パクパクだし!

  • 1二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:34:56

    「ちょいトレーナー!なんなんこれ!」
    トレーナー室に戻ると、トーセンジョーダンが眉をつり上げ迫ってきた。
    「なんなん……とは?」
    「とぼけんな〜?あのチョコだっての!」
    彼女が指さす先には、皿に盛られた駄菓子たち。俺が今朝、休憩時間につまめるようにといくつかの袋菓子から開けたものだった。
    「もしかして、不味かったか?」
    「マズイ超えて激苦甘さゼロでビビったわ!なんこれマジぴえんなんだけど!」
    机の前まで引っ張られ、そのチョコレートを目の前に差し出される。なるほど、彼女が怒り心頭な理由がわかった。
    「ああ、カカオ72%を開けてしまったのか」
    「ん?どゆこと?説明しろしー?」
    「いつも俺が食べているものをそのまま開けてしまったようだ。ジョーダンの舌には合わなかったんだね、ごめんな」
    「……まーいいけど。んでさ、アンタいつもこんなんくってんの?」
    信じられないようなものを見る視線が突き刺さる。
    「約7割カカオだからね、ポリフェノールたっぷりで健康にいいんだ」
    「はぁ〜?デザートは甘いもんに決まってんじゃん!チョコだって、それに……ほい、食っとけー」
    おもむろに端に置いてあったコンビニ袋に手を突っ込んだ。恐らくジョーダン自ら買ってきたものだろう。

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:35:41

    「おっと、ありがとう」
    袋から取り出したなにかをこちらに投げよこしてきた。小袋に包まれたマカロンだ。
    「頂きます……うん、甘いな」
    「ウケる、当たり前っしょ……あたしはパフェくおーっと」
    もうひとつ取りだしたのはカップサイズのパフェ。生クリームの上に大きなプリンが乗っている。
    椅子に腰かけ、マカロンとパフェ、ふたつのデザートを交互に口に運んでいく。ジョーダンはご満悦の表情だ。
    「くぅ〜サイコー!な?ポリなんとかよりこっちしか勝たんて!」
    「学生の間はいっぱい食べる方が体の成長に繋がるから、止めはしないよ。けど、脂質糖分の摂りすぎには気をつけてね」
    「はーい……んーマジヤバ。止まんねー」
    「……今食べてるお菓子の半分くらいが砂糖でできてると思って、な」

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:36:25

    ピタリ、とジョーダンの手が止まった。
    「……半分がおさとう?ジョーダンよしなって、あたしをおどかそってんでしょ」
    「いやいや、本当だよ」
    「……マジ?」
    「マジ。さっきのチョコの味を思い出してご覧、あれがカカオ7割の味だ」
    「……確かにゼンゼン甘くなかったけど」
    どんどんジョーダンの表情が曇っていく。なんだか可哀想になってきたが、ここはウマ娘の健康も管理するトレーナーとして、きちんと教えておくべきだろう。
    「砂糖を指でつまんでパラパラ〜、程度で甘くはならないんだ。ほら……今ジョーダンが食べ終わったマカロンのレシピ」
    「……多くね?ガチじゃん、ヤバすぎんだけど」
    「で……これも一例だけど。検索したら一般的なチョコに含まれる砂糖の量もでてきた。ほら、カロリーもここに……」
    スマホを開き、画面をジョーダンに見せていく。彼女の顔はあっという間に青ざめていった。
    「トレーナー……」
    「な、何かな」
    「これ、あげるし」
    ジョーダンに食べかけのパフェを押し付けられた。
    「いや、残りも食べたら━━━」
    「デブになんかなりたくねー!決めた、あたしもう一生デザートはくわん!だからトレーナーくって!」
    「そ、そうか……?きちんと管理すればお菓子も食べるくらいは問題ないと思うけど」
    「いやもー決めた!絶対だかんね、机のそれもどっかやれし!あたしをユーワクすんな!」
    剣幕に押され、そそくさとお菓子を机にしまう。少し脅かしすぎただろうか……プリンとクリームの甘味を口に感じながら、一人反省するのだった。

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:36:54

    ━━━そして数日後。
    「んー♪このプリンサイコーだわ!あ、ロールケーキも〜♪」
    前よりも大きな袋から、何種類ものコンビニスイーツを広げるジョーダンの姿があった。
    「……美味しそうだね」
    「あ、トレーナー……」
    一瞬気まずそうに目を逸らしたものの、すぐ自信ありげに胸を張った。
    「いやさ、あたし考えたワケ。我慢すんより、いっぱいくった方が幸せじゃね?そのぶん動けばいーじゃん?」
    「まあ、ウマ娘の運動量なら事足りるな」
    「しょー?ってことで今日は棚のスイーツ全種買ってきたんよ、ほらアンタも!」
    スーツの裾をひっぱられ、隣に座らされてしまった。

  • 5二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:37:20

    「あたしのオゴリ、好きなもんくっていいから!今から菓子パな!」
    「……友達とじゃなくてよかったのか?」
    「あー……これはこの前あたしをおどかした仕返しだから。いっぱいくわせてふとらせちゃる」
    悪戯っぽく口を歪める。
    「はは……こりゃ参った」
    「当たり前だけど拒否権ねーから。たまには真面目やめてトレーナーもバカやりなって!とりゃっ」
    「んぐっ!?」
    早速クッキーを口にねじ込まれてしまった。
    「くくっ……変顔なってる。1枚いただきー♪」
    スマホのシャッター音が響く。結局、先日教えたことは無駄だったのだろうか。いや、そうではないだろう。
    今日のジョーダンは自らすすんで追加の練習を申し出ていた。彼女なりにバランスを取っているのだろう。それに、
    「むぐむぐ……うん。ジョーダンは笑顔の方が似合う」
    「ん、なんかいった?」
    「いいや別に……そうだな、次はこの抹茶ケーキを貰っていいかな?」
    「あー!それあたしが狙ってたやつなんだけど!」
    「そうか?じゃあ半分こしよう」
    「よっしゃ、はよはよ!」
    「はいはい、そこのフォーク取って━━━

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:38:29

    素晴らしすぎてカヒュってなった

  • 7二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:39:34
  • 8二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:42:37

    なんだい
    今夜はやたら良質SSをぶん投げる人が多いね
    いいものをありがとう

  • 9二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 22:58:57

    ありがたやありがたや

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:18:22

    ジョーダンは口調再現難しいからかSSが少なくて辛い
    いいのを3つも読めるとは

  • 11二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:23:49

    1番甘いのは2人の雰囲気でしたってか

  • 12二次元好きの匿名さん22/09/26(月) 23:33:51

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