- 1二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 22:04:41
- 2二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 22:07:41
ありがとうイッチ
続きもよろしく - 3二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 22:09:13
イイダ・シッペの法則というものがあってだな
- 4◆GiMcqKsVbQ22/10/07(金) 22:27:05
見通しが甘かった、としか言いようがない。「王女様と同じチームに入って失礼しちゃったりしたらどうしよう」なんて考えてた浅ましい自分を叱りつけたくなる。
「気負いすぎていたのかもしれないけれど、まだ身体のできていないこの時期にあんな走り方をしてしまってはレースよりも先に身が持たなくなるよ」
王女様のトレーナーからそう言われたのは選抜レースの後。走りを見てからスカウトしたいと言われて確かに気合を入れすぎていたのはある。ただ、私はとにかくがむしゃらに走る以外のやり方を知らない。後ろから追いかけるなんて性に合わない。それを見抜かれてもいたのか「君には俺の指導は合わない。自分自身の走り方を活かした指導をしてくれるトレーナーの元で走った方がいいだろう」とチーム入りは断られてしまった。
「どうしたらいいんだろう。今更他のトレーナーを探すだなんて」
王女様とも少しお話したけれども最終的におすすめのラーメン屋を聞いただけになってしまった。とりあえず何も出来ることはないので、ラーメン屋に行ってみることにする。
ラーメンおいしい。でもこの麺を啜るのはなかなか慣れない。そう思いながら少しずつでも食べていると、隣の席にトレーナーバッジをつけた若い男性が座った。もう、この人でいいか。そう思って声をかける。
「そこのトレーナーさん、私をあなたの担当にして」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして目をぱちくりとこちらを見ながら、トレーナーは「とりあえず、食べ終わってからにしようか」と言ってラーメンを食べ始めた。なんか奢ってもらった。 - 5◆GiMcqKsVbQ22/10/07(金) 22:41:20
誰でもいいやと思って声をかけたトレーナーと、走り続けてきたトゥインクルシリーズ。私は今、王女様の隣に立っている。
「エリザベス女王杯で、私と戦ってください。ファインモーション殿下……いや、先輩!」
トレーナーの指導を受けてわかった。ただがむしゃらに走るだけではなく前で走るためのフォームがあること。走り切るためのスタミナをつけること。そしてバ群をコントロールするための逃げ方というものがあること。ただ前に行きたいだけの私を、この舞台で勝てるように頭を悩ませてくれた。そんなトレーナーと、私はかつてのケジメとして挑戦状を叩きつけた。
「もちろん大歓迎だよ!私もあのラーメン屋さんを先おすすめした甲斐があったよ!」
ラーメン屋はともかくとしてこうして快諾してもらい、今同じターフの上に立っている。
「ファイン先輩、勝負です!絶対に勝ってみせます!」
「ふふ、私も本気で走るから、勝負にならなかったらごめんあそばせ」
流石の余裕。これが無敗のままエリザベス女王杯を制したことがある先輩のオーラ。隣に立って初めてわかる、その笑顔の奥から感じられる高揚感。いろんな先輩と話してわかったこと、走ることは楽しい。そしてトレーナーはいつも「楽しんでこいよ!」と送り出してくれる。そう、だからこのレースも楽しませてもらおう。私なりに、一番前で。
「生憎、追いかけるのは苦手なんです。後ろから突かれるくらいがちょうどいい」
そして、ゲートへと向かう。トレーナーさん、あの時断ってくれてありがとう。先輩、あの時アドバイスしてくれてありがとう。トレーナー、あの時受け入れてくれてありがとう。
───いってきます! - 6◆GiMcqKsVbQ22/10/07(金) 22:41:54
以上です。言い出しっぺだからちゃんと書いたぜオラァ!
- 7二次元好きの匿名さん22/10/07(金) 22:43:37
感動した、と心のチケゾーが申しております
- 8二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 00:44:36
ラーメン屋とかいうウマ娘とトレーナーをつなげる魔法の舞台