- 1二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:28:23
- 2二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:29:23
🐲
- 3二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:30:34
配信を終えた後、自室に戻り思案する。
「ラブソングかぁ……」
考えたことが無いわけじゃなかった。
有名なアーティストなら大体一度は歌ったことがあるであろうジャンル。
ど鉄板と言ってもいい。
何度か曲作りに挑戦はしてみたけれど、その度に断念していた。
曲はともかく、作詞の方でどうしてもペンが止まる。
だって、経験がないんだから。
「…………恋、なぁ……」 - 4二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:34:09
物心つく頃には、一回り以上年齢が上の男しか居ない赤髪海賊団の中にいた。
赤髪海賊団のみんなは大好きだった。
……大好き、だった。
でも、この気持ちがそういうんじゃないことぐらいはわかる。
家族に向けての愛を歌う歌なら、ラブソングとはまた違うジャンルになる。
海賊だったことも私が恋を知らない理由の一つだった。
たまに立ち寄った島で誰かと知り合うことはあったけど、大体はすぐに島を離れてその関係も長くは続かなかった。
一目惚れされて随分食いついてきた子もいたけど……
……あの時のシャンクス、大人気なかったなぁ。
「……ふん」
嫌なことを思い出した。
シャンクスなんて嫌いだ。 - 5二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:37:33
「…………あ」
ラブソングへのありもしない手がかりを求め、過去の思い出を巡らせていると……
ふと、記憶の中に強く残る一人の少年が浮かんだ。
『またウタが夢ん中〜!』
『やだ!つまんねェ!それより勝負しようぜ!』
『おれたちの新時代のマークにしよう!それやるよ!』
フーシャ村にいた男の子。
いつも私やシャンクスの帰りを楽しみに待っていた男の子。
新時代の約束をして、私にこの新時代のマークをくれた男の子。
「……ルフィ」 - 6二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:40:09
今何してるんだろう。
シャンクスに憧れてたけど、海賊になってたりしたら……どうしよう。
なってたらなってたで、なんかすっごいことしでかしそうな気はするけど……
……もしまた会えたら、私どんな反応しちゃうのかな。
……そういえば、「強くなったところを見てあげる」って約束、守れなかったなぁ。
……いやいや、なんで覚えてるんだ私。もう何年前の約束?
……いや待って。なんで私はラブソングの手がかりを探してたのにルフィのことを思い出したの?
…………ルフィと、恋? - 7二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:41:42
- 8二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:43:57
……まさか。
「まさかぁ」
頭と口が同時に否定した。ないない。
あの時私は9歳で、ルフィは7歳。
仲は良かったと自分でも思う。ルフィだって私のことを憎からず思ってくれていたと思いたい。
でも、その時のルフィはまあお子ちゃまで、全然そういう対象に見えなかった。
私も大概マセてたとは思うけど。
とにかく、ルフィもそんなんじゃない。
今会ったならともかく、当時の思い出しかない私はそう結論づけた。
となるともうお手上げだ。恋どころか、歳の近い異性との繋がり自体がルフィぐらいしかなかったんだから。
ファンのみんなごめんなさい。私はラブソングを作れそうに……
「…………そうだ」 - 9二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:46:44
「何?ラブソングを作りたい?」
「うん」
困った時のゴードン頼り。
ゴードンは私よりずっと大人だし、きっとそういう経験も私より豊富だよね。
「どうしたんだ急に、何かあったのか?」
「別に変なことじゃないよ。今日の配信で私のラブソングを聞いてみたいコメントがあったんだ。
でも私、そういう経験ないからどうすればいいか分かんなくてさ。
ゴードンなら何かアドバイスくれるんじゃないかと思って聞いたんだけど……」 - 10二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:47:11
いいねぇ!
- 11二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:49:12
「うーむ…私もそういう経験が豊富なわけではないから難しいな…」
ちょっとがっかり。王様ならそういう経験も多いと思ったのに。
でも、10年も私と2人きりならそういう経験がないのも仕方ない……
……ん?
……10年も、2人きり? - 12二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:50:23
!?
まさかゴーウタ…!? - 13二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:51:25
まっまさかっっ!!そっちに行ってしまうのか!!戻れウタ!!
- 14二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:52:12
「そうだな、例えば誰かが歌っているものをカバーしてみる、なんていうのは……
……ウタ?」
考えてみれば当たり前だ。
10年前、エレジアが壊滅した時、この国で生き残っていたのは私とゴードンの2人だけ。
……つまり、ゴードンの大切だった人たちも。
みんな、いなくなったということ。
「ウタ、どうしたんだ?何だか顔色が悪いぞ?」
「……ごめん、やっぱ今のなし。
変なこと聞いて……ごめん」
「あっ、ウタ!」 - 15二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:52:32
ちょ待てよ!
- 16二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:53:16
みんなの予想より辛いほうに行ってて草も生えぬぞ貴様ァ!
- 17二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:53:58
タイトルのフワフワした感じを信じろ貴様ァ!!!
- 18二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:55:29
逃げるように自室に戻った。
何てことを聞いてるんだ私は。
自分の国を滅ぼされて、
大切なものをみんな奪われて、
辛いに決まってるじゃん。
思い出したくないに決まってるじゃん。
それなのに私は、その傷を抉るようなことを聞いて……
シャンクスも悪いけど、私も最低だ。
自己嫌悪に押し潰されそうになり、私は無理やり夢の世界へ逃げ込んだ。
翌朝、いつものように起こしに来てくれたゴードンの顔を、しばらくまともに見ることができなかった。 - 19二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 00:59:42
このレスは削除されています
- 20二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:00:31
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤ
ㅤそれからしばらくして、私は真実を知った。 - 21二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:01:41
タイトル詐欺ではないか貴様ァ!
- 22二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:02:20
判断が早いぞ貴様ァ!!
- 23二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:04:06
怒号と悲鳴。
爆発音。
建物が崩壊する音。
愛と平和が踏み躙られる音。
命の鼓動が潰える音。
何これ?
どうなってるの?
この黒いのは何?
戦ってるのはシャンクス?
私はどこにいるの?
『この映像を見ている人!!気をつけろ!!
ウタという少女は危険だ!!
あの子の歌は!!世界を滅ぼす!!!』 - 24二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:05:43
派手な葬式は嫌いかウタ?
- 25二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:08:54
「はぁ……はぁ…………っ!!!」
目を瞑り耳を塞ぐ。
とても直視したくない現実がそこにあった。
このまま潰れてしまいたくなった。何もかも投げ出したくなった。
でも、耳を塞いでも何故か聞こえ続ける『声』がそれを許してくれない。
あの日シャンクスに言われた、ある種の自分の支えになっていた言葉。
私の歌は世界中の人を幸せにできる。
だけどその映像の中には、幸せな人など誰一人映っていなかった。
シャンクスも、赤髪海賊団も、ゴードンも、エレジアの人達も、私も。
ただその「黒い何か」だけが、愉悦に狂ったような笑みを浮かべていた。 - 26二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:09:49
Level Of ViolenceE SONG
- 27二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:14:35
「お゛え゛っ……ゔ、ぶえぇ……!!」
トイレに駆け込み、胃の中のものを全てぶち撒けても、涙と身体の震えが止まらなかった。
この国にあった全てを壊したのは、他でもない私だった。
シャンクスは悪くなかった。むしろ最後まで私のために戦ってくれたのに、剰え汚名まで着せてしまった。元々海賊だけど。
ゴードンも庇ってくれるかもしれない。悪いのは私じゃなくてあの黒い何かだって。
だけど、歌ったのは私だ。知らなかったで済むような話じゃない。
……何だ。そうだったのか。
何が恋だ。
何が幸せだ。
そんなものを望む資格は……
私には、初めから無かったんだ。 - 28二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:19:12
──────
「此間リクエストしてくれた人ごめんね!私しばらく恋とかしないからラブソング歌えないや!」
我ながら苦しい言い訳だ。
笑顔を貼り付けてそう宣言したけど、私はその時ちゃんと笑えていただろうか。
真実を知った後も、私は変わらず世界に歌を届け続けた。
知ったところで今更どうすればいいのか。今までの私は全部ウソだった?
……最早私一人の意志では引き返せないところまで来てしまっていた。
そして私は、これからも『海賊嫌いのウタ』として活動していく覚悟を決めた。
ゴードンが私を見る目も日に日に心配そうなものになっていく。
そんな顔しないでよ。
私は望んでこの活動をしてるんだから。 - 29二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:21:02
ア…アッアァッ…
- 30二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:22:44
ファンの声を聞いているうちに、私はその『計画』を思いついた。
これならみんなを救える。
争いのない、平和で自由な『新時代』を作れる。
私なら出来る。私がやらなきゃ。
今となっては、恋への憧れもすっかり消え失せていた。
元々抱いてはいけない感情だ。憧れも何もない。
……でも。
新時代を作った後なら……
少しぐらいなら……経験してみたいな…… - 31二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:23:01
その望み、『最初』じゃないくせに
- 32二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:25:44
新時代より恋経験するの優先せんでええのんか~?
- 33二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:26:57
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
────なんてことを思っていた。
その日、あいつに会うまでは。 - 34二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:30:34
そうだ、それでこそルフィだ!
- 35122/10/02(日) 01:31:44
何か長くなりそうですが書き溜めてたのはここまでなのであとはぼちぼち書いていきます
- 36二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 01:42:02
- 37二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 03:44:56
煮込んで君を待つ
- 38二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 07:05:19
フフフ…期待しちまうじゃねえか…!
- 39二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 07:21:37
(なんかルフィじゃない気がしてきた)
- 40二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 07:35:37
(不安になること言うの止めてクレメンス……)
- 41二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:07:32
(普通にルフィだとは思う…タイトルに勝負って着いてるし )
- 42二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:45:24
待ってるからな……待ってるからな……
- 43122/10/02(日) 10:17:30
──────
「あー!やっぱりそうだ!!」
計画成就のためのライブを決行した日。
オープニングの『新時代』を歌い終えた後、一人のファンが乱入してきた。
「ウタ。お前ウタだろ!!」
「え?」
「おれだよおれ!!」
顔を隠していた麦わら帽子には何故か見覚えがあった。
帽子の下に隠れていたその顔には、見覚えがあるような無いような……
…………ん? え? うそ!?
……ううん、間違いない!!
「……もしかして、ルフィ!!?」 - 44122/10/02(日) 10:23:51
「ひっさしぶりだなァ、ウタ〜!!」
「ルフィ〜〜!!!」
両手を広げて待ち構えるルフィに思わず抱きついてしまった。
まさかこんなところで会えるなんて。全く想像もしてなかったから本当に嬉しい。
少し汗の匂いの混ざった、ルフィの匂い。
覚えてないけど、当時と同じはずはない。それなのに私の脳裏には、懐かしいフーシャ村の情景が浮かび上がっていた。
……あれ、私ちょっと泣いてる。だめだ、感極まり過ぎた。
「「「えェ〜〜!!!???」」」
客席からは悲鳴にも似た声が聞こえてくる。
ごめんみんな、ガマンできなかった。 - 45122/10/02(日) 10:30:19
「「あっははははは!」」
どちらからともなく手を離し、笑い合う。
ほんの些細なことだけど、こんなに心から笑えたの随分久しぶりな気がする。
ルフィの被っていた麦わら帽子がふわりと舞い、またルフィの頭に収まった。
あれは多分……なんだろうけど、なんでルフィが持ってるんだろう。
まあいいや、後で聞こう。
時間なら、もう少しすればいくらでも出来るんだし。
「テメェ!!だったら紹介ぐらいしやがれ!!!」
「お前なんでプリンセスウタと仲良し「なんだ〜!!!」」
あそこで騒いでるのは、ルフィの友達かな?
わざわざ気合の入ったコスチューム着てきてくれてる。素直に嬉し「だってこいつ、シャンクスの娘だもん!」
……あっ。 - 46122/10/02(日) 10:37:00
「「「「「えええェ〜〜〜っ!!!?」」」」」
さっきより数段大きな驚きの声が聞こえた。悲鳴の割合も増えた気がする。
うーん、それは言われたくなかったんだけどなぁ……。
まあ、言われちゃったなら仕方ないか。私のやることは変わらないんだし。
「あれ?これ言ったら不味かったか?」
「ううん、別にいいよ今更。ライブはまだまだこれからなんだし」
「ん、そっか」
それだけ言うと、ルフィは何故か私の顔をジロジロと見始めた。
「んー……」
「な、何?どうしたの?」
「……いや、気にすんな!こっちの話だ!」
「はあ?」
何、今の。 - 47122/10/02(日) 10:45:58
「そうはいかねェなァ。残念だがライブはここで中止だ!」
「!」
「なんだお前ら?」
またしても乱入者。しかも今度はルフィと違って明らかに悪いヤツ。
一瞬で臨戦態勢に入って、私の前に立ち塞がってくれたルフィはちょっとかっこよかった。ちょっとだけどね。
「四皇『赤髪』に娘がいたとはなァ」
「それが本当ならお前は最大の弱点になる、赤髪のよォ!!」
……何言ってんのこの人たち。
私を人質に取ったぐらいでシャンクスがあんた達みたいなのに負けると思う?
そもそも私がシャンクスの弱点?
真相がどうであれ、あいつらが私を置いて行ったのは事実。
……今更、私なんかが弱点になるはずないでしょ。 - 48122/10/02(日) 10:53:20
「熱風拳!!!」
その後、また違う海賊が乱入してきたり、
「JET銃乱打!!!」
その海賊から私を守るためにルフィとその友達が戦ってくれたりした。
「みんな私の歌を楽しみに来たんじゃないの?」
「残念。なら歌にしてあげる」
『私は最強!!』
まあ、この世界なら私が最強で絶対なのは揺るがないんだけどね。
「すっげェ強くなったなウタ!!」 - 49122/10/02(日) 11:00:45
ルフィの大声が聞こえた。
見下ろすと、屈託のない笑顔をこちらに向けている。
反則みたいな私の能力を見ても、純粋にキラキラと目を輝かせている。
その子供みたいな笑顔が、何故だかとっても眩しく見えた。
ウタワールドそのものは昔連れてってあげた気がするけど……
私の歌を聞くと寝ちゃうぐらいの認識で止まってるのかな。昔は今みたいに戦えなかったし。
……それにしても、さっき必死な顔で私を守ろうとしてくれたルフィ。
やっぱり、カッコよかったな。 - 50二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:03:02
オーブンの攻撃にはキレ顔になってましたね…
- 51二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:05:28
最後に恋心に気付いて死ぬのか
- 52二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:05:50
炎熱系の能力者のパンチだからね……
- 53二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:06:01
まだ死ぬとは限らないだろォ!?
- 54122/10/02(日) 11:07:18
……以前何かの企画で答えた、『好きな人のタイプ』の話。
何度も言ってるように経験のない私は、自分がどんな人を好きになるかすら分からなかった。
だから、ぼんやりと覚えていた、昔大好きだった人のイメージを適当に書いておいた。
普段は子供っぽいけど、いざという時は頼りになる人。
……誰を思い浮かべて書いたんだっけな、これ。
昔好きだった人ってことしか思い出したくないや。
まあ、深く考えずに書いたし、今更気にしなくていいと思ってた。
……それなら、今私の前にいるその幼馴染が、
その『適当に書いたはずの』好きなタイプにどこか合致していることに。
どうして私は、こんなにも動揺しているんだろうか。 - 55122/10/02(日) 11:12:38
今回はここまで
次はまた夜か明日にでも
今更ですがこのお話は明確に原作とは違う展開で進み
原作とは違う結末を迎えます
そもそも現時点での前提から違う部分があります
それでもよろしければお付き合いください - 56二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 11:17:05
この文章から滲み出る安定感よ
今後も楽しみにしてます - 57二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 16:12:58
ほし
- 58二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 16:49:37
これは神SSになる予感しかない
- 59二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 20:32:57
楽しみ、頑張ってください
- 60二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 20:33:28
私は自分の恋心に気付いて動揺を隠せないウタちゃんが大好きでねェ…
- 61二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:14:29
ん〜これは効くねェ〜
- 62122/10/02(日) 23:35:23
─────
「ここでみんなに嬉しいお知らせがあります!!
なんと今回のライブはエンドレス!永遠に続けちゃうよ!!」
「えっ?」「それって……」「まさか?」
「そう!みんなとずーっと一緒にいられるってこと!!」
「すっげー!!一人でライブやり続ける気かよ!!」
「最高かよー!!」
サプライズ発表、成功。
どよめきが歓声に変わっていく。みんな喜んでくれて嬉しいな。
「それとね、大事なお話。海賊のみんな、それに海軍、世界政府の人たち。
このライブの邪魔をしないで。酷いことをやったら、覚悟してもらう。」
邪魔をしてきそうな海軍や世界政府へも釘を刺しておいた。
まあ言葉だけで何もしてこなくなるとは思わないけど、迎え撃たれる覚悟はしといてね。
「それじゃ次の曲、行くよ」 - 63122/10/02(日) 23:45:30
会場のみんな、楽しそうだ。
よかった。私の計画は間違ってなかった。
あとは時が来るまでライブを続けるだけ。
あと何曲ぐらい歌えるかな?まだまだ頑張らないと……
……なんでさっきから、視界の隅にルフィがチラチラ映るんだろう。
ルフィはあの席から動いてないはず。
座ってお肉焼いて食べてるだけなのに。
……あれ?ということは……
……もしかして私がルフィのこと目で追ってる?無意識に?
…………なんで? - 64二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 23:50:43
お?お??
- 65122/10/02(日) 23:55:28
今自分が抱いている感情が分からない。
久しぶりに会えて嬉しかったのは嘘じゃない。嘘だったら涙なんて出ないもん。
そこは否定しないしする気もない。
でも、それはその時までの話のはず。
はずなのに。
こうやって歌ってる最中も、
ファンのみんなにお話してる時も、
無意識にルフィを探して目で追っている自分に気がついてしまった。
視界のどこかにルフィが笑っている顔を求めてしまう自分に、気がついてしまった。 - 66122/10/03(月) 00:07:04
何だかもやもやする。
何これ。何なのこれ。
……まさかこれが、恋?
……いやいや。まさかすぎる。
子供の頃はそういう対象に見えなかったって自分で言ってたじゃん。
大人になってからもさっき再会したばっかりなのに。
もしこれが恋ならどんだけ惚れっぽいんだ私。
……まあルフィが私の初恋の相手ってのは、別に、まあ……嫌、では……ない、んだけど、も。
…………そうだとしても、ダメだよね。私が恋なんてしたら。 - 67二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 05:31:14
ほす
- 68二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 07:42:30
ほしゅ
- 69122/10/03(月) 14:31:38
「これ、何の能力かな?」
「悪魔の実の能力にしちゃ何でも出来過ぎじゃねェか?」
「ヨホホホ!もしかしたらウタさんは万能の力を与えられたのかもしれません。音楽の神様に」
「ルフィ、あんたウタの友達なんでしょ?何か知らないの?」
ふと、ルフィ達の席からそんな会話が聞こえた。
ファンのみんなの夢を何でも叶えてあげてるから、そう思われるのも無理はないか。
「あいつ、昔っから歌はメチャメチャ好きだったぞ!」
「は?」
思わず吹き出しそうになった。まるで答えになっていない。
……あの様子だと、やっぱりルフィは私の能力覚えてないのかな。
ちょっと寂しいけど、そっちの方が好都合だ。
そうだ、さっき聞けなかったことを聞いとこう。 - 70122/10/03(月) 14:41:22
「ルフィ!みんな!楽しんでる?」
「!?」
ルフィ達のいる島に降り立った。
これがルフィの友達か。何人か人間かも怪しい人がいる気がするけど。
「は、はひ!プリンセスウタ!」
「変わった食材もあるしね。天国だよここは」
「楽しいことだらけだな!」
よかった。ルフィの友達に喜んでもらえて。
さて、肝心のルフィは……
「うおお〜!!ウターーッ!!」
「うぇっ!?」
振り返った瞬間、視界がルフィでいっぱいになった。 - 71122/10/03(月) 14:49:45
「ちょ、ちょっとルフィ?」
「ウター!!来てくれたのかー!!」
今度はルフィから抱きついてきた。わお。
「あっおいテメェ!!気安くウタちゃんに抱きついてんじゃねェ!!」
「いーだろ別に!さっきもやったんだしよ!」
「……馴染みにしても距離が近すぎやしねェか」
「まぁよほど久しぶりに会ったようじゃ。はしゃいでしまうのも無理はなかろう」
「あ、あはは……私は大丈夫だから、ね?」
普段からこんな感じなのかと思ったら、当の仲間達も若干困惑気味だ。
私に会えてテンション上がっちゃってる?嬉しいこと言ってくれるじゃん。
大丈夫だよルフィ。もう少しでずっと一緒にいられるようになるからね。 - 72二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 14:55:18
ルフィからのアプローチが激しめな世界線か
- 73二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 15:18:04
これは期待
- 74二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 21:17:34
ほっしゅ
- 75二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 21:24:11
ルフィ、ウタを救ってくれ
- 76122/10/03(月) 21:37:44
(……ねぇ、これで全員?)
「ん?」
折角密着してるし、今のうちに聞いちゃおう。
ルフィがこの帽子を持ってるなら、きっと近くに……
「あァ、これで全員だ」
(えっ?そ、そんなワケないでしょ?だったらその帽子……)
「別にウソなんかつかねェよ、ここにいる9人がおれの仲間だ」
…………
ウソをついてないのは本当みたい。
じゃあなんでこの帽子をルフィが持ってるの? - 77122/10/03(月) 21:45:46
「……ねえルフィ、久しぶりに勝負しようよ」
「勝負ゥ?」
こうなったら戦って聞き出すしかない。
久しぶりだけど大丈夫。ルフィへの勝ち方は熟知してるんだから。
「おう、いいな!久しぶりにやるか!
まァ、今のおれに勝てるワケないけどな!」
「何言ってんの!?私が183連勝中だってのに!!」
「違う!おれが183連勝中だ!!」
乗ってきてくれたのはいいけど、相変わらず自分が連勝中だと思ってるみたい。
大人っぽくなったと思ったけど、やっぱり中身は子供のままなのかもしれない。
「認識の違いが激しすぎる」なんてツッコミが聞こえた。もっともだ。私が連勝中なのに。
案の定、12年ぶりのチキンレースでも私の勝ち。いぇい。 - 78122/10/03(月) 22:04:29
「さっきのは反則だ!!もう一回!!」
「出た、負け惜しみ〜」
昔と同じ手に引っかかって、昔と同じやりとり。
やっぱりルフィも変わってないや。たぶん。
(私が勝ったんだから教えてよね、シャンクスはどこ?)
「知らね」
……あまりの素っ気なさに少しイラッとした。
なんで知らないのよ。
「だったら、その麦わら帽子は何?」
「預かってる」
預かってる?なんで?
……まさかルフィ、やっぱり…… - 79二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 22:13:08
赤髪が導く終焉が近づいて来たなぁ。
- 80122/10/03(月) 22:14:42
「ねぇねぇ!」
「ん?」
割り込んで来たのはルフィの友達のセクシーなお姉さん。
これまたバッチバチに決まったコスチュームが眩しい。
……後で聞いたけど実は私の方が歳上だったらしい。ウソでしょ。
「ルフィとウタはどこで知り合ったの?」
「ウタはフーシャ村にシャンクスと一緒に来てたんだ」
「フーシャ村って、確かルフィさんの故郷でしたよね?」
「ああ!」
骨の人にそれだけ返して、ルフィはフーシャ村での思い出を語り始めた。
私にとっても大事な思い出。思い出したくないことも多いけど、忘れたくないことだって沢山あるんだ。
本当に楽しそうに話すルフィを見て、私までちょっと嬉しくなる。
時々事実が捻じ曲がってたり美化されたりしてるから、その度に訂正は入れてたけどね。 - 81二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 22:15:34
"後で聞いたけど実は私の方が歳上だったらしい。ウソでしょ。"
後でがあるなヨシ! - 82122/10/03(月) 22:30:02
まだ私がシャンクス達を大好きだった頃。
マキノさんも巻き込んで、ルフィといろんな勝負したなあ。ナイフ投げとか、腕相撲とか。
もう流石に腕相撲じゃ勝てないかな。さっき抱きつかれた時すっごい力強かったし。
まあ、この世界なら負けないけど。
思い返せば、このマークもその時に貰ったんだよね。
ルフィは覚えてるかな?見たところマーク自体は身につけてないみたいだけど。
……もし見せて忘れてたりしたらショックだから、今はいいや。
「そういやお前、急にいなくなったよな?」
「えっ?」 - 83122/10/03(月) 23:01:20
すっかり思い出に浸ってしまっていた。
急にルフィに話を振られたけど、答えたくない話題だったこともあって、私は黙り込んでしまった。
「急にって、どういうことだ?」
……この子は何なんだろう。
トナカイ……なのかな?それともたぬき?
何にせよ、かわいい。
「え〜〜っと、確かァ〜……」
ぐりぐりとこめかみを掻きながら見たことないような顔を見せるルフィ。
まあ12年も経ってたら、見たことない顔の方が多いのかも。
……何か、嫌だな。それ。 - 84二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:09:23
「おれ、シャンクス達が帰ってくるのをいつも待ってたんだ。もちろんウタもな。
だけどあの日……」
私を置いて行ったあの日、シャンクス達はどんな顔をしてたのか。
まさかこんな形で知ることになるとは思わなかった。知る気もなかったけど。
「いつもみたいに冒険の話聞かせてもらおうと思ったのによ、みんなおれのことちょっと見るだけで何も言わずに行っちまうんだよ。
仕方ねェからウタから聞いてやろうと思ったのに、ウタがどこにもいなくてよ……
最後にシャンクスが降りてきたから、おれ聞いたんだよ。『もしかしてウタに何かあったのか?』って」
「……それで、シャンクスは何て言ってたの?」
「『歌手になるために船を降りただけ』って。
最初はおれも信じなかったぞ?シャンクスと絶交までしたんだ」
「……へえ」
自分でもびっくりするぐらい乾いた声が出た。
歌手になるため……か。上手いこと誤魔化したなぁ。 - 85122/10/03(月) 23:16:26
「まあ、船降りてどっかで生きてるってことは聞けたから、そんなに心配はしてなかったけどな。
だけどそれなら先に言って欲しかったぞ、すっげー寂しかったんだからなおれ」
「そっか……ごめんね」
寂しかった、とストレートに言われて少し心が痛んだ。寂しかったのは私もおんなじなんだけども。
あの意地っ張りなルフィがそんなふうに本音を吐露するなんて思わなかったからちょっと驚き。
「でも、あんなに赤髪海賊団が好きだったお前がよく船降りようと思ったな?海賊はもういいのか?」
……私が今のルフィを知らないように、ルフィも今の私を知らないみたい。
今の私が、昔は海賊だった、海賊が好きだったなんてことは口が裂けても言えないってことも。
「……海賊より歌手になりたいって思ったからだよ。ほら、私2年ぐらいの活動で世界中にファンができる程だし」
「ふーん、すげェんだなウタ!」
手放しで褒めてくれるルフィが、さっきより眩しく見えた。 - 86122/10/03(月) 23:23:42
……さっきから気になってたことだけど……
……これ、聞いていいのかなぁ。
「……それより、ルフィは?」
聞きたくない答えが返ってきそうだなぁ。
「今何やってんの?」
……でも、もしかしたら……
「決まってんだろ、海賊だ!」
…………なんて希望はあっさり砕かれた。
やっぱりね。 - 87122/10/03(月) 23:30:26
「……そ、そっか、海賊か……」
やっとの思いで絞り出した声は、笑えるぐらい震えていた。
半ば覚悟はしてたけど、いざ突きつけられるとどう反応していいのか分からない。
とりあえずさっきの反応が正解じゃないことは分かるけど、私にはそれ以外の選択肢が取れなかった。
「ああ!海賊王になるんだ、おれ!」
……やめてよ。
そんな笑顔で言わないで。
私はそれを否定しなきゃいけないのに。
ルフィを嫌いになりたくないよ。
…………そうだ。
ルフィを嫌わないでいるには、こうすればいいんだ。
「ねえルフィ、海賊やめなよ。」 - 88二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 00:34:55
来てしまった……
- 89二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 06:38:16
嫌いになれないんだろうなぁ
- 90二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 11:03:02
期待
- 91122/10/04(火) 12:39:15
「え……!?」
「…………!」
ルフィの仲間達の中に緊張が走る。
さっき私を攫いにきた海賊達がどうなったか見てたんだし、当然だよね。
「………………」
ルフィからの反応はない。
ルフィが昔のままなら、言ってすんなり聞くわけないことぐらい分かってる。
きっとムキになって言い返してくるはずだ。それを返り討ちにして、海賊をやめさせる。
大丈夫、ケンカなら負けない。ルフィが相手でも、ウタワールドなら私は最きょ……
「…………ウタにそんなこと言われるなんてなァ……」
…………え? - 92二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 12:40:11
流れ変わったわね
- 93122/10/04(火) 12:46:13
言い返して、来ない?
ちょっと待ってよ。ルフィ、なんで……
「やっぱ何か、やな予感してたんだよな……ハハ」
ルフィは困ったような笑顔を見せた。
また私が見たことない顔だ。こんなルフィ、知らない。
「まあでも、久しぶりに会えて嬉しかった!肉も食ったし!
おれサニー号に帰って寝るよ!」
「ハァ!?」
思わず声を荒げてしまった。
冷静じゃなくなっていくのが自分でもよくわかる。
「お前もやりてェことやってるみたいだし、よかった!じゃーなー!」 - 94122/10/04(火) 12:51:18
待って。
何なのルフィ。
私を置いてどこに行くの。
私が知らない間にどこに行っちゃったの。
なんであなた達も見てるだけなの?
なんで止めないの?
ルフィが行っちゃうんだよ?
仲間なんでしょ?
止めてよ。
止めよ。
「……帰らせないよ」 - 95122/10/04(火) 12:57:00
「あァ?」
「ルフィとあなた達は、ここで永遠に、私と楽しく暮らすの」
ウタワールドからはどうやっても出られないことぐらい私が一番分かってる。
でもルフィが悪いんだよ?せっかく会えたのに、私に背中向けてどこかへ行こうとするから。
……あ、そっか。小さくなっていく背中が私のトラウマなんてこと、ルフィは知らないか。
ごめんね。
「ウタ?あなたの歌は好きだけど、流石にずっとは……」
「えい」
「きゃあ!?」
「ナミさん!?くっ、ぬお!?」
へえ、この人ナミって言うんだ。
とりあえず2人捕まえた。
どうしてやろうか。 - 96122/10/04(火) 13:01:03
誰かが始めて、『UTA』コールが湧き上がった。
初めからこうすればよかったんだ。
「いくらルフィの幼馴染だからって、こりゃあ自由にし過ぎじゃねェか!?」
お酒ばっかりで私の歌にはあんまり興味なさそうだった人だ。
幼馴染……幼馴染か。
あの人にもいるのかな。いたのかな。
「何だこいつら!?」
「どんどん増えていきます!!」
「こりゃキリがないのう……!!」
ほら見てよルフィ。
ルフィの仲間がやられちゃうよ。
それもこれも……
「ルフィ、あんたが海賊だって言うからいけないんだよ。」 - 97122/10/04(火) 13:06:49
「何言ってんだおめェ……!!」
「私の友達なら、海賊は諦めて」
「……………
…………やっぱやめた。乗らねェ」
……なんで。
「戦う理由がねェ」
……なにそれ。
「…………それに」
もういい。
何か言おうとしたルフィを遮る。
「……あんたがやらなくても……私はやるよ!!」
さっきとは違う曲で、さっきよりも怒りを込めて。
さあ、『逆光』の時間だ。 - 98二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 13:12:11
このレスは削除されています
- 99122/10/04(火) 13:14:12
結果は私の完勝だった。
ルフィの仲間はみんな歌になった。
ルフィも雁字搦めにされて私の横に倒れてる。
「お前何やってんだ!!離せェーっ!!」
流石のルフィももがきながら叫んでる。
さっきも言ったでしょ、ルフィが悪いんだよ。
海賊王を目指すルフィと、海賊嫌いの私。
このまま帰したら、きっとルフィはいつか海賊王になる。
ルフィの夢が叶ったら、私の夢が、私が否定されちゃう。
ルフィに嫌われちゃう。
ダメだよ、ルフィが。
わたしをきらい
海 賊 王 になるのは。 - 100二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 14:02:16
うーんこれは恋する乙女
- 101二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 16:39:37
おっも♥️
しゅき♥️ - 102二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 20:10:11
あげ
- 103二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:02:14
保留
- 104122/10/04(火) 22:10:35
「みんなはさァ!!海賊をどう思う!?」
ルフィ、海賊ってどう思われてると思う?
「おれの街は海賊に焼かれた!!」
「私の夫は海賊に殺された!!」
「母ちゃんを返せ!!」
海賊いらないの大合唱。
自覚してるかもしれないけど、ルフィが思ってるよりも海賊って嫌われてるんだよ。
……私も、海賊嫌いだし。
ねぇ、これでもまだ海賊やりたいの? - 105二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:18:28
重いウタしゅき…
- 106122/10/04(火) 22:21:29
「プリンセスウタァ!!ルフィはそんなことしねェ!!」
一番気合入ってるコスチュームの鼻の長い人が何か言ってる。
……どこかで見たことある顔な気がするのは気のせいかな。
何か似てる人に昔会ったことあるような……
まあどっちでもいいや。
……ルフィはそんなことしない、か。
まあ本当にしないのかもしれないけど、今重要なのはそこじゃない。
ルフィが海賊をやめるかどうかだ。
海賊ってだけでダメなんだよ。ルフィが海賊なんて。
……海賊なんて。
……だから、ルフィの仲間には悪いけど、もう少し大人しくしててね。 - 107122/10/04(火) 22:29:53
でも、ルフィだけは拘束解いてあげよう。
せっかく楽しいウタワールドなのに、苦しいままじゃ可哀想だもんね。
縛られてちょっとは頭冷えたかな?
「あっ、解けた!」
「ねえルフィ……」
「ウタ!お前何やってんだ!!おれの仲間を!!」
……まだ届かないか。
じゃあどうしよう……
バシャッ!! - 108122/10/04(火) 22:39:50
「!」
「へ、あァ〜…」
「ウタちゃんに近づくな海賊が!!」
「海水で力が入らない能力者なんて怖くないぞ!!」
能力者は海水に弱い。
海賊が暴れ回ってるせいでみんな知ってるんだよ。
本当はバケツ一杯ぐらいなら平気なんだろうけど、ウタワールドならこれで十分。
……でもルフィとのケリは私がつけたいよ。
だからファンのみんな、鍬とかそんなのは下ろして……
「バリアボーール!!!」 - 109122/10/04(火) 22:51:23
「え?」
また何か来た。
何て言った?バリア?
「ろ、ロメ男……?」
「ルフィ先輩、ウタ様はなんかヤベェべ、勝てる気がしねェべ……!!」
ルフィ、先輩?またルフィの知り合い?
というか、この人見たことあるような気がする。
確か今一番嫌われてる海賊とか言ってたような……?
……顔広いんだね、ルフィ。 - 110122/10/04(火) 23:02:50
「おれは……負けてねェ……!!」
どの口が言うんだか。
そんなヘロヘロで、誰が見ても私の勝ちにしか見えないでしょ?
「出た!負け惜しみ〜!」
とりあえずいつもみたいに煽ってやった。
ルフィが睨み返してくるけど、そんなの怖くないよーだ。
さ、このよくわかんないバリアも何とかして、ルフィを海賊から……
フッ
……まただ。 - 111二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:04:02
主もここまで映画のセリフトレスできるのすごくないか
ふつうここまで覚えてへんで - 112122/10/04(火) 23:04:49
- 113二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:06:02
あっそっかあ...
- 114122/10/04(火) 23:09:38
「あれ?海賊が消えたぞ!」
「こんなところに岩なんてあったか?」
なんでみんな邪魔するの。
私はルフィにも新時代に来てほしいだけなのに。
そのためには、ルフィを海賊やめさせないといけないのに。
なんでみんな邪魔するの。
私とルフィを引き離さないでよ。
「……他にも海賊がいたのか」
やっぱり、海賊なんて嫌いだ。 - 115二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 06:33:34
保守
- 116二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 07:59:40
age
- 117二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 10:57:42
続きを楽しみにしている事をお前に教える
- 118122/10/05(水) 12:12:34
──────
「何だべ!?ここは何処だべ!?」
「うぃい……」
……なんでコイツらはおれの行く先々にいるんだ。
しかも大概騒ぎの中心にいる。何故おれが毎度巻き込まれなきゃならねェ?もしかしておれに何か憑いてんのか?
「ん?……おォ、おめェもウタ様のファンだったんだべか?トラファルガー」
「違う、付き合いだ。ベポの」
「…………スンマセン」
目立つからやめろって言ったのに聞きゃしねェ。むしろ目立ちたかったのか?おれには分からねェ感覚だ。
お前も残念そうな顔してんじゃねェバリア屋。今はお前の相手してる場合じゃねェんだ。 - 119122/10/05(水) 12:18:11
「トラ男、ありがとな……へへ」
「笑ってる場合か麦わら屋。何がどうなってるんだ?」
コイツが何かあの女の逆鱗に触れたのは間違いない。
だが戦おうにも、あの女の能力を解き明かさない限りは恐らく勝ち目が……
「ううううう!」ブルブル
……犬か何かかコイツは。こっちに海水を飛ばすんじゃねェ。
「任せろ!ウタには184連勝中だ!」
「そんな脱力したナリで言われても説得力がねェな。そもそもお前……」
「あっ!いた!!」 - 120122/10/05(水) 12:26:17
「!?」
しまった、悠長に構えすぎた!
こうも早く見つかるか……!
「ウタちゃーん!!」
「手ェ振ってる場合かベポ!!一旦退くぞ!!
バリア屋!!麦わら屋を連れてけ!!」
「エッ!?いいんだべか!?」
「いいから早くしろ!!急げって言ってんだ!!」
「悪りィロメ男、おれまだ動けねェからちょっと運んでくれ!!」
「オオオオ……!!お任せくだせェルフィ先輩!!全身全霊でお運びさせていただくべェ〜!!」
「少しは静かにできねェのかお前は!!」 - 121122/10/05(水) 12:37:59
正面からやり合っても敵わねェ。
とにかく今は逃げるしか……
「海賊が逃げたよ!!さあ!みんなで海賊狩りをやろう!!」
……何だあの悪趣味なパレードカーは?
すっかり観客も扇動されちまった。いよいよ本格的に不味いな……
その上にいるウタの目も明らかに正気じゃねェ。
バリア屋が言ってた意味も分かる。
『何かヤベェ』、そうとしか言い表せねェ。
……ただ、何だこの違和感は?
イカれた奴なら何人も見てきたが、そいつらともまた違う異質な空気だ。
コイツ一体、何を考えてやがる?
どういう感情でおれ達を……いや、麦わら屋を追い回してるんだ? - 122122/10/05(水) 12:43:47
- 123二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 12:44:27
ようやく見聞色でウタの感情読む奴現れたか
- 124二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 12:52:11
- 125122/10/05(水) 12:54:58
ありがと
まあいいや - 126二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 12:59:15
ルフィ視点のト書きの代打?でローなのいいね
大前提から設定変えたものも、前中略の映画後ウタもいいけど
できるだけ原典に近付けつつ自分の解釈・シナリオを織り込むスタイルは一番好きかも - 127二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 13:01:47
別に支障はないので気にしなくていいと思う。
- 128二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:49:48
保守するべ〜
原作からしてウタもルフィも恋愛感情抜きにしても互いに重すぎる感情抱いているもんなぁ
正直ここまで幼馴染ヒロインが勝利してほしいと思ったのは初めて - 129122/10/05(水) 20:55:45
──────
「……何とか撒いたか」
「何かいっぱいいるなァ!あれ全部ウタが出してんのか?」
呑気なもんだ、ついさっきまで追われてたってのに。
ウタの態度も分からねェが、コイツもコイツで何なんだ?
自分の仲間が捕まってるってのに、ウタに対する敵意を一切感じねェ。どうなってやがる?
「けんど、早いとこ何処かに身を隠さねェとここもじきに見つかっちまうべ。
しかし見事に廃墟ばっかだべなァ。これなら隠れるところを探すのに苦労は……」
「君たち」 - 130122/10/05(水) 21:07:16
その男に促され、おれ達は朽ちかけた聖堂に身を隠した。
所々崩れかかってはいるが、外の音はほとんど聞こえない。よほど防音設備がしっかりしているらしいな。
「ふう、助かったべ」
「おっさん誰だ?」
「……私は、かつてこの国『エレジア』を治めていたゴードンという者だ」
治めていた……国王だったか。通りで格好の割に気品を感じたワケだ。
「国って、この島建物はあっても人っ子一人いねェべ?」
バリア屋の疑念も無理はねェ。確かに廃墟だらけの街の中には人の生活してた形跡なんて何処にも残っていなかった。
ただ、昔こんな話を聞いたことがある。
「いや、かつてエレジアは世界一の音楽の都として栄えていたはずだ。
……ある日一夜にして全て消え去るまではな」 - 131122/10/05(水) 21:13:53
「一晩で国が消えたって、どういうことだべ?」
「ある大物海賊に襲われたって噂だが……」
「………………」
……聞き齧った知識だけで語られてもいい気分はしねェか。
第一おれもそこまで詳しくは知らないしな。
「……おれが知ってるのはここまでだ。あとは当人の方が詳しいハズだ」
「……ああ。
ウタの話をしよう」 - 132122/10/05(水) 21:21:40
「国民がいなくなったエレジアで、ウタは私が育てた」
「おっさんが!?」
まあ、そうだろうな。普通に考えて滅んだ国で一人で暮らせるはずがねェ。
そもそも何故滅んだ国にいるのかが分からねェが……
「じゃあ、ウタはここでシャンクスの船を降りたってことか!?」
「そうだ」
「歌手になるためって聞いたぞ?なのにこんなボロボロの国で降りたのか?
それにおっさん一人しかいなかったんだろ?そんなのウタが……」
「……えらく食いつくな、麦わら屋」
「ん……?
……あ、あァ悪りィ、話の邪魔した」
……何なんださっきから。
こんなに人の過去を根掘り葉掘り聞くような奴だったか? - 133122/10/05(水) 21:39:08
「……歌手になるためにこの国で船を降りたのは本当だ。シャンクスから確かに託された。
例え滅んでも私は音楽の都の王だった男だ。彼女を世界一の歌い手にするために私は心血を注ぐ覚悟だった……」
「そんなすげェ人が教えたってんなら、今のウタ様の人気も納得だべなァ。ウタ様の歌さすげェべよ」
「おっさんのお陰でウタは人気者になれたんだな、ありがとう!」
……どうも調子が狂うな。
何かがいつもと違う。
「……いや。ウタは元々、天からの贈り物と呼ぶにふさわしい素晴らしい歌声を持っていた。
私がしたことなど、少しの歌い方の指導と、作詞や作曲の指導。あとは身の回りの世話ぐらいだ」 - 134122/10/05(水) 21:44:22
「あいつ、昔っから歌はめちゃくちゃ上手かったもんなァ」
「そう言えば、お前の昔馴染みだったか」
「あァ。もちろんおれの歌だって負けてねェけどな!聞くか?」
「いらねェ」
「ゴードンさん、話の続きを頼むべ」
「……だが、私と二人きりでの生活はきっと寂しかったことだろう。
ウタは優しい子だ。私に気を遣わせないよう、私の前では気丈に振る舞っていたが……
一人になるといつも仲間達との思い出の歌を口ずさんでいた……」
「思い出の歌か……おれも好きだったな、その曲」
「そんなウタを励ますように私は育ててきたが……
私は、音楽以外を彼女に与えることが(チャンチャカチャカチャカスッテンテン♪)
…………」
「……チッ」
「スンマセン」 - 135122/10/05(水) 21:58:35
「ともかく、ウタ様が今のルフィ先輩を知らないってことは本当みたいだべ。
というより、聞く限りはルフィ先輩に限らずそもそも外の世界を殆ど知らなさそうな感じだったべなァ。
そんな環境で、どうやってウタ様は配信を始めたんだべ?」
「確かに、今のエレジアにまともなインフラが整備されてるとも思えねェ。島の外への発信なんて尚更だ。
いくら歌が上手くても、聞いてもらえなきゃ意味がねェだろ。何かキッカケがあったのか?」
「……ああ、意外な形でな。
それは2年ほど前のことだった……」
……嬉しい話のハズだってのに、表情が曇ったな。
ここに何かヒントがあるか?ちゃんと聞いておくか。 - 136122/10/05(水) 23:23:53
「2年前といやァ、ちょうどウタ様の初配信の時期ぐらいだべ」
「今君達がウタの歌を聴いているのは映像電伝虫を通してだろう?あれは新種の映像電伝虫によるものだ。
音声と映像を不特定多数へ届けることができる代物だった。それを偶然手に入れたウタがどうしたかは、君達ももう知っているだろう……」
「歌の配信を始めた……か」
「ああ。ウタは解き放たれたように、自分の歌声を外に向けて発信するようになった。
ウタの歌声は人々を魅了し、まるで世界を覆い尽くすように瞬く間に広まっていった……」
「そっから先はおれ達も知ってる部分だべ。その新種の映像電伝虫とやらには、おれ達も感謝しねェとなァ」
「……初めは本当に歌を聴いてもらいたくて配信をしていただけだ。時々ダンスもしたり、島の風景を見せながら歌ったりもしていた。
あの頃のウタは本当に楽しそうだった。私もようやくウタに笑顔が戻ったとホッとしたものだ。
……だが…………」
「…………?」 - 137122/10/05(水) 23:30:51
そこから先の話を聞いて、この男が浮かない顔をしていた理由が分かった。
要するに、ウタは民衆から『救世主』だと祀り上げられてるらしい。
歌を聴いている間だけは、辛さも苦しみも忘れることが出来る。そんな連中が崇め始めて、あれよあれよと救世主の完成だ。
あの海賊嫌いも、大方その民衆の辛さや苦しみの原因の殆どが今のこの『大海賊時代』によるものだと思い込んでいるから、ってところか。
まァそれに関しては否定できないしするつもりもねェがな。海賊から見たって酷い時代には違いねェ。
だが仮に何とかしようと思い立ったところで、人間一人に出来ることなんざたかが知れてる。すぐに潰されて終わりのはずだ。
……解せない点がいくつかある。
この男も意図的にまだ何か隠してそうだ。 - 138122/10/05(水) 23:35:01
「なァ、ウタが言ってるそのきゅーせーしゅって何だ?」
「べ?何と言われると何と言えばいいのか……
ンー、ヒーローみたいなもんだべか?」
「ヒーロー?そうなのかトラ男?」
「文字に起こせば分かるが、世を救う主。まあ間違ってはないな」
おれがそう答えると、麦わら屋の顔が少し曇ったような気がした。
今の問答の何が気に食わなかったんだ?
「……おっさん、ウタはそのきゅーせーしゅってやつに自分からなりたがったのか?」
「……本心はウタにしか分からないが……少なくとも、なると決断したのはウタ自身だ」
「…………」 - 139二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 02:37:33
小説版がかなり欲しくなる
- 140122/10/06(木) 06:42:17
「……こんなことを頼める義理はないと分かっているんだが……
頼む!ウタの計画を止めてくれ!まだ間に合う、ウタの友人だったルフィ君なら出来るハズだ!」
「計画というのは、このライブのことか?」
「それは(チャンチャカチャカチャカスッテンテン♪)
…………」
「……ベポ!!いい加減に……」
♪♪♪♪♪
「…………?」
「あちょーーー!!?」
は?
「ベポーーーー!!!!?」
「くまーーーー!!!!?」 - 141二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 06:59:02
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- 142122/10/06(木) 12:36:39
──────
見つけたよ、ルフィ。
やっぱり、他にも仲間がいたんだね。
……あれ?
「ウタ……」
「……ゴードン、なんで海賊と一緒にいるの」
ゴードンが匿ってたの?
私が海賊嫌いだって知ってるハズなのに。
「ウタ!」
「え」
ルフィが歩み出てきた。
今更何を言うつもり……
「ウタ、やっぱお前すげェんだな!」 - 143122/10/06(木) 12:41:49
「……え?」
な、何……言ってるの?
「昔っから歌上手かったのにもっと上手くなってるしよ!あそこにいた奴らだけじゃなくて、世界中の奴らがウタの歌聞いてんだろ?」
「う、うん、まぁ……そうかな?」
「それにさっき戦った時もすげェ強くなってたしな!あ、でもおれはまだ負けてねェぞ!」
「え、えーと……ま、負け惜しみ〜?」
(……何か、満更でもなさそうだべ)
(黙ってろ、下手に口を出すな)
何急に。今そんな雰囲気じゃなかったじゃん。
またそうやって私の心を掻き乱すの?
それとも、本心? - 144122/10/06(木) 12:46:57
って、乱されちゃダメだ。
本心でも何でも関係ない。
私はルフィに海賊をやめさせなきゃいけないんだ。
『新時代』に、ルフィも一緒に行くんだ。
「あとお前!!おれの仲間返せよ!!捕まってるだけだから大丈夫だろうけど!!」
「……ダメだよ。返さない。
ルフィ、私は怒ってるんだよ。ルフィが海賊だって言うから……」
「お前なんでそんな海賊嫌いになったんだ?昔は好きだったのによー。
赤髪海賊団の音楽家だって言ってたじゃねェか。シャンクスの船には戻らねェのか?」
………………は? - 145122/10/06(木) 12:51:27
「…………」
なんで……今、シャンクスの名前を出すの。
「……るさい」
「あ?」
私がどんな気持ちだったかも知らないで……
「もうシャンクスの話は……!!」
……知るわけないか。
「やめて───っ!!!!」 - 146122/10/06(木) 13:22:35
「うおわァ!!?」
「グワァ!!」
何がルフィを縛ってるの?
ワンピース?海賊王?
それとも、この帽子?
「ねえルフィ。ワンピースとか海賊王とか、シャンクスの帽子とか、くだらないものは全部捨ててさ……」
「おい!!ふざけすぎだウタ!!」
ふざけてないよ。私は本気。
音符でぐるぐるに縛ったのに、まだそんなに元気があるんだね。
「美味しいもの食べて、チキンレースとか腕相撲とかやってさ。昔みたいに……」
「帽子返せ!!シャンクスの帽子!!!」
……ちょっとぐらい聞いてよ。 - 147122/10/06(木) 13:28:47
ルフィもそうなの?
私を置いて行ったアイツらみたいに、ルフィも離れて行っちゃうの?
「……わかった」
ルフィがいてもいなくても、私は新時代を作る。それは変わらない。
…………でも。
「……ルフィ、あんた新時代には……」
せっかく会えたのに。
置いて行かないでよ。
もう置いて行かれるのは嫌なの。
……それでも置いていくって言うんなら……
……もう、ルフィなんて。
「どうしちまったんだよ……ウタ……」 - 148122/10/06(木) 13:33:49
……何その顔。
さっきまでとはまるで違う、怒りの感情が全然無い声。
困惑なのか哀しみなのか、何なのかわからないけど。
何にしても、ルフィからは向けられたくなかった感情だ。
もういいよ。これ以上私の覚悟を乱さないでよ。
もう、ルフィなんて……
ルフィなんて…………
「……あんたは、新時代には…………」
『いらない』
……そのたった4文字が、とうとう口から出てこなかった。 - 149二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:09:52
続きは…
- 150222/10/06(木) 21:54:24
保守
- 151122/10/06(木) 23:11:58
──────
「出せー!!帽子を取り戻すんだ!!」
「黙れ!!それが出来ないからお前をこの中に入れてんだ!!」
間一髪で逃げ出せた。
縮んじまったベポとは逸れちまったが……どうにかして後で回収しねェと。
麦わら屋にはバリア屋のバリアの中で大人しく(?)してもらってる。
こうでもしねェとすぐにでもウタのところに飛んで行きそうだ。
「でも、逃げてばっかじゃあ…」
「このままじゃジリ貧なことぐらい分かってる。こっちからも手を打つぞ」 - 152二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 06:21:31
保守
- 153寝落ちした22/10/07(金) 08:36:39
「どうするんだべ?」
「このまま島の反対側から港に出る。ライブ会場には海軍や諜報機関の連中もいた」
「それがどうしたんだべ」
「恐らくだが、世界政府や海軍はずっと前からウタの能力に目をつけていた。ヤツを危険視していたってことだろう」
「じゃあ偵察に来てたってことだべか。
……何かムカつくべ、ウタ様をそんな目で見てるなんて」
「呑気なこと言ってる場合か。もうお前も分かってるだろ、ウタの能力は明らかに異質だ。危険視されるのも無理はねェ。
そんな海軍が丸腰で来るとも思えねェ。ウタの能力と大方知っているだろう。
港で誰か適当に捕まえて吐かせれば何か掴めるはずだ。それが狙いだ……
…………」 - 154122/10/07(金) 08:43:23
「ん?どうしたべトラファルガー」
「……いや、ウタの態度についてだ。どうにも引っかかる」
「引っかかる?」
「さっきもそうだったが、おれやお前がこいつの逃亡を手助けしてるっていうのに、ヤツはおれ達のことはほとんど眼中になかった。
ほぼ麦わら屋しか見えてなかっただろう。しかも正気の目じゃなかった」
「確かに、おれ達とは目すら合わなかったべなァ」
「あいつそんなにおれのこと見てたか?」
「ルフィ先輩気づいてなかったんだべか?ゴードンさんと喋ってた時以外はほぼずーっとルフィ先輩見てたべよ」
「そもそもお前としか話してなかっただろ。さっきも言ったように、おれ達は眼中にすらなかった。
それより麦わら屋、お前もお前だ。何故少しも反撃しようとしない?」 - 155122/10/07(金) 08:50:21
「…………おれのパンチはピストルより強えェからなァ」
「は?」
「………………」
……話にならねェ。相手が昔馴染みってだけでこうも腑抜けになるか?
もういい、それよりウタだ。ヤツが麦わら屋を狙う理由は何だ?
この馬鹿げた能力のカラクリを解く鍵を麦わら屋が持っている?いや、それならもっと最初から消しにくるはずだ。
何か消せない理由があるのか?それとも……
「……なァトラファルガー、おめェさっきから色々ぶつぶつ考えこんでるけども……」
「?」
「おれはこう、もっと単純な話じゃねェかと思うんだべ」
「どういうことだ?」
「ルフィ先輩に惚れてんじゃねェか?ウタ様は」 - 156122/10/07(金) 08:55:26
「……は?」
「いやァ、ウタ様もお年頃の乙女だべ、恋愛の一つや二つに憧れててもおかしくはないべ。ゴードンさんと島に2人っきりだったとすりゃあ尚更だべ。
しかもいつかの企画で書いてあったウタ様の好きな人のタイプ!ありゃあきっとルフィ先輩の……」
「何言ってんだロメ男?」
「つまり、ウタ様はルフィ先輩のことが好きってことだべ」
「ウタが?
……おれを?」
何を言い出すかと思えば……
……だが、辻褄は合う……
ウタが麦わら屋に執着するも、手を出さない理由も……
成程な。盲点だった。 - 157二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 08:57:18
このレスは削除されています
- 158二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 09:04:21
素晴らしいべ
- 159122/10/07(金) 09:07:04
「問題は、仮にそれが事実だったとして現状の解決にはなり得ないところだ」
「だべなァ……もう一度冷静な状態で話し合いでもしてくれれば……」
「薄い望みだな。ともかく、能力のカラクリが分からねェことには……
そういえば、お前は何か知らねェのか麦わら屋」
「………………」
「……ルフィ先輩?」
「……ん?おお、悪りィ。何か言ったか?」
「……ハァ、もういい。海軍に吐かせたほうが早そう……
ってそっちじゃない!!!」
「ん?」
\な〜〜〜〜っ!!?/ - 160二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 12:49:15
あげるべ
- 161二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 14:55:16
よくやった!ロメオ
- 162二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 15:18:09
それはそれとして落ちるべ
- 163122/10/07(金) 17:27:38
──────
逃げたルフィ達は一先ずファンのみんなに任せた。
いろんな能力があるんだね。どうでもいいけど。
「ねえゴードン、怒ってる?相談もせずに勝手にライブ開いたこと」
「……ただのライブじゃないんだろう?」
「……気づいてたんだ。なら応援してくれるよね?」
「私は……私は……っ」
「………………」
いつもそうだ。
すぐ言葉に詰まる。ゴードンの悪い癖だよ。 - 164122/10/07(金) 17:33:21
「そうやって逃げるんだ。気楽でいいよね」
「私は、お前にこんなことをしてほしくはない!だが……」
へえ、応援してくれないんだ。
じゃあいいや。
「えい」
「ぐお!?」
ゴードンも歌にしてあげた。
海賊と同じっていうのは、ちょっとかわいそうかな? - 165122/10/07(金) 17:37:36
「しばらくそこにいてね。安心して、ちゃんとゴードンも連れて行ってあげるから」
「海軍や世界政府が黙っていないぞ……!!」
……心配してくれてるのは分かってる。ゴードンは優しいからね。
実際、『外の世界』は何だか騒がしくなってきた。邪魔しないでって言ったのに。
でも……
「大丈夫、これがあるから」
「!! まさか……トットムジカ……!!?」
ゴードンの顔色が変わった。当然だよね。 - 166122/10/07(金) 17:43:15
「私知ってたんだ。お城の地下に隠してあることをね」
使えばどうなるかってことも。
どうすれば使えるかってことも。
……誰が使えるのかってことも。
「どうして捨てなかったの?
もしかしたら貴方にも、新時代の理想があったのかしら?」
……なんて、意地悪か質問かな。
どんな楽譜でも、音楽を愛する国の王様がそれを捨てられないことぐらい…… - 167二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:43:16
- 168二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:44:39
この辺が…?
- 169二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:46:44
- 170122/10/07(金) 17:50:57
「ウタ……それは使ってはいけない……!!」
「大丈夫。使うのは本当に最後の最後だけだから」
ゴードンに免じて、できれば使わないようにしよう。
……まだ私自身も、使う勇気あんまりないし。
「じゃあ私行くね。次に会うのは新時代を迎えてからかな?」
「……ウタ……
…………一つだけ、教えてくれないか……」 - 171122/10/07(金) 17:57:19
「何?」
「……ルフィ君だ」
「ルフィ?」
なんで今ルフィの名前が出てくるんだろう。
そういえば、さっきは何の話してたのかな。
「ルフィ君にとって、ウタが大切な友人だということはよく分かった。
ウタにとってもそうなんだろう?ルフィ君は……」
「……まあね。『友達』だよ」
「何故、ルフィ君を付け狙うんだ?彼は一体……」 - 172二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 18:01:56
タイミングズレただけでベポが縮んだとことか大玉転がしとかじゃね?
- 173122/10/07(金) 18:03:42
何故狙う?
なんでだろう?
ルフィと離れたくないから。
ルフィに置いていかれたくないから。
ルフィも新時代に来て欲しいから。
ルフィは新時代にいらないから。
新時代に来てくれないルフィなんていらないから。
ルフィが──だから。
ルフィ。ルフィ。ルフィ。
「…………あはは」
自分で自分が怖くなった。
なんでこんなに心がルフィでいっぱいになってるんだろう。
私は新時代を作らなきゃいけないのに。 - 174122/10/07(金) 18:09:18
「…………?」
「ごめんねゴードン。自分でもよく分かんないや」
「……そうか」
「でもね……」
「でも?」
「今なら私、とびっきりのラブソングを書けそうな気がするよ」
……そろそろ行かなきゃ。
歌になったゴードンの声は、もう聞こえなかった。 - 175二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:48:56
今すぐそのラブソングを書いてルフィに聞かせるんだよ
- 176二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 23:09:32
頼むルフィ…!
- 177二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 23:47:44
あげるべ
- 178二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 06:35:12
- 179二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 12:13:47
保守
- 180二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 13:33:33
助けてやってくれルフィ…!
- 181122/10/08(土) 13:34:44
──────
『外の世界』は騒がしかったけど、また大人しくしてもらった。
『ウタカタララバイ』は子守唄。ほら、海軍のみんなもおいでよ。
でも海軍も世界政府も、なんで分かってくれないんだろ?
私はみんなを幸せにしたいだけなのに。
ウタワールドなら、誰でも平和で自由に暮らせる。私が何でも叶えてあげられる。
それってすっごく素敵じゃない?
私があとちょっと頑張ればそれを実現できるんだから、もうちょっと見てて欲しいな。
……でもやっぱり、このキノコ美味しくないなぁ。 - 182122/10/08(土) 13:41:24
今の時点でどれぐらいの人が聞いてくれてるんだろう。
世界中全員は流石に無理だろうけど……
終わるまでには半分……ううん、7割ぐらいには届けたいな。
私ならできるはず。だって私『世界の歌姫』だよ?
……その7割の中に、アイツらは、多分いない。
いるかもしれないけど、多分私には会いに来ない。
捨てた娘の歌なんて、今更……
……もし来られ、来て、来てくれ、たら……
……私、どんな顔すればいいんだろう。 - 183122/10/08(土) 13:48:58
……なんて。
誰が来たって、今更私がやることは変わらない。もう引き返せないんだ。
なんでこんなこと考えちゃったんだろう?
……ルフィのせいかな?
ルフィが好き放題私の心を掻き回してくれたから、変なこと考えちゃったんだよね?
それなのにルフィってば、私の話を聞こうともしないで、逃げ回ってばかりで……
……酷いね、ルフィ。
…………そうだ。いいこと考えた。
向こうのルフィが言うこと聞いてくれなくても……
『こっち』のルフィをどうにかしちゃえば、済む話なんだ。
「…………♪」 - 184122/10/08(土) 13:53:26
現時点で原作の半分すら到達してないことに心が折れかけ
念のため残しておいたここまでの投稿分を誤タップで全て吹っ飛ばしてしまってまた心が折れかけております
何かいい保存方法ねェかな - 185二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 13:58:46
めんどいけど、投稿した分をコピーして貼付けする、とかどうでしょうか。
- 186二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:01:31
- 187二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:02:47
Wordに書き溜めてそれををpdfにするとか……?
- 188二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:24:46
今時のワードならある程度自動保存してくれなかったっけ?
- 189122/10/08(土) 14:29:04
スマホで書いてるからメモアプリに保存してたんすがね…
- 190二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:32:28
スマホならいっそのこと書いたものをメールとして自分に送るとかもアリかも
- 191二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 19:35:54
保守
- 192122/10/08(土) 20:26:01
- 193二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 20:27:13
縦乙です!ありがとうございます!
- 194二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 21:41:35
こっちは埋めときましょうかね
- 195二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 21:42:57
part2にss投稿されてるし適当に埋めちゃっていい?
- 196二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 21:43:14
う
- 197二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:20:59
うめ
- 198二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:21:17
埋め
- 199二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:21:42
作者さんpart2も応援してます
- 200二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:22:06
part2に続く…