アヤベの手……とても柔らかな皮膚と関節をしていますね 白くってカワイイ指だ……

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:23:56

    夏合宿も終わり、気づけば秋のG1に向けて最終調整の時期。
    トレーニング用具の準備中にふと担当ウマ娘のアドマイヤベガ────アヤベの方を見ると、彼女は握りこぶしの隙間にふぅ、と何度も息を吹いていた。

    「手、冷えるのか?」
    「……元から冷え性なの。それを抜きにしても少し冷たいかもしれない」
    「季節の変わり目だからなあ。シャワー派らしいけどたまにはゆっくり湯船に浸かってもいいんじゃないか?」
    「……そうね、考えておく」

    ぶっきらぼうな返答だが、その場限りの返事ではなく、提案に対して真剣に考えてくれていることはアヤベの人となりを見ていれば分かる。
    出会ったばかりの頃なら「あなたには関係ない」などと一蹴されていたであろうコミュニケーションを彼女と取ることができていることに感慨深さを覚えていると、ふと手の温度に関する通説を思い出した。


    「そういえば、手が冷たい人って────」
    「"心が温かい"って言いたいんでしょう。前にもあなたから同じことを言われたわ」
    「ああ、そうなのか……」

    何気ない雑談のつもりだったが、出だしで話の腰を折られてしまった。前にもこんな風にあしらわれたであろう話の種をまた持ってきてしまう辺り、話題不足は深刻のようだ。
    しかたなく仕事に戻ろうとしたとき、終わりかけた話を再び繋いだのは「だいたいね」という憮然とした声。意外にもアヤベのそれだった。

    「そんなの迷信に決まっているでしょう。手が温かい人の心は冷たいとでも言うの?」
    「いや、それは個人差あると思うが……」
    「だったら手が冷たくたって同じことが言えるでしょう。相関性なんてないの」
    「でもアヤベの心は温かいだろ」

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:24:29

    そう言うと、彼女は何も言わずつかつかと歩み寄って俺の右手を両手で握りしめた。
    なるほど確かに冷たい────と言っている場合ではない。いったい何をしているのだろうか。

    「ど、どうした……?」
    「あなたの手は温かいわ、でも心が冷たいとは思わない。むしろ暑苦しいくらいよ……すぐに反例が見つかるんだから迷信、いいわね?」

    何度も同じことを言われるのが嫌いだというのは分かっている。だが、まさかこんな直接行動に出るとは思わなかった。

    「ああ、そういうこと……うん、分かったよ……分かったから」
    「あなたから出してきた話題じゃない。何か不満?」
    「いや不満はないんだが……ただ、その……」
    「何よ」

    不満げなアヤベの顔が近づいてくる。言葉より先に手汗が噴き出しそうで心配になったが、喉からはなんとか上手く言葉が出てきた。

    「……随分、積極的だなと」
    「……っ!?」

    どうやら無意識の行動だったようで、彼女の頬が僅かに朱に染まるとともに勢いよく手が離された。

    「……くだらない話はやめて早くトレーニングをしましょう。先にグラウンドに行ってるから」
    「ああ、うん……」

    口から出たのは自分でも驚くほどの生返事。いつになく乱れた足取りで部屋を出ていく彼女を見送って、ふと手を握ったり開いたりしてみる。
    ひんやりとした指の感触は、しばらく離れてくれそうになかった。

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:26:09
  • 4二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:26:52

    素晴らしいSSだけどスレタイのせいでトレーナーの声が完全に吉良吉影で再生されるんだが?

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/17(月) 23:30:49

    🚑

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