【SS】歌と歌姫は合わせて1つ

  • 1二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:45:57

    明日はウタの誕生日なので間違って落としたSSの続きを通します
    トットムジカを喋らすのでそういうのが苦手であればご注意を

  • 2二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:46:21

    トットムジカ視点のあのSSか!?

  • 3二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:47:14

    トットムジカがスタンドみたいになってたやつか?

  • 4二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:49:53

    >>2

    >>3

    そうですそれです

    前スレ

    【SS】なぜ俺がこんな目に|あにまん掲示板人の恐れ、人の迷い。トットムジカの名のもとに。怯えよ、逃げよ。 いつかも忘れた遠い昔、名前すら覚えていない誰かが作った楽譜。そこに込められた、「寂しい」「認められたい」「誰かに見つけてほしい」。歌を愛…bbs.animanch.com


    前スレの修正版

    なぜ俺がこんな目に『人の恐れ、人の迷い。トットムジカの名のもとに。怯えよ、逃げよ。』

     いつかも忘れたほど遠い昔、名前すら覚えていない誰かが作った楽譜。そこに込められた、「寂しい」「認められたい」「誰かに見つけてほしい」。歌を愛する者の負の想いが集まったもの。それが俺、『トットムジカ』。


     12年前、久方ぶりに相応しい者に恵まれ、現実に蘇った。“歌い手”の体力が許す限り好きに壊し、殺し、暴れた。実に愉快だった。そして今“歌い手”は再び俺を呼び、また好きに暴れられると思った。


     が、そうはならなかった。いつかも忘れた昔のように2つの世界から攻撃を受け、滅ぼされた。死ぬはずだった“歌い手”も救い出され、まさにハッピーエンド。



     そして俺はそのまま消えて無くなる。と思ったのだが…


    ウタ「ベック〜!ルウが食事できたからみんなを呼んでって〜!」


    ベックマン「はいよ」


    ヤソップ「おれたちは先に食うとしようぜ」


     ……俺はこの前から何を見せられているんだ。なぜ“歌い手”、いやウタの中から日常など見せられなければならないのだ?ひたすら不快でむず痒い。俺の好きな恐れ・迷い・怯え、そのどれもが一切無い光景しか目に映らない。


    telegra.ph

    なぜ俺がこんな目に 2_________

     最初は何をやり出すかと思ったが、シャンクスたちとのやり取りはこれまでと変わりなかった。いつものように談笑しいつものように歌う。見慣れたヘドが出る光景だ。


    〜〜〜〜


     そんなある日動きを見せた。ウタは徐にウタワールドを作り出し、武器を構えた。


    ウタ「ここならあんたはいつでもいるんだね」


     ウタワールドでの俺はウタの気分によらずに見えるようだ。姿は人型だが。


    ウタ「じゃあ、私の相手になって!」


    トットムジカ「は?」


     ここで試合するからなんだというのだ。現実には何も影響が無いのに。それにこの俺に敵うわけが

    ゴォッ!


    トットムジカ「!?」

    ドンッ!



    〜〜〜〜


     結果としてはまるで敵わなかった。俺が。元あった力のほとんどを失くしているとはいえ、この世界のウタは比喩でもなんでもなく最強だった。


    ウタ「どうだった?」


     この実力差で評価が出来るとでも?腹いせに俺を殴っただけじゃないだろうな?


    トットムジカ「……その強さを元の世界で使えたらいいな」


    ウタ「そうだよね…」


     溜息混じりに呟いた。ここでいくら強くても元の世界で弱いんじゃ意味は無い。


    トットムジカ「ヤソッ…
    telegra.ph
  • 5二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:55:20

    _________

     その日のウタは珍しく静かだった。食事の時もそうだし、暇が出来ても曲を作らずに考え込んでいる。シャンクスたちはウタに気を遣っているのか特に問うことは無い。

    〜〜〜〜

    トム(『ト』ット『ム』ジカ)「よう」

     ウタワールドをウタは作った。落ち込んだ顔だ。実に良い。

    トム「初めての“戦い”はどうだった?」

    ニヤニヤしながらトムは面白そうに聞いてくる。

    ウタ「………すごく辛かった」

     泣きそうな声でウタは答える。無理も無い。初めて人を殺したのだから。

    トム「『初めて』がルフィじゃなくて良かったな」

    ウタ「…うん」

  • 6二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 00:59:11

     ライブを開催した日、ウタはルフィを刺し殺そうとしていた。その時はネズキノコを齧っていて正気じゃなかったのだが、ウタのことだ。もしやっていたら死んだ後で後悔し続けていただろうな。

    ウタ「人が死ぬってこんなに悲しいんだね…傷つくのでも辛いのに」

    トム「いなくなるのだからな。永遠に」

    ウタ「シャンクスは、みんなは何とも思わないのかな」

    トム「線引きしてるってことだ。自分や仲間が死んだら元も子もない」

    ウタ「本当に、ああするしかなかったのかな」

     戦って得た武器である棒を見ながらウタは呟く。

  • 7二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 01:04:54

    トム「ああ、あれで良かった。あの男は海で自由に生き、戦いの中で死ぬことができたと言った。奴からすれば最良の最期だったろうな」

    ウタ「けど…納得できない…」

    トム「まあ、結局は殺されて死んだからな。そうなるのはわかる。だがお前が“新時代”へ行こうとした時、ルフィは同じことを思っただろう」

    【ルフィ「こんなのが新時代じゃねェってお前もわかってんだろ」】

    ルフィの言葉が脳裏に浮かぶ。私のやろうとしたことが、私の望んだ結末が、納得出来ないから止めに来た。さっきの私がそう思ったみたいに、助けたかったんだね。

  • 8二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 01:08:30

    ウタ「……ごめん」

    トム「それは俺に言うことじゃないだろう」

    ウタ「…だよね」

    シャンクスもきっとそう。私にいなくなってほしくなかったんだ。助かった時のシャンクス、すごく嬉しそうだったから。

    ウタ「今度シャンクスやみんなと話す時に言わなきゃ。ありがとうって」

    トム「ああ」

    ウタ「トムもありがとね。愚痴に付き合ってくれて」

    トム「むしろ愚痴は大歓迎だ。ずっと船員との惚気を見せられてウンザリだ」

    ウタ「……えへへッ」

    トム「今笑えることを言ったか?」

  • 9二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 01:32:44

    〜〜〜〜

     ウタの日常は少しずつ、だが確実に変わっていった。わかりやすいのは、以前よりやらせてもらえることが増えた。設備を整えたり、料理をしたり、最初は出来なくても真剣に取り組むことで船での作業をどんどん覚えていった。

    ウタ「みんな起きて〜!朝食だよ〜!」

    ルウ「んがッ!?もう起きてたのか」

    シャンクス「寝坊すんなよルウ…」

    ルウ「いつも通りだろ!?」

    モンスター「😄」

     すまんなルウ。最近調子が良いらしいんだ。

  • 10二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 01:40:34

    まずはここまで
    早起きしたいですね

  • 11二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 07:30:03

    _____

    ホンゴウ「熱心だなウタ。おれは嬉しいぜ」

    ウタ「まあね!」

     棒の扱いは自分のを手に入れてから目に見えて上達が早まった。ホンゴウと試合が出来るようになったことが大きい。

    ウタ「そうだ!やりたいことがあるの」

    ホンゴウ「何だ?」

    ウタ「耳を塞いでる相手をなんとかしたいんだけど、出来るかな?」

    ホンゴウ「ふむ」

     言われてみれば歌が聞こえさえすればウタウタの能力で一網打尽に出来るからかなり重要だ。

    ホンゴウ「だったら、・・・・・・」

     なるほど。

    ウタ「そんなやり方があるんだ」

  • 12二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 12:28:36

    _________

    ウタ「〜〜〜〜♩ 〜〜〜〜♩」

     この頃は曲を作るのは夜が多い。昼間はいろいろやってるから当然か。だからと言って新曲のペースが減ったわけではないのが恐ろしいな。

    ウタ「よし!」

    〜〜〜〜

    ウタ「ん〜〜〜〜……んッ!」パッ

    ウタ「む〜〜〜〜……ふんッ!」パッ

    トム「何をやってる?」

    ウタ「見ればわかるでしょ?能力を外(現実)で出す方法を探してるの」

    トム「呻きながら手をかざすのを見てそう思うわけないだろう」

    ウタ「とにかく!いつ逢えるかもわからない能力者なんて待ってられないから、自分で能力を伸ばすの!」

  • 13二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 12:30:53

    トム「なるほど。ところで、現実とウタワールドを繋げられる良い曲があるのだが…」ワクワク

    ウタ「イヤだよ。あんなのもう絶対歌わないから」

    トム「だよな〜〜…」ショボン

    現実にウタワールドの力を持ってくる方法はあるにはある。そう、Tot Musicaだ。歌うわけがない。それを歌ったから私の人生は1度壊れたんだ。これ以上壊したくない。

    ウタ「……Tot Musicaができるなら他の曲でも出来たりしないかな?」

    トム「歌っていれば何か出せるかも。というわけか」

    ウタ「じゃあやってみる!」

    ウタ「𝄞 さぁ、怖くはない 不安はない 私の夢は みんなの願い_______♪」

     この曲は…『私は最強』。皆を救うという決意と、最愛の日々への憧憬が込められた曲。良かったな、最愛の者は救えて。

  • 14二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 12:33:36

    ウタ「______アナタと最強🎶」

     やはり素晴らしい歌だ。

    ウタ「う〜〜〜ん…」

    トム「向こう(現実)で何かあったのか?」

    ウタ「逆。何も無かった」

     向こうからだとただ1人で歌っただけになったか。

    ウタ「曲が合ってないのかな」

    トム「能力の成長などそうすぐには起きないだろう。棒だって1日で出来るようにはなってない」

    ウタ「それじゃあ体力が続くまで歌うよ!コツがわかるかも!」

     そう言うとウタは何曲も通しで歌った。やたら動きを付けているのは向こうで何か出すためか。…まるで1人でライブを聴いてるみたいだな。さながら特等席って奴か。
    .
    .
    .
     いつの間にかウタは眠っていた。ウタウタの能力は消耗が多いから無理も無い。能力を使いながら何曲も歌い上げる体力は誉めてやる。

  • 15二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 19:12:34

    _______

     ある日、船は港に降りた。先日とは違う場所だが、あの件があったからか船員はウタをかなり気にかけている。

    ロックスター「大丈夫ですかねお頭…おれたちも側で守った方が安全だと思うんすけど…」

     ロックスターは特にはっきり心配している。

    ホンゴウ「そう構えることはねェ。何せおれが鍛えたからな」

     そうは言ってるがいつもより近いぞホンゴウ。

    ウタ「そんなにピッタリつかなくても良いよ!襲われても大丈夫なようにこれ(棒)があるから!いつも通りでいこう!」

     そうだ。そこまで心配することはない。耳栓持ってる奴などそう多くないのだから、歌えば大体なんとかなる。

  • 16二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 19:14:43

    ウタ「パンケーキ屋…は無さそうかなここは」

    シャンクス「そうだな。どうしたものか」

    ウタ「じゃ、とりあえず練り歩こっか」

     2人は手を繋いで歩く。甘い空間しか作れないのか。

    __

    ウタ「ねェシャンクス。あの店は何?」

    シャンクス「あれはバーだな。酒を嗜むところさ」

    ウタ「入ってみてもいい?」

    シャンクス「ああ」

     名は……“グラン・テゾーロ”か。大層な名前の割に小さな店だな。

  • 17二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 19:18:29

    テゾーロ!?

  • 18二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 19:23:19

    ????「いらっしゃいお客人」


     店の中は質素であり全体的に落ち着いていたが、雰囲気を損ねない程度に金が装われていた。少なくともこんな部屋着みたいな格好(↓)で入る店じゃない。


    シャンクス「とりあえず1杯頼む」


     この男がマスターか。かなりガタイが良いな。シャンクスより一回りはでかいぞ。


    ????「こちらで選んでいいかな?と、おやおや“赤髪”のシャンクスか。店で暴れるのは勘弁してくれよ」


    シャンクス「はっはっは、そんなつもりは無いさ。あ、酒はそうしてくれ」


     身なりはかなり洒落てるな。そこの小娘にも見習ってほしいものだ。


    ????「それと、お嬢さんも飲むかい?」


    ウタ「あッはい!お願いします…」


     雰囲気に驚いたのか、畏まってしまった。

     

    テゾーロ「私はテゾーロ。このバーでマスターをやっている」

  • 19二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 22:30:41

    ……ええと、私も名乗った方がいいのかな?

    ウタ「……ウタです」

    テゾーロ「よろしくウタちゃん」カラン

    タナカさん「マスター!いつものよろしくねェ!」

    テゾーロ「はいよ。タナカさん」

    ウタ「常連さん?」コクッ

    思ったより美味しい。

    テゾーロ「ああ、長い付き合いさ」

     『タナカ』までが名前で良いんだよな?なんてでかい頭だ。

    タナカさん「やっぱりここが1番だねェ…あ、“赤髪”!?」ビクッ

    シャンクス「まァ身構えるな。飲みに来ただけさ」

     流石は大海賊。有名なんだな。

  • 20二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 22:36:10

    ????「テゾーロ!いつものよろしく!」

    ウタ「はッ」

    テゾーロ「君か…」

     元気そうな女だな。

    ウタ「あの〜…」

    ????「あら、私を知ってる?」

    ウタ「もしかして…カリーナさん?」

    カリーナ「そう!」

    ウタ「あのミュージシャンの?」

    カリーナ「そうそう!」

    ウタ「うそ!私あなたを尊敬してるんです!」

    カリーナ「ウシシ!私も名が知れたものね!」

     なるほど、同業者というわけか。カリーナとかいう女は得意気だ。

  • 21二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 23:10:46

    カリーナ「あなたも音楽を?」

    ウタ「はい!「歌うのが好きです!」

    テゾーロ「それは良い!せっかく来たんだ、ステージで歌うと良い!」

    店内に照明が灯る。暗くなっていた部分がステージになっていることに気づいた。

    ウタ「歌っていいんですか!」

    テゾーロ「ああ!存分に歌ってくれ!」

     なんかテンション高いと思ったら酒がまわってるな。

    ウタ「じゃあ、歌いま〜〜す!!!」


    𝄞 ————————♪

     店内にいた誰もが魅了された。その歌声に。この世のものとは思えないほどの美しさに、ただひたすら耳を傾けた。

  • 22二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 23:29:44

    ____________🎶

    ウタ「ふゥ!」

    客たち「………!!!!」

    テゾーロ「……なんという美しさ…!」

    タナカさん「天使の歌声……?」

    カリーナ「あんた…もしかして…」

    ???「今の声…!」

    テゾーロ「どうした?ステラ」

    ステラ「ちょっとフードを外してくれる?」

    ウタ「?はい」クイッ

    客たち「なッ!?」

    テゾーロ「君は!」

    店内「「「「「プリンセス・ウタ!?」」」」」

    ウタ「アハハハ....」

     気づいてなかったのか…

  • 23二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 23:49:02

    「プリンセス・ウタって…」

    「エレジアでライブを開いて…」

    「おれたち観客を閉じ込めようとしたって…」

     随分と悪評が知れ渡っているな。まァ映像電伝虫でかなりの数を引き込んだから当然か。

    ウタ「う……」

    不安に襲われる。やっぱりみんなあの時のことを…。罪悪感がむくむく育ってくる。

    ステラ「ウタちゃん…」

    ウタ「あッ……その…ごめんなさい…」

    ステラ「良かった…生きてて良かった…」

    客「ステラさん!けどこの女はおれたちを!」

    テゾーロ「落ち着けお客人たち」

    テゾーロさんが諌めてくれた。

  • 24二次元好きの匿名さん22/09/30(金) 23:54:34

    今日はここまでです
    テゾーロたちは昨日film GOLDとここのテゾーロスレを見て入れてしまいました

  • 25二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 00:00:34

    ステラと一緒に生きてる平和なテゾーロは身体に良い

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:12:17

    ステラ「あの日から姿が無くて、本当に心配してたの。もう顔も歌声も見れないんじゃないかって」

    テゾーロ「ステラも私も歌が大好きでね。配信もライブも見させてもらっていた」

    ウタ「そうなんだ。良かったねちゃんと帰れて…」

     ものすごく泣きそうだ。

    テゾーロ「負い目を感じているんだね」

    ウタ「ごめんなさい、大変なことしちゃって」

    ステラ「そんなに自分を責めないでウタちゃん!私たちだってあそこにいたからわかるの」

    ウタ「え?」

    テゾーロ「あの恐ろしい怪物は、おそらくかなりの人が見た。あれが君の心を蝕み、あのようなことをさせたんだろう?」

     恐ろしい怪物とは俺のことか。悪名が轟くのは良い気分だな。俺も有名人だ。

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:16:52

    ステラ「だから、そんなに気負わないで!私たちはあなたの歌声も好きだけど、あなたがいてくれることが何よりも嬉しいの!」

     そうだ。こんな小娘よりも俺に恐れ慄け。

    ウタ「違うの。ライブを開いたのは、間違いなく私。あの怪物…トットムジカは関係ない。配信してる時にみんなが辛い日々を過ごしてるって知ったから、助けたかったの」

     だからお前が心を傷める必要は無い。

    テゾーロ「……教えてあげようウタちゃん。人々の心は1つにならない。私やステラは君に怒っていないが、そうではない者もいる」

    テゾーロさんが視線を向けた先には、納得いかない顔の客もいた。心当たりはある。ウタワールドでも観客たちは言い争いをしていた。争いの無い世界を望んでいたはずなのに。

    ステラ「あのライブにはきっと、あなたやあなたの歌声が好きだから観に来た人だってたくさんいたはずよ」

    テゾーロ「負の感情というのは恐ろしいもので、時に途轍もないエネルギーを生む。それは頭を埋め尽くし、目の前さえも見えなくしてしまう」

  • 28二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:33:19

     負の感情は強い。全くその通りだ。それが集まって生まれたのが他ならぬ俺だからな。

    テゾーロ「プリンセス・ウタ。これからも君は行く先々で、君を見知った者からいろいろな事を言われるだろう。その中には君を崇めたり、蔑む声もあるかもしれない。ただ、それが総意なのだと思わないでくれ」

    ステラ「救世主じゃない、そのままのあなたを好いてくれる人は必ずいるからね。近くにそんな人がいたら大切にしてあげて」

    それを

    ウタ「……はい…!」

    荒くれ者「ああ、クソゥ!」ガンッ!

    テゾーロ「おや?」

    荒くれ者「おいマスター!酒くれ!ギャンブルでイカサマされてイライラしてんだよ!!」ガシャン!

     随分と荒れているな。イカサマはともかく負けたのはお前の問題だろう。当たり散らすとは下賤だな。

  • 29二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:36:46

    テゾーロ「お帰りいただこう。お客人に迷惑をかける輩に売る酒など無い。それに」

    荒くれ者「ああ!?」

    テゾーロ「ギャンブルは騙された者が敗者。違うかね?」

    荒くれ者「んだとォ……!?だったらこんな店めちゃくちゃにしてやる!!」

    ウタ「テゾーロさん!」

     ウタは棒に手を回す。俺も出れるものなら出てやりたい。

    テゾーロ「座っていてくれプリンセス・ウタ。この店は私の王国だ。私の手で守りたい」

    そう言うとテゾーロさんは金貨を1枚弾き、荒くれ者に飛ばした。

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 08:52:14

    荒くれ者「お?」パシッ

     金貨1枚で何をする気だ?

    荒くれ者「なんだァ?これで見逃してくれってか?1枚ぽっちで満足するわけねェだろうが!」

    テゾーロ「誤解しないでいただきたい。私に見逃すつもりは無い」

    グゥイーーン!

    ウタ「!?」

    何!?金貨が!

    荒くれ者「うげッ!!」

     巨大な触手になった!?あれは金貨じゃなかったのか?

    タナカさん「マスター、コイツ外に連れ出しましょうか?」

    テゾーロ「ああ、頼む」

    タナカさん「では。スルルルルルル……」

    ウタ「すり抜けた!?」

     タナカは壁をすり抜けたぞ?どうなっている?

  • 31二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 10:06:16

    シャンクス「能力者か」

    カリーナ「驚いたかしら?タナカさんは“ヌケヌケの実”の能力者で、無機物なら何でもすり抜けられるの」

    テゾーロ「そして私は、“ゴルゴルの実”の能力者。1度触れた黄金を自在に操れる」

     なるほど。だから店内の金の装飾がどれも精巧だったのか。

    テゾーロ「この能力には少々助けられた。本当は全て自分で稼ぎたかったのだが…いや、今のは独り言だ。忘れてくれ」

    何かをテゾーロさんは言おうとしたけど、自分で遮った。ちょっと気になる。

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 18:46:33

    .
    .
    .
    .

    ウタ「ありがとうございました」

    シャンクス「良い酒だった」

    テゾーロ「またのお越しを。その時も私と妻でもてなさせていただく」

    そう言われた時に、テゾーロさんとステラさんの薬指に金の指輪がはめられていることに気づいた。夫婦だったんだ。

    カリーナ「また来てね〜!今度会ったら一緒に歌いましょ♪」
    .
    .
    .
    シャンクス「バーはどうだった?」

    ウタ「……良いところというか、良い人たちだった」

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 18:48:04

    ルウ「お!2人ともやっと来たか!!」

    シャンクス「悪いなみんな!待たせたか?」

    ヤソップ「当たり前だ!もうすぐ日が暮れるぞ!」

    パンチ「あと少し遅かったら探しに行ってたぜ」

    モンスター「😁」

    ロックスター「2人とも無事で良かったっすよ…」

    シャンクス「ははッ!すまんすまん」

    ベックマン「やれやれ、あんたという人は。面倒事は無かったか?ウタ」

    ウタ「大丈夫」

    テゾーロさんとステラさんの言葉を思い返しながら、私はシャンクスたちを見た。

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 18:52:32

    〜〜〜〜

    トム「初の酒はどうだった?」

    ウタ「シャンクスたちが宴で飲んでる理由が少しわかった気がする」

    トム「じゃ、ジュースは卒業だな」ニッ

    ウタ「やだ!ジュースの方が好き!」

    トム「まだまだ幼いな」

    ウタ「…」ムス-

     怒った顔をしてきた。オモシロ。

    トム「しかし、あのような能力者がいるとはな。エレジアに来た連中からも能力者はかなり見たつもりだったが」

    ウタ「他にも能力者ってまだまだいるのかな……」

    トム「探せばいるんだろうな。それにしてもあの店は凄かった」

     それを聞いたウタは思い出すように空を見つめた後、考え込んだ。何か引っかかるのか?

  • 35二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:11:30

    トム「どうかしたか?」

    ウタ「テゾーロさんが言ったじゃん?『それが総意なのだと思わないでくれ』とか。あれどういうこと?」

    トム「……そのままの意味だ。目の前でお前に届いた声があるからって、お前に届いてない声もそれと同じとは限らない」

    ウタ「????」

     納得いってなさそうだな。

    トム「例えば誰かが『このパンケーキ美味しい』と言ったのが聞こえたとしよう」

    ウタ「うん」

    パンケーキを出してみる。ここ(ウタワールド)ならなんでも出せるからね。

    トム「お前はそれを聞いたらみんなそのパンケーキが美味しいと思ってると考えるか?」

    ウタ「違うの?」

  • 36二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:15:56

    トム「いいか?声の届いてない誰かの中には必ず『このパンケーキは死ぬほど不味い』と思ってる奴がいる」

    ウタ「???」

    トム「誰かがこう言ったからって言ってない誰かも同じように思ってるとは限らないということだ」

    ウタ「よくわからないよ…ライブの時もファンのみんなが言い争いになってたけど今でも意味わからない。みんな争いや海賊が嫌で逃げたかったんじゃないの?」

    トム「お前のファンは途轍もなく多かった。だが、そんなことを言っていた奴がどの程度いたかわかるか?」

    ウタ「程度って?たくさんそういう人いたよ」

    ……本当にわからないのか?

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:22:00

    トム「…例えば10万人いたとして、お前の計画に賛同した奴が5万人いたとしよう。確かに『たくさん』いる。だが、これだと残りの5万人がお前に賛同していない。つまり5万人vs5万人の争いになるというのがライブでの出来事だ」

    ウタ「私の新時代に賛成してないならなんでライブに来たの?」

     くそッ。拉致が開かない。そもそも何故俺がこんなことを説明しなきゃならん。

    トム「お前の思想を知らないし興味も無かった。ただ歌を聞きに来ただけだった」

    ウタ「……?」

    トム「まァそのうちわかる」

     匙を投げるしかない。まるで理解させられん。

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/01(土) 23:23:30

    償えムジカ
    無知なウタにちゃんと教えろ

  • 39二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 04:31:06

    ほしゅ

  • 40二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 09:19:20

    ウタ「そのうちかァ…つまりもっと私の歌が好きな人がいるかもってことね!」

    トム「ああもうそう思っとけ」

    ウタ「あ、そうだ。新曲作ったの!また聴いて!」

    トム「いちいち断らんでも歌ったら何か言ってやる」

    口は悪いけどなんだかんだで歌を聴いてくれる。流石は楽譜。

    ウタ「じゃあ勝手に歌うよ!」

     この時の歌は落ち着いた雰囲気の中に少しのハイテンションが混じったもの。あの時のバーにわかりやすく影響されてるな。

    ウタ「-----🎶」

    ウタ「どうだった?」

    トム「あのバー、また行けると良いな」

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 17:22:28

    〜〜〜〜

    ヤソップ「おい、船が来てるぞ!」

    シャンクス「海賊船か?それとも海軍か?」

    ヤソップ「いや、小舟だ」

     ここは岸からかなり離れてるはず。よく生きてたな。

    ロックスター「嵐にでも巻き込まれたんすかねェ」

    シャンクス「ひとまず拾うか」

    ルウ「おいおい、コイツガキだぞ」
    .
    .
    ウタ「キミ、名前は何ていうの?」

    トム「トム」

    ボロボロな服の男の子はそう答えた。

  • 42二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 17:39:54

    ウタ「あんな小舟で海に出ちゃって怖かったでしょ?すぐに陸へ帰れるように頼んでみるね」

    トム「そ、そんなことしなくていいよ!それよりこの船にいさせてくれよ!」

    ウタ「え?」

    トム「雑用でもなんでもするから、陸に戻さないでください!」

     妙に怯えているな。俺としては面白いが何故こうなのかは気になる。

    ウタ「どうしたの?何で帰りたくないの?」

    トム「だって僕、あそこから逃げるために海に出たんだ!」

  • 43二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 18:36:58

    そう叫んでから、トムくんは自分が逃げた理由を話し出した。

    トム「…僕の町はいつだって誰かが喧嘩してるようなところなんだ。それで喧嘩で負けた
    方を勝った方がこき使うんだ。しかも、勝てば立場をひっくり返せるからずっと喧嘩してる」

     随分と荒んだ町だな。一目見てみたい。

    ウタ「……酷い」

    トム「で、僕は小さくてぐずだから誰にも喧嘩で勝てなくていっつも誰かの言いなり。父さんも母さんも助けてくれないし」

    ウタ「そうだったんだ」

    親が助けてくれない。そんなことがあるなんて…

    トム「だから、ウチには帰さないでほしいんだ」

  • 44二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 19:44:29

    ウタ「大変だったんだね。じゃあ少しでも気持ちが軽くなれるように歌を歌ってあげ」
    トム「やめて!!!!」

    ウタ「え……ちゃ、ちゃんとそういう曲を選ぶから」
    トム「やめてくれって言ってるだろ!!!」

    え?えッ!?
    何で嫌なの?どうして?

    予想外だったトムくんの反応でものすごい戸惑いが襲った。その時、トムくんの視線が私の後ろに移った。

    トム「だ、誰!?」

    ウタ「えッと!この人は…」

    ムジカ「ムジカだ」

  • 45二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 19:46:46

     ちょうど良い。名前が被ったならここで変えてやる。そもそもトムだと自分でも俺だとわかりにくい。

    ムジカ「トムとやら。何故ウタの歌を拒む?まだ歌ってもいないだろうが…!」

    ウタ「やめて!!怖がってるでしょ!!」

    ムジカ「……フン」

    トム改めムジカが凄い形相でトムくんに詰め寄るのを見て、やっと私は冷静になれた。ムジカを止めて私は尋ねた。

    ウタ「取り乱しちゃってごめんね。どうして歌が嫌なの?」

  • 46二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:26:06

    トム「僕の方こそ急に怒鳴ってごめんなさい…だって…ひっぐ…僕をいじめる奴らはいっつも歌いながら殴ったり蹴ったりしてくるから…!」

    ウタ「………!」

    酷い。そんなことを歌いながらするなんて。

    ムジカ「トラウマという奴か。歌と殴られることが貴様の中で結びついてしまったのだな」

     絶望するのは歓迎するが歌が嫌いなのは気に食わん。なんとか出来ないものか。

    ウタ「トムくん。そんなの間違ってるよ。歌はみんなを救える力があるものなの。私、キミを元気づけたい」

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:28:00

    トム「でも…」

    ムジカ「まずは聴くことだな。どうせ貴様を蹴飛ばした連中の歌などタカが知れてる」ガシッ

    トムくんをムジカが押さえつける。暴れないようにってことなんだろうけど無理矢理はダメだよ…

    ウタ「じゃあ… 𝄞ーーーーー」

     選んだのは元気が湧き出る曲。しっとりと辛い感情を受けつつも、それを乗り越えていこうという気概を感じる。最初はもがいていた少年も、いつの間にか聴き入っていた。

    「--------…♪」

    トム「…………!」

     目を見開きながら、少年は無言で拍手をしていた。まともな歌を聴いたのは初めてだったか?

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:55:32

    トム「……少し1人で考えさせて」

    そう言ってトムくんは部屋から出た。

    ムジカ「全く、歌をトラウマにさせるような輩がいるとはな」

    ウタ「そうだね。あの子みたいなかわいそうな人がまだまだいたりするのかな」

    ムジカ「いるだろうな」

    結構ショック。なんだか汚いもの見ちゃった気分。私も空を見てリフレッシュしようと振り向いた瞬間、

    ムジカの首に刃が置かれていた。

    シャンクス「何故お前がここにいる?トットムジカ」

    ムジカ「おお…久しぶりだなシャンクス。一目でわかるのか」

    シャンクス「忘れるわけがないだろう。良い思い出が無いからな」

  • 49二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 23:54:07

    ムジカ「あの時お前がエレジアから連れ出していれば、12年もウタが辛い思いをすることは無かっただろう。お前と一緒でいることを何よりも望んでいたのになァ」

    笑いながらムジカは言う。シャンクスの顔は更に険しくなった。

    シャンクス「お前が出てこなければ、ウタもエレジアもこうはならなかった。違うか?」

    ムジカ「そう言われると何も言い返せないな。単にウタの歌声が素晴らしすぎたせい…とかか?」
    シャンクスが苛立ちを募らせるほどムジカは上機嫌になっていく。

    シャンクス「今度は何を奪う気だ?これ以上何も奪わせはしない」


    ムジカ「安心しろ。今の俺には何も出来ん。ウタが傷付けば俺も傷付くし、ウタから離れることもままならない。つまりウタの身を守らざるを得ない」

  • 50二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 00:05:45

    ウタ「そうだよシャンクス。今は悪いことはまだやってないし、出来ない」

    シャンクス「だが、いつまでそうかはわからない」

     あくまで俺を始末する気か。

    ウタ「ねェ、これは私に任せてくれない?」

    シャンクス「?」

    ウタ「私、コイツに負けないから。楽譜も歌ったりしない。ちゃんと抑えててみせる」

    ムジカ「……」

    シャンクス「…わかった。何かあったらすぐに教えてくれ」バリッ!

    シャンクスはやっと剣を閉まって部屋を出た。その時、黒い稲妻が見えた気がした。

  • 51二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 09:13:32

    ムジカ「ハァ...ハァ...なんて威圧感だ…」

    ウタ「大丈夫?」

    シャンクスが部屋を出てすぐにムジカは息切れする。あの時海軍に対して行った何かを向けられたのだろう。

    ムジカ「…お前に心配される筋合いは無い。ハァ...」

     途轍もなく強い力を感じた。直接戦ってこそいないが、勝ち目が無いと知るのには充分だった。また1つウタを傷つけられない理由が増えたな。
    .
    .
    トム「考えたんだけどね…やっぱりもう少し陸で頑張ってみるよ。こんなに良い歌があるなんて知らなかったし、もっといろいろ知らないとって思ったよ」

    シャンクス「事情はわかった。その町よりも平和なところに降ろそう」

  • 52二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 12:43:49

    .
    .
    .
    トム「今までありがとうございました!」

    ウタ「頑張ってね」

     蹴られないといいな。


    ウタ「…歌を楽しめなくなってる子がいるんだね、シャンクス」

    シャンクス「こう言ったのを覚えてるか?この世界に平等なんて存在しないと」

    覚えてる。結局今でもよくわからないけど。

    ウタ「あの子のような酷いところで生きてる人もいるってこと?」

    シャンクス「ああ。だがお前の歌にはみんなを幸せに出来る力がある。だからたくさんの人に歌を届けてほしいと思ったんだが…」

  • 53二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 12:47:32

    ウタ「前も言ったでしょ?確かに歌はいろんな人に聴いてもらえると嬉しいけど、1番はシャンクスやみんなと一緒にいることだって」

    シャンクス「…そうだったな」

    ウタ「それに、船に乗ってればいろんな場所に行けるしね。ずっとエレジアにいたからいつも楽しみ」

    シャンクス「そう言われると嬉しいじゃないか!」ナデナデ

    ウタ「えへへへ〜」ピョコピョコ

     コイツら…まさか親子ってのはこういうものなのか?というか今髪が動かなかったか?

    シャンクス「この町には用は無いし、もう行くぞ」

  • 54二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 16:49:52

    _________

    パンチ「ここの強さはこのぐらいで良いか?」

    ウタ「そうそうそんな感じ!モンスターも上手だよ!」

    モンスター「😆👍」

    ヤソップ「もうすぐで完成か」

    パンチ「ああ!当日が楽しみだぜ!」

    〜〜〜〜

    ウタ「当日まであと少しだよムジカ!」

    ムジカ「言わんでもわかっている。ライブをやるんだろう?」

    そう、あの日ぶりにライブをやるんだ!シャンクスが計らってくれた。

  • 55二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 17:00:02

    ウタ「あの日ほどの規模じゃないけど、ちゃんと観客が来てくれるってさ!」

     あの時ほどの規模がそうそうあってたまるか。

    ムジカ「というか、ボンク・パンチとモンスターは演奏出来たんだな」

    ウタ「あの2人私より前から音楽家だもん」

     ……それは知らなかった。

    ムジカ「…どんな曲を歌うのだ?」

    ウタ「それはお楽しみ!練習は見てるでしょ?あの中のどれかを歌うよ!」

    ムジカ「そうか。ところで、能力は使わないのか?ウタワールドならもっと盛り上げられそうだろう」

    ウタ「そうしたいのは山々だけど、せっかく場所を用意してもらったからそっちを使うつもり」

    ムジカ「それは殊勝だな。お前の歌はもっと多くに聴かれるべきだ」

    ウタ「ありがとう」

  • 56二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 17:04:15

    ムジカ「その恵みをエレジアで潰そうとした奴がいたようだが…」

    ウタ「ッ!……」

     おっと、黙ってしまった。地雷を踏んだか。

    ムジカ「あー………すまん」

    ウタ「良いよ、気にしないで。間違ってないから」

     今の顔は好きだが、どうも気に食わない。話題を逸らしてやるか。

    ムジカ「ところで、能力の方はどうだ?何か進展はあったか?」

    ウタ「今も特にあっち(現実)で何か出せる雰囲気はないな〜。そうだ、新しい棒の振り方覚えたけど、見る?」

    ムジカ「ほう」

  • 57二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 17:08:47

     そう言って見せた棒の動きは……戦闘のそれでは無かった。どちらかと言うとタクト(指揮棒)のそれだった。

    ウタ「私の能力って音楽じゃん?だからタクトみたいに動かせば何かできるかな〜って思ったんだけど…あんまり意味があった気はしないかな」

     その棒、ウタの身長より少し低い程度には長いぞ。しかも戦闘用だからかなり重い。そんなのを日頃から振り回してるから最近筋肉の筋が目立つのか。

    ムジカ「意味はある。間違いなく」

    ウタ「そう?」

  • 58二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 18:58:10

    このレスは削除されています

  • 59二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 21:41:19

    〜〜〜〜

    ヤソップ「おお…こんなに人が集まるんだなァ」

    ホンゴウ「ここの人は音楽好きが多いからな」

     正直言ってここまで集まっているとは思っていなかった。妬ましくなってきた。俺も聴いて貰いたかったよ。

    シャンクス「始まるぞ」


    ウタ「みんな〜!今日は日が暮れるまで歌っちゃうよ〜!」

  • 60二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 22:10:29

     流石というべきか、ライブは大好評だった。クラシック、ポップ、ロック、ワノ国?風といったジャンル的なものから明るい、暗い、楽しい、壮大、美麗といった情緒的なものまで様々な曲調を息切れを見せずに歌い切ったのだ。観客のほとんどが魅入られたことだろう。……何故俺はダメだったんだ。

    🎼__________________🎶



    ウタ「今日はありがとう!私もいっぱい歌えて楽しかったよ!!」

    会場は大きな拍手に包まれた。やっぱり嬉しい。私の歌が喜んでもらえた。伴奏してくれたパンチとモンスターにもお礼を言おうと振り向きかけた時、
    モンスター「🤨?」

    モンスターは訝しむ顔をしていた。
    ~
      ~♪
     ~

    その視線の先では、音符が1つ跳ね回っていた。

  • 61二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:10:30

    観客I「あなたの歌は最高でした!」

    観客β「またここに来て歌を聴かせてくれェ!」

    観客c「私たちはいつでも!君を待っている!」

    ウタ「ありがとう!また来るよ!」

    ワァアアアアアアア!!

     羨ましい。妬ましい。憎らしい。何故お前の歌は。船に帰る途中だが最悪の気分だ。ライブは成功したのに。

    シャンクス「今日は大成功だったな!」

    ルウ「流石おれたちの歌姫だ!」

    ベックマン「ふッ」

    パンチ「いろんなところでやりたいなァ!」

    「やっと終わったか〜」

    「耳障りだった〜」

  • 62二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:15:08

    ウタ「?」

     かなり小さい声だったからかウタにしか聞こえなかったみたいだ。ウタは皆を先に行かせて小さな声の方へ向かった。

    ウタ「どうかした?」

    モブA「あ〜、やっとうるさいのが終わったな〜って」

    モブb「気づいてねェのか?さっきまでの声コイツだろ」

    ウタ「え?」

    モブA「あれ?…あ、そうじゃん!」

    ウタ「私の歌のこと?どこか出来てないところあった?」

    モブb「そんなんじゃねェって。ただただ気に入らなかったってだけ」

     は?

  • 63二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:19:34

    ウタ「ごめんね。もう少しわかりやすく言ってほしいな。じゃないとどこを良くすればいいのかわからないから」

    モブA「だから〜!なんかアンタの歌が好きになれないだけだっつーの!上手い下手って話じゃねーの!好き嫌いなんて自由だろ!?」

    ウタ「う……!」

    こんなこと言われるのは初めてだった。どうして?私の何がダメだったの?何で?

    ムジカ「そうだな。好き嫌いは自由だ」

    ウタ「!」

    ムジカが出てきた。私冷静じゃないんだ。

    モブA「だろ〜?誰だか知らねェけどこのねーちゃんになんとか言ってやってよ。俺たちはただこの人の歌が嫌いなだけってさ」

    ムジカ「……俺はお前らが嫌いだ」ビィイイイイイ...

    ウタ「ッ!!ダメッ!!」

     ウタが咄嗟に飛びかかり、光線は空を切った。もう少しだったのに。

    モブA「!!!」
    モブb「!!!」

    ウタ「怪我は無い!?ごめんね!!」

    そう言いながら、私はムジカを引っ張るように急いで船に戻った。

  • 64二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:33:29

    〜〜〜〜

    シャンクスたちに聞かれても困るからウタワールドで尋ねた。

    ウタ「どうしたの?怒ってるの?」

    ムジカ「まァな」

    ウタ「どうして?私の歌が何か出来てなかったの?」

    ムジカ「いいや。むしろ見事だった」

    ウタ「さっきの2人が私の歌を嫌ってたから?確かにあれは私もどうしてかわからないけど!あんたが怒らなくたって!」

    ムジカ「あァそれにもイライラした」

    ウタ「『にも』?他にも理由がある?」

    ムジカ「………羨ましい。ライブが上手くいったことが」

  • 65二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 06:28:26

    ウタ「上手くいったのが?」

    ムジカ「お前はいつも人気者だ。歌えば誰もが耳を傾け、魅入られる。しかもその中には歌声よりもお前自身を好く者も多い。何故お前は歌声だけじゃなく人にも愛される?俺のことは誰も見ても聴いてもくれなかったのに」

    喋れば喋るほどムジカは俯く。何かあるんだ。

    ウタ「どういうこと?」

    ムジカ「お前は俺がどうやって生まれたか知ってるか?」

    ウタ「それは知らない」

    ムジカ「何も初めから魔王だったわけじゃない。俺だって最初はただの楽譜だった」

  • 66二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 08:23:30

    ただの楽譜だったTot musica。考えたことも無かった。

    ウタ「そうだったんだ…」

    ムジカ「無理もない。ただの楽譜だった時間はそう長くないからな。誰も彼も俺を魔王を呼び出す鍵としか思っていない。あの時のお前のようにな」

    ウタ「でもあの楽譜、結構よく出来てると思うよ!私だって思わず歌っちゃうぐらい!」

    ムジカ「誰も」

    ウタ「?」

    ムジカ「俺が作られた時、誰も俺に見向きもしなかった」

    ウタ「誰もって…!1人もいないなんてことは!」

    ムジカ「俺の作者は歌を聴いてもらうために手を尽くした。曲の良いところや込められた気持ちを語ったり、他の曲と一緒に演奏したり、いろいろな楽器や曲調でアレンジしたりな」

    聴いてもらおうと試行錯誤する作者の姿を想像することは難しくなかった。

  • 67二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 18:08:15

    ムジカ「だが、ついぞその作者は報われなかった。いつもいつも『認められたい』『この曲を聴いてほしい』と言い続けていた」

    ウタ「…」

    納得のいく出来にならず、ボツになった曲。そういうのは珍しくない。

    ムジカ「そのうち作者は姿を消し、楽譜は残された。負の感情を込めるだけ込めてな」

    ウタ「そうして…」

    ムジカ「俺は俺になった」

    楽譜に感情が込もったなんて信じられないことだけど、悪魔の実があるんじゃこんなことが起きても不思議じゃないか。

  • 68二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 18:10:30

    ウタ「聴いてもらえないのが不満だから暴れるの?」

    ムジカ「あとはそうだな。人が死ぬ時、あの作者と似た感情が出てくるんだ。『痛い』『怖い』とかな。馴染みがあって心地良いし、いろんな声が聞こえて気分も良くなる」

     粗方話した時、
    ウタ「…」フッ

     ウタは微笑んだ。

    ムジカ「…?何だ?笑い話をしたつもりは無いが」

    ウタ「やっぱり気のせいじゃなかったか〜」

    ムジカ「何のことだ?」

    ウタ「あんた…寂しかったんだね」

    ムジカ「!?」

  • 69二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 18:21:05

    ウタ「あんたがみんなに倒された時にもね、そう言ってた気がしたの」

    ムジカ「なッ!?」

    ウタ「今の話、確かにやったことは最悪。人々を殺したことも許せない。でもなんだか、構ってもらえない子どもがダダこねてるみたいでちょっとかわいい気がしたの」

    ムジカ「…寝言は寝て言え。俺は魔王トットムジカ。望むのは負の感情だけだ」

    ウタ「あんたが負の感情の塊ってことは、あるよね?あんたにもそんな気持ちが」

    ムジカ「ッ!」

    ムジカは黙った。きっと図星だ。

    ウタ「そうだ!私たちがTot musicaを歌ったら嬉しくない?」

    ムジカ「……出来るものならな。お前が歌えば俺がどうなるか分かるか?」

    ウタ「わからないかな。でも私、ちゃんとあんたを歌いたい。そのために能力をもっと使いこなせるようにする」

    ムジカ「…勝手にしろ」

  • 70二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:31:05

    保守

  • 71二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:22:51

    〜〜〜〜

    ウタ「🎼_________♪

    今すべきなのは、ウタウタの能力を更に伸ばすこと。トットムジカの発動にウタウタの力が必要ならば、ある程度制御することも出来るはず。

    _________🎶」

    =
     ⤵︎
        = ♪
       ⤴︎
    =
    この前から歌い終わるたびに音符が出てくるようになっている。成長はしてるんだ。

  • 72二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:06:26

     ウタは前よりも歌うことが増えた。タクトを振り、リズムを作り出す姿はさながら指揮者だった。棒は戦闘用だからでかいが。

    ヤソップ「お頭!海賊船が来てるぞ!」

    チオデ「赤髪の首を獲ってやらァ!」

     あちらは挑むつもりのようだ。

    シャンクス「よし、野郎ども!気合い入れろ!!」

    ウタ「私も行っていい?もう戦えるから!」

    シャンクス「…ああ、無理はするな」

     そして遂に戦いの火蓋が切られ
    ウタ「🎼———————-♪」

    チオデ海賊団「」バタバタバタッ

     ……ウタが最初から能力全開で歌ったことで相手は実質全滅した。

  • 73二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:10:10

    これムジカ救済ある?

  • 74二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 07:27:34

    ほしゅ

  • 75二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 18:14:56

    もっと早く気づくんだった。ウタウタの力で眠らせてしまえば戦わなきゃいけない相手は減る。耳栓持ってたりしたら仕方がないけど。

    チオデ海賊団「zzzzzz.....」

    ルウ「おお…こりゃあすげェ」

    ホンゴウ「今のうちに貰っちまおう」

     金品の略奪は途轍もなく簡単に行われた。連中はまァそのうち起きるから問題は無い。

    ベックマン「なるほど、確かにああいうことも出来るな」

    もしかしたら、この力は自分で思っていたよりも使い道が多いのかもしれない。

    バッ!

    ウタ「!」

  • 76二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 18:26:52

    ギンッ!

    モブ賊「ちッ惜しかったか」

     1人だが対策していたか。シャンクスたちは相手の船にいる。
      
    モブ賊「一騎討ちなら負けねェぜ“歌姫”ウタ。歌が聞こえなきゃ特にな」

    “歌姫”ってもしかして私の異名?

    ムジカ「いや、2対1だ」

    ムジカが出てきちゃった。やっぱり戦うのはすごく怖い。でも、試すのには良い機会。

    ウタ「ムジカ。1人でやらせてくれない?」

    ムジカ「……身を大事にしろ」

  • 77二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:49:56

    ほしゅ

  • 78二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:38:07

    チオデは出オチかな

  • 79二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 08:09:20

    モブ賊「やっぱりサシと考えていいな?」

    海賊は剣を構える。私は大きく息を吸い込み、

    ウタ「🎼 さぁ、怖くはない 不安はない——」

    モブ賊「ああ?歌ってんのか?無駄なんだよ無駄ァ!」バッ!

     ウタは海賊の攻撃をいなす。まるで踊るかのようだ。

    グググ....トン

    モブ賊「おいおい攻撃したつもりか?そんな風に添えたところで
    ウタ「—————-♪」

    モブ賊「?ッ……」

     なんだ?眠ったぞ?耳栓は外れてないはずだ。

    ウタ「…できた!」

  • 80二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 08:25:57

    骨伝導。ホンゴウに教わったことで、耳の周りの骨を振動させれば音が聞こえる現象。耳の近くに棒を当てて歌声を振動として伝えたんだ。……ってちょっと難しく言ってみる。

    ウタ「……良かった〜」

     安心したのかその場に座り込んだ。今回は殺さずに済んだな。少し後にシャンクスたちは戻り、眠ったコイツは元いた船に戻された。

    ← ♪ =
     ↓   ⤴︎
      →
    音符は回る。

  • 81二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 18:42:53

    〜〜〜〜

    ムジカ「今回は考えたな。骨に音を伝えていたとは」

    ウタ「ホンゴウが教えてくれたおかげ。大きなケガをさせなくて良かったよ」

    ムジカ「ならばもう耳栓は問題無いな」

    ウタ「う〜ん、でもやっぱりこれで軽く当てるのは難しいかな」

     人を殴り殺す武器を軽く当てなきゃならないからな。むしろ普通に扱うより難しい気がする。

    ムジカ「別に死ななきゃお前はそれで良いだろう」

    ウタ「良くない!死ななくても心が痛むの!」

    ムジカ「つくづく海賊に向かんな」

  • 82二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 18:46:04

    ウタ「うるさい!……やっぱりここ(ウタワールド)ぐらい何でもできたらなァ」

    そうしたら戦わないで捕まえるぐらいカンタンなのに。

    ムジカ「向こう(現実)で歌ってる時に音符が見えるから成長はしてるようだが」

    ウタ「もっとこう…あるんだよ!五線譜に貼り付けたり飛んだりとか!」

    ムジカ「そういえばそんなこと出来たな」

    ウタ「よし!歌う!!🎼========🎶

    ♫ )
              ( 🎶 )
     (( ♪
    ♬ ))
    (((🎶

    ムジカ「!」
     音符がいつもより多いな。

  • 83二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:26:01

    ~~~♪
    ====♫

    ベックマン「ん?」

    ウタ「===♫====♩== ♪」

    🎼🎼🎼🎼🎼🎼🎼🎼====

    ムジカ「これは!」

    出た!やった!

    🎼🎼🎼🎼🎼🎼===
    ウタ「——————🎶」
      
    ムジカ「とうとう出たな。お望みの五線譜が向こうで」

    ウタ「ええ!あ…」

    🎼 🎼   🎼 ……

    歌い終わってすぐに五線譜は消えてしまった。

    ムジカ「歌ってる間だけか。まァ大きな進歩なのは間違いないな」

    ウタ「これからもっと、いろんなことができるようになる気がする!」

    きっと私の望みは近い。そう思えた。

  • 84二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 20:11:09

    〜〜〜〜

    ウタ「〜〜♪〜〜♪」~♪♪

    この頃はシャンクスの縄張りでライブをすることが多い。今日も絶好調だった。たくさんの人が私の歌で喜んでくれて嬉しい。

    モブ「~~~」

    町民「××××」

    会場まで移動したり町で食事したりする中で、私もだんだんと分かってきた。本当にいろんな人がいることを。歌が好きな人に嫌いな人、毎日楽しい人やそうでない人、現実に立ち向かおうとする人や逃げようとする人。私1人でまとめて救えるほど、世界は簡単ではないんだ。……みんなやルフィはとっくにわかってたんだろうな。

  • 85二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 20:23:10

    町民「◎◎◎◎◎」

    観客「❤️❤️」

    だけど、私の歌に救われている人がいる。それもまた間違いなく本当。私は救世主にはなれない。けれど、みんなを支えることならできる。ルフィがきっと叶える新時代まで、少しでもたくさんの人が元気に行けるように助けよう。

    ウタ「〜〜♫〜〜🎶」

    口ずさみながら、たまたま拾った枝をタクト(指揮棒)っぽく動かす。

    キュワン!

    ウタ「!?」

  • 86二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 21:39:44

    ウタ「!?」

    え、枝がタクトになってる!?

    ウタ「これ…!!」

    🎼🎶🎶🎶🎶🎶🎶

    住民たち「なんだ?」

    住民たち「どこから演奏が…?」

    根拠は何もないけど、こう思った。今なら何だってできる。舞い上がる感情に任せよう。


    ♪♪♪♪♪♪♪♪♪

    ウタ「🎼Yeah!!yeah !!yeah!!yeah yeah yeah!」

    住民たち「あの人飛んでるぞ!」
    =♪
      ====♫
    ==♩
     ===🎶

    住民たち「翼が生えてる!!」

  • 87二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 21:42:45

    🎼🎼🎼🎼🎼🎼====

    ウタ「🎼——————声奮わしていけ ———!」

    -----🎶
    ---♫

    住民たち「ウタさんだ!あの人はウタさんだ!!」
    ======🎼
    ------♩
    住民たち「すげェ!まるで天使だ!!」

    ウタ「🎼——— おれが強く在れる ———!」
    ♫🎶♩🎶♫
    ハナガサ「ん!?これは!」
    ((🎶🎶🎶))
    カギノテ「あの歌声は!あの姿は!!」
    (((( ♫♩♩♪♪ )))
    エボシ「プリンセス・ウタだ!!!」

  • 88二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:00:20

    ======🎼🎼🎼🎼==⇒

    ウタ「🎼—————— おれが強く在れる ———!」

    ヤソップ「おいあれ、ウタじゃねェか!?」
    (( 🎶 ))
    ルウ「飛んでるぞ!?」
    (( ♫ ))
    パンチ「それに伴奏もねェのに楽器の音が!」
    (( ♪♩♪ )
    モンスター「😲!!」
    ( 🎶♫🎶 ))
    シャンクス「……!」

    ウタ「🎼Woooooow…!!」

  • 89二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:11:04

    ♪♪♪♪♪♪♪♪♪

    ウタ「……イェ〜〜〜〜イ!!!!」

    ワァアアアアアアアア!!!!!!!

      「今の凄かった!!!」

         「最高の歌声だった!!!」

    「カッコ良かった!!!」

     「今の!またいつかやってくれェ!!」

    「今度はライブでもやってほしいです!!!」

    ウタ「……!みんな〜!ありがと〜〜!!」

    ワアアアアアアアア!!!!!!!

    ルウ「凄ェよ今の!!」

    ホンゴウ「ホントにすげェ!!」

    シャンクス「野郎ども!これから宴だ!」

    ウオオオオ!!!

    ベックマン「今のは見事だったぞ、ウタ」

  • 90二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:18:51

    音符記号の使い方好き

  • 91二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:35:22

    .
    .
    .
    この日はレッドフォース号で宴になった。すごいライブを見せてもらった記念だって。

    シャンクス「飲むか?ウタ」

    ウタ「お酒?良いよ!大人だし!」ゴクッ

      「……これバーのより美味しくない…」

    あの時の味を想像してたら全然違うのが来た。後味が……

    ベックマン「これはウタには早かったか。ジュースもあるぞ?」

    ウタ「わ〜!ありがと〜!」

    シャンクス「だっはっはっは!まだまだガキだなウタは!」

    ウタ「うるさ〜〜い!!」プンプン

    ヤソップ「もうまわってんなァお頭」

    ロックスター「そんな強くないのに勢いよく飲んだせいだと思ってんすがね…」

  • 92二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:54:13

    〜〜〜〜

    ムジカ「さっきのは…遂に…!」

    ウタ「あれが多分…私が望んだもの!向こう(現実)でももう自由になった!」

     ウタは嬉しそうに棒を槍に変身させた。

    ウタ「すごいでしょ〜?」

    ムジカ「能力が極まったようだな」

    ウタ「そう!これで眠らせなくてもライブを盛り上げられるよ!」

     嬉しそうだなものすごく。思い通りになれて良かった。……何を素直に喜んでいるのだ私は。

    ウタ「そうだ、ムジカのことで1つ試したいの」

    ムジカ「?」

  • 93二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:02:41

    ウタ「ん〜〜〜〜」クルクルクル

     手首を回しだしたぞ。何のマネだ?

    ウタ「ん〜〜〜出て!!」バッ

    ボワワワンッ!!

    ムジカ「……!」

    ウタ「やった!出てきた!」

    ムジカ「お前の任意で出せるようになったのか」

    ウタ「そうみたい」

     どんどん成長していくな。コイツと相対する奴が気の毒だ。

    ウタ「よ〜し、明日が楽しみ!もう戻っていいよ!」

    ムジカ「ちッ」ボウゥン...

     何かするかと思えば、ただ出しただけか。明日はどうするつもりだ?

  • 94二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 09:51:30

    〜〜〜〜

    ウタ「みんな、今日は会わせたい人がいるの」

    赤髪海賊団「??」

     誰に会わせるつもりだ?海の上なのだから人はそうそう増えないだろう。

    ウタ「………出てきて」バッ

    ボウンッ

    赤髪海賊団「ッ!!!」

    シャンクス「…」

    ムジカ「……俺か」

    ベックマン「トットムジカか。いつからウタの中にいた?」

    ムジカ「あの日から、ずっといる」

  • 95二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 10:12:40

    船のみんなは身構える。当たり前だよね。

    ウタ「待って。戦ってほしいんじゃないの」

    ヤソップ「じゃあ何だ?」

    ウタ「この子と…いっしょに歌ってくれない?ムジカはただ寂しいだけなの」

    ムジカ「むゥ…」

    不服そうにしてるけど、わかってるよ。

    ベックマン「仮にそうだとして、寂しいだけであの惨劇を起こすような奴と仲良くしろと?」

    ムジカ「分かっているじゃないかベックマン。俺はお前らには絆されん」

    ウタ「そんなこと言わないで。みんなで歌ったことないんでしょ?」

    ムジカ「ッ…」

  • 96二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 18:11:59

    シャンクス「…ベック、みんな。ウタがここまで言うんだ。信じてみてくれないか?それに…」

    ムジカ「俺に気遣いは要らん!独りで良い!」

    ウタ「1人で平気ならあんたは生まれてないよ〜だ!」

    ムジカ「ああ!黙れ黙れ!」

    ウタ「出た、強がり〜!」

    シャンクス「トットムジカってあんな話の出来る奴だったか?」

       その様子はさながら、反抗期の弟をからかう姉だった。

    パンチ「…ふふッ」

    ムジカ「おい!笑うんじゃない!」

  • 97二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 18:20:46

    ウタ「じゃ、みんなで何か歌お!」

    パンチ「そうだな!“ビンクスの酒”はどうだ?」

    ヤソップ「そりゃあ良い!みんなで歌うなら1番だ!」

    スネイク「ふッ」ニヤリ

     あァ勝手に話が進んでいく…。

    ウタ「キマリだね!伴奏お願い!」

    パンチ「もちろんだ!」

    モンスター「😆👍」

    シャンクス「…」ニッ

  • 98二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 18:46:59

    ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

    みんな「ヨホホホ〜♫ ヨ〜ホホ〜ホ〜♪」

     ビンクスの酒。曲は知っているが、とても私には見合わない。

    みんな「————♩————🎶」

     だが、私が歌わない限り終わらないだろう。付き合ってやるか。

    ムジカ「…帆に旗に 蹴立てるはドクロ♪」
    .
    .
    .
    ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

    この日はとても楽しかった。最初は渋ってたムジカも、歌い出してからはずっとノリノリで歌を楽しんでいたし、気がつけばみんなで盛り上がっていた。

  • 99二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:03:00

    .
    .
    .
    ムジカ「……やれやれ、ガラにも無くバカ騒ぎしてしまったな」

    ウタ「楽しかったから良いじゃん?あんなに楽しそうなムジカ初めてだったよ。みんなと肩組んじゃったりさ」

     ウタワールドでなくても私を出せるようになったからか、現実の方で話をしている。

    ムジカ「空気に流されただけだ」

    ウタ「でも楽しかったでしょ?」

    ムジカ「……ああ、あんな気分は初めてだった」
     
    ウタ「こう思ったの。寂しいならみんなで歌う楽しさを知れば良いんじゃないかって。壊すのより楽しいことがあれば、壊そうとするのをやめるんじゃないかって」

  • 100二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:15:03

    ムジカ「なるほど、考えたな」

    ウタ「それに、私がそうしたかった。ムジカもいっしょにみんなで歌ってみたかった。特に“ビンクスの酒”はね」

    ムジカ「何故それが?」

    ウタ「長いこと、誰かといっしょに歌えなくてさ。エレジアにいた時も1人で歌ったりしたけど、みんなで歌うから楽しい曲だから寂しくなっちゃってそんなに……ってこれはムジカも知ってるか」

    ムジカ「……すまない」

    ウタ「!」

    ムジカ「最近こう思うようになった。俺が目覚めて暴れなければ、どんな月日をお前は過ごしただろうと」

    ムジカが、謝った。それまで過去を詫びるどころか悪びれることも無かったムジカが。かなり驚いた。

  • 101二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:51:17

    ムジカ「きっとお前のことだ。シャンクスたちの愛情を受けて健やかに育つことが出来ただろう。ルフィとももっと良い時間を過ごし、互いに良い影響を与え合えたはずだ。それかエレジアで音楽をより明細に学ぶことだって出来たかもしれない」

    ウタ「……」

    ムジカ「だが俺はそれら全てを奪ってしまった。お前は12年、親を恨み、幼馴染に逢えず、名前も知らない他人の想いに踊らされ、終いにはその他人諸共死にかけた。真に大切な者たちを置いてな」

    懺悔をムジカは続ける。

    ムジカ「お前に憑いてから話すうちに、シャンクスたちの気持ちがわかった。理屈で知っていたつもりだったが、心から理解出来た。……俺は何という罪を」

  • 102二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 23:07:21

    ウタ「もう良いって…それ以上自分を責めないで」

    ムジカ「お前は初めからそうだった。姿を見せたのは俺の方とはいえ、見ず知らずの薄汚れた楽譜さえも手に取って歌ってくれた。今だって俺の寂しさに俺自身より早く気づいてくれた。これほど白い心を俺は…俺は……」

    誰かを思いやるムジカという見慣れない姿に戸惑ったけど、嬉しい気持ちが湧き出た。

    ムジカ「……ごめんなァ…みんなから引き離して…ずっと辛い想いさせて…俺がいなければ…どんなに良かっただろう…」

    ウタ「……ありがとう。そう思ってくれるのが嬉しいよ。シャンクスたちとの時間はこれからいっぱい作る。新時代が来たら、ルフィとだって…!」

     この期に及んでも私を責めないのか。少しぐらい怒ってくれよ、この方が惨めだ。

    ウタ「だから…私たちで歌を楽しもう?」

     ウタは手を差し伸べた。その目の輝きは、とても眩しかった。

  • 103二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 09:07:26

    ムジカ「ああ……しばし楽しむとしよう」

    この日からムジカはずっと顔を出すようになった。船のみんなとも打ち解けていったし、ライブに顔を出すようにもなった。

    _________

    ヤソップ「お前の光線はどこまで狙えるんだ?」

    ムジカ「まァ見ていろ。モンスター、空瓶をそこに置いてくれないか?」

    モンスター「👌」

    ムジカ「ここだな」ビィッ!

    パリィン

    ヤソップ「ほほう」

    ムジカ「この通り、ここから船首のモノを撃ち抜ける」

  • 104二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 09:16:57

    ヤソップ「まだまだだな。おれはこのコルクを撃ってやる。モンスター、よろしくな」

    モンスター「👍」

     コルクを置いたと思ったら、ヤソップは船の反対側まで歩いていった。何故勝手にハードルを上げるんだ。

    ヤソップ「よ〜し」パンッ

    ズドンッ

     !?

    ムジカ「本当に当てるのか…!」

    ヤソップ「なァに、おれはアリの眉間にだってブチ込めるぜ」

  • 105二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 15:54:54

    _________

    ムジカ「なァ、次のライブはデュエットをしても良いか?」

    ウタ「え!?」

    思わず固まる。

    ムジカ「……まァ、やはり無理だよな」

    ウタ「もちろん…もちろん良いよ!待ってて、今作曲するから!ていうかいっしょに作ろ!」

     そう言うなり作曲を始めた。本当に良い娘だなシャンクス。

  • 106二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 17:31:32

    ___________

    ムジカ「当日になったわけだが、いつ私を出すのだ?」

    ウタ「ちゃんとその曲になったらみんなに見えないところで出すから」

    ムジカ「そうか、忘れるなよ」ボゥン
    .
    .
    .
     序盤からライブは順調だった。これまでと違って能力をふんだんに使うからパフォーマンスとしても大盛り上がりだ。……私が出ても大丈夫だろうな?

    ウタ「次の曲はデュエット!というわけで、いっしょに歌う相方がいます!」

    ボウンッ!

    ムジカ「…出番か」

    ウタ「じゃ、出てきて〜!」

     今の私はかなり礼装に近い。流石に身体を見せるわけにはいかないからな。

    ムジカ「…あ〜、今回相方をさせていただく者だ。名前を覚えてもらう必要は無いが、よろしく頼む」

    そういえば、ムジカの挨拶考えてなかった…ゴメン。
     

  • 107二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 00:52:39

     しかし緊張するな、大勢の前で歌を披露するのは。上手くやれるだろうか。私の親(作曲者)が夢見て焦がれた光景だが、いざそんな状況が出来ると不安になる。

    大丈夫。これは楽しんだもん勝ちだから、気張らずいこう?

    ♪♪♪♪♪♪♪

    ウタ「🎼============♪」

    =♪
       ====♫

    ウタ「🎼_______________♫」

    ==♩
      ===🎶

    「「🎼——— ——————♪」」

  • 108二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 00:55:47

    観客A(やっぱり綺麗な歌声だなァ…)

    (( ♫🎶♫ ))

    ムジカ「🎼——— —————— 心のままに———♫」

    観客B(相方さんもかなり上手いぞ!?)

    (( ♩🎶♩ ))

    ウタ「🎼——希望のある——♩」

    観客C(2人ともカッコいいなァ…!)

    🎼🎼🎼🎼🎼🎼=======

    ウタ「🎼——————!」

    「「🎼生きていりゃあ!ええじゃないか!!」

    ((🎶🎶🎶))

    ウタ「🎼命は心があるとこよ —————♪」

     お前がこのような歌詞にしたこと。前だったら信じられないな。

  • 109二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 00:59:55

    ムジカ「🎼———— ———♫」

    ウタ「🎼————— —————🎶」

    🎼🎶🎼🎶🎼🎶🎼

    「「🎼さあ!——の命じるまま!!」

    ♪♪♪♪♪♪♪

    ムジカ「……ほッ」

    ウオオオオオオオオ!!!!

    観客たち「すごいデュエットだった!!」

    観客たち「相方さんも綺麗だったよ!!」

    観客たち「相方さんもいつかまたやってくれェ!!」

    ウタ「ありがと〜!!」

    ムジカ「……ああ!ありがとう!楽しかった!」

  • 110二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 01:15:03

    .
    .
    .
    ウタ「初ライブはどうだった?」

    ムジカ「…最高の気分だった。こんなに楽しいなんてな」

    ウタ「人を傷つけるのはこれよりも楽しい?」

    ムジカ「いいや、全然」

    ウタ「良かった!ていうか、やっぱり歌うの上手いんだね!」

    ムジカ「お前ほどじゃないがな。私や能力の演出での盛り上げ方は流石だった」

    ウタ「せっかくこっち(現実)でここまでできるようになったからね!使わなきゃもったいないよ!」

    ムジカ「ふふッ、だよな」

    初めて会った頃ならまず見せなかった優しい笑顔でムジカは応じてくれる。こんな日々が続いたら最高…!

  • 111二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 11:33:25

    __________________

    何でもない日々を満喫したり、宴やライブをしたり、海賊とぶつかったり、そんな日々は続く。魔王だったムジカの様子にはあの頃の面影はほとんど無く、船のみんなと談笑したり、私のノリに乗っかったり、いっしょに歌ったり、見違えるように楽しそうな姿が増えた。

    ヤソップ「おれにはなッ!ちょうどルフィくらいの年頃の息子がいるんだ!」

    ムジカ「何度も聞いたぞ!今はルフィの船にいるんだってな?生きてるうちに会ってやるんだな!寂しがってるかもしれんだろう!」

    シャンクス「おいおい、耳が痛いこと言わないでくれよ!」

    ムジカ「今度は頼むぞシャンクス!置いていくようなマネしたら許さん!」

    ベックマン「お前からその言葉を聞くとはな」

    ムジカ「ああビックリだ!私が1番驚いてる!」

    ダハハハハハッ!!!

    このまま赤髪海賊団の船員として仲良くやっていけると、そう思った。

  • 112二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 11:44:39

    __________________

    そんなある日だった。

    ルウ「なァウタ。ムジカはどこだ?」

    ムジカが消えた。この頃はずっと出てきていたのに。

    パンチ「ウタも知らねェのか。道理で船を探してもいねェわけだ」

    モンスター「😞」

    自分で出そうとしても、出てこない。ウタワールドを探しても、いない。

    ホンゴウ「アイツだって気分が乗らない時もあるだろう。またそのうち出てくるさ」

    初めはそう思ったけど、何日も姿が無かった。どうしたんだろう。だんだん不安や喪失感が出てきた。

    〜〜〜〜

    ウタワールドで呆けていた時だった。

  • 113二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 11:51:16

    ムジカ「こう思ったな?寂しいと」

    ウタ「……!」

    ムジカだ。やっと見つけた。思わず笑みが溢れる。

    ウタ「今までどうしてたの?みんな心配してたよ!」

    ムジカ「……お前は私が何なのか覚えているか?」

    ウタ「それは、人を殺す歌の魔王で…でも今はもう違う!」

    ムジカ「そうじゃない。何が私を形作ったかだ」

    そう言われて、ある文を思い出した。

    ウタ「……『人の恐れ、人の迷い。トットムジカの名のもとに。怯えよ、逃げよ。』」

  • 114二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 12:01:09

    ムジカ「そうだ。人の負の感情が、私そのものだ。それから負の感情を抜いたら、どうなると思う?」

    それを理解するのに、時間はかからなかった。

    ウタ「まさか…」

    ムジカ「私はもう間もなく消える。いや、今消えるところだった。お前の寂しいという感情が私をほんの少し残した。どのみち長くはないが」

     ウタの表情は悲しみを帯びていく。そんな顔しないでくれ。

    ウタ「嫌だよ…せっかくみんなと仲良くなってたのに…」

    ムジカ「そう心配するな。私が消えても、私の力は残る。それはお前が自在に動かせるはずだ。ライブの演出には困らん」

    試しにあっち(現実)でムジカを出してみた。今度はちゃんと出せる。でもそのムジカは口を利かず、私が考えた通りに動くだけだった。

  • 115二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 12:28:09

    ウタ「けど…力だけ残ったって…ムジカが側にいないと納得できない…」

    ムジカ「力を使ってくれる限り、私はあんたの中で生きている。同じだよ。歌が響く限り、心がある限り生き続けるとあんたが考えたのと」

    ウタ「ッ……」

    ムジカ「私は感謝している。私を生んだ感情から、自由にしてくれたことを。最期のしばらくの間は、それまでの数百年を塗り潰せるほど価値のあるものだった」

    何も言うことができない。ムジカの身体は、足元から消え始めていた。

    ウタ「……」

    ムジカ「良いか?想いには2種類ある。受け継ぐべきものと、受け継いじゃいけないものだ。赤髪海賊団にある人を愛する想いは、大切にしてやってくれ。いつかあんたにそんな人が新しく出来た時のために。逆に鬱憤や不満など、私を生み得る想いには呑まれるな。自分も他人も、身も心も滅ぼす悪魔が現れる」

  • 116二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 12:41:56

    ウタ「人の感情には、折り合いをつけて接してほしいってこと?」

    ムジカ「ん、まァそういうことだ。まずは自分や親しい者を1番に可愛がるんだな」

    もうムジカの身体は上半身しか残っていなかった。

    ムジカ「じゃ、そろそろ時間だな。あんたの歌を世界中に届けてやってくれ」

    ウタ「それじゃあ…最後に1曲歌ってくれる?」

    🎼🎶=🎶=🎶=🎶

    ムジカ「……それか。良いだろう」

    ♪♪♪♪♪♪♪

    「「🎼__________________🎶」」

    2人で歌ったその曲は、僅かな時間を何時間と思わせるようなしっとりとしたもの。最悪の出逢いだったけど、1番長い付き合いだった存在。エレジアでの事件から、それと共に成長出来て、こうして救えたことを噛み締めながら、ゆっくりと歌い上げた。
    .
    .
    .
    「🎼__________________♩」

    ♪♪♪♪♪♪♪

    歌い終わった時、ムジカは今度こそいなくなっていた。

  • 117二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 13:41:07

    〜〜〜〜

    あれからムジカはいなくなった。姿を出すことは出来るけど、もはやウタウタの能力の一部でしかなかった。喋らないし、勝手に動きもしない。私が動かせるだけの像。船のみんなにもそのことは話した。少し寂しそうだったけど、すぐに納得した。船での生活元通りになっただけとはいえ、立ち直るのには少し時間がかかった。

    __________________

    ウタ「🎼—————🎶」

    ワァアアアアアアアア!!!!!

    今でも、特にライブの時はムジカの像を出す。私の考え通りに声を出したり、いろいろな姿を見せたりと、演出を盛り上げるのに便利だから。それと……時々、こっちに向かって笑いかけてくれる気がするのが嬉しいから。これは気のせいかな?

  • 118二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 13:47:38

    随分と長くなりましたが、これで終わりです
    ムジカが最後にどうなるかはいろいろ考えながら書いてましたが、最終的には本物のスタンドみたいな状態になりました
    ウタにはいろいろな場所へ足を運んでライブしたり清濁合わせていろいろ見ていって成長してほしいです

    最後まで書き切ることを第一目標にしていましたが、いいねや保守、コメントがあるとすごく嬉しかったです
    見ていた人がどのくらいいたかはわかりませんが、見てくれた方には本当にありがとうと言いたいです

  • 119二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 17:56:01

    お疲れ様です

  • 120二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 18:01:44

    ありがとうスレ主、良いSSだった…

  • 121二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 00:20:26

    前スレが落ちてショックだったが最後まで読めて良かった…次回作も期待したい

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています