【SS・CP】ここだけルフィとウタが最後の会話で大喧嘩してしまった世界のつづき

  • 1122/09/18(日) 21:51:18
  • 2二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 21:52:16

    待ってた

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 21:52:57

    🍢🔥🍲🎨🐲

  • 4122/09/18(日) 21:53:02

    ルフィから貰った薬を飲んだ後、私は丸2日眠り続けてたらしい。
    あまりにも目を覚まさないものだから、ホンゴウさんがいくら諌めてもシャンクスはずっと落ち着かない様子だったみたい。

    いざ目を覚ませば、私はまた赤髪海賊団の雪崩に潰された。だから死んじゃうってば。

    でも、そうやって人の温かさを無理やりでも感じることができて、なんだか可笑しくなって……
    潰されながらケラケラ泣き笑いしてる私を見て、みんなが別の心配をし始めたのは秘密の話。

    それから数日。まだちょっと身体に力が入りにくかったりするけど、体調は概ね良好です。
    本当ならもっと後遺症とかが色々残ってたらしいけど、そういうのもあんまり無い。

    ルフィの仲間が作った薬のおかげだって、ホンゴウさんが言ってた。あんな短時間でここまでのものを調薬するなんてとか、感心しきりだったよ。
    私をバラバラにして治療してくれたのも、ルフィの友達の……トラ男くん?だったっけ?らしい。『バラバラにして』ってのがよく分かんないけど。

    ルフィはすごいなぁ、そんなに凄い人達に手伝ってもらえるなんて。
    きっと必死で頼んでくれたんだろうな……なんて考えたら、ちょっと嬉しくもなったりします。

  • 5122/09/18(日) 21:54:51

    コンコン

    「!」
    「ウタ、入っていいか?」
    「シャンクス?いいよ、大丈夫」

    今日もシャンクスが来てくれた。
    私が目を覚ましてから、シャンクスは毎日私に寄り添ってくれている。
    事情があったとはいえ、私をエレジアに置いて行った負い目はやっぱりすごくあるみたい。

    私も、あんなに私のことを想っていてくれたシャンクス達を信じきれなかったから……

    おあいこ?って言うのかな?よく分かんないや。


    ガチャ

    「体の調子はどうだ?」
    「うん、大丈夫。昨日より元気になってるのが自分でも分かるよ」
    「そうか、よかった。もうすぐメシだからな、沢山食うんだぞ」
    「はーい」

  • 6122/09/18(日) 21:57:17

    それだけ言うと、シャンクスはベッドの横にある椅子に腰掛けた。
    窓から海が見える特等席。私のお気に入りだった場所だ。

    「……なあウタ。突然だが、一つ聞いていいか?」
    「なに?」

    「……今更こんなことを聞くのもよくないとはわかってるんだがな。

    ……お前が薬を投げ捨てたあの時……おれは見ていることしか出来なかった。お前の覚悟を無碍にしてはいけないと思ったからな」

    「…………ごめん」
    「いや、謝ってほしいワケじゃない。むしろ謝るのはおれ達の方だ。そこまでお前を追い込んでしまって……すまなかった」

    ここ最近のシャンクスは、何かあると仕切りに頭を下げてくる。
    何だかむず痒い。そりゃ言いたいこともあるけど、そんなに謝ってばかりのシャンクスも見たくない。

    「……いいよもう、私も悪かったし」
    「……だが、その後お前はこの世界に残る道を選んでくれた。
    もちろん嬉しかったし、絶対に離さないと誓ったさ。ルフィの友達の申し出も本当にありがたかった。

    ……あの時、ウタはルフィと話してたんだろう?」
    「!」

  • 7122/09/18(日) 21:59:35

    状況から考えたら分かるんだろうけど……
    お見通しかぁ。流石はシャンクスだ。

    「あれ程覚悟の決まっていたお前を、どうやって此方に引っ張ってきたのかが少し気になってな。
    ウタがいいなら、どんな話をしたのか教えてくれないか?」

    「……別に、大したことは話してないよ。私はそのまま行くつもりだったのに、ルフィが泣き出しちゃってさ」
    「ルフィが?」

    「『ゴメン』と『なんで』ばっかりで、もう子供みたいにうわーって。あんまりにも泣くもんだから、私も泣いちゃって……

    ……ケンカしちゃったんだ、ルフィと」

    今思い返せば、そのまんま子供のケンカだった。
    お互いの気持ちをぶつけるだけぶつけ合って、抱き合って、どっちも泣いて。

  • 8122/09/18(日) 22:02:23

    「ルフィとケンカか……強かったんじゃないか?」

    「うん……こっちが何言っても全部倍にして返してくるし、自分の意見全然曲げないし。

    私も言いたいこと全部言ったんだけどね……諦めてたこと全部。もう無理だって。もう辛いだけだから引き止めないでって。

    こっちだって必死だよ。せっかく人が後悔なく行こうとしてたのに、人の後悔全部ほじくり返してくるんだから。

    ……だけど、それでもルフィは折れなかったんだ。まだ助かる、まだ終わってない……その一点張り。

    あんまり真っ直ぐ私を信じてくれるから、私の気持ちの方が粉々にされちゃった。

    酷いよね、人の気持ちも考えないで土足でずかずか入ってきてさ。私もうぐっちゃぐちゃに泣いちゃった。

    …………初めてルフィに負けちゃったけど、負けてよかった。ルフィが勝ってくれて、私の全部を叩き壊してくれて……

    ……ほんとに、嬉しかったなぁ……」

    じわりと涙が滲んできた。ケンカの途中のルフィの必死な顔と、私に勝った後の優しい顔を思い返す度に、心がほんのりとあったかくなる。

  • 9二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:05:33

    「……そうか。ルフィが勝ったから、ウタはこっちに残ってくれたのか。それじゃ、ルフィにもお礼を言わないとな」

    「うん……」

    あれから日が経って、だんだんと自分の中で大きくなってきた思いがある。
    シャンクスとルフィの約束を知ったから、ずっと言えなかったけど……もう我慢できなくなっていた。

    「……ねえシャンクス、私ルフィに会いたい。

    会って、ちゃんとお礼が言いたい」

    「……そうだな。一度改めて会う必要があるかもな。

    ……そこでなんだが。ウタ、一つ提案があるんだ」
    「何?」



    「ウタは、ルフィ達の船に乗ってみるつもりはないか?」

    「……え?」

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:09:16

    ──────

    シャンクスの話はこうだった。

    私はエレジアにずっと篭ったままで、閉ざされた世界しか知らなかった。
    物事の悪い側面ばかり見て、大局を見ることができていなかった。
    配信を見てくれてた層にそんな人が多かっただけだから、誰が悪いって話じゃないんだけど。

    しかも、皮肉なことに思い描いた新時代計画を実行できる能力も実力も持っていた。
    だから、今回みたいな結論に思い至って、あんな事件を引き起こしてしまった。


    それは自覚してる。

    私、本当に何も知らなかった。
    楽しかったことなんて、9歳までの記憶と、エレジアでの配信活動の合間に知ったほんの少しのことしか知らなかった。
    楽しいことを知らないのに、楽しいことをみんなに与えられるわけがない。


    だから、私はまずは世界を知らないといけない。

    私が本当に広い世界のことを知りたいなら、シャンクス達の船よりもルフィ達の船の方がいいんだって。
    シャンクスにも何かあまり自由に動けない事情があるみたい。それは教えてくれなかったけど。

  • 11二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:12:51

    ──────

    「…………」

    「おれ達と離れたくないって言ってくれるのは嬉しい。おれだって、せっかく戻ってきてくれた可愛い娘とまた離れるのは寂しいさ。

    だけどなウタ。おれ達にとっては、お前が本当にどうしたいかが大事なんだ。万が一にでも、おれ達に気を遣ってお前の選択肢が狭まるようなことがあっちゃあいけない。

    それに……」
    「?」

    「ウタは、本当はルフィと一緒になりたいんじゃないのか?」

    「一緒に……?

    ……はっ、はァ!?ちちち違うし!!ルフィはそ、そんなんじゃ……!!」

    「ハッハッハ、そう怒るな、冗談だよ。
    まァ、あくまで提案だ。ルフィ達と連絡を取る手段はある。ゆっくり考えるといい」

    「…………うん」

  • 12二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:17:41

    ──────

    食事を終えた後、自室に戻って私は思案中。

    ……シャンクスのバカ。
    なんであんなこと言うの。

    そりゃ、ルフィは命の恩人だし、幼馴染だし、昔よりカッコよくなってたけど……

    違うし。そんなんじゃないし。
    そんなんじゃ…………違うし。ないし。

    ……というか、今考えるべきはそこじゃない。一旦頭の隅に置いとこう。


    ……ルフィ達の船に乗る……かぁ。

  • 13二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:23:09

    (私の記事を切り抜いてから)シャンクスが持ってくる新聞には、ルフィ達の名前が載ってることも珍しくなかった。

    何やらあちこちで大暴れしてるみたいで、「もうすぐ会えるかもな」なんて言いながらシャンクスも嬉しそうにしてる。

    ライブに来てたルフィの……友達?子分?みたいなトサカ髪の人の記事にはちょっと顰めっ面だったけど。

    ルフィ達のこと、何か悪いように書かれてることも多いけど……
    ルフィ達はそんなことしないよね。
    ……本当はやってるのかもしれないけど。

    記事を読むだけで楽しそう。
    羨ましいって気持ちが湧いてくる。
    ルフィ達と一緒に冒険、行ってみたいなぁ……

    ……でも、シャンクス達と離れたくないって言うのも本音だ。
    折角家族のところに戻れたのに、また離れるなんて親不孝じゃないかな。

  • 14二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:24:05

    大人の気遣いしてるシャンクス
    そうだよね、あのクソバードの記事とか絶対読ませたくないもんね

  • 15二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:26:32

    コンコン

    「!」
    「いいか?」

    今度はベックマンだ。
    ベックマンが一人で来るのは珍しい。

    「どうぞ」
    「おう、悪いな。

    ……お頭から聞いたか?ルフィの船に乗らないかって話」

    「うん、聞いた。今迷ってたところ」
    「そうか」

    「……ベックマンはどう思う?」
    「何をだ?」
    「ルフィ達と冒険したいのも、シャンクス達と一緒にいたいのも、どっちも私の本音。だから、一人じゃ決めきれなくて……」

    「……だろうな。難しい決断だ。

    ただ……」

  • 16122/09/18(日) 22:30:51

    「ただ?」

    「お頭も悩みに悩んで、悩み抜いた末にウタにその提案をしたんだ。理由もないのに娘を手放したい親なんていねェよ。

    だが、それでもお頭がその決断をしたってことは汲んでやってくれ。

    どこで何をしてても、お前がおれ達の娘だってことに変わりはないんだからな」

    「…………」

    「まあ、突き放すみたいになるが結局決めるのはウタ自身だからな。時間の許す限りゆっくり考えればいい。

    言いたかったのはそれだけだ。考え中に邪魔したな。結論が出たらまた言ってくれ」

    「……うん」

  • 17二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:40:05

    ベックマンが去った後、私はベッドに寝転んで更に思考を巡らせた。

    どこで何をしてても、娘には変わらない……か。

    ……きっとあの時も、本当は同じことを考えてくれてたんだろうなぁ……

    ……あの大人気ないシャンクスがそこまで言ってくれてるのに、私がいつまでも意地張ってても仕方ないよね。

    それに……最後の手紙に、あんな書きかけの文だけ残してて、もう言い逃れなんてできないよ。


    ……………………


    ……もういいや。私も、自分の気持ちに正直になろう。


    「…………よし」

  • 18二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 22:45:37

    ──────

    「シャンクス、ちょっといい?」
    「ん?」

    海を見ながら佇んでいたシャンクスに、意を決して声をかける。

    「……決めたのか」
    「うん。


    ……私、ルフィの船に乗りたい」


    「…………そうか」

    シャンクスの表情はよく分からなかった。
    喜んでいるようにも、寂しがっているようにも見えた。

    「うん、だから……」
    「なんでだ?」

    「えっ!?理由聞くの!?」
    「当たり前だろ?娘が父親のところから独り立ちしようって言うんだ。それなりの理由がなきゃ納得できんなァ」

  • 19122/09/18(日) 22:51:25

    大人気な〜い……やっぱりこういうところは昔のままだ。

    でも、ちゃんと答えないとね、


    「まあ私なりに色々考えたんだけどね……

    ……シャンクスの言う通りだったよ。

    やっぱり私、ルフィに会いたい。

    ルフィと一緒にいたい。

    一緒に冒険して、世界を知ってみたい。

    ルフィと一緒がいい。



    ……ルフィが、好きになっちゃった」

  • 20122/09/18(日) 22:56:20

    多分今の私、顔真っ赤だ。自分でも分かるぐらい顔が熱くなる。
    でも、これは私の嘘偽りのない本心だ。もう隠したりしない。

    私のためにあんなに必死になってくれて、私のために泣いてくれて……
    ルフィはそんなつもりでやったんじゃないって言うだろうし、私がこの想いを伝えても多分伝わらないだろうけど……

    あれだけやられて、好きになるなって言う方が、無理な話だ。

    「……………」

    今の発言は、シャンクスにとっては恐らく劇薬だ。猛反発されるのも覚悟してた。

    ……でも、しばらく待ってもシャンクスからは何の反応もなかった。
    不気味なほどの沈黙。耐え切れなくなって顔を上げると……


    「…………遠くへ行っちまったなァ、ウタ……」


    目が据わったシャンクスが、その顔に微笑みを貼り付けていた。

  • 21122/09/18(日) 23:01:50

    ──────

    放心状態になってしまったシャンクスはひとまず置いといて、ベックマン始めとした他のみんなにもルフィの船に乗りたい旨を伝えた。

    みんな「えー!?」だの、「そんなァ〜!!」みたいな反応だったけど、引き止めようとする人は誰もいない。

    あくまで私の意思を尊重してくれた。そんな優しい赤髪海賊団が、私は大好き。

    「……ところで、お頭がさっきから動かねェんだが。ウタ、お前一体何言ったんだ?」

    「え?えーっと……な、何だったかな〜……?あはは……」

    念のため、ルフィを……好きになってしまった旨の話はシャンクス以外にはしないでおいた。
    もしみんながシャンクスみたいに抜け殻になっちゃったら大変だもんね。

    ……あとは抜け殻になったシャンクスをどうするかだけど……話しかけてもまるで反応がない。どうしたものか。

  • 22二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:05:38

    今日ぐらいはヤケ酒したっていいだろう?

  • 23122/09/18(日) 23:08:20

    どうやって連絡を取ったのかは分からないけど、ルフィ達とはどこかの島で待ち合わせするみたい。

    待ち合わせと言っても、シャンクスはまだルフィと会えないから、船から降りて待ってるのは私だけ。

    私ももう首に懸賞金がかかった犯罪者になってるらしいから、海軍が嗅ぎつけてこないように、シャンクス達は船から見守ってるんだって。

    約束まで数日。ちゃんと準備してから行かないと……と思ったところで気がついた。

    私の私物、ほとんどエレジアに置きっぱなしだ。

    大した量じゃないけれど、中には大事なものもある。どうしよう……

    ……まあ、ルフィ達の船に乗ってから考えよう。今からエレジアに行ってたら間に合わないし。

    しょうがない、今出来ることをやろう。取り敢えず服洗ってもらおっと。

  • 24二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:08:25

    >>22

    お前かれこれ1時間は動いてねえぞ

  • 25122/09/18(日) 23:13:36

    ──────

    待ち合わせの前日、私を送り出す会という体で宴の準備が行われていた。

    宴と言っても、私がほとんどお酒飲んだことないから、そんなにどんちゃん騒ぎはしないみたい。

    ルウさんの大きな体があっちこっち走り回ってて、何だかちょっと面白かった。

    私も何か手伝おうとしたけど、「主役は大人しく座ってろ」って追い出されちゃった。使い物にならないシャンクスも追い出されたらしい。

    シャンクスは流石にもう置き物じゃなくなったけど、時々上の空になってぼーっとしている。
    ……そんなにショックなら冗談でも言わなきゃよかったのに。

    そんなことを考えながら、私はまた上の空になっているシャンクスの隣に座った。

  • 26122/09/18(日) 23:20:26

    「……ねえ、シャンクス」

    「……どうした?」

    「まだちゃんと言えてなかったと思ってね。

    ……あの時は、迎えに来てくれてありがとう」

    「……どの時だ?心当たりが多いぞ」

    「私が真っ暗な世界にいた時。迎えに来てくれたでしょ」

    「……そんなこともあったかな」

    「もう、覚えてるでしょ?

    ……あの時、すごく怖かった。

    死んじゃったら、あんなに寂しいんだって。

    あんなに真っ暗なところで、もう誰にも会えないんだって……

    ……ほんとに、怖かった」

    「……………」

  • 27122/09/18(日) 23:27:04

    「ルフィのお兄さんが助けてくれて、やっとシャンクスを見つけられたけど、またシャンクスに置いてかれちゃう気がして……」

    「……ああ。お前の声が聞こえたから、走って迎えに行ったな」

    「そうそう、すんごい顔ですんごい速さで走ってきて。私も必死だったのに、あれ見て一気に力抜けちゃったよ」

    「ははは……でも、間に合ってよかった。あそこで手放してたら、おれはきっと今度こそ後悔で立ち直れなくなっていた」

    「……ルフィは前を向かせてくれたけど、前に歩き出せたのはシャンクスのおかげ。

    重いって思われるかもしれないけど、何度だって言うよ」


    ぎゅっ


    「……助けてくれてありがとう。私、シャンクスのことも大好きだよ。」

  • 28122/09/18(日) 23:33:31

    本心ではあるが、柄にもないことをシャンクスを抱きしめながら言ってみる。

    ……これ、結構恥ずかしい。早く何か言ってシャンクス。

    と思ってたら、シャンクスがプルプル震え出して……


    「……ふふふ…………はーっはっはっは!!」

    「!?」

    「くぅー!!娘に愛されてて嬉しいぞおれァ!!

    今日はいい日だ!!野郎ども!!宴の準備だ!!」

    「今やってるよお頭ァ!!何だよ急に元気になったな!!」

    「あ、そうだったか!!なっはっははは!!」

    「もー…………」

  • 29122/09/18(日) 23:40:05

    効果は抜群だ。すっかりシャンクスも元気になっちゃった。
    ほっと胸を撫で下ろしていると……

    「……なァ、ウタ」
    「?」

    「明日からお前はルフィ達の船に乗ることになるが……ルフィだから安心してお前を任せられるんだ。間違っても他の海賊に靡くような真似は……」

    「そんなことするわけないでしょ。私まだあくまで海賊は嫌いなんだからね。ルフィとシャンクス達が例外なだけで」

    「……そうだな、そうだったな。
    それから、もし戻って来たくなればいつでも言うといい。いつだっておれ達はお前を歓迎するぞ。

    まあ、そのままルフィと一緒がいいなら、おれ達はそれでも……」

    「それは……まだ分かんないかな。私がそうでも、多分ルフィにその気がないし」

    「ハハハ、あれを振り向かせるとなるとなかなか骨が折れそうだな。海賊らしく、ルフィのハートを奪ってやるのもいいかもな?」

    「もう、ルフィの邪魔したりはしないよ。確かにルフィのことはす……好きだけど。

    まずは最後まで見たいんだ。ルフィがここから先、どこまで行くのかを……ね」

    「……そうだな。それはおれも是非とも見てみたいな」

  • 30122/09/18(日) 23:46:50

    「二人とも!準備が終わったぞ!!」

    「!」

    「お、できたか!よし行くぞウタ!」

    「うん!」

    「よーし野郎ども!!ウタの新たな門出を祝って!!乾杯だァー!!!」

    「「「オォーーッ!!!」」」


    ……新たな門出。

    明日から、私の新しい人生が始まる。


    ……ワクワクしてきた!

  • 31122/09/18(日) 23:50:55

    続きはまた明日

  • 32二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:51:59

    🍢

  • 33二次元好きの匿名さん22/09/18(日) 23:54:05

    シャンクスのかっこいいけど締まらないところが出てて好きだ

  • 34122/09/19(月) 08:34:00

    ──────

    そして待ち合わせ当日。

    なるべく目立たないように、人気のない海岸に船を寄せる。

    まあ四皇の本船が停泊してるなんて知られたら、目立たないなんてのは無理な話なんだけど。

    「おれ達はここから少し離れて待機する。ここにいたらお前まで見つかるかもしれないからな」

    「うん、わかった。ここまで送ってくれてありがとうみんな」

    「寂しくなるなァ」
    「せっかく海賊団が華やかになったってのに」
    「また野郎しかいない船に逆戻りかよォ」

    みんなは戯けながら送り出してくれてる。
    ところどころ啜り泣く声も聞こえるけど、みんな笑顔だ。

    あーよかった。もしみんなが泣いてたりしたら、私も多分泣いちゃってたし。


    「……ウタ」

  • 35122/09/19(月) 08:59:20

    「シャンクス?」

    ぽん

    「!」

    何か吹っ切れたような表情をしたシャンクスが、私の頭に手を置いた。

    「……忘れるな。離れていても、お前はおれの娘だ。

    何かあればすぐに飛んでいく。まァ、ルフィ達も頼りになるだろうけどな」

    「……うん」

    あの日言ってもらえなかった言葉。けど、今は違う。
    血の通ったシャンクスの言葉が、私の心を安心させてくれる。

    「……さあ、行ってこい!人を知り、世界を知って、お前はまだまだ成長できる!

    今でさえ、世界中を魅了できる歌姫なんだ。そんなお前が更に成長した姿、また会える日まで楽しみにしてるぞ!」

    「うん!私、頑張るね!

    シャンクスにも、赤髪海賊団のみんなにも!私の歌が届くように、頑張るからね!!」

    決意も新たに、いざ!私の新しい船出だ!!

  • 36122/09/19(月) 09:14:41

    「……あ、それから」

    「うん?」

    「実を言うとルフィ達はこの島に呼んだだけなんだ。

    船に乗りたい旨はお前から伝えるんだぞ」


    「え?


    …………えっ?」

  • 37二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 09:45:10

    これは親シャンクス

  • 38二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 11:32:46
  • 39二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 16:03:25

    ほしゅ

  • 40二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 16:49:32

    >>38

    好きなのはいいけどスレ主に確認取ったほうがよかったんじゃない?

  • 41122/09/19(月) 17:03:34

    ──────

    「えー…………」

    最後に思いっきり梯子を外された。
    そんなのってある?

    シャンクスは「この砂浜までは呼んでやる、あとは頑張れ」って言ってた。
    頑張れと言われても……

    ……というか、もしかしてこの感じだと私が1人で待ってるってことも言ってなかったりする?

    嫌だよ私?せっかくウキウキで来たルフィが私しかいなくてガッカリするのとか見たくないよ?

    「……うー…………」

    ……そもそも何話そう。

    ルフィが一人で来るとも限らないし……

    仲間と一緒なら……まず謝らないと。ウタワールドの中とはいえ、みんなに酷いことしちゃったし。

    …………そろそろ、来るかな?


    「あれ、こっちだったか?」

    「!!!」

  • 42122/09/19(月) 17:11:00

    ルフィの声だ。

    ……今のところルフィの声しか聞こえない。

    「っかしいな、シャンクス達ここにいるって聞いてたんだけどな?

    シャンクスの船は見えるし、この島にいることは間違いねェんだろうけど……」

    やっぱりそうだ。私が1人ってこと聞いてないタイプだ。

    「もっと向こうか?行ってみるか」

    「あ……」

    違う違う、待ってルフィ!そっちじゃない!ここであってる!

    も、もう呼ぶしか……!!


    「ルフィ!!」

  • 43122/09/19(月) 17:18:55

    「ん?その声は……」

    「ルフィ!こっちだよ!こっち!」

    こうなりゃヤケだ。
    岩陰から身を乗り出して、ルフィにだけ届くように、少しだけ声を張り上げる。

    「こっちだってば!早く来てルフィ!」

    「あ……」

    そんなに日は経ってないのに、凄く久しぶりに見た気がするルフィの顔。
    エレジアじゃウタワールドの中でしか会えなかったから、何となくそんな気がする。


    「あーーーーっ!!!?」

    少し顰めっ面だったルフィの顔は、私の声に気がつくと、みるみるうちに笑顔になっていって……


    「ウタァ〜〜〜〜ッ!!!!」


    私に飛び掛かってきた。

  • 44122/09/19(月) 17:28:26

    「うぇっ!?ちょ、ちょっ……」

    「うおお〜〜っ!!会いたかったぞウタ〜〜!!」

    咄嗟のことに反応できず。
    私はされるがままにルフィに抱きつかれた。

    「る、ルフィ!あぶ、危ない、から……!」

    ……あれ?何これ?
    上手く声が出せない?

    「あ、ま、待っ……」

    あっという間にまともに声が出せなくなった。ぱくぱくと口を開いてもほとんど呼吸音しか出ない。


    ……心肺機能には自信あったけど、こんな風に大好きな人に抱きしめられた時向けの特訓はしてなかった。

    私、抱きつかれただけでこんなになっちゃうぐらい、ルフィのこと好きになってたんだ。

  • 45二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 17:33:08

    トプトプトプ…

  • 46122/09/19(月) 17:38:02

    「あ、わ……!!」

    「……ウタ……!!」

    長い。ルフィ長い。

    ちょっとほんとにやばい。不意打ちで食らったから何も準備出来てなくてやばすぎるやばいまって。

    顔あっつ。絶対顔真っ赤。

    ばくばくしすぎて心臓が爆発しそう。

    「ルフ、ルヒぃ……ちょ、はなれ、はなれ、て……」

    ぺちぺちと背中を叩いて抵抗(?)するも何の効果もなし。

    むしろ「嫌だね〜〜!!」とか言いながら抱きしめる力が強くなった気がする。

    「……ぁ……ヒュ…」

    やばい。意識飛ぶ。ルフィにころされる。

    せっかく再会できたのにこんなんで死ぬとか人としてどうなんだ私。無理耐えられない。死んじゃう。やだ死にたくない。


    (……ズ)


    …………あれ?

  • 47二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 17:39:06

  • 48122/09/19(月) 17:46:49

    妙な音が聞こえた気がした。

    朦朧とする意識を奮い立たせて、耳を澄ませる。


    ……鼻を啜る音が聞こえた。


    よーく意識を集中させると、私を抱く腕も、密着しているその体も、ぷるぷる震えているのにも気がついた。


    「……ル、フィ……?」

    「……よがっだなァ、ウタ……!!」


    改めて聞いたルフィの声は、完全に涙声だった。

  • 49122/09/19(月) 17:55:50

    「……ルフィ……」

    何のことはない。嬉しかったのは私だけじゃないって話だ。

    ルフィにも、私が助かったことは教えてあげたけど、それ以上のことはほとんど何も言ってなかった。

    ルフィなりに気を遣ってくれて、あの時は会わなかったけど、きっとルフィも私に会いたがってくれてたんだ。

    それがいきなり生きて目の前に現れたんだから、ちょっとぐらいタガが外れてしまっても、まあおかしくはない。手前味噌だけど。

    そう考えると、何だか急にルフィが愛おしく感じてきた。ただ私からの好きをぶつけるだけじゃダメなんだ。

    ルフィの気持ちが私のそれと同じかは分からないけど、一方通行じゃないことがわかって……ひとまずはちょっと安心。

  • 50122/09/19(月) 18:02:34

    胸の高鳴りはまだまだ治りそうにないけれど、こういうときは……


    ぎゅむ


    「!」

    「……えへへ、やっぱり照れるね」

    迷子になってた両手をルフィの背中に回して、優しく抱き返してあげる。

    自分の鼓動がまた早くなるのが分かる。でも、今はもう離したくない。

    ルフィの体がぴくり、とほんの少し跳ねた後、「へへへ……」と小さな笑い声が聞こえた気がした。

  • 51122/09/19(月) 18:12:09

    私のために泣いてくれて、

    私のために笑ってくれて。

    「大好き」もいいけれど、

    今は多分、違う。

    たった5文字で足りる気はしないけど、

    今の気持ちを表すのなら、この5文字しか私は知らない。

    ルフィ達と冒険すれば、他の言葉も知れるのかな?

    でも、私はやっぱり、この言葉が好きだな。


    「ありがとう。」


    ……涙脆くなったなぁ、私。

  • 52122/09/19(月) 18:19:29

    ──────

    しばらく幸せな時間を堪能した後、改めて向き直る。

    まだ顔は真っ赤だけど、何とかルフィの顔を見ながら話せるまでには落ち着いた。

    「そういや、シャンクス達は?」

    「やっぱり何も聞いてないんだ……残念だけど、今いるのは私だけだよ」

    「え!?そうなのか!?」

    「うん。というか、私がこの島にルフィを連れてきてってお願いしたんだ」

    「ウタが?」

    「うん、呼んだのには理由があってね……

    ねえルフィ。お願いがあるの」

    「何だ?」


    「ルフィ達の船に、乗せてほしいんだ」

  • 53122/09/19(月) 18:31:02

    「……サニー号に?」

    「うん」

    「それって、おれ達の仲間になりたいってことか?」

    「……うん。そういうこと」

    「……うーん……」

    ルフィ、悩んでる。

    そうだよね、シャンクスも言ってた。

    海賊にとって、仲間が増えるってことは簡単に考えていいことじゃない。

    ルフィ達みたいに人数の少ない海賊団なら尚更だ。1人増えるだけでいろんなことがガラッと変わる。

    ……でも、心のどこかで即答してくれるんじゃないかと思ってた自分もいて、勝手にちょっとガッカリもしてたり。

  • 54122/09/19(月) 18:39:02

    「……ダメ、かな?」

    「いや、ダメっつーワケじゃねェし、むしろおれとしちゃあすんげェ嬉しい話なんだけどよ……」

    嬉しいんだ。やった。
    でもそれなら、何が引っかかってるんだろう?

    「シャンクスはいいのか?」

    「あー……」

    そりゃ気になるよね。昔からずっと赤髪海賊団の音楽家だーって触れ回ってたし。

    「……うん。シャンクスなら大丈夫。シャンクスから言ってくれたんだよ、ルフィ達の船に乗ってみないかって」

    「ホントかァ?なら何でおれ達には呼ぶだけ呼んで何も言わないんだ?」

    「それは……確かにそうだけど……」

  • 55二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 18:48:58

    「まァウタが今更ウソつくなんて思わねェけどよ。シャンクスは船にいるのか?」

    「え?うん、いると思うけど……」

    「分かった、ちょっと待ってろ」

    「……?」

    それだけ言うと、ルフィはシャンクス達の船に向き直って、そのまま動かなくなった。

    何してるんだろう……?


    『おい!見つかったか!?』

    『いや、こっちじゃない!』

    『あの浜辺かもしれない!探すぞ!』


    「!?」

  • 56122/09/19(月) 18:55:18

    明らかに穏やかじゃない会話が聞こえてきた。

    きっと海軍だ。誰かが私達とルフィ達のことを通報したんだ。

    「る、ルフィ!大変だよ、海軍が来ちゃうよ!」

    「…………」

    気づいているのかいないのか。肩を掴んで揺すってみても反応がない。

    「ルフィってば!ヤバいよ!ねぇ!!」


    「……へェ……」


    『いたぞ!!あそこだ!!』

    『全艦に報告!!麦わらのルフィとウタの2人を確認!!総員でかかれ!!』

  • 57122/09/19(月) 19:01:54

    本格的にヤバい。

    「ねえルフィってば!?見つかっちゃったよ!!」


    「……また大事なモン託されちまったなァ……」


    「ルフィ!?何言ってんの!?こ、こうなったら私が能力使うしか……!!」

    「……分かった!!任せとけシャンクス!!

    よーしウタ、逃げるぞ!!」

    「えっ?」

    言うが早いか、いつの間にか私の体にルフィの左腕が巻きついている。
    ルフィの顔を見ると、いつもの安心感さえ抱かせる笑顔を浮かべていた。

    「こ、これ……」

    「にっししし、しっかり捕まってろよ!!」

    「う、うわあぁ!?」

  • 58二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 19:05:25

    Nice honeymoon.

  • 59122/09/19(月) 19:10:58

    そこからはあっという間だった。

    ルフィが飛び上がると同時に、追ってきていた海軍の殆どが突然気を失って。

    少しだけ残ってた他の海軍も、ルフィが足だけ伸ばしてみんなのしちゃった。

    やっぱりルフィは強いなぁ。でも、最初に海軍を気絶させたのはルフィじゃなかったみたい。じゃあ誰が?


    『──。』


    ……1人しかいないよね。


    「ししし、聞こえたか?」

    「……うん!」


    私の名を呼ぶ優しい声。

    それから、レッドフォース号の大砲の音が聞こえた。


    祝砲、ありがとう。


    行ってきます!!

  • 60122/09/19(月) 19:14:41

    もうちょっとだけ続くんじゃ

  • 61二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 19:15:33

    待つわいつまでも待つわ

  • 62二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 21:25:12

    保守保守

  • 63122/09/19(月) 21:36:16

    ──────

    所変わってサニー号。

    船長のルフィと、買い出しに出ている数名を除いて、船員は皆船で待機していた。

    「何だか島が騒がしくなってきたのう?」

    「多分気のせいじゃねェ。さっき海軍の軍艦がこの島に入港するのが見えた」

    「早く言えよそれを!」

    「サンジやナミがまさか騒ぎを起こすとは思えないし……」

    「十中八九ルフィだな」

    「だから気をつけろって言ったのによ〜……ただでさえ四皇が動いてんだ、海軍だってマークしてて当然だってのに……」

    「ところで、結局ルフィが呼ばれた理由は何だったのかしら?」

    「分からん。ルフィ本人も知らされておらんようじゃった」

    「ルフィさんにも何か約束があるそうです。ただ会うために呼ばれたとは考えにくいですが……」

  • 64122/09/19(月) 21:50:10

    「おいやべェぞお前ら!あっという間に島中海軍だらけだ!」

    「お、帰ってきた」

    「早く船を出さないと!ルフィは帰ってきてる!?」

    「いや、まだだ」

    「はァ!?どこほっつき歩いてんのよ!?」

    「久しぶりに赤髪と会って積もる話もあるんじゃろう。話が弾んでおるのかもしれんな」

    「そんな呑気なこと言ってる場合か!!自分の立場わかってんのあいつ!?」

    「帰ってきてねェ以上しょうがねェだろ。探しに行って来るか?」

    「テメェはこの船から一歩も出んなクソ剣士!!今から厄介ごと増やす気か!?」


    「おーーい!!」

  • 65二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 21:57:43

    「あっ!飛んで帰ってきた!」

    「ルフィ!!早く……ちょっと待って、誰か連れて来てない?」

    「本当です、左腕で誰か抱えていますね?」

    「どこの誰を攫って来たんだ?」

    「厄介ごとの匂いしかしねェ……」

    「……ん!?いや待て、あれってもしかして……!?」

    「え……? あーーっ!!?」


    「ルフィーー!?私このまま突っ込んでいいのーー!!?」


    「「「「(プリンセス)ウタァ!!?」」」」

  • 66122/09/19(月) 22:09:28

    「よっと!ししし、悪ィ悪ィ!遅くなった!」

    「うう、怖かった……」

    「遅くなったってお前……こりゃ一体どういうことだ!?」

    「ん?ウタのことか?」

    「それ以外に何があるってんだクソゴム!!テメェどうやって攫って来やがった!!」

    「後で話すよ!フランキー!とりあえず逃げるぞ!」

    「アウ!事情はさっぱり分かんねェが、今優先するべきはそっちだな!

    よーしおめェら!!久しぶりに風来バーストの準備だ!!」


    「「「おう!!」」」

  • 67122/09/19(月) 22:17:34

    ──────

    「……さて、追手も振り切ったところで……」

    「ウタ……よね?本物よね?」

    「説明してくれルフィ、何がどうなってこうなったんだ?」

    「ことと次第によっちゃテメェをふん縛って海に沈めなきゃならねェ」

    口々にルフィに詰め寄るルフィの仲間たち。

    そりゃそうだよね、何の説明も無しにいきなり仲間が増えるなんて……


    「ああ、ウタも船に乗ることになったんだ」


    ……そういえば仲間になることすら言ってなかった。

  • 68122/09/19(月) 22:26:49

    「「「ハァ!!?」」」

    「船に乗る……って、ウタを仲間にするってこと!?」

    「おう」

    「だったら尚更一から説明しろってんだよ!!お前はシャンクスに会いに行ってたんじゃねーのかよ!!」

    「お前その辺の段取りとか大丈夫なんだろうな!?四皇と正面衝突とかまだ嫌だぞおれ!?」

    「大丈夫だって!まーいいじゃねェか!」

    「「「よくない(ねェ)!!」」」


    何を言い争ってるのかはよく分かんないけど……

    ……もしかして、あんまり歓迎されてないのかな。

    それもそうか。ルフィはまだしも、みんなには酷いことしただけで、まだ謝ってもないし……


    「……おう」

    「!」

  • 69122/09/19(月) 22:34:08

    騒めきを遮って口を開いたのは……ゾロ?だったっけ?

    マリモみたいな緑髪の剣士の人だった。

    「おれはルフィがいいって言うんなら別に構いやしねェが……

    その前に、何か言いてェことがあるんじゃねェのか」

    「……うん、ありがとう。


    みんな、ごめんなさい!!」

    「!」

    「今更謝っても遅いと思うけど……あの時は、せっかくライブに来てくれたみんなにあんなことしちゃって……ごめんなさい!

    それに、私がトットムジカに取り込まれた時、みんなが助けてくれたって聞いて……それなのに私、まだお礼も言えてなくて……」


    「「「……………」」」

  • 70122/09/19(月) 22:44:33

    ……あ、あれ?無反応?

    もしかしてもう、ちょっと謝ったぐらいじゃ取り返しつかないところまで……?


    「……い、いやプリンセスウタ、おれ達は別にお礼とか、謝って欲しかったワケじゃ……むしろ船に乗ること自体はおれも大歓迎だぜ?」

    「……え?」

    「違うのよウタ、脅かしたならゴメンね?ただあんまりにもいきなりだったから、ちゃんと理由聞いとかないといけないと思っただけなのよ」

    「そ、そうなの……?」

    「まァいいじゃねェか。おれにはどうもこいつが謝りたそうにしてるように見えたからよ。本人の気が済んだならそれまでだ」

    「…………」

    ぶっきらぼうに見えるけど、結構気の効く人なのかな?

    何にせよ、ちゃんと謝れてよかった。

  • 71122/09/19(月) 22:49:11

    「で、実際のところこの船に乗ろうとした理由は何だ?
    このアホのことだから恐らくろくに聞きもせずに連れて来たんだろうが」

    ……そう言えばルフィに言ってなかった気がする。

    「そういや聞いてなかったな。なんで乗ろうと思ったんだ?」

    「いや聞いてなかったんかい!せめてお前は聞いとけよ!」

    ごめんルフィ、私のせいで怒られた。

    「この際だからウタちゃんから自分で言ったらどうだ?どんな理由であれ、おれ達は歓迎するぜ」

    「あ、ありがとう。えっと……」

    どうしよう、ルフィ以外の名前が分からない。

    「……っと、そういやぁルフィ以外は自己紹介もまだだったな。丁度いい、自己紹介も兼ねて一丁やるか?」

    「おー、いいなそれ!!頼んだサンジ!!」

    「やるって何を……?」

    「決まってんだろ!

    宴だよ!!」

  • 72122/09/19(月) 22:54:32

    ──────

    みんなの自己紹介が終わった後、私は改めてこの船に乗ることを決めた理由をみんなに話した。

    もっと広い世界を知りたいこと。

    シャンクスが勧めてくれたこと。

    途中で「あーあー」みたいな顔しながら笑ってた人がいたけど、あれは何だったんだろう?

    それから……もう1つの理由は、とてもじゃないけど言えなかった。


    「……というわけで、これからみんなよろしくお願いします!!」

    「おう!!こっちこそよろしくな!!」

    「いやァ、まさかあのウタが同じ船に乗るとはなァ!」

    「また賑やかになるのう!ワッハッハ!」

    「よーしお前ら!!クソ美味ェのが出来上がったぞ!!酒の準備はいいか!?」

    「勿論だ!!それでは、おれ達の新しい仲間!『歌姫』ウタにィ〜〜……」


    「「「「カンパーイ!!!」」」」

  • 73122/09/19(月) 23:00:33

    ──────

    歓迎会から数日後。

    サニー号はもうすぐ次の目的地の島に到着するらしい。

    いつもの特等席で佇むルフィに声をかけてみる

    「ねえルフィ」

    「んー?」

    「次の島って、お店とかあるかな?」

    「さあ、分かんねェ。何か欲しいものあんのか?」

    「手紙」

    「手紙ィ?それならナミかウソップが持ってるかもしれねーぞ」

    「ううん、自分で買いたい。何でも自分で体験するために海に出たんだから」

    「……そか。店、あるといいな」

    「うん」

  • 74122/09/19(月) 23:06:41

    「……ねえルフィ」

    「どうした?」

    「この船に乗った理由、いろんな体験をしてみたいからって言ったけど……

    もう1つ理由があるって言ったら、ルフィは驚く?」

    「……いや別に。今ウタが乗ってるんなら、おれはそれでいいよ」

    「……そっか。じゃ言わない」

    「何だそりゃ。ま、別にいーけど」


    ……この気持ちが冷めることは、きっとない。

    でも、今は胸にしまっておこう。

    ルフィの夢を、私が邪魔したくないし。

    ルフィの作る「新時代」、見てみたいし。

    それからでも、遅くはないよね。


    ……いつかこの気持ちが溢れそうになったら、ちょっとだけ伝えてみよう。

    その時は、少しぐらいは振り向いてくれたら、嬉しいな。

  • 75122/09/19(月) 23:15:11

    「あ、そうだルフィ。今みんな時間あるかな?」

    「どうかしたのか?」

    「うん。ちょっと、みんなで歌えないかなと思って」

    「歌う?」

    「ほら、音貝。2つあるよ。これにみんなで歌った歌記録したいんだ。ダメかな?」

    「いいなそれ!よし、一発歌うかァ!


    お前らァ!!全員甲板に集まれェ!!」

  • 76122/09/19(月) 23:16:30

    ……拝啓、ゴードン様。

    私の近況報告、もうすぐ送れそうです。



    今度こそおしまい

  • 77122/09/19(月) 23:19:39

    尻切れトンボですまねェ!!!
    あと前スレじゃ我慢したが結局我慢できなくなってCP要素盛り盛りにしてすまねェ!!!

  • 78二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 23:20:39

    >>77

    安心しろ…お前は語り継がれる…

  • 79二次元好きの匿名さん22/09/19(月) 23:21:54

    最高じゃ…

  • 80122/09/19(月) 23:38:40

    あと前スレの最後の方で言われてたけどハーメルンってどうやって使うんだ

  • 81二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 01:14:42

    ありがとう
    最高だった…

  • 82二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 01:16:50

    >>80

    流れに任せてればそのうち投稿出来るぞ

    使い方も少し調べれば出てくるから頑張ってくれ

  • 83二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 08:21:56

    保守

  • 84二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 11:37:58

    >>80

    ハーメルンは100%人間が運営してるので、特にコメ欄での言動に細心の注意を払うべきだと教える

    ついでに複垢は1発BANということも教える

  • 85二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 15:54:55

    保守

  • 86二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 22:44:44

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 05:38:02

    hoshu

  • 88二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 10:52:00

    保守

  • 89二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 15:38:13

    補修

  • 90二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 20:03:41

    >>80

    ハーメルン - SS・小説投稿サイト-syosetu.org

    ここに入ってまずは「ユーザー登録」する

    その後マイページに入って「新規小説作成」か「ダイレクト投稿」で小説を投稿できる

    個人的にダイレクト投稿の方が投稿しやすいと思うからそっちを開くといいよ

  • 91122/09/22(木) 06:57:49

    >>90

    ありがとう

    やってみる

  • 92二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 16:03:59

    保守

  • 93二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 23:59:42

    ほへ

  • 94二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 10:19:10

    保守

  • 95二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 17:27:38

    楽しみ

  • 96二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 03:28:28

    ほほほ

  • 97二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 12:27:01

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 23:41:43

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 10:24:34

  • 100二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 18:19:09

    今読んだ
    最高でした。ありがとう
    ハーメルンでアカウント作ったらぜひ教えてほしいです

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