!」
「電伝虫に話しかけても向こうには聞こえないよ!」
「蛇姫よ、そんなに揺すったら壊れてしまうぞよ。」
「そ、そのくらい分かっておるわ!」 - 10二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 03:18:35
映像すら見えなくなってしまっては本末転倒なので、仕方なく後ろに引いて椅子に大げさに腰を下ろした。その後も二人が仲良さげに競争や談笑をしたり、かと思えば歌姫が仲間を空中に張り付けてルフィを敵として追いかけたりと、画面の向こうで目まぐるしく変わる状況に幾度も心が揺さぶられた。
しかし、ルフィが必死に歌姫に語り掛ける姿を見れば、二人の間に並々ならぬ絆があったことは明らかだった。その後、歌姫がトットムジカなる化物に取り込まれてからは、記憶があまりない。ルフィがぼろぼろになりながらも化物を、そして歌姫を止めようとする様子がぼんやりと脳裏に残っているだけだ。
意識が戻ったころには、電伝虫からの映像は途絶えていた。激しい争いの中で壊れたか通信障害に陥ったのであろう。ルフィの安否を思うと気が気ではなかったが、翌日の新聞の一面に載っていたのは、エレジアで起きた大事件の顛末と、その中心となった歌姫の訃報を伝える記事だけだった。
(ルフィ、そなたは無事か。また、辛い思いを一人で背負っておるのか。ほんの少しでもわらわが力になれればどんなに良かったか…)
そんなことを考えていたはずが、ふと冷たい地面に身体を横たえている自分に気づいた。どうやらいつの間にか寝落ちしてしまっていたようだ。昨日も、一昨日も、その前も同じことをした。いつまでこんな日々を過ごせばよいのか、先のことを考えると憂鬱だった。 - 11二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 04:00:30
これは期待
頑張って - 12二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 13:44:02
(わらわのことは記事になっておるだろうか。もしルフィがそれを目にすれば、飛んできてくれるだろうか。もしかすると船で匿ってくれたり、そのまま、け、結婚なんて……)
(・・・いや、そなたは新聞など読まない男じゃったな。それに・・・わらわのことなど、頭の片隅にもないのであろうな…)
淡い期待を抱こうとしてみたが、こう薄暗い部屋でたった独りで閉じこもっていると、つい後ろ向きなことばかり考えてしまう。この部屋はどうしてもあの頃の惨めな自分を彷彿とさせるのだ。
(・・・よいのじゃ。わざわざ遠回りしてわらわのところに来るほど暇ではなかろう。それに、そなたには前を向いていてほしい。わらわのことなど、知らない方がよいのじゃ…)
必死に自分に言い聞かせようとしても、どうしても希望を捨てきれない。ルフィが自分の下に駆けつける物語を何とか紡ごうとする。その時ふと思いついたのが、エレジアでの一件だった。
(もしもっと早く知り合っておれば、そなたはわらわを忘れずにいてくれたか?もっと共に過ごしておれば、わらわを気にかけてくれたか?もっと固い絆を、契りを結んでおれば、わらわのことを助けに来てくれたか?)
(・・・歌姫ウタのような関係であれば、わらわも・・・・・・)
「…はっ!」
それ以上はだめだ。いくら自分が打ちひしがれていたとしても、そんな希望だけは抱いてはいけない。ルフィの大切な人に自分を置き換えて考えるなど、二人を冒涜する行為だ。ましてや彼女はもう・・・。
(・・・わらわは、醜い女じゃ……) - 13二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 18:56:35
それからしばらくの間は、ルフィのことを考えないようにした。このような身の上になってしまった以上、せめて心だけは気高くありたい。どうしようもなく苦しくなったときは、掌に血が滲むほど拳を握り、唇を噛みしめて痛みで頭を一杯にした。
・・・それにしても何かがおかしい。かれこれ10日はここにいるのに、いまだに大監獄インペルダウンに辿り着いていないのだ。女ケ島からはそこまで離れていないし、海楼石が敷き詰められた特製の軍艦であれば、凪の帯も簡単に抜けられるはず。
(まさか目的地はあそこではないのか?・・・しかし他にどこを目指すというのじゃ。)
その疑問を追究しようとした瞬間、軍艦が止まった感覚がした。それから数分すると、ずっと閉ざされていた部屋のドアが開かれた。久しぶりの光の眩しさにようやく目が慣れてきたタイミングで声をかけてきたのは、張り付いた笑顔で葉巻を加えた髭面の中将だった。
「着いたぞ。出ろ。」
「ふん、やっと到着か。わらわを誰と承知でこれだけ待たせておるのじゃ。」
「これは大変失礼した、“元”海賊女帝、ボア・ハンコック。」
「……。」
挑発的な発言をする中将を睨みつけながら立ち上がろうとすると、肉体的、精神的衰弱のためか身体がふらつく。中将が身体を支えようと自分の腕を掴んだが、反射的に振り払った。
「わらわに触れるな、汚らわしい。」
「なるほど、拿捕されてもその威厳は健在か。」
「…口を慎め。」
鎖に繋がれながらも毅然とした態度は崩さず、海兵たちとともに甲板に上がる。目の前にあったのは、殺風景な石造りの巨大な監獄ではなく、ヤルキマングローブが生い茂り、無数のシャボン玉が空中に浮かぶ島だった。 - 14二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 20:20:02
おい…なんで…ハンコックが拿捕されてる…?
- 15二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 21:09:57
シャボンディ諸島。偉大なる航路前半の終点であり、海賊をはじめとして様々な者が集う賑やかな場所である。しかし、自分が何故ここに連れてこられたのか、点と点が繋がらない。
流石に海軍専用の港に停泊しているようで、辺りには海兵しか見当たらない。ますますどういうことか見当もつかなかったが、甲板から陸に降り立った瞬間、目の前の光景に愕然とした。
「お~、手配写真と違わぬ美貌。やはりわちきの目に間違いはなかったえ~。」
「・・・・・・嘘じゃ。」
「では我々はここまでですので。」
「うむ、苦しゅうない。ではハンコック、行くえ~。」
もう二十年近くも昔の話だが、忘れたくても全身にこびりついて離れない記憶。湯浴みで背中に触れる度に嫌でも思い出される、あの地獄の日々。今すぐにでも胃の中身をひっくり返してしまいそうだったが、必死に持ちこたえて力一杯の恨み言を吐いた。
「……貴様ら、どういうことじゃ!なぜわらわを収監しないのじゃ!!」
「その方たっての希望だ。世界貴族の問題は我々海軍の関知するところではない。」
「ふざけるな!覚えていろ、いつか必ず・・・」
「おい、ハンコック。」
「……!」
「わちきのことを無視とはどういうつもりだえ?」
「ひっ…」
その粘っこく妙に甲高い声がこちらに向けられた途端、全身が総毛立って石のように硬直した。その声の主は間違いなく、かつて自分を奴隷としていた天竜人だった。拿捕されようとも心だけは気高く、その想いは完膚なきまでに打ち砕かれた。 - 16二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 21:12:09
胸が苦しくなってきた…
- 17二次元好きの匿名さん22/09/16(金) 22:22:21
ほとんど意識もなく、ふらふらと鎖に引っ張られるまま歩いていると、動く方向が変わったのを感じた。はっとして周りを見回すと、そこは赤い土の大陸へと昇る、政府関係者専用の昇降機の上だった。
「下々の世界が騒がしいというから珍しく情報を追っていてラッキーだったえ~。まさかお前がここまで立派に成長しているとは、わちきは感激だえ~。」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…」
怖い。恐ろしい。これから自分がどうなってしまうのか、想像しただけで身震いが止まらない。俯きながらか細い声で懇願と謝罪の言葉を繰り返ことしかできなかった。かつての自分がそうしていたように。
「何を謝っているんだえ?久しぶりの再会でわちきは嬉しいんだえ~。」
「ごめんなさい、奴隷だけはやめてください・・・お願いします・・・」
「な~んだ、それなら安心するえ。お前を奴隷にするつもりはないえ。」
「…えっ?」
予想外の言葉に思わず顔を上げて天竜人の顔を見た。相変わらず吐き気のするような醜い表情だったが、今回は酷い目に合わなくて済むのかと、ほんの少しだけ期待した。だが、続く天竜人の言葉に、そして一縷の望みを抱いてしまった自分に絶望した。
「喜ぶえ!お前はわちきの妻にしてやるえ!」 - 18二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 02:10:31
「……!そ、それは・・・!」
「何だえ?奴隷が妻になれるなんて滅多にない幸運だえ。」
「で、でも…」
「…まさか、わちきに口答えする気かえ?」
「…!いえ!そんなつもりは・・・っ」
「さっき奴隷だけはやめてほしいって言ったえ?じゃあ妻ならいいってことだえ!」
“妻”、その言葉が意味するのは、ある意味奴隷よりも悲惨な未来だった。奴隷だったころ、妻として連れてこられた者がどのような末路を辿ったかは、この目で何度も見てきた。
だが、今の自分には、この男のどんな命令にも逆らえそうにはなかった。反抗しようという気力が微塵も湧いてこなかった。それほどまでに、身も心も支配されてしまっていた。
「…わかりま──」
服の裾を握り締め、震える声で返事をしようとした瞬間、脳裏によぎったのは、あの屈託ない笑顔だった。過去の呪縛から自分を救ってくれた、人生で一番大切な人。
「……やじゃ。」
「ん?今何て言ったえ?」
「…貴様のような汚らわしいケダモノの妻となるなど、死んでも嫌だと言っておるのじゃ!!」 - 19二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 02:44:20
いいぞ‼︎それでこそハンコックだ‼︎
- 20二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 03:14:28
ハンコック頑張れ!
- 21二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 15:01:53
「…ハンコックぅ~。随分と生意気なことを言うようになったえ。」
「…っ!」
「やっぱり妻にするのは止めだえ。ちょっともったいないけど、しっかり奴隷として働いてもらうえ~。」
奴隷という言葉に、背中を起点として全身が痺れるように強張る。跪いてしまいそうな心を抑え込みながら、塵を見るような目で天竜人を睨みつけた。
「・・・はあ、昔は従順で可愛かったのに、その目は何だえ?」
「わらわはもう誰にも支配されぬ・・・!」
「ムカつく顔だえ…これはまた誰がお前の主人か分からせる必要があるえ…!」
そう言うと、天竜人は乱暴に髪と掴み、首を押さえつけて床に強引に膝をつかせた。このままでは、また永劫の地獄へと逆戻りだ。この昇降機の到着ともに、自分の人生は二度目の終わりを迎えるのだ。
(・・・屈するわけには、心まで繋がれるわけにはいかぬ・・・!)
あの頃何度も味わった耐え難い苦痛に、衰弱と海楼石のせいで言うことを聞かない身体に、最後の力を振り絞って抗う。
「…!!??」
「貴様の思い通りになるぐらいなら…わらわは・・・!」
「ま、待つえ!そっちは・・・」
(その表情・・・くくく、いい気味じゃ…)
天竜人達を振り払って真っすぐに目指したのは、──太陽が照らす大空だった。 - 22二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 15:06:45
お前はやく船乗れ
- 23二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 22:04:37
空が、太陽が、遠ざかっていく。恋焦がれていた太陽は、もう二度と、目にすることは叶わない。だが、不思議と悲しい気持ちは湧いてこなかった。
(・・・これは罰じゃ。ルフィの想いを踏みにじった罰。歌姫ウタの尊厳を犯した罰。愚かな願いに縋った罰。)
(…だが、これでよいのじゃ。わらわの身も心も、そなただけのもの。それだけは守り抜くことができた。)
それだけで十分だった。微塵も悔いなどない。満足して逝くことができる。誇り高き女帝として生を全うできる。
・・・・・・・・・・・・嘘だった。
(・・・・・・ルフィ。そなたの顔が見たい。そなたの声が聴きたい。そなたの手に触れたい。そなたの腕に抱かれたい。ルフィ、ルフィ…)
(・・・最期に一度、たった一度でいいから、そなたと──)
「おおおおおおおおおお!!!!」 - 24二次元好きの匿名さん22/09/17(土) 22:10:16
うおおおおおおおおお‼︎(泣)
- 25二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 02:19:38
エレジアでの傷がまだ残ってるだろうに……
- 26二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 02:45:03
遠ざかっていたはずの太陽が、ぴたりと止まった。それどころか、少しずつまた近づいている。何が起こっているのか全く理解できなかった。これが死後の世界かと一瞬考えたが、地面まではもう少し距離があったはず。
身体を空へと押し上げているものの正体を確かめようとするが、目に入ってくる日差しが徐々に強くなるせいで、まともに周りを見回せない。だが、自分を包み込む力を、温かさを、匂いを、たしかに自分は知っていた。
混乱する頭を落ち着けようとしていると、いつの間にか再び昇降機の上へと降り立っていた。それと同時に、何かが日差しを遮り、自分を抱きかかえているものの姿をこの目に映し出した。
自分よりも一回りも小柄の、麦わら帽子がよく似合う青年。
「ハンコック!無事か!?」
「……ルフィ?」
驚きのあまり声が出ない。目の前の人間は新世界にいるはず。ビッグマム相手に大立ち回りをし、エレジアでの事件を乗り越え、最後の島に向けて全速力で進んでいたはず。偉大なる海をここまで逆走してきたというのか。色々な考えが頭を駆け巡ってパンクしそうだった。
「お前が捕まったって聞いて、いてもたってもいられなくってよ。」
「…だ、だが、そなたは今・・・」
「何言ってんだ。“おれの大切な恩人”が大変だって時に、呑気に冒険なんかできるわけねえだろ。」
「……!」 - 27二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 10:37:21
もっと煮込め
- 28二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 12:20:17
待ってる
- 29二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 12:36:39
お前どんだけハンコック惚れさせたら気が済むんだ…。
- 30二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 17:06:13
鎌を煮込んで君を待つ
- 31二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 17:31:48
保守、
- 32二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 20:32:08
涙が止まらなかった。ルフィが助けに来てくれた。冒険を中断してまで駆けつけてくれた。真っ先に自分の心配をしてくれた。大切な恩人だと言ってくれた。何もかもが夢のようだった。
「おい、大丈夫か!?どっかケガしてんのか?待ってろ、すぐにチョッパーに──」
「だ、だいじょうぶじゃ!…本当に、大丈夫じゃ。」
ルフィが慌てた様子でどこに異常があるのかと見回す。心配をかけまいという思いと、ぼろぼろになってしまった自分を見られる恥ずかしさから、何もない風を装う。しかし、捕まってからずっと張っていた緊張の糸が切れ、へなへなとへたり込んでしまった。
「やっぱ大丈夫じゃねえじゃねえか。無理すんな、ここはおれに任せとけ。」
「ルフィ…」
「な、何だえ!?落ちたと思ったらまた戻ってくるなんて、一体何が起こってるえ!?」
「…ハンコック、下がってろ。」
ルフィはそっと自分の身体を下ろすと、自分を守るように天竜人の前に躍り出た。護衛達がすかさず銃でルフィを排除しようとしたが、引き金に指をかけた次の瞬間、泡を吹いて倒れた。
「!?」
「…お前か、ハンコックをこんな目に合わせたのは。」
「…ど、どくえ!そいつはわちきのものだえ!」
「………“もの”?」 - 33二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 06:29:21
保守
- 34二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 13:42:08
はーっ!、もう何このカッコよさ!
- 35二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 15:53:47
- 36二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 16:00:04
顔面に渾身の一撃を喰らった天竜人は、赤い土の大陸の壁面に大きな窪みを作り、再び昇降機の床に叩きつけられた。
大きく息をついたルフィは、麦わら帽子を再び被り直すと、先ほどとは打って変わった笑顔で振り返って手を差し出した。
「…ハンコック、立てるか?」
「……!あ、ああ。だがこの鎖のせいでわらわはまともに動けぬのじゃ。」
「よし、待ってろ。…ふんっ!!」
ルフィはおもむろ衣服を脱ぎ、鎖にぐるぐると巻き付けた。そのまま目を閉じて集中し、思い切り力を込めると、海楼石製の鎖が粉々に砕けた。間違いなく覇気によるものだったが、しばらく会わない内にここまで力をつけているとは思わなかった。
「ルフィ、そなたいつの間に・・・」
「ワノ国で教わったんだ。今ならお前にだって負けねェぞ!」
「…ふふふ、そうじゃな。」
すっかり強く逞しくなったその姿が、大きく口を開け歯を見せて笑うその顔が、全てを照らすように明るく響くその声が、たまらなく、たまらなく愛おしかった。 - 37二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 23:42:40
「うし、みんなが待ってるから急がねえとな。」
「下には海軍が山ほどおった。そなたの仲間たちが心配じゃ。」
「あいつらなら大丈夫だ!・・・じゃあハンコック、しっかり掴まってろよ!」
返事をする間もなく、ルフィは自分の腰を抱いて持ち上げると、一切の躊躇なく昇降機から飛び降りた。久しぶりのルフィの匂い、体温、息遣いに、心臓の鼓動が跳ね上がる。しかし、それと同時に、いつまでもこうしていたい、そんな安心感も覚えていた。
「…ルフィ。今更なのじゃが、天竜人を殴り飛ばしてしまってもよかったのか?」
「なんだ、あいつ天竜人だったのか。…そういや前ぶっ飛ばしたやつとおんなじ格好してたな。」
「!?」
「う~ん…まあ、やっちまったもんはしかたねェよ。」
「…全く、そなたという者は・・・」
事の重大さを全く分かっていないルフィに目を丸くしたが、それでこそルフィだという妙な納得感もあった。自分はその馬鹿馬鹿しいほどの真っ直ぐさに惹かれたのだ。
「…それに。」
「?」
「…もう、失うのはイヤだからな。」
「……!」 - 38二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 09:30:04
保守
- 39二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 21:15:01
ルフィの言葉に、胸が刺されたように痛んだ。先ほどまでの快活な笑顔は、すっかり麦わら帽子の陰に隠れている。ルフィが思い浮かべているのは、きっとあの事件、そして、あの人物のことだ。
「…ルフィ、そなたに謝らなければならぬことがある。」
「ん?何だ?」
「…そなた、エレジアに行っておったじゃろう。」
「ああ、それがどうしたんだ?」
ここで言葉を飲み込めば、今までと同じ関係でいられる。嫌われるかもしれないと分かっていながら、わざわざ告白する必要はない。そんな囁きが幾度も脳内でこだました。だが、そうすればこれから先、ずっと自分自身を許せないと思った。
「……その、歌姫ウタのことじゃが…」
「…!ハンコック、お前ウタのこと知ってんのか?」
「…わらわは、そなたとウタを侮辱した。ウタと替わることができたならと、そんな身勝手な願いでそなた達の絆を踏みにじったのじゃ。」
「ん~・・・、お前が何言ってんのかよく分かんねェぞ。…っと、もうすぐ地面だ!」
ルフィが自分を再びしっかり抱えなおすと、思い切り踏ん張って地面に着地した。普通の人間であれば当然命はないが、ルフィはどこ吹く風といった感じで駆け出す。異変に気付いた海兵達が襲い掛かってきたものの、一瞥もせず次々と吹き飛ばしていった。
「おれはよく分かんなかったからいいけどよ。ウタに謝りたいなら直接言った方が良いんじゃねェか?」
「…?どういうことじゃ?」
「あいつはよ、今シャンクスの船に乗ってんだ!」
「!!??」 - 40二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 07:34:47
保守
- 41二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 10:03:59
- 42二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 10:20:36
歌姫ウタは生きている。ルフィは今度こそ大切な人を救い出すことができたのだ。もちろん驚きもあったが、それが何よりも嬉しかった。
「…そなたも、ウタも、無事で何よりじゃ。」
「おう!ししし、いつかお前にも会わせてやりてえなァ!」
“会わせたい”、その言葉には反応せざるを得なかった。もう替わりたいなどどは当然思わないが、幼馴染という関係にはやはり少し妬いてしまう。
「…わ、わらわも蛇姫じゃぞ!そなたの好きな肉料理だって得意じゃ!そなたのためならどこへでも行く!それに…」
「急になんだよ。変な奴だな~お前。」
「と、ともかく!…ルフィ、わらわを助けにきてくれて、ありがとう。」
「気にすんな!2年前の恩には全然足りてねェ。一生かけても必ず返す!」
「!!それはもしや・・・プロポーズ!?」
「結婚はしねェ!でも、お前のことは好きだぞ!」
「はあん・・・♡わ、わらわも、そなたのことを愛して──」
「あ!お〜い、みんな〜!戻ったぞ〜!!」
最後まで言い切ることはできなかったが、問題はない。自分も一生をかけて伝えていくつもりだ。気づかれないように、ルフィの腕にそっと口づけをした。 - 43二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 10:40:02
もうちっとだけ続くんじゃ
- 44二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 10:42:02
油を沸かして君を待つ
- 45二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 12:32:35
明確に好きっていったなこいつぅ!!
- 46二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 19:37:42
この天然人誑しクソゴムが‼︎ちゃんと責任取れ!
- 47二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 21:55:18
つまり天然ゴムって…こと…!?
- 48二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:32:09
スレ主です(IP変わってるかも)
なぜか削除されてしまったので再度投稿します
↓ ↓ ↓
「ルフィに嫁ぎたい…」
その言葉は無意識に口から零れ落ちていた。女ケ島に海軍と黒ひげが攻め入ってから数日。何があるわけでもない天井を見上げると、もう何度目か分からない大きな溜息をついた。
突如として剥奪された七武海の称号。自らの幼少期に瓜二つのパシフィスタ。なぜか自分ではなく英雄コビー大佐を拉致した黒ひげ。不可解なことは山ほどあったが、そんなことよりも置かれた状況を飲み込むことで精一杯だった。
(ルフィ、そなたは今どこにおるのじゃ。きっと無茶ばかりしておるのだろうな。)
気を紛らわそうとすると、ルフィのことで頭が一杯になる。それは元からだろうと誰かに言われてしまいそうだが、今くらいは許してほしいものだ。自分にはもうそれしかないのだから。
(最後にルフィを見たのはあの時か…)
- 49二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 01:15:00
───新世界、とある海賊船の甲板にて───
「ニュースクー、いつもありがとね!・・・お、またルフィが一面に載ってる!どれどれ・・・」
「…『四皇“麦わらのルフィ”、移送中の“海賊女帝”を解放し逃亡。更なる勢力拡大が狙いか。』、ねえ…。あいつがほんとにそんなこと考えるかなあ?ねえ、何か知ってる?」
「…な~んだ、知らないんだ。……ルフィがわざわざ助けに行ったってことは、きっと二人は知り合いだよね。いつの間にこんな美人と仲良くなってるなんて羨ましいヤツ。」
「っていうかさ、もうルフィも四皇なんだし、十分“立派な海賊”だよね?なんでこの間は会っていかなかったの?」
「…いや、それ適当にこじつけた理由だって皆気付いてるから。どうせ今更どんな顔して会えばいいか分かんなくなっちゃっただけでしょ!」
「…はいはい、もういいよ。あ~あ、誰かさんのワガママのせいで、ルフィに会えるのはまだ先になりそうだな~。海賊女帝との関係も気になるのにな~。絶対面白い話が裏にあるのにな~。」
「……もう、冗談だって!そんなに拗ねないでよ、良い年したおじさんなんだから。」
(・・・この間はちゃんと話せなかったからさ。次に会うときは、もっと色んな事聞かせてよね。)
とある海賊団の音楽家は、遥か水平線の彼方の親友に語り掛けると、いつものように鼻歌を歌いながら空を見上げて微笑んだ。 - 50二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 01:18:25
これにておわりです
最後まで読んでくれた方、いいねやコメントくれた方、保守してくれた方、本当にありがとうございました! - 51二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 07:24:59
面白かった
- 52二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 10:58:03
中盤はどうなるかと思ったけど良かったよ‼︎ありがとう‼︎
- 53二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 12:24:49
REDと原作のおかげで激烈にワンピ熱が高まっているので、何か書いてほしいネタがあれば教えてください~
- 54二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 20:37:41
多分ハンコックのもとに行くまでにすんごい死闘繰り広げたんだろうなぁ、ルフィの恩人って聞いて一味も奮闘したんだろうなぁ、船に乗ってる間にハンコックと一味が仲良くなったりしたんだろうなぁ、ウタと会ったとき嫉妬で少しギクシャクしてたハンコックだけどウタが天竜人ボコった事とか幼少ルフィの話で盛り上がって問題なく仲良しになるんだろうなぁ。ハンコックが幸せならそれでいいさ