【閲覧注意】【SS】ここだけレベッカがドンキホーテファミリーを壊滅させた世界

  • 1◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 22:58:11
  • 2◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:00:15

    〜ディアマンテ殺害直後〜

    唐竹割りをモロに喰らい、頭から胸にかけて真っ二つに裂けたディアマンテ。
    私はディアマンテの身体に近付く。
    無いとは思うが、万が一も考えて脈を確認した。

    「…流石に死んでるよね」

    死体である事を確かめた私は帯剣したまま部屋を後にする。
    グズグズしてる暇はない。
    次はドフラミンゴだ。
    私は部屋の扉を開け…

    「あれ?レベッカさん!も、もう終わったんですか?」

    外に出ると先程まで私に付き添っていたディアマンテの部下2人の姿があった。

    想定外だった。
    "コトの最中"は絶対に近づくなとディアマンテが言ってた筈なのに。

    「ん?その血は…?」

    部下の1人が、私のドレスに付着しているディアマンテの返り血に気付く。


    「…ごめん」
    「「え?」」

    私は2人を斬り捨てた。
    2人は我が身に何が起きたのか、訳も分からないまま床に倒れ伏した。

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:00:51

    来たか・・・

  • 4◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:01:04

    もしディアマンテの死体がファミリーの誰かに発見された場合
    この2人を生かしておいては誰が下手人なのかすぐにバレてしまう。

    2人の血で剣は真っ赤に染まる。

    ディアマンテを殺めた時点で私は既に"殺人者"なのだ。
    今更1人2人殺した所で何も変わらない。
    そう、1人2人殺しても……






    「……ごめんなさい」

    2人の開かれたままの目を指でそっと綴じる。
    この2人にも私同様人生があった。
    今、その人生を私が断ち切ったんだ。
    その事だけは絶対に忘れてはいけない。
    私はドフラミンゴの部屋へと走っていった。

  • 5◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:02:09

    「……なにこれ…」

    私は唖然とした。

    扉をそっと開け、就寝中のドフラミンゴを闇討ちしようとした私だが、
    部屋の中にドフラミンゴの姿はなく
    部屋の壁やら天井は真っ赤に染まっていた。
    よく見ると僅かな肉片や"ピンク色の羽"、"サングラスの欠片"等もへばり付いている。

    恐る恐る踏み込むと、何かが足にコツンと当たった。



    二つの悪魔の実が床に転がっていた。

    ……何となくだが予想がついた。




    多分ドフラミンゴは、ディアマンテが死んだ事で現れたヒラヒラの実を食して爆散したんだ。

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:03:20

    運すごい

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:04:34

    運が味方に付いている……!

  • 8◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:04:46

    私はヘナヘナと座り込んでしまった。
    さっきの2人とは別の意味で想定外だった。

    楽には殺せないとは思っていた。
    真正面から挑むつもりは無かったし
    ディアマンテから聞かされた"ドフラミンゴの過去"を煽ったり
    最悪ディアマンテの死体を弄んで冷静さを乱してやったりと
    人として最低な事を何でもやって殺してやろうと思っていた。
    例えそれだけやったとしても、返り討ちにされる危険も重々承知していた。


    その結果がコレだ。

    自作自演の救国ショーで玉座に就き
    10年に渡ってこの国に君臨
    罪なき人々をオモチャに変えた挙句
    平和なドレスローザを兵器密貿易の拠点にした張本人

    そんな凶悪な男の最期がコレだなんて。

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:05:54

    続き待ってた

  • 10◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:06:10

    しかもディアマンテ曰く、
    『元天竜人』『闇のブローカー"JOKER"その人』『10歳で父を殺害』『13年前には実弟を粛清』『天上金の輸送船を襲撃して政府を脅し、七武海入り』『ヴァイオレットこと叔母のヴィオラさんを愛人にしている』『バーベキューが嫌い』『偶に寝言で〜だえ口調になる』『実はトレーボルに勧誘された』…その他諸々の凄まじい経歴を持ち…

    …今思えばディアマンテの奴喋り過ぎじゃない?
    一年弱仕えただけの小娘にこんな機密情報をペラペラ喋っていいの?
    そういえば先月
    『いずれはお前を幹部にする様にドフィに掛け合ってやるよ、ウハハ』
    とか言ってたけど…。
    ドフラミンゴファミリーの幹部連中は皆『辛い過去』を持ってる事が暗黙の了解みたいになってる様だけど
    『故国を乗っ取られて親族ほぼ全員皆殺しにされた挙句、闘技場で見せ物にされてる元王女』
    に同情してるっていうのならこっちから願い下げだ。
    そもそもあなた達が来なければこんな事にはなっていない。
    それとも私をヴィオラさんみたく侍らすつもりだったの?

    死んだ今となっては聞きようがないし、
    当のドフラミンゴは幸運にも棚ぼたで死んでくれた。
    今は他の幹部達を"消す"事が最優先だ。
    一先ず、誰か来る前にここを離れなくては。

  • 11◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:08:17

    私はコロ,シアムにある自室に戻り、リング上でのいつもの格好に着替えた。
    血塗れになったお母様のドレスは畳んで仕舞った。

    「汚しちゃってごめんなさい、お母様…」

    あの血は洗っても落ちるか微妙だが、
    お母様の数少ない遺品なのだ。
    これだけは大切にしたい。
    身支度をした私は目的の場所へ向かう。
    まずは"奴"を倒すのが最優先だ…!








    〜レベッカ主観終了〜

  • 12◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:09:04

    コンコン

    デリンジャーの部屋の扉を何者かがノックする。

    「キャーなになにレベッカ!こんな夜中に何の用?」
    「…!…こんばんは、デリンジャー様」

    するとデリンジャーはすぐに扉を開けて出てきた。

    「(こんな早く出てくるなんて…夜型なのかな)」

    レベッカは意外そうな表情を浮かべる。

    「ディアマンテ様がお呼びです。ラオG様にも招集が掛かっております」
    「なんでもおふたりに内密で…『話しておきたい事』があるとか」
    「…ふ〜ん、ラオGはもう着いてるの?」
    「はい。こんな夜中ですので寝ぼけていましたが、既にコロ.シアムに」

    他愛のない会話をしながらレベッカとデリンジャーはコロ.シアムへと向かう。

  • 13二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:10:00

    あああめっちゃ気になってたやつだ

  • 14◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:10:17

    「デリンジャー様!こんな真夜中に外出ですか?……あぁ、レベッカ…様も」

    まだ門限の深夜0時より前である為
    街中には少数ながら人間やオモチャの姿があり
    通りがかる度にレベッカとデリンジャーに挨拶をする。
    デリンジャーと違いレベッカは好ましく思われてない様だが。

    2人たちはコロ.シアム内部の選手待合室まで来た。

    「ディアマンテ様とラオG様はこの奥です」
    「ディアマンテもほんと迷惑しちゃう!こんな真夜中だってのに何なの!!」
    「さァ?新しい催しでも思いついたのでしょうか…」
    「キャー‼︎それは楽しみ!それはそうとレベッカ、あんたさァ」










    「あんたもしかしてディアマンテを殺ったの?」

  • 15◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:12:33

    「!!」

    次の瞬間、レベッカは抜剣してデリンジャーに斬りかかる。
    だがデリンジャーは素早く後ろに飛び退いた。

    「…チッ、気付いてたのね」
    「あたしの鼻舐めんじゃないわよ、部屋の前に来た時点でディアマンテの血の匂いがプンプンしてたもの!」
    「あ!あとラオGも殺ったでしょ?あんたの身体からもだけど、廊下の奥から特に強い匂いがするし」
    「(…最初からバレていたのね)」

    レベッカは悔しげに下唇を噛む。

    「へぇ、…じゃあどうして最初から襲わなかったの?」
    「ん〜、だってあんたそんな強くないじゃない?あたしなら何時でも殺せたし」
    「折角だから馴染みのある"ココ"で殺してあげようと思ったの」

    コロ.シアムの床をハイヒールでコツコツと叩きながら
    デリンジャーが余裕たっぷりに語る。

  • 16◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:15:18

    「相当自分の実力に自信があるのね……でも、仲間が2人も殺されたというのに随分と冷たい反応じゃない?」
    「もう少し動揺だとか怒りを露わにすると思っていたんだけど」
    「そりゃあ大切な"家族"が死んだのは哀しむべき事よ…でもぶっちゃけ、あたしは若さまが居ればそれでいいし」

    その"若さま"も既にこの世に居ないのだが、
    ドフラミンゴの返り血をレベッカは直接浴びていない為に
    デリンジャーは全く気付いていない。

    「安心して、あなたもすぐに2人の所に……送ってあげるから‼︎」
    「キャーそれはこっちの台詞よ!!!」


    レベッカとデリンジャーが地面を蹴る。
    剣とハイヒールが火花を起こしながら鍔迫り合った。

  • 17◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:17:25

    「ハァ…ハァ…思ったより…!やるじゃないの…!!」
    「それはどうも…!」

    あれから十数手程互いに攻撃し合ったが
    デリンジャーの身体には少しずつだが傷が増え、息も荒れていた。
    対してレベッカはまだ擦り傷程度しか負っていない。

    「(…このままじゃマズイ)」

    しかしレベッカは焦っていた。

    「(私はこの後も幹部達と戦わなくちゃならないんだ)」
    「(こんな所で苦戦してる場合じゃない!)」

    ナギナギの能力によってレベッカは
    剣を振るう音や鎧がカチャつく音、床を踏み締める音に至るまで
    一挙一動が完全なる"無音"だ。
    しかしデリンジャーはすんでの所で
    それらの攻撃を躱す。

    「(ディアマンテ曰く、デリンジャーは"闘魚の半魚人"らしいけど…)」
    「(つまり、血の匂いに敏感なこいつは音を消しても嗅覚で充分補える…)」
    「(道理で暗闇でも避けられる訳だ…!)」


    「隙あり!"断頭ハイヒール"!!!」
    「……!!」

    デリンジャーの脚が唸りながらレベッカの頭上を通過した。

  • 18◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:18:50

    「キャー!!避けるのがお上手!!流石は"無敗の女"!!!」
    「考え事なんてしてる場合じゃないわよ!!?こんな傷あたしからすりゃダメージの内にも入らないから!!」

    黄色い声を発しながら次の攻撃を繰り出そうするデリンジャー。

    「まさかここまで苦戦すると思わなかった…」
    「なら、とっておきを見せてあげる…!」

    一方のレベッカはどういう訳か不敵な笑みを浮かべる。

    ((ヒュン))

    次の瞬間、レベッカの姿は残像を残して消え去った。

    「……!!消えた!!?」
    「何処!?何処に行ったの!!?」

    デリンジャーは困惑しながら辺りをキョロキョロと見回す。

    ((ヒュッ))

    「!!?」

    血の匂いを帯びたナニカが凄まじい速さで距離を詰めてきたのを察知し
    勢いよく身を捻るデリンジャー。
    だが、

    「グアァァッ!!?」

    相手は思った以上に素早く、肩から斜めに斬りつけられた。

  • 19◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:20:44

    「(こ、この素早さ…まるで"剃"…‼︎)」

    デリンジャーはようやく察する。
    無音故に分かりづらいがレベッカが見せた瞬間移動は明らかに六式の一つ、"剃"だ。

    「ゼェ…ゼェ…、キャハハ!驚いた‼︎まさか六式の"剃"を体得してるだなんて!!!」
    「…"剃"っていうんだ、教えてくれてありがとう…!」
    「まさか知らずに使ってたの!?そりゃそうよね!国から出た事ない箱入り王女様だもの!!!」

    痛みにもがきながらもデリンジャーは煽り文句を捲し立てる。

    「けど残念!そんなモンは新世界の強者にとっちゃ珍しくもなんともない代物!!!」
    「それがあんたの奥の手ってんならお生憎様!!来ると分かってんなら幾らでも避けてやるわ!!!」



    「お礼にあたしも"とっておき"を見せてあげる!!!」

    そう言うとデリンジャーの全身がバキバキと軋み、骨格が変形し出す。

    レベッカは思わず身構えた。

  • 20二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:22:19

    いつの間に剃を…

  • 21◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:25:14

    変身したデリンジャーの口には鋭い牙が生え、背中からは"鰭"が飛び出す。
    その瞳孔は凶暴な肉食動物の如く、縦に開いていた。


    「闘魚の血筋…!!ナメんじゃねェよ!!!」

    オネエ口調から一転、荒っぽい喋り方になったデリンジャーは
    身体をくの字に曲げ、脚に力を込める。
    筋肉が隆起し、脹脛が大きく膨れ上がる。


    そして床を踏み砕きながら、勢いよく爆ぜた。

    「死に゛晒せクソ王女゛ォォォォ!!!!!!」

    殺意を伴った一筋の閃光となったデリンジャーは
    その凶悪な角をレベッカの腹部へと一直線に……

  • 22◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:27:07

     
     
     
     
    「…」ヒラリ

    刺さりはしなかった。
    デリンジャーの攻撃が当たる直前、レベッカはまるで"紙"の如くひらりと躱した。

    「(…!?避けられた!!?しかもこの女、今、"紙"みたいに…!)」



    ((ズパッ))




    「…………………あ?」

    デリンジャーの視界が斜めに傾く。
    慌てて受け身を取ろうとするも、何故か手足が動かせずに顔面から床に激突した。

    「(痛って〜……この女、一体何をして…!)」

  • 23◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:28:10

    デリンジャーの目の前にドサリと何かが倒れてきた。

    「(ん?ナニコレ?)」






    それは首から上が無いデリンジャー自身の身体だった。

    「!!!?!?………‼︎……!」パクパク

    驚愕の表情をしたデリンジャーが叫ぼうとするも声が出ない。
    当然だが、これはナギナギによるものではなく、
    単に首と胴体が切断されてるが為だ。


    「(く、首…!!首が…!!?)」
    「(クソが…!!さっきは六式を初めて知ったみたいな態度取りやがって!!)」
    「(しっかり"紙絵"を使えんじゃないの…!!)」

    悪態を吐き出そうにも声には出せない。

    「(あぁ、クソ…!も、もう、意識が…)」

    首と身体が泣き別れになったデリンジャーの脳は、ゆっくりと死へ向かい始めた。

  • 24◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:30:21

    ふと視線を上げると、己を見下しているレベッカの姿が映った。
    レベッカは一言だけ声を掛けた。


    「さよなら、デリンジャー」








    「!!!!!!!!」ヒュガッ
    「なっ…!!?」

    首だけとなったデリンジャーが弾丸と化してレベッカに飛んできた。

    「クッ……!」ヒラリ

    ギリギリでレベッカが躱した為に
    デリンジャーの生首は背後の石柱に激突する。
    鋭い牙が石柱に深々と刺さって小さなクレーターを穿つ。
    柱に噛み付いた状態で、デリンジャーの生首はレベッカをジロリと睨んでいた。

    今度こそデリンジャーは完全に絶命した。

  • 25◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:31:53

    「ま、まさか首だけで噛みついてくるとは思わなかった…!」
    「上手く避けるやり方を覚えてなかったら危なかったかも……」


    デリンジャーは知る由も無いが、レベッカは『六式』を全く知らない。

    "剃"は『地面を一瞬で10回以上蹴れば面白ェ事が起こる』
    というディアマンテのアドバイスを元に練習を積んで体得したものだ。


    そして先程使った"紙絵"に関してだが…
    これは稽古の最中、ディアマンテが己の身体をヒラヒラにして躱すのを何度か目にし、
    これをレベッカ自身の『相手の力を利用して受け流す剣技』と『見聞色』を併用すれば再現出来るのではと思い至って
    会得した独学のものである。


    図らずもディアマンテとの稽古がレベッカの戦闘力を大幅に飛躍させる事になった。

  • 26二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:32:54

    ディアマンテなにやってんだお前

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:33:59

    クソ戦犯色ボケディアマンテ

  • 28◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:34:21

    「…ふぅ!取り敢えず、デリンジャーとラオGは始末出来た…!」

    デリンジャーの死亡を確認したレベッカは一息つく。
    よく見ると廊下の向こうの暗闇には、血を流して倒れているラオGの屍が転がっていた。

    「(正直ラオGとの戦いの方がかなり危なかったかも)」
    「(ボケてて隙だらけだと思って、斬りかかったのに剣を受け止められた時はヒヤリとしたし…)」
    「(突然ムキムキになり出した時はほんとに焦った…!)」


    デリンジャーとラオG

    この両名はファミリーの中でも数少ない"非能力者"である。
    ディアマンテの時の様に『海楼石で無力化出来ない』以上、闘い方の幅はかなり狭められる。
    レベッカとしてはなるべく早いうちに殺しておきたかった。


    「(よし!息も整った!!)」
    「(次はファミリーの全電伝虫に"凪(カーム)"を掛けなくちゃ…!)」

    暫しの休息を取ったレベッカは己の音を消し去り、暗闇の中を駆けていった。



    「……た、大変だすやん!!!若が…!若が…!!!」

    それから数十分後、ドフラミンゴの死を知ったバッファローの悲鳴が王宮に響き渡り
    幹部達が集まるが、そこにデリンジャーとラオGの姿は無かった。

  • 29◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:36:45

    「グラディウス様にジョーラ様!マッハ・バイス様も!!こんな遅くに一体…」
    「誰がワノ国随一の人気花魁ざます!!」
    「…詳しい事は言えないが、ファミリーの緊急事態だ…。悪いが少々騒がしくする」

    路地裏で息を潜めていたレベッカは街が騒々しくなる様子をジッと観察していた。
    あれから少しして街中を幹部や末端の部下達が大勢練り歩き出した。
    ドフラミンゴを殺した下手人の捜索を本格的に始めたのだ。
    それに混じり、見覚えが全く無いオモチャ達も一緒になって駆け回っている。

    「(ついさっきレオ君から『シュガーを捕獲した』と連絡があった…)」
    「(シュガーが街の人をオモチャに変えたのね…!酷い事する!)」
    「(……とはいえこれは…好都合かも)」

    レベッカの脳裏にある"妙案"が浮かんだ。

    「(レオ君からの連絡だと私があらかじめ"凪(カーム)"を掛けたトンタッタ兵達もオモチャにされたらしい…)」
    「(しかも"凪"の効果でシュガーの"契約"がされていないそうだ)」
    「(つまり、……いや、でもこれは流石に)」

    しかしこれは、明らかに人道に反したものだ。

    かつてのレベッカならばなやらなかっただろう。



    プルルルル!プルルルル!

    だがレベッカは実行に移した。

    「レオ君、お願いがあるんだけど……夜が明けたらオモチャにされたトンタッタのみんなを街で暴れさせて」

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:38:10

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  • 31◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:38:37

    〜翌朝〜

    街の中にも人やオモチャの姿が増えていたが、
    ファミリーは相変わらず犯人探しに明け暮れていた。
    すると…

    「オモチャが暴れ出した〜〜!!!!」
    「『人間病』か!!?」
    「こんなに沢山のオモチャが壊れるのは初めてよ!!」
    「……!?なにが起きたんだイーン!!!?」

    突然暴走を始めたオモチャに困惑する人々。
    住民を直接攻撃する事こそないが、荷物をひったくったり
    花瓶をひっくり返したりと滅茶苦茶に暴れ回る。
    中にはファミリーのメンバーを攻撃し始めるオモチャも居た。

    正体はオモチャにされたトンタッタである為、
    全てのオモチャが暴れ出している訳ではない。
    だがファミリーの連中にはその区別が付かない。
    恐らくオモチャに変えた張本人であるシュガーにもその区別は付かないだろう。

  • 32◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:40:18

    「なにやってるざます!?あーた達は若さま殺しの犯…ぎぇっ!?」

    うっかりドフラミンゴの死を喋りかけるジョーラの背中をオモチャの一体が蹴りつける。
    よろけたジョーラに今度は真正面から殴りつける。

    「よ、よくもあたくしを傷つけたざますね!!?」
    「許さないざます!!!……"ブロー・クンフ・アート"!!!」

    キレたジョーラがアトアトの能力を行使するも、
    攻撃したオモチャもといトンタッタはすぐさま人陰に逃げ込んだ。
    結果、無関係の人間や街の建物をアートに変化した。

    「おやめくださいジョーラ様!!こんな所で能力を使われては街にも被害が…!」
    「おだまるざます!!!!あーたもアートに変えて…!」
    「おいジョーラ!!おれ達にも被害が出るからやめるんだイーン!!!」
    「ジョーラ様がご乱心だ〜〜!!!!」
    「逃げろォー!!!」

    慌ててジョーラを羽交締めにするマッハ・バイス。
    逃げ惑う街の人々。

    ただでさえドフラミンゴが死んだ時点で碌な連携も取れていなかったファミリーだが
    トンタッタの内部工作により現場は完全に混乱の渦に包まれていた。

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:41:50

    このレスは削除されています

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/16(日) 23:43:08

    このレスは削除されています

  • 35◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:44:11

    誤爆です再投稿し直します

    「街の人間は屋内に逃げ込め!!オモチャはおれ達が何とかする!!!」

    この様子に苛立ちを覚えながらもグラディウスはただ1人冷静に対処していた。

    「チッ…!ジョーラ!おまえもいつまでバカやってやがる…!!おれたちは遊んでる場合じゃ…」










    「グ…グラディウス様…!」

    物陰から血塗れのレベッカが剣を杖代わりに現れた。

  • 36◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:45:02

    「レベッカ!!…いったい何があったんだ!!?」
    「申し訳ありません…オモチャの攻撃を喰らい…ラオG様も…重症を…!」

    頭から血を流し、苦しげな表情のレベッカが途切れ途切れに話す。

    「耄碌でもしたのかラオGは!?…クソ!今行く!!」
    「む、向こうにラオG様が…!はやく…!!」

    レベッカは路地裏の奥の方を震えながら指差す。
    グラディウスはレベッカの言い分を信じ、路地裏へと走っていった。









    …その背後でレベッカが剣を振り上げている事にも気付かずに。

    グラディウスの意識はそこで途切れた。

  • 37◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:48:13

    レベッカは気絶したグラディウスをコロ.シアムの柱に縛り上げていた。
    その傍には白い布で覆われた大きな物体があり、
    レベッカは何かしらの準備を始めている。

    …そんなレベッカの背後から誰かが声を掛けた。

    「レベッカ…!あなた何をしているの…!?」
    「あ…!ヴィオラさん‼︎」

    それはトレーボル軍幹部のヴァイオレット……正確にはドレスローザの元王女、ヴィオラだった。

    「"ドフィ"…ドフラミンゴが死んだと分かってから"千里眼"でずっとあなたの様子を見ていたの‼︎」
    「それにこれ…ラオGとデリンジャーじゃない‼︎まさかあなたがやったの!!?」

    レベッカのすぐ横にはラオGとデリンジャーの死体もある。
    グラディウスは彼らのすぐ側に縛られている。

    「うん…!結構手こずったけど、私が倒したの…!」
    「…!!!……あなたがディアマンテの部下になったって聞いた時は気が気じゃ無かったわ…私の二の舞になったんじゃないかって…!」
    「あなた一体何をする気なの!!?…お願い‼︎無茶だけはしないで!!!」
    「ヴィオラさん……心配してくれてありがとう!でも大丈夫…!」

  • 38◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:49:08

    レベッカは真っ直ぐな眼差しでヴィオラを見た。






    「ドフラミンゴファミリーの幹部は、今日、全員"殺す"から‼︎」
    「!!!」

    レベッカは己に揺るぎない信念がある事を示すかの様に語り始めた。

    「グラディウスには海楼石を付けて無いけどこれは大丈夫!」
    「レベッカ…」
    「近くにデリンジャーとラオGがいる状態じゃ能力は使えないだろうし、仮に死体だとバレても"コレ"が側に置いてあるから絶対に自爆なんて出来ない!」
    「レベッカ…!」
    「今まで散々悪い事をしてきた連中なんだもん、もっと苦しめてやらないと…!」
    「レベッカ!!!」

    ヴィオラはレベッカの肩を強く掴んだ。
    そして縋り付く様に俯きながら、涙を流していた。

  • 39◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:50:20

    「ごめんなさい…レベッカ…」
    「……え?な、なんでヴィオラさんが謝るの?悪いのは全部ドフラミンゴの奴らだよ!!?」

    突然謝り出したヴィオラを前に、訳が分からない様子のレベッカ。

    「…と、兎に角ヴィオラさんは全部終わるまで何処かに隠れてて!!大丈夫!私とトンタッタのみんなで全部終わらせるから!!!」
    「……分かったわ、だけど、本当に無茶だけはしないで…!辛いと思ったのなら、いつでも私を頼って…‼︎」

    そう言うとヴィオラはフードを被り、街の方へと駆けていった。



    「ヴィオラさん…、今更そんな…謝らないでよ…」

    先程のヴィオラの謝罪の言葉を反芻しながらレベッカは見送った。

  • 40◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:51:36

    一方、街では幹部連中がオモチャ相手に手こずっていた。

    「ヴゥ…若゛さま゛…グァッ!…あだくしは…ブグッ…!」
    「ジョーラ!!?」
    「よせベビー5‼︎ジョーラはもう手遅れなんだイーン!!!」
    「離してバイス!まだ助かるかもしれないじゃない!!」


    セニョール・ピンクとベビー5も加わり、事態の収束にあたっていたのだが、
    能力の余波で周りに被害を与える訳にいかないジョーラが最初に脱落してしまった。

    ジョーラはオモチャの山に埋もれていた。
    中から時たまくぐもった声が聞こえるが、
    その様子から察するに既に虫の息である。

    「おいピンク!!もうおれは我慢のげんかイーンだ‼︎街をぶっ壊してでもオモチャを破壊してやる!!!」
    「だからよせって言ってんだろォ!!!…グラディウスの奴ァどこ行ったんだ…!」

    街を泳ぎ回って暴れるオモチャの対処や部下への指示に当たっていたセニョール・ピンクが歯噛みする。
    暴れるオモチャ一体一体は大した強さでは無いが、
    攻撃しようとすれば民衆や建物の影に紛れて姿を隠す。
    ジョーラは死に掛け、マッハ・バイスとベビー5は連携も取らずに勝手に行動しようとする。

  • 41◆wN3D6OGRA.22/10/16(日) 23:52:56

    「(このままだとジリ貧だ…!やりたくなかったが仕方ねェ…無差別にオモチャを…!)」

    セニョール・ピンクが"決断"をしようとしていると、




    『そこまでだお前たち』

    突如街全体が影で覆われた。
    幹部や街の住民が上を見上げると、そこには巨大な石の巨人の姿があった。

    「ピーカ様!!!」
    『幹部や部下達は全員街の外に避難しろ』

  • 42◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:00:47

    『トレーボルからの指示だ、もうこの際街はどうでもいい…!おれが街諸共オモチャ共を叩き潰す…‼︎』
    「そ、そんな!!!」
    「ピーカ様!ここは俺達が生まれ育った街なんです!どうかそれだけは…!」

    住民達が悲鳴を上げる。

    「よすんだピーカ!!!そいつァ度が過ぎてる!!!」

    セニョール・ピンクも慌てて止めようとする。

    だが彼らの言い分など全く聞き入れず、非情にもピーカはその巨拳を振り上げ…








    「お待ちくださいピーカ様!!グラディウス様がコロ.シアム内部に縛り付けられています!!!デリンジャー様とラオG様も酷い怪我を!!!!」

    『レベッカ!!?』

    コロ.シアムの屋上からレベッカが大声でピーカの行動を止めさせた。

  • 43◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:02:16

    『それは本当か!?』
    「はい‼︎しかも海楼石の鎖で繋がれてる為に私ではどうしようも…!!錠を解かなくてはグラディウス様が逃げられません!!!」
    『ならおれがコロ.シアムごと移動させて』
    「ダメです!!!ラオG様の怪我の度合いが酷く、安静にさせないと…!」
    『あぁクソ…!…分かったよ!!……だがまずはグラディウスを自由にさせるのが先決だ!!!』
    「お願いします‼︎グラディウスは選手待合室の柱に繋がれています!!」
    『なら容易い!おれが直接行って柱を操作すりゃいいだけだ!!!』

    そう言うとピーカの巨像は轟音を立てながら屈み、頭をコロ.シアムへと繋げた。

    ピーカはコロ.シアムの石材の中を移動しながら待合室に向かう。
    そこにはレベッカの言った通り、柱に繋がれたグラディウスと、
    近くの壁にもたれかかっているデリンジャー、ラオGの姿があった。
    グラディウスが縛られてる柱には白い布が巻き付けられている。

  • 44◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:03:24

    「まったく…くだらないヘマをしやがって…!」
    「────!!!?──!──‼︎」パクパク

    縛られてる部下の姿にピーカはため息を漏らす。
    一方グラディウスが何かをしきりに叫ぼうとしている。

    「おい、何言ってんのか分からねェよ……そもそもお前を縛ってるコレは海楼石じゃない、ただの鎖じゃねェか…レベッカの奴いい加減な事言ったな…!」
    「──!────‼︎」パクパク
    「グラディウス… お前はさっさと鎖を破裂させて脱出しろ、おれはこっちの2人を運ぶのか最優先だ」

    そう言ってピーカがデリンジャーの肩に手を充てがうと、









    ゴトン

    「なッ…⁉︎」

    身体に乗っかっている状態だったデリンジャーの首がゴトリと音を立てて床を転がっていく。

  • 45◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:05:17

    何かを察したピーカが急いで隣のラオGの脈を測る。

    「どっちも既に死んでいる…!こりゃどういう事だグラディウス!!?」
    「──!────‼︎」パクパク

    声を発せられないグラディウスは
    真後ろの柱を見る様にと目線で必死に訴えかけている。

    「(柱…?そういうやあの布は何故巻き付けられてるんだ…?)」

    ピーカが柱の布に手をかけた。

    「─────!‼︎」パクパク

    グラディウスがいよいよ慌てふためき出す。


    バサッ

    ピーカが布を取り払うと、そこには柱一面に括り付けられた爆薬が姿を現した。
    爆薬の導火線は着火済で、あと数ミリ程度しか残っていなかった。

    「(逃げろピーカァァァァ!‼︎!)」パクパク




    「あ」

    ピーカとグラディウスの居たコロ.シアムの一角は粉々に吹き飛んだ。

  • 46◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:06:31

    「な!!なんだイーン!!?」

    突然起こった地揺れに街にいたファミリーは驚愕する。

    「おい!コロ.シアムが半分崩落してるぞ!?」
    「まさか爆弾かッ!?」
    「バカ言え!!爆発なら何かしらデカい音がする筈だ!!!…きっとピーカ様がコロ.シアムを変形させるのにミスったんだろう…!!」

    コロ.シアムの異変を口々に考察し合う。
    そうこうしている間もオモチャの暴挙は止まらない。

    「(よし…!ピーカは仕留めた…!これで最高幹部はトレーボルだけ‼︎)」
    「(もうイシイシの能力には怯えなくてもいい…!)」
    「(今ならイケる!!!)」

    プルル!プルルル!

    コロ.シアムから脱出済みだったレベッカが何かのタイミングを見計らい
    レオ達に向けて電伝虫を繋いだ。



    「レオ君!!"今"だよ!今、このタイミングでホビホビを解除して!!!」 

  • 47◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:08:24

    「お、おい…!見ろ!オモチャ達が…!!」

    レベッカの指示から少しして国中で異変が起こった。
    国中のオモチャ達が一斉に元の姿に戻っていったのだ。

    これが意味する事は一つ

    「シュガーがやられたのか…!」

    セニョール・ピンクは事態の深刻さを痛感した。

    海賊、海兵、政府の役人、市民、旧ドレスローザ兵、猛獣…

    今までオモチャに変えられていた者達が国中に現れ大混乱である。

    政府に連絡を取る者、武器を振るい略奪を始める者、家族と再会して抱き合う者…



    「……ゔぅ…!」

    そんな中、レベッカは静かに泣いていた。

  • 48◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:09:25

    ようやく思い出したのだ。

    「(私にはお父様がいたんだ……‼︎)」

    記憶の中の優しい父親
    そしてそんな父と同じ様に優しい…

    『兵隊さんは〜勇敢で〜〜♪いつでもきみのーそばにいるーー♪』



    「(泣くのは全部終わった後だ…!)」
    「(ごめん、お父様…!お父様との約束…また破るよ…‼︎)」

    レベッカは涙を拭い、街中へと飛び出して行った。

  • 49◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:12:22

    「みんなダマされるなァ〜〜!!!!」

    国中が混乱の中、オモチャから戻った住民の1人が大声で叫んでいる。
    彼は昨夜シュガーによってオモチャに変えられた者である。

    「まさかあいつ…!」

    セニョール・ピンクが何かに勘付くももう遅い。
    男は叫ぶのを辞めない。

    「ドフラミンゴはずっとおれ達を騙してたんだ!!」
    「あいつは"悪魔"だ…!!おれ達をオモチャに変えてずっと働かせてたんだ!!」
    「国全体をずっと騙してたただの海賊だッ!!」
    「この国はずっと騙されてたんだ!!』

    「それに…」



    「"ドフラミンゴ"は…もうとっくに……死んでいる〜〜〜!!!!!!」

    『命令よ‼︎若様と…ついでにディアマンテを殺した奴を探し出しなさい!!殺しちゃダメ!生きたまま私の前に引っ張ってきて!!!!』

    自分達をオモチャに変えた張本人が漏らした情報を
    高らかな声で皆に叫んだ。 

  • 50◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:13:27

    「おい…!今の話、本当なのか…!?」
    「あぁ!俺もオモチャにされてたから間違いない!」
    「"国王様"は悪者だったのか……!!!」
    「という事はリク王様も…!?きっと"ドフラミンゴ"の仕業なのね!!」

    住民は混乱しながらも情報を纏めていく。
    『ドフラミンゴ及び幹部達が全ての元凶』という結論に達するのに
    そう時間は要さなかった。



    「だイーン!」フヨフヨ
    「え?」

    最初に叫んだ男の頭上に何かが浮かでいる。

    「ペラペラ喋りやがって…!もう生かしておけないんだイーン!!!」

    マッハ・バイスだ。
    全ての情報をリークした男を抹殺せんとしているのだ。

  • 51◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:53:31

    「な…!?待ってくれ…!おれはお前らの被害者だぞ……‼︎」
    「五月蝿いんだイーン!!!若の死までバラしやがったクソ野郎がッ!!!」
    「ひ、ひぃっ…!」

    完全な八つ当たりであるが、マッハ・バイスは止まらない。
    そのまま、男を圧殺しようと体重を重くする。


    「潰れろォッ!!!…… “トントン”‼︎、"10tヴァイ…」
    「や、やべて…!」

  • 52◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:56:54

       

      

    「"指銃"ッッッ!!!」


    「痛でェ〜〜〜!!!!??」

    空中で横槍を入れられたマッハ・バイスはそのままあらぬ方向に落下する。

    マッハ・バイスに六式の"指銃"を撃ち込んだのは
    赤いサングラスにオールバックヘアの黒服の男だった。

    「な、なんだイーン!!!?お、おめェ!!政府の役人…いや、"CP9"かッ!!?」
    「…」

    オモチャから戻ったばかりの黒服の男は黙ったまま何も返さない。

  • 53◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:57:20

    「クソォ!まずおめェから始末してやるんだイーン‼︎"トントン"…」
    「ハァッ!!!」
    「ぐぇッ!!」

    再び浮かび上がったマッハ・バイスに
    漢服を纏った海軍将校が鉄扇から飛ぶ斬撃を撃ち放つ。

    「ウホォッ!!」
    「ぐぎゃっ!!?」

    落下してきたマッハ・バイスに
    ピンクのスーツに身を包んだゴリラが殴りかかる。

    「ルアァッッ!!!」
    「ヌ゛オ゛ォッッ!!!?」

    賞金稼ぎの男が剣を弾丸の様に投擲する。

    それに続き、大勢の元オモチャ達が各々の武器で
    マッハ・バイスを攻撃し始めた。



    「や、や゛べろォ…!おめェら゛…‼︎ガファ…‼︎」

    お世辞にも防御面では優れていないマッハ・バイスは
    無数の武器が突き刺さり、たちまち針ネズミの様な有り様になった。

  • 54◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 00:58:19

    本来なら共闘などあり得ないであろう立ち位置の者達が
    長い間オモチャとして自分達を虐げてきた"ドフラミンゴファミリー"という共通の敵を前に
    肩を並べて戦うのはある意味当然と言えよう。

    ここだけに限らず
    怒りを募らせた国中の元オモチャ達による
    ドフラミンゴファミリーへの反撃が始まっていた。

    「バイス…!!…こうなりゃァおれ1人で全員相手に…!」




    「ドフラミンゴファミリー!!!覚悟しなさい!!!!」
    「……んん?」

    残る味方は自分とベビー5のみ。
    たった1人ででも抵抗する事を決意していた
    セニョール・ピンクの思考を遮る様に怒声が飛んできた。

  • 55二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 01:28:42

    あぁ、ファミリーがどんどん脱落していく・・・

  • 56◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 01:46:53

    彼の前方には幼子の亡骸を抱きかかえた女性が立っていた。
    憤怒の形相で、手にはナイフが握られている。
    彼女も元オモチャだった様である。

    「……よしな嬢ちゃん…そんな危ねェモン振り回すんじゃァ…」






    「ウソつき!!!」
    「‼︎」ビクッ

    "聞き覚えのある言葉"に思わず硬直するセニョール・ピンク。
    女性の口からは立て続けに怨嗟の叫び声が上がる。

  • 57◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 01:48:03

    「『ドレスローザを護る英雄』?何もかもウソばっかだったんじゃない‼︎ウソつき!ウソつき!!」
    「私もこの子もずっとオモチャにされてたのよ‼︎私は大丈夫だったけど、長い間の重労働でボロボロだったこの子は戻った途端に死んだわ!!!!」
    「子供を返せ!!私の人生を返せ!!!」

    女性はナイフを構えたまま走ってきた。
    構えも走りも、はっきり言って素人のソレである。
    セニョール・ピンクならナイフをもぎ取って無力化する事は容易い筈だ。

    だが、


    「許さない!!許さない!!!!」



    「お前ら"海賊"なんて!!…………『死ぬ程キライよ』!!!!」

    「(あぁ…)」

    セニョール・ピンクは一切抵抗しなかった。
    逆手に握られたナイフは吸い込まれる様にセニョール・ピンクの胸に突き刺さった。

  • 58◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 02:35:01

    「そ、そんな…ピンクまで…!」

    ベビー5は絶句した。
    現状の自分達のリーダー格とも言える男は
    泣き叫ぶ女市民に馬乗りにされて滅多刺しになっていた。

    「クッ…!よくも大切な"ファミリー"を殺したわね…!?私1人でだって戦い抜いてやるわ…!!」

    ベビー5は全身を武器に変化させ、この場にいる者達と戦う為の準備を…



    「くたばりやがれェ‼︎」
    「…………え?」

    ベビー5の動きが止まる。
    なんて事はない、それは少し離れた位置にいた街の住民の罵声であった。

    「海賊風情が真っ当な人間面すんじゃねェよクソがァッ!!!」
    「おめェなんざ誰も必要としねぇんだよボケがァッ!!」
    「とっとと死.ねェッッ!!!!」

    他の者達からも罵声が飛んでくる。
    敵の発言など一々間に受ける必要すらない。

    『役に立ちもしない上に…いっぱしのメシを喰らう…!』

    『役に立たないお前は…必要のない人間なんだから』

  • 59◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 02:37:34

    しかし、それらの罵声はベビー5にとっては耐え難いものだった。
    彼女の脳裏に幼少のトラウマがフラッシュバックする。
    そして、

    「え?…いらない…?私…ひつようないにんげんなの…?」
    「わ、分かった…!分かったわ!!死.ぬ…死.ねば…死.ねば役に立てるのね!!?」

    カチャリ

    ベビー5は若干引き攣った笑顔で、ピストルに変化させた腕を
    己の側頭部に押し当てる。
    側から見れば狂気の沙汰だが、ベビー5という人間をよく知る者からすれば
    やりかねない行為だと理解するだろう。

    「(そ、そうよ…私は誰かの役に立ちたい…!若様が死んだ今、戦うよりも死.ぬ事の方がこの人達の役に立てるのなら…‼︎)」

    幼少から抱き、ファミリーに居る間も矯正される事が無かったベビー5の独特な価値観。
    彼女はその価値観に従い、『自死して目の前の人々の役に立つ事こそが喜び』と判断した。

  • 60二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 03:50:51

    シュガーの能力に頼り切った綱渡りの統治だったんだなって改めて再認識させられるな

  • 61二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 04:18:35

    >>52

    赤いサングラスにオールバックヘアの黒服の男

    ジャブラ


    >>53

    ピンクのスーツに身を包んだゴリラ

    ストロングワールドのエロゴリラ


    かな?

  • 62◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 06:09:54

    申し訳ございません

    個人的な都合により今日の夕方頃までは再投稿できそうにありません

    スレ落ちしたらまた別の機会に建て直し致します




    >>61

    赤いサングラスの黒服はカリファの父親、ラスキーのつもりで書いておりました

    言われてみればジャブラも同じ特徴が当て嵌まりますね

  • 63二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 07:18:46

    りょっか!

  • 64二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 13:14:42

    一応保守

  • 65二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 19:14:46

    >>53

    >>漢服を纏った海軍将校

    これは多分コーメイ中将で


    >>ピンクのスーツに身を包んだゴリラ

    これはスカーレット隊長で


    >>賞金稼ぎの男

    これはジャン・アンゴ

  • 66二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 19:18:21

    >>65

    デデデデ!ありがとよレベッカ!ドフラミンゴファミリーを復讐し放題だ!

  • 67二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 20:08:48

    >>57

    ・嘘つき

    ・海賊なんて死ぬ程嫌い


    うーんこの…

  • 68二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:02:56

    保守

  • 69◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:03:42

    再開します

  • 70◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:05:03

    幼少から抱き、ファミリーに居る間も矯正される事が無かったベビー5の独特な価値観。
    彼女はその価値観に従い、『自死して目の前の人々の役に立つ事こそが喜び』と判断した。


    「何だこの女ァ!?自分の頭に銃口を構えやがったぞ!!!」
    「そのまま死にやがれェッッッ!!!!」

    「あ……あ゛ぁ…ッ!」

    『お前はいらないにんげんなのよ…!』
    『ママにも…?ママにもひつようない?』

    「(なんて幸せ……死ぬ事でさえ誰かの役に立てる…!)」

    ベビー5の心の中は幸福感で満たされていた。

    「死ーねッ‼︎死ーねッ‼︎!死ーねッ!!!!」

    自分から死.ぬ事を選んでいる彼女を止める者などいる筈もなく、
    民衆からのコールが続く。

  • 71◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:06:12

       


       
       
       
    ……彼女は自分がどんな顔をしているのかに気付かない。
    彼女の笑顔は次第に歪み、その両目からは大粒の涙が溢れ落ちていた。

    凡そ、"幸福"とは正反対の表情


    「死ーねッ‼︎!死ーねッ!!!!」


    「(ねぇ、ママ…私…いらないにんげんじゃ、ないよね?)」




    タァン!

  • 72二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:08:02

    辛すぎる…
    いや自業自得なんだろうけど
    辛すぎる…


    楽しく読んでるぞぉおお

  • 73◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:09:52

    レベッカは街の通りを走っていた。
    道端では住民によるファミリーの構成員への暴行が行われ、
    所々には幹部達の屍が転がっていた。


    「(……ベビー5)」

    その中には、糸が切れた人形の様に倒れ伏すベビー5の姿もあった。
    うつ伏せに近い体勢の為表情は殆ど見えないが、
    地面と顔の僅かな隙間から見える彼女の表情は、深い絶望に染まって…

    「(……ッ!気にする必要なんてない‼︎こいつらは全員死んだほうがいい奴らなんだから!!!)」

    頭の中でそう繰り返し、罪悪感を消し去る。
    レベッカはそのまま走り抜ける。
    目指すは王宮だ。

  • 74二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:10:35

    残りはバッファローとヴェルゴとモネか…
    地味に生き残ってるなあいつ

  • 75二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:10:56

    追記
    後トレーボルもだった

  • 76◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:15:41

    最後の敵、トレーボルを討ち取るまではレベッカの復讐は終わりではないのだ。

    「ここを登れば…!」

    レベッカは王の台地を飛ぶ様によじ登り、そのまま四段目の王宮まで一気に…







    「レ゛ベッ゛カ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」

    ギュオッ

    「……ッ!?」

    殺気を感じ、レベッカは慌ててしゃがむ。
    さっきまでレベッカの首があった位置を猛スピードで大太刀が通過する。

  • 77二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:17:22

    バッファローはともかくヴェルゴもモネもトレーボルもレベッカが倒せるのか...?

  • 78◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:19:51

    レベッカは剣を構え、自身に襲い掛かった敵を見据えた。

    見上げる様な巨体と、その体躯に見合わぬソプラノ声…




    「…………ピーカ…ッ!!?」
    「ピッキャララ…ゲボッ!、あ、あ゛れくらい゛で…おれを…殺せると思ったのか……!?」

    右脚の膝から先と左腕が丸ごと吹き飛び、
    顔も半分がグチャグチャになっている。
    既に虫の息だ。



    だがピーカはまだ生きてきた

  • 79◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:21:39

    「グ、グラディウスが…おれ゛を庇わ゛なきゃ……危ながった……‼︎」

    あの爆発の直前、グラディウスは己の全身を破裂させ、
    その衝撃でピーカを爆心地から少しでも遠くに弾き飛ばそうとした。
    そして当のピーカも全身を武装色で硬化させ、爆発に備えた。

    グラディウスは自身の破裂でダメージはなくとも
    爆発の直撃によって粉々になり即死したが、
    ピーカは辛うじてその生命を留める事に成功した。

    「ようやく合点がいっだぞ…‼︎ぞう゛か…!お前が、ドフィを殺じたんだな……!?」
    「……私が殺したのはディアマンテよ…ドフラミンゴはヒラヒラの実を食って勝手に自爆しただけ……‼︎」
    「どっちにじろおなじことだァ!!!」

    ピーカは地面の岩石を取り込み、簡易的な義手と義足を造って
    レベッカに斬りかかった。

    死ぬ寸前のピーカには最早あの時の様に巨像を動かせるだけの力は残されていない。

  • 80◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:23:53

    大振りの斬撃を躱しながら、レベッカはピーカに斬り込む。

    「……ハァ!!!」
    「ぐっ……!?・・・・ナ゛メるな゛ァ‼︎」

    不完全な武装硬化で防ぎきれずに血を流したピーカは
    怒り任せに片手を地面に突き入れた。

    「"蛸石(プルポストン)"!!!」


    無数の巨石が触手の如くうねり、レベッカを叩き潰そうとする。

    「……‼︎‼︎」ヒラリ
    「な゛っ……!"紙絵"だと……⁉︎」

    巨石の嵐をすり抜ける様に避けるレベッカ。
    あっという間ににピーカの懐に潜り込み、

  • 81◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:25:53

        
    「ヤァッッッ!!!!」
    「ゴブッッッ!!?」

    その身体を上下に切断された。


    「…ド、ドフィ…!!」

    既に死に体の筈のピーカは、腰から下に『石の下半身』を生み出し
    最後の力を振り絞って立ちあがろうする。

    「な…!?こいつまだ……!」

    だが、二、三歩踏み出すと、
    ピーカの瞳から光が消え、石の身体はガラガラと音を立てて崩れた。

    レベッカは上半身だけのピーカの屍に慎重に近づき、
    完全に死んだ事を確認する。

    「ハァ…ハァ…」
    「(もう死に掛けだったのに……ほぼ"執念"だけでここまで来たんだ…‼︎!)」

    敵の死に安堵すると同時に、戦慄を覚えるレベッカ。
    ピーカのドフラミンゴへの忠誠心はこれ程のものだったのか。

    「あなたのその強さと執念は…覚えといてあげる…!」

    レベッカは王宮へと駆けて行った。

  • 82◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:27:57

       
       

    「………居た…!」
    「べへへ〜、遅かったじゃねェかレベッカァ〜!んねー、何処で油売ってたのォ〜?」

    屋上には椅子に腰掛けるトレーボルの姿があった。
    相変わらずねちっこく喋りかけてくる。

    「お待たせして申し訳ありませんでした、トレーボル"様"」
    「んもゥそういうのいいんだよ〜、だっておめェ…ファミリーを裏切ったんだろ〜〜!?」
    「…なんだ、ならもう芝居をうつ必要もないや…」

    レベッカは遜った態度を辞め、真顔になる。


    「トレーボル、実はあなたに…"悪い知らせ"があるの…!」
    「んん〜、なになに〜?」

  • 83◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:29:42

        
    「幹部はみんな殺したよ」
    「べへへ〜、………そうかァ」
    「…シュガーも殺したよ…?」
    「べへへ、そうかそうか…」
    「………ピーカもさっきそこで殺した」
    「……そりゃあ残念だ………あいつとはドフィ以上に長い付き合いだったからなァ…」
    「……ッ!」
    「(何を言われてもまるで動じない…!)」
    「(まさかこいつもデリンジャーみたいに余裕ぶってる訳…?)」





    シュボッ

    「‼︎」ヒラリ

    突然、火の付いた粘液の塊が砲弾の様に勢いよく飛んできた。
    レベッカが躱すと、その後方で凄まじい爆発が起こる。

  • 84二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:30:01

    ヴェルゴも残ってるのはやべぇな…………

  • 85◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:31:52

    「…!、べへへ〜、おめェ"紙絵"が使えんのか〜!」
    「"紙絵"…?」
    「六式の一つでなァ、これ使える奴は紙みてェに相手の攻撃避けるんだよべへへ〜」
    「……今初めて知った、…これはディアマンテの奴との稽古で独学で身につけたものよ…!」
    「あぁ、あいつか…あの間抜けめ、ファミリーの情報ペラペラ喋くるわ、おめェみてーな小娘を稽古して敵に塩送るわ…傍迷惑な野郎だぜ…」

    「……まぁ昔っからあんなんだけどな!煽てられるとすぐ調子乗っちまうんだよ!!べへへへへ〜〜〜!!!」

    口では散々な言いようだが、トレーボルは何処か懐かしむ様に語っている。

    「(こいつよく喋る…、私の油断を誘おうとしてる訳でもなさそうだし…)」
    「(しかも屋上に居るのはこいつ1人……私が来るまでに部下をかき集める事だって出来た筈…!)」
    「(真面目に闘う気があるの…?これじゃあまるで………、!!!)」


    レベッカはようやく察する。

    「(あぁ、こいつ…)」

  • 86二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:33:10

    トレーボルはもう負けを悟ってるのかな……

  • 87◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:33:36

        
       

        

    「あなた…ここで死ぬつもりなのね」
    「べへへ、バレた?」

    トレーボルがサングラスを持ち上げる。
    その目に生きる気力は微塵も感じられず、"諦観"という感情だけしか残されていなかった。

    「ドフィがくたばった時点でファミリーは終わりだからな、何処で人生に幕引こうか迷ってたら、結局ここ選んじまったってわけよ」
    「………なら大人しく死んでくれると助かるな」
    「べへへ、一応最低限の抵抗はするけどな」

    レベッカは剣を構える。
    トレーボルも杖を構えた。


    「んべへへ、………いくぜェ…?ドレスローザの王女"レベッカ"…!!!」
    「(……来る!!)」


    10年間虐げた者と虐げられた者との最終決戦の火蓋が切った

  • 88二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:34:12

    お前本編でもそれくらいの気概見せてりゃもう少し...

  • 89二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:34:43

    スレ主さんの文章好きだわ
    続きがよめて嬉しい

  • 90◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:38:21

    >>88

    多分トレーボルはドフィが死に、シュガーも死に、

    己を守るバックボーンが何もかもなくなって、持たざる者になったお陰で

    昔のキレを取り戻し始めたと思うんで…

  • 91◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:38:43

    「"ベトランチャー"!!!」

    トレーボルの身体から大量の粘液が射出された。
    粘液が散弾さながらレベッカに迫り来る。
    1発でも着弾すればさっきみたいな大爆発を起こすのだろう。
    当たれば確実に死ぬ。

    「……ッ!!!」

    ((ヒュン))

    レベッカは素早く"剃"で全弾を躱す。

    「おぉ!"剃"も使えんのか…!益々惜しいな!おめェみたいな奴を幹部にしたかったぜ!!」
    「こっちからお断りよ!!!」

    レベッカはトレーボルに急接近する。
    そのまま斬りかかり…

    「ふんッ」ガキィッ
    「チッ…!!」

    武装硬化させた腕でトレーボルが斬撃を防いだ。
    もう片方の手に持った杖でレベッカを殴り抜く。

  • 92◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:40:03

    レベッカも同様に武装色で防ぎ、受け身をとって体勢を立て直す。

    「(また距離を開けられたけど…私の方が素早い!この調子なら…‼︎)」


    「"ベタベタチェ〜〜〜ン"!!!」

    トレーボルが背後にある塔に粘液の鎖を繋ぐ。






    「ぬ゛あ゛ァッッッ!!!」ボコンッ
    「なっ……!!?」

    そしてそのまま、塔そのものを馬鹿力で引っこ抜き、

    「"ベタベットン"……"流星(メテオーラ)"!!!!」

    屋上に振り下ろした。

  • 93◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:42:51

    ドガァァン

    屋上が砕け散り、濛々と土煙が上がる



    「な…なんて滅茶苦茶な奴…!!」

    咄嗟に屋上から飛び降り、一つ下の広場に着地したレベッカ。
    少ししてトレーボルも降りてくる。

    「べへへへへ…」
    「…勝手に壊さないで貰える…?もう、あんた達の城じゃないんだから!!!」

    ((ヒュン))

    レベッカは再びトレーボルに"剃"で迫る。

    「(こいつには音を消したくらいじゃ決定打にはならない…‼︎純粋な剣技でも圧倒しないと!!!)」

    「……シィッッ!!!」
    「何度やっても…ぐがッ!?」

    今度は背後に回って深々と斬りつけた。

    「今度こそ…!」

  • 94◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:43:59

    だがトレーボルは倒れない。
    背中にめり込む程に剣で斬られたにも関わらず
    トレーボルはダメージを受けた様子が殆ど無い。

    「(ロギア系!?……いや、それなら覇気を纏った剣でダメージを受ける筈…‼︎)」

    「やってくれるな…!"ベタベットン・ランチャー"ッッッ‼︎!!」
    「…!!?」

    振り返ったトレーボルの身体から先程の倍の量の粘液弾が飛び出し、
    レベッカに襲い掛かる。

    「(この量…!避けきれない…!?)」



    ベチャッ

    弾の一つがレベッカの左脚に付着した。

    「しまっ……!!!」
    「べへへ!!着火ァァ!!!」

    チュドンッ

    粘液弾が小規模な爆発を起こした。

  • 95二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:44:37

    レベッカ.....死なないでくれ……

  • 96◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:45:05

    「ッッッガア゛ァ゛ァァッッッ!!?」

    レベッカは脚に走る激痛に叫び声をあげる。






    「ギィッ……グゥッ…」

    モロに喰らったレベッカの左脚は大火傷を負っていた。
    脚は明らかに曲がってはいけない方向に曲がり、大腿骨も折れている。
    レベッカは体勢を保てずに地面に這いつくばった。

    「べへへ、見事にへし折れたな!機動力が奪われたんならもうこっちのモンだァ…」

    トレーボルがゆっくりと、かつ慎重に近づく。

    「ウゥ……!」ヨロッ

    レベッカは苦悶の表情を浮かべながら片足だけで立ち上がった。

    「べへへ、もう無駄に苦しむな、お前はこの10年よくやったよ…」


    「安心しろ…おめェを家族の元に送った後に、おれも地獄に行くからよォ…!」

    トレーボルがレベッカに向かって杖の先を突きつける。
    トドメを刺すつもりだ。

  • 97二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:45:56

    ああああ、お父さんと同じ片足の剣士に……

  • 98◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:46:21

       
       



       


       
    「…ない」

    レベッカは呟く。

    「…くない…」
    「ん〜?…何か言ったか?」




    「こんなの全然……痛くない!!!!」
    「!!?」

  • 99二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:47:15

    レベッカは死ぬな! こんな奴等ぶっ飛ばして、国を取り戻して、それで幸せになるんだ!

  • 100◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:48:14

    「(お母様の願いを守らず…!)」
    「(お父様との約束すら破り……!!)」
    「(今日…!大勢の人を傷つけ…!殺めた……!!!)」

    「(私の手はとっくに血で汚れきっている…!!!)」





    「(そんな外道に堕ちた私でもまだ感じられる…!)」

    『この国はずっと騙されてたんだ!!』

    『子供を返せ!!』

    「この国に降り注いだ悲劇の数に…!皆の怒りにくらべれば…‼︎」




    「こんなもの痛みですらない!!!!」

  • 101◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:49:16

    「そうか!なら苦痛すら与えず殺してやるとも!!!」
    「こちとら"北の海"のゴミ山から苦痛と絶望だけで這い上がってきたんだァ!!!!」

    トレーボルが杖のライターに火を灯す。
    そして、着火済みの粘液弾をレベッカに飛ばした。





    爆発まで秒読みの"死"が


    ゆっくりとレベッカの顔に近づいていき

  • 102二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:49:54

    頼む…死ぬな……

  • 103◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:50:20

       


       
    「"剃"ッッ!!!」

    ヒュン

    「なにッ!!?」

    「(バカかこいつ!!?片足で"剃"なんざ出来るわきゃねェ!!残った脚も折れるのがオチだ…!!)」

    トレーボルの読み通り、レベッカの右脚は"剃"の負荷でミシミシと悲鳴を上げていた。




    「(グゥァァァァァァ!!!!)」
    「(お父様…!力を貸して……‼︎)」

    レベッカは右脚全体を武装色で無理矢理硬める。
    そして再び"剃"を発動した。

  • 104◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:51:57

    「"ジェットウォーク"!!!!」


    レベッカの身体はこれまでに無い加速を起こした。
    この時のレベッカは想定すらしていなかったのだろうが、
    武装色で硬めた片脚のみで"剃"を発動した事で
    片脚がさながら"バネ"の様な役割を果たし
    尋常で無い移動速度を可能にした。

    「それがどうした…‼︎!? "ベタベットン・ランチャー"ッッッ‼︎!!」

    大量の粘液弾の雨の中をレベッカは残像作りながら避け続ける。
    最早トレーボルの動体視力でもレベッカの動きを捉え切れない。


    「ぬ゛ぅぅッ、"ベタベットン城壁(バスティオーネ)"!!!!」

    トレーボルが粘液の壁で周りを覆おうとする。

  • 105◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:53:03

    「させない!!!……ッッル゛ア゛ァッッッ!!!!」ズガァン

    レベッカは"剃"の勢いを付けたまま剣を地面に振り下ろし、
    大量の瓦礫と砂塵を舞い上げた。
    その衝撃波で粘液の壁も形が崩れ掛ける。


    「グッ…!!何処だ!何処にいる!!!?」

    トレーボルが見聞色で探ろうにも撒き上がった土煙が目や鼻に入り
    落ち着いて探し出せない。
    加えてレベッカが音を消した為に、その居場所を捉えるのは困難を極めた。

    「(落ち着け…!形は崩れても、確かな"防護壁"だ…!!この中から出ずに煙が晴れるのを待って…)」




    ヒュオッ

    「ッッッッッ!!!そこかァ!!!!」

    土煙の中に影が見えた。
    トレーボルは杖に渾身の武装色を込め、その影に振り下ろした。

    バキャッ

  • 106◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:53:51

    「い、……石!!!?」

    それは投擲されたただの瓦礫だった。











    トレーボルは己を守っていた粘液の壁の外に出てしまった。

  • 107二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:54:13

    クレバー!

  • 108◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:54:57

    ブワッ

    煙を掻き分け、剣を振りかぶったレベッカが頭上に現れた。


    「……………べへへ、…………あァ、"ドフィ"」

    トレーボルはレベッカを穏やかに見上げる。



    ((「"無音の(シレンシオ)"……!!」))





    「(すまねェなヴェルゴ……先逝くぜ)」

  • 109二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:55:47

    本当あの瞬間にドフラ殺せてたのデカいな…

  • 110◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:56:11

       









       
    「"破壊剣(バスタード)"!!!!!」




    この日、ドレスローザには平和が戻った

  • 111二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:57:24

    ドレスローザには、か…

  • 112二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:57:39

    モネ、ヴェルゴ、シーザー以外全滅

  • 113◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 22:57:49

    〈〈おわり〉〉




























    〈〈おわり・・・?〉〉

  • 114二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 22:58:24

    不穏!
    やめてくれ、もうレベッカは幸せになってもいいだろう!?

  • 115◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:00:05

    こっから若干閲覧注意です
    多分KOROをモロに喰らった様な気分になります
    私も書いててなりました

  • 116◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:00:56

    全てが終わったレベッカは街へと降りていった。


    昨夜から幹部達と戦い続けた為に全身傷だらけで
    片脚も折れている為に剣を杖の様にして歩く。

    「(これで私も復讐も終わり…暫くしたらこの国を離れよう…)」

    勝利を掴んだにも関わらずレベッカの表情は重かった。



    「(私はみんなには『ディアマンテの部下』だと思われたままだ…)」
    「それに"リク王の一族"って理由で元から嫌われている…)」
    「(きっと国の誰も歓迎なんてしない…)」

    幾ら覚悟を決めていたといっても、
    これからの苦難を考えるとレベッカの心はどんどん沈んでいく。




    「(最後にヴィオラさんにだけ挨拶していこう…そしたら)」

  • 117二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:01:32

    まさかヴィオラは…

  • 118二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:01:40

    >>115

    何⁉

    何なの⁉

    怖いよぉ⁉

  • 119◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:01:55

    「………レベッカ〜〜!!!」

    心を厚い殻で閉ざしてこれ以上傷付かない様にしていたレベッカの耳に大勢の叫び声が入る。

    声の方向から走ってきたのは囚人剣闘士達だった。
    コロ.シアムが半壊した事で檻が壊れ、皆で逃げ出してきたらしい。

    「みんな…」




    レベッカはこの一年弱、自分が仲間の剣闘士達に何をしたのかを思い返していた。
    剣闘士は血を流し怪我を負う者だとはいえ、
    とても許される行為ではない。

    "仕返し"…"復讐"…"リンチ"…
    レベッカが負の方向へ思考を巡らせていると、

  • 120◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:03:02

        



       
    「あのドフラミンゴファミリーを倒しただなんて…!礼をしたくてもしきれねェ!!」
    「お前1人に無理させちまって俺たちゃ情けねェぜ…!!」
    「ありがとうレベッカ!!お前は英雄だ!!!」


    意外にも皆、好意的な反応を示していた。
    それどころかレベッカを"英雄"だのと褒め称える。


    レベッカの心の殻は僅かだが溶け始めた。

    「み、みんな…!………でも私、みんなにあんなに酷い事したんだよ…!?」

    「いいんだよ!ディアマンテを油断させる為だろ?お陰で俺たちは救われたんだ!!」

    レベッカとリングで対峙して酷い怪我を負わされた者もいるのに
    朗らかな笑顔をレベッカに向ける。
    『自分を認めてくれる人達がいる』これがレベッカにとっては何よりの救いだった。

    「みんな……ッ!ありがとう!!」

    レベッカは剣闘士達と別れ、更に街の方へと歩いていた。

  • 121◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:03:53

    「(みんな私をずっと信じてくれてたんだ…!最後にそれが知れて良かった…!)」

    足取りは先程よりもずっと軽い。


    「レベッカ…!」

    すると、剣闘士の格好をした初老の男に声を掛けられた。
    どういう訳か背後にはドレスローザの兵士達がいる。
    その中にヴィオラの姿もあった。

    男は被っていた兜を脱ぐ。






    「………おじい様?」

    なんと、レベッカの前に現れたのは、剣闘士の格好をした先代国王リク・ドルド三世であった。

  • 122◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:04:40

    リク王とヴィオラ達は街の怪我人を守る作業にずっとあたっていたのだ。

    「……ッ!!おじい様!!生きてたんだね!!!?」

    レベッカは嬉しそうにリク王に駆け寄る。
    ヴィオラ以外で唯一の肉親なのだ。
    その喜びは計り知れないだろう。

    「(おじい様が生きてた…!ヴィオラさんも無事だ…!)」


    仲間の剣闘士からの祝福に続いて肉親との再会。
    レベッカの心は舞い上がった。



    「(どうしよう…!国を離れようと思ったけど、おじい様が生きてただなんて!……みんなが認めてくれるかは分からないけど、やっぱりこの国に…!)」

    心の殻がみるみる溶けていく。

  • 123二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:05:15

    あれ?

  • 124◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:05:34

      









        
    「レベッカ!!!すま゛ながった゛…‼︎」

    しかし、どういう訳かリク王はレベッカに対して"土下座"をした。

  • 125二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:05:48

    え?

  • 126◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:06:17

    「え……?えェッ!!?おじい様、どうしたの!?」


    当然レベッカは困惑する素振りを見せる。



    …表向きには。



    「(やめてよ…おじい様)」

    レベッカは嫌な予感がした。

  • 127◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:07:13

    「ごめんなさいレベッカ…!!!」

    続いてヴィオラも嗚咽を漏らしながら謝り出す。

    「な…なんで2人とも謝るの!!?…あ!もしかして私が怪我しちゃったから謝ってるんでしょ!!?」
    「私はこの通り無事だって!!!脚を少し怪我しちゃったけど、こんなのすぐに…」

    レベッカは片脚でケンケンしながら元気な事をアピールする。




    「(やめて…ヴィオラさん)」

    レベッカは心の奥底から湧き上がる"悪寒"から目を逸らす。

  • 128◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:07:51

    「そうではない!!お前を…!お前を……‼︎こんな…!!!」
    「ごめんねレベッカ…!!!あなたに…こんな事を…!!」

    リク王とヴィオラはひたすら謝り続ける。
    しかし、"何について"謝ってるのかだけは絶対に口にしない。

    「お、おじい様…?ヴィオラさんも……もっと喜ぼうよ!!」
    「ドフラミンゴ達はみんな死んだんだよ!!?もうこの国は平和なの!!!」

    レベッカは『何が何だか分からない』という表情を2人に見せる。




    だが内心は違った。

    「(やめてよ、2人共…)」

  • 129◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:08:20

    本当はコロ.シアムでのヴィオラの謝罪の時からレベッカは分かっていた。

    2人が何を言いたいのかを。





















    「(そんな……『人殺しの"獣"』を見る様な目をしないでよ…)」

  • 130◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:10:13

    レベッカは謝り続ける2人から逃げる様に走り出した。
    リク王とヴィオラが何かを叫んで止めようとしたが
    気が動転しているレベッカの耳には届かなかった。





    いつの間にかレベッカは街の入り口まで走ってきていた。

    住民が一斉にレベッカの方を向く。


    「(あぁ…どうせまた、"いつもの"を浴びせられる…)」


    『くたばれレベッカ〜〜!!』
    『汚れた血の女ァ!!!』
    『一族の誇りすら捨てた屑めェェェ!!!』


    レベッカはコロ.シアムで浴びせ続けられた罵声の数々を思い出す。

  • 131◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:11:06

    「(いや、寧ろ今の私にはピッタリの罵倒だ…)」

    レベッカは己の身体を見る。

    鎧の所々に飛んでる返り血
    剣にこびり付いた人間の血と脂
    緑のマントはトレーボルを両断した際の大量の血で真っ赤になっていた。

    「(誰がどう見たって、平和な国に似つかわしくない『人殺しの"獣"』だ)」

    謝りはすれど、レベッカを見てどう思ったのかを率直に言わないリク王とヴィオラから
    逃げてきた今のレベッカにとっては
    罵声すら"救い"に思えた。



    レベッカは目を瞑る。
    そしてこの数年間飽きる程聴いた罵声の嵐を待った。

  • 132◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:11:50

        






        
    「レベッカ様だ〜〜〜!!!」
    「ご無事でしたのね!!!」
    「我らが英雄の登場だァァァァ!!」


















    「………………………は?」

  • 133二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:12:17

    この手のひらドリル回転の様...

  • 134二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:12:18

    ほんまこの国はさぁ…

  • 135◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:12:41

    飛んできたのは歓声の嵐だった。


    ある者は涙を流しながらレベッカを拝んでいる。

    「("あの人"は…私の蔑称を考えては周りにふれて回ってた人だ)」


    ある者は親友と肩を組みながらレベッカの名前を叫び、拳を高々と掲げて喜んでいる。

    「"アイツ"は、観客席からいつもサムズダウンをしていた人だ)」


    ある者はレベッカを讃える歌を自作して歌っていた。

    「("アレ"は…私含めリク一族を貶す歌を歌ってた人だ)」







    レベッカの心にピシリと亀裂が走った。

  • 136二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:13:34

    こくみんみなごろしにしようぜ(悪魔/本心の囁き

  • 137◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:14:13

    掌を返して自分を褒め称える。
    それも驚きだったが、何より衝撃的だったのは、

    「(ダメ…こんな事考えちゃ………彼らは"喜ぶ権利"がある…当然の権利…)」



    暴力と殺戮を肯定し、大喜びしている事だった

    「レベッカ様はすげェんだ‼︎悪しきドフラミンゴファミリーを正義の剣で討ち倒し…!」

    民衆の1人が吟遊詩人気取りでレベッカの活躍を語っている。

    それを聴いた途端にレベッカは
    これまで自分が行ってきた蛮行を思い起こし、嫌悪感に襲われた。

    怯え泣くディアマンテの顔が

    怒りを激らせるデリンジャーの顔が

    絶望に満ちたベビー5の死に顔が

    憤死したピーカの憎悪と無念が入り混ざった顔が

    一人一人の顔が脳裏に過り、そんな彼らを見下していた自分も思い起こす。
    戦略と復讐心でいっぱいだった時は殆ど気にもしなかったモノが
    今では耐え難いモノに感じ、思わず吐きそうになる。

  • 138二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:14:35

    クソみてえな国だよ

    おでんの処刑で手のひら返したワノ国民と同じものを感じる

  • 139二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:14:38

    民度がクソ!

  • 140◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:15:17

    「"サイレント"……"防音壁"…!」

    レベッカは民衆の声をシャットアウトする。
    これ以上聞いていればレベッカの心は保たなかった。
    レベッカは限界だった。


    ──"人間を見る目"じゃないおじい様とヴィオラさんの哀しい顔が怖かった

    ──獣に堕ちた自分を振り返るのが辛かった



    ──そんな自分を褒め称える民衆の声が悍ましくてしかたなかった




    服に"MILO"と描かれた男に抱えられていた1人の少年が
    防音壁を超えてレベッカの元へ走ってきた。

    「(この子は違う…この子は他の"アレら"と違う…)」

    レベッカは心の中で繰り返す。

    「(この子がこれから何を言うのかは予想がつく)」
    「(…だけどそれは暴力を肯定したものじゃない…ただただ純粋な、感謝の表れだ)」

    レベッカは何度も念じる。
    この少年は何も悪くない、そう必死に復唱し続ける。

  • 141二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:15:26

    レベッカ……、こんな国捨てて海に出よう?
    世界は広いんだ、もうレベッカは自由なんだよ

  • 142◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:15:59

    しかし無情にも少年は、レベッカが今最も望まないモノを口にする。
    少年は汚れない無垢な顔で、精一杯の感謝を表した。


    「……お姉ちゃん…!どうもありがとう!!!」









    レベッカは吐いた。

    そして昏倒した。

    "国を救った英雄"が倒れ、民衆は慌てて駆け寄るが
    今のレベッカにとってはどうでも全てがどうでもいい。

    薄れゆく意識の中、自分に駆け寄る民衆を見ながらレベッカは心の中で呟いた。

  • 143二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:16:18

    レベッカはもう別の国に行った方が良い
    この国には嫌な思い出が多すぎる

  • 144◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:16:28

         


















         
    「もう二度と、私はこの人たちを好きになれない」

  • 145二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:16:32

    間違いを犯す前に前に国を出よう

  • 146二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:17:01

    仕方ないよ流石に

  • 147二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:17:03

    確かにハッピーエンドだよ。

    ドレスローザにとっては。

  • 148二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:17:27

    タイのお頭と同じじゃん
    理性で分かってても心の中の鬼が悲鳴を上げている

  • 149二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:18:00

    ロー!この子を海に連れてってやってくれー!

  • 150二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:18:11

    早く来いキュロス!
    娘がこんな事になってるぞ!!
    何やってんだ!!


    あ……死んでた……

  • 151◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:18:32

    レベッカ復讐編は以上です
    拙い文章ですが、ご愛読ありがとうございました













    実を言うとこの後ハッピーエンドのエピローグも書いてはあったんですけど
    残りレス数的に厳しい気がするので
    別スレにしても宜しいでしょうか?

  • 152二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:18:45

    「無力な被保護者」であることを当然のように求め続けてるのがホントにクソ。俯瞰視点の読者だから言えることかもしれないけどホントにどのツラ下げて称えてんだよお前らってなる

  • 153二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:10

    海で小船を航海してたら、死の外科医に出会ってクルーになる幸せルートはありませんか?

  • 154二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:25

    >>151

    頼みますわ。


    レベッカが幸せになれるならそれでいいよ

  • 155二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:34

    頼む、ワイはハッピーエンドが見たい

  • 156二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:42

    >>151

    ぜひ読みたいです!お願いします!

  • 157二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:20:10

    あの世のキュロスが血の涙を流してそう

  • 158二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:22:54

    ローはドレスローザ解放してコラさんの本懐を遂げようとしてたら、見世物にされてた王女がドフラミンゴファミリーを一人で壊滅させて英雄になったの知ってびっくりしそうだな

    まあもし本人に会って内情を知ることになったら怒りでおかしくなりそうだが
    レベッカもナギナギの実の能力者だから余計に思う所ありそう

  • 159二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:24:23

    このDRに麦ロー同盟が上陸したルートが気になるところ

  • 160◆wN3D6OGRA.22/10/17(月) 23:26:17
    【閲覧注意】【SS】【続編物】ここだけドレスローザを取り戻したレベッカの後日談|あにまん掲示板https://bbs.animanch.com/board/1146673/このSSのエピローグですレベッカは幸せにするつもりなのでご安心くださいbbs.animanch.com

    スレ建てしました


    続きはこちらになります



    >>159

    多分このルートだと麦ロー同盟は来ないと思います


    というかこの世界線、ローは一応存在しますが

    ルフィはいるかどうかちょっと考えてませんでした…

  • 161二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:27:13

    ルフィの船に乗って、一宿一飯の恩のために戦う侠客の自由を、このレベッカには知って欲しい。
    元より、王女が似合うような子でもなかった。

  • 162二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:27:58

    >>160

    あーそうですか・・・

    狩りに存在していたとしてもドフラミンゴが死んだ時点で麦ロー同盟がDRに来る理由が消滅してますもんね・・・

  • 163二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:28:33

    >>160

    待ってルフィが存在しない世界線なの?

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