読む前ワイ「この剣闘士の女の子の服装エッチすぎ!」

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 20:48:04

    ワイ(オモチャの兵隊さん)「レベッカ、キュロス、幸せにな…天国から見守ってるで…」

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 20:49:18

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  • 3二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 20:50:45

    辛い記憶はワイが天国に持っていくから、辛い記憶とワイのことは忘れて楽しく仲睦まじくくらしてほしい

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:10:33

    ──『大事にされた物には、魂が宿る』
    東の海のどこかでは、今もそんな伝説がまことしやかに囁かれている。
    それを聞いた者の大半はその伝説を鼻で笑うだろう。
    科学者がそれを聞いたならば、それはきっと悪魔の実を知らない者たちが、うっかり実を「食べた」道具を見たのだ、と言うかもしれない。

    その真実の真偽を知るものは、いまやどこにもいない。

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:21:12

    「それ」が初めて目にしたものは、雪の降る中作りものの手を握り、笑顔を浮かべる少女であった。赤くなった手で、冷たいだけのブリキの手を握っても、少女の手が暖められることはないし、「それ」の手が暖かくなっても、それは少女の手の熱が移るだけだ。「それ」に暖かさを感じることはできない。
    だが、「それ」とは別の、元からそこにいた何かは、確かにそのあたたかさを感じていた。
    「それ」も、不思議とあたたかさを感じたような気がした。

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:41:50

    元からそこにいたものは、「キュロス」という名前だった。しかし少女は「兵隊さん」と呼ぶので、「それ」は不思議だった。
    キュロスの「それ」の扱いは、とてもいいとは言えなかった。足は片方しかないから普通に歩くだけでも痛みやすいのに、重いものを運んだり、挙げ句の果てには海で働いたりもした。潮風と海水は、「それ」の天敵だった。
    キュロスが常に限界を超えて動いていたのは、自分には必要のない食料のため、それを食べる少女──レベッカのためだった。
    レベッカは、いつも買ってきた食料を分けて食べようとした。元から腹は空かないはずだが、キュロスは、「それ」は、少女が少ない食料を分けてくれようとするたびに、腹が膨れるような気持ちになった。

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:56:57

    キュロスは、元は人間であるようだった。そしてレベッカは、キュロスの娘だった。「それ」よりもさらに小さい者たちにキュロスが話したとき、「それ」もそのことを知った。
    今日も今日とて、キュロスはレベッカが目を覚ます前に、少女の元を訪れた。いつものように、よく眠れたか、と聞くキュロスを、レベッカは「兵隊さん」と呼び、笑顔を浮かべた。「それ」は、キュロスが「お父さん」と呼ばれないことを考えると、錆びついたような、ギシギシと軋むような心地がした。
    レベッカの背が「それ」の背を越したときは、嬉しくも、少し悲しくも思った。きっとキュロスは、今のレベッカよりもずっと背が高いはずなのだ。「それ」に知ることはできないが。

  • 8二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:09:01

    急に文豪がくるじゃん
    びっくりする

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 22:29:05

    その日、「それ」は、キュロスの深い悲しみを感じた。
    レベッカに、戦い方を教えた日であった。
    「それ」は、レベッカが言った「お母様」という言葉の意味を考えた。レベッカの、お母様。それはきっと、キュロスにとっては──。
    「それ」には当然家族はいなかったが、レベッカが嬉しそうに話す思い出や、墓に花を供えるときのレベッカの悲しげな顔とキュロスの感情、何よりも、お互いに助け合うレベッカとキュロスを見て、知っていた。
    「それ」は、自分というかたちの脆さを、その弱さを思った。

  • 10二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 23:51:30

    レベッカは、よく泣く子供だった。「それ」が痛みを感じることは無いというのに、「それ」が野良犬に噛まれたり、悪党にぶたれたりしただけで、よく目を潤ませていた。
    今、そんな優しい少女は、民衆という敵に囲まれ、罵声を浴びせられ、泣いていた。
    以前のように会うことも、守ることもできない。
    はやく、はやくやらなければ。助けねば。
    ドフラミンゴを倒して。
    ……シュガーを、倒して。
    「それ」は、そのことの意味を知っている。しかし、考えたくは、なかった。

  • 11二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 00:06:00

    「それ」は、レベッカが放った言葉を考える。
    キュロスは、レベッカの親だ。
    「それ」は、そうではない。
    キュロスは、人間だ。
    「それ」は、そうではない。

    キュロスは、たとえその命が尽きようと、この国を…レベッカを、救おうとしている。
    「それ」は、

  • 12二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 01:26:41

    ついにその時がきたのだ、と、「それ」は悟った。
    王宮の外が、俄に騒がしくなる。
    敵の間に、ざわつきが走る。
    「それ」は。

    いや。

    「オモチャの兵隊」は、空っぽのはずの身体が、満たされるような気分だった。…満足だった。
    きっとこうなるのが、正しいことなのだ。人間こそがキュロスの本来のかたちで、オモチャが動くのは、きっと、正しいことでは無かったのだ。
    レベッカともう会えないのは、とても寂しいことだけど。
    父親がいない間、レベッカが寂しさを感じなかったなら、レベッカを、自分を大事にしてくれる子供を笑顔にできたなら、それはオモチャにとってこのうえない名誉だ。
    子供が大人になるのなら、オモチャは忘れられるのが世の常だ。
    意識が、消えていく。
    身体が変わっていく。戻っていく。
    オモチャの兵隊は、自分の、いや、キュロスの口角が上がったことに気づいた。
    オモチャが最後に考えたのは、親子の幸せについてだった。

  • 13二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 01:53:08

    スゲーいい話なのにワイ=オモチャなのがノイズ

  • 14二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 11:28:41

    もうちょっと書きたいな

  • 15二次元好きの匿名さん22/10/06(木) 20:44:31

    >>14

    もっと書いてくれてもいいんだぜ!

    アンタのSS…もっと見てみたい

  • 16二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:23:46

    「どこだろう、ここ…」
    レベッカは、ため息をついた。
    マリージョアにゆく途中で立ち寄った、彼女にとっては初めての、ドレスローザではない島。しかも、その国はちょうど祭りの最中であり、その新鮮さに目移りしているうちに、彼女は家族とはぐれてしまった。
    探そうにも見渡す限りの人混みであり、なんとか人の少ないあたりに辿り着いたときには、彼女はクタクタだった。
    もうちょっと探してみて、それでも見つからなかったら船のある港に戻ろう。みんなも、最後は船に戻ってくるはずだ。
    レベッカは、不安を押し込めて立ち上がり、そのまま、人混みの中に進んでいったが、──ふと、足を止めた。

  • 17二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 00:54:57

    彼女が足を止めたのは、古い骨董品や、ガラクタのようなものをシートに置いて売っている、出店の前だった。
    彼女の目を奪ったのは、そのうちの一つ、くるみ割り人形だ。
    レベッカはしゃがみ込み、それを手に取った。
    「……すっごく、似てる。」
    それは、キュロスのかつての姿にそっくりだった。

    今のドレスローザでは、オモチャを見かけることはあまりない。それは復興の真っ最中であることだけが理由では無かった。多くの国民にとって、オモチャというものは、嫌な記憶を──ドフラミンゴによる支配の記憶を呼び覚ますものであり、みな無意識のうちに避けているのだ。

    しかし、レベッカは不思議と、そのオモチャを見ても、辛い気持ちになることは無かった。

  • 18二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 01:52:30

    彼女自身不思議ではあったが、彼女がその人形を見て思い出したのは、闘技場でのことでも、母が死んだ日のことでもなかった。
    彼女が思い出したのは、兵隊さんと一緒に祝った誕生日や、店で二人で服を選んだこと。それから、手を繋いで歩いた帰り道や、なんてことのない幸せな日だった。
    レベッカは、疲れを、不安を忘れたような気分になった。
    「すいませんおじ様、この人形っていくら?」
    彼女は、暇そうに座り込んでいる老人に声をかけた。

  • 19二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 09:53:15

    保守

  • 20二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:50:38

    「レベッカ!」
    その声がかけられたのは、レベッカが老人から小さな紙袋を受け取った、ちょうどそのときだった。
    「お父さん!」
    レベッカは立ち上がり、店主へのお礼もそこそこに、声の主に駆け寄った。
    「ごめんなさい、いつのまにか見失っちゃって…」
    「急にいなくなるから心配したぞ。お腹が空いただろう?何か食べに行こう」
    「うん!」
    レベッカは、はぐれないように手を繋ぎ、もう片方の手で大事そうに紙袋を抱えた。
    キュロスは、一瞬だけ逡巡し──しかし、しっかりとその手を繋ぎ返した。

  • 21二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 17:54:44

    終わりやね
    後はなんか各々キュロスとレベッカの好きなところ語るスレにしてくれ

  • 22二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 19:55:59

    レベッカとキュロスはとにかく良いんや。何がいいとか語彙がないから表せないが、とにかく万能に効く薬なんや。

  • 23二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 22:36:35

    キュロス、小人たちと作戦立てつつずっとひとりでレベッカの面倒見てたのマジで偉すぎる

  • 24二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 23:17:55

    このコマ、レベッカの寝癖が可愛くて好き

  • 25二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 04:30:03

    わ!ほんとに続き書いてくれてる!ありがとう!
    レベッカとキュロスはもう手繋いで買い物してるの見るだけで健康に良い

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 04:38:23

    辛い記憶を持っていくのはいいが

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