【SS】かねなの

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:23:57

    チャリン、と音が鳴る度、あたしのトレーナーは上機嫌になる。
    ココ最近になって、トレーナー室に置かれた貯金箱。丸っこくデフォルメされた猫さんがこっちを見つめてる。トレーナーったらセンスがかわいいの!
    どうやら500円貯金をしてるみたい。お買い物で500円玉が出る度に貯金箱に投げてるんだって、トレーナーは教えてくれたの。
    でも話を聞いてると、貯金箱に入れる為にわざわざ買い物して500円玉が出るよう無理してたみたいなの。
    節約のためなのにそれじゃ本末転倒だって!?
    トレーナーを説得して、無駄な買い物はやめさせたんだけど……全く仕方ないんだから♪
    けれどやり方はどうあれ、トレーナーにお金を節約しようって気持ちができたのはいい事なの!

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:24:33

    今日も貯金箱が音を鳴らす。鼻歌交じりに猫さんの頭まで撫でちゃって、ご機嫌なの♪
    あれが置かれてからしばらく経つけど、どれだけの金額が貯まったんだろ?
    全部500円だから、結構な金額になるよね。
    トレーナーは何も話さないけど、何がきっかけで貯金を始めたんだろ……?

    「どう?けっこう貯まったんじゃない?」
    「ああアイネス。金額は分からないけど、だいぶずっしりしてきたよ」
    トレーナーが貯金箱を振ると、鈍い音がじゃらじゃらと響いた。
    「500円だけでもうそんなに!継続は力なり、だね!とっても偉いの♪」
    撫で撫でしてあげたくなるくらい!でも、トレーナーは恥ずかしがり屋だからしないけどね。
    「ありがとう!これもアイネスのため━━あっ」
    トレーナーはしまった!とでも言うふうに口を手で塞いだ。

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:24:57

    あんまりにも露骨で不自然な動き。
    そんなわざとらしくされたら逆に気になっちゃう。
    あたしに影響されて、じゃなくて……あたしのため?
    「ん〜?どういうことかな〜?トレーナーの個人的な貯蓄じゃなかったの?」
    じりじりと詰め寄ると、トレーナーはおろおろと両手を振る。視線は泳いで全く目を合わせてくれない。
    「ち、違う違う!気のせいだよ!?」
    「気のせいって、あたしまだ何も言ってないんだけどな〜?」
    トレーナーは必死になって隠し事を貫き通そうとしてるみたいだけど、これじゃバレバレ。ちょっとイタズラ心をくすぐられて、もっと詰め寄っちゃう。
    あたしが一歩踏み出す度、トレーナーは下がる。
    そしてとうとう壁際まで来てしまった。
    「いやっ!?えっとだから……違うったら違うんだ!これは俺の貯蓄で、決してアイネスへのプレゼント用なんかじゃ、あっ……」

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:25:21

    それは決定的な一言。あたしへの、プレゼント……?
    「どういう、こと……?」
    渦巻く感情に言葉が追いつかなくなって、それ以上何も言えなくなる。
    「うぅ……ほんとはサプライズのつもりだったんだ」
    騒がしさから一転、静寂に包まれる部屋。やがて、しょんぼりと肩を落としたトレーナーはぽつぽつと語り出した。
    「普段にお世話になってばかりだから、なにかお返しをしたいと思って……けど、ちょっとやそっとの物じゃ今まで貰った分に釣り合わないから、貯金してどデカくお返しをしようと思ったんだ……でも口が滑ってしまって」

    ……全く、ほんとにキミは仕方ない人なの。
    ちょっとドジで不器用で、それなのにどうしてあたしのハートを撃ち抜くのは誰よりも上手なのかな。
    キミは釣り合わないなんて言うけれど……この3年間でもうお腹いっぱいになるくらい、キミからはたくさんのものを貰ってるんだよ?

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:25:44

    「ふふっ♪そうだったんだ……せっかくのサプライズで申し訳ないけど……」
    そうしてあたしは財布を取り出し……うん、記憶通り1枚だけ入ってた。
    ━━━チャリン。
    「ああっ!?」
    500円玉を1枚、貯金箱のお口へ投入した。
    「よし!これであたしも貯金箱デビューなの!あたしもトレーナーのためになにかしてあげたいからね♪」
    「で、でもこれじゃどっちがどっちのお金か分からなくなっちゃうよ……」
    相変わらずあわてんぼうさんなトレーナー。そう、ごちゃ混ぜになっちゃうけど……それでいいの。
    「うん。お互い相手になにかしてあげたい……それなら、この貯金は二人の財産にしちゃえばいいの!」
    「俺と、アイネスの……?」
    「そう!この貯金箱がいっぱいになって、次の、またその次の貯金箱も満タンに出来たら……2人で2人のための、とびっきりのプレゼントを買うの!」
    「……なるほど!夢が広がるなあ……!」
    トレーナーの顔に笑みが戻る。うん、やっぱりキミはその無邪気な笑顔が一番なの。ほら、もう早速何を買うか考えてる。
    「もう、まだまだ先の話だよ?流石に気が早すぎるの♪」
    「あはは……でも、考えるくらいはいいだろ?アイネスはどんなのがいいと思う?」
    「あたしはもう心に決めてるものがあるんだ♪」
    「え、何何?」
    「ふふっ……内緒なの♪」
    ええ〜っと抗議するトレーナー。でも絶対教えない。
    この夢は、まだあたしだけの秘密。
    この道を走り切ったその先。
    教会と、白いドレス。その時隣にいるのは……。
    どうか叶えてね、あたしの大好きなトレーナー♪

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:27:00

    イイネ

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:27:46
  • 8二次元好きの匿名さん22/10/09(日) 22:28:53

    いい意味で裏切られたよ 良き

オススメ

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