【SS】【CP注意】故郷｜あにまん掲示板

1スレ主です。22/10/08(土) 14:07:30

ここだけサボがフーシャ村に身を隠し、イム様砲がゴア王国に落とされ、ルフィの故郷が消え去った後にフィルムREDに入った世界線。

ルフィはその情報を知りフーシャ村に向かうも島は無く、海に浮かぶ激しく欠損したサボ、マキノ、ダダンや村人たちの遺体を見て1度精神崩壊しかけている。

っていう設定のSS書きました。

2二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:08:17

(これって遺体残るのかな…)

3二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:08:29

🍲ﾍﾞﾝｯ!!
🔥

4スレ主です。22/10/08(土) 14:08:35

「……私にとっても大事な帽子…」

「いつかきっと…この帽子がもっと似合う男になるんだぞ─────」

そう言って私は涙を流す幼なじみに麦わら帽子を被せた。

うん…もうこれでいいんだ。最期にシャンクスにもルフィにも会えた。現実に思い残すことはない。
あとは独りで──いや、1人で。夢の中で遊んで、それにも飽きたら……ちゃんと逝こう。

ルフィの身体に音符が巻きついていく。

「…そろそろお別れだね……」

「…………」

ルフィはなにも話してくれない。

「…悲しくなっちゃったの？大丈夫だよ。それに、ルフィには大切な人たちがいるでしょ…？」

「……!!」ｶﾞｼｯ

5二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:08:49

人の心というかこれウタの新時代をわんちゃん行きそう

6スレ主です。22/10/08(土) 14:09:40

「…え？なに?!早く戻らなきゃダメだよ!!間に合わなくなっちゃう!!」

ルフィは周りの音符を蹴散らして、私の腕を掴んできた。

「…………ウタ!!」

「なによ?!今さら遅いよ！」

「……お前…独りでいるのは寂しいだろ…？」

「…………!!…バカ!!」

私は思わずハッとする。

……バカ！ルフィのバカ！なんで!!なんでよ！
考えないようにしてたのに…！
そんな、そんなこと言われたら……もう…

「……ルフィ!!なんで…そんなこと言われたら……私、私……！」

涙ぐみながらルフィに喚く。

「…………オレが一緒にいてやるよ…」

「…………え？」

そう優しく話すルフィの目には、いつもの明るさが無くなっていた─────

7二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:09:57

俺も行くルート？

8スレ主です。22/10/08(土) 14:10:18

「…でもダメだよ！ルフィには仲間がいるんでしょ?!」

「……………………いる。」

「そうでしょ!!なら戻らなきゃ!私が作れなかった“新時代”作ってよ!!
それに、ルフィには生まれ育った故郷が──」

──ウタワールドに、激しい轟音が響いた。

「……?!…ルフィ？なにしてんの?!」

ルフィが話している途中に、突然床を殴りつけたので思わず驚いてしまった。

「……ウタぁ…もう、もう…フーシャ村は……」

ルフィが号泣しながら顔を上げる。

「あ、あ、……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ｶﾞｸｶﾞｸｯ

9スレ主です。22/10/08(土) 14:10:46

「どうしたの?!ルフィ!!落ち着いて！」

慌ててルフィを抱きしめて、宥める。

「…………フーシャ村になにかあったの？」

「…………………………」

ルフィは無言で小刻みに震えるだけだ。
でも、こういうときこそ私の能力の出番。ウタワールドで私は万能。
ルフィに触れて、記憶を読み取った。

10スレ主です。22/10/08(土) 14:11:26

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「……はぁ、はーっ！そんな……！フーシャ村の人たちが……マキノさんまで…!!」

あまりにも凄惨すぎるルフィの記憶を読んだ。

「……辛かったね……本当に……」

ルフィを抱きしめる力を強める。

「……でも、ダメだよ。ルフィ。故郷がなくても、まだあなたには仲間がいる。その人たちを守ってあげて？」

「…………ウタ……ムリだ…そんな自信はねェ…オレにはもう…」

11スレ主です。22/10/08(土) 14:12:00

ルフィの記憶が流れてきた。
それは私がエレジアに残されたあとの思い出。
ルフィの少年時代と、そこからの冒険。

……ウソ……お兄さんたちまで……

エースはルフィの前で腹を貫かれ、サボはマキノさんと同じく海に浮かんでいた……

「……ウタ！ダメだ！もうオレにはあいつらを……仲間を守ってく自信がねェ!!……なのに、ここでお前までいなくなったら……オレは……オレは…………」

ルフィが酷い表情で訴えかけてくる。
だから私がルフィの仲間を捕まえたときに、あそこまで怒り狂っていたのか……
でも、でも、……

「……大丈夫。大丈夫だから…ルフィなら必ず“新時代”を作れるよ…出会ったときからそう思ってたんだから──」

「…オレだけの話じゃねェ!!……ウタ!!お前は独りでいる辛さをわかってねェ!!」

「…………なんで……なんでよ……!!」

私の心に再び釘が刺さった────

12スレ主です。22/10/08(土) 14:12:41

「…正直になれよ！ウタ！お前は…また独りで抱え込んで……!!」

「違う！違う!!うるさい!!」

独りでも………1人でも寂しくない!!辛くもない！

「……ウタ！」

ルフィが私を抱きしめる。

「オレはちゃんといてやるぞ……」

そんなこと言われたら、もう─────

「ぁ、あ、ぁ、…………ルフィィィィィィ!!やだよォ!!やだ!!ホントは独りでも寂しい!!……行かないで!!私と一緒にいてよォ!!!!」

「ウタ……!!分かってるよ！いてやるからっ!!一緒に!!……あいつらには悪いけど…お前がいて欲しいならずっといてやる!!」

「ルフィィィィ!!うわぁぁぁぁぁん!!」

13スレ主です。22/10/08(土) 14:13:06

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「……落ち着けたか？」

「うん……うん。……ごめんね？私のせいで……」

「……いいんだよ。仲間には悪いけど、あいつらには故郷とかやりたいことがあんだ。…もうオレは大事な人にいなくなってほしくねェんだ!!ししし!!……」

そう笑うルフィには、どこか影があるように見えた。────

14スレ主です。22/10/08(土) 14:13:29

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「…やめときやしょう……市民のいる中で戦争をおっ始めるのは…」

そう言って海兵さんたちは撤退していった。

「……シャンクス…会いたくなかった…けど、会いたかった……！」

「ウタ……」

シャンクスが私を抱きしめる力が強くなった。
そして、ベックマンも傍で泣きそうになって目を逸らしてる。

身体が苦しい。もうすぐ死ぬんだって感覚で分かる、
……でも、大丈夫だ。この後はルフィとずっと一緒にいられる。シャンクスに会えるのは最後だけど……

「……この風は…どこ…からきたのと……問いかけても…空は何も……言わない……🎶」

私は最期にシャンクスたちとの思い出の曲を歌う。

15スレ主です。22/10/08(土) 14:14:11

「……ん？あれ？私戻れたの?!」

ルフィの仲間のオレンジの髪の人が目を覚ました。

「えぇ?!赤髪海賊団?! あっ…………ウタ……」

驚いたあとに、私を見て悲しそうな顔をする女の人。きっと心が優しい人なんだ…

「……ねぇっ…けほっ！……ルフィの仲間だよね……？」

「………………そうよ。」

「……ごめん、ごめんね？謝って許されるわけないけど、……ルフィは私と残───────」

急に目元が霞む。喉も震えて突然声が出なくなる。

「…ウタ！…………お前は…これからも一生、俺の娘だ……」

最後にシャンクスにそう言われて、現実世界の私は永遠に眠りについた─────

16スレ主です。22/10/08(土) 14:14:40

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「そんな……ウタ……」

現実世界に戻されたと思ったら、目の前で船長の幼なじみが死んでしまった。

「……すまない、邪魔をしたな。だが、俺たちはまだルフィに会う訳にはいかない。失礼するよ……」

そう言って、四皇の1人である赤髪のシャンクスはウタの亡骸を抱えて去ってしまった。

その後は続々と仲間が目覚めていった。
でも、誰もルフィとウタについては触れない。

「……おはようウソップ。……後はルフィだけね…」

「……ルフィ…遅いわね……」

17スレ主です。22/10/08(土) 14:15:17

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「……チョッパー？ルフィの様子は……」

ルフィが目を覚まさなくなってから数ヵ月後が経過した。

「あぁ、ナミか。いや……ダメだ。脳波もいつもと変わらない…目を覚ます兆しがないんだ…」

「そう……」

あれから私たち麦わらの一味は活気なく航海を続けている。エレジアのLIVE後1週間はみんなルフィが目を覚ますことを信じていた。

でも、そこから１ヶ月後……

「あぁぁぁぁぁぁ！そんな！ルフィ！」

ルフィが横たわる医務室からチョッパーの悲鳴が聞こえた。

「おいどうしたチョッパー！なんかあったのか?!」
ウソップが慌てて聞く。

「……違う……違うんだ…ウソップも……みんな……」
チョッパーが泣きそうになって答える。

「落ち着いて、チョッパー！ゆっくり説明して！」
ロビンがチョッパーを宥めた。

18スレ主です。22/10/08(土) 14:15:59

「ぁ……あぁ。…オレ、ルフィが目を覚まさない…つまり、ウタと2人きりで一緒にいるのは寂しいと思ってたんだ……だ、だから、脳波を調べたんだよ！そ、そしたら…ルフィは

………………喜んでたんだ……！」

「……!!」
一味に戦慄が走る。

そんな……ルフィは向こうで……私たち仲間がいないところで楽しくしてるっていうの?!

たしかに、ルフィはフーシャ村を…そこでお兄さんまで失っている…

でも、そのあと私たちで励まして何とか元気にさせたのに！……私たちがそこで完全に回復させなかったから?!
あのとき、あのときもっとルフィに寄り添ってあげれば……

19スレ主です。22/10/08(土) 14:16:21

「そ、それに……みんなには言ってねェけど、１回トラ男がきてルフィの様子をみてもらったろ?!
……そこでトラ男はルフィの脳を手術して、もうルフィの意思で目覚められるようにしてたんだよ……！でも、ルフィは起きたことないんだ……!!それは、それは、やっぱり…………」

「ルフィは自分の意思で残って……ウタと過ごしてんだ!!オレたちを捨てて!!」

うそ……うそ……!!ルフィがそんなこと…

そのとき、ウタの言葉が蘇った。

『……ごめん、ごめんね？謝って許されるわけないけど、……ルフィは私と残───────』

ルフィを無理やりウタワールドに残すなら、ウタが謝るはずがない……
ということは……チョッパーの推測が正しいことに……

「いやぁぁぁぁ!!ウソよ!!ルフィが……そんなこと…」

私は絶叫した。ルフィが戻ってこないことは分かってるのに……

それから1週間、私たちは食事中でさえ、誰とも話さずに過ごした。─────

20スレ主です。22/10/08(土) 14:16:49

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「……出た！負け惜しみ〜!!」

「違う！ズルしたからオレの勝ちだ！」

「またそんなこと言って〜！私の388勝目だね！」

「ぐぬぬ〜!!」

私が死んじゃってから、ルフィとずっとウタワールドで楽しく遊んで暮らしてる。

勝利数的にもう現実世界では数ヶ月経ってる……ルフィの仲間もシャンクスたちも普通に過ごせているのかな…いや、そんな訳ない。

でも、1つ気付いたことがある。

「……ルフィ、あんたも気付いてんでしょ？」

「……何がだ？ウタ。」

「ルフィはその気になれば現実に戻れるんでしょ……？だったらさ─────」

「………………」ｶﾞﾊﾞｯ

21二次元好きの匿名さん22/10/08(土) 14:18:50

悲しい…

22スレ主です。22/10/08(土) 14:18:55

「きゃっ?!何よ？」

ルフィが無言で私を押し倒してきた。

「……ウタ…お前…オレがここにいる理由分かってねェのか？」

「…え？それはルフィが私のために──」ﾎﾞｺｯ

「ちょ?!痛いよ!!なんで殴るの?!」

「……それだけじゃねェだろ!!オレは……お前と同じで…もう現実が辛かったから…残ってんだよ……」ｸﾞｽｯ

そうだった。ルフィは故郷と大事な人を失って……

「……うん！ごめんね！……私もルフィと一緒だよ！ずーっと2人でいようね!!」

「…ウタぁ!!……殴っちまってすまねェ…」

その後ルフィは泣き疲れて私の上で寝ちゃった。

ルフィはルフィと私のためにここにいてくれてるんだ。仲間まで捨てて……

それって…………♡

23スレ主です。22/10/08(土) 14:19:28

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ルフィが覚めない眠りについてから3年経った。

ゾロが言い出しっぺで、私たちは船を降りた。

私、ゾロ、ウソップ、サンジ君、チョッパー、フランキー、ジンベエは故郷に帰ったし、ブルックは再び音楽業界へ、ロビンは世界中の歴史を見に旅をしている。

私は今、ノジコと、いつぞやに会ったヨサクとジョニーと4人で漁師として生活してる。

ゲンさんとも再開できて、それなりに幸せだ。

昔の仲間とも電伝虫で定期的に連絡を取り合っているが、みんなそれぞれ楽しく生きてるみたい。

ルフィは…………今はウタの遺体の隣で眠って、サニー号で東の海を旅している。
解散する数ヶ月前に赤髪海賊団のもとに行った。
そこでルフィの現状を話し、ウタをそばにいさせてあげることにした。

フランキーが迎撃装置を作っていたから、海賊や海の怪物に襲われて沈む心配はないだろう。
トラ男君が生命装置を付けてくれし、サンジ君が数十年はもつ非常食も作ってくれた。

ルフィが目を覚ましても大丈夫……だから、いつかまた全員で冒険できたらな───────

…………以上の内容が記された日記が、旧ココヤシ村の遺跡にて発掘されました。

また、先日“東の海の幽霊船”と噂される海賊船より、2つの人骨が発見されました。
研究の結果、人骨は600年ほど前に突如として失踪した大海賊「麦わらのルフィ」と、同時期に亡くなったとされる世界の歌姫こと「ウタ」であることが分かりました。

偉大なる航路の学者たちは、これら2つについて何かしらの関係があると──────

24スレ主です。22/10/08(土) 14:20:17

「ルフィ〜♡また勝負しよ〜！」

「おう！いいぞ！オレの260586連勝だけどな!!」

「ふふ♡ルフィは相変わらず子供っぽいね♡」

あれからどれくらい経ったのかな？もう勝負の数的に数百年くらい？シャンクスもゴードンもルフィの仲間もいなくなっちゃたのかな……
そう考えるとちょっと寂しいかも…………

「おーい！なんだよ暗い顔して！大丈夫か？」

「あ、うんっ!!」

そうだった♡私にはルフィがいるんだ♡
私の心配までしてくれて♡頼りになるなぁ♡
すっかり私のタイプになっちゃって♡

「ルフィ♡ルフィは私を置いていったりしないよね？ずーっと一緒だよね♡」

「……ん？当たり前だろ？……ウタでもオレがウタを置いてくなんて言うのはダメだぞ……永遠に離れるつもりはねェぞ……」

いつも明るいルフィの顔がいっきに曇って、私を抱きしめてくる。

「〜〜〜///うんっ♡ごめんね♡これからも、ず〜〜っと一緒だね♡」

やっぱりルフィは私のこと大切なんだ♡
永遠に一緒なんて♡
頭おかしくなるくらい嬉しい♡

ーーーーーーENDーーーーーー