京都にレース観に行かない? 勉強になりそうだし、紅葉もそろそろ……と、とにかく考えといて

  • 1◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:13:17

    ~Prologue~

     紅葉の季節。
     路面電車とフェリーを乗り継いで着いた目的地。有名な神社へのお参りを済ませて、次なる目的地の紅葉の名所である公園へと向かう。
     海の上にそびえ立つ鳥居を背にして歩き、すっかり慣れた仕草で手を繋ぎ合う。

    「なんだかこうして紅葉を見に旅行に来ると昔の事を思い出すな。京都にレースを観に行った時も紅葉を見に行ったよな」
    「ああ、あの時ね。レースを観に行くついでにね」

     過去に何度か一緒に紅葉を見に行った思い出のひとつ。
     あれは確かエリザベス女王杯を連覇した次の年だっけ。

    「ついで、って言う割にかなり楽しみにしてなかったか? 観光」
    「あっ、うっ……レースを観に行きたかったのだって本当だったんだから!」
    「俺と紅葉狩りに行きたかったのも本当なんだ?」
    「も、もう! からかわないで!」

     ああいえばこういう……! 確かにその通りで、紅葉を一緒に見たかった部分は大きかったけど!

    「ごめんごめん。でも懐かしいな……いや、俺にとっては若干苦い思い出でもあるか……」
    「ああ~……確かにあの時はびっくりした。だってアナタがあんなミスをするなんて思わなかったんだもの」
    「俺もびっくりだよ。あんな初歩的なミスをするなんてさ」
    「あんなに自信たっぷりだったのにね?」
    「いや~……返す言葉がないなぁ……」

     公園へと向かう道すがら。とある秋の思い出を二人で語り合う。
     まだアタシたちが、担当トレーナーと現役のウマ娘だった時の事を。

  • 2◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:13:33

    ~数年前~

     10月の下旬。聖蹄祭と中間試験も終わり、学校行事に関してはひと息つける季節。トゥインクルシリーズを駆け抜けるウマ娘達にとっては、ここからが気合の入れどころな訳だけど。
     去年の11月、エリザベス女王杯連覇を果たしたアタシに関しては今年の秋の出走予定はない。なのである程度時間が取れるわけで。

    「京都にレース観に行かない? 勉強になりそうだし、紅葉もそろそろ……」
    「……ふむ、京都のレースか」

     今こうして、トレーナーにレース観戦のお誘いという名のデートを持ちかけている。

    (レースを観に行きたい、っていうのも本当だし、ちょっとくらい観光させてもらってもバチは当たらないよね……?)

    「と、とにかく考えといて」
    「……ならエリザベス女王杯かな、ちょうど良さそうなのは。G1レースで見応えもあるだろうし」

     ……あれ? 思っているよりも話の進みが早い。そもそも行く前提で話が進んでいる気がする。アタシとしては確かにそっちのほうが助かるけどさ。
     アタシのお願いを断るという選択肢が、トレーナーに存在するのかどうかちょっと心配になる。京都に行くんだからほぼ遠征みたいな感じになっちゃうはずなのに。

    「……え? もう予定立てるの?」
    「早い方がいいだろ? 宿もどこを取るか決めておかないといけないし。G1レースともなると周辺の宿泊施設全滅しかねないからな」

     ……宿泊施設が全滅? アタシがレースに出る時はトレーナーが手配をしてくれてること自体は知ってる。学園側に経費として申請するためにも書類を作ってるのを見たことはあるし、その書類整理の手伝いをしたこともある。
     ただレース場近くの宿泊施設が予約でいっぱいになる程とは知らなかった。となると、今まで何不自由なく遠征させて貰えてたのはトレーナーの努力の賜物な訳で。

    「……アンタ、アタシがレースに出る時いっつもこういうことしてるの?」
    「そうだけど? 今回は観戦するだけだからある程度レース場と離れてても大丈夫だけどさ。実際に出走して貰うときはそんなところで負担を掛けたくないから。なるべく近い場所だったり、しっかり心身を休められそうな場所を選んでるかな」
    「……そうなんだ」

  • 3◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:13:44

     思っている以上に、宿泊ひとつ取ってもアタシの事を考えてくれているんだな、と実感する。

    「そうなんだよ。いや~、俺も宿の予約は手慣れたもんだねぇ……」
    「ふふっ、なにそれ」
    「あっ、そうだ。観戦ついでに観光でもしようか? どうせ前日から京都に乗り込むんだしさ」
    「へ? 観光?」
    「紅葉、見に行きたいんでしょ? 確かにシーズンだもんな~。どうせ行くなら見ときたいよな」

     若干思考が漏れていただけの言葉だったのに、ばっちり聞き取られていたらしい。トレーナー、地獄耳なんじゃないかな。

    「あ、うん」
    「どうせならちょっといい旅館でも取ろうか。折角だしさ」
    「え……? そこまでしてもらうのは……」

     ……脳裏を過ぎるのは温泉旅行に行った時のこと。またあんな風な時間を過ごせるのなら旅館もいいかもしれない。

    (いやいやいや、ダメだよ、そんなの。だって出走する時と違って経費として申請出来るわけじゃないんだし。トレーナーの負担になっちゃうし……)

     大体一応の目的はレース観戦な訳で、そこまでしてもらうわけにはいかない。
     それに温泉旅行に行った時は一応福引で当たった、っていう建前があった訳で。今のアタシたちにそんな建前はない。
     本当に、ただ行きたいから二人で旅行するという事になる。

    「ドーベルはどうしたい? 普通にホテルに泊まるのとちょっといい旅館に泊まるの」
    「アタシは……どっちでも……」
    「ちなみに俺は旅館がいい。もうそういう気分だから」

     待って?

    「……アタシに聞く意味あったの? それ」
    「……ホテル、って言ったらあの手この手で言いくるめるつもりだったな」

  • 4◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:13:56

     ……どうやら、トレーナーはもう旅館に泊まって過ごす気満々みたい。

    「ホントに強引なんだから……でもいいの? ただレースを観に行くだけなのに、そんな贅沢しちゃって……」
    「いいだろ、たまには。俺がちゃんと二人分の宿泊費は出すからさ。もう旅館でゆっくりする気分になっちゃって。な? 頼むよ!」

     人懐っこい笑顔で、両手を合わせてお願いされる。
     本当にズルい。そんな顔でお願いされたら断れるわけがない。
     ……けど二人分の宿泊費を出すというのは聞き捨てならない。

    「ちょっと待って!? 流石に自分の分くらい自分で払う」
    「ごめん、それは却下だ。大人のちっぽけなプライドの為に諦めてくれ」

     どんな理屈なのそれは?
     そこまでしてゆっくりしたいのトレーナーは……?

    「はぁ……? もう……後悔しても知らないからね?」
    「大丈夫大丈夫! 今から楽しみだなぁ、京都旅行!」
    「仕方ないんだから、もう……」

     この日のトレーナーは、一日中上機嫌だった。

  • 5◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:14:07

     月日は流れ11月の半ば。
     エリザベス女王杯を観戦するべく、前日の土曜日から京都へと乗り込む。
     当日の新幹線に乗ってそのまま日帰り、ということも可能ではあるけれど、そうするととにかく忙しない。
     なのでレースの観戦に関しては出走する時と同じく、トレセン学園に近くない限りは泊りがけな事が多い。

    「ふぅ~。やっと着いたな」
    「移動だけでもちょっと疲れちゃったね……」

     朝から新幹線と電車を乗り継ぎ、ようやく目的地である紅葉の名所へと辿り着く。

    「トロッコに乗るまで時間あるし、お昼食べておこうか?」
    「うん、流石にお腹空いた」

     既に時刻はお昼過ぎ。
     観光名所という事もあり、人気のあるトロッコ列車の当日券があるかどうか怪しかった為、その辺りはトレーナーが予約済み。
     こういうところは本当に気が利くなぁと思う。紅葉を見に行きたいって言いだしたのはアタシのはずなのに。
     その為予約した乗車券の時間まではそこそこ余裕がある。時間もちょうどいいし、待ち時間の間にお昼は済ませてしまう事にする。

    「トレーナーさ、よく予約とれたよね。人気あるとこだし、結構大変なんでしょ?」
    「え? まあ、京都に行くってなった時にすぐ予約入れたからね」
    「そんなに早くから?」

     お昼を食べながら。
     別にはっきりと一緒に紅葉見に行かない? って言った訳でもないのにここまでばっちり予定が組んであるのは喜びよりも若干驚愕が勝る。

  • 6◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:14:18

    「そりゃあ。紅葉見に行きたそうにしてたし」
    「ここまで予定をきっちり決めてあるのはびっくりするんだけど。紅葉を見に行きたかったのはまあ……本当だけどさ。普通ここまでする?」
    「担当ウマ娘のたまのワガママなら多分皆これくらいするぞ?」

     いや、流石にそれはアンタだけだと思う。紅葉を見に行くだけで予約まで完璧にしてくるのは担当ウマ娘への扱いというより……。

    「予定をきっちり組みたがるのはトレーナーとしての職業病かなぁ……」

    (あれ? 一応アタシはレースを観に行く体ではあったつもりなんだけど完全にデートだよね?)

     レースを観に行くだけなら、普通に担当ウマ娘とトレーナーのちょっとした遠征だったと思う。
     ただ紅葉狩りを楽しんで、その上夜はちょっといい旅館に泊まる、となると言い逃れは出来そうにもない。
     当のトレーナーは……本当にそんなつもりはなくて、ちょっと張り切っただけくらいにしか思ってなさそうだけど。

    「そ、そう……」
    「まあ、そんなとこ。俺も楽しみだったしさ、今日の旅行」

     ああもう……。そんな純粋に楽しそうにしてる姿を見せられると、少しだけ邪な感情を抱いてしまった自分が恥ずかしくなる。
     頬の熱を冷ますように、コップに注がれた水をあおった。

  • 7◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:14:28

     お昼も食べ終わって、少しゆっくりしたところでトロッコの乗車時間がやってくる。

    「ほら、ドーベル窓側座って?」
    「いいの?」
    「いいもなにも。というか俺がそっち座ったらドーベルが景色見えなくなっちゃうでしょ」

     確かに、アタシとトレーナーとでは体格差があるし明らかに見辛くなるけどさ。
     気遣いに甘えて窓側に座り、トレーナーも続いて隣に座る。二人並んで座ると思っている以上に密着してしまう。
     座席の大きさの都合上仕方ないとはいえ、中々に心臓に悪い。

    「本当はガラス張りの車両を予約したかったんだけどね。それは流石に無理だった」
    「むしろこのシーズンに予約出来ただけ凄いと思うんだけど……」

     そんな高望みは出来るはずもない。ここまでしてくれてるだけでも十分に嬉しいもの。
     出発時刻になり、いよいよアタシたちを乗せたトロッコが動き出す。
     アタシたちが走る半分くらいの速度で、景色がゆったりと流れていく。

    「あっ、川下ってるよ、あそこ」
    「本当だな。後で乗る? ちょっと待たないといけないっぽいけど」
    「時間は大丈夫なの?」
    「ああ~……それもそうだな……旅館への移動も考えるとあんまり余裕なくなるか……」
    「じゃあやめとく。トロッコに乗せてくれただけでも十分満足してるし」

     確かに舟での川下りはちょっと興味があるけれど、あんまりバタバタするのも嫌だし遠慮しておく。

    「そうするか、時間気にしちゃうとちゃんと楽しめなさそうだしな」

  • 8◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:14:41

     その後お互い無言のまま、紅葉に彩られた渓谷美に目を奪われる。
     その隙を突かれたのか、パシャリ、と。近くでシャッター音が聞こえる。

    「え!? な、なんで撮ったの?!」
    「いや、綺麗だったから」

     いくら景色が綺麗だったからってアタシまで巻き込む必要はないでしょ……!
     写真に残されたら堪ったもんじゃない。

    「ちょっと消して! 撮るなら撮るって言ってよ! 避けたのに!」
    「ドーベルと一緒に写したかったんだから避けられたら意味ないだろ!? 消さないぞ!?」
    「アタシなんかと一緒に写してもなにも面白くないでしょ!」

     この景色の前では絶対にアタシが邪魔! その理由は納得がいかない。

    「じゃあアタシもアンタと一緒に写す!」

     多分撮られた写真を消してもらう事は叶わない。それならせめてアタシにだってトレーナーを景色と一緒に写す権利があると思う。

    「俺と一緒に写す方が楽しくなくないか? それにその位置からじゃ難しいだろ」
    「それならせめて一緒に写ってよ!」

  • 9◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:14:52

     あれ? なんかとんでもない事になった気がする。

    「え? それなら喜んで」
    「あ、ちがっ……」

     違う、違うの。一緒に写れば恥ずかしさも半分とか、単純な事を思ってしまっただけでそういう事じゃないの。
     意図せずトレーナーとのツーショットを撮る事になってしまい、恥ずかしさのあまり顔から火が出そう。
     けれど強く断る事も出来ないまま、なし崩し的にそのままツーショットを撮る事になる。

    「じゃあ撮るぞ?」
    「う、うん……」

     ああ……ダメ……。スマホのカメラの方を向く事が出来ない……。
     カメラと視線を合わせる事が出来ないままシャッターが切られ、写真が撮られてしまう。

    「ドーベル? もう一枚大丈夫? もうちょっとカメラの方に視線を向けて貰えると助かるんだけど」
    「む、無理!」
    「……これもこれで思い出になるだろうし、まあいっか。じゃあドーベルの方にも送るな?」

     そうしてLANEを通じて送られてきたのは。
     満面の笑みを浮かべているトレーナーと、紅葉のように色づいてしまった頬をした、恥ずかしそうなアタシとのツーショットだった。

  • 10◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:15:05

     トロッコから降りた後は電車で少し引き返して、他の名所も楽しんだ。
     今は電車の駅近くに戻ってきてる。

    「いや~、満喫したな!」
    「うん、アタシも満足」
    「そうだ、お土産は? 明日はレース観に行った後バタバタするだろうし買うなら今のうちだぞ?」
    「え? それならここで買っておこうかな……」
    「今日泊まるところはここからそんなに離れてないし、荷物の心配はしなくていいぞ」

     そっか。ならお土産を買って動きづらくなることは気にしなくても良さそうかな。
     そういえば泊まる旅館に関してはトレーナーに任せたっきりで何も聞いてなかった。

    「今日はどこに泊まるの? いい旅館に泊まりたい、って言ってたけど」
    「ああ、流石に観光した後にあんまり移動するのもな、って思ってこの辺りの旅館にしたんだよ」
    「ふ~ん……」

     会話しつつもお土産を見繕う。取り合えずタイキでしょ。後はスズカとかクラスの子とメジロの子にも……。あ、エアグルーヴ先輩にも渡そうかな。
     こう考えると結構かさばっちゃうな。遠征の度に毎度思ってる気はするけど。

    「うん、こんなもんでいいかな」
    「俺の方も決まったからレジ行こうか」

     個包装のお菓子をメインに、そこそこな量になってしまったお土産を買い終える。

    「よし。じゃあそろそろ旅館の方に行こうか。お土産、少し持つよ。手が塞がってたら不便だろ?」
    「あっ、ありがと……」

  • 11◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:15:16

     塞がってしまっていた両手を空けるように、袋をいくつか持ってくれる。
     ……ん? お土産を持ってくれたけど、それはそれで今度はトレーナーの手が塞がるよね?
     と思ったら自分の分は器用に手首にかけているだけだった。……本当に、もう。

    「ちょっと待ってね。地図開くから……ここから歩いて5分くらいかな」
    「本当に近いんだね」

     そうして少し歩いて。立派な建物をした旅館へと辿り着く。
     ロビーで少しだけ座らせてもらってる間に、トレーナーがチェックインを済ませに行く。

    (……? 様子おかしくない?)

     心なしか表情が硬い。多分、普段一緒にいる事が多いアタシだから気付けるレベルだろうけど、間違いなく何かしら問題があったんだと思う。
     予約をする日付を間違えたとか? いや、でも揉めてるとかそんな感じには見えないし……。
     そうして恐らく? チェックインを済ませたであろうトレーナーがアタシの元へと戻ってくる。

    「……ドーベル、ごめん。一人でここに泊まってもらえる?」

     ……どういうこと?

    「え? なんで?」

     話が全く読めない。チェックイン自体は問題なく済んだのは分かった。
     でもなんでアタシが一人でここに泊まる事になるの?

    「部屋、一緒みたいだ……」
    「………………はい?」

     問題は、やっぱりあったみたい。

  • 12◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:15:29

    「俺はどこか近くに泊まれる場所がないか探してくるから」
    「ま、待って!? え!? なんで!?」
    「いや……俺もまさかこんなミスをするなんて思ってなくてさ……俺は俺でなんとかするから大丈夫!」
    「待ってよ! 勝手に話進めないで! 取り合えず……二部屋なり二間の部屋を予約しようと思ってたのに一部屋しか予約してなかった、って事でいいの?」
    「あ、ああ。それであってる」

     事情は分かった。
     まあトレーナーだってミスすることくらいあるし、やっちゃったものは仕方ない。
     それにミスしたのも泊まる場所がないとかじゃなくて。その可能性もあったかもしれない事を考えるとまだ救いがある。
     逆に言えば今までこんな事なかったし、レースに出走する時じゃなくて良かった。

    「はぁ……で、なんでアンタが別の場所に泊まるわけ?」
    「そりゃドーベル追い出して俺がここに泊まる訳にはいかないでしょ」
    「そうじゃない! だ・か・ら! なんでアンタが他の場所に泊まること前提なの!?」

     ただ。そもそもトレーナーが別の場所に泊まる、という前提で話を進めてる事には納得いかない。
     紅葉を見に行くのを楽しみにしてたのはアタシだけど、旅館に泊まってゆっくりしたいと楽しみにしていたのはトレーナーのほう。
     なのにトレーナーを追い出してアタシだけ旅館に泊まるなんて。そんな事になったらアタシ自身が許せない。

    「……ドーベル。言ってる意味分かってる?」
    「……分かってる、それくらい。でもアンタ、あれだけ楽しみにしてたじゃない」

     年頃の男女が同じ部屋で寝泊まりする。その意味が分からないほどアタシもバカじゃない。

    「そうだけどさ。何か間違いがあったら……」
    「起こさなければいいでしょ、間違い」
    「…………」

  • 13◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:15:41

     けどトレーナーがアタシを傷つけるような事をするだなんて、絶対にありえない。
     だって、底抜けに優しいんだから。アンタがそんな事をする人じゃないって事は、きっとアタシが一番よく知ってる。

    「大体アンタ言ってたじゃない。G1レースは周辺の宿泊施設が全滅する、って。今から探してどうにかなるの?」
    「うっ……最悪ネットカフェとかに」
    「それ、アタシが許すと思う?」
    「……いや、それでもさ」
    「アタシは! アンタのこと……信用してるから……」

     だから、絶対に、間違いなんて起きない。

    「アンタは……アタシのこと、信用出来ない……?」
    「嫌じゃないのか……? ドーベルは……俺と一緒の部屋で」
    「嫌だったらここまで言ってる訳ないでしょ……それとも、トレーナーはアタシと一緒の部屋で寝るのは嫌……?」

     自分を盾にする、卑怯な言い方かもしれないけど。
     それでもトレーナーをちゃんとした場所で寝泊まりさせるなら四の五の言ってられない。

    「その言い方は卑怯だぞ……」
    「卑怯も何も、アンタが間違えなければ良かったんでしょ?」
    「それを言われたら何も言い返せないけどさ!?」
    「だから……いいでしょ、一緒の部屋でも」
    「はぁ~……降参だ。分かった。ドーベルがそこまで言ってくれるなら、俺もここに泊まるよ」

     困ったような笑顔を浮かべながら、両手を上げて降参のポーズを取る。

  • 14◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:15:51

    「はじめからそう言えばいいのに」
    「そういう訳にはいかないだろ。俺の気持ちにもなってくれ……」
    「まあ、責任を取りたい気持ちは分かるけどさ。別にわざとじゃないんでしょ?」

     気持ち自体は分からなくもない。多分逆の立場ならアタシも同じことをしてた。

    「そりゃ勿論。予約をした時の自分が浮かれ過ぎてたよ……反省だ……」
    「いいよ、別に。トレーナーだってそういう時くらいあるでしょ」

     珍しいとは思うけど。
     けれどそんなアタシの反応が意外だったのか、呆気に取られたような顔をしてる。
     その反応は流石に失礼じゃない? 

    「何? そんなに意外?」
    「あっ、いや。……正直怒られたって仕方ない、って思ってたから」
    「怒ってるよ。勝手に話進めて、自分ひとり別の場所に泊まろうとしたのは」

     そこに関しては、間違いなく。

    「あ、そこ?」
    「じゃあ聞くけどアタシが同じような事したらアンタどうするの?」
    「怒るな」
    「ほら、やっぱり」

     こういう部分は、なんだかんだ似た者同士みたい。

    「もう気にするのはやめましょ? 折角ゆっくりしに来たのに台無しじゃない?」
    「……それもそうだな。はぁ~……安心したらなんかどっと疲れたな。取り合えず部屋の方に行こうか」

     そうして。ひと悶着ありつつも無事? 今夜の寝床まで辿り着いた。

  • 15◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:16:19

     先に温泉に浸かった後、程なくして夕食が運ばれてくる。

    「トレーナー、お酒飲まないんだ」

     こういうところ、ってお酒を飲むのが定番みたいだけど。お父さんもこういう旅館に泊まった時はよく飲んでたし。
     というかトレーナーがお酒を飲んでるところなんて全く見たことがない。

    「そりゃ今は仕事中みたいなものだし飲まないよ。ドーベルも一緒にいるんだし」

     一応そういう事になるのかな? 多分今日と明日に関しては付き添いをしてるとは言え休日扱いではあるんだろうけど。

    「ふ~ん。じゃあ普段は飲んだりするの?」
    「いや、あんまり。翌日に響いたら嫌だしね」
    「そっか……」

     酔ったトレーナーちょっと見てみたかったな、という気持ちは若干あるけどそれなら仕方ない。

    「でもまあ。いつかはドーベルと一緒に飲んでみたいね」
    「美味しいの? お酒」
    「ものによる? 多分ビールとかは最初美味しくないと思うけどね。まあ、カクテルとかから飲み始めればいいんじゃないか?」
    「そっか……じゃあ最初に飲む時はアンタが付き合ってよ」

     自分で飲める加減がどれくらいか分からないし。どうせなら誰か一緒にいて欲しい。

    「え? 俺でいいのか?」
    「だって自分がどれくらい酔うのか分からないし。多少慣れてる人がいた方がいいでしょ?」
    「あ~……確かに。まあ、その時が来るまで楽しみにしてるよ」

     心なしか、嬉しそうに頬を少し緩ませる。
     アタシが成人する時まで、一緒にいてくれるかは分からないけど。そうだったら、いいな。

  • 16◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:16:32

     夕食を食べ終えた後、もう一度温泉に浸かって寝る時間が迫る。
     部屋は和洋室だったから、寝るのはベッドではあるんだけど。
     布団を並べて、とまではいかないとは言え、流石に隣り合ったベッドで寝ると思うと緊張する。

    「じゃあ、電気消すよ?」
    「う、うん」

     電気が消され、聞こえてくるのは静かな呼吸と、布団の音。

    「……まだ起きてるか?」
    「……なに?」

     お布団に入って少しして。トレーナーから喋りかけられる。
     普段なら絶対に起こりえない、夜にベッドを挟んでの会話という特別なシチュエーションに、胸の高鳴りが抑えられない。
     当然起きてる。というか五分やそこらで寝付けるはずがない。

    「今日一日楽しかったから。またこんな風にドーベルと旅行出来たらいいなって。それだけ」
    「……そ、そう」

     その話は帰ってからして欲しかった……! そんな事を言われたら余計に寝付けなくなっちゃう……!

    「じゃあ、おやすみ」
    「うん、おやすみ……」

     本当に伝えたかったのはそれだけみたいで。
     そのまま会話は途切れ、時間が静かに過ぎていく。

  • 17◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:16:46

    (あっ、でもアタシも楽しかったことくらい伝えた方がいいよね……?)

     眠れない意識の中で、そんな事を思いついて。
     居ても立っても居られなくてアタシからも喋りかける。

    「ね、ねぇトレーナー。アタシも……楽しかった」
    「………………すぅ……」
    「え? もう寝たの? 嘘でしょ?」

     返事の代わりに返ってきたのは、穏やかな寝息。
     寝つき良すぎない? 普通の人ってこんなに寝つきいいものなの?
     同室のタイキも寝つきがいい方だろうから、なんとなくアタシは寝つきがいい方ではないんだろうな、というのは知ってた。
     けどそれにしたって早くない? アタシはまだ全然眠れそうにないんだけど。
     いや、アタシが悶々としてる間に結構時間が経ってた可能性もあるけどさ。
     大体間違いがあったら~、とか言ってたくせに。アタシの事も気にせず寝付けるなら、そんな心配必要なかったじゃない……。

    (うぅ~……ダメ……アタシは無理……)

     いつものように眠ればいいだけだなんて。そんな簡単に割り切る事は出来ない。
     だってこれは、いつものようではない、非日常だから。
     好きな人がすぐ横で眠っているという、特別な夜。
     ……ズルい。アタシはこんなにドキドキしてるのに。アタシの気も知らないで、一人で熟睡しちゃって。
     そう思うとだんだん腹が立ってきた。腹いせに何かしてやりたくなる。

  • 18◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:17:03

    (……いやいやいや、ダメだよ、そんなの)

     ふと脳裏を過ぎる、意中の相手が寝ている隙に唇を落とす、漫画で読んだシチュエーション。
     でもそれは……。アタシには出来ない。
     恥ずかしいからというのもあるけど。少なくともお付き合いもしていない相手にキスをするだなんて。
     勿論唇にするつもりは毛頭なくて、する場所がほっぺやおでこでも。
     そういうのは……ちゃんとお互いの気持ちが通じ合ってからするべきだと思う。
     だから、それはなし。これに関しては決して逃げている訳じゃない。

    (本当に……よく眠れるよね……この状況で)

     でも。依然として、沸々と腹ただしい気持ちは湧き上がってくる。
     半ば八つ当たりのような感情だと分かっていても、これを解消しない事には眠る事なんて出来そうにもない。

    (……ちゃんと寝てるよね? だったら……今なら……)

     だからせめて。想いの内を、吐き出すだけでも。
     寝ているトレーナーの方へと、起こさないように、静かににじり寄る。
     そして、耳元でそっと。普段なら絶対に言えない言葉を──。

  • 19◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:17:14

    「………………だいすき」

     ……。
     …………。

    (あああああああああああああアタシはなんてことを!?)

     普通に好きでよかったじゃない! なんでわざわざ大好きなんて!?
     そもそもそんな事を囁くなって話だとは思うけどさ!? でも仕方ないじゃない! こうでもしないとどうにかなっちゃいそうなんだもの!
     ……いや、分かってる。愛してるはまだ違うな、って。でも、アタシの気持ちは好きだけじゃ足りない。
     だから、大好き。

    (も、もう! 早く寝よ!)

     自分のベッドまで音をたてないように戻り、外の世界を遮断するように布団を目深に被る。
     足をバタバタとさせて悶えたいけれど、トレーナーを起こしてしまうからそれは出来ない。
     行き場のない高揚感で、さっきよりも鼓動は高鳴っていて、とてもじゃないけど寝付けそうにもないのに。
     尻尾の振りと頬の緩みは、収まりそうにもない。

  • 20◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:17:26

     翌朝。当然のように寝不足気味になったアタシは眩しい朝日に目を細める。
     部屋の中の浴室で着替えを終えたのか、起きた時には既にベッドからいなくなっていたトレーナーが居間に戻ってくる。

    「ふわ~ぁ……」
    「あ、おはよう……」
    「おはようドーベル。起きたんだね。着替えたら朝食にしようか? 部屋、出てるから着替え終わったらLANEで教えて?」
    「あ、うん」
    「…………ふぁ~……」

     アタシが着替える為に、ひとまずトレーナーが部屋から出てくれる。
     ……あんなに熟睡してたのに、なんで眠そうなんだろ? かなり早い時間に目が覚めちゃったとか?
     お仕事のある日はいつも早起きしてるみたいだし、そうなのかも……。
     あんまり待たせるのも悪いし、着替えの方はさっさと済ませる。
     LANEで着替えた旨を伝えた後、軽くメイクを済ませてから一緒に朝食を取りに行く。

    「アンタ、眠そうだけど朝早かったの?」
    「え!? あ、ああ~、まあそんなとこ!」
    「ふ~ん……トレーナーってやっぱり大変なんだね。いっつも朝早いから癖とかで起きちゃったんでしょ?」
    「ま、まあ、そうかなぁ?」

     なんだかトレーナーの様子がおかしい気がするんだけど。
     ……でもこれといって心当たりはない。寝てるアタシの浴衣がはだけてて下着が見えちゃって、みたいな感じではないだろうし。
     というか起きた時そこまで着崩れてなかったし、寝相はそんなに悪くないから。だからそういうハプニングの線は考えずらいんだけど……。
     まあ、いっか。どうせそのうち元に戻るでしょ。
     朝食を食べ終えた後、チェックアウトの時間が迫る。

  • 21◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:17:37

    「忘れ物はない?」
    「大丈夫、ちゃんと確認したから」
    「オッケー。俺の方も大丈夫だ。よし、じゃあ行こうか」

     三回くらいは確認したし。買ったお土産もしっかりあるし問題なし。

    「なぁドーベル」
    「なに?」
    「ドーベルさえよければ。……また、二人で来ような」

     次来るのがいつになるかは分からないけど。

    「──! 今度は部屋、ちゃんと取ってよ?」
    「任せとけ! と言っても今の俺じゃあんまり信用ならないな……」

     きっと次来る時も、楽しい思い出になってくれるんだろうな、と。
     そう思わずにはいられない、少しだけ特別な。

    「ふふっ、じゃあ信用できるように頑張ってよ」
    「ああ! さてと。それじゃあレース場まで行きますか」

     紅葉を見に行った、秋の思い出。

  • 22◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:17:49

    ~Epilogue~

     公園に到着した後、しばらく紅葉狩りを楽しんだアタシたちは現在公園内の茶屋で少し休憩中。

    「帰りの新幹線で駅員さんに起こされたんだよな、二人して」
    「そうそう。終点じゃなかったら大変だったね、って」
    「まあ、流石に終点が東京じゃなかったら気張って起きてたよ」

     紅葉の形をしたお饅頭を食べながら思い出話に花が咲いてたけど、あの日の思い出もそろそろ出尽くしそう。

    「まさか俺まで夜寝付けなくなるとはね……」
    「朝早いから~、とか言ってなかったっけ? アタシの記憶違い?」
    「え!? あ、ああ~……そろそろ時効だろうし話しちゃってもいいか……」
    「時効?」

     何の話だろう? 普段朝早いから癖で起きて十分に眠れなかっただけだと思ってたし、トレーナーもそう答えてた記憶があるんだけど。

    「ドーベルさ、俺が寝てると思って耳元で囁いたでしょ、大好き、って」

     …………うそでしょ?

    「は!? え!? アナタあの時起きてたの!?」
    「いや、起きてたというよりも起きたが正しい。誰か近寄ってくる気配で起きちゃってさ。すぐにドーベルだって分かったんだけどまあ俺と一緒の部屋だし寝付けないよなぁ、とかぼんやり考えてるところに……」
    「あ……え……うそぉ……」

     数年越しの告白に、顔の火照りが収まらない。てっきり寝てるものだと思ってたからやっちゃったのに。
     ばっちり聞こえてただなんて……。

  • 23◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:18:00

    「俺も流石にあの時はびっくりしたよ……そんな素振りは……まぁ見せてたけど。あんな大胆な事をしてくるとは思ってなかったから」

     穴があったら入りたい……。今のアタシたちなら恥ずかしがるような事じゃないけども、それとこれとでは話が別。
     聞かせるつもりのなかった言葉に変わりはないんだから。今更ながら、若干の後悔に苛まれる。

    「まあ、それも含めて俺には思い出深い旅行だったよ。あれがなかったら君の事を女性としては意識してなかったかもしれないし」
    「え? そうなの?」
    「可能性としてね。あれで意識しちゃったのは確かだから」
    「ふ~ん、そうなんだ……」

     意外だった。やっぱりあの時の行動はファインプレイだったのかもしれない。

    「あの時はあの時で可愛らしかったけど。ほら、あの時の写真」

     言いながら懐かしむように、スマホに保存されていたであろう写真をアタシにも見せて来る。
     まだ大人と言うには少し幼いアタシの写った、アナタとのツーショット写真。

    「そんな昔の写真出されると恥ずかしいんだけど……」
    「やっぱり綺麗になったよね、ドーベル。……さながら“美しい変化”ってところかな?」
    「きゅ、急に洒落た言い回しするのやめてよ……」

     鮮やかに色づいた紅葉を見ながら。その花言葉になぞらえて褒めてくるだなんて、流石に照れたって仕方ない。

  • 24◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:18:12

    「意外だったか?」
    「そういうのはアルダンさんの旦那さんの領分でしょ?」
    「まあ、確かに。意識しないと言わないな、こういうことは」
    「それ、言わなかったら完璧だったのに」
    「言わせたのはドーベルじゃないか……」

     照れる事を言われたんだから、せめてこれくらいの仕返しは許して欲しい。
     嬉しいには嬉しいけど、そんな褒められ方は慣れてない。

    「まぁそうだけどさ……そんな面と向かって褒められると調子狂う、っていうか……」
    「もう結婚だってしてるのになぁ……」
    「しょうがないでしょ! 慣れないものは慣れないの!」

     これはまあ……未だに好きとか愛してるとか言われて、その度に顔を赤くするアタシに問題がある気はする。
     でも胸の奥がきゅ~、となるというか。何度言われたって慣れないものは仕方ない。軽々しく言ってる訳じゃない、っていうのは伝わってくるから。
     話題を少し切り替える為か、お茶を飲んで一息ついたところで再び口が開く。

    「まあ、変わらないものもあるけど。君の事はずっと好きだから」

     ……そうかな。アタシは……アタシの気持ちはずっと変わってる。昔から、今に至るまで。

    「そう? アタシは……今の方がもっと好きになってるけど……アナタのこと……」
    「──~っ! 本当に君は……っ! 急に抱きしめたくなるような事を言わないでくれ……!」

     アナタが頬を赤らめるなんて珍しい。いつもはアタシが照れさせられて終わりなのに。
     頬の緩みを見せたくないのか、口元を手で押さえつつ抗議してくる。

    「は? え、な、なんで?」
    「……俺も、今の方が好きだよ、ドーベルのこと」
    「あ、うん」

  • 25◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:18:22

     たまにこういう事があるけど、何が理由なのか未だによく分かってない。
     お抹茶もいただいて一息付けたし、そろそろ茶屋を出る準備を始める。

    「ねぇ。ここを出たらそろそろ水族館の方に行く?」
    「……そうだな。島の旅館に泊まるとはいえ、今日中に行っときたいな」
    「ここの水族館スナメリがいるんだって。珍しいよね。アタシ、結構楽しみだったんだ」
    「へぇ~。確かに、向こうの方だと聞かないな」

     いつからか。毎年紅葉を見に行くのが、アナタとアタシのお約束になっていたけれど。

    「そうだ。夜にはライトアップされるみたいだし、夕食を食べた後にもう一回来ない?」
    「それもいいな。レース場がない観光地って普段は来られないからなぁ……」
    「だから今年はここにしたんだもんね?」

     きっかけは間違いなくあの時の旅行で。紅色の秋の思い出は、今でも色鮮やかなままで。

    「お土産はさっき食べた饅頭は決まりだな」
    「うん。どうせならメジロの子達にも買っていこうかな。ほら、マックイーンとか喜びそうだし」
    「そうだな。というか俺らに限った話じゃないけど普段アルダン夫妻のとこから貰い過ぎだしな……こういう時くらい俺らも送らないと……」
    「あの二人は確かに……でもまあ、いいんじゃない? メジロ家で集まる機会があると史跡巡りの話楽しそうにしてくれるし」

     きっと今日の事も、いつかは懐かしんで振り返るんだろうな。

    「義弟くんや義妹ちゃんにも色々買ってあげないとなぁ~」
    「もう……アナタ自分に弟妹がいなかったからって甘やかしがちなんだから程々にしてよ? お父さん自分よりもアナタの方に懐いてる、って結構寂しがってるんだから」
    「いや~……お兄ちゃん呼びされるとどうしても、つい……」

     だって、アナタとの思い出はどれも。
     “大切な思い出”だもの。

  • 26◆y6O8WzjYAE22/10/17(月) 23:18:45

    みたいな話が読みたいので誰か書いてください。

  • 27二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:08

    紅葉を見に行こうようってことだな

  • 28二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:23

    25レスに渡った話を書けと!?

  • 29二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:19:53

    今日のやつは一段と長編だな!?

  • 30二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:22:23

    先生原稿の方は

  • 31二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:22:31

    だいたいスレタイで分かるようになったけど今日はいつにも増してずっしりしてない?

  • 32二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:24:42

    もう書いてる定期

  • 33二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:40:35

    いつも大ボリュームだけど今回は増してボリューミーだな

  • 34二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:47:44

    遠征時の宿をどう手配してるのか知らないのはウマ娘あるあるっぽそう
    それはそれとして聞き逃さないのほんともうね、それから呼び方変わってるのがすごくすごいです!!!

  • 35二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:56:48

    甘い、甘過ぎる、、、!!!(歓喜)
    アナタ呼びも良いなぁ〜

  • 36◆y6O8WzjYAE22/10/18(火) 00:00:17

    という訳で秋ボイスネタでした。

    本当に疑問なんですけどトゥインクルシリーズを駆け抜けた後のウマ娘って出走スケジュールどうなってるんですかね……?
    ドーベルみたいな史実レース終わらせた組はその次の年からどのレースに出てるかも謎過ぎますし、キタちゃんとかダイヤちゃんストーリーの面白そうだからで出て来るテイオーマックイーンみたいな存在もいるしでよく分からない……。
    そもそも学年どうなってるの問題もあるので取り合えず秋の出走がなかった、って事で適当に誤魔化してます。
    というか書いてて本当に思いましたけど学園祭あって普通の学校みたいな中間テストとかもあってレースもあるとかウマ娘ちゃんいつプライベートな時間過ごしてるんですかね?無理じゃないこれ?

    秋になったら紅葉ネタを使いたかったのとやるなら花言葉の『大切な思い出』要素を入れたかったこと。
    ただドーベルに似合うのは『美しい変化』の方ということでこの2つを同時に満たせる状況は?と考えた時にドーベルとベルトレが過去の思い出を振り返っている、というシチュエーションになりました。
    紅葉狩りだけだと尺がどう考えても短くなりそうだったので。行先に関してはちょうどよく秋ボイスで京都にレースを観に行きたい、って言ってくれてたのは助かりましたね。
    書く上でどの場所を参考にしたかは……まあ、明言しなくても分かりますよね。

    ここまで読んでいただきありがとうございました。

  • 37二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 00:08:51

    イチャイチャしやがってよォ〜…!
    ドーベル夫妻もだけどしれっと結婚してるアルダン夫妻よ…

  • 38二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 00:09:53

    砂糖マシマシのあんこ食ってる気分になったわ
    好きが更新されていくの、メチャクチャいいですねぇ…
    あと、囁いた時に平仮名のなのが、凄く可愛くて効く

  • 39◆y6O8WzjYAE22/10/18(火) 00:17:45
  • 40二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 10:03:23

    age

  • 41二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 13:38:12

    あれ、一個見逃してた

  • 42◆y6O8WzjYAE22/10/18(火) 22:53:28

    読んで欲しいので一回だけ自分で上げるのを許していただきたい……。

    それともうひとつの秋ボイスなんですけどただでさえ長い尺がさらに長くなる事間違いなしだったので入れる事を泣く泣く断念しました。
    無念。

  • 43二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 23:06:01

    >>42

    この「上げ」のおかげで素晴らしい作品と出会えた……

    しかし今回は大長編ですごかった(小並感)

  • 44二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 23:11:27

    なるほど?次はイギリスへ紅茶旅行編だな?

  • 45二次元好きの匿名さん22/10/18(火) 23:27:19

    長すぎる、コイツら最後まで砂糖たっぷりな上にサラリと語られるアルダン夫妻よ…なんか短編書きたくなってくるな創作意欲が刺激される。
    なるほど、新婚旅行はイギリスという訳か

  • 46◆y6O8WzjYAE22/10/19(水) 01:17:46

    >>45

    エピローグに新婚旅行で行った会話を挟むことは考えたんですけどどうやって最後の流れに持っていくか迷子になりそうだったので泣く泣く不採用でした。

    ついでに卒業後にもう一度同じ場所に行った会話を差し込む案もありましたが上と同様に迷子になりそうだったのでボツに。

    悲しみ。

  • 47二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 10:52:44

    良い

  • 48二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 22:36:37

    ボツった内容は次のSSになってくれたら…いいなァ!

オススメ

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