- 1と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:03:42
和風喫茶リコリコ。
錦木千束はそこで看板娘をしながら人助けを日課にして過ごしていた。
千束「先生、千束スペシャルまた注文入りましたよ〜。あれ? どうかしました?」
ミカ「いや、すまん。お前の心臓の状態の事を考えてしまった……」
千束「もう〜、大丈夫だった。千束はどこにも行かないよ。先生を置いていったりはしないってば」
千束は店長のミカに笑顔を向けるが、その笑顔には「いつかその日が来たら、構わず私を置いて行ってね」と書かれているように見えた。
千束は優しい女の子だった。
フキ「こんにちは」
入り口のベルが鳴り、リコリスの元同僚のフキが来た。フキは席にもつかず、千束に歩み寄った。
千束「お、久しぶりだねぇ。先生でなくて私に用があるの? DAからの依頼?」
フキ「お前の仲間が次々と殺されてる。次はお前の番だ。お前ほどじゃないが優秀な護衛を付けるから、せいぜい生きろよ」
サクラ「どーもッス!」
千束「ふーん」
刺客に慣れている千束は平気な顔をしながらため息を吐いた。
千束「面倒臭いなぁ。ここで静かに暮らしたいんだけど」
フキ「暮らせるだろ。この件が終わればな」 - 2と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:06:08
フキが帰ると、いかにもテロリストな感じのモブ男が店内に入り、さっそくサクラが撃たれて倒れる。
千束「ちょ、なんなのアンタ!?」
モブ男「まぁ、聞け。コイツは無事だ。少なく今のところはな。この店を守りたければ俺達に協力しろ。OK?」
千束「OK!(ズドン)」
モブ男は千束の撃った炸裂ゴム弾で速やかに失神する。
するとモブ男の持っていたスマホから声がした。
真島「麻酔弾だよ。ホンモノの弾使いたかったぜ」
吉松「彼女には煽りの才能があったからね。真島くんに頼んで活かして貰った」
スマホの画面には椅子に縛られた吉松氏と10年前に電波塔で対峙したテロリストが映っている。
千束「真島ァ! 旧電波塔と一緒に爆死したはずじゃ!?」
真島「残念だったなァ、トリックだよ。テメェに負けてからずっとバランスをとる事ばかり考えていた。長かったぜぇ。
……じゃ、11時間だけ待ってるからな。大事なヨシさんのバラバラ死体をデリバリーされたくなかったら、俺の仲間になるか殺しに来いよ」
吉松「私からも依頼だ。千束、私をこんな目に合わせた真島を殺してくれ」
千束「えー、やだぁ」
ロボ太「待ち合わせ場所への案内はこの世界一のハッカーロボ太様がしてやるぜ! スマホ大事に持ってろよ!」
千束「なんだ、ロボ太か」
ロボ太「心配しなくても、吉松の面倒はボクが見ててやるよ」
千束「あはは、面白い奴だねぇ。気に入ったわ。もし人を殺す事になったら最初に殺してあげる♡」
ロボ太「ヒエッ…」 - 3と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:07:23
千束は店の奥の押し入れに行くと、その中で猫型ロボットのようにくつろいでる少女クルミを呼んだ。
クルミ「とりあえず吉松氏の居場所を特定しつつ、ドローン映像を細工してロボ太に千束が従ってるように見せかければいいんだな」
千束「そ。なんとかヨシさんを助けないとね」
ミズキ「それで相手の裏をかけるとしても、ひとりでは心もとないわね」
その折り、またリコリコの入口から誰かが来たようだった。
たきな「本日から転属しました、井ノ上たきなです。短い間ですがよろしくお願いします」
千束「わぁ! 可愛い子が来たぁ!」
思わずたきなに抱きつく千束。
千束「っと、早速だけど緊急事態。今からテロリストから私の命の恩人を助けに行くの。助けて。君だけが頼りなんだ」
だがたきなは困惑する。
たきな「……え、無理です。まだここに来て5分と経ってないんですよ?
それにその話はリコリスの仕事ってわけでもないですよね? 私早くDAに戻らないといけないんです。ヘマをした責任を押し付け私を追放された司令部に報いを受けさせないと。死か自由かです」
すると千束はたきなを抱きかかえる。
千束「えー? せっかくリコリコに来たのにもったいないよ。私は君に会えて嬉しい!」
たきな「(トゥンク)……じゃあ、今日だけは協力します」 - 4と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:09:35
クルミ「すまん、吉松と真島の居場所は特定できなかった。けどその代わりロボ太の場所は簡単に見つけられたぞ」
千束「オッケー、そいつ縛り上げれば分かるよね」
ロボ太「クソ! なんでボクの居場所がバレた!? 早く逃げないと!」
車で千束を撥ねつつ逃走。でも千束は無傷。
千束達もミズキの車で追いかける。
たきな「あなた一体何なんですか!? ヤクザの組長には怪しい粉を売る! 日本語学校の講師もしてる! かと思ったら敵との撃ち合いでも誰も殺さない! お次は敵の人命救助ときました! 一体何があったのか教えて下さい!」
千束「えー、なんか面倒くさい」
たきな「今日は厄日ですね!!」
無事にロボ太を捕まえた千束。
パソコンから真島達の居場所が判明する。
旧電波塔だった。
千束「ロボ太ァ、お前は最初に殺すと約束したよなァ? おぉん?」
ロボ太「ヒッ……! た、助けて……!」
千束「あれは嘘だ」
クルミ「もしもし、ポリスメン?」 - 5と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:11:58
その後、たきながモーテルでルームサービスしたり、千束が100%オフで買い物したり、ミズキが羽のついたカヌーを操縦したりしながら旧電波塔に到着する。
テロリスト「二手に分かれろ! 油断するな!」
当然モブの銃弾は千束に当たらない。
一方的に千束が無双してついに真島と対決する。
真島「へへっ、気分いいぜ! 昔を思い出す!」
千束「どうしたん、怖いんかァ!? 私が苦しみもがいて死んでいく様が見たいんとちゃうんかァ!?
来いよ真島! 銃なんか捨ててかかってこい!」
真島、かつてのトラウマを思い出す。
真島「人質のヨシさんなんかいらねぇ! ハジキも必要ねぇ! てめぇなんか怖くねぇ! 野郎ぶっ殺してやるぅぅぅ!!」
至近距離からの死闘の末、ついに真島は塔から屋外追放される。
一方その頃。
DAの楠木司令はロボ太が逮捕された現場に出向いていた。
楠木「この暴れ具合……ヤツの仕業だな。千束を探せ。ヤツが生きていればもう死体は増えないはずだ!」
フキ「何が始まるんです?」
楠木「知らん! 千束に聞け!」
フキ、それもそうかと納得する。 - 6と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:13:32
吉松「ふん、千束め。あの程度で真島が死ぬわけないのに。使えない奴だ。せっかく代わりの人工心臓を用意してやったのに、あげるわけにはいかないな。これで千束の命はあと2ヶ月か。あらかじめ心臓を破壊した工作も無駄になったな」
逃走する吉松。
だが背後からパイプを突き刺される。
たきな「地獄に堕ちろ、吉松!」
たきなは吉松の死を確認する間も無く、吉松の胸を切り裂いて人工心臓を奪い取った。
千束「ふー、終わった終わったー。ヨシさんいなかったねー」
たきな「はい。でも吉松氏は千束の為に新しい心臓を残してくれましたよ。偶然見つけました」
千束「そっかー……やっぱりヨシさんは私の救世主だね。今度店に来たらお礼しないと」
たきな「……そうですね。もしまた会えたら、きっと……」
1週間後、楠木司令から千束に電話がかかる。
楠木「もう一度リコリス部隊を編成したい。お前さえ戻ってくれば」
千束「あー、無理。だって今ワイハにいるから。じゃあねー」 - 7と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:15:24
その頃アラン機関の幹部達が不穏な企みを練っていた。
幹部A「吉松が死んだらしい」
幹部B「だが奴はアラン機関の中でも最弱……」
幹部C「とりあえず錦木千束の心臓をまた破壊しておくか。奴の人殺しの才能を活かす為にも、一度わからせておくべきだな」
幹部D「ん? ところでこのリムジン、さっきから動きが変なような?」
線路上で停車し、そそくさと立ち去るリムジンの運転手。顔は包帯に覆われていて。何やら小声で「バランスを取らなくっちゃあなぁ」と呟いていた。
いつの間にかドアはロックされていた。
リムジンの中の電話が突然鳴る。
幹部の1人が電話に出ると、ウォールナットと思わしき電子音声が「お前達は消去された」と冷酷に告げた。
貨物列車が1台、このリムジンに向かって轟音を立てながら迫ってくる。
THE END - 8と言ったな? あれは嘘だ22/10/07(金) 21:17:20
- 9二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:18:21
ソレスタルビーイングかな?
- 10二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:22:42
サイレントジン(僕、映ってなかったなぁ……)
- 11二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 21:54:02
リコリスクライシス2
- 12二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 00:38:07
実際真島に車で跳ねられてたのに無事だったし、タフネス過ぎる
- 13二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 01:17:45
だいだい合って…合ってる…?
- 14二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 01:19:36
>テメェに負けてからずっとバランスをとる事ばかり考えていた
これ好き
- 15二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 09:12:48
汚い仕事をやらせたがってる連中(吉松)であって、真島は違うという
- 16二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 20:39:58
さりげなく口説いてたらしこんでおきながら、「君はロボ太と楽しんでたんだよ」と娼婦のフリさせる鬼畜……