- 1二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:21:16
「そう言えばお前の呼び方、お父様か雑魚マスか、どっちがいい？好きな方選ばせてやるよ」
「できれば名前で呼んでほしいなあ……」
「…………」
娘であるバーヴァン・シーと藤丸のやり取りに、モルガンは口を挟まない。ただ黙して見るのみである。
しかしこれは不機嫌だったり無視しているのではなく、実はただ愛する二人のやりとりを邪魔したくないだけ、というわかりにくい愛情なのだと。少なくとも藤丸立香は分かっている。
そう、モルガンの「夫」たる彼は分かっている。自分の「彼女」であるバーヴァン・シーとじゃれ合ったところで「妻」が機嫌を悪くしたりしないことなど十分に分かっている。
それが今の三人の関係。一人が残りの二人を大好きな、正三角関係であった。 - 2二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:23:04
「ほら行くぞザコお父様！……お母さま、それじゃ行ってきます！」
「その呼び方むしろ長くて呼びにくくない！？あと学校じゃ絶対やめてね！？……モルガン、行ってくるね」
「……楽しんできなさい、バーヴァン・シー、リツカ。何かあったら……」
「水鏡。分かってるわ、お母様。ちゃんと持ってるもの（多分使うことはないだろうけど）」
平日、今の時間は朝。
心配性の母親兼妻に見送られて駆け出すバーヴァン・シーと藤丸はどちらも高校の制服姿。この世界において、二人は同じ学校に通う同級生。……そして、クラスメイト公認の彼氏彼女の関係にあった。
口が悪く嗜虐的で当りが強い言動をするバーヴァン・シーが割とクラスに馴染んでいるのは、彼女自身の美貌に加えてひとえに緩衝材になる彼氏役の藤丸の存在も大きい。今や藤丸は同級生達から「美少女だがキツめな性格の彼女に振り回される大変な彼氏」という生暖かい目で見られる対象になっていた。 - 3二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:25:13
「おらさっさと行くぞ『リツカ』。……これで満足かよ？」
「まあうん、お父様もマスターもちょっと誰かに聞かれたら説明に困るからね…」
「その時はちゃんと説明してやればいいだろ？『私は家では彼女であるバーヴァン・シーのお母様と結婚してる身で娘のバーヴァン・シーのご主人様でもあるんです』って」
「どこからどう聞いても俺が鬼畜としか言いようがない関係になっちゃうんだけど！？」
「でもまあ名前呼びにしてやるよ。ちゃんとな。…そっちの方がしっかり付き合ってるっぽいでしょ？カレシさん」
通学路を歩きながら藤丸と機嫌良く言葉を交わすバーヴァン・シーの言葉通り。
取り戻した世界において、彼はモルガン・ル・フェとバーヴァン・シーのどちらとも双方公認で、言い方は多少変われど男女の関係、というミラクルを味わっていた。
昼間、学生として通う間は娘と付き合い、夜に自宅や任意の場所では母親と夫婦であるという倫理観はどこに置き忘れたの状態。だがそれを問おうにも彼女ら二人は妖精であってそんなものどこ吹く風。多数決では藤丸の方が一対二で常に不利な状態なのだ。 - 4二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:27:13
しばらく歩いて学校に到着。その直後から、おはよう、仲いいね二人とも、またやってんのか藤丸、とか登校直後にクラスメイトが声をかけてくるのも無理はない。なにせ、
「あのさ…わざわざ腕を組んで登校する必要なくない！？割と恥ずかしいんだけど！」
「なに？付き合うってこういう感じなんでしょ？だったら堂々としてろよ。顔赤いぜク・ソ・ザ・コ・くん。私の身体で触ってないところなんてないくせにな？」
「ちょっと音量落として！？往来でそんなこと言って誰かに聞かれたら──」
「いいだろ別に。恋人同士で付き合ってるなら、交尾することも珍しくないんでしょ？そういうもんだって聞いたぜ」
「普通そういうことは秘するものなんだってば！」
他愛ない話、一部他愛なくない話を交えて同じ教室まで歩く。教室に入ってからはさすがに腕を解き、外国人留学生ということになっているバーヴァン・シーはそれなりに仲の良い女子生徒にフランクに挨拶して駆け寄っていった。押し付けられていたたわわな胸の感触が離れていったことに、ほっとしつつ名残惜しくもあった藤丸はそっと息をついた。
授業さえ始まれば、元々真面目な彼女は集中して勉学に励むため何の心配もいらない。おそらく、目立つ見た目と言動なバーヴァン・シーが溶け込んでいる、あるいは同級生から受け入れられているのはそういうところもあるのだろう。 - 5二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:29:06
そして時間は放課後。
「………やーっと授業終わった。ほら行くぞリツカ。腕組むのは無しにしてやるからさっさと家に帰ろうぜ」
「友達はいいの？それにどこか寄るところとか──」
「まあ遊びに行くのもいいけど。昨日散々お前を引き回して帰ったのが夜だったから、今日は早く帰ろうと思って」
「ああ、だからモルガン、出がけにあんなこと…」
「……お母さまに心配なんてかけたくない。だから今日は直帰。わかった？」
これもおそらく、バーヴァン・シーがクラスメイトから暖かい目で見られている理由の一つ。彼女がお母様大好き、あるいは口さがない同級生に言わせればマザコンの気があるのは隠しようがない。こっちも藤丸のフォローが必要なくらいには。
そして、今の三人が問題なくやっている理由の一つでもある。 - 6二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:31:22
「私は昨日、お前との時間たくさんあったからな。帰ったらちゃんとお母様の相手してやれよ」
「……昨日君とホテル行っておきながら今日はモルガンと夫婦って、改めて凄い生活だ」
「……………あ゛？お前、お母様の夫であることに不満とでも言ってんじゃねえだろうな？お母様を傷つけるやつはいくらお前でも許さねえから。マジでコロすぞ」
「違う違う違う！ただちょっと贅沢すぎる生活だって思っただけ！俺には勿体なすぎるくらいだって！」
「そんなのお前が気にするなよ。お前はお母様の夫として、ちゃんと幸せにすることだけ考えてればいいんだ。いいか、私と付き合ってるからってお母様を蔑ろにしやがったらお前はゴミ箱行きだから。忘れんなよ」
瞳孔の開いた目になったバーヴァン・シーに慌てて釈明する藤丸。もちろん藤丸の意図は言葉通りでしかないため、それで十分彼女の棘は引っ込んだが…それにしたってバーヴァン・シーのお母様への愛は重い。
逆に言えば、彼女の最も大切なものがそれであり。藤丸がモルガンによくしている限り、バーヴァン・シーは問題なく（……多少のフォローがいる程度にすむくらいには問題なく）、彼と付き合っていけるのだった。
結局のところ、彼女も藤丸と男女の関係になってもいいというくらいには気に入っていたのだから。 - 7二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:34:14
「じゃあ、お母様。私宿題やってるから、そいつ譲るぜ」
帰宅して、ただいまお母様！と言ってモルガンにとびついたバーヴァン・シーはひとしきりじゃれてから、そう言いのこして藤丸にウィンクしてから二階の自室に上がっていった。
残されたのは素直に愛情を表すことができるようになった母娘にほっこりしていた藤丸と、ジーパンとシャツというラフな服装をしたモルガンのみ。
モルガンは普段二人がいない間は工房と化した一室におり、おそらく時折この家にとんでもない大金が入ってくるのと関連しているのは間違いないと藤丸は踏んでいる。が、何をやっているのか怖くて聞けない。だが神域の天才がやることなので、バーヴァン・シーを見習って余計なことは考えないようにすると彼は決めた。同級生に何か聞かれたら、自宅で仕事をやっていると言うようにだけしている。 - 8二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:35:13
「……お疲れ様です。我が夫」
「とりあえず……制服脱いできてもいい？」
「それもそうですね。その後は居間に降りてきてください。一緒にテレビで『奥方は魔女』を見ながらでも睦むとしましょう。私も今日の午後は開けてありますから」
しょっちゅう藤丸を外に連れ回すバーヴァン・シーと違い、モルガンは一緒にいられるなら何をするかは気にしないらしい。なんなら一緒に隣り合って本を読んでいるだけでもいいというタイプだ。
だけれどそこには確かにお互いに対しての愛情があり……何より確かな「夫婦」としての時間を過ごすことになる。藤丸からすれば、そんな心地よさを感じさせてくれるのが今のモルガン・ル・フェ、通称藤丸モルガンだった。 - 9二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:36:37
時間は飛んで今は夜。
いつもより少しだけ早い時間にモルガンが作った夕食を三人揃って食べ、片付けが終ってすぐに「先にシャワー浴びて寝るねお母様おやすみなさい」とチェシャ猫笑いをして引っ込んでいったバーヴァン・シー。
どうやら今日は徹頭徹尾大好きなお母様に彼氏を譲るつもりらしい。昨日自分はたっぷり味わったからいいということだろう。
「……優しいよね、バーヴァン・シー」
「ええ、本当に……もう少し、私にわがままを言ってもいいのですが」
「モルガンも、そういうことをもっとたくさん伝えてあげて。あれでも時々、お母様に負担かけたくないってこぼすくらいだから」
「……善処しましょう」
ここは夫婦の寝室。同じベッドで二人横向きに向かい合わせになり、寝転んでの談笑。
バーヴァン・シーもそうだが、かつての彼女からは考えられないほどに穏やかな雰囲気。愛娘にライオン被ってるみたいお母様かわいいとまで言われたモルガンが身にまとう空気は、傍から見れば夫を愛する新妻そのものだった。 - 10二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:38:52
「一応聞きますが我が夫。昨日バーヴァン・シーとは何をしてきたのですか」
「……学校終わって映画館でホラー映画を一緒に見て……その後お茶飲んで……それでその……」
「ホテルに行ったのでしょう。昨日夜に帰ってきたときにあの娘から聞きました」
「そういうこと普通に話してるんだもんな……相変わらずなんか凄い関係だよね今の俺達。モルガンと夫婦だって言うのに、バーヴァン・シーと…って」
「…………………まさかとは思いますが、私の娘と付き合うことに何か不満があるのではないでしょうね我が夫」
「母娘揃って同じ反応しないで！？身に余る名誉だと思ってるだけであります女王陛下！！」
「ならば良し。ですが、もしもあなたが我が娘を傷つけでもしたら……ゆめゆめ忘れぬように。私の夫だからと言って、私の愛娘より私を優先しすぎることのないようにお願いします」
──ス、と据わった目になったモルガンに弁明する藤丸。夫の浮気を責める妻ならともかく、「自分の娘との浮気に不満な夫を責める妻」というもはや彼の倫理感を丸めてバットでぶっ叩いて屑籠にホールインワンするレベルのやり取り。
しかしてモルガンは銀髪長身、身体つき豊かな絶世の美女。バーヴァン・シーは赤髪長身で巨乳で間違いなくこちらも美少女。
普通の家族としてすら仲が良すぎる今の母娘をたまに藤丸は一度に「相手をする」こともあるが、正に男として至上の贅沢だと言ってよかった。 - 11二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:40:06
「それで、まだ聞き終わっていませんでしたね。ホテルで、バーヴァン・シーとは何をやったのですか。……具体的に」
「ちょっと待って今これ羞恥プレイの最中？……というか、モルガンの顔も真っ赤だからどっちにとっても恥ずかしいだけだ！恥ずかしいなら無理に聞かなくてもいいのに……」
「黙りなさい。……これは我が夫が万が一にも我が娘を傷つけていないかどうかの確認です。妻としての義務です」
「すごい理屈だ……夫と娘のプレイ内容を聞いて判断しょうって？」
「聞くだけでは不完全です。『実際に行って我が身で確認します』。いいですね？」
白い肌を紅潮させるだけさせたモルガンが、ベッドの上の藤丸にすり寄ってきた。そのまま器用に抱き着き、自分の身体を仰向けに倒す勢いで藤丸の身体を上に、自分の身体を下にする。
超至近距離で照れながらも蒼い瞳が美しい妻と目を合わせた彼は、さすがにこの後の展開は想像がつくくらいには経験を積んでいた。 - 12二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:41:16
「昨日あなたがバーヴァン・シーにしたことを、全部私にやりなさい。それをもって是が非かを判断しましょう、我が夫」
「……仰せの通りに、陛下。でもこういう時って、他の女の話はしないでとか言いそうなものだけど」
「何を愚かなことを。あの娘の話ならいくらでも聞きたいのですから構わず話しなさい」
「……本当に両想いだよね、モルガンとバーヴァン・シーって」
もっとも、困ったことにモルガンの方がバーヴァン・シーより「弱い」ため、同じ強さでやっては藤丸がハードなプレイを娘に強いているとあらぬ疑いを持たせかねない。
故に今日はちょっと「優しく」しよう、と彼はこっそり決意した。
大切な妻との夫婦の営み。バーヴァン・シーが言う恋人とのそれのように、世の誰もがやっている秘め事。世の理。
昨日は彼女と今日は妻と。そしていつもは家族として仲睦まじく。
藤丸立香の毎日は、取り戻した世界そのものがそうであってほしいと願うように、幸福なものであるようだった。 - 13二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:42:29
余談
「……おいザコ、昨日お母様に酷いことしてやがったろ」
「バーヴァン・シーと同じことしかしてないって！いやだってモルガン、あんまりにも弱くって──」
「は？お母様をザコ呼ばわりするとかぶっ殺されても仕方がないぞお前。……だから今度私に試してみろよ。お母様にやったこと全部。それで判断してやる」
「もうループしてるよこれ……」
仕方がないので日曜日、藤丸に「答え合わせ」として二人一緒に同じことをされるモルガンとバーヴァン・シーであった。
めでたしめでたし - 14二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:43:42
以上です
お目汚し失礼いたしました - 15二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:49:09
素晴らしい
- 16二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:54:14
最高に優しい世界
- 17二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 20:54:44
素晴らしい
- 18二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:09:56
お母様が見守る前で娘を抱くシチュエーションいいよね…
- 19二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:44:11
男の悦びを感じる
- 20二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:52:31
親子丼やってんのか、まあモルガンも了承しそうだよな
- 21二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 22:03:57
絶対3Pしちゃうよな…ってなる関係性好き
- 22二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 22:06:47
トリ子のお父様呼びはパパ活にしか聞こえない
- 23二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 22:53:32
- 24二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 23:54:20
双方に子供ができたら、異母兄弟でかつお互いが甥/姪・叔父/叔母というめっちゃ複雑な関係になるな…
- 25二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:19:19
二人ともタフそうだし搾り取られてそうだな
- 26二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 02:00:29
某スレにいた人かな？供給ありがてぇ、
- 27二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 07:30:11
このレスは削除されています
- 28二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 08:03:01
3人で幸せに暮らすべき
- 29二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 15:39:06
いざやる前は散々メスガキな態度だけどやっている最中はデレデレなトリ子ってありだよね
- 30二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 17:43:07
多分唯一母娘丼になった方が幸せになれる親子
- 31二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 21:17:10
こういうのいっぱい欲しいのに全然ない悲しみ
- 32二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 00:46:57
親子丼する時の兆候は食卓にずらりと並ぶ精がつくもの…そしてぐだ男は「明日は土曜日だからって寝かせない気だな」って察する
- 33二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 11:22:11
三人が幸せそうでなにより
- 34二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 22:21:49
怪文書界隈に投下している人？