- 1二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 11:56:19
「♪~♪~」
それは夏合宿も終わりが近いある日の事だった。
私セイウンスカイは、山に登って早朝の川釣りに出掛けていた。
勿論、昨日の夕方の内に皆の予定表に書き込み済みで、報告済みだから、何も問題は有りませんよ~?
「さ~てと、何が釣れますかね~?」
川の畔の手頃な岩の上に座り、竿を振って釣りを始めた。
「……ん?」
暫く経った時、人の足音と話し声が聞こえ出した。
「これは…ふたり…いや、3人かな?」
合宿所が近いから、他のウマ娘達か逆に不審者達かと思ったけど、その正体は直ぐに分かった。
「よーし!今日こそでっかいカブトムシ取るぞー!」
「マヤは大っきな顎のクワガタが良いな~!」
「フフン、虫達の誘惑魔法の成果を見せて上げるわ!」
「おや~?」
あの子達は確か、フラワーのクラスメイトのマヤノトップガンにスイープトウショウとビコーペガサスの様だった。
そして、会話から察するに、虫取りに来た様だった。
「……んっ?」
其処で、根本的な問題が生じた。
夕べもさっきも、皆の予定表にはあの子達が出掛けるという様な事は書かれていなかったからだ。
「これは…拙いですな~」
皆の予定表とは、前以て予定を書く事によって深夜や早朝に勝手に動く事を戒める為の物であり、書いてない状態でトレーナーも付かずに勝手に動くのは、ヘタすると怒られるだけでは済まないだけじゃ無く、そうなれば、後僅かとは言え、夏合宿に影響を与えるし、何なら、合宿後にも影響を与えてしまうんだ。 - 2二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 11:59:10
そうなった場合、周囲の人達に多大な迷惑を掛けてしまう訳で。…ふと、フラワーの悲しむ表情が脳裏を過った。
「…さてと、動きますか」
私は釣り道具を片付け、マヤノ達を追い掛ける事にした。
どうやら奥まで行きそうな感じだったので、釣った魚を捌く為のナイフを取り出し、ソレで木の幹を次々と切り付け、戻る時の目印とした。
「……ん?」
段々と森の奥まで進んだ時、不意にマヤノ達が止まった。
「…あれっ?トラップって何処に仕掛けたっけ?」
「ズコーッ!」
まさかの展開に私は壮大にズッコケた。
「!誰だ!?」
「イテテテ…。全く、寧ろ迷子の心配をした方がいいんじゃないの~?」
「…あ!スカイさんだ!」
「…へ?迷子?」
「あ、そうそう、君達って、皆の予定表に何も書いてないけど、大丈夫~?」
「…えっ?いや、どっちか書いてくれたよね…?」
「えっ?二人が書いてくれると思って書いてないよ…?」
「私も、二人が書いてると思って、書いてないわよ?」
「……あー……」
これは間違いなく、『ちゃんとやってないけど、誰かがちゃんとやってくれるだろうからヨシッ!』という、所謂現場猫事案の様だった。
「…まあ、迷子になって目的も果たせなさそうですし、もう諦めて下りましょうかね?」
そう言った私にマヤノが怪訝そうな表情で覗き込んできた。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:05:39
「えー?下りるのー?山で遭難したら頂上に向かって登った方が良いって聞いたけどー?」
「おー、良くご存じで。でも、君達を追い掛けてる時に幹に帰る時の目印を付けてあるから、セイちゃんに付いて来て下さいね~」
こうして、私達は目印を頼りに、先程いた川の畔に辿り着いた。
「うわ~!助かった~!」
「有難う!スカイさん!」
「にゃはは~、セイちゃんに掛かればこんなもんよ」
「…………」
「ん~?どうしたのかな~?仕掛けたトラップの所に行けなかったのが悔しかったのかな~?」
「…えっ?!な、何で分かったの!?」
「そりゃあ、顔を見れば一目瞭然ですよ~。……おや?」
すると、此方に向かって来る足音が聞こえてきた。
「おい、コッチに行けばスカイの奴が居るんだな?」
「はい。なのでスカイさんにも手伝って貰いま……あっ」
フラワーが3人を捜す為にナリタブライアンさんを連れて私の所に来た様だった。
「やほ~。お捜しの方達は此方ですよ~」
「スカイさん、良かった……て、あっ!」
「…………」
3人ともバツが悪そうに顔を背けていた。
「何だ、居るじゃないか」
「いえいえ、虫取りに山に行くのを見て、皆の予定表には無かったな~と思って追い掛けてたら、迷子になりかけてたので、連れ戻しました」
「成る程そう言う事か。……それにしてもだ…」
ブライアンさんがフラワーの方を見た。 - 4二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:11:52
「もう!何で予定表に書かないで行ったんですか!?」
「あれは…凄いな。母ちゃんか何かか?」
「にゃはは…。まあ、偶にあんな感じになるんですよ」
「成る程な。……ふむ、そうだな…」
「?」
「アイツらは規則を破ったんだ。何かしらの罰を与える必要があるが、セイウンスカイ、お前に罰を考えさせる」
「………はっ?」
ブライアンさんの提案に私の思考が固まった。
「お前だって自分の予定を潰されたんだ。だからお前に一任する事にしよう」
「…成る程ね。まあ、最もらしい事言ってますけど、ただ単に考えるのが面倒くさいだけでは?」
「…………」
「全力で目を逸らすの止めてくれません?」
「うわーん!ブライアンさーん!フラワーちゃんが怖いよ~!」
「煩い。黙って怒られていろ」
「書く人をちゃ~んと決めなかったからこうなるんですよ~?」
「ううっ…!」
「…まあ、今この場で罰を決めちゃいますかね」
「えっ?!」
「ああ、余り面倒なのは勘弁してくれよ?」
「そんな難しいものでもないですよ~」
そう、私が思い付いた事とは…─── - 5二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:13:12
因みに、マヤノ達が仕掛けた罠は
「うひょー!誰か仕掛けたんだが知らねーが、大量じゃねーか!」
「うおー!でっかい虫がいっぱいだー!」
「見て下さいまし、このカブトムシの雄々しいつ・の・♡」
「うわぁ、このヒラタクワガタ、大きさも形も良いなー」
「うおおおおッ!!?このオオクワガタ、15センチ超えじゃねーか?!」
「…えっ?それ、【日本の】オオクワガタだよね…?」
ゴルシさん達が見付けて大フィーバーしていた様だった。 - 6二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:15:27
「はーい、辛くなったら山の方を見るんですよ~」
今、私達は大型のプレジャーボートに乗っていた。
「ぶー、釣りなんてずっと待つだけだからつまんないじゃない」
「えっ?アタシは楽しみにしてたけど…」
「じゃあ、好きな人と一緒に隣で釣りをしているっていうのはどうですか?」
「好きな人………あっ!そう言う事ね!マヤ、分かっちゃった~!」
「…??」
「にゃはは~」
私が考えた罰というのは、船で海に向かい、其処で釣りをするというものだった。
何故かフラワーも一緒に付いて来たけど、理由は『皆がちゃんとしているか見ておきたいです』だと言っていたけど、それは表向きの理由で、実際には『スイちゃん達と一緒に行くなんてズルいですよ!私もスカイさんと一緒に釣りがしたいです』とやきもちを焼いてきたのは此処だけの話ですよ?
「ちょっと?!何でキタサンが居るのよ!?」
「えっ?!お邪魔だったですか!?」
「…いや、別にそういう訳じゃないけど…」
「あ、それはゴルシさんが人手が欲しいからだそうですよ~」
「あ、そういう事ね」
因みに、この船を操縦しているのがゴルシさんである。
「……んっ。おいオメーら、ちょっと飛ばすから掴まれ」
そう言った直後にゴルシさんは船を飛ばした。 - 7二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:19:51
「フゥ……素晴らしい景色ですわ…」
「…オイ、何でオレがこんな船に乗せられているンだよ……ファインやトウカイテイオー、それにサトノダイヤモンドが乗っている中でよォ」
「え~、良いじゃない。私がマックイーンに頼んで乗せてくれたんだよ?」
「余計なお世話だ!」
「…なに?君も無理矢理乗せられた口なの…?」
「あァ?……まあ、そうだが…」
「ボクもさ、カワカミ達と採った虫で遊んでたらマックイーンに連れ去られてね、こんな有り様だよ」
「……まあ、ご苦労なこった」
「…そもそも、これってマックイーンの傷心旅行みたいなもんだしねぇ」
「…ああ、何時もゴルシの奴に散々振り回されてたみてぇだからな。ま、気持ちは分からんでもねぇがな」
「えっ?私は楽しいよ?」
「………それにしても、アイツは大丈夫なのか…?」
「キタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃんキタちゃん───」
「…ああ、うん。キタサンをゴルシに取られたからねぇ~」
「…メンドくせぇこった……ん?」
「どうしたの?」
「何かあの船、スゲェ速さでコッチ来てねぇか?」
「えっ?…あ、本当だわ」 - 8二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:21:09
「あ゛っ!?キタちゃん!!!」
「え?」
「は?」
「あ、ホントだ。…て、事は、アレ操縦してるのゴルシなんじゃ……」
「いや待て速過ぎだろ?!」
「貴方達、さっきから何を騒いで───」
バシャアァンッ!!
「…………」
(うわっ、物の見事にマックイーンにだけぶっ掛かりやがった…!)
「…………」
(うわっ、操縦室に向かったよ)
「あの船を追い掛けなさい」
「はひっ!?わ、分かりました…!」
「す…凄い迫力…!」
「フフフフッ、そのままあの芦毛と鹿毛からキタちゃんを取り返すんですよ…!」
(こっちもこっちで面倒な事になりやがった…!)
「あーもう無茶苦茶だよ」 - 9二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:28:30
「…今の船、何か見知った人達が居た様な……」
「おーし、そろそろ着くど~!」
「…ま、良いや」
そうして、私達は釣りの準備をした。
「お待ちなさい!」
さっきの船が追い付き、船首で立っているマックイーンさんが叫んでいた。
「あ?なんだマックイーンじゃねーか。こんな所で会えるのって、奇跡的だよなー」
(うわ、白々しさ全開の顔!)
「なっ…?!ゴールドシップさん?!何で貴方がこんな所に!?」
「あ?ウンスに頼まれて船の操縦をしていただけだぜ?」
「……は?それじゃあ、先程の無茶苦茶な動きは…?」
「ああ、丁度マックちゃんの姿が見えてな、ちょっとした悪戯心だよ」
「あれを【ちょっとした】で済ませる要らない度胸」
「あっ、そうだ。どうせだったら釣り対決しようぜ!」
「…はい?」
ゴルシさんの急な提案に私は目をパチクリさせるしかなかった。
「オメーらだって只単に釣りやったってつまんねーだろうし、その方がおもしれーだろ?」
「…………」
マックイーンさんは何故か黙ったままでいたと思ったら、徐に船内に入って行った。
「………はいっ?」
そして、船内から出て来たマックイーンさんの格好が、まさかの釣り師フル装備となっていた。 - 10二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:29:48
「勝負という事でしたら、全力で相手しましょう…!」
そう言いながらマックイーンさんは釣竿をシャカールさん達に押し付け……手渡した。
「おい、釣りなんかやった事ねーぞ?」
「フフン、こう見えてボクは釣りも得意なんだー!」
「ンじゃ、任せたわ」
「ええー!?」
「物は試しだよシャカール!」
「………チッ」
「あっ!普通に使い方調べだした?!」
「…フフッ、この釣竿でキタちゃんを釣り上げましょう…!」
何だか向こうがわちゃわちゃしてきた様だった。
「……ゴルシさん、まさかこういうのを見越してキタサンを連れて来たり、マックイーンさんにちょっかい掛けたんですか?」
「フッ、勘の良いガキは嫌いじゃねーぜ」
「……ま、向こうもやる気みたいですし、こっちも始めちゃいましょうか」
こうして、唐突に釣り対決が始まった。 - 11二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:36:15
「おーし、ゆっくり動かしたり、ちょんちょんと動かしたりするんだよ~」
「こ、こうか…?」
「おー、良い動きで───」
グイグイッ
「わわっ!?竿が動いた?!」
「良し!そのままリールを巻いて!」
「うおぉぉりゃあぁぁッッ!!」
バシャアァッ!
「おお~!生きの良いアジですな~」
「やったー!」
「フフン、マヤ今のでやり方分かっちゃった」
「おっ?じゃあ見せてよ」
「じゃあ、行くよ~!」
そうしてマヤノは釣竿を振った。
「こうして…こうやって……良し!此処だー!」
バシャアァッ!
「おおー!!」
「これまた生きの良いアジですな~」
「これがマヤの実力だよ!」
「後は……」
「わわっ!?キタサン!竿が!」
「分かってますって!………えいっ!!」
バシャアァッ!
「キタサン、やるじゃない!」
「えへへ~、どうも」
(ま、あっちは大丈夫そうですな~)
そう思っていると、不意にマヤノが耳打ちをしてきた。 - 12二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:37:48
「スカイさん、マヤ達は大丈夫だからフラワーちゃんの所に行ってあげてね」
「…へっ?」
「マヤ、フラワーちゃんの友達として応援してるからね」
「え、あ、うん」
そうしてマヤノに言われるがままにフラワーの所に行った。
「…フラワー」
「あ、スカイさん!」
「いや~、マヤノに気を使われたみたいで」
「フフッ、マヤノさんって気配り上手なんですよ」
「ああ~…成る程ね」
私はフラワーの隣で座り、釣り糸を垂らした。
「なんか釣れた?」
「アジが一匹です」
「フフフ、勝負はこれからですよ?フラワーさん」
「はい!」
そして、私とフラワーは寄り添う様に釣りを始めた。 - 13二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:43:58
「んぎぎぎ…ッ!!何かデカいのが掛かりましたわ…ッ!」
「え?なに?大物?!」
「おし!やるじゃねーか!」
「見せて差し上げますわ!メジロの底力をッ!どっせええええええいッッ!!!」
バシャアアアァッ!!!
「えっ?!サメ!?」
「ジョーズだ!」
「要るかこンなの!」
バシャアアアァッ!!!
「ああっ!私のフカヒレが!?」
「あンなデケぇの置けるか!!」
「さてと、これでキタちゃんを…!」
「…いっぱい魚釣って勝てばキス位してやれるだろ」
「……ッ!!!」
「…お嬢様ってこンなメンドクセぇ奴らばっかか?」
「…何で私の方を見ながらそう言うのかな?」
「まあまあ、釣りでもやって落ち着こうよ」
「………そうだな」
「そうだね」 - 14二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 12:53:25
「へっ、要らねぇ欲を出してんじゃねーよマックちゃんよぉ。釣りってんのはよ……こういうモンだぜ!」
バシャアァッ!!
「カジキマグロだ!!」
「おっと、もう一匹居るみてーだぜ?誰が釣り上げれるかな?」
「アタシが釣り上げる!」
「よし、やってみな」
「よし、スカイさんに教えて貰った事を全部使って…!」
「ほう…」
「いける?いっちゃう?」
「そこだあああああッッ!!」
バシャアァッ!!
「やったぁ!」
「やるじゃねーか!将来は木星ダコの漁師になれるぜ!」
「え、何それ…」
「キタサン!あれよりももっとデカいの釣るわよ!」
「分かりました!!」 - 15二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 13:11:00
「にゃはっ、皆楽しそうで何よりですな~」
「そうですね。……あっ!」
「おっと?当たりですか?」
「えっと、こうで…こうして…!」
「おお、上手い上手い」
「これで…ここっ!」
バシャアァッ!
「これは、生きの良い鯛ですな~」
「えへへ、正に【めでタイ】ですね」
「にゃはは~、そうです…おっと?これは…!」
「スカイさん…!」
「中々良い引きだけど…!掛かった相手が拙かった……ねぇ!」
バシャアァッ!
「ありゃっ?また鯛だ。こりゃまた【めでタイ】って所かな?」
「フフッ、そうですね」
「さあさあ、此処からが本番ですよ?」
「はい!」
この後は、そもそも向こうは釣りが出来るのが殆ど居なかったのもあってか、私達の勝利に終わった。 - 16二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 13:12:49
「ん~、美味し~!」
「ハハハ、お前達がいっぱい釣ったから、麺と野菜だけになんなくて良かったな!」
「えー?!野菜食べなきゃいけないのー?!」
「ああん?!アタシの飯が食えねぇってのか?!食えねぇって言うんなら、其処で元気に泳いでいるマックイーンが釣ってシャカールが投げ捨てた巨大ザメと競争させるぞコラッ!」
「ひえっ!?」
「あー、スイープさんの事はアタシが何とかしますので!」
「あ?……まあ、確りやれよ?」
「ああ~!自分で釣った魚って、こんなに美味しいんだな!」
「フフン、マヤ、釣りの楽しさ、分かっちゃった!」
「にゃはは~、それは何よりですな~」
「フフッ、皆さん楽しそうで良かったです」
そうして、私達は釣った魚で料理を楽しみ、合宿所に戻って行った。……えっ?マックイーンさん達?……まあ、お通夜みたいな状態になってたみたい…… - 17二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 13:21:05
「すぴー…スヤァ……」
夏合宿が終わって暫く経ったある休日の事だった。
バタンッ!
「スカイ!悪いがおねむタイムはお終いだよ!」
突然入ってきた寮長のヒシアマゾンさんに布団を剥がされただけでなく、寝間着から私服に素早く着替えさせられた。
「んぁあ…?なんですかもう…?」
「はいはいコッチに来な!」
そしてヒシアマさんに連れられるがままに寮の玄関までやって来た。
「あ、スカイさん!」
「フラワー…?と、あれ…?」
其処に居たのは、フラワーとマヤノ達で、よく見ると釣り具を持っていた。
「ああ…成る程、そう言う事ね」
「ま、そう言うこった。ほれ」
そう言ってヒシアマさんは私のマイ釣り具を手渡した。
「釣りだったらまあおちおち寝てもいられないよね~」
「スカイさん!アタシとどっちが大物釣れるか勝負しよう!」
「マヤはもっと釣りが上手くなりたいな~」
「フン、新しい魔法の材料に魚が必要だからもっと釣り教えなさいよ」
「はいはい、分かりましたよ」
そうして、私達は釣りに出掛ける事となった。 - 18二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 13:33:18
「よーし、リアルムシキングやるぞー!」
「さあ、お行きなさい、私の素晴らしきカブトムシ!」
「ハン!だったらアタシはヘラクレスオオカブトを召喚するぜ!」
「ええっ?!そんなの見てないもん!?」
「そりゃそうだ、昨日コロンビアに行って捕まえてきたからな!」
「いや、普通にズルでしょ?!」
「いいえ、強敵であればある程、この『カワカミ号』は輝きを増しますわー!」
「よっしゃあッ!行けや『エアグルーヴ号』!ケチョンケチョンにしてやれ!」
「ネーミング!」
「成る程…!差し詰め私とエアグルーヴさんとの決闘…!」
「ええっ…」
「行けやー!!」「ぶちかましておやり!!」
ガギィッ!!
「なにィッ!!?」
「「おおっ!?」」
「そのまま放り投げなさい!!」ブォンッ!
「おい!朝から騒がしい……」ビターン!
「「「あっ…!?」」」
「え、エアグルーヴの顔面にエアグルーヴ号が…!」
「………………」プルプルッ
「せ…戦略的撤退ーッ!!」
「き…ききき貴様らあァァァァッッ!!!」
「あっ、ヘラクレスオオカブトとかの外国産の昆虫は外来種だから野外に出しちゃダメだぞ。ゴルシちゃんとの約束だぞ!」 - 19二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 13:53:24
「おっと、また釣れたね~」
「むう…!全然釣れない…!」
「にゃはは~、此処は慣れた人じゃないと釣りにくい場所だからね~。ま、だから釣り甲斐がある訳だけど」
「あー!もう!いっぱい釣れる所教えなさいよ!」
「スイープちゃん、釣った魚でどんな魔法を作るの?」
「フフン、それは出来てからのお楽しみよ。……って、何でマヤノはそんなに釣れるのよ?!」
「フッフッフッ、釣りの事が『分かっちゃった』からね~」
「うう~!フラワーも何か言ってよ!」
「えっ?ごめんスイちゃん。今掛かってる所だか…ら!」
バシャアァッ!
「えっ!?何で釣れるの?!」
「フフッ、スカイさんのお陰だよ」
「ううっ…!スカイ!釣りのやり方教えなさいよ!」
「まあまあ、釣りはそう慌てるものじゃありませんよ~」
「おわっ?!何か掛かった!」
「よしよし、慌てずじっくりと…」
「こうで…こう……こうだ!!」
バシャアァッ!
「ええっ!?」
「やったー!!」
「よしよし、じゃあ、次はスイープの番だね」
「フン、早く教えなさいよ!」
「はいはい、分かりましたよっと」
こうして、私達の時間は緩やかに、それでも確実に流れていったとさ。 - 20二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 14:05:56
- 21二次元好きの匿名さん22/09/23(金) 14:25:58