- 1二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 09:28:35
「ほら、早く起きなさいよ」
その声に目を覚まし、ベッドの横に立っている彼女の方を見上げてみた。「やっと起きた」その言葉に慌てて時計の方を見たが、まだ少しだけなら起きずにゴロゴロしていても大丈夫な時間であった。
…無言で毛布を頭から被り抵抗のそぶりを見せると、彼女は呆れた様子で「そういうことならこっちにも考えがあるわ」と言いながら何故かこちらの寝床の中へ潜り込んできた。突然の事態に目を白黒させていると、「二度寝、するんじゃないの?」と上目遣い気味に聞いてくる小悪魔の姿が見えた。『駄目だこの誘惑に勝てるはずがない』、『というか、起こしに来てくれたんじゃないの?』…そんなことを考えていると、了承を得たと思われたのかこちらにピッタリと寄り添ったかと思うと、そのまますうすうと寝息を立て始めた。
そんな可愛らしい様子を見てベッドから追い出すわけにもいかず、せめてもの抵抗として彼女の頭を撫でながら瞼を閉じるのであった。
こんな感じで進めていくの? - 2二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 09:49:01
初めてでそのレベルか?天才では?
台詞と画像も合ってるし十分な出来だぞ?? - 3122/10/16(日) 10:02:13
- 4二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 10:08:50
人によってはもう少し改行を増やした方がいいと感じる人もいるかもしれんから、そこは気をつけた方がいいかな
でも初めてでこれは充分上手いと思う - 5122/10/16(日) 10:20:01
- 6二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 10:26:46
話の流れにもよるけど、個人的に会話は改行した方が見やすいかなって
- 7二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 10:35:35
- 8122/10/16(日) 11:41:27
クリスマス…巷では恋人や家族、友達とパーティを開いたり、イルミネーションを見に行ったりするのがお約束となっている。
ここでもついさっきまで職員もサーヴァントも関係なく、全員を巻き込んだクリスマスパーティをやっていた。
何故ついさっきまでなのかというと、なんとなく会場を抜け出して1人になりたくなったからである。
もちろんパーティはとても楽しいが、なんだか静かなところで過ごしたい気分が急に湧いてしまった。
その雰囲気を察してくれたのか、止めるものは誰もおらず
「すぐ戻ってくるから」
と近くにいた集団に声をかけ、会場を後にした。会場から少し離れた休憩スペースのソファでぼーっとしていると、急に
「だーれだ♪」
の声とともに視界を塞がれた。
『パーティはどうしたパーティは』
と自分のことを棚に上げつつ
「クロ」
と答えると
「せーかい」
と言いながら自分の横のスペースを確保する彼女の姿があった。 - 9122/10/16(日) 11:43:19
「なんかあったの?」
「別に何もないわよ。なんとなくよ、なんとなく」
なんとなくなら仕方ないそう納得し、2人で他愛もない話をしていたが唐突に
「そういえば、クリスマスにはヤドリギの下ではキスをするらしいわね」
なんて爆弾発言が飛んできた。しかし、流石に何度もからかわれてると慣れてくるもので
『ここにはヤドリギなんてものはない、いつものからかいか』
なんてことを考えてると、
「ちょっとなにこれ!服にクリームついちゃってるんだけど!」
その言葉に思わず彼女の方へ顔を向けると次の瞬間、自分の唇と彼女の唇が触れていた。慌てて離れると、その様子を見て
「別にヤドリギの下以外じゃしちゃいけないなんて決まりはないでしょ?」
と、少し頬を染めながら笑うクロエの姿があった。
とりあえずアドバイス通りに会話に改行とか入れてみたけど、くっそ長くなっちゃいました…
もし不評だったら消しておきます - 10二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 12:17:37
ええやん
SSって一回書き方定着しちゃうと他の書き方やりにくくなるからわりと自由に書くのも一つの手だと思うよ - 11二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 12:19:58
個人的な意見としては凄い見やすくなった
もし自分の中で違和感あるなら、改行減らして代わりに時々1行空けるのを意識してみるといいよ - 12122/10/16(日) 12:39:39
- 13122/10/16(日) 15:57:37
- 14二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:49:38
- 15122/10/16(日) 20:03:24
- 16二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 20:05:28
自分は台詞だけで書いたことあるけど2レスくらい取っちゃうんだよね、詰めたいから
長くなりやすいなら地の文をあっさりさせてみたりするか開き直って入れたい要素入れて「そういうSS」として見てもらうのがいいかもね
- 17122/10/16(日) 21:35:21
「やってしまった…」
きっかけは些細なことだったと思う。戦闘の時に無茶しすぎなことを指摘したら、
「心配しすぎよ」
と返されたので思わずムキになってしまい、そのまま言い合いとなってしまった。冷静になって考えると、あんなことですぐにボルテージが上がってしまった自分が100%悪い。そんな自己嫌悪とクロへの謝罪の言葉を交互に考えながら机に向かっていると、
「お邪魔するわよ」
当人が現れた。その瞬間、色々と考えてたことが全部吹っ飛んだ。
「えーっと…」
「あ、この漫画借りるわねー」
彼女は本棚の漫画を取り出すと、そのままごく自然に人のベットで漫画読み始めた…
この状況を見るに、もうそこまで怒ってるわけではないのだろう。なら謝るタイミングは今しかない。
「さっきはごめん!こっちがムキになりすぎた」
出てきたのは特に飾り気のない言葉だった。 - 18122/10/16(日) 21:36:44
それを聴いたクロは最初はキョトンとしていたが、漫画を閉じてベッドに腰をかけると
「貴方にそこまで言われたら許すも許さないも無いわよ。そもそも最初からそこまで怒ってたわけじゃないしね」
と、笑って返してくれた。その言葉に『良かった…』と息をついたが、クロの言葉にはまだ続きがあった。
「それにぃ…」
嫌な予感がする。
「貴方が私のこと大好きだから、あんな風に心配性になっちゃうのよね♪」
…これは肯定しても否定しても茨の道を進むことになるやつだ。肯定すれば大好きであることを認めることになるし、否定すれば本気か嘘かはわからないが泣かれることは確実だ…
なので無い知恵を絞って必死に考えた。が、出てきたのは
「………うん」
ただの頷きだった。これで俺はクロのことを大好きだと認めたことになるのだろう。
でも返事を聴いて
「やっぱりそうなんだー♪」
と、嬉しそうに足をパタパタさせる彼女の様子を見てたら、
『ちゃんと答えられてよかった』
と、心の底から思えた。
人いるかわかんないけど投下
クロ可愛いよね - 19122/10/17(月) 00:47:25
そういえばいわゆるキャラエミュの方はどうでしょうか?
クロはそこまで難しい方じゃないから、それなりに再現できてるとは思うけど… - 20二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 00:49:24
自分は自然に声再生されるからいいんじゃないか?
生憎クロエ持ってないから予想になるけど - 21二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 00:52:24
- 22二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 00:53:06
SS書いてしっかり評価されたり感想もらえたりすると嬉しいよね…
- 23二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 01:00:22
- 24122/10/17(月) 06:24:43
もうちょい厳しめに評価されるかなって思ってたけど、高評価が多い…そして皆が優しい
見てくれた方本当にありがとうございます - 25122/10/17(月) 17:34:34
「んっ……あさ……」
私が起きる時間はいつも違う。早く起きる時もあるし、普通に寝坊することもある。ここに来てからは寝坊する方が多くなった気がする。
大体そういう時はイリヤか美遊が起こしに来てくれるけど、たま〜〜〜にあの人が起こしに来てくれる時もある。
逆に早く起きた日は、あの人を起こしにいくのが朝の恒例行事の一つとなっている。理由は……寝顔と慌てる顔が見たいからである。
さて今日はどっちかなと思いつつ時計を見ると、ギリギリ寝坊の時間ではなさそうだった。
「こういう中途半端な時間って逆に困るのよねえ…」
と、独り言をもらしつつベットから抜け出す。身支度をして朝食を食べるために外へ出ると、ちょうどあの人が目の前を通り過ぎるところだった。 - 26122/10/17(月) 17:36:37
『ラッキー』と思いつつ、声をかけてみる。
「おはよ、こんな時間に会うなんてもしかしてついさっきまで寝てたとか?」
「期限間際の書類作ってたら寝るの遅くなっちゃって…」
あくび混じりに彼が答える。慌てて出てきたのか服が少し乱れている。
「ほら、襟のところ乱れてるわよ。直してあげるからかがんで」
「ん…」
こういう時は素直に言うことを聴いてくれるのよねえ…
そんなことを思いながら襟元を直してあげる。
「これでよし」
「ありがとう…」
眠そうに言う様子が可愛くて、何となく手をとってみる。すると、珍しく手を握り返してくれた。本当に疲れているらしい。
「朝ごはん食べに行こっか」
「おー…」
手を繋いだまま食堂へと向かう。
『今日は楽しい日になりそう』
何となくそんな予感がした。
そういやクロって恋愛方面はつよつよなのか
よわよわなのか気になる - 27122/10/18(火) 00:44:29
少し遅い時間だからか食堂にはあまり人がいなかった。とりあえず朝ごはんを確保し、2人で席に向かう。
『どうせ人いないし』
そう思ったので彼が座った席の隣に座る。
「何故横に?」
と言いたげな視線を向けてきたが、気にするだけ無駄だと思ったのか、
「いただきます」
の一言とと共に食事を始めた。私も同じようにしてご飯を食べ進めていたが、ふと朝のやりとりが脳内によぎった。
『今ならさっきみたいに普段照れてしてくれないことをしてくれるのでは?』
そう考え、とりあえず目の前にあった卵焼きを彼の口の前に差し出してみる。すると、躊躇いなくそれを口にしてくれた。
「美味しい?」
別に私が作ったわけではないが、流れで聞いてみる。
「うん、美味い」
そう答えた後、また食べるのを再開していたが、途中急に食べるのをやめ、食べやすい大きさにカットされたベーコンを眺めていた。 - 28122/10/18(火) 00:46:56
その意味がよくわからず、その横顔を眺めていると、いくつかある内の一枚をとって私の方へ差し出してきた。
さっきもらったから交換のつもりなのだろう。にしてもこれは予想外だった。戸惑いつつも、いわゆる「あーんされる」形でそれを貰う。
『される側も思ったより恥ずかしいわね…』
でも嫌な気持ちは全くなく、むしろ嬉しかった。
「美味しい?」
そう問いかける彼に
「ん…良かったわ」
そう返すと、嬉しそうに「そっか」と頷き、食事を再開した。
正直、今の自分が赤くなっているのは、鏡を見なくてもよくわかる。思っていたよりも私は、こういった行為をすることに照れていたらしい。こんなんじゃ、普段の彼のことを笑うことなどとてもできない。でも、
『まるでバカップルね』
そう思うぐらいには、自分の心が浮き足立っているのもわかった。この今日の思い出は忘れないようにしておこうと心に留めておく。
けれども人がいないとはいえ、このまま食べさせ合うのは恥ずかしかったので、自分の分は自分で食べ切ることに専念することにする…
2つ繋げたので少し長めの4レスになりました。 - 29二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 07:11:08
逆視点か
- 30二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 13:06:44
がっついてくるタイプに見えるけど実際はそんなにだよね。どっちかと言うとイリヤの方ががっつき度合いが凄いのがあるけど。
- 31122/10/18(火) 13:36:56
- 32二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 20:10:52
いや掲示板ぐらい好きに使ってええんやで。誰かの迷惑になってるわけでもなし。更新されたらまた読みに来るわ。
- 33122/10/19(水) 01:15:22
熱が出た。なのでアスクレピオスに診断をしてもらったが、
「ただの風邪だな。安静にしておけば治る。後、これも飲んでおけ。」
とのことで、その言葉と共に恐らく彼の手製であろう錠剤が置かれた。
「良いか?僕の言うことをちゃんと守るんだぞ」
念を押されたので頷いておく。それを見て満足そうに頷くと、
「また後で様子を見にくる」
と告げ、部屋を出ていった。とりあえず言われた通りにするために寝ることにした。思っていたよりも体力が減っていたらしく、すぐに睡魔に襲われた。
2時間ほど経っただろうか、誰かの気配を感じうっすらと目を開けると、ベッドの横に誰かがいるのが見えた。
「起こしちゃった?」
聞き慣れた声だった。『お見舞いに来てくれたのかな』と思いながら、ゆっくりと体を起こすと…
「は?」
何故かナース服を着たクロが目に飛び込んできた。
「ただの風邪って聞いたけど、心配だから看病しに来たわよ♪」
ああ、これはあれだ。風邪ひいた時に見る夢ってやつだ。うん、そうだなきっと。それならば話は早い。もう一度布団に入って寝るのを再開しようとすると、
「ちょっと、無視はどうかと思うわよ」
もしかして夢じゃない…?そう思い、頬を膨らませる彼女に声をかける。 - 34122/10/19(水) 01:17:32
「もしかしてこれ夢じゃない?」
「寝ぼけてるの?それともほんとはただの風邪じゃないとか?」
心配そうにこちらを覗き込んでくる。やはりこれは現実であるらしい。顔の近さに少しドキドキしながらも、疑問を口にしてみる。
「看病って言ってたけど…」
「ご飯とか着替えとか必要かと思って」
確かにそうだ。その辺は考えてなかった。
「わざわざありがとう」
「まだ何もしてないわよ。とりあえず…軽く何か食べた方がいいわね」
そういえば朝起きて今の時間まで何も口にしていない。
「ちょっと待ってて」
部屋から出ていって少しすると、小さめの鍋を持って帰ってきた。そしてそのままベッドの横のテーブルにそれを置き、中身をスプーンですくうと少し冷ましてから
「はい、あーん♡」
普段なら自分で食べると言いたいところだけど、好意を無碍にはできないので素直に頂く。
「……美味しい」
「それなら良かった」
そのまま口に運んでもらうのを続けてもらっているとふと思った。
「もしかしてクロの手作りだったりする?」
「…気づくの早くない?」
正解だったらしい。自分のためにわざわざ作ってくれたのが嬉しくて、結局全部食べてしまった。 - 35122/10/19(水) 01:20:58
「作った甲斐があったわ」
そう言いながら片付ける彼女の姿を横目にみていたが、汗で自分の服が湿っているのに気づき着替えを手に取った。それを見たクロが
「着替えるんだったら体拭いてあげるけど」
そこまでしてもらうのはどうかと思ったが、断るのもアレだったので任せることにした。
「はい、じゃあ拭くからじっとしててね」
背中側は特に問題なかったが、前を拭かれる時は背中側から密着されながらだったのでかなり恥ずかしかった。よく考えたら、前ぐらいは自分で拭く元気はあったはずなのに…
片付けも終え、2人で話をしているとまた眠くなってきた。それに気づいたのか
「そろそろ寝る?」
その言葉をありがたく受け取り、また寝ようとしたがその前にやるべきことを済ませなければならない。感謝の言葉は最初に言ってしまったので、それよりも前に言えなかったことを口にする。
「その格好、よく似合ってて…その…可愛いぞ」
言うだけ言って布団を引っ張って寝るのを再開する。言われた彼女がどんな顔をしているのかはわからないが、多分喜んでくれてるはずだ。その様子を想像したら、少しだけ体調が良くなった気がする…
また睡魔に襲われ意識が落ちるその瞬間、
「……おやすみ」
そんな優しい声と共に頭を撫でられたかと思うと、そのまま眠りへと落ちていった。 - 36122/10/19(水) 01:22:17
とりあえず書きかけもあるので続行することにします
筆が乗ってるせいか、だんだん文章が長くなってきてる… - 37二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 01:22:49
いいんじゃないか?俺は好きだよ
- 38二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 02:42:06
個人の書き方だから全然無視してくれても構わないけど、心情描写してるところもう一文ずつくらい追加しても良い気がする。
場面描写と心情描写の抑揚が一緒だと可愛さが勿体ないかも。 - 39二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 07:08:06
- 40122/10/19(水) 07:38:04
「皆お疲れ様」
その一言と共に、草木の生えた草原から無機質な空間へと切り替わる。今日はシミュレーターの中で団体戦を想定とした訓練を行なっていた。偶然私も参加する日だったので、ついさっきまで模擬戦を行なっていた。特にスケジュールに支障なく終わったので、手足の調子を確かめていると、
「お疲れ様、マスターさん」
「イリヤもお疲れ様、今日はすごい頑張ってたな」
そんな言葉と共にあの人が妹の頭を撫でているのが目に入った。イリヤもイリヤで嬉しそうにそれを受け入れている。
別に羨ましいわけではないが、何故か目が反らせなかった。羨ましいわけではないけど。
するとこちらに気づいた彼がイリヤに一言声をかけると、こっちへ向かってきた。
「おつかれークロ」
「イリヤはもう良いの?」
…こんな当てつけみたいな言葉しか出ない自分が嫌になる。
「この後、用事があるんだって」
「ふーん…」
「……なんか怒ってる?」
『なんでこういう時だけ勘が良いのかしらこの人は…』
別に怒ってるわけではないが、機嫌が良くないのは事実だ。さっきの光景が自分にとって思っていたよりも衝撃的なものだったらしい。ただ、そんなことを言えるはずもなく俯いていると、何かを察したのか彼がこちらに手を伸ばしてきた。 - 41122/10/19(水) 07:40:01
『なんだろう?』と思いながら見ていると、その手は私の目線より少し上にいったかと思うと、そのまま私の頭を撫で始めた。
「んっ…」
急に頭を撫でられたことに驚いて声を出してしまうと、
「ごめん、嫌だったか…?」
と頭から手を離してしまった。
「そんなことはない」と言いたかったが、口に出すのが照れ臭くて何も言えなかった。私が何も言わなかったので、気まずい沈黙が訪れてしまった。
「えー…あー…」
沈黙がを破るために何か話そうとしているが、言葉が出てこないらしい。なので私から行動することにした。そもそも私のせいだし。
「別に…やめろとは言ってないわよ」
ベタなツンデレみたいなセリフが出た。それでもまだ不安なのか、こちらにまた撫でてくれることはなかった。
『ま、そんなものよね…イリヤと違って私には愛嬌がないし』
そう思いながらこの場を去ろうとした時
「ちょっと待って」
と声をかけられた。そして何か思いついたのだろう、私の正面に立つと、
「頭を撫でさせてください。お願いします」
と思ってもいなかった言葉が彼の口から出てきた。その言葉に思わず、
「なんかすごい変態っぽいんだけど…」
と言うと
「嫌、別に変な意味とかじゃなくて…」
急に弁解を始めた。そんな彼の様子がおかしくてひとしきり笑った後、
「そんなに言うならしょうがないわね♪」
表面上はそう言ったが、内心とても嬉しかった。その言葉を聴いて大丈夫だと思ってくれたのか、再びこちらの方に手を伸ばして頭を撫でてくれた。
ただ撫でられてるだけなのに、心が安らいでいくのが分かった。
「♪〜」
「今日もありがとうクロ」
彼の言葉と共にゆっくりと時間が流れていく…
『また次もしてもらおう』
そんなことを考えながら、彼との時間を過ごすのであった。 - 42122/10/19(水) 07:42:13
- 43122/10/19(水) 19:15:03
次は2人で映画観てるところ書こうかと思ってるんですが、ホラーと恋愛だとどっちの方が良いとかありますかね?
- 44二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 19:56:33
- 45二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:35:42
恋愛で
映画見てる最中
「ああいうのいいな」
的なこと考えたりするのいいよね… - 46二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 21:28:40
うん
- 47122/10/20(木) 00:20:25
「またイリヤと喧嘩したのか」
「だっていつまで経ってもイリヤの方が妹だって認めないんだもん」
ベッドに腰をかけながら横にいるマスターに愚痴をこぼす。
「別にどっちが姉でも良いじゃん…」
「どっちでも良いじゃダメなの」
「じゃあ、美遊に呼んでもらうよう頼むとか」
『それじゃ結局解決してないじゃない…』と思ったが話を聞いていてふと、思いついたことがあったのでそのまま口にしてみる。
「だったらあなたが私のこと、クロエお姉ちゃんって呼んでみてよ♪」
「なんでそうなるんだよ…」
「嫌なの……?」
ここで必殺の涙目上目遣いを使ってみる。彼には効果は絶大だったようで、
「ぐっ……わかったわかった。今だけだからな…」
すぐに折れてくれた。
「じゃあ、早速呼んでみて」
心が浮き足立つのを抑えながら彼の言葉を待つ。 - 48122/10/20(木) 00:21:18
「………クロエお姉ちゃん」
「っ……!」
その時、私の中で新しい感情が芽生えたのが分かった。少し抜けてて照れ屋だけど、優しくていざという時はビシッと決めてくれる…そんな彼が私の事を「お姉ちゃん」と呼んだ瞬間、今までにない新鮮さを感じた。
「もう一回呼んでみて」
「えー…」
「ほら早く早く」
「…クロお姉ちゃん」
「もう一回」
「クロお姉ちゃん」
「もういっk…「何回言わせるんだよ!」
流石に恥ずかしさが上回ってきたようなので、この辺でやめることにした。普段は経験できない充足感も味わえたし。
一連のやり取りで気分も良くなってきたので、『どうせなら』と思い、彼とくっつく位置まで移動し、ついでに手も繋いでみる。普段だったら慌てて離れそうな状況だけど、離れようとすることはなく、むしろ手を握り返してくれた。そんな嬉しいサプライズに笑みをこぼしながら、
『出来ることならこの幸せにずっと浸っていたい』
そう願う私なのであった。 - 49122/10/20(木) 00:26:10
恋愛映画派の意見がいくつかありますが、もしかしたらまだ意見が増えるかもしれないので、もう少しだけ先延ばしでお願いします
一応空けるのもあれだったので新しいのをあげておきました
…率直な疑問ですが、クロは相手を甘やかす姉属性が似合うのはなんででしょうね - 50122/10/20(木) 07:30:23
夕方まで書き込めないので一応保守
- 51122/10/20(木) 19:24:45
「一緒に映画観ない?」
部屋に着くなりそう声をかける。
「唐突だな…」
「だって急に観たくなったんだもん……貴方と」
「おおー…そうか…ならしょうがないな」
了承をもらったので、ライブラリーの中にある作品で、とある男女の恋模様を描いたものを選ぶ。
「どんなやつ観るの?」
「ヒ・ミ・ツ♡」
「なんだそれ…まさか、ホラー映画じゃないよね?」
「残念ながら違うわ。とりあえず怖いのは出てこないから大丈夫よ」
良いことを聴いたと思いつつ、いつもの場所である彼の隣へと座る。それと同時に映画が始まった。
「もしかしてこれ恋愛ものか?」
「正解。苦手だったりする?」
「いや、そんなことないよ。あんまり観たことはないけど」
「じゃ、このまま一緒に観れるわね」
「観たくない」と言われなかったことに安堵し、映画の方へと向き直す。
映画の内容は至ってシンプルで、小さい頃に仲の良かった男女が家の事情で離れ離れになり、十数年後に再会して再び恋に落ちるというものだ。
言ってしまえばベタな内容であるが、私自身恋愛映画というものを観ることがあまり無かったので、あえてこの作品にした。 - 52122/10/20(木) 19:25:52
『おおきくなったらけっこんしようね』
『うん!』
そんなセリフが飛び込んできた。よくあるやつだ…実際に見たことも聴いたことも無いけど。そんな感想を抱きながら、あることを考える。
私がイリヤから目覚めてからは色々なことがあったが、何だかんだ彼との時間の方が長くなってきた気がする。そう考えると、ある意味私と彼は幼馴染なのでは?そんなことを思いついた。
「ねえ、わたしたちの付き合いも結構長くなってきたと思わない?」
「そうだなー確かにだいぶ経つな」
「これってある意味私たちが幼馴染ってことにならない?」
嬉しい答えを期待して待ってみる。聞かれた当人は少し考え込むと、
「うーん…そうかなあ」
その答えに思わず固まる。それで話は終わったと思ったみたいで、また映画を観始めた。
『ほんっっっと乙女心を理解してないんだから…』
鈍感な彼に立腹しながら続きを観る。その後は2人がまた出会い、新たに恋をしてく様子が描かれていた。横目で彼を見ると、真剣に観ている様だった。そんな様子に少しドキッとする。そういえば自分のこの想いは何なのだろうか…
「恋」なのか、それとも「信頼」なのか、あるいはその両方なのか。映画を観ながら考えたが、答えは出なかった。 - 53122/10/20(木) 19:27:03
物語は終盤に入り、2人が楽しそうにクリスマスパーティをする様子が流れ始めた。最初はただただ、楽しそうに話す様子が流れていたが、時間が経つにつれて2人の距離が近くなり、見つめあったかと思うと、そのままキスをした…
それをぼーっと観ていたが急に
『ここで映画と同じことをしたら、どんな反応をしてくれるのだろう』
そんな私の中のいたずら心が湧き上がってきた。思い立ったら早いもので、早速行動に移した。まずは彼の方を見つめてみる。最初は気づいてないみたいだったけど、視線を感じたのかこちらの方を向いてくれた。
それを確認した後、そのまま目を閉じて彼の方へ迫ろうとすると…
「痛ったーー!!!何すんのよ!!!」
デコピンを食らった。
「何すんのよ!!!じゃないよほんと…そういうのは恋人ができた時にしてあげなさい!」
思いっきり怒られた。結構本気だったのに…
「あ、映画終わった…」
こっちがギャーギャー騒いでいる間にエンドロールが流れていた。
「結局ちゃんと観られなかったわ」
「誰のせいだよ誰の」
映画のおかげで良い感じのムードができたのに…そう思いながら立ち上がる。するとまだ座ったままの彼が目に入ってきた。どうもエンドロールもきちんと観る派なのか映画に集中している。 - 54122/10/20(木) 19:30:00
- 55122/10/20(木) 23:39:23
「急だけど、しりとりしない?」
「いきなりだな…まあ暇だし付き合うよ」
「よーしいくわよ…じゃあイリヤの「い」からスタートね」
「ねえ、何でそこからチョイスしたの…?」
「ノリが悪いわよ。ほら早く早く」
「クイズじゃないんだからそんな急かさなくても…「いか」」
「カラス」
「炭」
「味覚」
「クラス」
「好き♡」
「急に何言ってるんですか!?」
「顔真っ赤よ♪「好き」って言っただけなのに〜」
「ニヤニヤしてるあたり確信犯だよね!?」
「ねー早くーつーぎーはー」
「はいはい…き、き、き…」
「キス♡」
「すごいぐいぐいくるね!?そもそも今俺の番だし!」
「しょうがないじゃない。次の言葉早く言ってくれないし」 - 56122/10/20(木) 23:41:15
- 57二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 07:01:30
保守
- 58二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 17:27:52
とりあえず保守
- 59二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 19:08:00
- 60122/10/21(金) 22:11:45
「トリックアンドトリート!」
何事かと思い、声が聴こえてきた方を見ると猫的なもののコスプレをしたクロが立っていた。
「アンドって何よ…」
「Trick and Treat」
「発音良くしろなんて誰が言った」
「ねーはーやーくー」
いつもの様にベッドの上に腰をかけて、足をバタバタさせながら催促する。絵面だけ見るととても可愛らしいが、放っておくと後が怖いので、あらかじめ用意していたものを冷蔵庫から取り出す。
「わかったわかった…はい、かぼちゃプリン」
「やった♪じゃあ次はトリックね」
プリンを横のテーブルに置くなり、そう言われた。
「はい?」
と聞き返したのも束の間、腕を引っ張られたかと思うとそのままベッドに押し倒された。
流石にこれはまずいと思い抜け出そうとするが、相手は女の子とはいえサーヴァント、抵抗虚しく逃げ出すことは叶わなかった。
「ほら、暴れないの」
「なぜこんなことを…?」
「だって言ったじゃないトリックアンドトリートって」
「トリックってこういうことなの?」
「細かいことは気にしないの」
「細かいことかなあ…今さらだけどこの光景すごく情けなくない…?」
「私と貴方しかいないから大丈夫よ。それに、私の前では情けない姿を見せても良いのよ?」 - 61122/10/21(金) 22:13:07
…地味に告白じみたことを言われた気がする。というかその格好で馬乗りになるのはかなりまずい…どうしたものかと考えていると
「そのままじっとしててね」
何をされるのだろうか…観念して目を瞑っていると、なぜか頭に何かつけられる感触があった。
「…なにこれ?」
「なにって…犬耳のカチューシャだけど?」
「なんだそれだけか…」
実を言うとちょっとアレなことをされるんじゃないかと考えてしまった自分がいる…顔とかすごい近かったし…
その様子を見て何かを察したのか、
「もしかして〜エッチなことされるって考えてたの?ヘンタイ」
「そ、そんなわけないじゃん…」
冷や汗をかきながら否定し、他の話題を探そうとする。
「それより何でカチューシャなんだ?」
それを聴くとキョトンとした顔で
「だってハロウィンなんだから仮装しないとダメでしょ?」
と返された。『確かにそうかもしれない』、『でも、カチューシャだけって仮装になるのか?』などと考えていると
「そ・れ・よ・り、せっかくのハロウィンなんだからもっと色んなことしないと。せっかくのお祭りなんだし。」
…どうやらこれから自分と一緒にハロウィンを楽しむ予定らしい。こうなったら断る理由もないし、クロと一緒にハロウィンを満喫することにしよう。 - 62122/10/21(金) 22:14:47
- 63二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 04:38:18
クロが健全方面でグイグイ来るのいいよね…
- 64122/10/22(土) 12:13:26
悪夢を見た。それだけ聴くと大したことない様に思えるが、私にとっては1番恐ろしい夢だった気がする。
時計を見るとまだ深夜2時を回ったところで、同じ部屋のイリヤも美遊もぐっすり眠っている。もう一度寝ようと思い目を閉じるが、どうしても先ほどの光景が脳裏によぎってしまい、眠れる気がしなかった。仕方がないので、少し散歩をして気を紛らわせることにした。
流石にこの時間になると廊下は暗く、誰かが起きている気配もほとんど感じられない。しばらく歩いていたが、どうにも部屋に戻る気がしなかった。
「困ったわね…」
そんな独り言を呟きながら歩いていると、見慣れた部屋のドアが目に入ってきた。本来であればこんな時間に許可も取らずに部屋に入ることなど良くないのだが、『事情が事情だし』と勝手に理由をつけ部屋に入った。
部屋は真っ暗だったが、いつもここに遊びに来ているので、彼がどこで寝ているかはすぐ分かる。ベッドの横に立ち、寝息を立てているのを確認すると、彼のベッドに潜り込む。 - 65122/10/22(土) 12:14:47
「クロ……?」
「起こしちゃった?」
「まあ…うん…ていうか何でここに?」
「んー…からかおうと思って」
「怖い夢でも見たの?」
適当にはぐらかそうとしたら、即答で言い当てられて驚いた。それと同時に私のことを理解してもらってる気がして、嬉しかった。
「すごいわね。私のことは何でもお見通しってこと?」
「何となくだよ何となく。それに普段はクロに守ってもらってばかりだから、こういう時は頼って欲しいな」
「…ありがと」
そのまま彼の方へ身を寄せる。彼は少し緊張してるのか、ちょっとだけぎこちない手つきで頭を撫でてくれる。
「おやすみ、クロエ」
「おやすみ、私のマスター」
彼の腕の中で私は緩やかな眠りへと落ちていった…
個人的な意見だけど、普段は「クロ」って呼んで、ここぞという時は「クロエ」って呼ぶのがなんか好き - 66二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 20:43:27
保守
- 67二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 00:52:04
『女子会』
そう言うと聞こえはいいが、要するに食堂の一角を借りてお菓子をつまみながら他愛もない話をすることを、おしゃれに言っているだけだ。
今日も私はイリヤと美遊と一緒に紅茶とクッキーを楽しみながら、何でもないことを話していた…
「今日のトレーニングきつかったわー…」
「でもでも、前よりも上手く戦える様になった気がするよ!」
「うん、確かに戦闘における判断力や技術が上がったと思う。」
「今さらだけど女の子同士の会話にしては物騒すぎるわね…」
とまあ、そんな話をしながらおやつの時間を楽しむ。その後もしばらくは最近あったことを話していたが、イリヤがこんなことを口走ってきた。
「そういえば最近クロとマスターさんすごい仲良しだよねー」
「…別にあれぐらい普通でしょ」
「確かに、マスターと一緒にいるのをよく見かける」
「偶然美遊がそういう時に会うことが多いだけでしょ」
「あ、後さぁクロ、マスターさんのことよく話してるよね」
「え……嘘、そんなに?」
「私の記憶してる限りではかなりの頻度で」
「…もしかしてクロはマスターさんのこと好きなの?」
「は…はあ!?」
イリヤの何気ない一言に思わず大声を出してしまう。確かに彼のことは異性として意識してはいるが、それを他人に指摘されるのはものすごく恥ずかしい。なので、何とか話題を逸らそうと考えていると、
「あ、マスターさんだ。マスターさーん」
「!?」 - 68二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 00:52:58
なんでよりによってこのタイミングなのか。そしてこの能天気妹はなぜこっちへ呼んでしまうのか…そんな怨嗟の感情を沸き立たせていると、イリヤの声に気づいたあの人がこちらへ来た。
「こんにちは、みんなはおやつタイム?」
「はい、「女子会」というものらしいです。」
「おおー…何とも楽しそうな響きだな」
「マスターさんもそう思う?」
「うん、なんか青春って感じ」
3人が楽しそうに話しているが、私は彼の方を見ることができず、ただ正面のカップを見下ろしていた。するとそれに気づいたのか
「クロ、なんだか元気ない?」
彼に声をかけられた。何か言おうと思い、必死に頭を巡らすが、さっきの話のせいで言葉をうまくまとめられなかった。
結果、彼のことを見上げることしかできなかった…なんだったら醜態を晒したせいか少し泣きそうにもなった。しかし、その様子を見た彼が急に顔を赤くすると、
「…それは卑怯じゃないか?」
なんのことかよくわからなかったので聞き返してみる。
「何が?」
「その…涙目で上目遣いは…」
どうやら無自覚でやってたらしい。だがそれが彼にはすごく刺さった様で、それを聴いたらなんだか自信を取り戻すことができた。 - 69二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 00:54:39
「ええー、こーゆーのが好きなの?」
「まあ…その…はい…」
「ふーんそうなんだー。良いこと聞いちゃった♪」
「何その笑顔!?怖いんですけど!?」
「ひっどーい。女の子の笑顔に文句言うなんてー」
「いやそういう意味じゃなくて…」
2人が見ているのも気にせず、いつものように彼と戯れる。イリヤが
「やっぱりどう見てもいちゃついてるよね」
と美遊に耳うちしているのが聴こえたが、むしろ見せつけてやるぐらいの気分で会話を続ける。
「ほんと貴方といると退屈しないわね♪」
「こっちは毎日ドキドキなんだけど…」
「あら、私だってドキドキしてるわよ?」
「それって…」
「どういう意味かしらね」
頭を抱えて悩み始める彼を眺めながら、クッキーを1つ口に放り込む。
それはとても甘くて、まるで彼と過ごす時間を表している様だった。
そういえば、こういうクロが見たいって感じのリクエストってあったりするんでしょうか? - 70二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 05:53:41
- 71122/10/23(日) 07:44:01
- 72二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 13:53:25
痛覚共有といえばクロの絆礼装えっちよね
- 73122/10/23(日) 18:29:25
「痛覚共有かあ……」
「これだけ言ってもまだ不安なの?」
「…だって、クロにも辛い思いをして欲しくないし…」
そういうことを言う時点で自分が辛い思いをしている、ということに気づいていないのだろうか。呆れながら
「だーかーらー別に私はそれを辛いだなんて思わないわよ。貴方が無茶しなければ良い話だし」
「それでもさあ…」
「そ・れ・に、この痛みを直接共有してるのは私だけ。他の人にはない私と貴方だけの繋がりなのよ?そんな大切なもの、絶っっっ対に解除なんてしないんだから」
「…そんなムキにならなくても、俺はずっとクロエのそばにいるぞ」
思わぬ反撃の言葉に赤面するが、主導権をあちらに握られない様に言葉を返す。
「言質とったわよ?私、結構嫉妬深いし、寂しがり屋なところもあるから、離れたら承知しないわよ」
「大丈夫、約束するよ。離れたりなんかしないし、無茶もしない。クロだけを見てる」
その言葉に安堵する。ある意味1番聞きたかった言葉なのかもしれない。
…なんだか無性にスキンシップが取りたくなったので、座っている彼と向き合う形で乗っかってみる。普段だったら適当にあしらわれるけど、今日はそのまま受け止めてくれた。
ここまでするのは初めてだったので、ついでにわがままも言ってみる。 - 74122/10/23(日) 18:30:28
「じゃあ、手始めに魔力供給してもらおうかなー」
「手始めにやることかなあ…」
「ほら、早く早く」
「わかったから急かさないで…まだ微妙に緊張してるから…よし」
目を瞑って唇を重ね合う。
「んっ………」
思わず声が漏れる。でも絶対に離れようとはしなかった。してる時間は長かった様な短かった様な曖昧な感じだったけど、その瞬間幸せであることは疑いようもなかった。
「ぷはっ……しちゃったわね♪」
「めっちゃ顔熱いんだけど」
「明日から毎日する?」
「刺激が強すぎるので毎日はご勘弁を…」
「しょうがないわねー、んーじゃあ他に何してもらおうかな」
「クロは欲張りだな」
「当然、女の子はわがままで欲張りなのよ?」
「じゃあ、頑張ってそのお願いを叶えないとな」
そんな話をしている内に彼がたまらなく愛おしくなり、思わず乗っかったままそっと押し倒してみる。彼は特に抵抗なく倒れ、私も一緒に倒れ込む。 - 75122/10/23(日) 18:31:20
- 76122/10/23(日) 18:33:24
独占欲と可愛さを頑張ってマシマシにしてみました痛覚共有するぐらいだしどっちもこれぐらい重くても良いよね…?
そして、なんか糖度がどんどん上がってる気がするのと、どこまで描写して良いものなのかがわからなくなってきた - 77二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 00:55:14
ほしゅ
- 78122/10/24(月) 00:59:17
「後半分かー…」
描きかけのレポートを眺めながらそう呟く。今日中に終わらせなければいけないのだが、どうにも集中できない。なぜなら…
「♪〜」
クロがベッドで漫画を読んでくつろいでいるからである。普段クロが部屋に遊びに来ることはよくあることだ。そしてその時に自分がレポート等をやっているのも別にたまにあることだ。なので別にイレギュラーなことではないのだが、今日はどうしても気になってしまう。チラチラ見ているのに気づいたのか、こちらの方へと近づいてくると、
「何か用?」
と声をかけてきた。用があるといえばあるのだが、まさか気になるので一旦部屋から出てほしいとは言えず、適当にはぐらかすしかなかった。
「別に何もないから気にしないでいいよ」
それを聴くとクロは少し考え込んで、
「本当は、レポートやってるそばに私がいるのが気になるとか?」
「なんでわかるの!?」
一瞬でバレたことに驚きを隠せなかった。
「適当に鎌かけたんだけど本当に当たるとは思わなかったわ」
どうやら墓穴を掘ったらしい…
「えっと…少しだけ席を外してもらうことは?」
「それは別にいいけど。でも、元はと言えば貴方が今まで溜め込んでたのが悪いのよね?」
「ぐっ…」 - 79122/10/24(月) 00:59:50
図星である。本来であれば、3日前には終わっていたはずだった…はずだったんだ…
まあ嘆いてもしょうがないので、また作業を再開する。それを見たクロがため息をついたかと思うと、部屋から出て行ってしまった。
正直言うと少し寂しかったが、レポートを終わらせるためと自分に言い聞かせる。
長いと思っていたが、案外やればできるもので思っていたよりも終わらせるまでに時間はかからなかった。充足感から椅子に座ったまま伸びをしようとすると
「レポート終わったの?」
クロが俺の肩に手を置き、レポート用紙を覗き込んでいた。
「あれっ部屋から出ていったんじゃないの?」
「確かに出ていったけど、すぐ戻ってきたわよ?」
「ため息ついてなかった?」
「手伝って欲しいとか言ってくるかと思ったけど、そんなそぶり全然見せなかったから」
すれ違いとは恐ろしいものだ…
「部屋にずっといたの気づかなかった」
「だいぶ集中してたみたいね。真剣にやっててかっこよかったわよ♪」
「そういう問題かな…というか今さらだけど近いな」
「照れてるの?」
「そんなわけ…いや、あるな」
「相変わらずいい反応するわね♪」
そう言いながら楽しそうに笑う。どうやらさっきまでほとんど喋らずにいたので、かまってもらえたのが嬉しかった様だ。こういうところを見ると、年相応で可愛いなと思うが、口に出すと色々とアレなので黙っておく。
そのままクロと話をするのもいいと思ったが、集中してたせいか睡魔が襲ってきた。寝ようかと思ったが、クロと話していたかったので、会話を続けようとすると、
「………」
「どうした?」
「今すっごい眠いでしょ」
本当はなんでも見通してるんじゃないかこの娘。ここは抵抗しても意味がないので素直に白状する。
「実を言うとすごく眠くて…」
「だと思った。休める時にちゃんと休みなさいよ」 - 80122/10/24(月) 01:01:45
その言葉をありがたく受け取り、ベッドに向かおうとするが、何故かクロが先に腰掛けており、
「休むんでしょ?こっちに来なさい」
膝をポンポン叩きながら、ベッドの方へ誘ってくる。それを見てもしやと思い、疑問を口にする。
「もしかして、膝枕しようとしてる?」
「せーかい。わかったなら早く来る」
『いや、普通に寝かせてくれ』と思ったが、あまりにも眠かったので断ることもできず、クロの膝の上に頭を載せる。柔らかい感触とシャンプーか何かの匂いに挟まれ、一気に寝そうになった。正直傍から見たらすごく情けない光景ではあるが、不思議と落ち着いた。
「ゆっくり休んでね」
その一言と共に普段自分がやっている様に頭を撫でられる。そんなクロの優しさに包まれながら、仮眠をとるのであった。
今日はゲーセンでクロエニウムを補給して来たので、2本投稿しました
クロ可愛いよクロ - 81二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 12:34:35
保守
- 82二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 22:20:23
保守
- 83122/10/25(火) 00:04:39
「新しいウェディングドレスのモデル?」
「うん、今回は君にビビッときたからさ」
糸車に乗った小さな妖精、ハベトロットにそう声をかけられた。
「せっかくのお誘いだし引き受けるけど…なんで私?」
単純な疑問だった。ここには私以外にこの格好が似合いそうな人はたくさんいる。なので、私が選ばれたことが少し気にかかった。
「んー、なんて言えばいいのかな…」
糸紡ぎの妖精は少し考え込むと、
「君が恋する乙女だから、かな」
「ふえっ!?」
予想外の言葉に思わず変な声を出してしまう。確かに私にも好きな人はいる。ただ、そのことがイリヤと美遊以外に知られているとは思ってもいなかった。
「そ、そんなにわかりやすかった?」
「ハベにゃんの観察眼をなめないでくれよ。マスターと一緒にいる時の君を見てたら、なんとなくピンときたんだ」
「…っ///」
誰が好きなのかもお見通しらしい。そのことに少しショックを受けながら話を戻す。
「理由はわかったわ。私は何をするの?」
「寸法を測ったり、どんなデザインにしたいか教えてもらうとかかな。あ、後、完成前に一度着てもらって最終調整もしないと」
「それなら私でも大丈夫そうね」
「お、やってくれるみたいだね。じゃあ早速僕の仕事部屋に行こっか」
「ん、これからよろしくお願いね」
「ふふーん、大船に乗ったつもりでいていいよ。なぜなら僕は花嫁とその候補の味方、ハベトロットだからね!」 - 84122/10/25(火) 00:05:19
それから少し経ってウェディングドレス作りはだいぶ進み、今日の最終調整を経ていよいよ明日完成品をお披露目することになった。
「うんうん、サイズは問題なさそうだね。動きやすさはどう?」
そう聞かれたので、その場でターンし腕周りも動きづらくないか確認してみる。
「問題ないわ」
「よし、さすがは僕!君もたくさん手伝ってくれてありがとね」
「そりゃ、せっかく作ってもらえるのにのんびり待つわけにはいかないし」
「優しいんだね。君はいい花嫁になりそうだ。ハベにゃんが保証するよ」
「ありがと。そう言われると自信がつくわ」
「それならよかったよ。他に気になることはない?」
その言葉を聴いて咄嗟に「似合っているか」と言いそうになった。けどなんとなく言ってはいけない気がして、無言で首を振った。
「じゃ、本当に問題なしってことで。少し調整しておくから、明日の昼過ぎにまた来て」
「わかったわ。楽しみにしてるわね」
その日私はドレスを着ることへの楽しみと緊張と不安を抱えながら眠りについた。
次の日、早めに目覚めたこと以外は特に普段と変わりなく過ごした。早めのお昼を食べて少し部屋で心を落ち着かせてから、ハベトロットの部屋へと向かう。 - 85122/10/25(火) 00:06:53
「来たわよー」
「お、いらっしゃい!完璧に仕上げたよ」
そう言って指差した方向に私のためのウェディングドレスが飾られていた。
「綺麗……」
「ほら、眺めるのもいいけど早く着たところも見せて欲しいな」
「…うん」
促されて試着室で着替える。
「この後はどうするの?」
そう聞くと何故かハベトロットがニヤニヤしているので理由を聞いてみると、
「実はこれを披露するためにサプライズゲストを呼んでるんだぜー」
「サプライズ…?」
そう言いながら奥のドアを指差すハベトロットに導かれ、ドアを開けると
「あ……」
驚いた顔でこちらを見つめるタキシード姿の彼が立っていた。
「え……どうして?」
「…ハベにゃんがこれ着てここで待ってて欲しいって言うから」
その言葉に後ろのドアを振り返るが、すでに閉まっており誰もいなかった。仕掛け人がいなくなったことで、気まずい沈黙が訪れる。何か言わなきゃと思い、咄嗟に思いついたことを言う。 - 86122/10/25(火) 00:08:10
「その…似合ってる?」
正直、似合っている自信はあまり無かった。『自分にこれはふさわしくない』
そんな後ろ向きな考えがずっと脳裏によぎっている。それでもこれだけは彼に聞いておきたかった。
「そりゃもちろん。すっごく綺麗だぞ」
間髪入れずに答えてくれた。思わず駆け寄って、そのまま彼の腕にしがみつく。
「っ…!急にどうした?」
「貴方のそういうところだーい好き♡」
「いやほんとなに!?嬉しいけど色々と追いつかないんだけど!?」
「ふふっ♪」
嬉しかった。ウェディングドレスを着た自分が綺麗だと言ってもらえたことが。
「その…喜んでくれたならよかった」
「うん、とっても嬉しい」
そう答え、腕をぎゅっと抱きしめる。そのまま顔を赤くして狼狽える彼の耳元に口を寄せ
「本番の時もよろしくね♡」
と耳打ちをし、頬にそっと口づけをした。
保守感謝です
クロエ・フォン・アインツベルン〔ブライド〕来て欲しいですね… - 87二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:52:43
こういうの見てると癒されるなぁ
- 88二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 06:51:02
甘々なのいいよね
供給少ないから助かる… - 89二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 12:47:52
かわいいに癒される
塩梅良い糖度だ - 90二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 13:39:57
供給少ないキャラのSSはどんどん増えていい
クロエはイリヤと美遊にわりと押されがちなので助かる - 91122/10/25(火) 18:54:59
「朝ごはん〜」
そんなことを呟きながら、食堂へと向かう。すると急に後ろから誰かが背中にくっついてきた。
「何奴!」
「さあ、誰でしょうね?」
聞き馴染みのある声…というかこれを間違えたら本気で嫌われかねないので間を空けずにすぐ答えた。
「クロ」
「ピンポンピンポン大正解〜。正解者には私をおんぶして食堂に連れていく権利をあげまーす」
そう言うとそのまま飛び乗ってくる。
「あ〜これ楽でいいわね…」
「俺は大変なんだけどね」
「普段頑張ってるサーヴァントには、ご褒美があってもいいと思うんだけど」
「しょうがないなあ」
離れる気配は全くなさそうなので、背負ったまま目的地へと向かう。歩いている間、背中越しに伝わってくるクロの体温や感触に少しドキドキしてきたので、適当な会話で気を紛らわす。
「こうしてるとオンブバッタを思い出すな」
「何それ?」
「嘘…知らない?バッタが重なってるやつ」
「んー、見たことないわね」
「そっか…」
…エミヤの気持ちが少しわかった気がする。
そんな話をしているうちに食堂に着いた。背負っていたクロを降ろし、朝食を貰いに行く。気づくと近くにいたクロがいなくなっていたが、朝食を持ってテーブルに着く頃にはまた戻ってきていた。 - 92122/10/25(火) 18:57:29
「別のにしたんだ」
「うん、ちょっと試したいことがあって」
「?」
「「いただきます」」
早速食べ始めると横から視線を感じたので、そちらを向いてみる。
「何?」
と声をかけると、待ってましたと言わんばかりに、スプーンに乗ったスクランブルエッグが差し出された。
「はい、あーん♡」
他の人の視線があるので断ろうかと思ったが、悲しい顔をされるのが嫌だったので、ありがたく好意を受け取る。
「ありがと」
「どういたしまして」
そう言った後、何故かこちらを向いたまま期待の眼差しを向けてくる。最初はよくわからなかったが、お返しを期待されてることに気づいたので、卵焼きを差し出してみる。
「…あーん」
「…!あーん♡」
嬉しそうに食べる様子を見てると、もっと食べさせてあげたくなる。が、流石にこのまま食べさせあっていたら、食事の時間が大変なことになるので早々に辞めた。…クロは不満そうだったけど。
「「ごちそうさまでした」」
食器を返却し、部屋に戻ろうとすると、腕を引っ張られたのでクロの方を振り返る。すると止まったのを見て、また背中に乗っかってきた - 93122/10/25(火) 18:59:29
「もしかして帰りもですか?」
「もちろん、貴方の背中ってすごい心地いいのよね。この気持ちよさを私の身体に教えた貴方には責任とってもらわなきゃ」
「俺が悪いのか…後、なんか人聞きが悪くない?」
まあでも、こんなふうに甘えられるのはやぶさかではないので素直に従う。
「どこに連れてけばいいの?」
「今日お休みでしょ?なら貴方の部屋しかないわね」
どうやら今日一日2人で過ごすことになるようだ。
「りょーかい、じゃ部屋に戻ろうか」
「ん〜お願いね」
なぜか頬擦りしながら、返答してくる。これはこれで可愛いので特に問題はないけど。
「今日はいっぱい遊ぼうか」
「当然、貴方と一緒なら退屈しないもの♪」
長く楽しい1日になりそうだ。
身長差あるとこういうシチュが出来るの良いよね
そして着々とクロの可愛さが広まっている様で何よりです
後スクショ漁ってて気づきましたが、この格好すごいえっt - 94二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:07:13
夜中の11時58分、私はカルデアの廊下を歩いていた。本来なら眠っている時間であったが、『0時になったら自分の部屋に来て欲しい』と言われたので、欠伸をしながら彼の部屋に向かっている。こんな時間に出歩いていると、誰かに見つかって怒られそうなものだが、不思議と人とすれ違うことはなかった。
時間通りに彼の部屋の前に着いたが、何となく緊張してきたので、一度深呼吸をしてから部屋に入る。
「誕生日おめでとう!!!」
笑顔で私を出迎える彼の姿が目に飛び込んできた。
「そっか…そういえば今日誕生日だっけ」
「そうそう。喜んでもらえるように、頑張って去年よりもさらに豪華にしてみたよ!」
彼の言う通り、部屋は折り紙で作った飾りやメッセージの書かれたホワイトボード、色とりどりの花などでいっぱいだった。
「わざわざ準備してくれたの?」
「さっきも言ったけど、喜ぶ顔が見たくて」
「……ありがと」
「どういたしまして」
お礼を言って、いつものようにベッドへ腰掛けようとしたが、ふと気になることがあったので口にする。
「イリヤと美遊は呼ばなかったの?」
「イリヤも美遊も誘ったんだけど、なんか『クロに悪いから』って断られちゃって…」
どうやら気を遣ってもらったらしい。そのことに一応感謝はしつつ、ベッドへと座る。 - 95122/10/26(水) 00:10:42
「流石にこの時間にケーキとかはアレだから…プレゼントだけ渡すね」
そう言って渡されたのは少し縦長の綺麗にラッピングされた箱だった。
「開けてもいい?」
「もちろん」
包みを剥がし、中の箱を開ける。中には三日月をあしらったネックレスが入っていた。
「綺麗……」
「三日月には女性らしさや優しさの意味が込められてて、願いを叶えてくれるらしいよ」
「そうなんだ…」
中から出そうとしてあることに気づいた。
「もしかしてこれ、貴方が作ったの?」
「バレたか…ダヴィンチちゃんに素材融通してもらったり、アクセサリー作るのが得意そうな人に教えてもらったりして、いくつか作った中で1番上手にできたのを選んだんだけどやっぱり不恰好だったかな…」
「ううん、そうじゃないの」
ただの勘だった。むしろそうであって欲しいと思ったぐらいだ。なので、彼が私のことを想ってこれを作ってくれたことが何よりも嬉しかった。
「ねえ、これつけて欲しいな」
「わかった」
渡されたネックレスの留め具を開き私の首にかける。後ろからつければ良いのに、わざわざ正面から手を回してつけようとしてくれる。
顔の近さに思わず赤面したが、真剣につける様子を見てたら思わず笑みが溢れた。 - 96122/10/26(水) 00:13:02
「よし、できたよ」
「ん、ありがとう」
「…よく考えたら正面からじゃなくて、後ろにまわってつけてあげればよかったな」
「え?わざとじゃないの?私の顔を近くで見たかったから〜とか」
「そんな下心持ってやってないよ!?」
…それはそれでなんか悔しい。そんな乙女心はとりあえず奥に押し留めておいて、胸元に光るネックレスを眺める。
「うん、やっぱりクロによく似合ってる」
「そう?可愛い?」
「すごく可愛い!」
「…これ大切にするわね」
「そうしてもらえると嬉しいよ」
本来であればもう少しおしゃべりをしていたかったが、時間が時間なので泣く泣く諦めることにした。
「そういえばもう遅い時間なんだけど」
「うっ…それは…ごめんなさい」
「今から部屋に戻るのもアレだし、今日はここに泊まってくわね♪」
「何となくそうなる気はしたよ」
「ふーん、一緒に寝たかったんだ」
「何でそうアレな方向に舵を切るのかなあ!?」
そんなやりとりをしながらベッドに入ろうとすると
「絡まると危ないからちゃんとネックレスは外して寝てね」
「えー」
「えーじゃないよ」
「せっかくつけてもらったのに…しょうがないわね」 - 97122/10/26(水) 00:16:20
渋々外してテーブルの上に置いてあった箱に戻しておく。そしてベッドに戻り、彼を抱き枕にする形でベッドに入る。
「流石に近くない?」
「誕生日だからこれぐらい良いでしょ?」
「誕生日ならしょうがないか…」
同意を得たので、堂々と抱きつく。
「おやすみのちゅーは?」
「!?マジで言ってます?」
「マジよ。まあ、貴方は恥ずかしがって自分からはしないだろうから、私からするけど」
「え,ちょっと待って心の準備が…」
とか言っていたが構わず唇を塞ぐ。
「ん………」
…もし電気がついていたら彼も私も顔が真っ赤になっているのがバレバレだっただろう。
「ぷはっ…うんうん、やっぱり貴方とするのが1番ね♪」
「誤解を招きそうなんですが…」
「じゃあ誤解にならないようにする?」
「え?」
「さーてどういう意味かしらね」
ひとしきり彼をいじることに満足したのでもう寝ることにした。目を瞑って眠りに落ちるのを待っていると、
「誕生日おめでとうクロエ。」
その声と共に優しく撫でられた。大好きな人と一緒に誕生日を過ごせることに、胸をときめかせながら私は眠るのだった。 - 98122/10/26(水) 00:17:07
96レス目は譲りたくなかったので連投
なんか添い寝とキスばっかりしてる気がしますねこのSS… - 99二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:18:34
個人的感想だけどもっとキスしてええんやで…
- 100二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 08:50:55
とりあえず保守
- 101二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 19:34:31
保守
- 102122/10/26(水) 22:23:23
『夕ご飯が終わったら部屋で待ってて欲しい』
そう言われたので、早めに入浴し本を読みながらクロが来るのを待っている。きりの良いところまで読み終わり、『そろそろ来るかな』なんてことを考えていると、タイミングを測ったかのようにドアをノックする音が聞こえてきた。
「どうぞー」
「こんばんは。約束、守ってくれたみたいね」
そう言いながら部屋に入ってくる彼女を見ると、風呂から上がったばかりなのか、まだ髪は乾いておらず、頬も赤く染まっている。
…正直直視していると、色々とまずい気がしたので、それとなく視線を外しながら部屋に来た理由を尋ねる。
「今日はどんな用件で?」
「髪、乾かしてもらおうと思って」
意外なお願いだった。まあ、無理なお願いでもなかったので二つ返事で引き受ける。
「じゃあ、乾かすからここ座って」
と椅子を指差したが、何故かクロはその場から動こうとしない。
「えと…どうかしたか」
「膝の上が良い」
…今日は驚いてばかりだ。流石に膝に乗ったままやるのは難しいので、ベッドに腰掛けてもらって、その後ろにまわって乾かす形となった。
「じゃ、始めるぞ」
「うん」 - 103122/10/26(水) 22:24:10
いつもだったら何かしらの話をしてきそうなものだが、何故か今日は静かだった。静音式のドライヤーを使っているので、会話はできないわけではない。なので、こちらから話題を振ってみることにした。
「やっぱりクロの髪は綺麗だな」
「ん…ありがと」
また沈黙が訪れる。どうしたものか…と髪を乾かす手を動かしながら思案してると、
「ねえ」
「ん?」
「髪、長い方が好きなの?」
「急だな」
「長いのと短いのどっちが好き?」
「そうだなあ…あんまり気にしたことはないかな」
「…」
「あーでも、クロの髪は今のが1番好きだぞ」
「っ…!」
そっぽをむかれてしまった…なるべく本心を言ったつもりなのだが、逆効果だったのだろうか…これ以上の沈黙は辛いので急いで話題を変える。
「そういや何で髪乾かして欲しいって頼んできたの?他に上手い人いると思うんだけど」
「………から」
「ごめん、よく聴こえなかった」
「だーかーらー、イリヤが貴方に髪を乾かしてもらってるって自慢してきたから!」
それを聴いた瞬間、思わず手を止めて
「フフッ」
笑ってしまった。 - 104122/10/26(水) 22:26:17
「ちょっと、笑わないでよ!」
そう言いながらこちらの方を軽く叩いてくる。そんな様子が本当に愛らしくて、
「ごめんごめん、クロがそんなことでヤキモチ妬いてるのが可愛くて」
「…自分だって逆の立場になったらヤキモチ妬く癖に」
「それを言われると否定できないな…」
そうこうしている内に乾かすのは終わったので、持ってきた櫛を借りて髪を梳かす。
「♪〜」
さっきのやりとりである程度スッキリしたのか、梳かしている間ずっと上機嫌だった。
「オッケー。もう動いて大丈夫だぞ」
「…わがまま聞いてくれてありがと」
「どういたしまして。…クロが良ければまた頼んでくれても良いぞ?」
「…!うん♪」
こんな風に喜んでもらえるならいつでも引き受けよう、そう心に誓っていると、クロがこちらを振り返った。そして、ちょうど向き合う形になったかと思うとそのまま押し倒され、何も言わずに抱きしめられた。
風呂から上がってそれなりに時間は経ってるはずなのだが、伝わってくる体温はまだ高かった。恐らくだが今日はもうこのまま離れないのだと直感で悟る。さっきああ言った手前突き放すわけにもいかないので、
『しょうがないなあ』
と心の中で呟きながら抱きしめ返すのであった。 - 105122/10/26(水) 22:28:18
今回はイリヤの絆5ボイスから着想を得て書きました
プリヤ本編の美遊がそうでしたが、普段しっかりしてる子が、好きな人の前だとわがまま言って甘えてる姿の破壊力やばいですよね - 106二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 05:33:19
保守
- 107二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 14:29:18
保守
- 108二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 19:02:56
かわいい…好きだ…
- 109122/10/27(木) 22:03:52
「やっぱり夜になると涼しくて良いわね」
「なんか一気に雰囲気も変わるよなー」
そんな話をしながら、人工的な明かりで眩しい通りを進んでいく。ここはハワイ諸島をくっつけた特異点、ルルハワ。先日までマスターはここで色々と孤軍奮闘してたようで、今日になるまでほとんど会えなかった。その埋め合わせのつもりなのかはわからないが、
『今日の夜に一緒に行きたいところがあるんだけど、来てくれる?』
と誘われた。断る理由など見つけようもなかったので、喜んでその誘いに乗った。
初めて2人きりの夜デートなので、服や髪型も普段とは違う装いにしてみた。…それを見たイリヤと美遊がニヤニヤしていた気がするが、気のせいということにしておく。
「……」
「何か気になることでもあった?」
「うん、いつもと雰囲気違うなと思って」
「…どうかな、似合ってる?」
「ん、そうだな…」
少し考え込む彼を見てると、柄にもなく不安になってきてしまった。やっぱり無理に言わなくても良いと言うべきかと考えていると
「すごく大人っぽいというか…たまに見せるクロのカッコいいところが存分に出てて良いというか…ごめん、すごく良いと思うんだけど褒める言葉がうまく見つからない…」
言葉を選びながら、わたしを喜ばそうと頑張る彼の姿があった。 - 110122/10/27(木) 22:09:39
「その…ありがと、貴方にそう言ってもらえるの嬉しいわ」
「本当はもうちょっとうまく誉める予定だったんだけど」
「別に言葉のうまさは重要じゃないわよ。気持ちが伝わってきたし。それに、一生懸命考える貴方も可愛かったし♪」
「こっちは真面目に考えてたんだぞ」
「そーいうところが好きなの」
「!?そうか…そうかー…」
話している内にだいぶ進んだみたいで、気がつくと周りから光が消え、わたしたち以外誰もいなくなっていた。
「この辺で良いかな」
そう言って立ち止まる。
「ここに何かあるの?」
「見てもらいたいものがあって…うん、ここなら大丈夫そう。空、見上げてみて」
そう言われて上を見上げてみると
「わあっ……!」
空を覆い尽くすぐらいの満点の星々が広がっていた。星の一つ一つがまばゆく光っていて、わたしたちを優しく照らしてくれている。それを見ている内に
『手を伸ばしてあの星に触ってみたい』
そんな何も知らない小さな子供の様な夢を私はこの星空に見た。 - 111122/10/27(木) 22:13:02
「…すっごい綺麗ね」
「喜んでもらえてよかった」
「貴方に誘ってもらって大正解だったわ♪」
「勇気を出して誘った甲斐があったよ」
「後は貴方から良い感じの言葉をもらえたらもっと嬉しいんだけどなー」
「うっ、そうきたか…ちょっとだけ時間ちょうだい」
と言うなり考え込んでしまった。ちょっとした冗談だったのだが、せっかくなので期待しながら待ってみることにする。
考え込んでいるところを近くで見たことがあまりないので、気づかれないように眺めてみる。見ている内に、その真剣な横顔にドキドキしてしまったのは彼には内緒だ。しばらくすると何か思いついたようで、わたしのほうに向き直ると
「その…クロもこの星空に負けないぐらい綺麗だぞ。いや、むしろクロの方が綺麗だぞ!」
なんか予想外の言葉が投げ込まれた。あまりにも衝撃的すぎて、照れるのを通り越して笑ってしまう。
「あははははっ何それ告白ってやつ?」
「しょうがないじゃん!なんか良い雰囲気の言葉をって考えた結果出てきたんだから!」
必死になる彼の姿がとても愛おしくて、もっとこの時間が続けば良いのにと思ってしまう。 - 112122/10/27(木) 22:16:08
「ほんと貴方といると楽しいことばかりね♪」
「まあ、クロが喜んでくれるならそれで良いよ」
「うんうん、これからもわたしのそばにいてね」
「わかった、約束するよ。ずっとクロのそばにいるよ」
その言葉を聞いて嬉しくなったので、なんとなく手を握ってみる。彼はその手を離そうとはせず、ただ優しく握り返してくれた。
『まるで永遠を誓った恋人ね』
そんなことを思いながら天上の星々を眺める。
私はこの星空の下での彼との時間を絶対に忘れることはないだろう。わたしたち以外誰も知らない秘密の思い出を…
ルルハワとかいう色んな意味で便利すぎる特異点
ここで後、2、3本くらいはクロとのイチャラブSSが書けそうです
夏イベといえば、イリヤに続いてクロと美遊にも水着来ませんかね
後、今更ですがクロの一人称は「私」ではなく「わたし」でした…ちょっと高い崖探してきます… - 113二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 23:48:06
そういえばSSってやっぱり地の文もあった方が書きやすいor読みやすいって感じてる?
- 114二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 04:26:18
ほしゆ
- 115122/10/28(金) 07:18:20
- 116二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 08:26:44
- 117二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 17:46:23
保守
- 118122/10/29(土) 00:19:20
「……もう朝……」
普段とは違う部屋のベッドで目を覚ます。
「そっか、昨日はあの人の部屋に泊まったんだっけ」
誰かが寝ていた形跡のある隣のベッドを見ながら思い出す。昨日の夜、2人で星空を眺めに行った帰り道、今日はこのまま一緒がいいと言ったら、一緒の部屋に泊まることを了承してもらえた。残念ながらベッドは別々だったが。
「ヘタレマスターにも困ったものね」
…一緒のベッドで寝たら寝たで、夜デートの記憶がフラッシュバックし続けて眠れそうにないけど。そんなことを考えながら、洗面所で身だしなみを整えていると、昨晩のことを思い出してきて今更恥ずかしくなってきた。何とかしなきゃと思い、洗面所から出て部屋にあの人がいないことを確認してから、ベットに飛び込んで、赤くなった顔を隠す様に枕に埋め、思い切り足をバタバタさせる。
「〜〜〜〜!!!!」
…恋する乙女が出して良い声ではない気もするけど、それぐらいしないとこの後彼の顔をまっすぐ見れない気がしたので、思いっきり叫ぶ。 - 119122/10/29(土) 00:20:20
「…なんか疲れた」
とはいえ、ある程度スッキリしたので枕から顔を上げる。そういえば彼はどこに行ったのだろうと入り口の方を見ると
「あー…ごめん、何も見てないぞ…うん」
なんかいた。それを理解するのに十数秒かかったが、とりあえず駆け寄ってからベッドに引き摺り込んだ。こういう時、自分がサーヴァントでよかったと思う。
「何、何事ですか!?私何も見てないよ!クロが枕に顔埋めて叫びながら足バタバタさせてるところなんて見てないよ!」
「しっかり見てるじゃない!!!」
思わず涙目になる。最悪だ、恥ずかしい瞬間を見られてしまった。
「何で黙ってみてるのよー!」
「ドアもノックしたし、声はかけたけど…」
「嘘、全然気づかなかった…」
思っていたよりも自分の世界に没頭していたことに落ち込んでいると
「あーほら、すっごい可愛かったぞ!なんかああいうクロ見るの新鮮だったし!」
「そーいう問題じゃないの!」
「じゃあなんでもするんで見ちゃったことは許してください!」
「!?」 - 120122/10/29(土) 00:21:24
その言葉に思わず動きが止まる。確かに今「なんでも」と言った。「なんでも」ということはわたしがどんなわがままを言っても彼は聞いてくれる、ということだ。その言葉のおかげで、彼をからかう時のいつもの余裕が戻ってきた。
「ふーん、なんでもねえ…何してもらおうかなー」
「お手柔らかに…」
「じゃあ、まず頭撫でて」
「はい」
「次は抱きしめて」
「わかった」
「「クロは世界一可愛いよ」って言って」
「…クロは世界一可愛い」
「最後にぃ…キスして♡」
「ん、わかっ…いやいやいや」
「なんでもじゃないのー?」
「限度があるよ限度が!大体そういうのはほら、恋人できた時にしてもらいなよ」
「?じゃあ、マスターが私の恋人になってくれれば良いんじゃないの」
「っ…!」
否定してくるかと思ったら、そんなことはなく赤くなって黙り込んでしまった。流石に強気にいきすぎたかなと反省してると
「その…恋人…かどうかははっきり言えないけど、クロエは大切な人だよ」
今度はこっちが赤面させられる番だった。さっき顔の火照りを覚ましたばかりなのに、また熱くなってくる。 - 121122/10/29(土) 00:23:54
「あの…クロ…?」
「あーもうそういうところよ!」
「何が!?」
言ってもわからなさそうなので実力行使でわからせることにした。
「そのままじっとしてて…」
「急に何…」
なんか言っていたが、気にせず唇を合わせる。時間にして数秒ほどだっただろう。
「ん……ごちそうさま♡」
「えーっと今のは…」
「決まってるでしょ?わたしは本気ってこと」
「…」
ま、当然だろう。いきなりこんなことをされれば誰だって混乱する。仕方ないと半分諦めていると
「クロ!ちゃんと答えだすから!絶対!」
…ここまで言ってくれるだけでも嬉しかった。でも勇気を持ってわたしに伝えてくれた彼にはちゃんと答えなければならない。
「うん、わかった。待ってるわ」
また、約束をした。窓から見える海や昨日見た星空にも負けない光り輝く約束を… - 122二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 10:12:18
保守
- 123二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 10:12:26
保守
- 124122/10/29(土) 22:10:31
鯖落ち怖いのと次もう少しかかりそうなので保守
遅くなってしまい申し訳ないです - 125二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 07:11:00
保守
- 126122/10/30(日) 16:46:51
「ほら、早く早く」
そう言われながら手を引っ張られる。砂の上だと走りにくそうなものだが、彼女はものともせず進んでいく。
「そんな急がなくても時間はたくさんあるよ」
「そんな悠長なこと言ってられないわよ。この1週間、ほとんど一緒にいられなかったんだからその埋め合わせをしてもらわないと。大体、この特異点もそろそろ消滅するって話だし」
ごもっともである。確かにここ1週間はとあるミッションを解決するため、ホテルに缶詰状態になっていた。そのことについては特に何も言われなかったが、せっかく観光地に来たのに放ったらかしにしてしまったのが不満だったらしい。なのでその分、昨夜からクロと2人で改めて思い出作りに勤しんでいる。とりあえず今は海に向かっているところだ。
「そういえば、この水着どう思う?」
急にそう言われてクロの方を見てみる。下がホットパンツになってるタイプの今まであまり見かけなかった珍しいタイプの水着だ。クロによく似合っていて、素敵だと思った。だけどあまり熱を込めて言うのも引かれそうなので
「かっこいいぞ。クロのイメージにぴったりだと思う」
「貴方ならそう言ってくれると思った」
「別に適当に返事してるわけじゃないぞ」
「そうは言ってないわよ。でも、苦手なんでしょ?こういう時に上手く褒めるの」
…図星だ。現に昨晩やらかしたばかりなので、肯定しかできない。 - 127122/10/30(日) 16:48:34
「やっぱり女の子的にはこういう時ちゃんと褒めてもらった方が嬉しいよね…」
「確かにそういうのも嬉しいけど、1番は心の底からの言葉かどうかってところよ。昨日も言ったけど、貴方からの気持ちはきちんと伝わってるからそれで充分よ♪」
すごい大人な対応をされた。こういう時はクロが自分よりも年上の様に感じる。それを口に出すといつかの様に姉呼びをお願いされそうなので黙っておくが。
「ほら、そろそろ海に入って遊びましょうよ」
「…それもそうだな!」
2人で海に飛び込む。後はもうひたすら遊んだ。水辺で駆け回ったり、砂で城を作ったり、一緒に泳いでみたり…とにかくできることは全部やった。
「さ、流石に休憩しようか…」
「いっぱい遊んだしそうしましょうか」
そう言って海からあがる。海水を落としてから近くのレストランへと向かおうとすると、何やら人だかりが見えた。
「なんかやってる?」
「行ってみましょうよ」
どうやら何かのイベントをやってるらしい。近くに受付らしきテントがあったので覗いてみた。
「水着コンテストかあ。またやってるんだ」
「せっかくだし出てみようかな」
「ん……そうなんだ…」 - 128122/10/30(日) 16:50:15
本音を言うとあまり良い気分はしなかった。他の人に水着姿のクロを見られる、ということにモヤモヤする。それは言ってしまえばしょうもない嫉妬だ。しかし、今日の朝の問いにまだ答えを出したわけでもないのに、そういったわがままを切り出すのは傲慢にも程がある。なので、自分のことは二の次にして、クロの自由意志に任せた。
「そ、じゃあわたしの自由にさせてもらうわね」
と言うなり俺の手を取って会場とは反対方向に進む。予想外の状況に目を白黒させていると
「わたしのこの格好、他の人に見られるの嫌なんでしょ?」
実は超能力か何かを隠し持ってるんじゃないだろうかこの子は。
「…別にそこまでは思ってないけど」
「そこまでじゃないってことは、多少は思ってるってことでしょ?」
「うっ……その通りです」
「やっぱり」
それを聴いて満足そうに頷くと、さっき歩いてたよりもさらに近づき、ぴったりと寄り添ってきた。
「流石に近すぎやしませんか」
「独り占めしたいんでしょ?わたしのこと」
言い方に語弊がある。あるのだが…多分根本的には間違っていない。
「ごめん…」
「なんで謝るのよ」
「だって、クロとは他の人とは違う深い関係だと思うけど、だからって独占欲を出すのは違うかなって」
その言葉を聴いた後、何故かため息をつかれた。 - 129二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 16:51:54
このレスは削除されています
- 130122/10/30(日) 16:56:33
「あのねえ…」
「わたしだって、貴方が他の女の子と仲良さそうにしてるとモヤモヤするのよ。それと同じ。だから気を引きたくて、今日みたいに貴方を誘ったりするんだし」
あっさりと受け入れられた。クロが自分に少なからず好意を持ってくれているのはなんとなく感じていたが、まさかここまではっきり言ってくれるとは思わなかった。
「クロもその…同じ気持ちになることがあったんだな」
「そうよ♪だから、あんまり他の子に目移りしてたら許さないんだから」
そう言って、彼女はいたずらっぽい笑顔を見せ、絶対離さないと言わんばかりに腕を絡ませてくる。
『やっぱりクロには敵わないな』
楽しそうに歩く彼女の姿を見ながら、そんなことを考えるのであった。
最近よわよわクロばっかだった気がするので、つよつよな所を多めにしてみました
後、ミスってたとこあったのであげ直しました - 131122/10/31(月) 00:41:38
保守
- 132122/10/31(月) 07:24:36
「逆令呪?」
「そ、マーちゃんがサーヴァントのお願いを1個だけ叶えてくれるってやつ」
「ふーん…そんな楽しそうなものがあるんだ」
今日わたしは刑部姫の部屋に来ている。珍しくここに来たのには理由がある。
「いやー、それにしても珍しいお客さんが来たと思ったら、作品の依頼とはねー。ま、せっかくのお願いだし引き受けるけど」
「絶対内緒にしておいてよ。特にマスターには」
「乙女心ってやつ?まあその点は安心して良いよ。絶対バレないから。…それにしても私はどこに置いてきたんだろうね、乙女心…」
急に遠い目をし始めた…話がだいぶ逸れてきたのでそろそろお暇することにした。
「とにかく、できたら教えてね。」
「はいよー」
用事は済んだので部屋を出る。
「逆令呪、ねぇ…」
そう呟きながら廊下を進む。特にこの後は予定もなかったので、何も考えずに進んで行く。
「…やっぱり気になるのかしら」
気づいたら彼の部屋の前にいた。さっきの話のせいで無意識にここへ向かっていたらしい。ここまで来たら引き返すわけにもいかないので、入ってみることにした。とりあえずドアをノックしてみる。
「空いてるよー」
どうやら部屋にいるみたいだ。なんとなく安心した様なそうじゃない様な、不思議な気持ちを抱えながら部屋に入る。 - 133122/10/31(月) 07:26:07
「こんにちは。何してたの」
「見ての通り惰眠を貪ってる」
「暇なのは大体分かったわ」
「ストレートに言ってくれるなあ」
そう言いながらベッドに腰掛ける。いつものようにわたしもその隣に腰を掛ける。
「そういえば、面白い話を聴いたんだけど」
「どんな話?」
「逆令呪」
「ああ…あったねそんなやつ」
「何命令されたの?」
「なんかすごいしょうもなかった様な…そもそも使われなかった様な…」
はぐらかされたのかと思ったが、本当にそうらしい。何もなかったことに胸を撫で下ろす。
「わたしも欲しいなー。逆令呪♡」
「そんな素敵なもんじゃないぞ。できることなんてたかが知れてるし」
「でも、お願いしたらしてくれるんでしょ?」
「できる範囲でね」
「じゃあ、お願いしても良いの?」
「クロにはたくさん助けてもらったからな。できることならなんでもやるよ。」
「やった♪どんなことしてもらおうかな」
して欲しいことはないかその場で考える。…よく考えたら手を繋ぐのもハグもキスも経験済みだ。そもそも普通に頼めばしてくれるはずだし。なので、まだしてないことはないか確認してみる。 - 134122/10/31(月) 07:27:14
「そんな無理して考えなくても、次の機会で良いんじゃない?」
「ダメ、今やらないと貴方恥ずかしがってやってくれなさそうだし」
「信用があるんだかないんだか…」
…そういえばまだしてないことがあった。
「ね、膝枕してみない?」
「ん、そうきたか…」
照れて断ってきそうだったので、ここぞとばかりに逆令呪権を使わせてもらう。
「約束…守ってくれないの?」
「それはずるくないかな!?…男に二言はないよ」
OKはもらえたので、膝枕ができる姿勢に座り直し、
「ほら、ここに頭乗っけて」
「あれ?こっちがされる側?」
「そりゃそうよ。そっちの方が面白そうだし♪」
「そうですか…じゃあ失礼します」
そう声をかけ、わたしの膝の上に頭を乗せてくる。
「なんかすごいドキドキするなこれ」
「そう?わたしはそんなことないけど」
嘘だ。実際はわたしも同じ様に胸の鼓動が速くなっている。でも、照れ臭かったので黙っておいた。
「どう?感想は」
「慣れてきたら結構心地良い感じかもしれない…」
「それなら良かった。これでわたしのこともっと好きになったでしょ?」
「そうだな。でも、その内完全にクロから離れられなくなりそうだな…」
「そうなってくれたらわたし的には嬉しいけど」 - 135122/10/31(月) 07:27:59
そんな話をしていたが、眠くなってきたのか、途中からあまり喋らなくなってしまった。日頃の疲れが溜まっているらしい。このタイミングの膝枕はちょうど良かったのかもしれない。
手持ち無沙汰なので、いつも彼がやっている様に頭を撫でてみる。ついでにもう片方の手で、彼の手を恋人繋ぎで握ってみる。珍しくされるがままだったので、ここぞとばかりに好き勝手させてもらう。…今この瞬間を誰かが見たら、わたしたちは恋仲であると認識するだろう。
「…それはそれで悪くないわね」
「何が?」
「わたしたちが恋人だってこと」
「…それは……楽しそうだな……」
それだけ言うと目を閉じて眠ってしまった。なんか勝ち逃げされた様でずるい。そう思ったが、眠っている彼を見てたら、気にならなくなってきた。惚れた弱みというやつだ。
「ほんと、しょうがないんだから」
起こさない様に呟きながら、2人の時間を過ごすのであった。
多分、3人の中だとクロが逆令呪権あげても1番安全な気がするのは気のせいでしょうか - 136二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 16:42:17
保守
- 137二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 16:55:11
このレスは削除されています
- 138二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 17:02:15
このレスは削除されています
- 139122/11/01(火) 00:34:22
「お帰りなさいませ〜ご主人様♡」
ミーティングを終え、部屋に帰るとメイド服を着たクロが、自分を出迎えてくれた。だがなぜそんな格好をしているのか意図が全くわからない…そんなことを考え込んでいると
「せっかく普段と違う格好したのに、なにか感想とかないの?」
やばい、黙っていたせいで不機嫌になってる…とりあえず思った感想をそのまま口にしてみる。
「すっごい可愛いぞ!ヒラヒラしたスカートとかそれに合わせた髪型とか…よく似合ってる!」
少し安直すぎたと反省していたが、
「そんな風に思ってたんだ…その…ありがと」
珍しくストレートに照れている。その姿はとても可愛らしかったが、見ていると何だかこっちも恥ずかしくなってきた。
「えーっと…そうだ、お昼用意したから座って座って」
手を引っ張られてテーブルに着く。
「はい、召し上がれ♡」
その言葉と共にテーブルにオムライスが置かれた。
「本格的だな」
「ちゃんと教えてもらって作ったのよ?」
その言葉に納得し、頂こうとしたら、ケチャップもスプーンもないことに気づいた。
「これ、どうやって食せばいいの?」
「え?私が全部食べさせてあげるけど」
衝撃的な発言が飛び出した。
「マジで?」
「マジよマジ。ほら隣座るから横空けて」 - 140122/11/01(火) 00:36:02
混乱してるうちにあっという間に隣を確保されてしまった。なんだったら、二の腕とか太ももとか当たってて辛い。試練的な何かかと思いながら頭の中で般若心経を唱えていると
「なんて書いて欲しい?」
「…クロの好きなもので良いよ」
「じゃあ、貴方の顔書けば良いの?」
「!?それは…勘弁したいかな…」
「えー」
「じゃあ文字で、文字でお願い」
「わかったわ。愛情のこもったメッセージ書いてあげるわね♡」
…なんか今日はすごい攻め攻めだ。こっちとしても満更でもないが、クロに完全に堕とされると色々とまずい気がする。どうしたものかと考えていると、
「はい、できたわよ」
「ん、ありがとう…っ!?」
差し出されたオムライスには大きくハートが描かれており、その中に俺とクロの名前が書かれていた。昔、小学校で見た好き合っている男女の名前を茶化して書かれていたやつにそっくりだ。
「えーっと、これは?」
「もちろん、そのままの意味だけど」
「そうか…そうかぁ…」
どうも含みのある言い方だ。けど、勘違いして良いのかそうじゃないのかわからなくなる。
「はい口開けて」
気がついたら目の前にスプーンが差し出されていた。ぼーっとしている内に準備していたらしい。 - 141122/11/01(火) 00:38:03
「やっぱり食べさせてもらわないとダメなのでしょうか?」
「…」
すっごい悲しそうな顔をされた。演技か本気かわからないが、なんか心がすごい痛くなってきたので、観念して口を開き、スプーンを口に入れる。
「あ、すごい美味しい」
「でしょ?頑張って作ったのよ?愛情もたっぷり込めて♡」
…一瞬クロを抱きしめそうになった。どうも諸々の攻撃で理性が削られてるらしい。流石に嫌がられる可能性もあるので、こらえたが。そういえば、色々あって忘れていたが、何故こんなに手を尽くしてくれるのかが気になった。
「今日はなんで、こんなに色々してくれたの?」
「貴方がいつも頑張ってるから。たまにはこういう時があっても良いでしょ?」
つまりこれはクロなりのご褒美だったというわけだ。実際最初は戸惑いもあったけど、今は確かに楽しめている。答えを聴いて納得してくれたと思ったのか、またスプーンを差し出してくる。
「はい、あーん♡」
「やっぱり続けるんだね…」
「当然、こうでもしないとわたしの気持ちに気づいてくれないし」
「気持ちは充分受け取ってるけど、どう返して良いかわからなくて…」
「んー、じゃあ貴方もメイド服着る?」
「同じものを返すってそういう意味じゃないと思うよ!?」
「あははははっ、冗談よ冗談。でも、貴方がそう思ってくれるだけでもすごく嬉しいのよ?」 - 142122/11/01(火) 00:42:52
- 143二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 11:00:04
保守
- 144二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 20:38:15
保守
- 145二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 04:38:13
正直言ってかなり好き
- 146二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 06:59:11
「今日からお世話になるわね」
「え、なにが?」
そう言いながら、何やら荷物を抱えながら部屋に入ってくる。状況が飲み込めないので話を聞いてみることにした。
「文脈的に俺の部屋に泊まってくって感じだけど、何故そのような決断を?」
「イリヤと喧嘩したから。そのまま一緒の部屋で寝るのも気まずいし」
「また、喧嘩したのか…落ち着いたらちゃんと仲直りするんだぞ」
「わかってるわよ…あ、そうだ。お風呂も借りるから色々と置かせてもらうわね」
「!?いやいやいや、大浴場使えば良いじゃん。俺の部屋のじゃなくて」
「だって、イリヤと鉢合わせるかもしれないじゃない」
「そうかもしれないけどさあ…」
「あ、もしかしてぇ…一緒に入れるかもって期待しちゃった?」
「適当な推測はやめてくれない!?ただでさえ最近ロリコン疑惑が浮上してるんだから…」
「え…やっぱりわたし狙われてる?」
「なんでそうなるの…いよいよ泣くぞ?」
「大丈夫大丈夫、分かってるわよ。ちょっとからかっただけよ」
「ちょっとかなあ…」
「しょうがないじゃない。からかった時の貴方の反応、見てて楽しいし♪」
「この小悪魔め…」
そんなやりとりもあったが、結局クロは少しの間、この部屋に滞在することになった。 - 147二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 07:00:43
「早速だけど、何して遊ぶ?」
「ごめんなー、本読んでて忙しいんだ。もう少しで読み終わるから待ってて」
「むぅ…」
とりあえず引き下がってくれた様に見えた。が、しかしなぜかこちらの方に近づいてきたかと思うと、後ろからハグをする様な形で寄り添ってきた。
「あの、ものすごい距離が近いんですが、如何されましたか」
「気にしないで。わたしが好きにしてるだけだから」
そうは言ってもすごく気になる。なんか色々柔らかいし、良い匂いもするし…これを口に出したらやばそうなので心の中に留めておくが。そんなこともあり、本を読むどころじゃなくなってきたので、クロと一緒に遊ぶことにした。
「しょうがないなあ。何して遊ぶ?」
その言葉を待ってましたと言わんばかりにトランプを差し出してきた。…本当に用意周到すぎる。
ひとしきり遊んでいたら夕食の時間になったので、食堂へ向かうことにした。幸いと言って良いのかわからないが、イリヤや美遊と会うことはなく、気まずい雰囲気となることはなかった。
夕食を終え、部屋に戻ってのんびりお風呂に浸かろうと考えていたが、そこで数時間前のやりとりを思い出した。
「あー…本当に部屋のお風呂使うの?」
「うん、そうだけど」
「…じゃあ、俺は大浴場の方使うね」
「あがったら髪、乾かしてくれる?」
「それならお安い御用だよ」 - 148二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 07:01:31
そう約束して部屋を出る。待たせると悪いので、いつもより早めに入浴を済ませ、部屋に戻る。幸運なことに、帰った時にはクロはまだあがっておらず、緊張した状態で対面するのは避けられた。
「お風呂、あがった」
色々あった末のお風呂だったせいか、なんとなくボーッとしている。服はいつもの着ぐるみパジャマであったが、お風呂上がりで髪を下ろしているため、雰囲気が違って感じた。
「髪、下ろしているといつもより大人っぽく見えるな」
「こういう髪型が好きなの?」
「髪下ろした状態を似合うって言っていいのかわからないけど、可愛いと思うよ」
「…ありがと」
この前やった時と同じように、後ろから挟み込むようにして髪を乾かす。さっきクロのことを褒めたからなのか、髪を乾かしている間ずっと上機嫌だった。乾かし終わった後は、洗面所で2人並んで歯を磨く。それが終わると、こちらの方に手を伸ばしてきた。
「抱っこー」
「かしこまりました。お嬢様」
運んでいる間も頬擦りしてきたり、耳を甘噛みしようとしてきたり、とにかくスキンシップを求めてきた。夜のテンションというやつだろうか。ベッドに入っても離そうとしなかったので、諦めて一緒に寝ることにした。 - 149二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 07:02:31
ベッドに入るといつもの様に抱き枕にされる。いい加減慣れてきそうなものなのだが、どうもクロにこういうことをされると頭が真っ白になってしまう。
『惚れた弱みかな』
そんなことを考えつつ、瞼を閉じようとしたら、
「んっ……」
「…」
「……えーっと…」
「……おやすみのチュー、したことなかったから」
「そう、だな」
「次は頭、撫でて」
「はいはい、仰せの通りに」
「♪〜」
こういう時に甘えてくるのはやっぱり色々とずるいと思う。
「ちゃんと明日は仲直りしなよ」
「うん」
遊び疲れていたのか、返事だけするとそのままスヤスヤと寝息を立て始めた。その顔はとても穏やかで可愛らしく、見る者全てを魅了するかの様だった。そんな彼女の寝顔を今だけは独り占めしてることに優越感を抱きつつ、眠りに落ちるのだった。
何日か前にここで見たSSが砂糖生成できそうなぐらい甘くて、すごい羨ましかったです
あれぐらい甘いクロとのイチャラブを増やしていきたい… - 150二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 17:23:41
保守
- 151122/11/03(木) 01:55:40
「行くよ、シロウ」
白熊に乗ったイリヤそっくりの少女とすれ違う。そっくりというか、別世界のイリヤらしいけど。まあ今はそんなことはどうでも良くて、気になるのはあの一緒にいる白熊だ。その白熊を眺めている内にとあることを思いついたので、その素敵なアイディアを早速彼に提案してみる。
「マスター♡」
「…いやだぞ」
「まだ何も言ってないじゃない」
「急にそんな風に呼びかけてくるときは、大体無茶振りとかしてくるじゃん」
「無茶振りじゃないわよ。ただ、わたしのペットになってほしいなーって」
「人としての尊厳を捨てられる!?」
「人聞きが悪いわね。貴方をわたしのものにしたいって言ってるだけなのに」
「例え本気でそういう意味で言ってるとしても、ペットはやばいって…」
「じゃあじゃあ、ごっこでいいから」
「すごいぐいぐいくるな……ちょっとの間だけならまあ…」
「やった♪じゃあまずは…お手」
「はい」
「おかわり」
「わん」 - 152122/11/03(木) 01:56:36
あ、やばい何かに目覚めそう。
内なる衝動を抑えつつ、次にしたいことを考える。犬耳でもつけてもらおうかと思ったが、実際に見たら笑ってしまいそうなので今回は見送った。そんなことを考えてると、マスターに日頃の感謝を込めて渡そうと思っていたものがあることを思い出した。ちょうど良いので、ごっこ遊びにかこつけて今渡すことにする。
「首輪…」
「はい?」
「首輪、つけよっか」
「倒錯しすぎじゃない?」
「首輪って言っても、ただのチョーカーだからそんな警戒しなくても大丈夫よ」
「電気が流れたりしない?」
「わたしを何だと思ってるのよ。正真正銘の普通のチョーカーよ」
「ああごめんごめん、なんか疑心暗鬼になってたよ。でも良いのか、俺がもらって」
「貴方にあげたいから用意したのよ。遠慮なんていらないわよ」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど…今の俺はクロの犬なんだよな…」
なんか言ってるが気にせずプレゼントし、ついでにわたしがつけてあげることにした。最初は照れて自分でつけると言い張っていたが、つけ方がわかるかと聞いたらあっさり引き下がった。…正直にいうとこっちもつける時の顔の近さにドキドキしたが、バレたくなかったので黙っておくことにする。 - 153122/11/03(木) 01:57:50
- 154二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 07:07:09
クロの声えっちで可愛いから好き
- 155二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 12:16:17
保守
クロいいよね… - 156二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 20:37:37
保守
- 157122/11/03(木) 22:46:26
「やっぱりデートよね、あれ…」
「ま、まだそう考えるのは早いと思うよ!」
「うん、まだ確証がないのに決めつけるのは早計」
わたしは今、イリヤと美遊と一緒にある2人をつけている。1人はエリセ、年齢の近い女の子同士ということでよく一緒に遊ぶ友人であり、同じマスターを持つサーヴァントだ。
もう1人はマスター、わたしというものがありながら楽しそうに他の女の子とデートしてる浮気者。
「それで、今日は何をするんだ?」
「探しものがあって…でも、1人だとアレだし君に頼んだんだ」
「そういうことなら喜んで引き受けるよ」
話しながらどこかへと向かう2人。正直言うとあまり見たくはなかったが、イリヤ達に手伝ってもらってるので投げ出すわけにもいかず、着いていくことしかできなかった。
「どこ行くんだろうね」
「方向的にダ・ヴィンチの工房じゃないかな」
2人が推測してくれてるが、今のわたしには答えるのも億劫で、ただ聞き流すだけだった。
「あ、やっぱり工房に入っていったね」
「流石にあの中に入っていったらバレると思う」
「とりあえず外で待ってようか」
隣の休憩室のソファで2人が出てくるのを待つことにした。
「ふい〜、尾行って結構大変だね」
「ん、でもまだ全然バレる気配がない」
そんな2人を尻目に、わたしはソファのクッションを抱え込むようにして座り込んでいた。 - 158122/11/03(木) 22:47:53
「いじけないでよ…クロ」
「いじけてないし。浮気者のマスターなんて知らないもん」
「いじけてるじゃん…」
「浮気というけど、そもそもマスターとクロは恋人関係にあるの?」
美遊から唐突に爆弾が投げ込まれた。
「それは…」
「マスターのことが好きならはっきり言うべきだと思う」
「好きって言ってるし、マスターも好きって言ってくれてるもん…」
「直接恋人になってほしいって言った?もしくはマスターの方から言ってきた?」
「言ってないし言われてない…」
「美遊、なんか厳しくない?」
「クロが行動しないと誰かにマスターを盗られてしまうかもしれないから、早めに行動すべきだと思ったんだけど…」
「あー…ここ色んな人がいるもんね…」
「……」
「クロ?」
「だって恥ずかしくて言えるわけないじゃない!」
「「!?」」
この際だから今まで思っていたことを全部ぶちまけることにする。 - 159122/11/03(木) 22:48:44
「色々アプローチもしたし!あの人も満更でもなさそうだったし!恋人になったらもっと色んなことできるんだろうなって思って行動しようとはしてるの!でも、面と向かって言おうとすると、なんか照れ臭くなって言えなくなっちゃうの!!!」
本音が全部出た。これを仮にあの人に聴かれたら、恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。でも、本当のことを言われ、口に出さずにはいれなかった。
「クロ………マスターさんのこと本当に大好きなんだね」
「……そうよ。わたしはあの人が好き。誰にも渡さない、神だろうがなんだろうが絶っっっ対に譲ってあげない!!!」
「おおー、なんかクロがすごい凛々しく見える…」
「ごめんクロ、さっきは言い方が良くなかった…そこまで考えてるとは思ってなかった」
「さっきのは美遊なりの応援ってことは分かってるから、気にしなくて大丈夫よ。それより今はマスターのことよ」
「あれ、3人ともここで何してるんだ?」
「「「!」」」
最悪、いやある意味最高のタイミングなのかもしれない。件の彼がエリセと一緒に部屋に入ってきた。もうこうなったらうじうじしてられない。きっちり全部問いただしてやる。
「2人で楽しそうにデートしてたけど、いつからそんな関係になったの?」 - 160122/11/03(木) 22:49:23
我ながら嫌味な言葉に罪悪感を覚える。けれど、この状況を放っておくほど今のわたしは腑抜けてない。その言葉に最初は2人ともポカンとしていたが、エリセが慌てて首を振ると
「いやいやいや、違うって。私とマスターはそんな関係じゃないから」
「え……今なんて?」
「えっと、別にデートしてたわけじゃないよ」
「じゃあ2人で何してたの?」
「いやーエリセがボイジャーと紅葉さんに何か贈りたいって言うんだけど、何を選んで良いか見当がつかないから、俺に手伝ってほしいって頼んできたんだよ」
「私こういうのあんまり選んだことないからさ…マスターに手伝ってもらってたんだ」
「そういうこと。なので、やましいことは全くないですはい」
「それだけ…?」
「うん」
どうやらわたしの早とちりだったらしい。恥ずかしくて顔から火が出そうになる。そんなわたしの様子に気づいたのか気づいてないのか、彼は頬をかきながら
「そもそも、俺にそんな相手いないって」
「「「は?」」」
思わずハモってしまった。流石にこの一言はイリヤも美遊も予想外だったらしい。まあこんなんだから、わたしも積極的にアプローチしてるんだけど… - 161122/11/03(木) 22:50:47
「なんか、クロがああ言った理由がわかる気がする…」
「思ったよりも大変そうだね…ファイトだよクロ!」
「任せなさい。絶対に落としてみせるわ」
「?」
マスターは何も分かってないようだけど、いつか必ず、わたし無しじゃいられないようにすることを心の中に誓った。口だけでいうのは簡単なので、手始めに行動で示すことにする。なんだったら今まで言えなかったことも言ってしまいそうな勢いだ。
「…突然だけど今からわたしとデートしてって言ったら?」
「特にプランも何もないけどそれで良いなら、頑張ってエスコートするよ」
「ん、決まりね♪」
他の3人に見せつけるように彼の手を取る。…なんかイリヤとエリセがニヤニヤしていた気がするがそれは無視する。
「わたしを楽しませてね、マスター♪」
「任せて。クロを喜ばせることならちょっとだけ自信あるからな!」
「っ…!」
…こーいう時にそれは卑怯だと思う。おかげでずっと伝えたかったことをまた口に出すことができなかった。
まあそれはそれとして、今は彼とのデートを楽しむことにする。少しでも彼との距離が縮まるように… - 162122/11/03(木) 22:51:47
嫉妬するクロは絶対可愛いと思いますが、皆さんはどうでしょうか
そして余談かつ私事なのですが、今やってるWebくじのクロのクッションカバーが当たりません…助けてください - 163二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 04:53:53
保守
- 164二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 13:32:40
保守
- 165二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 21:01:27
保守
- 166二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 05:14:06
保守
- 167二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 15:25:16
保守
というか俺も書いていいんだろうか… - 168二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 15:53:21
保守
- 169二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 19:58:20
保守
- 170二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:22:09
「クロー、頭撫でてー」
「誰よ!未成年にお酒飲ませたの!」
そう言いながら、カウンターの向こうにいる胡散臭いアーチャーの方を見る。
「残念ながら私は飲ませてないし、ここにいる他のサーヴァントも無関係だヨ」
「じゃあなんでマスターがこんな事になってるの」
「いやーそれがだね…彼、雰囲気だけで酔っちゃったみたいで」
「はい?」
「彼の飲んでたものを飲んでみると良い。ただのジュースだからネ」
そう言われたので、まだ少しだけ残っていたコップに口をつける。
「あ、ほんとだ…」
「だろう?それにしても雰囲気だけで酔っ払うとはね。流石のアラフィフも驚きだヨ」
「これ、どうやったら治るのかしら」
「とりあえずここから出るのが良いんじゃないカナ」
「ん、そうするわ。マスター、わたしに掴まって」
「…デート?」
「そうそうデートデート。ほら早く行くわよ」
足取りが危ないマスターを引き連れてバーから出る。
「なんかボーッとする…」
「なんでお酒飲んでないのにそこまでなるのかしらね」
「ワンワン」
「…動画撮っておくのもありね」 - 171二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:24:21
そうこうしているうちに部屋に着く。このままさよならすると床で寝始めそうなので、きちんと寝る準備を済ませてベッドに入るまで一緒にいる事にした。
「ほら、早くシャワー浴びてきなさい」
「クロは?」
「わたしはその後で入るから、先に行ってきなさい」
「はーい」
本当は溺れたりしないか見張っておこうかと思ったけど、流石にお風呂に一緒に入るのはまだ早いと思ったので、次の機会にしておく事にした。…恥ずかしいし。
彼が浴室から出てきた後は、わたしもそのままこの部屋のお風呂を借りる。変なところで寝始めてしまわないように、なるべく早めに済ませるようにした。普段だったら髪を乾かすのをお願いしてるところだけど、今の状態だと危なっかしいので残念ながら自分で乾かす。急いだとはいえ、多少は時間がかかったのでもう寝てしまってると思ったが、予想に反して彼はまだ寝ていなかった。
「まだ寝てなかったの?」
「クロが出てくるまで待ってた…」
「…そういうところで気遣いができるところは普段から変わらないわね」
「?」
こんな小さな事でときめいてる自分がいる。でも今はもうちょっとだけわたしが頼りになるお姉さんをしなくちゃならない。 - 172二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:27:52
「ならもう大丈夫よね?早く寝て頭をすっきりさせなさい」
「クロも一緒に寝ない?」
いつもだったら絶対に口にしなさそうな言葉が出てきた。少し驚いたが断る理由もないので、
『普段もこれぐらい素直だったら良いんだけど』
そんなことを考えながら、彼の隣にお邪魔する。本当に寝るのを我慢していたようで、わたしが入ってくるのを確認するとすぐ寝てしまった。それを見て無事今日最後の難題を終えられた事に安堵する。せっかく頑張ったのでご褒美代わりのキスをして、そのまま気づかれない内に眠りについた。
次の日は珍しく、わたしの方が早く目が覚めた。彼の寝顔を見ながら昨日のことを思い出していると
「…朝か…ねっむ…」
「おはよ、今日はだいぶ眠そうね」
「ん…?」
彼はわたしを見て何かを思い出そうとして考え込んでしまった。しばらくするとその顔がどんどん青ざめていき
「えっと…昨日のこと忘れてもらうことはできませんかね?」
「え、やだ。わたしにあんな風に甘えてくる貴方なんてもう一回見られるかわかんないし」
「そこを何とか!」
「別に良いじゃない今更。他の人たちにも見られてたわけだし。頭撫でてもらおうとしてたとことか」
「あーーー!!!もう無理…しばらくみんなの顔ちゃんと見れない…」 - 173二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:28:55
このレスは削除されています
- 174二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:38:35
そう言ってベッドにうずくまる彼。見てるといたずら心が湧いてきて、もうちょっとだけいじってみたくなる。
「まあまあ良いじゃない。可愛かったわよ、いつもより素直で♪」
「やめて…めっちゃはずい…」
そうして彼をいじった後、毛布を2人でかぶり直すようにしてベッドに潜り込む。
「…何でしょうか」
「今日は午後まで予定ないんでしょ?それまで一緒に居ようかと思ったんだけど」
「じゃあ何故もう一度ベッドの中に?」
「まだ眠いし二度寝しようかと思って」
「…そうだな。寝て忘れるのを期待するよ…」
「わたしは忘れないけどね♪」
「どうすれば忘れてくれますか!?」
「んー、わたしのお願い聞いてくれたら?」
「恒例になってきたなそれ…まあできることならやりますよ」
「やった♪じゃあまず最初は…」
何気ないやりとりで朝の時間が過ぎていく。
そんな大したことのないように思える時間でも、わたしにとっては彼との大切な時間だ。
時間空いてしまい申し訳ないです。保守ありがとうございました
それにしても、アラフィフうちのカルデアにいないからエミュがあってるのか自信がない…クロのエミュはかなり正確になってきたと思うけど - 175二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 05:23:27
保守
- 176二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 15:41:39
保守
- 177122/11/06(日) 19:28:48
「ここならもう逃げられないわよ…」
「待って。とりあえず話し合おう。ね?」
壁際に追い詰められながら命乞いをする。
「どうしてこんな事に…」
話は少し前に遡る。
『んー、やっぱり物足りない…』
『何の話?』
『おやつの話』
『キャット辺りに頼めばもらえるんじゃない?』
『そっちじゃなくて魔力の話』
『…イリヤと美遊と定期的にしてるんじゃないの?』
『そうなんだけど…たまには違う味わいも欲しくなるのよね』
『でも前に一度探しに行って結局イリヤに落ち着いたじゃん』
『それはそれ、これはこれ。女の子は常に流行を求めてるのよ』
『流行って…じゃあまた通りキス魔しに行くの?』
『それも考えたけど、今回は別のアプローチをかけようかと思って』
『何にせよあまり他のサーヴァントに迷惑かけないようにね』
『その点は大丈夫、今回の相手はサーヴァントじゃないから』
『え…?』
『そういうわけだから魔力、もらうわねマスター♡』
『…』
『あ、何で逃げるのよー!』 - 178122/11/06(日) 19:29:59
こうして鬼ごっこが始まった。最初は物陰等を利用して何とか逃げていたが、自分の部屋に逃げ込んでしまったのが誤算だった。その結果が冒頭のやりとりなのである。
「そもそも俺の魔力なんて大した事ないから、多分美味しくないよ!」
「それはわたしが判断するんだけど」
「別に俺にこだわらなくても…」
「じゃあわたしが他の人と魔力供給しても良いの?」
「それは…」
その言葉を聴いて言い淀んでしまう。クロが他の男の人と魔力供給してる、なんて聞いたら恐らくモヤモヤするなんてもんじゃ済まされない。我ながら我儘かつ嫉妬深いところにびっくりする。
「…ずるくないかな、それ」
「何のことだかよくわからないなー♪それにしても貴方、結構面倒臭いところあるわよね」
「それに関してはその通りだと思う」
「ま、それはそれとしてここまできたらわたしに魔力供給、してくれるわよね?」
「…とりあえず試すだけなら」
よく考えたらクロとキスなんて何回もしたことあるわけだし、今更何を恥ずかしがっているのだろうか。そもそもこれは魔力供給なのだから明鏡止水の心でいれば良いだけの話。
「じっとしててね…」
そう言って肩を掴まれる。『…これ普通は男女逆だよね』そんなことも考える余裕すら出てきた。でも一応目は瞑っておく。 - 179122/11/06(日) 19:32:12
「ん……ちゅ………」
「…んく……ぷはっ…うん、やっぱりイリヤ達とはまた違う味ね」
「……」
「どうしたの?顔真っ赤よ♪」
「そりゃあ、ねえ…というかこんな激しいものなの?」
「魔力きちんともらわないといけないし。まあ好きな人じゃなきゃここまでしないけど」
「っ…!ソウデスカ…」
「ちなみに男の人とこうやって魔力供給するのも貴方が初めてよ。だ・か・ら、わたしの初めてはあなたに奪われたってこと♡」
「いかがわしく言うのやめようか!?いやある意味行為自体はいかがわしいけどさぁ!」
「ただの医療行為なのにエッチなことみたいに言わないでよー」
「これを医療行為って言ったらピオス先生めっちゃ怒りそうだな…」
「それは置いといて、次もよろしくねマスター♡」
「ちょっとメンタル的にヤバそうなんでお断りします」
「えーなんでー。わたしが魔力切れで倒れても良いって言うの?」
「そうじゃないけど…イリヤと美遊だけじゃダメなの?」
「味にはこだわりたいからそこは譲れないわね」
「うーん、でも嫌だろ?ある日唐突に理性のタガが外れたりして襲われたりするの」 - 180122/11/06(日) 19:33:22
「それつまりわたしの事を1人の女の子として見てるって事よね」
「おおう、確かにそうなるな…」
「なら問題なしね。今度は2日後ぐらいにお願い」
「話聞いてました?なんか頻度も高いし」
「あら、これもセンリャクの内の1つよ」
「戦略?」
「こうして定期的に貴方から魔力をもらっておけば、わたしのおやつが確保できるだけじゃなくて、貴方がわたし以外の女の子に目がいくことも無くなるしね」
…すごい強いなこの子。年下と思えないぐらい強かというか。もうこれはこちらが折れるしかなさそうだ。
「…わかった。これからも協力するよ」
「やった♪貴方のそういうところ、好きよ」
嬉しそうにこちらの膝の上に座ってくる。
なんか良い感じに丸め込まれた気がするが、喜んでいる彼女の姿を見てるとそんな些細などどうでも良くなった。いよいよクロなしでは生きられないようにさせられてる気もするがまあ考えすぎだろう。
「…もっかいする?」
「しません」 - 181122/11/06(日) 19:35:54
クロは絆4と5のボイスから伝わる恋愛強者感が良いと思います。本当に強いかはわからないけど
後未だにキスシーンが難しすぎるのとちょっと過激になってる気がする…
その辺特にこだわらないんでご自由にって感じです
ただ、自分がめっちゃレス消費してるんで新しく建てた方が良いかもしれないです
- 182二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:51:42
- 183二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 10:18:25
保守
- 184二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 10:41:25
保守
- 185二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 10:44:42
それなりの長さで、序破急考えた文章をきちんと書き切れるのは誰もができることでは無いので、この調子で歩み続けて頂きたい
- 186二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:32:15
保守
- 187122/11/08(火) 00:33:05
「何をあげれば良いんだろう…」
わたしは今すごく悩んでいた。バレンタインデー、日頃の感謝を込めて大切な人に贈り物をする日、恋する男女が秘めた想いを伝える日。まさかわたしもその1人になるとは思わなかったけど。
そういえばわたしはいつ頃から彼を好きになっていたのだろうか。クリスマス?ハロウィン?夏の特異点騒ぎの時?いや違う。1年前のバレンタインにわたしは自分の恋心を自覚し、そこからずっと恋焦がれてきた。その頃に比べたら随分と彼との仲は進展したと思う。
でも足りない。今の関係も心地いいものだけど、足りない。もっとそばにいたい、支えてあげたい、他の人にはないわたしとあの人だけの関係が欲しい、そんな我儘な気持ちが渦巻いている。
だからわたしはこのバレンタインを一世一代を賭けた勝負の日として定めた。ここで彼との関係をはっきりさせる、そのために。
とはいえ、ここまで言うからには気合を入れてお菓子を作らなければならない。ならないのだけど…何をあげれば良いのかわからない。バレンタインに贈るお菓子にはいろんな意味があるらしい、特にマカロンやカップケーキには「貴方は特別な存在」なんて意味があるらしい。 - 188122/11/08(火) 00:35:10
でもそれで彼に気持ちは伝わるのだろうか。どうすればこの気持ちに気づいてもらえるのだろうか。考えれば考えるほどわからなくなっていく。…ここでただ悩んでいてもしょうがないので、とりあえずキッチンに行って何か作ってみる事にした。
「お、いらっしゃい何か用事?」
たまたま食堂にいたブーディカに声をかけられる。
「その…バレンタインのお菓子作りの練習がしたくて」
「そういえばもうそんな時期だったね。…もしかしてマスターへの贈り物かな?」
「うん…」
「けど前は1人でもちゃんと作ってなかったっけ」
「それが…」
ここに来た訳を話す。すると、それを聴いたブーディカは少し考え込んだ後、おもむろに口を開き、
「確かにそういうことならこだわりたくもなるよね。…そうだねあたしがアドバイスするとしたら…難しく考える必要はないと思うよ」
「どういうこと?」
「簡単なことだよ。ようは想いを伝えたいんでしょ?なら直接言葉にしちゃえば良い。「好きです」とか「愛してます」とかさ」
「でも、それで良いのかな…」
「もちろん、気持ちを込めて贈り物をするのも素敵だと思うよ。けど別に贈り物をするのと想いを言葉にして伝えるのを同時にしちゃいけない、なんて決まりはないからね。どうやって好きな気持ちを伝えるかはその人の自由だよ」
「…!」 - 189122/11/08(火) 00:37:37
確かに彼女の言う通りだ。わたしは気づかない内に贈るものばかりに目がいって他のことが見えてなかったらしい。
「まあこれはあたしの持論だからね。無視しちゃっても構わないよ」
「そんなことない。すごく参考になったわ」
「…そう言ってもらえると慣れないことした甲斐があるよ」
そこからわたしの戦いが始まった。お菓子作りに当日のスケジュール、この想いをどんな言葉にするのかなどやるべきことはたくさんあった。
そして2月14日、ついにこの日が来た。
「ん…うまくできてる」
「うんうん、これも練習の賜物だね」
あれから何度も練習した。正直言って上手くなってるかはわからないけど、マスターが喜んでくれるものはできたと思う。
「じゃあ。行ってくるわね」
「うん、頑張ってね。お姉さんも応援してるよ!」
ブーディカの声を背に食堂を出る。あらかじめマスターには部屋に居てもらうようにお願いしたので、後は部屋に向かうわたしの気持ち次第だ。
「すーーっはーー……よし!」
呼吸を整え、部屋のドアをノックする。
「どうぞー」
「こんにちは。ちゃんと待っててくれたみたいね」
「そりゃあクロの頼みだし」 - 190122/11/08(火) 00:38:52
…いざ話してみると思ったよりも緊張しなかった。そのことに安堵し、隠し持っていたプレゼントを渡す。
「はいこれ、ハッピーバレンタイン」
「おお…ありがとう…早速だけど開けても?」
「うん、貴方のタイミングでいいわよ」
「ではこの場で開けさせてもらいます……すごいなこれ…このチョコ作るの大変だったんじゃない?」
「そうよ。すごく頑張ったんだから、味わって食べて欲しいな」
「わかった。それじゃあ作ってくれたクロに感謝して…いただきます」
そう言って嬉しそうにチョコを食べる彼。見ているだけでこちらも嬉しくなってくる。
「めっちゃ美味いな。流石だな!」
「当然、お菓子作りは女の子の嗜みよ?」
結構作ったつもりなのだがあっという間に食べ終えてしまった。
「いやーめっちゃ幸せだわー。ありがとなクロ!」
そう告げる彼。その言葉を聴いた瞬間、わたしの心からもう迷いは無くなった。
『ああ、やっぱりわたしはこの人が好きだ』
言うなら今しかない。彼の手を取り、真正面から見据える。そして… - 191122/11/08(火) 00:40:22
「マスターわたしね…」
「貴方のことが好き」
「優しい貴方が好き」
「笑っている貴方が好き」
「頑張っている貴方が好き」
「貴方の全部が好きなの…だから…わたしの恋人になってください」
言えた…言いたかった事を全部。正直、顔は熱いし声も震えそうになったけど…思いの丈を全部打ち明けてやった。後は答えを待つだけ。今までにないぐらい胸を高鳴らせながら待つ。 - 192122/11/08(火) 00:42:03
「あの…クロ…」
「うん」
「こんなこと人として…男として言っちゃいけないと思うけど…」
そこで大きく息を吸い込む。
「返事は1ヶ月待ってほしい」
「…」
「ちゃんと気持ちを伝えてきてくれた人に言うことじゃないけど…」
「…」
「色々と自分の気持ちに整理をつけたくて。だから…お願いします!」
「良いわよ。わたし、待ってるわ」
「…本当に良いの?」
「うん、ただし絶対に返事を忘れないこと。それだけは約束して」
「わかった、絶対に忘れない。どんなことがあっても」
こうしてわたしの一世一代を賭けた告白は、1ヶ月先まで返事はお預けという何とも気の抜ける結果となった。本当は今すぐに答えて欲しかった。けれど彼の真剣な表情を見たら、何ヶ月でも何年でも待てると思った。
1ヶ月後、彼はどんな答えを口にするのだろうか、怖いような楽しみなような不思議な気持ちだ。
でも、どんな答えが返ってきてもわたしはそれを否定しない。わたしがこうして告白という道を選んだように、彼もまた道を選んでいるのだから…
To be continued… - 193二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:03:05
このレスは削除されています
- 194二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:03:18
このレスは削除されています
- 195二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:03:33
このレスは削除されています
- 196二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:03:44
このレスは削除されています
- 197二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:03:54
このレスは削除されています
- 198二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:04:04
このレスは削除されています
- 199二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:04:14
このレスは削除されています
- 200二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 02:04:23
このレスは削除されています