- 1二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:21:50
- 2二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:25:43
- 3二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:27:50
シャンクス「そうだ!ウタがこの前新曲を作ったと言ってたからこの後聴こうじゃないか」
ルウ「お!来たか新曲!」
パンチ「アレだな!伴奏やるぜ!」
モンスター「😁」
ロックスター「歌姫の歌をこんな間近で聴けるなんて凄ェ話だ」
ウタ「じゃあいくよ!」
「____________♪♪」
シャンクスの船に乗ってから、ウタは随分幸せそうだ。もし神様とやらがいるのなら俺は相当嫌われてるらしい。こんなもの見るぐらいなら今すぐにでも消えてやりたい。それかここで暴れてやろうか。……まあ何も出来ないから見るしか無いのだが。 - 4二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:28:16
🐉🍢🍲🔥
- 5二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:28:17
なにっ トットムジカ目線
- 6二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:32:37
ウタ「〜〜♪〜〜♪」
ウタは暇が出来るといつも曲を作り始める。セルフカバーの時もあるが大抵は新曲だ。よくもまあこんなに思いつくものだ。流石は俺、もとい“ウタウタの実”に選ばれるだけのことはある。
ウタ「よし、続きはまた後で」
最近の曲は楽しさや希望に満ちていてつまらん。エレジアにいた頃は葛藤や悲痛さを表現した良い曲が多かったというのに。曲がりなりにも12年見守った身としては方向性の違いが苦しいものだ。 - 7二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:46:28
__________________
ウタ「ルウ!料理手伝うよ!」
ルウ「お!助かるぜ!じゃあこれやっといてくれ」
ウタ「は〜い!」
料理か。エレジアでやっていた覚えは無いが出来るのか?
ウタ「う〜〜んと…」ザクッ...ザクッ...
あ、迷ってるな。無理そうだ。
ウタ「ぃ!」
ルウ「ありゃりゃ、指切っちまったか。まあそういうこともあるさ!」
ウタ「うん…」
やれやれ。せめてやり方ぐらい聞いたらどうなんだ。こっちまで指が痛い気がする。 - 8二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:49:20
ウタ「え?」クルッ
ルウ「どうした?」
ウタ「今誰か私に喋ってなかった?」
ルウ「いや、何も聞こえなかったが」
ウタ「そう?」
ん?今俺の声が聞こえたのか?
__________________
シャンクスたちは港へ降りた。もちろんウタも同行する。そういえば俺にとっては初めてのエレジア以外の地ということか。地を踏む足など今は無いが。
ウタ「あの店パンケーキあるって!ホイップ増やせないかな?」
シャンクス「それじゃあ行ってみるか!」
ロックスター「ではおれたちは買い出しを済ませてくるんで、ウタはお頭と町を楽しんでてくだせェ」 - 9二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:55:17
なるほど、物資の調達か。海賊と言えどずっと海の上とはいかないか。しかし、略奪でもするのかと思ったら普通に買うのか。とことん面白くならないな。
???「間違いねェ。あの歌姫だ」
ウタ「おいし〜〜〜!!」
シャンクス「ははは!それは良かった!」
ウタ「そうだ!シャンクス、あ〜んして!」
シャンクス「ああ良いとも!」
なんだこの2人は。本当に12年疎遠だったのか?ただでさえ今食べてるホイップましましパンケーキが甘すぎるのにそれよりも甘ったるい光景なんざ見せるんじゃない! - 10二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:04:37
保守
- 11二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:05:55
ウタ「おいしかった〜」
シャンクス「次来たらまた寄りたいな」
ウタ「あ、シャンクス!あそこの服見てっていい?」
シャンクス「ああ!集まる時は呼ぶからな!」
服屋か。見覚えのないものばかりだが、ウタは何を選ぶんだか。
???「よォし、赤髪の目が離れた」
ウタ「う〜んこれはちょっと違うな〜…」
その服は雰囲気に合ってると思うが、どこが気に入らないんだ?
ウタ「ん?」クルッ
後ろには誰もいないぞ?
ウタ(誰かが話しかけてる気がするんだよな〜)
ウタ「あ、この服かわいい!これも良いかも❤️」
……妙なセンスをしているな。デザインはウタと合わないのばかりだ。逆にライブの日に着た服は誰が選んだのだ?ゴードンか? - 12ここからちょっとシリアス22/09/26(月) 23:14:07
???「おい嬢ちゃん」
ウタ「え?」
シャッ!
ウタ「っ!!」
誰だ?それにいきなり剣を向けるとは何のつもりだ?
ウタ「……何のつもり?」
セマカ「怪我したくなきゃあこのセマカ海賊団の人質になるんだな」
なるほど海賊か。そういうのの方がらしいな。
ウタ「くッ」タッ
コザ「どこへ行くのかな?」
ウタ「!」
セマカ「もちろん、オレだけじゃない」
ケマ「逃げられると思うなよ?」 - 13二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:16:09
ルーザーズ海賊団?
- 14二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:23:40
ウタ「……」スゥウウウウ---....
セマカ「おっと!」ドンッ
ウタ「うあッ!」ガン!
痛いだろうが貴様!……俺が痛い?
セマカ「歌ってもムダだぜ。お前の歌を聴くと眠っちまうことはもう知ってるんだ」
ウタ「っ……!」キッ
セマカ「おお怖い怖い。そう睨むなって。身代金貰ったらすぐ返してやるからよ」
シャンクスに喧嘩を売ろうとは、相応に強いのかバカなのか。まあ金は確かにあるから目の付け所は悪くない。
ウタ「……」
セマカ「そうそう、そうやって大人しくしてれば」
ウタ「んッ!」バサッ
セマカ「うわッ!急に何しや…」
ガンッ!!
セマカ「うげッ!」ズシャア!
ダッ!! - 15二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:24:56
名前が結末を物語ってますねェ
- 16二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:45:02
コザ「おい!てめェ船長に向かって!」ドガッ!
ウタ「あァ!」
ケマ「生意気なマネしやがって!」ギリギリ...
ウタ「う…!!」
ウタが打ち付けられたところ、抑えつけられてるところ、その全てが俺も痛む!まさか今、俺はまずいのか!?
セマカ「あの女ァ…!赤髪の船に乗ってるからってみくびりやがって!」
ウタ「…!」キョロキョロ
おい!今視線を移すんじゃない!
セマカ「このオレの前で余所見だとォ!消えない傷を付けてやらァ!!!」 - 17二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:49:55
ウタ(船まで逃げなきゃ!シャンクスのところに!)
だいぶ気が立っている。勢い余って殺してもおかしくはない!今までの様子だとウタが死んだら下手すれば俺も死ぬ!俺は魔王だぞ!魔王たる俺がこんなカスに殺されるなど!
セマカ「赤髪の悲しむツラを拝むのが楽しみだぜェ!!!」ブンッ!!!
ガキンッ!!!
私に剣が振り降ろされた瞬間、何かが剣を受け止めた。
セマカ「な、なんだてめェは!!!」
振り返ると、男が1人立っていた。 - 18二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:17:31
??????「…」
その男は黒いハットとマント、胸にはドクロを装っていた。受け止めた腕にはピアノの鍵盤のような模様があり、身体は上半身と下半身がそれぞれ燻んだ赤と青という不思議な配色。
セマカ「誰だと言ってんだ!!」
海賊は大声で喚く。謎の男は答えず、代わりに指を突き出し
ビュンッ!!!
セマカ「……カッ!!」
ドサッ
次の瞬間、海賊は倒れた。
??????「ふぅ、危ない危ない」
一切取り乱した様子も無く、男は呟く。 - 19二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:30:28
セマカ「ウ...」
??????「ほう、まだ息があるな。そのうち死ぬからどうでもいいが」
まだ死んでない。けど凄く血が出ている。
ケマ「てめェ!!よくも船長を!!!」
??????「とっととせんちょー拾って帰った方が良いんじゃないか?今なら助かるかもしれんぞ」
コザ「なんだと…!?こんな侮辱をされて生きて帰すと思ってんのか!!みんな来い!!!」
店の外で人が集まってくる。みんな倒れている海賊の仲間らしい。 - 20二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:34:35
??????「ほう、随分と大勢いるな」
ケマ「船長をやられて!!おめおめと逃げてられるかよ!!!」
??????「逃げるつもりは無いのか。怯えているならそれに従えば良いものを」
海賊たちは歯や身体が震えている者、顔を引き攣らせている者。その仕草にはいずれも恐れや迷いが現れていた。
ウタ「何で…」
??????「お前が死ぬと俺が困るんでな。多分」
ウタ「早くこの人を手当てしなきゃ…!」
今は布を充てて出血を抑えることしか出来ていない。助けが要る。
??????「放っておけ。どうせこっちを殺す気だったんだ」
謎の男は怪我人を意に介さない。
ウタ「でもこのままじゃ死んじゃう!」
少し間を置いてから、男は笑顔を作りながら答えた。 - 21二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:45:35
??????「コイツだって海賊だ。海賊なんて戦いの中で死ぬもの。普通の最期を迎えるだけだ」
ウタ「え…?」
??????「よく見ておけウタ」
セマカ海賊団「うおおおおおお!!!!」
??????「これが、『海賊』だ」ビィイイ----ッ.....
_________
嫌な胸騒ぎを感じたから、ウタの行った服屋へ向かっていたら赤い光線が飛ぶのが見えた。ウタにそんな能力は無い。誰がやったんだ?
シャンクス「これは…!」
シャンクスが目にしたのは炎の中で倒れた大量の海賊。服屋にはウタと、倒れた海賊。
__________________
最初に撃った海賊はまだ息があったから病院に送られたようだ。ウタが手当てして時間を稼いだから。人の死どころか血にも慣れていないとは、シャンクスは何を見せていたんだ。 - 22二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 00:49:07
今日はここまでです
21歳児と言われたりするウタですが、ここから精神的に成長させるつもりです
トットムジカ視点の文は文頭1字開けにしています - 23二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 01:16:49
スタンド能力みたいな育ち方だなこのムジカ
- 24二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 07:49:46
シャンクス「潜んでた海賊に襲われたか。目を離してすまなかった」
ウタ「良いよ謝らなくて。シャンクスは悪くないよ」
ベックマン「とにかく、ウタが無事で良かった。とりあえずそこを喜ぼうぜお頭」
シャンクスもかなり落ち込んでるな。まあこういう日もある。気にするな。と俺が言ったとしても構わず落ち込むんだろうなこの親子は。
ウタ「……」グスン
これが『海賊』だ?海賊ってあんな残酷に人を殺すものなの?じゃあシャンクスたちも…?あんなことを…?こんなこと考えたくないのに、やめられない。 - 25二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 07:56:38
本気で悩んでいるのだな。ちょっと刺激的過ぎたかな?
配信してる時、そういう海賊の被害とかよく聞いたな。シャンクスたちはあんな悪い海賊のようなことはしないって思ってた。いや今も思ってる。
よっぽど大切にされていたのだな。この甘ったるいじゃ
そうだ、シャンクスに相談しよう。1人で考えたってわからないから
言い表せない性格もそれなら納得
ウタ「ん?」
??????「ん?」
目が合った。
目が合った。
ウタ「え!?誰!!?」
??????「見えてるのか?」
部屋を出ようと振り向いたら、いつのまにか人がいたことに驚く。いや、よく見たら…
ウタ「あんた…この前の…」
怒りと怯えの混じった顔色を向ける。良い顔するじゃないか。
??????「覚えていたか。そいつは嬉しいな」 - 26二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 08:05:53
ウタ「町で海賊たちを…殺した奴…!」
??????「おいおい人聞きの悪い。俺はお前を守ってやったのだぞ。おかげで目立った怪我も無かったじゃないか」
格好はあの時と同じだった。よく見たら、十字の左眼に黒い翼という見覚えのある特徴があった。
ウタ「……トットムジカ?」
トットムジカ「ご名答」
身の毛がよだった。12年前に起きた悲劇。エレジアの国民がゴードンを残して全滅した大事件。……私が『それ』を口にしたがために目覚めた、少し前に倒されたはずの“魔王”が目の前にいる。
ウタ「何で…?私『それ』は歌ってない…」
トットムジカ「ああ。歌われた覚えは無い。何故俺が消えていないのか、俺にもわからない。ただ」
ウタ「ただ?」
トットムジカ「あの時も、今も、お前は恐れや迷いを強く抱いた」 - 27二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 08:13:10
まだはっきりとはわからんが、どうやら俺自身がウタの負の想いの化身になってしまったらしい。
ウタ「…何で私を守ったの?」
トットムジカ「言っただろう。お前が死ぬと俺が困るんだ。多分な」
ウタに負の感情が無いと俺は姿が見えないほど弱くなり、逆に強いとこうして形を成せるほどの力を得る。
ウタ「あそこまでしなくて良かったじゃん!」
トットムジカ「じゃあどうした?耳栓をしていて文字通り聞く耳の無い連中に、話し合いが出来たと?」
ウタ「それは…」
本当に殺しがしたくないのだな。海賊の船にいるとは思えん。シャンクスたちはどうやって隠していたのやら。 - 28二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 08:17:10
トットムジカ「それにしても驚いたぞ。人の死どころか血にすら慣れていないとは」
ウタ「シャンクスはそんなところ見せないから」
トットムジカ「どうやったんだ?海賊なら戦いは避けられぬだろう」
ウタ「みんなが戦う時はいっつも船番してた」
トットムジカ「……ほう」
ウタの目に映らないように敵が近づく前に終わらせていたと?…連中の強さなら出来そうだな。
ウタ「だから…まだ戦いを見たことはないの」
トットムジカ「お前は余程愛されているんだな。…俺と違って」
トットムジカの声から、どこからか寂しさが聞こえた。 - 29二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 08:51:13
トットムジカ「シャンクスもゴードンも、みんなお前の宝石のような歌声と心に惹かれたから、汚く血生臭いことなど知らないでいてほしいと、そう願ったのだろうな」
私は過去を思い返す。きっとこういうことだったのだろう。シャンクスたちは決まって私には船番をさせていた。私の心に白くいてほしかったから。ゴードンはいつも熱心に私を元気付けようとしてくれた。私の心に笑ってほしかったから。そして2人は、真実を言わなかった。私の心に傷を付けたくなかったから。
トットムジカ「もっとも、その2人のおかげで俺は蘇ったのだからむしろ感謝してるがな」
私から、戦いや血を遠ざけようとしていた。私のために、私を想って…。みんなにとって私は宝。それは凄く嬉しい。けど、段々と納得出来ない気持ちが芽生えた。 - 30二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 09:13:18
ウタ「私、ちゃんと赤髪海賊団の“仲間”になりたい」
トットムジカ「そうだな。まあ手が汚れてなくはないとはいえ、シャンクスたちがお前を大事なのは確か。これからは海賊を良くも悪くも見過ぎず互いの絆と強みを噛み締めて」
ウタ「守られるだけじゃなくて、守れるように強くなりたい!」
トットムジカ「…何?」
ウタ「仲間はお互いに助け合うもの!助けられてばかりじゃ仲間とは呼べない!私は身体も心も赤髪海賊団のみんなに助けられてばかりじゃない!」
トットムジカ「待て。俺はお前に戦えなどとは」
ウタ「私もみんなと肩を並べて戦えるようになってやる!」
ウタ「あれ?いなくなってる」
負の想いが和らいだか。また姿を出せなくなったらしい。ところで、ウタが戦うつもりならば俺はウタが死なないように守らなければならないのか。これではまるで俺が子守りみたいじゃないか。……なぜ俺がこんな目に!! - 31二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 18:25:55
最初は何をやり出すかと思ったが、シャンクスたちとのやり取りはこれまでと変わりなかった。いつものように談笑しいつものように歌う。見慣れたヘドが出る光景だ。
〜〜〜〜
そんなある日動きを見せた。ウタは徐にウタワールドを作り出し、武器を携えた。
ウタ「ここならアンタはいつでもいるんだね」
ウタワールドでの俺はウタの気分によらずに見えるようだ。姿は人型だが。
ウタ「じゃあ、私の相手になって!」
トットムジカ「は?」
ここで試合するからなんだというのだ。現実には何も影響が無いのに。それにこの私に敵うわけが
ゴォッ!
トットムジカ「!?」
ドンッ! - 32二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 18:28:08
〜〜〜〜
結果としてはまるで敵わなかった。私が。元あった力のほとんどを失くしているとはいえ、この世界のウタは比喩でもなんでもなく最強だった。
ウタ「どうだった?」
この実力差で評価が出来るとでも?腹いせに私を殴っただけじゃないだろうな?
トットムジカ「……その強さを元の世界で使えたらいいな」
ウタ「そうだよね…」
溜息混じりに呟いた。ここでいくら強くても元の世界で弱いんじゃ意味は無い。
トットムジカ「ヤソップ辺りに銃の扱いでも教わるか?飛び道具だから多少は怪我しにくいだろう」
ウタ「銃だと殺しちゃうじゃん。それにこの方がカッコいいでしょ?」
槍や盾はともかく、そのでかい手脚の鎧はお前のセンスか。胴体を守れ胴体を! - 33二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 18:34:21
トットムジカ「だが船には槍も盾も使う奴なんていないぞ。シャンクスは剣だしな」
ウタ「まあ槍も刺すつもりは無いし…あ、ホンゴウがいた!あの人棒使いだし!」
棒。確かに1番破壊は向いてなさそうだ。武器としてつまらんし殺しの嫌いなウタには向いてるかもな。
ウタ「武器を壊すのが得意って前言ってたし、殺さなくても相手を止めたりできるかも!」
おい棒でどうやって破壊するんだ。何か仕込んでるのか?それとも本当は棒って破壊的な道具なのか?
ウタ「あ、そうだ。トットムジカって呼びにくいから呼び名考えた」
トットムジカ「?」
ウタ「今からトムね!」
トム「…………勝手にしろ」 - 34二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 22:52:55
_________
翌日
ウタ「ホンゴウ!棒の使い方教えてくれない?」
ホンゴウ「急にどうしたウタ?」
ウタ「この前海賊に襲われちゃったじゃん?その時耳栓をされてて大変だったから、歌が無くても身を守れるようになりたいの!」
ホンゴウ「そういうことだったか。よしきた!」
ホンゴウの棒捌きは見事というしか無く、まさに自分の身体のように自在に動かしていた。確かにこれは立派な武器と言える。
ウタ「…すごい」 - 35二次元好きの匿名さん22/09/27(火) 23:11:55
ホンゴウ「まあいきなりこんな風に出来る必要は無い。まずは簡単な動きからだな」
最初こそ辿々しかったが、ウタはすぐ棒に馴れていった。ウタワールドがイメージトレーニングに役立っていたらしい。無意味という考えは改めなければな。
.
.
.
ウタ「はッ!」タンッ!
ホンゴウ「すごいじゃないかウタ!まるでダンスのようなしなやかな動きだった!」
ウタ「本当!?」
確かにこの動きのキレはダンスを見ているかのようだった。そういえば歌の振付けのために踊ることがよくあったな。エレジアでの日々はただ無意味に歌唱力を上げただけでは無かったらしい。
ホンゴウ「ただ、こういうところをこうしたらもっと良くなるな…」
ホンゴウの指導は極めて正確だった。気がつけば私もホンゴウの言葉に聞き入っていた。 - 36今日はここまで22/09/27(火) 23:50:22
〜〜〜〜
ウタ「凄かったね今日のホンゴウ!」
トム「そうだな。棒にあのような使い方があったとは…って俺を話し相手に使うんじゃない」
味を占めたのか、私と喋る時にウタワールドを使うようになった。
ウタ「でも私と喋ってる時のトム楽しそうだよ〜?」
トム「やれやれ。とんだ思い違いだ」
ウタ「つれないな〜」
ウタは視線を話すと例の格好になり、昼間教わった棒術のように槍を振り回した。…結構様になっているな。身体丸出し鎧のくせに。 - 37二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 08:27:03
- 38二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 08:52:57
トットムジカがミギーみたいで面白い概念
- 39二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 08:53:15
トム「能力は後で考えるとして、まずは棒に集中したらどうだ?」
ウタ「だよね!ちゃんと棒覚えなきゃ!」
本当に素直だなこの子は。私が元凶だと忘れちゃいないだろうな?そんなだからゴードンの猿芝居にも騙されるのだ。
ウタ「ありがとうトム!」ニコッ
……まあ、そんな奴だからシャンクスもゴードンも守りたがるのだろう。
トム「……礼を言われる筋合いは無い」
〜〜〜〜
それからもウタはホンゴウから棒術を学び、どんどん吸収していった。今まで1ミリも触れてなかったのにとても熱心に向き合っていて、ホンゴウも心なしか嬉しそうだった。 - 40二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 12:16:26
ウタ「ん〜〜!身体痛い!」
ホンゴウ「筋肉痛だな。慣れてない筋肉を使うと起きる。しばらくは休みだ」
ウタ「どうしたらすぐ治るかな?」
ホンゴウ「筋肉をほぐしたり血行を良くすれば傷ついた筋肉の修復が早くなる。それでも数日はかかるがな。一瞬で治す方法は無いから、間違っても変なもん食ったりしないように!」
言われてるぞネズキノコのこと。
ウタ「は、は〜い…」
ホンゴウに言われたんならしょうがない。大人しく休んどけ。
_________
ウタ「〜〜♪〜〜♪」
今度は曲を作り出した。ここ数日はホンゴウに棒教わってたから久しぶりな気がする。どんな曲になるのやら。 - 41二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:11:09
〜〜〜〜
ウタ「ねェトム!私の曲聴いてくれない?」
トム「何故俺なのだ?別に誰でもいいだろう」
ウタ「だってあんた楽譜なんでしょ?だったら私の曲がどんな感じなのか1番分かるかな〜って」
トム「まあ俺には歌を愛する者の(負の)想いが入っている。確かに素人よりはお前の歌の良し悪しはわかるが。……俺に曲の採点をしろと?」
ウタ「そッ!」
ウタの歌声は天から与えられたかのような美しさだ。並みの人間では何をどう歌っても満点以上の何かにしか聴こえないことだろう。 - 42二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:13:35
トム「ならば勝手に歌ってろ。とりあえず聞いておいてやる」
ウタ「ありがとう!」
そう答えるとウタは歌い始めた。
ウタ「—————————🎶」
……何度聴いても、ウタの歌声は素晴らしい。聴いていると心が安らいでいく気がする。初めて聴いたあの日から1度も、この歌声を疑ったことは無い。神とやらが私たちを創っているのなら、ウタの声は最高傑作に違いない。
ウタ「———♪ 」
「ふゥ!どうだった?」
トムはいつもの険しい表情を少し緩めて、余韻に浸っているように見えた。 - 43二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 20:17:06
ウタ「ちょっと!聴いてた?」
トム「む!ああそうだった。以前より心の表現に幅が出たな。エレジアで作った曲とは違った葛藤。弱さを嘆き、強さを求め、前へと足を進めるかのような力強さがこの曲にはあった」
やっぱり曲そのものだからいろいろなものがわかるのかな。こういう風に評価してもらったのはゴードン以外じゃ初めてかも。
ウタ「じゃあ、前と比べてどうだった?」
トム「ああ、良いとは思う」
単にハッピー一色な曲が気に入らんだけだがな。
ウタ「やった♪」
ウタは笑顔になり、小声で喜ぶ。正直言って悲しんでる顔が1番好きなのだが、それを見るために曲の評価で嘘をつくことは楽譜としてプライドが許さなかった。 - 44二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 22:49:11
〜〜〜〜
ウタ「今日は波が静かだね」
シャンクス「そうだな。ここ最近じゃ1番だな」
ウタ「この海の向こうで、ルフィは何してるんだろうね」
シャンクス「さあ。でもあいつなら大丈夫さ」
ルフィ。ウタワールドでウタや私と戦ったウタの幼馴染か。私が倒れた後はどうしたんだろうか。
ヤソップ「お頭!船がこっちに向かってるぜ!」
ヤソップの視線の先にある船には、海賊旗があった。
ヤソップ「あいつら武器を構えてるな。つまり…」
シャンクス「“やる気”ってわけか」 - 45二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 22:51:06
シャンクスたちに正面から挑むのか。やめとけばいいものを。この前の連中の方がまだ賢かった。
シャンクス「よ〜し、行くぞ野郎ども!!ウタは船番を頼む!」
ウタ「シャンクス!」
シャンクス「?」
ウタ「シャンクスたちの戦い、見届けていい?」
シャンクス「大丈夫なのか?」
ウタ「ちゃんと“海賊としてのシャンクス”を知りたいの!」
シャンクス「……ああわかった!しっかり見ていろ!!」
シャンクスはそう告げ、戦いの火蓋が切られた。 - 46二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 22:53:02
やっぱり、シャンクスたちは強い。相手の海賊をずっと押している。
トム「怖がっているな」
脚が震えていると自覚した時、トムが姿を見せた。私はかなり怖がっているらしい。
トム「お前の事は俺が守ってやる。とりあえず身の心配はいらん」
ウタ「それは大丈夫。だけど…」
今まで、シャンクスの戦いをちゃんと見たことが無かった。だからどんな風に戦うか見たくない気持ちがある。残酷な戦い方じゃないだろうかと。 - 47二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 22:55:14
トム「戦いである以上、命の遣り取りは避けられん。やらなければやられる。そういう状況は必ずあるのだ」
敵海賊はどんどん倒れていく。中には血を流しているものも。息が荒くなっていく。
ウタ「……」グッ
目を離しちゃダメ。これも“海賊”なんだ。私も名乗るからには、事実を目にしなくては。
ダンッ!
ウタ「!?」
???「1人船に残っていると思ったら、女か」
この男、シャンクスたちの目を掻い潜ったのか?そして携えているのは…。 - 48二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 22:57:27
トム「どうやら、只者ではないらしいな。棒使い」
ウラモ「我が名はウラモ。この戦いは我らの海賊団が負けるだろう。我も頭を打ち、耳が潰れた。もう長くは無い」
ウタ「だったらもう降参してよ。まだ手当てをすれば助かるかもしれないし、これ以上戦っても…」
ウラモ「だが、タダでは終わらん」
ウラモは武器を構える。
トム「わかっているな?この女は赤髪のシャンクスの娘だ。傷をつけようものなら命は無い…!」
ウラモ「命を乞えと?そんなものへの頓着は海に出た時に捨てた。むしろ強き者に殺されるのなら本望だ」 - 49二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:00:52
ウタ「……!」
並みではない覚悟を前に、思わず身がすくむ。
ウラモ「女。貴様に決闘を申し込む。“赤髪”の船員である以上見くびりはしない。隣の男も纏めて来るが良い」
トム「ならば、お望み通り殺してやる。来い」ビィイイイ...
ウラモとトムは激突する。トムのビームをウラモは的確にかわし、ウラモの攻撃をトムが受け止める。一進一退の攻防の中で、
トム「ぐッ!」
遂にウラモがトムを弾き、私に攻撃が来た。
ウタ「!」サッ!
ホンゴウとの特訓が活きたのか、ウタは攻撃を巧みにかわしている。 - 50二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:02:17
ウラモ「その身のこなし…やはり素人じゃないな!」ヒュッ!
だが全て避けきるのは厳しい。
ガキッ!
トム「危ない危ない」
ウラモ「そんなに女が大事か?」
トム「俺が困るんでな」
ホンゴウのおかげで、棒の動きはなんとかかわせる。でも武器が無いからそれ以上のことが出来ない。何か武器が、それこそ棒でもあれば…
ウタ「…あった!」 - 51二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:07:10
期待
- 52二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:10:43
ウラモ「ぬゥ……!」ググググ....
トム「くゥ…!その棒を、離せ!」
棒を蹴り飛ばし、それは宙を舞った。
パッ
ウタ「……奪った」
トム「お前の負けだ。死n」
ウタ「待って。1人でやらせて」
トム「………間違って死ぬなよ」 - 53二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:13:36
ウラモ「我などもう1人で充分ということか…ゴフッ」
ウタ「…あんたを、見届けたいの」
ウタは凛々しく棒を構えた。
ウラモ「……行くぞ」
ゴォッ!
最後は一瞬だった。真っ直ぐ迫るウラモをウタが吹っ飛ばして終わり。ウラモは体力を使い切り、立ち上がれなくなった。
ウラモ「……ここまで…だな…」
ウタ「……」
ウラモ「女…名前はなんていうんだ…?」
ウタ「ウタ。…ごめん…痛いよね…」 - 54二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:16:19
ウラモ「ウタ…か…。謝るな…!死ぬ時はこうなることぐらい…わかっていたさ……最期までおれは…自由に生きられた…!これ以上、幸せなことはねェ…!!」
彼にとってもっと良い人生はあったかもしれない。けど、それを彼に伝えるのは酷だ。だって彼は、今ある人生を全力で楽しみ、生きたのだから。私に出来ることは、これだけだ。
ウタ「…」スッ
ウラモ「?」 - 55二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:27:21
ウタ「——--——-♪」
耳元に顔を寄せ、ウタは歌った。それはまるで子守唄のように静かで、優しい曲だった。耳が潰れていたウラモに聴こえていたかどうかはわからないが、ウラモは眼から涙を流し、痛みを忘れるかのように安らかな笑顔を浮かべた。
ウタ「—————♪」
歌い終わる頃にはウラモは穏やかな表情となり、長い眠りについた。決着が着いたのは、これとほぼ同じタイミングだった。
ウタ「……この棒は貰うね。あんたのこと、忘れないよ」 - 56二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:28:57
1段落したので今日はここまで
明日の自分ならなんか思いついてることでしょう! - 57二次元好きの匿名さん22/09/28(水) 23:42:58
ああなるほど
貰う→モラウ→ウラモか