- 1◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:25:32
〜12年前 フーシャ村近海〜
『ねぇシャンクス…その、ちょっと相談があるんだけど』
『相談?なんだ急に』
フーシャ村に着く少し前、私は甲板で酒を飲むシャンクスに相談をしていた。
『その…好きな人振り向かせるための技術とか知ってるかな〜って……』
『……もしかして、それLOVEな意味か?』
『…うん…』
相談しながら、自分でも顔が赤くなるのが分かる。
『ギャハハハ!!お前…その年で随分進んだなウタ!!』
『う、うるさい!!それで、何かあるの!?』
『その前に相手が分かんねェと…ルフィか?』
『ヒョエッ!?』
つい変な声が出てしまい、それを聞いたシャンクスがまた笑う。
『やっぱりか!!そーかルフィか!!今夜はご馳走だなおい!!』
『ちょ、やめてよ!!それで、何かある!?』
『そうだな……』
少しシャンクスが考える素振りをし、こちらに向き直る。
『あいつはそういうのに鈍いタイプだろう…素直に伝えるのも悪くはないかもだが…。』
そこでシャンクスが一度酒を煽り、よし!と声を上げた。
『いい手を考えた!これならあいつもきっと振り向くぞ!』
『ほんと!?』 - 2二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:26:26
🍢🍶🐲🍶
- 3二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:27:30
期待
- 4◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:31:10
〜12年後 新世界 とある島〜
あれから12年がたった。
色々…本当に色々、紆余曲折を経て…
私は赤髪海賊団音楽家としてこの船にいる。
そしてその色々の中でまさかの再会を果たしたかつての幼馴染…
そして今に続く初恋相手のルフィの船と同じ港町に停泊している。
あれから12年。
私は21になったし、ルフィももう19。
子供だったあの頃とは違う。今こそ一歩踏み出すとき。
その心意気のままにルフィにアタックした私は……。
「私、ルフィのこと好き!」
「おう、おれもウタとシャンクス好きだぞ!」
…過去の私に、とんでもない追い詰められ方をしていた。 - 5◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:34:28
一人目 ラッキー・ルウ
「…というわけなんです助けてください」
「お前嘘だろウタもルフィも…。」
あのルウさんすら呆れ果てた声を出している。
それはそうだろう。
まさかこんなことになるとは思ってなかった。
「おれもそういうことは詳しくないけど…とりあえず、ルフィの気を引くなら…。」
そう言ってルウさんが取り出したのは…でかい骨付き肉だった。
「やっぱりこれだろ!」
食事。肉。やはりルフィが大好きなもので攻めるしかない。
「分かった!教えてルウさん!」
「おう、任せておけ!」 - 6二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:40:26
赤髪海賊団でこういうこと頼れそうなのはベックマンだけど
問題は相手がルフィな事だよな…自覚させられんのかウタ - 7◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:44:55
「ルフィー!」
サニー号の甲板で釣りをしているルフィに声をかける。
「お、ウタ!ナミ達なら買い物行ってるぞ?」
「違う違う、今日もルフィに会いに来たの!…はい!」
そう言って、後ろに持っていたリュックを降ろす。
「はいこれ、お腹減ってるでしょ!」
「ん?もしかして飯か!?」
リュックの中には、ルウさんに教えてもらって作った弁当と、特大骨付き肉が入っている。
「ほらこれ、ルウさんのおすすめなんだよ!」
そう言って取り出した骨付き肉をルフィに手渡す。
「わ、ありがとう!いただきまーす!」
そう言って肉にかぶりつく。
「んん!んめー!」
「ほんと!?良かった!」
流石は昔よく酒場でルフィの好みの味を見ていたルウさんだ。
見事ルフィの好みを当てられている。
「ほら、他のお弁当も私が作ったんだよ?」
「ほんとか?…うめェ!凄いなウタ!」
「でしょー?」
褒めちぎられてつい顔が緩む。
どうやらかなり好印象のようだ。
これなら流石のルフィも…。 - 8◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:45:08
「ん!うめェ!これならきっとシャンクスも喜んでくれるよ!」
「え?あ……うん、そうだね。」
「昔よく言ってたもんな〜!シャンクスびっくりするだろうな〜シシシ!」
「………ソウダネ…」
ラッキー・ルウ作戦 失敗 - 9二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:45:12
12年前のシャンクス何言ったんだ…
- 10二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:47:16
嫉妬させればいい的な?そんでシャンクスが好きー!みたいなこと言ってルフィを嫉妬させるつもりだったが…
- 11二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:48:19
シャンクスのことが好きだと勘違いしてる系はルフィが頑な過ぎて荒れたスレもあるくらいだが……
どう調理する - 12二次元好きの匿名さん22/10/04(火) 23:49:53
- 13◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:51:37
「駄目でした…!!」
「そっか〜……!!」
「マジか〜……」
船長室にて、シャンクスとルウと三人空を仰ぐ。
木目の天井しか見えないが、どうせお先真っ暗だ。
「しかしどうするかねェ…まさかあのルフィがここまでとは…。」
流石に計算外と言わんばかりにシャンクスが愚痴をこぼす。
「なによ!元はと言えばシャンクスの変なアドバイスのせいじゃない!」
「なんだとォ!ガキだったお前のために割と一生懸命考えたんだぞおれも!」
「まーまーお頭もウタもかっかするな、解決しねーぞ」
…ルウの言うとおりである。
それにシャンクスも一応真面目に考えてもくれてたのだ。
私にあまりとやかく言う資格はないだろう。
「しかしルフィが飯になびかないとはな…果たしてどうするか…。」
「うーん…あとルフィが好きなのと言えば…」
「うーん……」
3人で悩んでいるとき、船長室に新たな客が一人…と一匹来た。
「ん?どうしたお頭達。」
「キキッ?」
「……これだ!」 - 14◆.pitCM.Fow22/10/04(火) 23:58:50
二人目 ボンク・パンチ&モンスター
「おーいルフィ!…あ、ブルックさんこんにちは!」
「ヨホホホ!こんにちはウタさん、ところでパン
「おうウタ、どうした?」
ブルックの言葉を無視する形でルフィが来る。
「今からパンチさん達と一曲歌おうかなと思って!あんたも来る?」
「ほんとか?行く行く!」
「良かった!とっておきの新曲なんだから!」
そう言ってレッドフォース号に行こうとしたところ、ブルックさんが声をかけていた。
「新曲とは興味深い!私もご一緒してよろしいでしょうか!」
「え?いいよ!」
少し悩んだが、まぁせっかくの音楽、一人増えても問題ないだろう。
3人でレッドフォース号に戻り、すでに準備していたパンチさんとモンスターのもとに行く。
「それじゃ、準備いい?」
「おう!四皇の音楽見せてやろうぜ!」
「キキーッ!」
「これは楽しみです!目を見開いておきましょう!…あ、私目がありませんけど!」
「いいぞーウター!パンチー!」 - 15◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:04:52
〜〜
「…はいっ!どうだった!」
清々しく一曲歌いきった。
そう言わんばかりに二人の方を見ると…。
「…ヨホホ……。」
…うん、やっぱり思いきりブルックさんに意図がバレてそうだ。
そう、今回パンチさんの協力の下ラブソングを歌ってみたのだ。
そんなもの一回もなかっただけに少し苦心したがそこは私。
元世界の歌姫と呼ばれた実力で頑張って仕上げてみせた。
出来としては申し分なかったはずだ。
「良かったぞウター!」
…うん、なんかあんまりルフィには伝わってない気もする。
わざわざ歌詞に「ゴム」まで入れたのにである。
だが音楽は気に入ってくれたようだ。
このままの調子で脈を作れれば…。
「後でシャンクスにも聞かせてやれよ!きっと喜ぶぞ!」
「あー、うん……そうだね…あとで聞かせようね…」
…うん、なんか駄目な気がする。
ここでシャンクスの名前が出るのはとても流れが悪い気がする。
どうやらこの手もだめらしい。
とぼとぼ、パンチさん達と片付けの準備に入った。
パンチ&モンスター作戦 失敗
「………フム」 - 16◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:10:59
「畜生!歌がだめなの割と辛い!」
「荒れてるなウタ…」
「いや仕方ねェよこれは」
「どうするかな…」
「キキ……」
更に人の増えた船長室にて反省会を行う。
あまりに流れが悪すぎる。
食事と音楽で駄目ならどうする?
あと何で対処すればいい?
「…私ホンゴウさんのところ行ってくる!」
「待てウタ!ホンゴウに何させる気だ!」
「そんな感じのお薬ないか聞く!」
「やめろウタ!流石にホンゴウが不憫だ!」
慌ててルウが止める。
「じゃあベックさん!」
「あいつはプレイボーイ過ぎるから駄目だ!」
「キキッ!キー!」
今度はパンチさんとモンスターが止めてくる。
「ウタ、ホンゴウとベックは最後の手段にしておけ…本当に後がないときだ。」
「ムゥ…分かった……。」
しかしそうなるとどうする?
あとどうやって気を引けば……。
「少しよろしいですか?」
『ギャアアアお化けエエエエエ!』
突如壁から出てきたそれに、思わず揃って驚いてしまった。 - 17◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:18:06
「な、なんだブルックさんか…」
「ヨホホ、失礼」
壁から出てきた人魂…ブルックさんの魂が謝罪をする。
「ほんとルフィのやつ面白い音楽家仲間に入れたよなー」
「キキ」
「いえいえ、あなた方も素晴らしい演奏でしたよ?」
音楽家同士が挨拶を酌み交わしている。
方や獣、方や人魂、なんだか凄い光景だ。
「それで、ルフィの仲間がなぜわざわざ?」
唯一動揺しなかったシャンクスが声をかけた。
「先程のウタさんの曲…ルフィさんへの愛の曲ですよね?」
「あ…うん。」
やっぱりバレバレだったか。
思わず顔が赤くなる。
「やはりでしたか…しかし、何やらルフィさんはウタさんとその…そちらの方がお似合いと思ってるみたいでしたが」
「うっ…」
痛いところをつかれた。
「その…半分はえと…私のせいなんだけど」
「もう半分はまァ…おれの仕業だな」
「ふむ…良かったら、お話を聞いても?」
「うん…分かった」
味方は一人でも欲しい。
藁にもすがる思いで、12年前の日々を語り始めた。 - 18二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:20:23
来たか!
あのスレのssが…! - 19◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:27:34
『いいかウタ、男ってのはな、仲いい女が他の男と仲良くしてると嫉妬する生き物なんだ…多分』
『そうなの?でも私ルフィ以外の友達いないけど…』
『え?そういえばそうだ…あー……』
どうやらそこまでは考えてなかったらしい。
あと一歩のところで抜けているのがシャンクスらしいが、それではこの作戦は没に……いや。
『…私とシャンクスとか?』
『ハァ!?ウタお前何言って……いや…』
ここでシャンクスが思い悩む。
確かにウタは自分の娘だが、血の繋がりはない。
自分はそうは見れないが、一応好き合う中もできなくはない。
それにルフィにそれなりに尊敬してもらってる自負はある。
『…ありか?』
『でしょー!じゃあ私シャンクスが好きって沢山言えばいいんだね!』
このとき、娘の好きという言葉に父親として普通に内心が喜びで満ちたシャンクスが、酒を片手に更にウタを煽った。
『いや、なんなら結婚するとか言っちまおう!ひょっとしたらあいつかなり焦るんじゃないか?』
『なるほど…よし、それで行くね!ありがとうシャンクス!』
『おう、まー頑張れ!』
そう言って船室に戻るウタを見ながら、また酒を飲む。
『…今から孫のこと考えないとか…?クク』
このあと待ち構えることになる試練を予想せず、シャンクスは笑っていた。 - 20二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:31:00
ルフィがクッソ鈍感なのもあるけどお頭船降りろ
- 21◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:39:36
翌日より、ウタのシャンクス直伝の作戦は始まった。
『…はい、私の53連勝!』
『うわー!!また卑怯だぞウタ!!』
『へへーん、負け惜しみー!!』
『ちきしょー!!次は負けねェからな!!』
『何度やっても変わらないわよ!!なんたって私は赤髪海賊団で、あのシャンクスと結婚するんだから!』
『え…?』
『ん?…あ、そうだな!はっは!』
『…』
『やっぱお前の歌いいな!おれ好きだぞ!』
『!へ、へへ…そうでしょ!』
『おう!毎日でも聞きたいよおれ!』
『ふぇ!?そ、それでも別に構わ…じゃなくて!私将来はシャンクスと結婚するし!?流石に毎日は…』
『…そっかよ…』
『どうルフィー?おいしいでしょー?』
『おう!お前すげーな!』
『ふふん!マキノさんに教えてもらったんだから!』
『へーいいなー!この味好きだからよ!また作ってくれよ!』
『え!?あ、うん……あ!いや、あくまで練習なんだから!本番はシャンクスのためなんだから!』
『………』
『あらあら……いいんです船長さん?』
『ん?まァその……というわけで』
『あー……大丈夫かしら』
幾度となくルフィが不満そうな顔をしているのを心の中で謝罪を混ぜつつ作戦を続け幾度…勝負の度や他の機会に色々言い続けしばらく…
私がエレジアに置いてかれるまでの期間このアピール作戦は行われることになった。 - 22◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:45:12
「…うん、やっぱりこれで私をエレジアに置いていったの本当にひどい」
「それは本当にすまん」
シャンクスが頭を下げる。
「もう終わったことだからいいけどさ…ああ、話の途中だったね」
「なるほど…それでルフィさんの12年ぶりに出会ったと」
「そう、そこから先はあなたもだいたい知ってる通り」
エレジアでの一件が片付いて、なんだかんだこの船に落ち着いて、
それから思い出された恋心。
せっかく会えたのだからと伝えた思いは、思いもよらぬ形となった過去の作戦の結果に阻まれた。
「…つまり、ルフィさんはウタさんと赤髪のシャンクスさんが結婚すると信じ切ってると…」
「そういうことです…」
あのルフィが、いくら負けても認めなかったあのルフィが。
まさか諦めてしまっているとは。
「…もしかして脈なしだったのかなぁ…」
「げ、元気出せウタ!そりゃねェはずだから!」
「そうだぜおい!12年前のルフィ滅茶苦茶お前のこと好きだったから!」
「キキーッ!」
二人と一匹が励ましてくれている。
が、はっきり言ってあまり自信がない。
今更振り向いて貰えるだろうか。
それとも過去の思い出としてこのまましまわれてしまうのか。
「…うぅ……やり直したい…」 - 23◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:50:57
「なるほど…事情は分かりました」
一通りを聞いたブルックが声を上げる。
「僭越ながらこのソウルキング!お嬢さんと我らの船長の花道のために協力しましょう!」
「ほんと!?」
「はい!私もルフィさんにはぜひ初恋というものを叶えてほしいですからね」
「ありがとう!」
最年長のブルックさんは確かにパンツのことはあるがとても話に重みもある。
赤髪海賊団と比べてもかなり頼りにできる人だ。
「私から皆さんにも聞いてみましょう!何かいい手があるかもしれません!」
「うん、本当にありがとう!」
「ヨホホ、ではまた!頑張ってください!」
そう言い残して、人魂が帰っていく。
「よしお前ら!ウタのためにもう少し頑張るぞ!」
「元はと言えばお頭のせいだろ」
「おう」
「…それは本当にすまない」
「謝らないでシャンクス!悪いのは私も何だから…だから、今度こそ頑張ろう!」
『オーッ!』
「ウキーッ!」 - 24◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 00:53:33
レッドフォース号甲板、船長室前の扉にて、内部の話を盗み聞きする男が一人。
「…フーッ……」
加えたタバコの煙を吐き、ゆっくりと腰を上げる。
「…全くしょうがねェなお頭もウタも…ルフィも」
やれやれと腕をあげながら、ベックマンは己の船室に戻っていった。
(続きはまた後に) - 25二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 00:54:37
この状態で新時代マーク渡したの精一杯のアピールだったのでは?
- 26二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 01:04:01
煽るだけ煽ってエレジア事件は仕方なかったといえ
お頭船降りろ - 27二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 01:15:48
ベン・ベックマン!頭がキレキレと噂のベン・ベックマンじゃないか!これは勝ったな
- 28二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 06:14:26
ベックマンなら何とかしてくれる
- 29二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 06:24:24
煽るだけ煽ってのエレジア放置はだめだよシャンクス……
- 30二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 08:08:04
ベック頼むぞ
- 31二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 08:08:10
期待
- 32二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 11:20:38
このスレと元スレの設定を踏まえて連動アニメ二話見るとウタがエレジアに置いていかれて以降の流れの湿度がとんでもないことになるんだよなあ…
- 33◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 12:42:21
3度目 ナミ&ロビン
「ブルックから事情は聞いたわ!あとでそっちの船長に報酬金としてそうね…」
「ナミ、ひとまず報酬は成功してからにしましょう?」
「あ、そうね!」
最初に助っ人に来てくれたのは、ルフィの船の女性二人だった。
なんだか不穏な話が聞こえた気がしたが、きっとシャンクスがなんとかしてくれるだろう。
「さてそうなれば…まずは町行くわよ!」
「え、ちょっと!?」
引きずられながら港に降りていく。
どうやら町に向かっているらしい。
「まずウタは服装のセンスが最悪!もう少しいいの探すわよ!」
「さいあっ…!?」
さらっと酷いことを言われた。なんでだ。
かわいいじゃないかあのラクダ。
「そう?私は悪くないと思うけど」
「ロビンはそうでも普通は駄目よ!色仕掛けの一つもできないわあれじゃ!」
「い…色仕掛け……?」
私が?ルフィに?イロジカケ?
「そんなんで顔赤くしない!ルフィにそういうの聞くか微妙だけど、やってみる価値はなくはないはずよ!」
「あなたの服装、全体的に露出が控えめだから、思い切った服でもいいかもしれないわね?」
「お…思い切った…というと…?」
「それこそあんたがウタワールドで私達に着せたようなのでもいいんじゃない?」
「ふぇ!?」 - 34◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 12:48:44
あのとき二人に用意した服、曲がりなりにもかなりの露出の効いた服だったはずだ。
あれを着ろと?私に?
「ちょ、ちょっと待って!流石にそういうのはえっとその…」
「あんた私より年上でしょ!?チャレンジよチャレンジ!」
「そうね、中々楽しそうだわ」
な、なんだか別のベクトルに向かってる気がする。
果たして私は今日無事に帰れるのだろうか。
そんなことを思いながら、町をぐんぐん引きずられていった。
その日一日きせかえ人形のように次々と服をチョイスされては試着して…
夕方にはなんだか一気に私服が増えていた。
ひとまずルフィに挑むのは明日になるだろう。
シャンクスに聞いてみたところ「それを着て街には行くなよ?」と釘を刺された。
私としても無理だ。 - 35◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 12:58:26
「おーい、ルフィ!」
「お、どうした?」
翌日、サニー号の甲板でサンジ達と話しているルフィのもとに行く。
隅でナミとロビンが見守ってくれているのが分かる。
二人のためにも今日は成果をあげなければ。
「と、特にようもなくて遊びに来ただけなんだけどね…ア、アツイナー今日ハ」
若干棒読みになりながら羽織っていたパーカーを脱いで肩に担ぐ。
既にサンジが後ろに鼻血の勢いで飛んでいった気がするが気のせいだろう。
今日の私の格好ははっきり言って恥ずかしくて死にそうなほど露出の高い服だった。
それこそそこで日光浴してるナミとほぼ同じ水着に短パンである。
左腕のアームカバーだけはつけてるが肩もお腹も足もほぼ露出している。
死ぬほど恥ずかしいし正直少し寒い。
だがこれだけやればいくらあのルフィでも少しは……
「………ルフィ?」
何その顔は。というかなんで何も言わないのだ。
不安になっていると、唐突にルフィが腕を伸ばして男部屋の扉を開けた。
そのまま部屋の中に手を伸ばし……黒いマントが持ってこられた。 - 36◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 13:06:02
マントなんて何に使うのだろう。
そう思ったときである。
「…え?」
ルフィがそのマントを羽織らせてきた。
「えっあっ…えっ?」
やばい、どういう状況だこれは。
なんでルフィがいきなりマントなんて羽織らせてきた?
どういう気遣いだ?そしてマントのルフィの匂いで変な気分になりそうだ。
そんなこんなで頭の中が大混乱な私に対してルフィはというと
「お前、そんな薄着だと風邪引くぞ?」
…いたって平常だった。
「あ、うん…そうだよね」
確かに寒かったから羽織りたかったのは事実。
だが完全にそういう目で見られてなかった。
でもなきゃ真っ先にするのが体の心配ではないだろう。
「それに昔マキノも言ってたけどよ、あんまそういうのやめたほうがいいぞ?」
…マキノさん?もしやチャンスなのでは?
確かに人前で肌を露出させるのは良くはないが、
逆に特別な相手だと伝えられれば…
「それにお前シャンクスもいるんだしよ、やめとけよ?マントは貸すからよ…それより、早くシャンクスにも見せてやれよ!」
…訂正、シャンクスの名前が出たってことは駄目そうです。
完全にシャンクスに色仕掛けすると思われてそうです。
顔がそろそろ茹で上がりそうです…。
ナミ&ロビン色仕掛け作戦 失敗 - 37二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 15:04:02
これならいけるのでは?
- 38二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:38:55
なんか…若干重いな?
- 39二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:49:20
これもしかしてルフィに嫉妬させるためにシャンクスの名前出しまくったやつ?
- 40二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 16:50:47
19に書いてる
- 41二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 20:20:36
ほぼ同じ格好のナミはスルーしてウタにだけマントを羽織らせるのは
進展といっていいんじゃないでしょうか! - 42◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 23:38:57
「恥ずかしかった……!!」
「ウタ、せめてルフィ以外の前ではそういうの着ないでくれよ…?」
再び船長室にて反省会中である。
とはいってもかなり手詰まり感が出てきた。
「ライムジュースさん達は何かいい方法ある…?」
「いやァ…あのルフィだろ…?」
「あのルフィがそんな拗らせてるとはな…」
ガブさんとライムジュースさん、スネイクさんは駄目。
ルフィの一味の人たちはまた集まって会議しているらしい。
そうなると次に頼るのは……
「…おれすか?」
「お?このおれか?」
ロックスターさんとヤソップさん。
特にヤソップさんは一応所帯持ちであったのだ。
案外いい手を持ってるかもしれない。
「よし!おれ達のかわいいウタのために頑張るとするかねロックスター!」
「えぇ…まあ分かりました…!」
「でも、どうするとか案あるのヤソップさん…?」
「百発百中のスナイパーのおれに任せておけ!」
4度目 ロックスター&ヤソップ - 43二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:42:51
ロックスターどんな気持ちでここにいるんだろう
- 44◆.pitCM.Fow22/10/05(水) 23:48:03
「というわけで、お邪魔しまーす…」
翌日、早朝から私はサニー号に来ていた。
しょっちゅう遊びに来ていたが今日は特別。
わざわざこちらにお泊りすることになったのだ。
交渉してくれたシャンクス達には頭が上がらない。
「いらっしゃーいウタちゅわ〜ん!」
早速サンジが出迎えてくれている。
「う、うん…どうも」
「…昨日の会議でこっちもまた作戦が出てる、どんと任せてくれよ?」
先程とは違うテンションで耳打ちをされる。
本当に付き合わせてしまって申し訳ないが、とてもありがたい。
『こういうのは真面目に少しずつじっくり接するのが大事だと思ってんですがね…』
『そうだな!じっくり最高のチャンスを待つのがスナイパーってやつよ!』
昨日のアドバイスを思い出す。
一日じっくりルフィ達と過ごして機を狙うのが今回の作戦だ。
ちょうど他の人達ともゆっくり交流したい手前、一石二鳥である。
「おーいウタ!来たんだな!」
そんなことを考えていると、ルフィが男部屋から飛んできた。
「よし、ウタも来たし、メシにしよーぜサンジ!」
「へいへい、それじゃ行きますかね」
ルフィに引っ張られながらダイニングに向かう。
今日こそは意識させて見せる、そう誓って歩いていった。 - 45二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:53:02
堅実…!
やはり真面目なター坊は頼りになるな…! - 46◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 00:01:35
5-1 ウソップ チョッパー
「おーいルフィー!ウター!釣りしようぜー!」
「しようぜー!」
釣り竿四人分を持ってきた二人がやってくる。
朝食後、こっそり今日の作戦は聞かせてもらえた。
まず最初はこの二人のようだ。
「お、いいぞ!釣り勝負だ!」
「勝負なら負けないよ!私が一番大きいの釣るから!」
釣り竿を受け取って早速垂らしていく。
四人並んで釣りをしている光景は中々ほっこり出来るが、
あいにくそうもしてられない。
「ウソップ!チョッパー!悪いけど買い物手伝ってくれる?」
「えー…しょうがねーな、行くぞチョッパー!」
「おう!分かった!」
ナミの命令にいやいや付き添うように離れる二人。
これも立派な作戦らしい。
これで自然とここにいるのは私とルフィの二人きりだ。
あとは頑張ってこう…話を盛り上げろとのことらしい。
「…それにしても釣れねーな」
「そうだねー…」
…ついボーっと釣りを楽しんでしまっている。
このままではいけない、何か話題を考えなくては。
ここは自然と日常的な会話を何かしら… - 47◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 00:05:03
「ルフィはさ…その…好きな人とか今いるの?」
やってしまった。
言ったあとで後悔が滲み出てくる。
なんてことを口走ってしまったんだ。
…というより、ルフィはどう返すのだこれ。
「おれ?おれは……ウタ、」
「ふぇ!?」
「引いてるぞ?」
「えっ?あ!」
いつの間にかヒットしていた。
急いで釣り竿を上げて釣り上げる。
かかっていたのはそこそこの大きさのタコだった。
とりあえず後ろの壺に入れておく。
「タコかー、すげェじゃんウタ!」
「う、うん…それでその…あ、ルフィ引いてる!」
「わ、ほんとだ!よーし!」
そのままルフィが目の前の獲物に集中している。
…うん、これで良かったのかもしれない。
万が一答えによっては立ち直れないかもしれなかった。
この話はここで有耶無耶にしておこう。
ルフィが釣り上げたのはサメだった。 - 48◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 00:34:54
5-2 サンジ
「ウタちゅわ〜ん!飲み物持ってきたよ〜♡」
そう言ってサンジがスキップと共に飛んでくる。
トレーの上には、少し大きめのジュースが乗っていた。
「あ、ジュース!ありがとう!」
「サンジーおれにはー?」
「あー少し待ってろ、また持ってきてやるから!」
そう言って、戻っていくサンジがこちらにこっそり目配せをしているのが見えた。
改めて自分の手元のコップを見る。
少し大きめのそれには、変わった形のストローが刺さっている。
……そう、いわゆる恋人で飲むとかいうあれだ。
なんでそんなのがちゃんとあるのかはともかく、今回それを使わせてもらった。
「んー!美味しい!」
本当にサンジの特性ジュースは美味しい。
流石のルウもここまで美味しいジュースはつくれないだろう。
「いいなー、サンジまだかー?」
ルフィがそう駄々をこね始める。
「…良かったら、少し飲む?」
「え、いいのか?」
「うん、でも全部は飲まないでね」
来た。チャンスだ。
ここでルフィが飲んだときに私も飲ませてもらおう。
少しは恋人らしい絵面になるはずだ。
まずはそういうシチュエーションを少しずつ…
「じゃ、いただきまーす」
「えっ」
そう言って、ルフィがストローを掴んだ。
…奥側、私が口をつけたほうを - 49◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 00:42:33
「待ってルフィそっちじゃ─
「ん…んめー!やっぱサンジのジュース最高だな!…ウタ?」
案の定全部飲んでしまっているがそれどころではない。
わざわざ私が口をつけたほうと逆を渡していたのに。
これでは完全に……完全に間接キスではないか。
なんだ?なんでそんなことできる?
そこまで私のこと意識されてないのか?
そんなケロッとされる程度には私女として見られていないのか?
いろいろなことが思い浮かんで頭がショートしそうだった。
「大丈夫か?すごい顔になってたけど」
「…うん、大丈夫」
誰のせいだと思っているのだ。
まさかこんな形で振り回されるのは予想外だった。
だがまだ協力してくれるメンバーは残っている。
次でなんとかしてみせると、気を引き締めてまた釣り竿を握った。 - 50二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 00:43:41
わざわざウタの口を付けた方を?
妙だな…… - 51◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 00:48:37
5-3 フランキー&ブルック
昼食後、あいも変わらず二人で釣り勝負を続けていた。
あのあとなんだかんだこちらも大物を連れて勝負は接戦である。
そんなときだった。
「アウ、ブルック!暇だしたまにはおれのギターでも聞いてみるか?」
「ヨホホ!少し興味ありますね!是非聞いてみたいです!」
後ろでそんなやり取りがある。
少しして、ギターとバイオリンの演奏が始まった。
これが今日のぶんの最後の作戦、ムードづくりである。
楽器を使えるあの二人が日常を装いつつそれっぽい曲で雰囲気を出し、
そこで私が一発ちゃきっと決める。
それが作戦である。
…いうほど作戦だろうか。ようはただの気合の入れ直しじゃないだろうか。
とにかく、場は整えてもらったのだ。
いつまでも他人頼りでもいられない。
結局最後は私がびしっと言わないとだめなのだ。
頑張れ私。私は赤髪海賊団音楽家で四皇シャンクスの娘ウタなんだ。
その意気のままルフィに声をかけ─
「さっきの質問なんだけどよ」 - 52◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 00:59:22
「おれ、ウタのこと好きだったんだよな」
「………え?」
思わず声が漏れる。
後ろの演奏も変な音になっている。
今すごいことを言われたのではないか?
今ルフィは誰だと言った?
ウタ?私?私のことが好きだった?
思わずバッと視線を横にした私の目が捉えたのは
─悲しそうな顔をした、ルフィだった。
─『好きだった』、ルフィはそう言った。
「昔フーシャ村でよ、お前のこと好きだなって思ったこともあってよ」
…待って。
「でもお前はシャンクスが好きだったから…きっぱり諦めようって思ったんだよな」
…違う。
「ことあるごとにお前シャンクスと結婚するって言ってたもんなー、凄かったぞあのときのお前!」
……それは。
「…シャンクスはおれも大好きだしよ、シャンクスが相手ならウタのことも安心できるしな!」
………。
「いつか立派な海賊になったら、麦わら帽子をシャンクスに返してよ…新時代のマークが揃ったウタとシャンクスを祝福するんだ!」 - 53◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 01:15:14
何も言えなかった。
それを言うルフィの顔を見てしまったから。
「…じゃ、そろそろ終わりにすっか!もうすぐメシだろうしよ!」
そう言って戦利品を抱えて生簀に向かう。
その、少しずつ離れていく背中を…じっと、見ていることしかできなかった。
その日は夕食を取り、帰ってきたナミとロビンと風呂を済ませ…
女部屋のソファを借りて眠った。
「…………。」
改めて突きつけられた現実が刺さる。
あの日、あのとき、あんなことを言い続けなければ。
何か今このときの変わったのだろうか。
─答えが得られぬまま、眠りについた。 - 54◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 01:21:17
〜〜
その男…ジンベエは、見張り台の上で物思いにふけっていた。。
今日の夜の見張りは自分の担当、このまま辺りを見張っていなければならない。
…だが、ジンベエの頭の中にあったのは別のことだった。
「…どうするべきかのォ…」
今日の日中に聞いたやり取りを思い出す。
ここしばらく、彼女がルフィに気持ちを伝えていたのも、
その背景も聞いてはいた。
だがルフィの心があそこまで拗れていたとは思わなかった。
……思いの外、ルフィの心には初恋と失恋が残っているのかもしれない。
あとでルフィと話してみよう。
このままでは互いのためにならない。
そう思っていたときだった。
「…む?」
寝静まった男部屋から一人出てくる。
丁度今考えていたルフィだった。
丁度いい、少し話そうと思ったときである。
「よう、ルフィ。」
突如、一人の男が現れる。
…赤髪海賊団の副船長だ。
「少し話をしようと思ってな…いいか?」
「…おう」
(続く) - 55二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 02:00:02
ベックマン!?
- 56二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 10:49:01
保守
- 57二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 14:25:04
こういう時のベックの頼れる感は異常。見てるからお頭
- 58二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 19:46:27
期待
- 59二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 21:32:27
上げ
- 60◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 22:13:11
翌日、少し寝過ごしつつ目を覚ます。
昨夜は結局悶々としてあまり良く寝ることができなかった。
結局今後どうするべきか、自分でも答えを決められていない。
今でもルフィは好きだ。
だがかつての自分の行いの影響でルフィを傷つける可能性があるなら…
自分も、初恋にけじめをつけるべきだろうか。
たとえ恋仲に慣れなくとも、今までどおり友達ではいられるはずだ。
勝負したり、食事したり、他愛もない話をしたり…そのくらいなら…。
「………いやだなぁ」
つい本音が漏れてしまった。
本当は諦めたくなどない。叶えられる望みなら叶えたい。
…だが…
「何をだ?」
「ひゃあ!?」 - 61◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 22:25:10
6 ゾロ
「い、いたんだゾロ…」
「おう」
いつの間に起きてきてたんだろう。
ゾロが欠伸をしながら後ろに立っていた。
「いやその…えーと」
まさか誰かに聞かれてるとは思わず、つい言葉を詰まらせてしまう。
「ルフィのことか?」
「え…あ………うん」
「フランキー達から聞いたが…あいつがそういうのを引きずるたまだとは意外だったな」
そう言って片手にある酒瓶を煽ぐ。
「…で?どうすんだ?お前は諦めんのか?」
「……分かんない」
まだ、自分の答えを決めあぐねている。
「…いつものあいつなら、そう簡単に決めたことを投げ出すやつじゃねェぞ」
そうゾロが続ける。
「あいつが本当にそう決めたんたら大変だろうが…海賊王になるっていう男に生半可に告白してたんじゃないんだろ?」
…そうだ。何を悩んでいる。
今まで散々ルフィが自分の我儘を通すのは見たはずだ。
私だって新時代を誓った女なんだ。
「……私、もう一回ルフィと話す」 - 62◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 22:33:36
「おう…と言いてェが、ルフィならいねェぞ?」
「え!?」
既にどこかにでかけているのだろうか
そんな話は聞いていなかったが
「あいつ先に起きてあっちの船に行くって、お前に伝えとけって言われてんだよ」
あっち…レッドフォース号にルフィがいるらしい。
「ありがとう!言ってくるね!」
そう言ってサニー号を飛び出す。
善は急げだ。一刻も早く話をしたい。
「…たく……らしくねェことしちまったな」
「全くだよクソマリモ…なんかつまみでもいるか?」
「……おう」
〜〜
「え、ルフィもう行っちゃった!?」
レッドフォース号に飛び乗ったと思ったら、ホンゴウさんにそう伝えられる。
「おう、あいつなんかベックマンと話ししてたと思ったら、山の方行っちまったぞ?」
どうやら、今度は島に行ってしまったらしい。
「島…どこらへんだろう」
「島の中腹当たりに少し開けたところがある。そこだ。」
後ろから声をかけられる。
ベックさんだ。
「ありがとう!行ってくるね!」
「あ、おいおい……慌ててんな…そういやベックマン、ルフィと何話してたんだ?」
「………少し…な」 - 63◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 22:37:29
〜〜
「………」
『お頭とウタが結婚…ほんとにすると思ったか?』
『そんなの冗談に決まってるだろルフィ…ウタとお頭の趣味の悪い出来心ってやつだ』
『なんでって…おれが言っていいもんか…まァ二人の責任か』
『お前に意識されたいってよ…ウタのやつ、お前に惚れてるんだぜ?』
「……ウタか?」
「うん…ルフィ、ちょっと話していい?」 - 64二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:38:39
これはプレイボーイ
- 65二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 22:44:10
No.2たちめっちゃ頼れる
- 66◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:07:03
山を登った中腹、日が程よく指すそこにルフィはいた。
声をかければ寝そべっていた体を起こし、こちらに向き合ってくれている。
「…それで、なんだ?話って」
「……ごめん」
何よりもまず、謝罪を口にした。
「昔よく言っていたシャンクスと結婚っていうの…全部嘘なんだよ」
本当はもっと早く言えればよかった。
「こうすれば少しはルフィに意識してもらえるかなって…馬鹿なこと考えちゃってさ」
…心など、とうの昔に決まっていたはずなのに。
「私…ルフィが好きなんだよ……昔からずっと」
目の前のルフィの片手を取りながら伝える。
これで伝わらなければ…諦めたくはないが、今度こそ手詰まりだろう。
「ずっと…12年前からずっと、ルフィのことが大好きだった」
涙が出そうになるのを我慢して、伝えたいことを全部伝える。
「ずっと本当のこと言えなくてごめん…私が悪かった……!だからさ…」
「もう一回だけ…好きだと思ってもらえるように、チャンスを─
そこから先は言えなかった。
…ルフィに引き寄せられて、抱きしめられた。 - 67◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:17:57
「ごめんな、そんな謝らせちまってよ」
「え…」
苦笑しながらルフィが答える。
「ベックマンに聞いてよ…ほんとはすぐに飛び出して行きたかったけど、我慢した」
…既に聞いていたんだ。
ベックマンと話していたのはそういうことだったんだろう
「やっぱりお前の口からちゃんと聞きたかったしよ…なァウタ」
「…何?」
「昨日はあんなこと言っちまったけど……おれ、今でもウタのことが大好きだ」
「…………!!」
「だからよ!よろしくな!…泣いてんのか?」
「…うるさい」
安心した途端、堪えていたものが溢れてしまった。
…12年、随分時間をかけてしまった。
迷惑をかけてしまったみんなには、あとでちゃんと謝罪とお礼をしたい。
シャンクスにもあとで伝えておきたい。
只今は
「…もうしばらく…ここで一緒にいていいかな」
「おう、いいぞ」
その言葉とともに、また草に二人で倒れ込む。
しばらくそうして、二人だけの時間を過ごしていた。 - 68◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:18:08
- 69二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:19:21
待って怖いよ。普通にバグ?
- 70二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:19:24
なになになに
- 71◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:20:01
ありがとうございました
これで本筋は終わりです
by一般ラインハルト
ここからは蛇足です - 72二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:21:47
あなたでしたか・・・ふ、不穏
- 73二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:21:47
待って>>68の最後はなんでこうなった
- 74二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:26:36
ホラーかと思ってスレ閉じかけたじゃねえかバカ!!
- 75◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:28:12
サニー号、先程作ってもらったつまみを片手に、
ゾロは酒盛りを楽しんでいた。
船長が飛び出し、それを追って彼女が飛び出してからしばらく立つ。
どうなるかは二人次第だが……二人ならきっと問題ないだろう。
なんとなくの思いのままに、酒を煽り続ける。
「失礼するぞ」
隣に大きな体が座り込む。
自分のぶんの酒とつまみを持って、ジンベエも酒を進め始める。
「めずらしいなジンベエ、お前が昼から飲むなんて」
「お前さん、あの二人をどう見る?」
「…ルフィのことだ、なんとか納めはするだろう」
あの船長が、小さい頃の初恋と失恋で苦悩していたのは意外だったが…
きっと本人なりに何かしらの答えは見つけるはずだ。
「……ワシは2年前、ルフィと初めて会い…彼の強さも弱さも見た」
唐突にジンベエが語り始める。
なんの意図があるのだろう。わかりかねながらも黙って耳を傾ける。
「戦争でエースさんを亡くしたときのルフィは悲しみで荒れておった…あれほどのものは、話に聞く限りお前さん達との旅でもそう見せなかったようじゃったからの」
ジンベエが語るのは、自分達が惨敗の後に壊滅したあの挫折の時。
兄を喪ったルフィは、自分達の知らないところで悲しみ、苦しんでいた。
そんなとき、ジンベエがそばにいてくれたから今がある。
「あの弱さを見たワシだからこそ…ルフィの役に立てるところもある、そう思ったんじゃ」 - 76◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:30:13
「─じゃがどうやらワシも、まだまだルフィという男をよく知らんらしいの」
『………は?』
サニー号、レッドフォース号。
奇しくも2つの船で、その間抜けな声は重なっていた。
「ひどい間抜けな声だったなお頭」
「いや、言ってる場合か?ベック…お前今なんて言った?」 - 77◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:31:08
「もう一回言うぞお頭」
「ルフィのやつ、12年前からお頭とウタの作戦知ってるぞ」 - 78二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:34:10
………は?
- 79二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:34:56
盛り上がってまいりました
- 80二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:35:22
おや予想外の方向に
- 81二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:35:33
俺は知ってた
- 82二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:35:56
12年前から計画してた……ってこと?!
- 83◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:37:53
〜12年前 フーシャ村〜
『…何泣いてんだ、ルフィ?』
『…ベックマン…』
村から少し外れた丘の上で、一人泣くルフィ。
その隣に腰を掛ける。
『なんでもねェ…』
『なんでもねェのに泣くか?…怪我してるわけでもねェし……失恋か?』
『っ!…うるせェ!』
余計に泣いてそっぽを向いてしまったルフィに、やれやれと頭をかく。
最近ウタとルフィのやり取りに妙な一文が加わっているのは、すぐに気づいた。
更に言えばその数日前、航海の帰りにウタと船長シャンクスが話しているのもなんとなく耳に挟んでいた。
その2つの判断材料があれば、あとは経験が答えを教えてくれる。
『……ったく…あの人らは』
これでは本末転倒だ。
意識させるどころか、完全に失恋になっている。
それもそうだろう。ウタもそうだが、ルフィにとってはシャンクスも尊敬する海賊。
今の自分では勝てないのを分かっているからこそ、泣きべそをかいているのだろう。
さてどうするか。
このまま放置するか、少しの慈悲を出してやるか…。
ベックマンは後者を選んだ。 - 84二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:39:54
- 85二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:42:29
言われてみれば,二重鉤括弧だ!!?
- 86二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:42:31
- 87二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:43:30
記述トリックだとぉ!?
- 88◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:44:31
『なァルフィ…お頭とウタが結婚…ほんとにすると思ったか?』
『…?だってウタがそう…』
『あの二人は親子だぞ?いくら義理とはいえ結婚なんて目に見ると思うか?特にお頭が』
『…じゃあ』
『そんなの冗談に決まってるだろルフィ…ウタとお頭の趣味の悪い出来心ってやつだ』
ルフィの目が見開かれる。
それはそうだろう。今まで自分の心を締め付けていたそれが嘘だと知ったのだから。
『…でも、なんで…』
『なんでって…おれが言っていいもんか…まァ二人の責任か』
かわいいカタギの子供を泣かせたのだ。海賊なら責任をとってしかるべきだろう。
『お前に意識されたいってよ…ウタのやつ、お前に惚れてるんだぜ?』
『………え?』
涙で赤く腫れていた顔が別の意味で赤くなった。
流石子供、単純というか純粋というか純情だ。 - 89二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:44:44
- 90二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:45:41
- 91二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:47:13
- 92◆.pitCM.Fow22/10/06(木) 23:52:28
『そっか…そっかァ…!』
機嫌を直したルフィだったが…その顔がたちまち顰められる。
『…じゃあおれ、ずっと二人に嘘つかれてたんだな』
『…ま、そうなるな…騙されたほうが悪いって諦めとけ』
ともかくこれで一見落着だろう。
そう思ったが……ルフィはそれで済まなかったようだ。
『なんか腹立ってきた!おれも仕返ししてやる!』
『仕返しってどうやるつもりだ?』
『うっ…うーん……』
単純なルフィに人を騙すなんてことができるのか…
多分無理だろう。
そう思ったからこそ、こっそりとアドバイスしてやった。
『ならルフィ、逆に乗っかるのはどうだ?』
『乗っかる?』
『ああ…あっちがそれでお前に意識させたいなら…お前も嘘に乗っかっちまえ』
『そのうち今度はウタがどっかでアプローチするだろうからな…その時今回の話を出してのらりくらりとしてやりゃいい、そうすりゃきっとウタも焦ってまた派手なアプローチしてくれるだろうぜ』
中々意地の悪い話なのは自覚はあった。
だがまぁ子供の戯れ、それもウタとルフィだ。
どうせすぐにボロが出て解決するだろう。
『…分かった!それで仕返ししてやる!ありがとうベックマン!』
元気を戻したルフィが村に戻っていく。
やれやれと肩を竦めながら、ベックマンもあとに続いた
─この後、2つの大きな誤算が生まれるとは思いもしなかった。 - 93二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 23:56:39
ルフィ…、お前12年もの間『溜めて』いたのか…!?
- 94二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:01:49
南中重貞
- 95◆.pitCM.Fow22/10/07(金) 00:02:37
一つはエレジアの件。
唐突な事件によって、ウタとルフィは唐突に引き裂かれた。
まだ何も解決していない最中の別れは大きな傷を残し…
再会したとき、二人、特にルフィに封じられていた恋心の形を大きく歪ませた。
そして。
『少し話をしようと思ってな…いいか?』
『おう』
停泊するサニー号で二人で話す。
…正確にはもう一人聞いているが、まあいいだろう。
『最近ウタにしっかりアタックされてるみたいだな』
『ああ、今日もあいつらと一緒に頑張ってたな』
そう言ってルフィが笑う。
…もう一つの誤算は、ルフィの執念だった。
12年間溜められた感情を抑え、徹底的にウタの告白をかわしていた。
本来すぐに答えるか、演技がバレて笑い話になると思われたそれは、
ルフィの驚異の演技によって見事なまでのものとなっていた。
『…それで?あとどのくらい続けるつもりなんだ?』
『うーん…でもおれもそろそろ我慢したくねェしな…』
芝生に寝転がりながらルフィが唸る。
『…明日島に出かけるからよ!そこで二人で話そうと思うんだ!楽しみだなァシシシ!』
そう言って無邪気に笑うルフィ。
そのルフィの目を見て…ベックマンは久々に、背中に悪寒を感じたという。 - 96◆.pitCM.Fow22/10/07(金) 00:07:38
〜〜
「…ひゃ!ちょ、どこ触ってるのルフィ!」
「わりィ!つい!」
「もう……」
12年。
12年待ち続け、やっと手に入れた目の前のお宝を前に、未来の海賊王は笑う。
「シシシ…なァウタ、大好きだぞ?」
「また?まぁ何回言われても嬉しいけど…」
ウタとシャンクスの二人の幾度にも渡る作戦。
まだ、全て『仕返し』し尽くせたわけではない。
本当はもう少し続けたかったが、これはこちらが先に音を上げてしまった。
こればかりはルフィの負けである。
…ならば、次はどんな『仕返し』をしようか。
二度と手放すつもりのない宝を胸に収めた男は、それを考えながら笑った。
おわり - 97◆.pitCM.Fow22/10/07(金) 00:10:52
今度こそ終わりです
重いルフィのルウタからしか取れない栄養があると
モルガンズも言っていた気がしますね
最近創作熱はあるのにそれ以上に書きたいネタがあって
どれからやるか悩みながち
そろそろスランプも抜けたしハーメルンも再会したいですね
それではまた会いましょう
by一般ラインハルト - 98◆.pitCM.Fow22/10/07(金) 00:15:36
ネタメモ
ゴードンの手記(中?)
ウタinアニマルワールド(中?)
安価学園ウタラジオ(短)
ウタ日記(中?)
????????????(長)
あとなんかいいネタとかスレとかあったら教えて下さい
もしかしたらネタリストに入れるかもしれません - 99二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:18:55
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- 100二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:38:00
最後の最後、そうきたか〜!
いやぁいいもの見せてもらった。このss語り継がれろ - 101二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:41:23
ハーメルンでの作品名とか作者名を知りたい
- 102二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 11:02:30
保守
- 103二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 16:07:31
想いが重い乙女ウタと、さらに激重ルフィの組み合わせはやっぱり効くねェ~
- 104二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:43:05
素晴らしいものを見た....
- 105二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:12:15
なんというどんでん返し!見事!!
- 106二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 23:13:18
次回作期待、かな?
- 107二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 00:39:06
ハーメルンではどんな小説書いてるんすか?
- 108二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 00:46:41
スレ主じゃないけど多分それってやつ
元々ここの掲示板のスレが元ネタのやつらしい
二人の世界のつづき - ハーメルン魔王との激戦を経て、 最後の時を夢の世界で過ごしたルフィとウタ二人。 いざ別れのとき、現実世界のウタが息を引き取ってしまう。 それは、二人がここに永遠に閉じ込め…syosetu.org - 109二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 08:54:19
お疲れっした!
- 110二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 17:48:45
最後なんだ…
- 111二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 01:02:14
ルフィだけ取り残されるのはここでも結構見かけたな
- 112二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 04:09:30
- 113二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 15:17:59
あの世界トラックあるのか?
- 114二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 15:33:19
間違いに間違いを重ねるな
- 115二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 23:27:35
トラックで草