- 1二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:24:31
トットムジカは倒された。ルフィやシャンクスたちの奮闘で、私はトットムジカから解放された。
でも、みんなはトットムジカに心を取り込まれてしまった。みんな操られたままだ。
シャンクスが解毒薬を飲むように言っているけど・・・自分のやったことには責任を取らなきゃだめだ。もう、これ以上罪を抱えて生きていたくはない。もう、逃げさせてほしい。
私は薬瓶を払い除けた。瓶は宙を舞い、地面に落ちる───ことはなかった。 - 2二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:30:00
薬瓶を受け止めたのは、誰でもない。私が殺そうとして、傷つけて、でも、私を助けてくれた。
「ルフィ...？」
なぜルフィだけは目覚めているのか、そう思って顔を見たが目を閉じたまま。意識は戻っていない。
それでも薬瓶を受け止めて、手に持っている。
なぜ....？
今は考えてる暇はない、とにかく歌わなくちゃ──────後ろから温もりを感じた。
シャンクスのものじゃない。両腕が私を引き留めてる。なんで？なんで、私を止めるの？私が歌わなきゃ、みんなが解放されない。
「離してよ.....ルフィ...っ！！」 - 3二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:30:53
ほぅ……続けて
- 4二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:33:54
完全に無意識のはずなのに、分かるはずもないのに。必死に私を引き止めようとしてくる。薬瓶を差し出して飲んでくれと言ってるかのよう。
「やめて...っ」
手を払い除ける力ももう残ってない。歌わなくちゃ、みんなを戻さなくちゃいけないのに。そして──────逃げたい。
なのにどうして、ルフィは....
───────肩に冷たさを感じた - 5二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:39:25
雨はもう上がってる。肩が濡れたことの理由なんてひとつしかない。
ただ、私を抱きしめてる男の子が泣いているだけだ。眠ってるはずなのに、なんでだろう。なんで私を止めるの？何で泣いてるの？
ああ、そっか。───────寂しいのは、あなたも一緒か、ルフィ。
理解した瞬間、逃げる事は頭から消えた。
人は心、新時代は精神で生きるもの、その考えは変わってない。でも、私が消え去ったら、ルフィはどう思うんだろう。きっと、心に大きな傷を残す。胸にできた大きな傷、一生消えないもの。
だから、私は逃げる事をやめた。 - 6二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:45:23
残り時間は限られてる。さあ、早く歌い上げろ。
救世主なんだろう私は。
「信じられる？信じられる？」
体の力が抜けていく。でも、最後まで歌うんだ。ルフィは無意識で私を止めたんだ。私だって同じ事をやらなきゃ──────185連敗はごめんだ。
「暁の輝く今日に」
瞼が閉じる。体が崩れ落ちる。...でも、みんなを解放できた。ルフィ、ありがとう。
シャンクス、ごめんね - 7二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:47:18
その日、世界の歌姫は瞑目した。
- 8二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:52:19
「....ウタは？シャンクスたちは？」
サニー号船上。麦わらのルフィはようやく目を覚ました。
「ようやくお目覚めか、よく寝てたな。」
「シャンクスたちならほら、あそこに」
ルフィがそこから見ると、レッドフォース号が見えた。その厳かな雰囲気から何かを察したルフィは、甲板に戻った。
「いや、いいんだ。今会ったら約束が違うから......」
ルフィは、ただそう呟いた。
「でも...」 - 9二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 05:58:17
「ウタと仲直りできなかったなァ......お別れも言えてねェ。」
「この船に乗ってるんだからそんなの言うわけないでしょルフィ。」
- 10二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:01:02
ヨシ！！
- 11二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:04:52
まるで幽霊でも見たかのように驚いてるルフィ。そういえば、こうして生身同士で喋るのは12年ぶりなのかぁ。
でも、私がどれだけ大切に思われてるかは理解できた。
───────────────逃げなくてよかった。
あの時、薬を飲んだ。効き始めるまでには時間差がある。その時間をなんとか歌い上げたのだ。最後は眠気に逆らいながら。
だから、なんとか助かった。目覚めた後は、シャンクスたちと話し合って決めた。
ルフィの船に乗せてもらう事。もちろんダメって言われる事は承知の上。
起きてきたルフィの仲間たちに、地面に頭を擦り付けてお願いした。 - 12二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:15:35
しゃあああ！！
- 13二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:20:32
罵倒されることは承知の上。その場で斬られたって文句は言えない。でも、どうしてルフィと一緒にいたかった。
いたくなってしまった。
長鼻くんとタヌキくんは単純に喜んでた。オレンジ髪のお姉さんと魚人のおじさんは困惑してた。
金髪ぐる眉のお兄さんは「レディはこんなことしちゃいけねェ！」と怒ってた。
幽霊？はオレンジ髪のお姉さんに殴られてた。
黒髪のお姉さんはどこか別の方向を見てた。
緑髪の剣士さんは、私を睨みつけた。
『お前が何をしようとしたか分かってるのか。』
『分かってるつもりです....！！世界のみんなを閉じ込めて、自由を奪おうとして....ルフィを悲しませました。.....もう二度としません、絶対に』
『お前がやろうとした事はそんな土下座ひとつじゃすまねェ......だが、世間の奴らに償う必要はねェと思ってる。あいつらが勝手にお前を祭り上げただけ、お前は世間知らずなだけだ。』
『でも私は...』
『だが！うちの船長に関しては別だ。あいつにとって誰かを失う事ってのは、ルフィ自身が傷つくより重い事だ。
──────幼馴染を失う辛さなんて、あいつに味わわせるな........！！！！！』
声はとても震えていた。涙こそ流してはいないが、泣いてる事くらい『声』を聞けばすぐに分かった。
自分の罪深さを改めて理解した。やっぱり、ダメだよね....
『...だから、お前を船員として迎える。船長のそばで、船長を傷つけようとした罪を償え。』 - 14二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:27:34
「ってわけで......これからルフィの船でお世話になります！麦わらの一味の“歌姫”ウタだよ！！」
「う、うう... ウ゛タ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！゛！゛！゛！゛！゛」
「きゃっ」
説明を終えるや否や、凄い勢いで飛びついてきた。やっぱり変わってないなぁこういうところは。
「もう、そんなに泣かないでよ...男でしょ？私より身長も高くなってるんだから！」
「お、おれ、おれ......」
強く抱きしめられ、全身に温もりを感じる。耳元にも、ルフィの声を感じる。
本当に、逃げなくて、生きててよかった。
これからは、一緒にいようね。そして─────
「その帽子がもっと似合う男になるのを、見届けさせてね。」
「ん、なんか言ったか？」
「ううん、何も。」 - 15二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:28:07
- 16二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:28:34
無意識下でウタを助けるルフィのSSをくれー
- 17二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:28:58
もう書いてある‼︎
アンタスゲェなぁ‼︎ - 18二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:30:05
先ず隗より始め……始まってた！
スゲェ！ - 19二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:30:33
朝からいいもの読めた！ありがとう！！
- 20二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:35:02
すばらしい…
いい話をありがとう - 21二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 06:35:07
- 22二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:11:38
もう書いてありますぞゲダツ様！
- 23二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:14:35
ルフィは眠りながら肉食える男だ！！
眠りながらウタ助けるのも理論上は可能なはずだ！ - 24二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:19:33
もう書いてますゲダツ様！ありがとう！！
- 25二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 08:25:34
🐲🍢語り継がれる…
- 26スレ主22/10/02(日) 13:25:37
もっとこう、骨組みをしっかりして肉付けもしたいんだけど、具体的にいうと50レスくらいまでもたせたいけど、うまくいかないので改良版を誰かが出してくれることを期待してる
- 27二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 13:31:23
素晴らしい…
- 28二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 13:31:53
語り継がなきゃ……(使命感
- 29二次元好きの匿名さん22/10/02(日) 22:42:31
良いSSだ…感謝する…
- 30二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 09:31:43
ほしゅ
- 31二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 18:37:30
保守
- 32二次元好きの匿名さん22/10/03(月) 23:11:03
ほしゅ