- 1二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 21:50:26
- 2二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 21:54:17
「"闘牛(コリーダ)グレイブ"!!!」
コロ.シアムのリング上にブリキの破片が撒き散る。
「うぉぉぉぉぉ!!!いいぞー‼︎ディアマンテ様ー!!!」
「素敵よー‼︎」
先日、ファミリーによって捕らえられた『怒りの雷兵』
国から指名手配を受けていた彼の処刑は速やかに行われた。
その処刑法とは、コロ.シアムの"見せ物"の一貫としてディアマンテと闘わされる事である。
結果は御覧の通り。
四肢を捥がれ、身体の節々はひび割れ、いつ壊れてもおかしくない状態。
「ウハハハ‼︎それではお待ちかね、"フィナーレ"といこうかァ‼︎」
「レ……ッカ…」
兵隊は地面を芋虫の様に這いつくばりながら
何かうわ言を繰り返している。
「んん〜?、…何か言い遺す事があるってんなら、聞いてやってもいいぜ?」
慈悲深い眼差しを湛えたディアマンテが敗者を見下しながら言う。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 21:58:20
- 4二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:00:20
ここから地の文はディアマンテの主観になります
「お願いしますディアマンテ様、私に剣術を教えてください」
囚人剣闘士、レベッカが額を地面に擦り付けて俺の目の前で土下座している。
……これは一体どういう事だ?
「おいおいレベッカ、一体こりゃ何の冗談だ?」
コロ.シアムのおれ専用控え室で剣の手入れをしていた所、急にレベッカが部屋に入ってきて今に至る。
侵入者を止め損った無能な部下共は失態を挽回しようと
土下座しているレベッカを慌てて引きずっていこうするが
おれが辞めさせ部屋から出て行くように促す。
「さて…、役立たずな外野は居なくなった事だし、話の続きをしようか」
「…私に、攻撃型の剣技を教え……てほしいんです」
無理矢理言ってる感が拭えない、とって付けた様な敬語。
どう考えたっておれを敬ってるとは思えない、寧ろその逆だな。
「ん〜?分からねェなァ…お前の今の闘い方でもいずれ1000勝できるだろ?」
レベッカの闘い方は確か…『背水の剣舞』だったか?
自分からは攻撃せずにリングの端に陣取り、突撃してきた相手の力を利用してリングから叩き落とす
相手を傷付けず、自身も傷を負わない"無敗の女"とはよく言ったモンだ。 - 5二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:03:33
勿論こんな闘い方をした所で、"1000勝"だなんて途方もない事を成し遂げられるとは全く思っちゃいない。
仮に1000勝に近づいたとしてもおれがそれを許さない。
『1000勝を間近に控えた美少女剣闘士は、コロ.シアムの英雄に阻まれ、儚くもその命を散らす』
コロ.シアムを盛り上げる興行の"ネタ"として
最期の最期までしゃぶり尽くしてから殺すつもりでいた。
それを今になって、「攻撃型の剣技を学びたい」だと?
今まで掲げてきたくだらねェ信念取っ払ってまで、一体どういう風の吹き回しなんだ?
レベッカは黙りこくったまま、おれから目を逸らした。
……ははァ〜ん、そういうことか
昔こいつが捕らえられた時、"あの"片足の兵隊が近くで喚いていたらしい。
つまりこいつにとって片足の兵隊は仲間…若しくは育て親か?
そしてその優しい優しい兵隊さんは昨日のショーでおれが手ずから物言わぬブリキ片にしてやった。 - 6二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:06:05
要するにこいつの目的は敵討ち
『おれを殺す為に、おれに師事しようとしている』ということか……
「ウハハハハ!!!こいつは傑作だぜッ!!」
思わず笑いが溢れてしまった。
普通なら門前払いしてコロ.シアムの牢の中に戻し…
いや、それどころか『このおれに対して暗殺を企てた』って罪で闘魚の餌にする所だ。
だが…
「よし、いいだろう!このディアマンテ様がお前に『本当の剣』ってモンを教えてやろう!」
「…!あ、ありがとう…ございます!」
再び深々と頭を下げるレベッカ。
ウハハ、この先が楽しみだぜ… - 7二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:09:12
それからおれによるレベッカへの剣の指導が始まった。
「……ハァッ‼︎」
「おぉっと、ハハ、その調子だ!」
剣闘士として戦い続けてきたレベッカの太刀筋は確かに悪くない。
何より"おれ以上に優れた見聞色を持っている"
その一点だけは評価してやろう。
だが所詮は護身を目的とした剣技。
どうしても決定打に欠けるし、こちらが攻めて来なけりゃレベッカの方から動くしかない。
そうなるともう結果は見えてくる。
"北の海"でガキの頃から生き抜いてきたおれを相手に純粋な剣の打ち合いで敵う筈もない。
そう、生憎おれはコロ.シアムの英雄、天才なんだ!!
ヒラヒラの実の能力を使うまでもなく、あっという間にレベッカをのしてしまった。
「くっ…!」
「ほらほら、しっかり打ち込まねぇとまた負けちまうぞ?」
「…やぁぁーッ‼︎」
「おぉ!いい調子だ!」
全くもって"いい調子"じゃねェがな。
このままだと何年掛かっても勝てないか、その前にこいつの身体が壊れちまうだろう。
まぁおれを殺そうとしてる奴なんざいずれ殺す予定だし、
このままくたばってくれて構わないが、折角手に入ったオモチャなんだ。
少しくらい『入れ知恵』をしてやろう。 - 8二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:13:15
「そうだなァ…、まずお前はその剣先を相手から僅かに"逸らして"構える姿勢を辞めろ」
「え!?」
「お前が何教わったのか知らねェが、それじゃあ剣を相手に打ち込むのに向いてねぇ」
おれは柄を握る力を少し強め、レベッカに斬撃を打ち込みまくった。
「"上段"はこうッ!"中段"も、"下段"もッ!相手に最速で叩き込み続けろ!!」
こうやってるとガキの頃のローに剣術叩き込んでやったのを思い出すぜ。
まぁあの野郎はドフィへの恩も忘れて逃げ出しやがったがな。
「ぐっ…‼︎」
おー、見事に斬撃を捌く捌く…どれ、少し揶揄うか。 - 9二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:16:20
「おっと!足元がお留守だァ‼︎」パァン
「きゃあ⁉︎」
レベッカの足元にピストルを撃ち込んだ。
「ちょ…リング上なら遠距離武器の使用なんて禁止じゃない‼︎!」
「ウハハ!わりィわりィ、あくまで"心構え"ってモンを教えてやろうと思っただけの事よ」
「剣闘士に卑怯もクソもねぇからな、その場に落ちてるモンがあれば利用する、相手が怪我してりゃそこを重点的に攻める」
「いかなる手段を使っても"勝ち"を掴み取るのが剣闘士ってもんよ‼︎」
「…!はい、肝に銘じておきます…」
歯痒い表情をするレベッカ。
今までの戦闘スタイルを考えればレベッカとは相容れない思想だろうな。
これをレベッカが受け入れて捻じ曲げてやるのも良し、
戦い方を改めずにくたばるのも良し。
どう転んでもおれからすれば愉快な見せ物だ!
まぁこれも全ておれを殺す為のもんなんだろうが、その時は返り討ちして闘魚の餌だぜ!ウハハハ‼︎ - 10二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:18:20
あれから半年程経った。
「し、勝者…レ、レベッカァ〜〜〜〜‼︎!」
「英雄ディアマンテの直弟子がァ!また勝ち星を挙げた〜〜〜‼︎!」
コロ.シアムにギャッツの動揺に満ちた声が響き渡る。
リングの上では、いつもの様に傷一つ負っていないレベッカ。
一方、相手の囚人剣闘士は全身血塗れになって倒れていた。
あれからリング上でのレベッカの闘い方も大きく変わった。
『相手を傷つけない護身の剣』は『相手を壊す無慈悲な剣』に一変。
当然、あの刃が潰してあったふざけたロングソードを扱うのも辞め、
しっかり研いである、剣闘士に相応しいロングソードを振るう様になった。 - 11二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:22:33
…まさかここまで様変わりするとはおれも予想だにしていなかった。
戦闘スタイルもそうだが、それだけじゃない。
膂力・剣速・足捌き…全てが半年前とは桁違いだ。
腕が良いのか、……それとも血筋が良いのか?
そういやあいつの母親はおれがぶっ殺したスカーレット王女だが、…父親は誰なんだ?
まぁ病死と偽って結婚したくらいだ、どうせそこらの一般民衆だろう。
「ゔ…レ、レ゛ベッカ…な゛んで…」
ウハハ、相手は息の根こそある様だが酷い怪我だな。
しかも「なんで?」だって?
笑わせる、剣闘士ってのは本来こうあるべきなんだよ。
相手を傷つけ、如何なる手段を用いても生き延びようとする生存本能!
客はそれを見物し、血が流れるのを楽しみにしてんだよ。 - 12二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:32:44
- 13二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:34:31
「おうおう、中々の活躍だったぜ?レベッカ!」
「ありがとうございます!」
リングから戻ってきた所を馴れ馴れしく声を掛けるも、笑顔で応対するレベッカ。
かつてのおれを憎んでいた表情は何処へやら、曇り一つない明るい笑顔だ。
とはいえ腹の底じゃあ未だにおれへの憎悪が渦巻いてるのかもしれんが…
これで心の底からおれに親しく接しているなら、それこそ"イカれた女"だぜ!
「観客も酷ェよなァ、あんだけお前が頑張ってるってのに…」
「いえ、もう慣れてる事なので平気です!」
無論おれはレベッカの評判なんざこれっぽっちも心配しちゃいない。
少なくともレベッカが今まで観客に対して証明し続けてきた
『残忍な暗君リク王の血筋の善良性』は完全に瓦解した。
おめでとう!これでお前も民殺しの愚王の立派な孫娘だ!!
そんな賛美の言葉が喉まで出掛かるも、何とか我慢する。
もう充分楽しめたしな、そろそろ"頃合い"だろう。
今晩が楽しみだ!ウハハハ‼︎ - 14二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:36:35
支援!!!!!!!!!!
- 15二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:39:33
- 16二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:40:35
その日の夜。
おれはレベッカがいる檻の前に来た。
あれからレベッカの住む場所も変わった。
これまでは他の囚人剣闘士と同部屋だったが
今日みてェな事があるとこれから「他の囚人剣闘士から恨まれて何をされるか分からない」とレベッカが言うもんだから
コロ.シアムに個人用の収容部屋を設けた。
しかも"おれ専用控え室の真横"にだ。
レベッカの腕じゃ"斬鉄"なんざ出来ねぇだろうが、一応鉄格子は『海楼石』で作ってある。
檻を破って控え室のおれを不意討ちする可能性を考慮してだ。
だが、部屋を檻にしたのにはもう一つ理由がある。
そう、"見栄え"だ。
おれの専属剣闘士になったとはいえあいつは未だに"囚人"。
無機質な檻の中に入れられる度に惨めさに苛まれるって寸法よ!! - 17二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:42:26
檻の前にいるおれの存在にレベッカが気付く。
「ディアマンテ様、如何なされましたか?」
「…レベッカ、お前はこの半年、随分とコロ.シアムを盛り上げてくれたな?」
「そんな!私には勿体ないお言葉です!これも全てディアマンテのお陰で…」
「まぁそう固くなるな、今夜は今までの頑張りの労いとして…」
「一つお前に…"面白い話"をしてやろうと思ってな」
「面白い話…ですか?」
キョトンとした表情のレベッカ。
これからその顔がどんな風に歪んでくれるかおれも楽しみで仕方ねェよ!!
「お前は、自分の母…スカーレットの死に様を知っているか……?」
「…私の為に街に食糧を買いに行き、ドフラミンゴ様の部下に撃たれたという事は…知っております」
なんだ、そこまでは知ってるのか。
なら話は早ェ。 - 18二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:45:16
- 19二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:47:15
畜生!
こんなクズキャラなのに読む手が止まらねぇ!!!!!
支援!!!!!!!! - 20二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:49:33
「…」
…ん?おい、どうした?なぜ怒らねェ⁉︎
レベッカはまるで動じていない。
いや、それどころか、窓から入り込んだ月明かりに照らされたこいつは……
笑っていた。
「なんだ、そうだったのですね!それならそうと教えてくだされば宜しいのに!」
はち切れんばかりの笑顔をおれに返した。
「!!!!?……クク、ククク………ウハハハハハハハハハ!!!!!」
「ど、どうかしましたか!?ディアマンテ様!!」
この女、本当にイカれちまってる!! - 21二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:51:47
それからおれはレベッカを自分の傍に付ける様になった。
おれに対する叛逆心が無い、従順な女である事へのご褒美ってやつだ。
また、ある程度の"自由"も与えてやった。
コロ.シアムの外へ買い出しに出る事を許した。
流石に城の中を好き勝手歩き回らせる事はドフィとピーカに止められたから
万が一城内を歩きたい時はおれか、部下が複数名付き添う事になっている。
国民からの呼び方も変わった。
それまでは『人でなしの一族』『汚れた血の女』という蔑称だったのが
『一族の誇りすら捨てた屑』
『ディアマンテ様に媚び諂う汚れた売女』
と一層グレードアップした。
とはいえ、当のレベッカはそんな罵声を浴びせられようとどこ吹く風だし、
おれの愛玩剣闘士という事もあって手出しするバカはいねェが。
「おれレベッカ、アレを」
「はい!ディアマンテ様!」
レベッカがおれのグラスに赤ワインを注ぐ。
よく分かってるじゃねぇか、無能な部下共よりずっと役に立つ"便利"な侍女だな! - 22二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:54:10
レベッカを仕えさせて最近分かった事がある。
ドフィがヴァイオレットを傍に置いてる"アレ"だが、
『元王族を己の所有物の如く扱える』ってのは確かに中々気分が良い。
ウハハ、マリージョアに居る天竜人共は
平民や一般王族をこうやって見下せるのか
ドフィが戻りたがる訳だぜ。 - 23二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:57:33
レベッカに何があったんだ気になる!
文章すごい読みやすい - 24二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:58:48
ある日の夜、城内にある俺の部屋をノックする音がした。
開けるとそこには、おれの部下を付き従えたレベッカがいた。
しかし、いつもの剣闘士として鎧ではない。
王族が着るような、いかにも高そうなドレス。
しかしこのドレス、どこかで見た様な…そうか!
「そのドレス!お前の母親、スカーレットのモンか‼︎」
「はい!この方々に頼んで、昔母が使っていたクローゼットから引っ張り出してきたんです!」
母親と瓜二つなこいつには、確かによく似合ってる。
「似合ってるぜ」
「本当ですか!?嬉しいです‼︎」
…しかし、なぜ今ドレスを?
「それで…その…」
顔を赤らめ、ドレスの裾を握りながら何やらモジモジとしているレベッカ。 - 25二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:01:24
俺の中の片足の兵隊さんがゲボ吐いてるけど続き気になる〜〜!!文章うめ〜〜〜!!
- 26二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:02:01
………なる程な、"そういうコト"か
ウハハハハハ!!!まさかここまでするとは思わなんだ!!
それとも何か?これが所謂"ストックホルム症候群"とかいうやつってか!?
最近は侍女の仕事をこなす様になってはいたが、
"夜伽"までは頼んだ覚えはねェぜ!!?
「あ、あの、ディアマンテ様…」
気まずそうな部下共がようやく話しかけてきた。
「よしお前ら、もう警備に戻っていいぞ」
「えぇ⁉︎い、いやしかし…」
「おいおい…これから"ナニする"か、分からねェって訳じゃねぇよなァ?」
「あ!申し訳ございませんでした!」
「聴き耳立てやがったらぶっ殺すからな」
「は、はい!!!」
蜘蛛の子を散らす様に部下共が廊下を走っていった。 - 27二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:04:33
「それじゃあ入れ」
「はい…」
耳まで真っ赤にしたレベッカがおれの部屋に入っていった。
歩く度に布の擦れる音だけが静寂の中に響き渡り、実に扇状的だ。
それにしても、随分とサマになってやがるな。
ゆったりとした上品なドレス、まるで物語から出てきたお姫様…
おっと、そういやこいつは"お姫様"だったな!ウハハ!! - 28二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:06:56
なぜだろう
寝首を掻かれる希ガス - 29二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:15:21
おれはベッドに腰掛けた。
「へ、部屋の灯りを消して…ください…」
「おうおう、分かってる分かってる」
目をうるうるさせながら見上げる様に言ったレベッカの願いをおれは即答で承諾し、部屋の灯りを落とした。
思わず下卑た笑みが溢れてしまう。
観客からは『汚れた血の女』だのひでェ言われようだが、
少なくともツラは悪くない…それどころか、そこらの凡百の女とは比べ物にならない整った顔立ち…
さすがは"元王女様"といった所か。 - 30二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:17:09
「は…"初めて"なんで…上手く出来なかったら…ごめんなさい…」
「んな事別に気にしねェよ、…さぁ早くしてくれ、おれはもう待ちきれねぇよ」
『王女を手篭めに出来る』
こんなシチュエーションに比べれば、ゴロツキの頃に買ったどんな商売女も霞んでしまう。
「じゃ、じゃあ…お言葉に甘えて…」
「あぁ、いいぜ」
暗くて殆ど見えないが、レベッカのドレスが擦れる音だけがよく聴こえてきた。
さぁ、いよいよ…… - 31二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:21:55
- 32二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:23:09
このレスは削除されています
- 33二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:24:44
!!!???
- 34二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:24:50
ヒュッ
「!!!!!?!?」
ナニカが勢いよく頬を掠めた。
「……チィッ!!」
レベッカの舌打ちが聞こえる。
「…………なる程なる程…」
「………そういうコトかよォ!!!?」
騙しやがった!!!
この女!!ダマしやがった!!!
ずっと演技をしてやがったんだこいつは!おれを!殺す為の!演技を!!
しかし何処に剣を隠し持ってやがった!?
この部屋にこいつを入れたのは今回が初めての筈だ!
さっきだって帯剣してる様な音は聞こえなかったぞ!!
おれは直ぐ様臨戦態勢に移り、枕元に置いてあった愛用の剣を乱暴に掴む。 - 35二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:25:13
- 36二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:25:43
うおお急展開!
- 37二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:27:07
ナギナギの実…!?
- 38二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:27:15
「さぁ来い!!レベッカァ!!!そんなに死にたきゃこの手にかけてやる!!母の様にな!!!」
怒り心頭だが、お陰で色ボケた頭はすっかり冴え渡った。
純粋な剣の腕はまだおれの方が上、負ける要素は微塵もねェ‼︎
おれは部屋の灯りを点けて…
パリンッ
「は?」
灯りが砕かれる音が聴こえた。
こ、こいつ!剣の撃ち合いじゃ敵わねぇから闇討ちに出たか!!!
だ、だがそれがどうした!?見聞色があるのはお前だけじゃねぇぞ!!
おれは辺りに意識を張り巡らせた。
五感の内、視覚を防がれたってんなら聴覚だ!
見聞色だけでなく、おれは聴覚も研ぎ澄ませ、レベッカの一挙一動に注意を… - 39二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:30:07
((ガシャン))
「ん?んん?あ、あら…?」グラッ
身体から力が抜ける。どうなってやがる?何をされた?
…何か左足首に感触がある。暗闇の中、目を凝らしながらおれが足元を見ると、
海楼石の手錠が付いていた。 - 40二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:32:00
「んなんじゃこりゃァァァッッッ!!!!」
いつだ!?いつ付けられた!!?
いや、仮に手錠を投げ付けたんだとしたら飛んでくる音が少しはする筈だ!!
ま、まさかこいつ…
「ぐ、ぐぉっ!?」
しかもヒラヒラの能力が解けたせいでマントが唯の"鉄板"に変わった。
重さは変わらんが邪魔な事この上ない。
おれは怒り任せに鉄板を部屋の隅に投げつける。
「…ハァッッ!!!」
「うおっ!?」
レベッカの剣が頭上を横切った。
おれは這いつくばりながらも距離を取る。
再びレベッカの剣を振るう。
上段・中段・下段と、力強い剣撃がおれを襲う。
おれはヨロけながらもギリギリの所で、致命傷に繋がり兼ねない攻撃のみを捌く。
とはいえ段々とおれの全身には容赦なく生傷が作られていく。
くそっ‼︎海楼石さえ無けりゃこっちのもんなのに!!! - 41二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:34:51
- 42二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:36:34
「ち、ちくしょうッ!!ちくしょう!!!」
「終わりよ!!ディアマンテッ!!!」
再びレベッカが剣を構える。
こ、こうなりゃ、"覚悟"を決めるしかねェ!!!!
ザンッ
「んぐあぁぁぁあぁぁぁッッッ!!!」
「…なっ!?」
おれは自分の左脚を斬り落とした。
屈辱だが、背に腹は変えられねェ!!
「さァ!反撃開始だレベッカァ!!!片足の代償は高いぞ!!?しっかり払って…」 - 43二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:37:07
- 44二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:37:32
- 45二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:38:20
- 46二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:39:04
((パン!!))
「……あ?」ガクンッ
レベッカに突撃しようと踏み込んだ右足から力が抜ける。
右足の太腿から熱い"ナニカ"がこみ上げる。
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっっ!!?」
撃たれた⁉︎足を撃たれた!!?
銃声は一切しなかったのに!!!?
疑惑が確信に変わった。
やはりこいつ、何らかの"能力"を持ってやがる!!
「…!!お、おれの真の剣術ナメんじゃねェぞ!!!こ、これくらいで丁度いい"ハンデ"なんだよォ!!!」
「へぇ、そう…」
レベッカはまるで動じていない。
「"凪(カーム)"!!」
途端に部屋の中からレベッカから発せられる一切の音が消えた。
「ク、クソ!『音』か!?『音』を消す能力なのかッ!!?」 - 47二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:40:38
このスレを見ている死の外科医「!!!????」
- 48二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:45:36
ヒュッ
「あ゛っ!!」
シュッ
「ぎぁ゛っ!!!」
無音の斬撃が痛ぶる様におれを襲う。
「ひ、ひぃっ!!わ、わかった!!負けだ!!おれの負けだァ!!!」
おれは情けなくも命乞いに出た。
「…」ピタッ
向こうから放たれる殺気が薄まる。 - 49二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:48:45
今だ!!!
おれは猛スピードで机の上のでんでん虫の方に這っていった。
プルルルル、プルルル
「!」
はっはァ!!今更気付いてももう遅ぇ!!!
机の上のでんでん虫は今まさにドフィに繋がれた!
『…こんな真夜中に何の用だ?ディアマンテ…』
あぁドフィ!!よし!これで勝ったぞ!!
ドフィの部屋はすぐ近くだ!!
あとはドフィが来るまで何とかレベッカの攻撃を凌ぎきって… - 50二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:52:14
「…!………‼︎」パクパク
な、なぜだ!?
口をパクつかせるも声が出ない!
くそぉ!!これもレベッカの能力か!!!?
い、いやまだだ!
いつもドフィとやってるあのくだらねェ問答‼︎
『なんだ?何でもねェならもう切るぞ…』
『そこまで言うならしょうがねェ!!!ほんとは用があって掛けたんだ!!!』
普段ならこういうバカらしい問答をやってる事だろう。
だが今おれは声を一切発する事が出来ない!
それを疑問に思ったドフィが!疑問に思って様子を見に…‼︎ - 51二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:53:37
これは堕落した海賊ですわ……
- 52二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:54:00
『…チッ、もう切るぞディアマンテ、おれは今気分が悪ィんだ、…全く、真夜中だってのに起こしやがって…!』ガチャリ
あ、あぁ……あ゛あぁっ!!!!
「…」ヒュン
「ギェッ!!」
電話が切れると同時に、レベッカは再び剣を振るう。
無音の斬撃が、俺の手足の腱を斬り裂いていく。
声を発せられる様になるももう遅い。
「ひ、ひぃ!や、や゛めでぐれ゛ぇ!!!」
おれは地面を芋虫の様に這いつくばりながら
しきりに泣き叫ぶ。
シュボッ
レベッカが何処からか取り出したランプを灯し、側の机に乗せる。 - 53二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:58:21
「…何か言い遺す事があるんなら…聞いてあげてもいいよ?」
この半年間の屈託のない笑顔は完全に消え失せ、
ゴミを見る様な目をしたレベッカが敗者を見下しながら言う。
「お、お前の母を殺した事なら、今!ここで謝ろう!!!」
「兵隊さんを殺した事は?」
「…!そ、そうだな!!あの兵隊を殺した事も謝罪する!!!だ、だから…‼︎」
「………うん、いいよ、謝ってくれるなら許してあげる」
希望が見えて来た!
仮にこれが偽りの希望だとしても、今のおれはそれに縋るしかなかった。
おれは動かない手足を引きずりながら土下座の姿勢になる。
丁度半年前、レベッカがおれの前でそうした様に。
「…"王女"スカーレット様と…!!、貴方の大切な人である゛怒りの雷兵様を殺じでじまい゛…‼︎」
無我夢中で
誠心誠意を込めて - 54二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:03:56
兵隊さんを殺したディアマンテが、レベッカに殺されかけて自ら『片足』になる
しかしキュロスと違って片足じゃ全く戦えない
そして他人に助けを求めることもできなくなる
って皮肉の構図の完成度高すぎない?
見事過ぎるんだけど - 55二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:05:29
「誠に゛……!!!、もうじわ゛け」
「"凪(カーム)"」ポン
「………!!……!?……!!…………!!!」パクパクパク
レベッカが肩に手を当てると
おれの声は再び途切れた。
「……そう、残念」
冷ややかな目をしたレベッカが、ゆっくりと剣を上段に構える。 - 56二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:06:01
ディアレべになるのかなーと思ったのが迂闊だった
いいぞもっとやれ! - 57二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:06:55
「(や゛、やべでくれ゛…!!)」パクパク
「"無音の(シレンシオ)"……」
レベッカの腕に力が込められる
「(た、だのむ゛!!お願い゛だがら゛…!!!)」パクパク
かつておれが撃ち殺した女と、同じ顔をした剣闘士が
「(ドフィ!!ピーカ!!ヴェルゴ!!…トレーボルでもいい!!誰かァァ!!!!)」パクパク
憎悪に満ちた形相で
「"破壊剣(バスタード)"!!!!!」
剣を振り下ろした - 58二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:07:12
恩人を殺されて復讐を決めた子供が手に入れるのがナギナギの実なのもスゲー皮肉だな‥
- 59二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:07:53
ナギナギ強ぇ
- 60二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:08:34
あぁ……確かにハジメテを捨ててしまったな……
カマの準備を! - 61二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:10:03
謝ってくれればいいと言っておいて無様に謝らせながら音を消して「(謝罪が)聞こえねえな」するの最高だな
- 62二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:10:16
私はようやく肩の力を抜いた。
……この能力を手にしたのは偶然だった。
兵隊さんが死んだ日の夜、コロ.シアムの看守が囚人剣闘士への食事として差し入れた果物。
その一つが、私の目の前で『悪魔の実』へと変貌していった。
私は迷わず手に取ってソレを食した。
何の能力か分からない。
だけどソレが私の目には、神様が与えてくれたチャンスにしか見えなかった。
ディアマンテに媚を売った事で街の中を自由に出入りする事が出来た。
ある日の外出の折、路地裏で『ウィッカ』と名乗るトンタッタ族に話しかけられた。
何でも、ドフラミンゴファミリーへの反乱軍の一人だそうだ。
しかも驚いた事に、その反乱軍のリーダーはあの兵隊さんだったそうだ。
私はウィッカに連れられて他のトンタッタ族の所へも行った。
たくさんのお話が聞けた。
兵隊さんは『私の事を護りたい』と度々トンタッタ族に語っていたらしい。
私は泣いた
そして決意した。 - 63二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:12:06
『ドフラミンゴとその幹部を、一人残らず殺してやると』
頭部を唐竹割りにされ、脳漿を撒き散らすディアマンテだったモノを見下ろす。
『お母様が人を傷つけちゃダメだって…』
『お前が傷つかない方法を教えるのだ!!』
幼い頃の兵隊さんとの会話が脳裏を過ぎる。
「ごめんなさい、兵隊さん…お母様…」
既にこの世に居ない私の大切な『家族』への『2つの謝罪の気持ち』が
私の中に渦巻いていた。
一つは、『人を傷つけないという約束を守れなかった事』 - 64二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:12:33
もう一つは…『目の前の人間を一人殺したのに、最高に"スッとしている"自分がいる事』 - 65二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:13:17
もう私は以前の私には戻れない。
正直これからどうなるのかも分からない。
だけど、このチャンスを絶対に逃さない。
この夜はきっと『反撃』の夜だ。
私は絶対に……ドレスローザを取り戻す!!! - 66二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:13:48
元からレベッカはアナザートラ男だったけど、こうなると前とは真逆の位置にいるアナザートラ男って感じになるな
- 67二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:16:09
これも美しい復讐物語だ
- 68二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:17:34
このレベッカはちょっと炭治郎っぽい
レベッカ+ナギナギは熱すぎる…!!
何か背後にコラさんがついていそうだわ - 69二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:19:13
- 70二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:19:48
コラさんは自分がドジったせいで救えなかった国で、親と恩人殺されて人々から罵声浴びせられてる子供見たら助けちゃうだろうな…
- 71二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:20:16
ディアマンテを殺すために原作以上の悪名を背負って、もはや王族には戻れないだろうなぁ…
それでもこれは最終的にローとルフィと肩を並べてドフィに決戦を挑むルートのレベッカ
まあ結局はギア4ルフィとドフィの決戦になるんだろうけど
『D』と『ナギナギの能力者』と一緒にドフィと戦うことになるローの想いたるや… - 72二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:22:00
ありがとう、最悪で最高だった
- 73二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:22:52
- 74二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:23:01
このレベッカはドフィを倒した後トラ男の船に乗りそう
- 75二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:24:17
- 76二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:25:28
なる程、そういうのもアリですね!!
実はこの続き書くんだとしたら
レベッカとトンタッタだけでファミリー討伐、
ルフィやローはそもそもドレスローザに来ない事を想定していました。
ファミリー崩壊するまでの過程でスポットライト当てるとしたら
個人的にシュガーですね
ナギナギエンチャントトンタッタの大群がシュガーに踊りかかる様をずっと妄想しています
- 77二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:29:06
レベッカがトンタッタに会えてなんか良かったな
にしてもナギナギのアイデアすごい - 78二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:40:08
- 79二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 01:00:08
最高!!!
- 80二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 06:51:40
あぁ、これディアマンテが兵隊さんに序盤でした事全部されてるのか…
- 81二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 08:50:30