【閲覧注意・SS】奴隷島

  • 1二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:07:48

    ※キャラ崩壊注意 ※オリキャラ注意 ※時系列も崩壊ぎみ
    ※途中で合わないと思ったら速攻でブラバお願いします


    青い空の下、風が強く吹いて一面に咲く白い花たちをいっせいに揺らした。
    ルフィは手を止め、しばし見入る。
    波みたいだ…
    本物の海を見なくなってどれくらい経っただろうか。
    「おい!そこのガキ!さぼるんじゃねえぞ!」
    ビクッと反応し、すぐに作業に戻る。ゴムの体でも鞭で打たれると痛かった。
    広い花畑は高い塀に囲まれていて出ていくことも入ってくることもできない。
    刺激の強い花の香りに混じって、時折漂う微かな潮のにおいと波の音がその向こうに海があることを教えている。

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:12:50

    続けて?

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:16:52

    海にはでた後なのかな?

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:23:07

    あの日、シャンクス達の目の前で山賊に連れ去られた後、島に立ち寄っていた人買いにそのまま引き渡された。船底の檻に入れられ布を被せられた。日にちも時間もわからないまま船に揺られ、到着した場所でやっと覆いを外された時、目の前にあったものはみすぼらしい木造の小屋と花畑、そしてそれをぐるりと囲む高い塀だった。
    小屋には年齢がばらばらの十数人の男たちがいた。ある日突然連れて行かれてそれっきり帰ってこなくなる者もいるが、数日するとまた新しくやってくる。
    どうやら買い手がつくまで、または買い手がつかない者たちがここで強制労働をさせられているようだ。
    ルフィも最初の日にはあちこち体を引っ張られたりといろいろ調べられたが、伸びる以外は普通の子供と変わらないと見なされ、それ以来ここにいる。

  • 5二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:24:38

    >>4

    名前に1入れ忘れましたが1です

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:28:50

    続き待機保守

  • 7二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 22:30:08

    期待

  • 822/09/21(水) 22:47:34

    過酷な労働の為か倒れてしまった者がいた。ずいぶん弱っていて自ら立ち上がれないその者はそのまま監視役に引きずられて重い鉄門の外に出て行った。それっきりだった。
    数日後の夜、新しい男が入ってきた。少し白髪の混じる髪を後ろで束ね、苦しそうな顔は血で汚れている。大きなマントで見えないが体にも怪我をしているようだ。
    労働者の簡易ベッドが並ぶ部屋に放り込まれ、支えもなく床に倒れ込んだ。
    「おっさん、大丈夫か」
    そのまましばらく動かなかった男の元にルフィがやってきて声をかけた。
    「ほら、水。」
    「ああ坊主、すまねぇな…」
    ひとまず命に別状はないらしい。ルフィはほっと息をつき、笑顔になった。

  • 922/09/21(水) 23:13:29

    男の名はギード。海賊だったが戦いに敗れ捕虜になり売られてきたと言った。
    「へーっ!海賊なのかァ!おれも海賊になりたいんだ!」
    そう言ってルフィは目を輝かせた。
    「そんでおっさん、強いのか?」
    「ああ、強かったぞ。昔はな。」
    翌日、ギードに作業を説明しながら話を聞く。
    「今じゃ体が思うように動かなくてこのザマだが。」
    「じゃあ弱ェのか」というと歯を見せて笑った。
    劣悪な環境で働かされているにも関わらず少年の笑顔は明るく、ギードも思わず顔がほころぶ。

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 23:18:37

    どんな話になるのか気になる保守

  • 1122/09/21(水) 23:48:09

    「おれは絶対強くなってやる。強くなってここの奴らぶっ飛ばしてここから出ていくんだ。見てろ!」
    そう言うとルフィはぐるぐると腕を回し前方にパンチを入れる。すると腕がふにゃふにゃと伸び、拳が2mほど先にぽてん、と落ちた。
    「えええええええ!?!?」ギードは持っていた道具を派手に落とし、顎が外れる勢いで驚いた。
    ルフィはぱしっと音を鳴らせて腕を戻すと「おっさんうるせェぞ」と人差し指を唇にあてた。
    「お前ら!なに騒いでる!」
    「「すみません!」」
    監視をやりすごすと声をひそめてギードが言った。
    「あんなもんいきなり見せられたら誰だって驚くわ!何なんだお前は!?」
    「おれはゴム人間なんだ。このパンチだってきっと体がでかくなったらもっと強くなる!」
    「はぁ、なんか知らんがそういうもんなのか…?」ギードはしばし考え、
    「どっちにしても気をつけろ。それ、監視には見つかるなよ。」と言った。

  • 12二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 23:51:53

    期待(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

  • 13二次元好きの匿名さん22/09/21(水) 23:52:53

    なんで最近はルフィの奴隷概念をよく見るんだ?

  • 1422/09/22(木) 00:09:13

    「うわ、明るすぎるな…」
    今日は満月だった。雲もなく月の光は辺りを蒼く照らし出す。ルフィは深夜に小屋を抜け出し、菜園へと向かっていた。
    花畑以外に奴隷の食事用に小さな菜園がある。そこの野菜を目立たない量だけ盗み食いしているのだ。
    ゴムの体になってからやたらと腹が減るようになった気がする。ここの食事は粗末なもので量も少なく到底足りない。
    もちろん見つかればただでは済まないだろうが、ルフィは慢性的に空腹感を抱えていた。
    菜園の低い柵を超えようとした時、月の光がふっと陰った。振り返ると大男が立っていた。

  • 1522/09/22(木) 00:16:49

    今日はここまでです
    続きは明日の夜の予定です

  • 16二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 07:21:33

    待ち保守

  • 17二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 17:58:16

    保守ほしゅ

  • 1822/09/22(木) 19:32:06

    再開します
    次パート苦手な人はご注意ください

  • 1922/09/22(木) 19:35:52

    「オマエかぁ、野菜泥棒はぁ」
    そう言うと監視の男はルフィの襟首をつかみ、軽々と宙に持ち上げた。
    「放せ!」
    暴れるルフィを男はしばらくの間じっとりと眺めている。
    「オマエぇ、ゴム小僧だったなぁ」
    顔を近づけてそう言うと、頭をつかみ、細い首筋から頬にかけて舌で舐め上げていった。
    「ひっ…!」
    気持ち悪さと初めて感じる類の恐怖でルフィの喉が引きつる。
    男の手は恐ろしさでこわばる背中を這いその下のズボンの中に侵入していった。
    中をなで回し、まるい丘を揉むようにつかむ。
    「ふん…なんか変わった感触だなぁオマエ…こっちはどうだ?どれくらい伸びるんだ?」
    ショックに耐えられず震えだした小さな体に容赦をせず、肌をまさぐる指先はさらに奥へ進んでいく。

  • 20二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 19:38:39

    釜が煮えたぎってきた

  • 2122/09/22(木) 19:54:46

    頭の中が混乱と恐怖でいっぱいになり、何もできずされるがままになっていたルフィの体が一瞬、浮遊感に包まれた。
    その直後、倒れてきた大男の下敷きになっていた。男は気を失っている。
    体の下から這い出すと、目の前にはギードが静かに立っていた。
    「大丈夫か?」とルフィに手を差しのべる。
    安堵感からか、ルフィの目から大粒の涙が溢れた。そしてギードに抱きつくとこらえきれず大声で泣きだした。
    ギードは泣き声が響かないようにルフィの頭をやさしく自分に押しつけ、コートの裾で覆った。

  • 2222/09/22(木) 20:21:52

    小屋の近くまで戻り、腰をかけてルフィが落ち着くのを待っている。
    時折しゃくり上げながらルフィが言った。
    「おっさん…ヒック…あれおっさんが倒したのか…」
    「ああ」
    「剣もなにもないのに?…グス」
    「そうだ」
    「やっぱり強いのか?」
    「いや…今は不意打ちが精いっぱいだ」
    「昔はほんとうに強かったんだな…」
    「…まあな」
    ギードは空を見上げた、深く息をはいた。
    かつては海賊船の特攻隊長も務めたこともある。速さを重視する素手の打撃戦法を得意とし、体を鍛え上げ覇気も身につけていた。
    しかしある日関節に違和感を感じると、日を追うごとにそれが痛みに変わり全身の骨に広がっていった。
    動きが鈍り筋肉も落ち、とうとうザコ海賊にさえ討ち負かされるようになってしまった。

  • 23二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 20:26:58

    描写が生々しくていい…

  • 2422/09/22(木) 21:09:48

    隣が静かになった。
    「もう大丈夫か?」
    問いかけると、ルフィは地面を見つめながらこくん、と頷いた。
    「…これからは目立たないように土で顔と体を汚しておけ。服も大きめのボロをかぶって、
    姿勢と体の形を消せ。」
    ルフィは怪訝そうな顔をギードに向ける。
    「お前のあの拳ではだめだ。有効な技を出すにはまず自分の体を理解していないといけない。」
    すっかり泣き止み、何かを感じ取ったルフィは今度は正面からギードを見つめる。
    「これから少しずつでもいい。見つからないように体を鍛えろ。…俺が戦い方を教えてやる。」
    力いっぱい頷く小さな顔。
    「坊主…強くなれ」

  • 2522/09/22(木) 21:39:35

    今日はここまでです

  • 26二次元好きの匿名さん22/09/22(木) 22:50:59

    明日もあるかな?楽しみにしてる

  • 27二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 00:23:46

    ほしゅ

  • 28二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 09:07:00

    期待保守

  • 29二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 09:16:22

    タイトルがド直球だけどいいな

  • 3022/09/23(金) 14:26:28

    1ですがちょっと聞きたいことがあります。
    段落ごとに1行開けた方が読みやすいものでしょうか?
    他の方のSS見たらけっこう1行挟んでるのが多くて

  • 31二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 15:01:30

    今のままでも読みやすいのでスレ主さんの書きやすい方で書かれた方が良いかと思います。
    スレ主さんのSSを楽しみにしています。

  • 3222/09/23(金) 15:19:16

    >>31

    ありがとうございます!

    ちょっとこのままでやってみます

  • 3322/09/23(金) 17:39:06

    畑で働く奴隷たちは一応は売り物という扱いになる。
    物見やぐらと複数人の監視が常に見張っているが、歯向かうようなことをしなければここでは比較的自由に過ごせた。
    めったなことでは周りを囲む高い塀を超えられないということもある。
    朝仕事が始まる前と夜の食事の時に点呼があり、そこで奴隷の確認が行われる。
    小屋にはろくな照明も無く、食事が済み日が落ちると皆自分の寝床へと戻ってゆく。

    ルフィは日が完全に沈んだ頃、そっと抜け出し畑のあぜ道を全速力で駆け出して行った。
    小屋の近くでは見つかる恐れがある。それに走り込みは持久力を上げるのには最適だった。
    畑を突っ切り、高い塀の前に到着する。
    息を整えると上を見上げ、勢いをつけて腕を限界まで伸ばす。
    ルフィの手のひらは壁の真ん中より下あたりを叩き、戻っていく。
    「うーん、ぜんぜんだな」
    いつも、これをしてから鍛錬を始める。
    ギードの最初の指導で、まずは基礎体力を上げることに専念する。

  • 34二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 17:42:44

    面白い
    これは良スレ

  • 3522/09/23(金) 19:29:12

    「おいルフィ、ちょっとこっち来い。」
    一日の作業が終わり、各々が小屋に引き上げているところでギードが声をかけてきた。
    言われた通り顔を汚し、細い手首と足首しか見えていないぶかぶかの服を纏い猫背気味に歩くルフィが近づいてくる。
    ぼろ布を包帯代わりに頭に巻いている。ここまでするとまるで変装だが最近気に入っているらしい。
    ギードは手のひらほどの大きさの石を渡す。
    「あの木に当ててみろ。」
    ルフィは頷くと、石を握って姿勢を正した。
    「…おまえ、背伸びたか?」
    「え、そうか?」表情は隠れているが嬉しそうに笑っているのがわかる。
    構え直して投げる。石は的の木をそれて茂みに消えていった。
    「次は木までの軌道を考えて、筋肉の動きを感じながら投げろ。」
    少し考えて、投げる。今度は木をかすって落ちていく。
    「…うん、わかったよ、ギード。」
    そう言うと、ルフィは丁度聞こえてきた食事時間を告げる鐘の音の方へ走って行った。
    聡い子だ、とギードは思った。
    身体を動かすことに関しての感がいい。一を聞いて十を知ることもできる。
    人の目があるので大っぴらに指導はできないが、それでも言われたことを理解し、練習を積み上げていく。
    最近は畑の一番奥、ルフィの鍛錬場所に行くにはだいぶ体がきつくなってきている。
    だがギードが見ていなくても少しのアドバイスでルフィはどんどん成長している。

  • 36二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 20:38:24

    待ち

  • 37二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 20:43:47

    このレスは削除されています

  • 3822/09/23(金) 20:44:43

    >>34

    >>36

    ありがとうございますがんばります!

  • 3922/09/23(金) 21:27:24

    「なあ、おれやっぱりちゃんと見てもらいたいんだけど…」
    ある日、食事中にルフィが小さな声で言った。不揃いに切った前髪からのぞく目が真剣だった。
    ちなみに今のお気に入りは脱毛風ざんばらヘアーだ。
    ギードも直接指導がどれだけ重要かは承知している。しかし。
    「もう今は速く走れない。時間内に畑の端まで行って帰ってくるのは無理だ。」
    「おれが連れて行くよ。今のギードならいい重しになるしよ。」と言う。
    ルフィは冗談で言ったのだろうが、ギードはさらに痩せた自分の腕を見て少し困ったような笑みを返した。
    そして深夜。
    ルフィはギードを負ぶって走る。なるべく音をたてないように。なるべく素早く。
    「おまえ…なんか成長早くねえか?」ギードはルフィの力強さに感心しながら言った。
    これは鍛えた分だけ強くなりそうだ。体質的なものもあるのだろうか。
    「だっておれすげェ頑張ってるんだぞ!」褒められたと思ったのか、ルフィの声は嬉しそうだった。

  • 4022/09/23(金) 22:16:02

    畑の端に着いた。ルフィはさすがに息が上がりへばっている様子だ。
    ギードは塀を見上げている。
    「ちょっと見ててくれよ」呼吸が戻ったルフィはそう言うと腰を落とし空に向かって拳を構える。
    「はっ!!」
    掛け声と共に腕を勢いよく伸ばす。真っ直ぐに力強く伸びてゆき、もうすぐで高い塀の縁まで届きそうになった。
    「…大したもんだ」ギードは感心していた。
    「もうすぐなんだ、上まで届くの」
    最初は絶望的な高さだった。だが毎日少しずつ距離を伸ばし、あともう一息のところまで来ている。
    「これから訓練も見てもらってもっと強くなる。力もつける。」
    ルフィは塀を見上げて言った。
    背も伸びている。随分と逞しくなってきた。ギードは何故か、不思議な温かさを胸の奥に感じた。
    そしてそうか、もしかしたら父親というのはこんな気持ちになるものなんだろうか、などとと思った。
    「もうすぐだから。そしたら一緒に塀を越えて逃げよう。海へ出よう、ギード!」
    星空の下、ルフィは言った。その笑顔は初めて会った時の太陽のような少年の面影を残していた。

  • 4122/09/23(金) 22:22:14

    今日はここまでです
    再開はたぶん明日の夜です

  • 42二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 22:36:45

    ルフィがちょっとずつ成長してるのわかるのが面白い

  • 43二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 00:32:53

    すき

  • 44二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 00:34:34

    ずっと見てるけど話の展開が気になりすぎて毎回楽しみにしてる

  • 4522/09/24(土) 06:28:26

    感想ありがとうございます!嬉しいです保守

  • 46二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 16:30:33

    期待ほしゅ

  • 4722/09/24(土) 20:24:24

    再開します

  • 4822/09/24(土) 20:24:53

    深夜の鍛錬の日々は続く。
    今日もルフィはギードを背負い音もなく畑を疾走する。

  • 4922/09/24(土) 20:28:10

    ある日の深夜。
    「どうだ?」目の前の塀を見上げながらギードが言った。
    「ああ、いけると思う。」ルフィは胸の前でパキパキと指を鳴らした。
    念のためもう一度物見やぐらを見やる。あれは昼間の見張りの為のもので、夜は基本人がいない。
    今日、ついに塀の上に登ってみることになった。
    まずは塀の強度と越えた後の脱出経路の確認だ。下から想像する限りは塀の上には人ひとり乗れるくらいの場所はありそうだ。
    ルフィはひと呼吸つくと、両腕を引き絞り、一気に上へ放った。腕は真っ直ぐに進み塀の縁をがっちりと掴む。
    そのまま体を引き上げ、体勢を低くしてふわりと着地する。
    圧倒的な潮のにおいが吹きつけてきた。服の裾が強い風に翻る。
    長い間、思い焦がれた海が目の前に広がっている。
    群青色の空と一線をわかち穏やかにさざ波を立てている。
    月の薄明かりが困惑の色を浮かべたルフィを照らす。
    そこには、見渡す限りただ海しかなかった。

  • 5022/09/24(土) 20:58:20

    塀から降りてきたルフィは神妙な顔をしていた。
    「…ダメだ、ここからは出られない。」そして絶望的な声で言った。
    「なにを見た?」
    塀の上から見た景色は、一面の海だけだった。
    塀は海に向かって少し末広がりに傾斜をつけて建てられていた。そのため地面との境目を塀が覆うようになっている。そのすぐ下は断崖絶壁のようだった。
    さらに遠い水面の様子から畑のある地面が海の上に張り出していることがうかがえた。
    言うなればこの塀の下には人工と自然の二つのネズミ返しがある状態だ。
    ギードは塀に耳をあてて波の音を聞く。微かだが確かに大きな波が岩壁にぶつかり砕ける音がする。
    もし崖を降りられたとしても足場がない、か。
    ルフィはしゃがんで、意気消沈している。無理もない。
    もう少しで届くはずだった希望を絶たれたのだ。
    ギードも天を仰ぐ。
    「…ルフィ。今日は戻ろう。」
    ふたりとも今は言葉が出てこなかった。

  • 51二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 21:37:34

    ええ…そうきたか

  • 52二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 22:31:15

    このレスは削除されています

  • 5322/09/24(土) 22:32:31

    次から章が変わりそうなので今日はここまでです

  • 5422/09/24(土) 22:34:10

    1ですがセルフ突っこみ

    約ネバやんけーー

  • 55二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 22:38:10

    非常におつらい

  • 56二次元好きの匿名さん22/09/24(土) 23:18:35

    希望を見せておいて叩き落とすっていうのはあり

  • 57二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 10:13:11

    この展開いいね

  • 58二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 18:52:21

    保守るマン

  • 5922/09/25(日) 20:37:43

    再開します

  • 6022/09/25(日) 20:39:08

    ルフィはあれからずっと元気がない。理解はできるがあまりにも見た目にわかりやすかった。
    そんな様子を目の当たりにするのも中々つらい。
    ギードもあれからずっと考えている。
    脱出の計画をいちから考え直さなければならない。
    まずは今いる場所の地図を頭の中で再確認する。
    出入口はひとつ。大きな鉄門があり恐らくその先はそのまま波止場に続いている。
    この島はさほど大きくない。
    連れてこられた時に、目隠しはされていたが聞こえてくる音や距離などからここと海までの間には小さな集落があると思われる。
    規模の小ささから一般人は住んではいないだろう。
    つまり、門を出ることができたとしても周りは全員敵ということだ。

  • 61二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 20:39:27

    待ってた

  • 6222/09/25(日) 21:07:45

    畑の敷地内には建物は3つ。鉄門の向かって右側に石造りの大きな管理棟がある。窓の様子から牢獄も併設しているかもしれない。
    向かって左側に少し離れて奴隷たちの住居である木造の小屋、その隣に納屋がある。
    高い塀の後ろは断崖だが、門や建物の裏側は地続きになっているはずだ。やはり狙うのはそこしかない。
    だが、当然のごとく建物付近には監視が多く、交代で夜通し見張っている。また管理棟に何人いるかも不明。
    脱出はなるべく見つからないように監視を倒し、塀を越えて潜みつつ海を目指す。
    ギードはそこまで考えて、眉間にしわをよせる。
    そんなにうまくはいかないだろう。
    まず監視は複数いる。
    強くなったとはいえルフィと、すっかり弱ってしまった自分とだけで対処できるかわからない。応援を呼ばれるかもしれない。
    そしてもうひとつ。ここの監視たちをまとめているボスがいる。
    普段は管理棟にいると思われるこの監視長は屈強な筋肉が鎧のように体を覆う巨漢だ。おそらく一筋縄ではいかない。
    こいつが出てくる前に全てを終わらせなければいけない。
    考えれば考えるほど難しい。
    だが、どこかに解決策があるはずだ。
    あきらめてはいけない。

  • 6322/09/25(日) 22:09:07

    夜、今日は一人で行ってこいと最近気が乗らない様子のルフィをいつもの訓練に追い出すと、ギードも静かに小屋を出た。
    小屋の裏の茂みを身を隠しながら鉄門の方向へ向かう。
    視界が悪い。最近は伸びた髪をたらし、前髪などはほぼ顔の半分を覆っていた。
    「………」
    鉄門の周りはたいまつが焚かれ広範囲に地面をを照らしている。
    茂みから門とそれに続く塀までには距離がある。
    見つからずに行くのは無理だ。しかし速攻でルフィひとりだけならいけるだろう。
    後はせめて少しだけでも門の外の様子が分かれば…。
    焦燥感からか体を伸ばしてさらに様子を見ようとして気を散らしてしまった。
    「おい!おまえ!そこで何をしている!」

  • 6422/09/25(日) 22:25:08

    今日はここまでです

    実は昨日の断崖絶壁に凹む登場人物に引きずられてなぜか自分も凹んでしまい書くのが遅くなるという不思議なことになってました
    こんな変なこと初めてなのでちょっとびっくりでした

  • 65二次元好きの匿名さん22/09/25(日) 23:52:03


    次も楽しみにしてます

  • 66二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 07:02:24

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 17:35:51

    待機ほしゅ

  • 6822/09/26(月) 20:49:06

    再開します

  • 6922/09/26(月) 20:50:37

    見張りがふたり、剣を抜きながら近づいてきた。
    「出てこい!!」
    ギードは逡巡したが走っても逃げ切れないと判断し、ゆっくりと立ち上がった。
    「すみません…ちょっと夜風にあたりに出て…」
    「ちょっとでここまで門に近づく必要はねえよな?」
    見張りはギードの襟を掴みながら言った。そして茂みから引きずり出される。
    力任せに引っ張られ、ギードは地面に手をついた。
    「コソコソ隠れやがって、いかにも怪しいですって言ってるようなもんだろ!」
    言い終わると同時にギードの腹に蹴りが入る。たまらず横ざまに転がる。
    「なんだよコイツ、えらく弱っちいな。」
    「ヨレヨレじゃねぇか。これじゃ大した作業もしてねえだろ。」
    見張りたちは値踏みするようにギードを見下ろしている。
    「めんどくせえな、やっちまうか。」
    「だな。コイツは脱走しかけてた。で、理由は十分だ。」
    そう言ってひとりが腰から銃を抜いて構える。
    なんてことだ。一瞬の気の緩みですべてを台無しにしてしまった。
    ギードは銃口を見つめることしかできない。撃鉄を起こす音がする。

    すまない、ルフィ…

  • 70二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 20:59:30

    ダメだ!ギード!!生きろ!頑張れ!

  • 7122/09/26(月) 21:24:22

    びゅぅ、と風を切るした。
    その瞬間、銃口はギードから外れ、銃声と共に鉛玉は空に向かって放たれた。
    同時に銃を向けていた見張りが後方から長く伸びた拳を食らい、弾かれたように後方へ吹っ飛ぶ。
    影がたいまつの光を遮りギードを庇うように立った。
    「ルフィ!おまえ…」
    「わかりやすいんだよ、ギードは」
    ルフィはそう言ってもう一度拳を構える。
    もうひとりの見張りも銃を抜く。
    「くそぅ!なんだオマエ!」そう叫ぶと続けざまに撃ってくる。
    「ルフィ!」
    ルフィはそれをまともに受ける、が、ゴムの皮膚が弾をすべて飲みこみ、十分な反発を加えてはじき返した。
    「ば、バケモノか!!」見張りが後さずりながら叫ぶ。
    それを横目で見ながら、ルフィは振り向くとギードに向かって言った。
    「様子がおかしかっただろ。自覚ないのか?」

  • 72二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 21:27:52

    ドキドキ

  • 7322/09/26(月) 21:32:55

    >>71

    すいません1行目

    風を切る音がした。です…

  • 74二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 21:49:50

    このレスは削除されています

  • 7522/09/26(月) 21:56:40

    複数の影が管理棟のあたりで動いている。騒動を聞きつけて出てきたのだろう。
    「まずい、ギード、どうする?」
    「こうなったら仕方ない。強行突破だ。」
    ギードはルフィの腕をつかむ。そしてしっかりと目を合わせる。
    「いいかルフィ、よく聞け。今から全力で壁を越えろ。外へ出たらそのまま下って行けば港に出る。ただし島民全員が敵だと思え。できるだけ身を隠しながら進め。解ったか?」
    「え?」
    「おまえ一人で脱出するんだ。」
    「何いってんだ!?一緒に行くって言ったじゃないか!」
    「おまえの能力がバレたんだ。チャンスはもう今しかない。俺は行けない。」
    男たちが何人も武器を手にこちらに向かってくる。
    「時間がない!行け!!」そう叫んで、ギードはルフィを突き放す。

  • 7622/09/26(月) 21:59:36

    訂正あったので上げなおしました
    今日はここまでです

    スレ注意喚起の種類で閲覧だけでなく胸糞注意ってあることをさっき知りました
    すみませんちょっとだけそんな感じかもしれません…

  • 77二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:05:33

    ギードとお別れなの悲しい
    明日も楽しみにしてます

  • 78二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:27:15

    おれの感情が上がったり下がったりして忙しい

  • 79二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 07:28:30

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 16:11:32

    保守

  • 8122/09/27(火) 20:42:14

    再開します
    いつも感想と保守ありがとうございます

  • 8222/09/27(火) 20:44:08

    「嫌だっ!!!」
    真っ正面からそう叫び返すと、ルフィはギードを担ぎ上げ塀に向かって全力で走り出した。
    「おいやめろ!降ろせ!」
    「うるせェ黙ってろ!!」
    「なっ…!おまえ…!」
    塀までもう少しのところで追いかけてきた男たちに行く手を阻まれる。振り返ると後ろにも回り込まれている。
    ルフィはひと睨みすると、ギードを担いだまま強烈な蹴りを繰り出す。伸びた足は重くたわみぐるりと大きな円を描きながら全員をなぎ倒した。
    悲鳴が消える間もなく新手がぞくぞくと向かってくる。
    ルフィは一度ギードを降ろすと、数歩踏み込んで勢いを乗せた両手で連続パンチを放った。
    相手は近づくこともできずに吹っ飛んでいく。
    強い。今のルフィはギードが思っていたよりはるかに強かった。

  • 83二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 20:44:10

    ワクワク!

  • 8422/09/27(火) 20:55:02

    「よし!行くぞ!」
    戻ってきた拳に重心を預け振り向きざまルフィが言った。
    「ああ…!」ギードは頷いて塀に向かう。
    鉄門に繋がる塀は畑の端のものよりやや低い。これならいける。
    ルフィは思いっきり腕を伸ばし、塀の縁をつかむ。
    反動に体を浮かせながらもう一方の腕を伸ばし、ギードを抱え込む。
    その時、背後で気配がした。
    よけられなかった。息がつまるほどの激しい衝撃を背中に受け、ルフィの手は放れそのままかなりの距離を飛ばされていく。
    ガラン、と音を立てて禍々しいとげをつけた大きな刺股が地面に落ちた。
    「ルフィ!!」
    ルフィは大きくせき込みすぐには立てない様子だ。
    振り向くとそこにはたいまつの光を背にした巨大な影。監視長がギードを見下ろしていた。
    「おまえか?脱走者は。」
    その声はまるで地獄から響いてくるようだった。

  • 8522/09/27(火) 21:12:06

    監視長は刺股を拾うと、ギードの腹を突きそのまま宙へ持ち上げた。
    とげが皮膚に食い込みギードはうめき声をあげる。
    「ギードを放せええええ!」ルフィが叫びながら走ってくる。
    スピードを乗せたパンチが監視長の顔面を狙う。だが飛んだ拳は片手で弾き飛ばされる。
    ルフィは間髪入れずに振りかぶった蹴りを脳天に落とす。それも紙一重でよけられ、かかとが地面に穴を穿った。
    監視長はその足を踏みつけ、反動で飛んできたルフィの体を鷲づかみにするとそのまま地に叩きつける、と、寸前で身を翻しすり抜けたルフィは地面を蹴って飛び上がり、監視長の顎を両手でつかんだまま伸びあがると大きく弧をえがき遠心力に体重をかけ無防備な延髄めがけて渾身の膝蹴りを叩きこんだ。
    めりっ、と嫌な音がした。
    さすがに効いたのか刺股を持つ手が緩み、ギードが地面に落ちる。
    「ギード!走れ!」ルフィが叫ぶ。

  • 8622/09/27(火) 21:15:14

    今日はここまでです
    いつもちょっとずつですいません

  • 87二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 21:19:17

    >>86

    毎日の楽しみとしているので、むしろ有難いです。今日のも面白かったです。このルフィ今何歳なんだろう?

  • 8822/09/27(火) 21:23:31

    >>87

    ありがとうございます

    実は書いてる方もよくわかってないです

    だいたい11、12から14、15の間くらい?かなぁ?

  • 89二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 21:28:27

    更新乙です!

  • 90二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:55:47

    戦闘シーンいいね

  • 91二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 07:18:39

    保守

  • 92二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 16:59:12

    応援保守

  • 93二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:11:46

    保守

  • 9422/09/28(水) 21:08:23

    再開しまーす

  • 9522/09/28(水) 21:10:17

    ギードに続こうとしたルフィの目の前に、轟音と共に刺股が振り下ろされた。
    「逃がすか、この野郎!」
    ルフィは拳を握り直すとそのまま監視長と睨み合った。
    「ルフィかまうな!逃げろ!」
    ギードは焦った。あれは覇気を使う。今のルフィでもさすがに分が悪い。
    …目をそらしたら一瞬でやられる。ルフィの本能がそう告げていた。
    じりっ、足先が踏み出す一歩を探る。
    張りつめていた空気がわずかに揺らいだ。
    ルフィは踵を返すと全速力で走り出した。
    横殴りに刺股が飛んでくる。高く飛び上がりそれをかわす。
    「…ッ!!」
    監視長が目の前に迫っていた。あの巨体から想像できない速さで追いつかれていた。
    そして超重量級の回し蹴りが空中で逃げ場のなかったルフィの横腹を直撃した。
    ルフィの体は激しく地面にぶつかり勢いで広場の真ん中まで飛ばされていった。

  • 9622/09/28(水) 21:20:51

    ダメージが大きくルフィはうずくまり激しく肩で息をしている。
    監視長は歩み寄り、立ち上がる隙も与えず今度はがっちりとルフィの胴をつかんだ。
    一撃を入れられたことに激怒しているのか阿修羅のごとき形相だ。
    宙に持ち上げられながらもルフィは気迫で睨み返す。
    「放せっ!この…!」
    ルフィは自由な腕を思いっきり後方に伸ばして振りかぶる。
    「…このクソガキがぁああ!」
    怒号と共に監視長はその腕をつかみその反動ごと振り回し、そのままルフィの体を畑用の貯水槽の中へ叩き込んだ。
    激しく水しぶきが上がる。
    ルフィは一度顔を上げもがき激しく息を吐いたがまたそのまま沈んでいく。
    「ルフィ!!」
    ギードは後からやってきた男たちに取り押さえられながら叫んだ。
    「おい!そいつを助けてくれ!!そいつは…早く!」

  • 9722/09/28(水) 21:32:32

    息が苦しい。体に力が入らない。ごぼ、と肺にあった空気が全部出ていく。目の前を大量の気泡が昇ってゆく。
    何かが水面に影を落とす。と同時に大きな手に首を絞められ、そのまま水の中から引きあげられた。
    遠くでギードが何か叫んでいる。怪力で喉を塞がれ気管に入った水が行き場を無くし胸を刺す。
    「やっぱり能力者か。オマエらこれがダメなんだよな。」
    そう言うと、また水音を立てて水槽の中に沈められる。
    と、監視長はルフィの体が弱弱しく揺れているさまに何かを見とがめると、何度か水の中で揺さぶった。
    そして再び持ち上げると水を含んで重くカーテンのように垂れ下がった服を引きはがした。

  • 98二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 21:36:20

    更新感謝

  • 9922/09/28(水) 21:46:56

    たいまつの火に照らされて日に焼けていない均整のとれた上半身が露になった。
    水にさらされて汚れの落ちた体はには細身だがしっかりした筋肉が浮き出ている。
    そして一目でわかる、これは労働用ではない、戦うために作られた肉体。
    「てめぇら…いつから逃げる計画をしてたか知らんがここで終わりだ。」
    さらに首を締めあげられ、ルフィの動きが鈍くなる。
    「おい!誰か!海楼石持ってこい!一番純度の高いやつだ!」
    「監視長、こいつはどうしますか?」ギードを抑えている男が言った。
    「…まだ殺すな。とりあえす足枷だけつけて小屋へ戻しておけ。」
    監視長はルフィを睨む。
    「舐めたマネしやがって…このままで済むと思うなよ。」
    そう言って再びその体を水の中へ放り投げた。
    「こいつを見張れ。拘束した後は石牢の方へ移しておけ!」

    空が白みはじめていた。
    淡い光は収穫期が近づく畑の影を映し出す。
    枯れ落ちた白い花弁の残骸がグロテスクに膨れた子房にはりついている。
    風が吹き、それらが立ち枯れ針金のようになった葉とぶつかり合いざわざわと硬い音を立てた。

  • 10022/09/28(水) 21:57:09

    いつもありがとうございます
    今日はここまでです
    次はちょっと遅くなるかもしれません
    明日1レスでもできたら上げます

  • 101二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 21:59:55

    >>100

    いつも楽しく読ませていただいてます。このレスを落とさないようにしますので、そちらのペースで書かれてください。

  • 10222/09/28(水) 22:03:21

    >>101

    ご協力ありがとうございます!うれしくて泣きそうです。。。

  • 103二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 00:11:35

    また希望がなくなってる

  • 104二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 11:07:31

    先がすごく気になるけど気長に待ってます保守

  • 105二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 15:37:48

    首を太くして保守

  • 106二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:09:48

    緊迫した展開になってる…ドキドキ保守

  • 107二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 22:33:59

    再開です
    が、今日はひとつだけですスミマセン
    続きは明後日予定です

  • 108二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 22:34:39

    管理棟の中、小さな明り取りの窓しかない廊下。
    ルフィはふたりの男に両腕をとられ、半ば引きずられるように歩く。
    連れてこられたのは石壁の牢屋だった。鉄格子が開き、中に突き飛ばされる。
    足元がもつれ、バランスを失うと奥にあった鉄の簡易ベットに背中を打ち付けた。
    海楼石の手錠をかけられていて、体にうまく力が入らない。
    男たちは厳重に鍵をかけるともと来た廊下を戻って行った。
    ルフィはひとまず現状の確認をする。
    海楼石は生まれて初めて触った。触れているのは手首だけだが、全身まんべんなく力が抜けている。おぼつかないが歩くことはできる。
    さっき打った背中に痛みはない。これはいつも通り。ただ戦闘中監視長から受けた傷はまだ疼く。
    かび臭い石牢は三方と正面の半分が壁で、鉄格子部分は普通の金属のようだ。
    ルフィはベッドに腰かけると暗い天井を見上げてため息をついた。
    廊下の奥で扉が開く音がする。
    影が3つ、こちらに近づいてくる。

  • 109二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 08:29:43

    保守支援

  • 110二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 16:04:01

    保守

  • 111二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 22:34:48

    保守

  • 112二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 03:41:22

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 11:46:27

    ホシュホシュの実

  • 114二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 21:26:49

    ほっしゅ

  • 115二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 22:09:00

    このレスは削除されています

  • 11622/10/01(土) 22:30:35

    再開します
    少なめです

  • 11722/10/01(土) 22:32:37

    監視長と大柄な男、そして先ほどルフィを連れてきた男だ。
    ルフィの様子を確認すると、監視長が言った。
    「能力者ということを忘れるなよ。手錠は絶対外すな。」
    「おい、ギードはどうなった!?」ルフィが監視長に向かって吠える。
    「どうもしてねえよ。だがオマエが余計なことをするなら命の保証はない。」
    ルフィはなす術もなくぎりっと奥歯を嚙みしめた。
    「じゃあいう事聞いたらギードは助けてくれるんだろうな?」
    「そんな事はひと言も言ってねえ。何勝手に話作ってんだこのサル」
    監視長は大男の方に向き直る。
    「コイツは置いておくと面倒なだけだ。間に合うなら次の船で出荷する。最短で調整しておけ。」
    そう言って頭を下げる大男を残し去って行った。
    残されたふたりが牢の中へ入ってくる。
    男の巨体は廊下から射すわずかな光を遮った。

  • 11822/10/01(土) 22:41:05

    「久しぶりだなぁ…小僧」
    少し怒気を含んだ声でそう言って近づいてくるが逆光で顔がよく判らない。
    「…まぁ、覚えてねぇか。俺はぁオマエのせいでこの薄汚ぇ牢の看守に格下げされたんだよ…」
    緩慢な口調にかぶさるように迫る影。
    ルフィは目を見開く。昔の、満月の夜を思い出した。
    本能的に応戦しようと腰を浮かしたところを平手で張り飛ばされた。
    「あの時の礼だよぉ。まぁこんなんじゃ効かねぇだろうがな。」
    そう言うと大男は倒れたルフィの顎をねじるようにして口を開けさせると太い指を奥まで突っ込んだ。
    咽に一瞬ざらりとした感触を感じるとそこから刺すような強烈な苦みが口中に広がった。
    大男は暴れるルフィの顔を指が入ったままでベッドに押さえつけ、のどぼとけが上下し嚥下を確認してから手を離した。
    咽の奥の刺激がひりつく熱にかわり身体中に逆流する。脳のすべての血液が下がっていく感覚。視界がチカチカと瞬き窓から漏れる小さな光が目を射抜く。
    次第に熱くなる体内と反比例してどんどん冷たくなる皮膚は粟だち、毛の一本一本が感じられるほど過敏になる。
    「な…何をした…!?」
    異様な感覚に顔を歪めながら問う。
    「何って…言ってたろ…最短コースだよぉ」
    そう言うと大男はルフィの頭をつかみ、首筋を舐め上げた。
    感じたことのない生温い何かが皮膚の下をびりびりと這っていく。
    「だいぶ経っちまったが…続きをしようかぁ、ゴム小僧ぉ」

  • 11922/10/01(土) 22:41:51

    今日以降は苦手な人は全力で逃げてください

  • 120二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:47:53

    出荷という不穏なワード出てきた…次も楽しみ

  • 121二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 14:38:17

    保守

  • 12222/10/02(日) 21:34:23

    再開します
    次のテレグラフパートは閲覧注意
    飛ばしても話繋がるので大丈夫です

  • 12322/10/02(日) 21:34:34
    no titleあの日何をされたか、今何をされているかはもう理解できる。

    男の手が執拗に体を撫でまわす。何かを確認するように念入りに。

    脈が速くなる。その度に敏感な皮膚はすべてを感じざわざわとその波を伝え体が跳ねように反応する。

    危険回避の本能が溶かされる。それよりも初めての快楽に飲みこまれていきそうな自分に旋律した。

    「やめろ…ッ…」

    手は止まらない。

    首筋から背中、胸を這う舌と手が戦闘の傷をさぐり、握り潰す。

    激しいその痛みさえ熱に包まれ、別の甘い波動に変わる。抵抗の声は荒い息に押しつぶされる。

    そして後ろから抱えられ、膝立ちになった股の内側をゆっくりと撫でられるとたまらずにわわななくような声が漏れる。

    男の手は止まらず、股間にある大きくなったモノを握り、扱きはじめた。

    腹の中の熱が渦まき膨れ上がる。

    震え、快感からの逃げ場を探してのけぞった体は男の荒い息を受け、そのまま舌で耳の穴を犯される。

    「い、嫌だ!…いや…あああっ…!」

    我慢できずに腰を突き上げ熱いものを放出する。何度か繰り返し壁とベッドを汚す。

    腕を離され、力なく前のめりに倒れると今度は腿を押し上げられ開いた足の間に男の体がこすりつけられる。

    背中に悪寒が走…
    telegra.ph
  • 12422/10/02(日) 21:43:09

    あれから何時間経ったかわからない。
    手をかけ行われた行為は体の気力をすべて奪い、海楼石の手錠がなかったとしても少しも動けない状態になっている。
    異常に咽が乾き、体が重く、眠い。
    肌が汗ばんでいる。皮膚の感覚は正常になっていた。
    自分の浅い呼吸音を聞いていると、廊下から声がした。
    「もう船が戻ってる。明日の昼過ぎには出航だそうだ。そっちはどうだ?」
    問われた男はルフィの背骨を指でなぞる。
    「あっ…」動かない体が背中を反らし無意識に声が漏れた。
    「あぁ、いつでも出荷できるぞぉ」
    大男は出ていき、牢には再び厳重に鍵がかけられた。
    希望が閉ざされる音を聞きながらルフィは泥のような眠りに落ちていった。

  • 125二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 07:50:47

    ほしゅ

  • 126二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 12:12:27

    ほしゅほしゅ
    続き楽しみ

  • 12722/10/03(月) 21:18:28

    再開します

  • 12822/10/03(月) 21:21:10

    何か物音がしたような気がして目を覚ました。
    外が騒がしい。窓から射す光が赤みを帯びている。夕日だろうか。
    ルフィは上体を起こし様子をうかがう。体はまだ重いが動ける。
    突然、奥の扉が大きな音を立てて開き、外から人が悲鳴を上げ跳ね飛ばされてきた。
    それに続いて細い体躯の男が入ってくる。
    「ルフィ!」
    男が叫ぶ。ギードの声だ。
    「ギード!…!?」
    だが近づいてくるその姿に強烈な違和感と不安を覚える。
    いつも羽織っている外套はなくシャツ1枚の姿。両手に下げているカトラスにはべったりと血糊がついている。いつもたらしていた髪を一つに束ね、顔には仮面のようなもの。
    そして背を伸ばし、こちらに走り寄る姿。
    「ギード!」
    ルフィは鉄格子をつかむと叫んだ。
    「ルフィ…大丈夫か?」
    ギードは近づくとルフィの手に触れて言った。
    ルフィはギードのあまりにも異様な姿を目の当たりにして言葉を失う。

  • 12922/10/03(月) 21:30:19

    「ギード…どうしたんだ…その…」驚きに咽をつまらせながら聞く。
    「これか?海賊なんだ。得物くらい使える。」そう言って血まみれのカトラスを目の前でゆらす。
    「…違うだろ…どうしたんだよ」
    冗談を言ったつもりだったのだろうか。ギードの薄く笑う唇の端には血の泡が貼りつき、真っ白な肌に際立っている。
    遠目で仮面に見えたものは顔の半分を覆う、まるで白い絵の具で塗りつぶしたように変色した肌だった。
    目は充血し瞳孔が開いている。動くと激痛がするはずの体には筋肉が張り、ひとまわり大きく見えるほどだ。
    そして吐く息からはひどい刺激臭がする。いやというほどよく知っている匂い。
    「花を…食ったのか?」
    ルフィはがくりと膝を落とす。
    「何やってんだよバカ野郎!…なんでだよ!!…そんなことしたら…」
    「いいんだよ。今だけもてば。」
    ギードははだけたシャツの下、胸のあたりまで白く変色した肌を血で染まった手でさすった。
    「黙っていてすまなかった。俺はもう…長くない。」

  • 13022/10/03(月) 21:33:18

    今日も少なめですっ

  • 131二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:34:33

    ギードどうなるんだっていうかどうなってんだ??

  • 132二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 08:36:43

    保守

  • 133二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 15:25:55

    保守

  • 13422/10/04(火) 19:35:12

    1です
    すみません更新明日になりそうですー!

  • 135二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 19:41:00

    >>134

    保守しますので無理なさらず〜

  • 136二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:20:37

    保守しますね

  • 137二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 08:40:13

    ほしゅ

  • 138二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 17:35:42

    ほしゅ

  • 13922/10/05(水) 21:34:04

    再開します

  • 14022/10/05(水) 21:36:45

    ———数刻前。
    監視長と男が数人、空の荷車を連れて鉄門から出て行った。
    奴隷商の船が帰港したのだ。
    ギードは閉じた鉄門と管理棟を見やった。
    ルフィは今あの建物の中にいる。海楼石で拘束され自由を奪われて。
    船は早ければ明日には出航するだろう。それにルフィが乗せられてしまうかもしれない。
    自分がしくじったせいで唯一の脱出の機会を潰してしまった。
    ギードは激しい自責の念に駆られる。
    …おれも海賊になりたいんだ!
    そう笑顔で言った少年の顔を思い返していた。
    つまらない場所で空虚の中人生の最後を迎えるはずだった自分に訪れた温かい感情。
    ギードは自分の体を確認する。
    拳を握り、開いてまた握る。
    足元を確認する。
    足首に嵌められた枷は歩ける程度の短い鎖で繋がれている。
    その日の作業終了を告げる鐘の音が響いた。
    見上げると夕焼けが空を赤く染めている。
    「ちゃんと海へ出してやらないとな。…何が何でもだ。」
    一か八かの賭けになるだろう。だがギードは覚悟を決めた。

  • 14122/10/05(水) 22:01:12

    幻子草と呼ばれる薬草の突然変異株。広い花畑の正体だ。
    正常な体に害が及ぶほどの強力な筋肉増強剤の原料になる。
    そしてその製造過程では副産物として覚醒効果のある物質が精製される。なおこれは原材料の状態で子房に含まれる猛毒が抽出の際化学変化を起こして出来る。
    当然、世界政府ではこの危険な植物の栽培、所持を禁止している。
    ここでは高い塀に隠されて幻子草の不法栽培と密売が行われており、ほとんどの奴隷は自分が育てているものが何かも知らずに畑で働いている。
    ギードは海賊になる前は商船に乗っていた。父親が貿易商だったのだ。幻子草については違法商品として知識だけはあった。
    それが今、目の前に収穫を待つ姿で風に揺られている。
    作業を終えた奴隷たちが小屋へと戻っていく。
    早くしないと監視に見とがめられる。
    ギードは子房だけになった花を数本引き抜いた。
    そして躊躇いなくすべて口に入れて咀嚼した。

  • 14222/10/05(水) 22:47:43

    口内に充満する激しい苦みと刺激臭に体を折って耐える。そして猛烈な吐き気に襲われながらもすべて飲み下す。
    たまらず地面に手をついた。口から垂れた涎に血が混じっている。
    心臓の音が耳元で鳴り響く。体中の血液が沸騰し頭が爆発しそうだ。
    空は赤く燃え上がり目の前に落ちてくる。
    駆け巡る血流が慢性的な骨の痛みを洗い流してゆく。
    こんな時なのに思わず口元がほころんだ。
    体中どこにも痛みを感じない。これで動ける。ギードは立ち上がった。

    「おいそこ!早く戻れ!」見張りのひとりが怒鳴った。
    ギードはゆっくりと歩き、すれ違いざまに相手に当て身を入れる。
    異変に気付いたのかもうひとりの見張りが近づいてくる。
    それに向かって一足飛びでぶつかると喉元に肘鉄を食らわす。
    力がある程度戻っていた。筋肉が上気している。
    倒れた男からカトラスを取り上げ、両足を繋いでいる鎖を断ち切った。
    ギードは辺りを見回すと、次の追手が来る前に素早く納屋へと向かった。

  • 14322/10/05(水) 23:27:49

    いつも保守ありがとうございます
    今日はここまでです
    ギードおっちゃんはほんとは強いのです

  • 144二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:38:16

    投稿お疲れ様です。花の正体、かなり厄ネタですね。もしかしてルフィもこの花で精製された薬を飲まされたのか?

  • 145二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 00:15:02

    このレスは削除されています

  • 146二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 08:36:21

    俺は不当な読者なので出荷調整済のルフィさんがおいくら万ベリーで買えるのかちょっと気になった

  • 147二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 18:21:20

    保守

  • 148二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 18:22:22

    彼岸島編も楽しみにしてるわ

  • 14922/10/06(木) 21:46:48

    再開します

    原料出荷元なので精製された製品はなんとなく常に島にはあるイメージですね
    ルフィおいくら万円だろう?でもヒューマンショップとかじゃなくもっとアングラな市場で売り出されそうなイメージ
    あとネタバレになりますがゾンビは出てこないです

  • 15022/10/06(木) 21:51:46

    納屋の前には作業道具を撤収し扉に鍵を閉めようとしていた見張りがいた。
    こちらを見て驚いた顔をしたが声を上げる前に切り捨て、中に入る。
    さすがに騒ぎになるだろう。ここからは時間との勝負だ。
    ギードはランプ用の油を持てるだけ抱えると外へ出た。
    急いで今来た道を戻り、畑に向かって油を撒き散らし、火をつけた。
    炎が燃え広がるのを確認する。管理棟を見るとこちらに向かってくる男たちが見えた。
    外套を脱ぎ捨て、シャツの前をはだけさせると、髪をかき上げ、後ろでひとつに束ねた。
    「…刃物はあまり得意じゃねえんだがな。」
    そう言って武器を握り直すと、男たちめがけて走り出した。

  • 15122/10/06(木) 22:11:47

    畑に火の手が上がっている。
    管理棟から走り出てきた男たちが口々に叫んでいる。
    「大変だ!急げ!」
    「早く火を消せ!!」
    「なんだあいつは!?」
    畑の方から走ってくる影が先頭にいた男を蹴り倒してこちらに突進してくる。
    「奴隷が逃げた!捕まえろ!」
    さらに数人を倒して進み、それは一度足を止めてぐるりと周囲を見回した。
    「まて、なんだあの体は!?」
    「あれは…珀鉛病!?」
    「なんだと!?気をつけろ!伝染るぞ!」
    一国を滅亡に追い込んだ伝染病といわれている珀鉛病。男の身体の大半を占める白い肌がその特徴を顕著に表していた。
    ギードは取り巻いていた男たちが後さずるのを確認すると構えを解きまた走る。
    敵のほとんどが避けてゆき、向かってくるものは数人だった。
    それをなぎ倒して管理棟を目指した。

  • 15222/10/06(木) 22:35:42

    短いですが今日はここまでです

  • 153二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:42:08

    えっ白鉛 えっ

  • 15422/10/06(木) 22:57:47

    あっなんかごめんなさい
    ちょっと架空設定あります
    終わったら説明追加します

  • 155二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 04:41:34

    保守れす

  • 156二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 10:00:44

    保守

  • 157二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:22:00

    ギードのおっちゃん頑張ってほしい…保守

  • 15822/10/07(金) 22:14:35

    再開します
    今日はひとつだけと、次が明後日になるかもです

  • 15922/10/07(金) 22:19:44

    石牢の前には束の間の静寂が訪れていた。
    ルフィは下を向き、ギードを見られないでいる。
    「いいんだよ。どのみち死を待つだけだった…だから、泣くな。」
    ギードは不治の業病をフレバンス出身の母親から引き継いでいた。母親がこの病で死んだ時は自分には関係ないものだと思っていた。
    だが、彼女が国を離れたのちに生まれた自分にも白い死神の顎は届いていた。
    「さあ手を。ここから出るぞ。」
    ギードはそう言うと鍵を取り出し海楼石の手錠を外した。
    石牢を出ると開け放たれた奥の扉、さらに向こうから人がやってくる。
    「大丈夫か?」ギードが聞く。ルフィは両手の平で顔をこすりながら頷く。
    「なるべく応戦せず外に出ることに専念しろ。行くぞ!」
    そう言って走り出したギードは、言葉とはうらはらに向かってくる敵を手早く、確実に倒していく。
    出口に通じる角の廊下にあの大男が倒れていた。首から袈裟がけに斬られている。
    ルフィは一瞥し、振り返らずにギードの後に続いた。

  • 160二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 06:31:28

    ほしゅ

  • 161二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 17:20:15

    保守

  • 162二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:16:02

    保守

  • 163二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 08:38:15

    ほしゅ

  • 164二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 17:12:59

    保守

  • 16522/10/09(日) 21:26:52

    再開です

  • 16622/10/09(日) 21:28:44

    外に通じる扉に着くと、一度物陰に隠れ外の様子を窺う。
    激しく煙を上げる畑の消火に右往左往している中、出入口を遠巻きにして様子を窺っている者たちが数人いる。
    「今なら混乱してるうちに出られるだろう。」
    ギードはルフィに向き直った。
    「戦えるか?」
    「ああ、いける。」
    ルフィはばん!と胸の前で拳をたたき気合を入れる。
    「ルフィ。次はもし何かあったとしても、その時はひとりで行け。」
    「ギード…」
    幻子草については前に教えてもらっていた。毒のことも。どれだけ危険かということも。
    「そんな顔するな。もしもだ。」
    そう言ってギードはルフィの頭をくしゃくしゃと撫でた。
    「大丈夫だ。おまえはもう強い。」
    そうじゃない。だがルフィは何も言えず、ただ無力感をかみしめていた。

  • 16722/10/09(日) 21:43:17

    「真っすぐ門へ走れ。そこが最短距離だ。行くぞ!」
    ギードは出入口から飛び出す。
    「出てきたぞ!!」
    正面で声を上げた敵を片手でいなすと続いて斬りかかってきた相手の顎を蹴り砕く。
    ルフィはギードが開けた道を走り抜け向かってくる敵を殴り飛ばして進む。
    ふたりは門前を守る敵陣に突っ込んでいき次々と倒してゆく。
    ギードの動きはまるでネコ科の猛獣のように高く飛び素早く移動して相手を仕留めていった。
    「ひ、ひいっ!」
    ルフィは鉄門の前にいた敵を殴り倒し、塀の低い部分を探る。
    「ギード!こっちだ!」
    ギードはまとわりつく最後の敵を昏倒させるとルフィの方へ駆け寄ろうとする。
    「…!」
    しかしその足が止まる。
    鉄門が開きかけている。

  • 16822/10/09(日) 22:51:29

    動いた、と見えた瞬間、鉄門は弾かれたように開き、十数人の敵が走り込んできた。
    そして最後に監視長が姿を現す。火事の連絡を受け戻ってきたのだ。
    「なんだこのザマは!」そして門内の惨状に怒声を上げる。
    目の前のギードを憤怒の目で凝視する。
    「貴様か…この死にぞこないがあっ!!」
    「ルフィ!行け!!」
    叫びざまギードは打ち下ろされた刺股を後ろに飛んで避ける。間髪入れずに二撃目が襲う。
    「ギード!」躊躇うルフィの方へも追手が迫る。
    監視長の猛攻はじりじりとギードを鉄門から離していく。
    「こいつに火矢を放て!逃がすな!」手下に命じるとさらにギードとの距離を詰め強烈な一発を放つ。
    激しい衝突音がしてギードの体が吹っ飛ぶ。が、すぐさま立ち上がる。
    その手と足には武装色を纏っていた。ギードは握っていたカトラスを捨てる。
    そして低く構えると頭を狙ってきた刺股をかわし地を蹴り監視長に飛びかかった。

  • 169二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:55:22

    バトル描写書けるのすごいわ… 尊敬…

  • 17022/10/09(日) 22:59:39

    今日はここまでです


    >>169

    きゃぁぁありがとうございます!苦手なので時間かかるのに次回もあるのですが書く元気がでました!がんばれます!

  • 171二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 08:50:49

    保守

  • 172二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 14:59:49

    保守

  • 173二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 20:58:39

    再開です
    今日はひとつだけかもです

  • 17422/10/10(月) 21:02:07

    監視長の懐に飛び込みざま叩きつけた拳を正面で受けられるが、すかさず放った回し蹴りがこめかみを捉えた。大きな体が一瞬傾いだ。
    多少は効いているようだが頑丈さが普通でない。
    そして振りかぶって目の前に突き出された刺股に再び距離をとられる。
    「くそっ!おまえら邪魔だァ!」
    ルフィは群がる敵を蹴散らしながらギードの戦いを横目で見る。鉄門からは新手も入って来ている。
    ギードは横へ前へと移動しながら攻撃の隙をうかがうがリーチのある武器との攻防に機会を阻まれる。
    突然、ギードの胸を爆発するような痛みが襲い、大きくせき込むと大量の血を吐いた。
    それを見逃さず、監視長は前へと踏み込み薙ぎ払うように刺股を振るう。
    ギードは間一髪でそれをかわすと後方へ転がる。見失わないよう相手を見据えるが息が荒くなり脂汗が大量に流れだす。限界が迫っている。
    獲物を捕らえ損ねた凶器は大きく回転し力をためている。
    次の一手がくる――

  • 175二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 22:47:06

    まってました!

  • 17622/10/10(月) 23:16:46

    ごぅ、と音がして斜め上から刺股が振り下ろされる。
    避けきれない、と思った瞬間何かが目の前で鉄の塊とぶつかった。
    走り込んできたルフィがほとんど体当たりのような蹴りで弾き飛ばしたのだ。
    だがその反動でルフィも元来た方向へ飛んでいく。もんどりうって着地すると同時に監視長目がけ弾かれたように駆け出した。
    「うおおおおおお!!」
    腕を引き絞り加速して飛び上がる。
    そして鋭い目つきを投げる監視長の鼻先を通りすぎ、まだ構えきれていない刺股の先端に飛びつき全体重と遠心力をかけて振り回した。
    「なにっ!?」
    勢いにつられ監視長の体が開く。
    ギードはそのチャンスを見逃さなかった。
    一瞬にして高く舞い、無防備になった監視長のこめかみに今度は重い蹴りを叩き込んだ。
    巨体はうめき、片膝を折り手は武器から離れそのまま地面をつかんだ。
    ルフィはギードに駆け寄り並び立つ。

  • 17722/10/10(月) 23:22:04

    >>175

    お声でもうひと押しがんばれました!

  • 178二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 08:49:30

    楽しみ保守

  • 179二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 14:58:01

    保守

  • 18022/10/11(火) 21:46:34

    再開します

  • 18122/10/11(火) 21:48:18

    監視長はぶるんと頭を振ると立ち上がった。
    ——こいつさえ倒せば他はなんとでもなる。
    一歩踏み出そうとした瞬間、ルフィは気配を感じ腕を大きく打ち払った。燃える矢が地面にばたばたと落ちる。
    ルフィはギードを見やる。衣服から漂う匂い。
    風を切り火矢が続けて飛んでくる。ルフィはギードを庇ってそれらを薙ぎ払う。
    一本の矢がギードの傍をかすめると、ランプ油を吸ったシャツに引火した。
    「大事な商品に火ぃつけやがって!ついでにオマエも燃えとけ!疫病神が!」
    監視長は刺股を突き出し言い放った。畑に放火した時についた油に気づかれていたのだ。
    火はまたたく間にギードの服に燃え広がる。
    熱が気管に入り込み、声にならない喚声を上げた。

  • 18222/10/11(火) 21:54:55

    全てが火に染まる視界の中で、景色は何故かゆっくりと動いている。
    ルフィが見える。腕を伸ばしながら自分の名を呼んでいる。
    触れさせるわけにはいかない。
    ギードは最後の、ありったけの気を溜め再び武装色を纏うと前に向かって跳躍した。
    「ギード!!!」
    ルフィの手をすり抜けて、炎を纏ったギードは目の前に迫る刺股を避けざま、それを踏み台に飛びあがると蹴りで監視長の頭を狙う。
    「何度も食らうかぁ!!」監視長はこめかみを腕でガードする。
    ギードは蹴るはずの足でそのガードを踏み砕き、そのまま回転して背後に降り立つと渾身の手刀で背中を貫いた。
    「ぐふっ!!」
    監視長が口から血しぶきを吐き散らしながらもがく。
    ギードは背中に入った腕に力を込めながらあいた手で監視長の首を羽交い絞めにする。
    火が急速に監視長の体に回っていき、武器を落とした手が空をつかむ。
    ルフィの目の前で巨体が崩れ折れていく。
    共に炎に焼かれ膝をつくギードと目が合う。そしてその唇が動いた。
    ――海へ。と。

  • 18322/10/11(火) 23:23:26

    むー
    本日ここまで
    続きは明後日になります!

  • 184二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 23:30:56

    もうギードは助からないのかな…悲しい…

  • 185二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 02:15:47

    ほしゅ

  • 186二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 13:39:01

    保守。

  • 187二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 22:05:03

    保守

  • 188二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 10:01:27

    保守

  • 189二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 18:11:37

    保守

  • 19022/10/13(木) 21:37:16

    1です保守ありがとうございます
    続きなんですがあと数スレで終わると思うんですが日にちまたぎそうなのと
    文章の区切りがいいので次スレ建てようとおもいます
    1スレ内に収まらなかった…

  • 19122/10/13(木) 21:41:09

    ちょっと建ててきます

  • 19222/10/13(木) 21:47:02
  • 193二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 21:52:35

    スレ立てお疲れ様です。

  • 19422/10/13(木) 21:54:28

    埋めついでにすこしギードのおっちゃんと珀鉛病について

    ギードは父親が貿易商で家業を継ぐべく商売の勉強と強かったので兼用心棒みたいな感じでお家が所有する船に乗ってました

  • 19522/10/13(木) 21:54:45

    母親はフレバンス生まれで昔父親が仕事で立ち寄った時に恋仲になり結婚して国を出ます

  • 19622/10/13(木) 21:55:06

    母親の珀鉛病が発症した時ギードには症状が出てなかったけど妊娠した時子供にも毒素が入ってしまうタイプの病気みたいなのでギードもそれを受け継いでしまってます

  • 19722/10/13(木) 21:55:21

    ただ母親が若い時に国を出てそれから珀鉛の恒常摂取をしていなかったということで本人の発症が遅れたのと病気の進行が緩やかだったという設定をつくりました

  • 19822/10/13(木) 21:55:37

    母親の死後父親も不慮の事故で亡くなります
    ギードはその後の身の回りで不審な出来事が相次ぎ半ば出奔のようなかたちで海賊になりました

  • 19922/10/13(木) 21:57:01

    以上です
    もう終盤ですがもう少しだけおつきあい下さい

  • 200二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 21:58:08

    名作も後少しで完結か。

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