- 1二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:30:51
トレーナー室、アタシとトレーナーさんはふたりきり。
彼が一生懸命資料に目を通している中、アタシはぼーっと明後日の方向を見る。
最近調子が出ない。まるで心に大きなモヤモヤの塊があるみたいに、漠然とした不安に苛まれる。
アタシはアタシのことがわからない。だから恥をかかないように自分を誤魔化すし、嘘だって平気で言える。
本音を隠していることはわかっているのに、肝心の本音がアタシにはわからない。
彼のことを『特別に想っている』のかすらも自信がない。
まして他人の本音などもっての外で、彼がアタシのことをどう思っているのかなどわかるはずが無い。
「ネイチャ大丈夫?」
彼が書類から目を離してアタシを心配そうに見つめる。
きっと、きっとアタシのことを本当に心配してくれているのに、猜疑心がアタシを蝕む。
「大丈夫ですよ〜。ちょっとおねむなだけですから…」
またこうやって誤魔化して、本音がアタシから離れていく - 2二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:31:11
もし本音が言えて、彼の胸で泣けたらどれほど幸せだっただろう。
でも素直になんてなれないし、もう流せる涙がアタシには残っていない。
ただ泣けないことがひどく寂しいだけ。
それが罰。アタシが嘘をつき続けてきた罰だった。
目を閉じる。瞼の裏に何かありそうで、何もない。
まるでアタシのココロみたい。そんなことを考えた。
そのときアタシの頭に何かが触れる。目を開けると彼がアタシの頭を撫でていた。
いつもだったらきっと顔を赤らめていただろう。でも今のアタシにとってそれは言葉にできないくらい心地の良いものだった。
無意識に彼の背中に手をまわす。ふたつの鼓動が重なってはやくなる。
涙は流れない。でもアタシの心が暖かいモノで満たされていくのを感じた。
これが永遠に続けばいいのに。
そんなことを考えながら、アタシはまた目を閉じる。
少し、ほんの少しだけまわした手の力を強めた。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:32:19
読んでくれてありがとうございます。ひとくちSSです。ミスがあったらごめんなさい。
- 4二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 20:34:53
よかったぞい
- 5二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 22:29:05
好き
- 6二次元好きの匿名さん22/09/20(火) 22:30:24
急に眼鏡が曇ったんだが?