- 11◆rskhtu7.uA21/10/15(金) 23:49:47
自分の担当バ、シンコウウインディは噛みつき癖がある。自分が彼女の担当になるまでは他のウマ娘に噛みついたり、寮長であるヒシアマゾンに噛みついたり、それはもう手がつけられない様子だったらしい。
現在は自分一人にその噛みつき癖が向けられている状態で、服の袖を捲れば噛み痕がびっしりとある。彼女の歯は中々に鋭いので痕が長く残るのだ。力加減はしてくれているようだが。
それで、そんな彼女が現在どうしているかと言うと。
自分の膝にちょこん、と座って向かい合っている。
「ふっふっふ......観念するのだトレーナー!今度という今度はトレーナーがウインディちゃんのモノだと刻みつけてやるのだ!」
なんのことか見当がつかない、と首をかしげる。
「昼休みに他のウマ娘に話しかけられてデレデレしてたのだ~!私の目はごまかせないのだ!」
昼休み...あぁ、と合点がいく。今日の昼休みに他のウマ娘に話しかけられていたのを思い出す。しかし話しかけられたきっかけはこの腕の噛み痕を見られたからだ。
どうやらそのウマ娘の友人がウインディに噛まれたことがあるらしく、おてんばなウマ娘として知っていたとのこと。同情と感謝を伝えられ、こちらも困ったように笑うしかなかった。それをどうやら「デレデレ」している、と捉えられたらしい。 - 21◆rskhtu7.uA21/10/15(金) 23:51:22
「思いだしたのだ?それじゃ覚悟するのだ!拒否権はないのだ!!」
わかったよ、とため息を一つ吐き、右腕を差し出す。また噛み痕が増えるな、なんてことを思いつつ来るであろう痛みに構える。
しかし、感じた痛みは随分と甘い痛みだった。そもそも、腕に痛みを感じない。もっと上の方。顎のすぐ下、首にチクリとした痛みを感じる。
「んぐ...はぐ...」
ウインディを急いで引き剥がし、問い詰めようとした...が、彼女の表情を見て固まる。
─獰猛な目だ。捕食者の目だ。
「トレーナー...トレーナーは私のモノなのだ。逃がさないのだ...私のモノだって証拠をつけてやるのだ...」
引き剥がしたはずのウインディが再び近づいてくる。首筋を目指し、ギザギザとした歯が迫る。トランス状態、という奴だろうか?脳は警鐘を鳴らすと同時に、冷静に現状を分析する。どうする?この状況を打破するには?有効な手段は?
咄嗟に思いつくもの。今この状態でできること。一つ考えついた自分は大きく息を吸い込んだ。
「シンコウウインディ!いい加減にしろ!」
びくり、とウインディの尻尾が立つ。ハッとした表情で彼女が後ずさる。みるみる内に顔が赤くなり、トレーナー室を脱兎の如く走って出ていく。
数分くらい椅子から立てないまま、頭の中で起きたことをまとめる。気合いを入れ、椅子から立ち上がり、洗面台にある鏡の前に立つ。首にはキレイな歯型がついていた。
ふと、昼休みのことを思い出す。あの子は別れる時に何か言っていた。確か──
「でもウインディさんってそもそも痕がつくように噛みませんよ?甘噛みっていうか...トレーナーさん、嫌われてたりします?」 - 3二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 00:03:56
いいねぇ
- 4二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 00:16:04
待ってるやで
- 5二次元好きの匿名さん21/10/16(土) 00:43:44