【CP注意】「ウタちゃんってルフィの事好きなの？」「ええっ！？」

1二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:27:32

　ベッドにもぐりこんで、瞼を閉じる。

　自分の心臓の鼓動を感じる。自分が呼吸している事を理解する。

　自分が生きていることを実感する。

　横たえて、どこまでも深い闇の中、思考を巡らせる。

　無意味に脈を数えて、無価値に無駄な思索を募らせて。

　冴えわたる意識。明晰な思考。

　……まあ。そう。つまりは。

　私は。全く眠れないでいた。

2二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:29:41

よしっ！SSだ！煮込め！

3122/09/29(木) 21:30:01

　私の睡眠欲は強い。昔から、気が付いた時は夢の中。そんな事ばかり。

　だからこうなるのは珍しい。初めての経験といえる。

　まさか、ベッドに入って眠れないとは。

　だからこそ認めたくない。

　私がどれ程あの言葉に、心を乱されているかなんて。

　「もう……」

　小さな声で、呟く。

　せめてもの抵抗とばかりに。オレンジ色の髪の航海士さんのいる方を、にらみつけてみた。

　……もちろん何も起きなかった。かわらず、彼女は小さな寝息を立て続けている。

　無意味なことをしているな、と。ため息をついた。

4122/09/29(木) 21:39:26

『え？もしかしてバレてないって思っていたの？』

『バレてないってなに！？』

　好きって、なんだろう。

　ルフィの事は、好きだ。
　ナミさんも、この船に乗る仲間も、赤髪海賊団のみんなも、ゴードンの事も私は好きだ。

　でも。

「そういうことじゃ、ないんだろうな。」

　独り言。

5122/09/29(木) 21:41:08

　この「好き」は、親愛。

　ナミさんの言うそれは、違うものだ。

　ルフィの事は、好きだ。
　幼馴染としても、恩人としても、仲間としても、船長としても。

　いつも私は、この溢れ出す「好き」をいつも持て余している。

　でも……これが恋とか、愛とか、そういうものなのかというと……。

　「………………………………認めたくないなあ」

6122/09/29(木) 21:41:50

　うっかり。

　ついうっかり。自覚してしまった。

　つまりは。

　そういうことだった。

　正直、しょうがないと思う。

　ずっと子供の頃に夢を誓い合って。

　大きくなって再会して。

　私をボロボロになりながら助けてくれた。

　かっこよくなった幼馴染。

　そんなの。ずるいと思う。

　そんな事を考えて。

　私は一人ベッドの中で苦笑した。

　そりゃあ。

　ナミさんにもバレバレだ。

7122/09/29(木) 21:42:22

「……」

　私は。音を立てないように、そろそろとベッドから抜け出す。

　ここにいても、眠れる気がしなかった。

　私は足音を立てないように、そうっと。部屋を、出た。

8二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:46:01

好きな雰囲気

9二次元好きの匿名さん22/09/29(木) 21:47:38

この文体どっかで見た気がする

10122/09/29(木) 21:54:48

　満天の星。雲一つない夜空。

　真夜中の船上。その前方。ライオンの頭。

　その上には。

「……」

　後ろから、目視して、そうっと。

　近づいてみる。

　ゆっくりと、静かに、気づかれないように。なのに。

「なんだウタ。起きたのか。」

　振り返ることもなく。私の努力を無視して。

　ルフィはそう言った。

　ルフィはピョンと跳ねて、私の前に着地する。

「……さすがだね」

「すげえだろ」

11122/09/29(木) 21:55:21

　気が付かないフリを、してくれても良くない？

　ちょっとだけ、心の中で拗ねてみる。

「眠れねえのか？」

「うん。ちょっとね。」

　そういって、二人で階段に座る。

「ねえルフィは……」

「ん？」

「私のこと、好き？」

　夜遅くだからか、自然と、サラリと私は聞いた。

　こんなの昼間には絶対聞けない。恥ずかしくて死んじゃう。

「ん？ウタのことは好きだぞ。」

　ルフィは。不思議そうな顔で。あっさりと返した。

12122/09/29(木) 21:57:07

　親愛。

　ルフィのそれは、親愛。純度100％。

　疑いの余地もなく、仲間としての「好き」

　それでも。

　口元がニヘラとなるのを抑えられない。

「……そっかぁ。ルフィは私のこと、好きなんだ。」

「？おう。ウタのことは好きだぞ？」

　……もう一回言ってもらっちゃった。

　というか、もう一度聞きたかった。