【トレ→ウマ注意】白紙の便箋【SS】

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:21:07

    彼女…ファインモーションが帰国してから数日たった時のこと。
    テレビに映る、上品な服に身を包み…まさに王族といった柔らかな微笑みを讃える”ファインモーション”を眺めていた。
    『…寂しいな』
    自分はそう呟き、戸棚の引き出しを開ける。

    そこにあるのは、まだ何も描かれていない新品の便箋だった。
    彼女に送る手紙を、綴ろう。そう思った。

    『…何から書こうかな』
    彼女のことをじっくりと思い出す。

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:21:19

    これはデビューして間もない頃の記憶。
    「___ねえトレーナー!ここのラーメン、おすすめって本当!?」
    『本当だよ』
    「わぁ…!キミからおすすめを教えてくれるなんて嬉しい♪ねえねえ、どんなところがおすすめなの?」
    『ここはね………』

    「わぁっ!辛い!」
    『大丈夫だった?一応、SPさんに事前に毒味に来てもらってOKをもらってはいるけど…』
    「ありがとうトレーナー!こんな辛いラーメンを食べるのは新鮮だよ…ラーメンの世界は奥が深いね…」
    そうして楽しそうな笑みを浮かべた君。

    これはある日の日常の記憶。
    「聞いてよトレーナー!みんなで闇鍋をしたんだ!題して”ヤミナベス女王杯”!」
    『…ヤミナベス女王杯?』
    「うん!面白かったよ〜、みんなそれぞれ独特なものを持ってきて!あっ、私は中華麺を持って行ったんだけどね?一気にラーメンになっちゃったんだ!」
    『そりゃあ、そうだろうな…』
    「でも楽しかった!次はいつやろうかしら?来週でもいいかも!」
    君は楽しそうに話した。

    これは最近の…日常が終わる頃の記憶。
    『…なあ』
    「どうしたの?深刻そうな顔をしてるけど…」
    『…帰るん、だよな…いや、変なことを言うようだけどさ』
    「…そうだね、帰るよ。私は”ファインモーション”だからね」
    そういって微笑む君。
    その微笑みに潜む今にも溢れ出しそうな悲しげな雰囲気が、忘れられなかった。

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:21:30

    …自分はそっとペンを置く。
    そうして、便箋を戸棚にしまい直した。
    彼女は覚悟を超えたものを持っている。
    ”ファインモーション”に絡みつく運命を受け入れた上で、帰ったのだ。
    なら、自分が手紙で言えることなどないだろう。

    窓の外の空を眺める。
    空の色は違えど、君もこの下にいるのだろう。
    『…また、”君”に会えるといいな』

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/05(水) 21:21:47

オススメ

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