【閲覧注意】ハートのクルーにファンサするトラ男概念

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:16:07

    めんどくさくなったらファンサで全てをうやむやにするトラ男の話です

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:16:56

    【case1】
    その日はでんでん虫が鳴り止まなかった。
    受話器を取ってもどこにも繋がらない。不思議に思いながら受話器を戻すと再びプルプル鳴き始める。
    それならばと外したままにしていても暫くすればコール音が鳴り響く。
    考えられるのは二つ。取りつけた機械が故障しているか、本体の体調が悪いか。
    隅々まで検査してみても結果はオールクリーン。なんの問題もない。
    どうしたものかと途方に暮れた頃、ブツッ、という音を皮切りにでんでん虫は鳴き止んだ。安心して息をつく。
    しかし静寂は長く続かなかった。
    受話器からザァザァ砂嵐が流れ出す。受話器は正しい位置に置かれたままなのに。は?とこぼれた声はけたたましい雑音に飲まれて消えた。
    でんでん虫は誰の顔も映さなかった。なにか言いたそうに口がはくはくと動き、黒目が白っぽく濁り出す。呆然とそれを眺めていると、ふとあることに気づいた。──口の動きに規則性がある。
    あれはなにか言いたそうにしているのではなく、既になにかしらの言葉を紡いでいるのだ。同じ言葉を、延々と繰り返して。
    固まった脳みそはそれでも無意識に口の動きを読み取ろうとした。知らない女の声が脳内に響く。

               す


     き
          ま
       に

             い

         る

    瞬間、でんでん虫がパッと姿を消した。

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:17:03

    最終手段ガルチュー

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:17:19

    代わりに現れたのは一枚のコインだった。──キャプテンだ。バッと船長室の方角を向く。砂嵐は聞こえない。
    は?え?と混乱していれば今度はコインと入れ替わる形でキャプテンが現れた。右手にはでんでん虫が乗っていて、甘えるようにタトゥーだらけの指先に擦り寄っている。故障だか不調だか知らないが、とりあえず直った/治ったらしい。
    なにがあったんですか。
    なにをしたんですか。
    あれはなんですか。
    聞きたいことはいくつもあった。けれどそれらを口にするより早くキャプテンが動く。

    「……内緒だ」

    しぃー、と口元に人差し指を当てながらキャプテンは悪い男の顔をした。すごくかっこよかった。

    今のもう一回やって!!!!!とせがんだが無視された。無念。

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:17:44

    投げキッスしたり指ハートしてみたりするトラ男は可愛い

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:18:41

    【case2】
    倉庫を掃除していると見覚えのないビブルカードが出てきた。
    手のひらサイズのそれはやや草臥れていたが燃えることなく焦げることなく静かに佇んでいる。
    誰のビブルカードだろうか。
    いくら考えようとも心当たりはなく、なんとなしに電灯に透かしてみた。
    これが誰のものにせよ貴重品が投げ捨てられるようにして倉庫に放置されていたと知ったらキャプテンは怒るかもしれない。
    叱られるのは嫌だなーと思いながらカードを眺める。
    よくよく観察してみれば隅に文字が刻まれているようだった。擦り切れていて読みにくいが恐らくは人名が綴られていたのだろう。これを読み解けば誰のものかわかるかもしれない。じっと目を凝らそうとして、

    「悪ィな、おれの客だ」

    背後から聞き慣れた声が走った。
    キャプテン?と驚く間もなく目元を覆い隠され、手のひらからビブルカードが取り上げられる。

    「あの、キャプテン?」
    「目が合ったか?」
    「は???なんの話っすか???」

    日頃から「質問を質問で返すな」と言うくせに自分は平気で聞き返すのだからキャプテンは理不尽だと思う。
    なにも教えてくれないまま「ならいい」と会話を打ち切るのもどうかと思う。
    目元を覆っていた手のひらはあっさりと退けられた。
    ひとまず軽くブーイング飛ばしてから何事か問いただそう。そう決意し背後を振り返る。
    キャプテンは死ぬほど不本意そうな渋顔を作ってから──薄く微笑んで片目をぱちりと閉じた。

    「えっ!!ウィンク!?今のウィンク!?お願いキャプテンもっかいやって後生だから!!!!!」
    「寝言は寝て言え」

    何度ねだってもキャプテンはしてくれなかった。でもいいもん見たなぁと思った。

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:20:05

    ホラーならホラーって言えよ!
    怖いだろ!

  • 8二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:20:37

    クルーにはウインクも投げキッスもしてくれるトラ男!?!?!?

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:21:22

    クルーが怪異と目を合わせないようにクルーの目を自分に集中させるためファンサするトラ男か…

  • 10二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:23:16

    【case3】
    よぉジャンバール!

    朝メシ食ったか?うちの方針は「健康第一」だ。しっかり食えよ。キャプテンの無茶ぶりに応えるためにも体力つけて備えとかねェとな。

    うちのキャプテンはワガママな人だぜ?
    マイペースだし、好き嫌いは多いし、健康管理はしっかりしろって言うくせに自分は徹夜で医学書読んでるし。マ、あの人が体調崩すところなんか見たことないけどさ。
    しかもすぐおれらのことを置いていくんだよな。ふつう放浪癖って船長が持ってていい癖じゃなくね?
    けどあのプライドの高いキャプテンに「船は任せた」と言われたらもう「アイアイキャプテン!」と返すしかねェんだわ。これは仕方ねェことだろ。たぶん。
    いやだってあの人あんな警戒心強いくせに当たり前みてェにおれらのこと信頼してっからさ。やっぱクルーとしては応えたくなるじゃん。
    それにちゃんと帰ってくる気あるなら、まァ、ちょっとくらいはいいかって。

    そうそう。あの人たまに変なワガママ言うんだけどあんま気にすんなよ。
    あ?どんなワガママかって?
    あー……鬼哭を持たせてくるとか?鬼哭はあれだよ、あれ。キャプテンのデッケェ刀。お前も見たことあるだろ?
    自分で持たねェなら大抵ベポに持たせてるんだけどたまに「寝所に持ってけ」って渡されるんだ。
    理由?さぁな。誰が聞いても教えてくれねェよ。でも大した負担じゃねェしキャプテンが「……ダメか?」ってしょげてみせるから皆「アイアイ」って受け取ってる。ちょっとヒヤヒヤするけどな。ほら、鬼哭やたら長ェじゃん?どっかぶつけて傷つけちまいそうで怖い。
    持たされたところでなんかあるわけでもねェよ。
    夜寝る前にキャプテンに鬼哭を渡されて、ベッドの近くに置いたまま寝て、朝起きたらキャプテンに返す。これだけ。マ、新人からすりゃ変なルーティンだよなー。
    とりあえずうちの船にはそういう習慣があるってことだけ覚えときゃいいよ。ジャンバールもいつか鬼哭を預けられる日がくるかもしれねェし。

    ──そうそう、たまに朝起きたら鞘から刀が飛び出してることもあるけど気にしないでいいからな!

  • 11二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:23:33

    ウインクしてくれるキャプテン、いい・・・

  • 12二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:25:26

    怪奇現象が起きてもキャプテンのファンサで大抵は誤魔化されるハートの海賊団改めトラファルガー・ローファンクラブメンバーと、知らないで済むならそれに越したことはないという配慮+説明が面倒臭いという本音+負担をかけてると思わせたくない船長心が混在しているローによる、パンケーキみたいにふあふあなホラーでした
    ここまで読んでくれてありがとう
    続きができたら投稿します

  • 13二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:28:35

    鬼哭が妖刀なのも相まって人知れず怪異祓ってそうなトラ男だな
    陸に降りたときに変なの引っ掛けたクルーをジッ…と見つめて鬼哭渡されるの意味深過ぎてクルーがドギマギしそう
    でも「今はお前が持っとけ」って手渡しながらウインクか笑顔のファンサされたら「アイアイキャプテン!!」って鬼哭抱きしめそう

  • 14二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:32:06

    渋々ウィンクするトラ男は草

  • 15二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:32:45

    言いくるめるが難しい口が回るクルーにはガルチューで黙らせるんだな

  • 16二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:36:11

    鬼哭くん、物騒な名前の割に聞き分けがいいというか仕事ちゃんとしてくれそうなイメージがある

  • 17二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:44:10

    文句とかではない(閲覧注意ついてるし)けどクソビビりだから普通に怖かった
    トラ男のファンサというギャグがなかったら危なかった

  • 18二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:46:41

    これクルー達怪異に遭遇するの避けられてもキャプテンのファンサのせいで死人が出るくない?

  • 19二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:49:41

    まだよく分からないからもっと説明してくれ

  • 20二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:51:42

    >>19

    ヤバい怪異に遭遇してるクルーと、クルーにファンサして誤魔化してる隙に怪異を何とかしてるロー

  • 21二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:52:50

    >>20

    たぶん>>19の意訳は『もっとくれ』だと思うぞ

  • 22二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 22:52:53

    医者はそういう話に遭遇するのが多いと聞くが…

  • 23二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:19:26

    【case4】
    海図と睨み合いながら今後の予定を練っていたときのこと。
    なぜかはわからないけど白い影が窓の外を通り過ぎたような気がした。何人ものクルーが窓側へ顔を向けようとした瞬間、キャプテンがやけに甘ったるく囁いた。

    「お前ら、おれから目を離すんじゃねェよ」

    キャー♡と野太い悲鳴がいくつも上がった。

    窓の外から、カタン、と音がしたように思えたがやはり気のせいだろう。
    だって潜水中にここまで接近する生物がいたらとっくにアラートが鳴っているはずなのだから。

  • 24二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:21:28

    たぶん本当なら「いや、海図を見るんじゃねェの?」ってツッコむ場面だと思うよ
    この有り様だけど

  • 25二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:23:36

    野太い悲鳴草

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:30:24

    19/20が成人年齢超えた男だからな、間違っちゃいない>>野太い悲鳴

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:31:51

    ゆるゆるなホラーを書いたはいいけど肝心のファンサがないことに気づいた
    でもせっかくだから載せてしまおうね

  • 28二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:33:13

    ハートのクルーはファンサうちわ持ってるのがすごく似合う

  • 29二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:33:20

    【case5】
    雪の降る季節になるとあの子のことを思い出す。幼くして亡くなったかわいいあの子。おれのたった一人の弟。
    凍死だった。いや、餓死だったかもしれない。あるいは衰弱死だったかも。
    いずれにせよ弟は冷たい雪の中でその生涯を終えた。たった一人で。おれの知らないところで。
    貧しい国だったから庇護者のいない子どもが命を落とすのは決して珍しいことではない。その辺に転がる死体は明日の自分の姿だ。隙を見せたらすぐ死んでしまう。そういう場所だった。
    上陸した島の景色をぼんやり眺める。はらはら舞い散る雪に郷愁を煽られた。幸福な思い出など数えるほどしかないというのに。よほど腑抜けた面を晒していたのか、キャプテンから声がかかる。

    「……言いたくねェならそれでいい。だが溜め込みすぎるな。一分先の航路すら定かじゃねェ世界だ。足を掬われるぞ」

    こういうとき「大丈夫か?」と聞かないキャプテンが好きだった。大丈夫じゃないと知っていてくれるこの人が、全てを理解していながら目を逸らさないでいてくれるこの人が好きだった。
    わかりにくい優しさに触れ、胸の奥に仕舞っていた感情がごく自然に溢れ出す。

    「おれ、弟がいたんです」
    「…………そうか」
    「ちっちゃくて、いつも元気いっぱいで、どこへ行くのにもついてきたがって、」
    「……」
    「冷え切ったおれの手を取って『あたためてあげる!』と息巻いて。……自分だって寒くて寒くて仕方なかったくせに」
    「……いい弟じゃねェか」
    「ええ、本当に。おれにはもったいないくらいできた弟でした」
    「……」
    「やさしくて、ほんといい子で、っおれは弟がかわいくて仕方なかっ、ぅ、ぁああああ……」

    言葉にするともうダメだった。
    目の前の景色がぐにゃりと歪んで膝から崩れ落ちる。嗚咽が止まらない。
    にいちゃん、にいちゃん、と服の端を掴んでくる仕草がかわいかった。苦いものを口にするとすぐ涙目になるところがかわいかった。
    愛しかった。
    愛していた。
    それなのにあの子をたった一人で死なせてしまった。おれはどうして手を離してしまったのだろう。

    キャプテンは声にならない泣き声を上げるおれの背中を擦り続けてくれた。その優しさが嬉しくて嬉しくて──ただ痛かった。

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:33:48

    ※このクルーには実弟も義弟もいません

    キャプテンはそのことをちゃんと知っていました

  • 31二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:34:27

    >>30

    ヒェッ

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:34:27

    >>30

    怖ッ…

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:38:01

    殺伐としたあの世界の海には大量のナニカが渦巻いてる
    深海潜行するから引っ掛かりやすいんだ、きっと
    呪いと海にそこはなく

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:40:09

    面倒くさくなってファンサで誤魔化すキャプテンとファンサで誤魔化されるクルー大好きです。ありがとうございます。

  • 35二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:40:43

    スレ主です
    たくさんのハートとレスをありがとうございます。ここまで反応があるとは思っておらず驚きました
    眠気が上限を突破しつつあるのでそろそろ寝ます。拙い文章だったと思いますが読んでもらえて嬉しいです。ありがとうございました

  • 36二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:46:58

    >>35

    何処かに寄港する度に船員と船を塩や聖水で清める必要があるハートの海賊団乙です。

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:06:15

    このスレを開いた時点で想像してた内容とは全然違ったけど、これはこれで大変良いものであった

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:08:11

    ファンサしてくれるから笑えるのであってファンサないとただのホラーなんよ

    ローはめちゃくちゃ優しいけどさぁ…真相がちょっと怖すぎない…?

    >>29

  • 39二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:09:46

    トラ男とホラーの組み合わせは大変健康に良い

  • 40二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:11:13

    鬼哭は妖刀だけど魔除けの効果ありそうなの分かる

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:17:26

    怪異からクルーを守ってファンサするトラ男の概念ブッ刺さったからもっとやって欲しい

  • 42二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:18:37

    >>38

    これ、弟を亡くした幽霊がクルーに取り憑いたとかなのかな…

  • 43二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:25:38

    >>42

    妹を亡くしたローならわかってくれるかもと話聞いてほしくて船員についてきたのかもな

  • 44二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:29:52

    そもそもローに霊が見えそうなのがな、フレバンスで一人生き残ってるし
    死にいっぱい触れた分見えやすそうだし、それはそれとして守護霊いっぱい居そう
    鬼哭も名の通りで

  • 45二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 01:24:31

    ファンサするトラ男ってだけでもうじわじわくるのにクルーのためにわざわざやりたくもないファンサをしてるのがほんと草
    ドライ降りろ

  • 46二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 01:25:51

    ケース5すごい好き。クルーもキャプテンも優しいし悲しいホラーって感じ。

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 01:58:48

    この概念、個人的には漬物石くらいでかい一石なんだよな…
    怪異×ファンサは新しすぎる

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:02:06

    怪異に強いトラ男概念とても好きなので最高

  • 49二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:29:47

    妖刀鬼哭君を信頼して一晩クルーを預けてるキャプテンがすごく良い
    クルーも鬼哭君が鞘から飛び出してもあんまり気にしてなさそうなのはキャプテンの刀だし!って感じなんだろうか

  • 50二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:31:52

    >>44

    クルーに憑いてる幽霊は見えて自分に憑いてる守護霊(フレバンスみんなとかコラさん?)は見えないトラ男概念、すきです

  • 51二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:36:39

    このレスは削除されています

  • 52二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:43:39

    >>51

    pixivは直リンク非推奨だから読みたい人はタイトルの 地下室の鍵 で検索してな!

    リンクは踏むなよ!

  • 53二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:49:19

    >>52

    ぅえ、マジか削除しとくわ

    すんませんでした

  • 54二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 02:57:00

    >>47

    分かる

    その発想は無かった…!って


    めちゃくちゃ面白い

  • 55二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 12:38:31

    この世界線のトラ男、キャベンディッシュにファンサの仕方を教えてもらってる可能性があるな…

  • 56二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 12:56:44

    ハートクルーがいい奴らすぎる+ローが行くべき所を教えてくれるでクルーに取り憑く別に害意のない幽霊とかいそう
    成仏前にイケメンと話しとこ!なメンタルの幽霊いたら面白そう

  • 57二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 12:58:17

    怪異より生きた人間の方が怖いタイプのキャプテン

  • 58二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:41:33

    ガチガチのホラーにもギャグにも持っていけるおいしい設定だからこの概念を思いついたスレ主はもっと自分を誇っていい

  • 59二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 18:18:27

    pixiv作品のリンクってシリーズのリンクもダメな感じ?
    シリーズの一つがホラーなんだが
    ファンサしてないし後味が完全にホラー話の奴だからスレチだって言われたら諦める

  • 60二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:04:38

    スレ主です
    数時間後くらいに続きを載せていこうと思います

  • 61二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:32:17

    全裸待機

  • 62二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:43:09

    ローの人柄に惹かれてクルーに紛れ込んで傍に居ようとする怪異もいるかもしれん
    同じツナギを着て目元を隠した、けれど見覚えのないはずのひとが

  • 63二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:53:58

    続きあるのめっちゃ嬉しい!!!

  • 64二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 19:55:34

    このローは自分がファンサしたらクルー達の意識そらせる!っていつ気づいたのか

  • 65122/10/05(水) 22:28:07

    わかりにくいのでコテハンつけます
    こちらの都合により今日投稿できる話は一本だけです(ファンサ要素も薄めです。ごめんね)
    よろしくお願いします

  • 66122/10/05(水) 22:28:40

    【case6】
    5〜6歳くらいの女の子が歌っていた。
    なんだろうと耳を澄ませてから歌っているのではなく歌うようになにかを囁いているのだと知った。
    女の子は満面の笑みを浮かべながらおれの手を取る。おれの腰よりずっと低い位置でにこにこと笑う。
    あなたも言って、と促されているように感じたし事実そうだったのだろう。
    おれは女の子がなにを言っているのか上手く聞き取れず、いくら促されようとも真似することはできなかった。声量はあるのに妙にくぐもった声色をしているせいだ。もしかしたらおれにとって耳馴染みのない言葉だったのかもしれない。そう考える程度には声を拾えなかった。

    「■■■■■」
    「んー?もうちょっとゆっくり言ってくれるかな?」
    「■■■■■」
    「できるだけ丁寧に教えてくれると嬉しい」
    「■■■■■」
    「あー……やっぱりわからないなぁ」

    気づけば同じ言葉を何十回も繰り返させている。
    ごめんねと謝ろうとすると女の子は「■■■■■」と告げた。おれは驚いて口を閉ざしてしまった。鼓膜を揺らす音が微妙に変質していたのだ。

  • 67122/10/05(水) 22:29:47

    恐らく言葉自体に変化はないのだろう。女の子は同じことしか言っていない。変わったものがあるとするならそれはおれたちだった。
    直感が「近づいているぞ」と告げる。互いに一歩も動いてなかったがそれでも歩み寄っていることを悟る。
    咄嗟に思い浮かんだのは階段だ。先ほどまでは階段の一番上と下にいたのに今はもう一段しか違わない。女の子が降りてきたのか、おれが上がったのか。判断はつかなかった。
    女の子がにこりと微笑む。

    「繧上◇縺励r縺ゅ↑縺溘↓謐ァ縺偵∪縺」

    相変わらずなにを言っているか微塵も理解できなかった。その音も、意味も、まったくわからない。
    けれど不思議なことに「今なら真似できる」と確信した。あれほど苦戦していたのも忘れて「おれならできる」「相応しい」と思った。
    だから紡ぎ方さえ知らないままそれをなぞろうとして──

    「お前はこいつに相応しくねェよ」

    あまりに堂々とした男の声に意識がパッと切り替わる。目を開けたまま目を開く。

    世界が閉ざされる瞬間、誰かの名前が聞こえた気がした。

  • 68122/10/05(水) 22:30:27

    おれは自室でなく処置室のベッドの上にいて、すぐ側でキャプテンが足を組みながらこちらを見下ろしていた。
    目が合って「貧血だ」と告げられた。
    そうしてようやく、ああ、あれは夢だったんだなと気づいた。
    寝起き特有のぼやけた頭は現実に追いつかず、最後に耳にした名前を諳んじた。
    ○○ってなんですか。
    そう尋ねるとキャプテンは感情の乗らない眼差しで「連ならないもの」と答えた。
    不自然とまでは思わなかったけどなんとなく「キャプテンらしくない言葉だな」と思った。そして連ならないものと断定されたあの子の存在が脳裏を過ぎった。
    なにもわからないけど、なに一つとして理解できなかったけど、あの子が人との繋がりを持つことはないんだなと思ったら、なんだか悲しくなって少しだけ泣いた。

    「さっさと寝ろ。どうせ起きたときには全部忘れてるんだ。……代わりにおれが覚えててやるから」

    エタノールの匂いを染み込ませた指先が濡れた目元を拭った。再び意識の輪郭が溶けていく。

    いい夢を、と告げるキャプテンの声はどこまでも柔らかかった。

  • 69122/10/05(水) 22:31:27

    なんで女の子の言葉が聞こえなかったの?→人間の言葉じゃないから。
    あのまま女の子の言葉を真似していたらどうなっていたの?→器にされていた。
    誰ですかじゃなくてなんですかなのはどうして?→もう人じゃないって本能が察知していたから。
    連ならないものってどういうことなの?→そのまま。連ならないもの。繋がらないもの。断絶したもの。もう終わりを迎えている。終わったものを連ねようとしてめちゃくちゃになっている。
    最後なんで悲しくなっちゃったの?→彼が優しい人だったから。あとかなり同調していたから。我がことのように悲しくなっちゃったんだね。

  • 70二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:37:00

    >代わりにおれが覚えててやるから


    そういうとこやぞ

  • 71二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:49:24

    これは良いスレ

  • 72二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:59:06

    文字化けにもちゃんと意味があってゾッとした

  • 73二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:01:17

    道端で死んでる野良犬や野良猫に「可哀想に…」って目を合わせたために動物霊に憑き纏われるクルーを「ばーか」ってデコピン一つでなんとかしてそう

  • 74二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:01:57

    >>72

    わかんなかったから教えてほしい

  • 75二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:03:29

    >>73

    デコピンとかご褒美じゃん

  • 76二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:03:31

    >>74

    変換ツールで復元したのがこれ

    「わぞしをあなたに捧げま?」

  • 77二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:07:54

    優しい人が損するタイプのホラーはなんか悲しくなる
    ありがとうキャプテン…

  • 78二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:11:34

    >>75

    お祓いとファンサを兼ねてる

  • 79二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:11:43

    鬼が優しければ一緒に哭いて、文字通りの鬼なら哭き言を吐く前に容赦なくぶった斬る。そんな妖刀の鬼哭くん

  • 80二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:12:12

    わたしをあなたに捧げます、か
    なるほどそれで言質とって器にするつもりだったのね…

  • 81二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:33:57

    これでうちはドライは無理があるでしょ

  • 82二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:41:39

    >>81

    定期的にドライにしないと湿気と共に怪異がやって来るから仕方ない

  • 83二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 01:43:55

    全員優しい奴らだから余計に怪異が寄ってきそうなんだよなハートの海賊団

  • 84二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 01:51:22

    たまにベポも子どもの霊とか見てそう
    最初普通の子だと思ってお喋りしてて
    「どこから来たんだ?」
    「分かんない」
    「えっ家族は?」
    「かぞく…」
    って考えこんじゃう子にあわあわして頭なでなでしたら後ろからローに声かけられて「この子が…」って言いかけて振り向いたら誰もいない奴
    とりあえず察したローが手出せっつってアルコール吹きかけたあと柏手でも叩く感じ
    その後「任せた」っていって鬼哭持たせる

  • 85二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 01:54:11

    「妖刀・鬼哭」が好きなので、クルーやローさんに怪異が迫った時に哭いて知らせる鬼哭がいて欲しい

  • 86二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 01:58:50

    鬼哭が反応するのはちょっとヤバめの怪異なのでシャンブルズですっ飛んでくるキャプテンとかいいね

    >>85

  • 87二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 02:11:48

    てっきりパンとか梅干しとか食いたくないもんが飯に出てきた時投げキッスとかしてクルーが沸いてる隙にベポの皿に投げ込むみたいな事かと思ったらめちゃくちゃ良い概念見られて最高。ありがとうスレ主

  • 88二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 12:58:06

    かなり効率的で効果的なんだけど怪異を避けさせるためにファンサするってアホだよな
    いや本人は真剣だし本当はやりたくないのもわかるけど、これが一番手っ取り早いんだろうけど、頭いいけどこいつアホだな…ってなる

  • 89二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 13:01:50

    >>82

    前触れで湿った風が吹くやつだ 潜水艦だから風なんて吹き込んでくるはずないのにね

  • 90二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 14:12:00

    ファンサってなんだよ(正気に戻った)

  • 91二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 16:16:42
  • 92二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 16:19:13

    閲覧注意よりホラー注意のほうが怪談好きがホイホイされますよ…
    閲覧注意をミュートしてる人らもいるし…

  • 93122/10/06(木) 17:15:52

    >>92

    スレタイは結構悩んだんですけどホラー目当ての人がファンサするローというイカれた幻覚に被弾したら可哀想かなと思って【閲覧注意】という安牌を選択しました

    あとスレ主が書いてる話はパンケーキみたいにゆるふわなホラーなのでガチ勢を変に期待させてしまうのも申し訳なくて……

  • 94122/10/06(木) 18:46:46

    【小ネタ】
    足売り婆さん「足いらんかえ?」

    ロー「足を取ったりつけたりするのがお前の専売特許だと思うなよ(謎の対抗意識)」

    足売り婆さん「!?」

  • 95二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:00:36

    >>94

    ばあさんは邪悪すぎるけどそれに対抗意識燃やすトラ男に和む😊

  • 96二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 20:29:17

    >>76

    >>91

    教えてくれてありがとう!

  • 97二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 21:37:00

    怪異に張り合うトラ男は草

  • 98122/10/06(木) 22:09:12

    【case7】
    とある島での出来事。
    諸事情によりキャプテンと二人で歩いていたら足元にボールが転がってきた。
    きょろきょろと周囲を見渡す。50メートルほど離れた場所で数名の子どもたちが手を振っていた。どうやら遊んでいるうちにボールがここまで飛んできてしまったらしい。

    「おにいちゃーん!それ蹴って!」

    よっしゃ任せろと大きく足を振りかぶり、

    「──シャンブルズ」

    思いきり空を蹴った。バランスを崩して軽くよろける。我ながら驚くほどダサい。これを小さい子どもたちに見られたかと思うとげんなりする。
    突然の暴挙に出た我らがキャプテンに抗議するべくおれは声を張り上げた。

    「キャプテン!」
    「あ?」
    「なんで急に能力使うんですか!」
    「おれの自由だろ。……というかお前あれを蹴るつもりだったのか?あれを?」
    「蹴っていいよって言ってたでしょうが!ね、ほら君たちも──って、あーもういなくなっちゃった。この辺だと子ども向けの娯楽ってボール遊びくらいしかなさそうだからなー」

    キャプテンは目を瞬かせて「ボール」と呟いた。
    そして小さく頷きながら「そういうことか」とも呟いた。
    この人は何事も一人で完結させてしまう癖がある。

  • 99122/10/06(木) 22:10:20

    「え、なに一人で納得してんですか」
    「なんでもねェ」
    「いや絶対なんでもあるでしょ。キャプテ、」

    「──なァ」

    命令に忠実な体はその音だけで口を噤む。

    「静かにできるな?」

    なにも考えず大きく首を縦に振った。
    キャプテンは満足そうに目を細め、口の端に淡い優しさを浮かべる。それは笑みと呼ばれるものだった。

    「よし、いい子だ」

    ポンポンと二度も頭を撫でられる。即座に元の表情へ戻ったキャプテンは颯爽と歩き始めた。
    おれはその場に立ち尽くしながら帽子を被ってきたことを悔やんだ。

  • 100122/10/06(木) 22:11:57

    ※ローにはボールではなく人間の生首に見えていました

    ボールは友だち(物理)

  • 101二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:21:33

    加入してばっかりの頃は(この船長は何故突然アイドルみたいなことを…)と思っていたジャンバールが、しばらくして(この人にはおれ達とは違うものが視えているんじゃないか)と勘づいていたら私得
    でもジャンバールには視ることも感じることもないから黙って見守っておく

  • 102二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:11:02

    >>101

    ジャンバールのマジレスじわじわくる

    冷静にならなくても急にファンサする船長もそれにキャーキャー言う船員もおかしいからな

  • 103二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 08:57:09

    >>101

    「船長、その、たまにやる“アレ”って…」

    「………、(嫌そうな顔)ふぁんさ」

    「?????」

    ってなるも時間が経つにつれローがあらぬ所を見てたり、一点を見つめて鬼哭で叩いたりする(傍から見れば)奇行を繰り返すので

    「(自分たちと見えてる世界が違うのか…??)」

    と、ファンサに関してはなにも言わなくなるジャンバール

  • 104二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 09:35:29

    この時の鬼哭くんがマジで魔除けだった可能性にワクワクしている
    生命力が下がっている人間には怪異が寄ってきやすいのですぐ側に抜身で置いてるとか、このスレのトラ男ならやる

  • 105二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 09:52:16

    覚醒前とは言え神を宿した男が血を流し昏倒、更に身を隠す為に深海に潜り、海上に出れないから血の処理も出来ず…

    血のケガレ、良からぬモノの呼び水にもなる

    (犯罪者の血もケガレに数えられたとか)


    鬼哭で対策しないとポーラータング号が沈没するレベルの怪異が集まってたかも知れない

    >>104

  • 106二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 09:58:56

    >>101

    >>103

    自分も元船長なだけに勘のいいジャンバール良いね……

  • 107二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 10:05:45

    フレバンス生まれのTさんが怪異を祓っていくスレと聞いて来ました

  • 108二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 10:19:02

    最初の方のビブルカードのが怖すぎて好き

  • 109二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 10:50:24

    >>108

    これ文字を理解して口に出したらアウトだったんだろうな

  • 110二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 12:26:48

    知ったらアウトの怪異からクルーを守るキャプテンの勇姿ぞ
    やり方があざとい?それはそう

  • 111二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 12:54:01

    >>107

    祓うと同時にクルー限定でファンサしてくれるぞ!

  • 112二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 19:56:42

    ハートの海賊団に危険を知らせてくれる優しい怪異もいるかなぁ
    クラバクターマンみたいな

  • 113122/10/07(金) 20:57:23

    細部まで練られていませんが一応設定を考えてみたのでそれを貼っておきますね

    ざっくりした設定※細かい部分は後で修正するかもしれません。


    ・ロー

    幽霊や怪異などといった人ならざる者をそれとなく遠ざけつつ必要とあらばぶちのめしている男。害のある/なしによってはスルーすることもある。たぶんわりと穏健派。

    基本的に全てをファンサで誤魔化しているし「お前らこんなので誤魔化されるのかよ……」と自分の仲間にちょっと引いてる。やられる方もやられる方だがやる方もやる方という言葉を知らない。

    過去の経験や医者という立場から深く「死」と関わるためよくないものに誘われやすい。無害なもの・親切なものとよくないものの遭遇率を比べると大体1:9くらいになる。怪異サイドは常にローを手ぐすね引いて待っている。


    フレバンスの一件があってから「そういうもの」をはっきり知覚できるようになった。これは多くの悲劇的な死を目撃し、自身も命の危機に晒され続けた影響によるもの。傍らにはいつも死があった。

    フレバンス滅亡後、国民たちの嘆きや恨みといった負の感情の塊が唯一の生き残りであるローを呪うように縋るようにまとわりつく。本来なら発狂ものだが当時のローは既に心が壊れていたので事なきを得た(バグ技みたいなもん)

    色々まとわりつけたままファミ…
    telegra.ph

    スレ主の書く話は基本的にこの設定に基づいてますが、あくまで個人的な設定なので好きなように妄想してください。人には人の幻覚がある

  • 114二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:11:49

    >>113

    設定ありがとうございます

    ロー→怪異へのコメントがとても健康的で面白いですw

  • 115二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:24:40

    >>112

    クラバウターマンというかポーラータングというか…

    それこそ鬼哭がキャプテンを気に入ってるからキャプテンの愛するクルーもついでに守ってそう

  • 116二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:33:43

    >>113

    ありがとうございます。(怪異には)ドライな男だった

  • 117二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:34:22

    怪異×ファンサロー、普通にpart化したいくらい面白い概念だな…

  • 118122/10/07(金) 23:00:51

    【小ネタ2】
    口裂け女「わたし、綺麗?」

    ロー「おれなら一切跡を残さず治療してやれるがお前はどうしたい?(医者から目線)」

    口裂け女「!?」

  • 119二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 02:13:26

    >>113

    設定感謝!

    ドフィにも見えてるんだし割と見える人いそう

    ブルックとか?

  • 120二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 02:41:12

    >>119

    ブルックみたいな凄惨な経験してたり見聞色が強くて普通とは違う見え方・聞こえ方してる人は見えたりするかもね

    後某スレのゾロみたいに気付かずに関わってるパターンもありそう

  • 121二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 08:55:36

    >>118

    図らずも医者SSRを引く口裂け女は草なんだが

  • 122二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 11:43:57

    >>107

    寺生まれのTさんは明確なピンチに破ァ!!してくれるから「あ、祓ってくれたんだな」って分かりやすいけど

    トラ男は怪異に気付きそうなクルーが巻き込まれる寸前に静かに対処しちゃうから分からないんだ

  • 123二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 16:01:17

    >>113

    ローの悪口の語彙力どうしたw

  • 124二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 20:58:50

    ファンサで黙らせるの草生える

    あと1の書くホラー結構怖いっすね…パンケーキみたいにゆるふわしてないよ…

  • 125二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 22:57:25

    フレバンス・医者・潜水艦・自称ドライ・妖刀鬼哭くん・船長LOVEな奴しか居ない、が怪異との親和性が高くて思いついたスレ主すげぇ
    そこにファンサって要素付け加えられる発想もすげぇ

  • 126122/10/09(日) 03:53:57

    深夜なので少し雰囲気の異なる話を投稿しようと思います

  • 127122/10/09(日) 03:54:44

    【番外編:はらから】
    偉大なる航路の中でも限りなく凪の海に近いそこは旅人や海賊さえも寄りつかない辺鄙な島だ。外海との交流が無に等しいせいかまともな情報ひとつ出回らない。場所が場所なため世間からすっかり忘れ去られていた。──確かに存在しているのに、ないものとして扱われている。
    忘却の彼方に追いやられた国だ。中はどんな様相を呈していてもおかしくないだろう。あらゆるケースを想定し、男は孤島へ足を踏み入れた。ログはそこを指し示している。

    端的に言えば非常に豊かな島だった。

    高度に発達した文明こそ持っていなかったが、人間が生きていくには充分すぎるほどの自然の恵みに溢れていた。作物はたわわに実り、魚は網いっぱい獲れる。食い扶持の心配がないことあってか住民たちは皆心に余裕があり余所者にも親切だった。

    ──お兄さん、よかったらうちに泊まるかい?
    ──これあげる。美味しいよ。
    ──なにもない村だけどゆっくりしておいで。

    その辺を適当に歩いていただけで様々な人間から声をかけられる。誘いは全て断ったが、男の意図しないところで情報が集約しつつあった。

  • 128122/10/09(日) 03:55:21

    ここは丸一日あれば島中を歩き回れるほどの面積しかなく、人口も三桁に届くか届かないかのラインを保っているようだった。感覚的には国というより村と表した方が適切かもしれない。あるいは集落と。
    男は眼下の景色を見渡した。島の傾斜に合わせて作られた段々畑には上質な絹のような深い緑が広がっている。村人の話によれば長らく豊作が続いているらしい。
    広く拓かれた田畑を眺めていると、年老いた男が「よォ、にいちゃん」とゆっくり歩み寄ってきた。70〜75歳辺りの、どこにでもいるような普通の老人だ。やや草臥れた農作業着を身につけ、首にはタオルをぶら下げている。

    「えらい男前だ。こりゃあ娘っ子は惚けて仕事になんねェな、ワハハ」

    気のよさそうな笑顔を浮かべながら手にしていた鍬を地面に下ろした。杖代わりに体を支え、のっそりと男に話しかける。

    「アンタだろ?島の外からやってきたってのは」
    「……ああ」
    「いやァ、余所から旅人が来るなんて何十年ぶりだろうなァ」

    めでたい、めでたい、と老人は繰り返す。

    「なんもねェところだが水と食いモンにゃ困らねェ。中でもうちの麦はうめェぞ。アンタも食っていきな」

  • 129122/10/09(日) 03:56:06

    「……ここの土地は恵まれているんだな」
    「オヒイサマのおかげだよ」
    「──オヒイサマ?」
    「ああ、うちの神さんさ」

    まるで古い知己に向けるような気安さが滲んだ声音だった。黙り込む男を尻目に、老人はつらつらと言葉を重ねていく。

    「ヒトはメシを食わにゃ生きていけんだろ?だからな、この島では祀ってンのよ。神様を」

    「ずーっと昔から信じてる」

    「ヤツメノカミさ。本当はもうちっと長い名前だがね。この神さんは大地の女神よ」

    「島民はみィんなヤツメノカミに祈りを捧げてンだ。作物が実りますように、水不足に喘ぎませんように、この地に恵みを与えてくださいませってな」

    「ありがてェことに神さんを祀るようになってから餓死者はとんと見なくなったそうだ」

    「いつからそう呼ぶようになったかはわからんがね、うちらは親しみを込めて神さんをオヒイサマと呼んでンのさ」

  • 130122/10/09(日) 03:56:37

    老人の語りに黙って耳を傾けていた男が口を開く。

    「……一つ、尋ねたいことがある」
    「おう」
    「そのヤツメノカミとやらはなぜ女神だと知られてるんだ?」

    老人は一拍置いてから納得したように「あぁ」と声を上げ、ヤツメノカミの正式名称にヒメが入ってることを明かした。今はその名前が思い浮かばないことも。

    「ワハハ、年は取りたくねェな」
    「……」
    「なんというか、まァ、そう難しい話じゃねェんだ。女神様は女神様なンだよ」
    「……」
    「それにな、昔から決まってるだろ?」と老人は快活そうに口角を上げた。

    「大地は女で、それを耕すのは男だよ」

    男は否定も肯定もせずじっと老人を見下ろした。けらけら笑う口の奥には黄ばんだ歯が乱雑に並べられている。
    そよ風からは濃い土の匂いがした。

  • 131122/10/09(日) 03:57:57

    続きは明日か明後日の夜くらいに投稿します
    急にこんなの投げて困惑させてしまったらごめんなさい

  • 132二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 07:28:09

    おわ~〜とても良い…
    続きお待ちしてます!

  • 133二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 10:18:21

    これ絶対土着信仰系のヤベーやつじゃん…

  • 134二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 11:10:59

    神様の本当の名前教えてくれないのが不気味…
    すごい続き楽しみ

  • 135二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 18:38:39

    ほしゅほしゅ
    めっちゃいい概念!!無理なさらず!!続きを楽しみにしています!!

  • 136二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 20:44:12

  • 137二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 20:53:33

    保守
    素晴らしいスレを見つけた

  • 138122/10/09(日) 22:12:06

    昨日の続きを少しだけ投稿していきます
    ✝謎のポエム✝的なものが登場しますが気にしないでください。童謡を作るセンスがなかっただけなので…

  • 139122/10/09(日) 22:13:44

    ──気になるンなら▲▲さん家に行くといい。
    ──あそこにゃオヒイサマと会ったことのある娘がいる。

    男は神というものにさしたる関心を抱いてなかったが、こうもはっきり“会った”と明言されればいくらか興味も湧く。
    「握り飯でも持ってくか?」という老人の申し出を丁重に断り、教えられた東の方角へ向けて歩を進めていった。
    その道中、子どもたちが輪になって遊んでいる光景を目撃し、思わずピタリと足を止める。懐古の情に浸ったからではない。──彼と彼女たちが奇妙な歌を歌っていたからだ。

     りんごよ りんご
     おちてなお そのみはのこり
     くちてなお そのみはすわり
     あおきはるにひだりてを しろきあきにみぎてを
     さなぎがちょうへ いたるとき
     りんごは はなひらく

    男は口の中で「りんご」と呟いてみた。果実特有の甘酸っぱい香りが鼻先をくすぐった。
    そんな気がした。

  • 140122/10/09(日) 22:14:51

    子どもたちはぼうっと突っ立っていた見知らぬ男に怖がりもしない。それどころか「遊んでほしい」とせがんできた。適当に相手をしてやりながら先ほどの歌を問う。
    曰く、これを「さらいうた」と呼ぶらしい。
    奇っ怪な題につい目を細める。“さらい”がなにを示しているのか男には知る由もないが、保護者からすれば気分のいい言葉ではないだろう。
    どこからきた言葉なのかと考え込んでいると、一人の少女が「歌ってあげる」と高らかに歌い始めた。細部の歌詞が微妙に異なる。さらいうたなるものは二番まで存在しているらしい。

     りんごよ りんご
     うめてなお そのみはのこり
     かれてなお そのみはすわり
     くろきふゆにずがいを あかきなつにしもを
     かりうどがさそりへ いたるとき
     りんごは はなひらく

    まろい声に耳を澄ませれば脳内をいくつもの単語が踊った。頭蓋の意味さえ知らないであろう少女は心底楽しそうに歌っている。

    別れ際、男は「林檎は好きか」と尋ねた。
    返ってきた答えは「好き」「あんまり」「普通」「梨の方が美味しい」と様々だった。まあ当然のことだろう。ありふれた答えに小さく笑みをこぼし、男はその場を後にする。

    「 わたしの襍、縺。繧?s 」

    背後からくぐもった女の声がした。
    聞こえないふりをした。

  • 141122/10/09(日) 22:15:58

    今日はこれでおしまいです
    見切り発車はよくないですね…ひたすら長くなってしまう
    なんとかオチまで持っていきます

  • 142二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:23:37

    ありがとうございます....!!!
    大好きです....!!!

  • 143二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 23:00:57

    乙です
    文字化けさぁ…意味も怖かった

  • 144二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 23:04:05

    子供たちと遊んであげるトラ男優しい

  • 145二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 23:21:13

    ドキドキする、
    続き待ってます!

  • 146二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 23:42:46

    りんご×人体のパーツという誰も幸せになれなさそうなカップリングソングどうにかならん??
    暗喩にしろ直喩にしろ嫌な予感しかしないんだけど

  • 147二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 04:49:20

    途中までへへへwって笑いながら見てたのに急に和風ホラー始まってびっくりした。スレ主ガチガチに怖い話も書けるタイプ?天才か?

  • 148二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 09:10:41

    スレ主の作った「さらいうた」面白い!
    こういうの憧れる

  • 149二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 09:22:56

    >>146

    ここに文字化け復元をお足しする

    「わたしの 赤ち????」

    ねえ、それほんとにリンゴか?

  • 150二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 11:54:58

    >>149私の赤ちゃん?もしかしておひいさまって生け贄的な感じか?

  • 151二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 19:20:39

    ワンピのホラースレはなんぼあってもいいですからね

  • 152二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 23:35:10

    諸事情により今日は投稿できそうにありません
    少しずつ書き進めてはいるのでもうしばらくお待ちくださいませ

  • 153二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 23:35:13

    保守!

  • 154122/10/10(月) 23:36:17

    >>152

    (コテハンつけ忘れてました)



    【小ネタ3】

    メリーさん「私、メリーさん。いm」


    ロー「シャンブルズ。人形如きにおれが背後を取られるわけねェだろ。……さァどうしてやろうか。お前の運命はおれの心一つ」


    メリーさん「!?」

  • 155二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 23:36:55

    >>152

    ご無理はなさないで下さいね!

    楽しみに待ってます!

  • 156二次元好きの匿名さん22/10/10(月) 23:38:44

    小ネタの怪異に張り合うロー好き

  • 157二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 02:40:18

    怪異に対してクソガキ感溢れる接し方すき
    待て…26やぞ…

  • 158二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 08:52:03

    「おひいさま」→お姫様→生贄的に大事にされてる子?

  • 159二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 10:07:42

    >>157

    ここでビビらせらせとけばクルーに手出ししないかもだし…

  • 160二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 19:54:10

    保守

  • 161二次元好きの匿名さん22/10/11(火) 20:30:42

    大地は女神
    それを耕すのは男
    私の赤ちゃん?

    島の外から来た男性を生贄に、作ったリンゴを捧げるのかと思ったけど、外から来たらしいお爺ちゃんは無事だから違うのかな
    女神の名前は単に忘れていたのか、認識の阻害が発生していたのか、とぼけているだけなのか…
    タイトル的に正直不穏な気配を感じるけど、続きがすごく楽しみ

  • 162二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 00:57:09

    怪異にシャンブルズ有効なのか…ほんと究極の悪魔の実だなオペオペ

  • 163二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 09:30:30

    話に梨が出て来てホラーと来て思い出しちゃった

    “梨ホラー”|あにまん掲示板bbs.animanch.com
  • 164二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 10:26:30

    背後からの女の声に聞こえないふりをするローはもう真相に気付いているんだろうか…
    続きがめちゃくちゃ楽しみです

  • 165二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 18:29:34

    保守

  • 166二次元好きの匿名さん22/10/12(水) 20:50:39

    保守

  • 167122/10/12(水) 22:58:50

    続きを投稿していきます
    まだ完結はしません。このスレが終わるまでにはなんとか仕上げたいなぁと思ってはいます。思ってはいるんです……

  • 168122/10/12(水) 22:59:09

    十五分ほど歩いた先に小さな家がぽつんと建っていた。玄関の前では若い娘が掃き掃除をしている。特に根拠はなかったが、男はこの若者こそが老人の言っていた娘だと理解した。──神との邂逅を果たした娘、らしい。
    少女と女性の境目にいるその人はSと名乗った。突然現れた男にも嫌な顔一つせず、にこやかに対応する。疑うべくもない善良な人間だ。

    「よかったら上がっていきますか?お茶くらいしか出せませんが……」
    「結構だ。長居するつもりはねェ」
    「では気が変わったらいつでも言ってくださいね」

    穏やかに微笑んでみせるSにそれとなく水を向ける。Sは困ったように眉を垂らしながら「ご気分を悪くされたらすぐに教えてくださいね」とおかしな前置きをした。
    それは“会っただけ”の話ではないと告げているも同然だった。成人男性であろうと抵抗感を覚えかねない内容だと示唆している。男は視線で了承の意を告げた。

    「ある晩のことでした。草木も眠るような時刻だったと思います」

    ふと目が覚めて、喉の渇きを感じたそうだ。水を飲むために寝所から抜け出して台所へ立ち寄ると、部屋の隅に知らない誰かが立っていた。
    明かりもつけていなかったので姿はぼんやりとしか見えなかったが、柔らかそうな体つきとか細い啜り泣きから女性だとすぐにわかったらしい。

  • 169122/10/12(水) 22:59:49

    当事者である彼女はそうするのが当たり前とでも言うように得体の知れない女へと声をかけた。恐怖も疑問も一切抱かないまま。
    どうなさいましたか、大丈夫ですか、私にできることはありますか、と無難な言葉を選びながら、Sはただひたすら女を慮っていたのだ。

    「……深夜に顔見知りでもない女が不法侵入を遂げているわけだが、おかしいとは思わなかったのか?」
    「いいえ、まったく。……でもそうですよね、普通はおかしいと思いますよね。だけど違和感なんて少しもなくて、」
    「……それは今も?」
    「ええ、なんと言えばいいのでしょうか……ちっとも怖くないのです。むしろ親近感を覚えていました」
    「……親近感、ね」
    「ええ、父母や友とも違う距離の近さがありました。遠いけど誰よりも近いのです。それこそまるで神様のような──」

    女は「赤ちゃん」と言ったらしい。わたしの赤ちゃん、と。それは大変切実な響きをしていて彼女は痛ましく思ったものだ。どうしてこの方の腕に赤ちゃんがいないのだろう、求むものは求められたままおさめられるべきなのに、とさえ思っていた。
    赤ちゃん、赤ちゃん、わたしの赤ちゃん、と何度か繰り返した後、女の体がパッと消え失せる。足元から崩れ落ちていくような消失だった。消えたと感じる間もなく、ゴトン、と重く鈍い音がして。視線を床に下ろした。
    そこには真っ赤な林檎が落ちていた。

  • 170122/10/12(水) 23:00:20

    Sは林檎を掬い上げ、自らの腕に抱いた。掴むではなく、持つではなく、抱いたのだ。おくるみに入った赤子を抱くように。

    「落ちているものを見て、ああ、林檎だなって思ったのです。赤ちゃんだとも思いました。──どちらとなるのかはわかりませんが、オヒイサマはお産みになられるのでしょうね」

    そう言いながら両腕を胸元に持ってきてゆるく交差させた。細いかいなが空気を抱いている。恐らくはあの夜もこうしていたのだろう。
    ゆらゆらとSの体が前後に揺れる。赤子をあやすように。そこに赤子がいるように。ゆらゆらと。

    「朝になって驚きました。さっきまで林檎を抱いていたのに、私はいつの間にか部屋に戻って朝を迎えていたようです。不思議なこともあるものですね」
    「……なァ、あんた」
    「はい?」
    「……啜り泣きはどう思っているんだ?」

    泣いていたんだろう、その女は。
    ならあんたはそれをどう受け取ったんだ。
    男の問いにSは眉を八の字にする。困惑しきったように瞳が揺れた。

    「ただの産声では?」

    不思議そうな声色だった。自身の発言ではなく男の問いかけを不思議に思っている。どうしてこんなことを聞くのだろうかと目を丸くしている。それが答えだった。もうどうにもならない。

  • 171122/10/12(水) 23:00:58

    わかった、と男が告げる。もう一つだけ問いたいことがあるとも。

    「なぜ女を神だと思った?」

    それは当初から抱いている疑問だった。話を聞いても神と断言できる要素がまるでない。それなのに娘は純真無垢にあの女こそが神であると信じている。
    出会ったものが神だと信じたいのだろうかと考えて、──いいや、と思い直した。奇妙な符号の多い話だったが、もうどうにもならない娘ではあったが、Sの目は熱に浮かされたような眼差しではなかった。もしかしたら本当に“オヒイサマ”だったのかもしれない。少なくともこの娘にとっては。
    そんな男の逡巡など知ったことではないとでも言うようにSは「だって」と口を開いた。

    「林檎が生ったので」
    「……りんご」
    「そのままですよ。あの方の肢体は崩れ、林檎が生った。きっとあの林檎は股から転がり落ちたのでしょう。ああ、いえ、林檎こそが肉なのかもしれません。──だからあの方はオヒイサマなのです」

    接続詞が意味を為していない。そのはずなのにSはどこまでも穏やかな笑みを浮かべている。正気の色しか映さない瞳がゆるりと和らいだ。
    ──外つ国の殿方でしたら確かにご存知ないでしょうねぇ。
    Sは幼子に道理を説く大人の顔をしながらこう言った。

    「あらゆる食物はオヒイサマから実ったのですよ」

  • 172122/10/12(水) 23:01:33

    Sとの話を終えると、男はその周囲を虱潰しに見て回った。
    頭の中で繰り返し歌を再生する。もし“さらいうた”の通りならここは“あおいはる”だろう。そして地中深くに埋められているか水底辺りに沈められているはずなのだ。
    ふと足を止める。
    輝かしいほど豊かな田畑を眺めながら男は呟いた。

    「確かに埋まってるな」

    左手。

  • 173122/10/12(水) 23:02:59

    今日はここまでです
    読んでいただきありがとうございます
    次回でなんとかオチにまで持っていきたいなぁ(願望)

  • 174二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 00:12:37

    うおおおお…!!!
    ありがとうございます…!!
    あくまでも正気で話し続けるSに鳥肌立ちました…!

  • 175二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 07:22:39

    わあ〜〜〜〜
    すごいワクワクします
    続きが楽しみです!

  • 176二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 16:13:58

    玄冬、青春、朱夏、白秋って季節以外にも人の一生にも例えられるんだよね
    脳の奥が繋がりそうで繋がらない感覚が癖になる

  • 177二次元好きの匿名さん22/10/13(木) 23:07:50

    >>176

    ああ~~~なるほど...


    不思議で不穏な空気感すごく好きです...

    楽しみです...!

  • 178二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 07:09:50

    この不穏な空気感大好き

    続きお待ちしています!

  • 179二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 12:54:13

    ほしゅ

    別作品になって申し訳ないけど、内臓を果実に例える表現がありましてね

  • 180二次元好きの匿名さん22/10/14(金) 20:58:19

    保守

  • 181二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 00:03:28

    保守

  • 182二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 08:04:19

    ファンサで雑に誤魔化すトラ男概念好きだわ

  • 183二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 16:28:35

    保守

  • 184二次元好きの匿名さん22/10/15(土) 23:16:51

    保守

  • 185二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 02:37:36

    保守

  • 186二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 09:56:45

    トラ男ホラー似合う

  • 187二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:23:37

    保守

  • 188二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:43:33

    なんでトラ男はこんなにもホラーが似合うんだ

  • 189二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:41:42

    続きが気になるから保守

  • 190二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 05:59:21

    保守

  • 191二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 16:00:52

    続きをゆっくりお待ちしております…

  • 192二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 16:10:02

    保守

  • 193二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:04:37

    怪異への対応が慣れてる感あって好き
    人には見えないものを見てるトラ男いいな……
    続きめっちゃ楽しみです

  • 194二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 05:48:23

    保守

  • 195二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 15:38:41

    保守

  • 196二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 15:40:43

    上陸した島で人数分のお土産の菓子を買って配ったら一個余ってしまった。
    あれ?ちゃんと人数分伝えたよな?人数多かったからお店の人が間違えてしまったのだろうか。そうだとしたら返品しにいくか、差額分は払いに戻りたいが、もう出航した後だしなぁ。そう考えていたら後ろから声がかかった。
    「余ったのか?」
    艶のある低い声は聴き間違えるはずがない。キャプテンだ。
    「そうなんですよ。ちゃんと人数分頼んだはずなんですけどね。ジャンバールの分はサイズ大きい奴にしたから、普通サイズの数を間違えて伝えちゃったんですかね?」
    「じゃあ俺が貰う」
    キャプテンが余ったそれをひょいと持っていく。
    「へ?あ、どうぞ」
    返したあとに、あれキャプテンの好物だっけ?と不思議に思った。

    あとで船長室を覗くと誰かに菓子をあげてるのを見た。なるほど。
    いや、勝手に俺の意識に介入しないで欲しいんだけど???
    ぐるぐる考え込んでると「後でベポたち呼んでこいよ」とキャプテンに頭に手を置かれた。
    「アイアイ、キャプテン!!!」



    数え間違いの話。
    改め、旗揚げ記念日とクラバウターマンの話。
    ※(記念日なので自分の分もなんか欲しい。買ってきて~)とテレパシーを送ったクラバウターマンと、受信したペンギンかシャチのどっちか。
    この後旗揚げ組で乾杯して飲んで忘れる。

  • 197二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 19:22:06

    >>196クラバウターマンかわいい・・・

  • 198二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 21:39:37

    >>196

    わあ〜〜〜

    ほのぼの素敵ーー!

  • 199二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 06:44:10

    保守

  • 200二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 06:50:28

    200

オススメ

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