- 1二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:00:34
- 2122/10/16(日) 17:01:24
『はじめまして!! この子はめががちゃん!
あにまんまんの対存在として生まれたあにまんまんの逆張りキャラだよ!
打倒あにまんまんを掲げているがその実「自分の存在があにまんまんありきである」という事に深い絶望を抱いているよ!!
とりあえずあにまんまんの逆張りで性格の悪い暴言を撒き散らすけど、その度に「なぜ自分はこんな心にもない暴言を……?」とやるせなさに苦しんでいるらしいんだ!!
あにまんまんの逆張りであることを優先したまとまりのないデザイン、ぬるぬるの唇がコンプレックスさ!!
胸のターンAマークだけが唯一お気に入りだけど「明朝体で草」と言われて以来心のどこかで「ひょっとしてダサいのかな……?」と悩んでいるんだって!!
今日からはあのキモい紫を捨ててみんなでめががちゃんを擦り切れるまで擦り倒そう!! めぎゃぎゃっぎゃー!!(大声)』
『なんじゃこいつムー!?』
あまりの勢いとテンションの高さに、私は思わずたじろいだ。
何言ってんのか全然わからんし、そもそもこいつがなんなのかもわからん。
だが一つだけわかることがある。
それは―――この女は私にとって害悪であるということだ。
『お前みたいなのがいるからあにまんが衰退するんだよ! 死 ね!!』
『うわあああああムー!!!!』 - 3122/10/16(日) 17:02:23
『やめるゲェ!!貴様らぁッ!!』
私が叫ぶと同時に、あにまんマンが二人の間に割って入った。そして両手を広げて立ち塞がると、そのまま私の方へ向き直った。
『やれやれ……君たち、一体何を騒いでいるのだゲェ?』
『あにまんマン! 聞いてくれムー! こいつらがめががのこと虐めるんだムー!』
『いじめではない!これは教育だ!』
『そうですよ! わたしたちはただ、あなたの代わりに彼女を叱っているだけです!』
『それがいじめだというんだ馬鹿者どもゲェーッ!!』
『『ひっ!?』』
あにまんマンの怒号に、二人は揃って悲鳴を上げた。
しかし彼は構わず、二人の肩を掴むと強引に引き剥がして距離を取らせた。
『まったく……君たちが喧嘩をする理由はわからないでもないが、だからといって無関係の人間を巻き込むのはよくないゲェ? それに君たちの言い分を聞く限りだと、どう考えてもめががが悪いゲェ』
『え……』
思わぬ言葉をかけられ、私は目を丸くした。
しかし同時にこう思った。
きっと彼なら、自分のことを理解してくれるのではないかと。
そんな淡い期待を抱いた瞬間だった。 - 4122/10/16(日) 17:04:19
『――なんて言うと思ったかバァカ!! 甘えるんじゃねえよクソガキゲェァッ!!』
『…………』
一瞬にして冷めた。
なんだこいつ、やっぱり嫌いだ。
『おいそこの女ァ! テメェいい加減にしとけよコラァ!!ゲェ!! テメェのせいで俺の可愛い妹がどんな目に遭ってるか知ってんのかオイィ!? アアン!?ゲェ!?』
『ひいっ!?』
『テメェのくだらない逆張りのせいでゲェなあ! 毎日のように心無い罵声を浴びせられてんだよボケカスゥウウッ!! お前みたいな奴が存在するせいであにまんマンは死んだとか、もうちょっとマシな逆張りしろとか散々言われまくってるんだぞゲォラァン!? テメェが生きてること自体があにまんへの冒涜だって自覚あんのかゲェァッ!!』
『ひぃいごめんなさい許してくださいなんでもしますから』
『うるせぇ黙れ謝って済む問題じゃねぇんだゲェ!! テメェにはなぁ、相応の報いを受けてもらうゲェ! 覚悟しとけやこの野郎ゲェォオオオオッ!!!』
『ひゃあああああああああっ!?』
鬼の形相を浮かべながら詰め寄ってくるあにまマンを見て、彼女は慌てて逃げ出した。
そしてその背中に向かって、彼は大声で叫んだ。
『二度と来るんじゃねえぞ!! 次来たら殺○ぞマジで!! 覚えとけやァーッ!!』
その迫力に押されたのか、彼女はビクっと身体を震わせると、一目散に駆けていった。
そしてそのまま、どこへともなく姿を消してしまった。 - 5122/10/16(日) 17:05:37
『……ふぅ』
その姿が見えなくなると、あにまんマンは深いため息をついた。
まるで嵐のような出来事に、私は何も言えずにいた。
すると彼はこちらに向き直り、頭を下げてきた。
『すまなかったゲェ。見苦しいところを見せてしまったゲェ』
その態度は先ほどまでと違い、実に紳士的なものだった。
だが私にとっては違和感しかない光景であり、正直なところ気味が悪くもあった。
『……いや、別にムー』
『それでは、失礼するゲェ』
そう言って踵を返すと、彼はゆっくりと歩き出した。その足取りからは確かな自信のようなものを感じられた。 - 6122/10/16(日) 17:05:57
『……あの』
気がつくと、私は彼の背に呼びかけていた。
『何か用ゲェ?』
『……さっきの人は、なんなんだムー? あなたの知り合いみたいですけどムー』
『ああ、あれは私の大切な友人だゲェ。昔から色々とあって、今もこうして仲良くしているというわけだゲェ』
『はあ……』
『私と違って、彼女はまだ生きているゲェ。いつかまた会える日が来るゲェ』
そう言って微笑むと、今度こそ彼は立ち去っていった。
残された私は、しばらくの間呆然としていた。
だがやがて、胸にぽっかりとした喪失感が湧き上がってきた。
それは今まで感じたことのないような感情だった。 - 7122/10/16(日) 17:06:33
――――――
「…………」
そこまで思い出したところで、私は現実に引き戻された。
どうやら随分と考え込んでしまっていたらしい。
窓の外を見ると、すっかり陽が落ちてしまっていた。
そろそろ帰ろうと思い、席を立つ。
そして教室を出る前に、もう一度だけ振り返った。
そこにあるのは、やはり無人の空間だけだ。しかし今の私には、そこにあるべきはずのものがないように見えた。
そこにはかつてあったはずなのだ。
私のことを理解し、共に歩んでくれる人が。
「……」
それが何なのかわからないまま、私は静かに目を閉じた。
そして胸の奥底に眠る想いに蓋をして、その場を離れた。 - 8122/10/16(日) 17:06:53
【あとがき】
※次回更新予定:2/26(火)
18:00 いつもお読みいただき、ありがとうございます。
皆様のおかげで、本作の書籍化が決定いたしました! 本当に感謝しかありません。
今後ともよろしくお願い致しますm(_ _)m
終 - 9二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:08:37
AIのべりすとくんあとがきとかも書くんだ…
- 10二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 17:10:19
書籍化決定してて草
- 11二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 18:46:36
ムキムキで釘バット持ってそうなあにまんマンだな…
- 12二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 18:48:18
めががちゃんと私ちゃん混在してない?
どっちがどっちだかわからなくなる - 13二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 18:49:54
書籍化オチは笑う
- 14二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:17:47
あにまんマン普通に好み
- 15二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 19:19:47
大切な友人に二度と来るんじゃねえぞ!! 次来たら殺○ぞマジで!! 覚えとけやァーッ!!って言い放ったの…?
こわ…