- 1◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 19:13:42
大勢の客で賑わう遊園地を前に、私、サクラチヨノオーは期待に胸を膨らませていた。隣に佇むアルダンさんも微かであるが笑みを浮かべている。何を隠そう。今日はアルダンさんと一緒に遊園地に遊びに来たのだ。アルダンさんは病弱な体質と実家であるメジロ家の方針もあり、こういった場所に行く機会はあまりなかったらしい。これを聞いた私は二人でのささやかな遊園地豪遊計画をたてたのだ。いつもの私からしたらいささか大胆な行動かもしれない。でも、彼女との学生時代の楽しい思い出を作りたいという欲が勝ってしまったのだから仕方ない。
「…えぇ、構いません。予定を空けておきますね」
「ありがとうございます!」
アルダンさんから了承を貰ってからは、数週間前から準備を進めた。遊園地の見どころやスポットを調べ上げ、手作りのパンフレットを作ったりした。思えば私もテンションが上がっていたのだろう。予定の日までの時間はとても長く感じた。
そして当日
「落ちるうううううううう!!!!」
「ふふふ…こういうのも新鮮ですね」
遊園地に入ってからは事前に計画したルートを案内する。人気のアトラクションで絶叫したり、園内のグルメに舌鼓をうったりした。時間はあっという間で、気付けば日は落ちて日の入りまで1時間ほど。体感時間の短さに驚きながら時計を見て、予定にあるパレードまで時間があることに気が付いた。余った時間を座って過ごすのも勿体ない。どうしようかと思案していると、アルダンさんが近くにある観覧車に乗ろうと提案してきた。待ち時間もそこまでなさそうだったので、私は彼女の提案に乗った。
「わあ~~~~~~!!」
結果としてこれは大正解だった。時刻は丁度夕暮れ時。下に見える街並みが茜色に照らされている。それはとても神々しくて、思わずゴンドラの窓ガラスに手をついて見入ってしまった。暫く外を眺めていると、尻尾に何だかくすぐったい感触がする。そちらに目をやると、アルダンさんの尻尾が私の尻尾に1周2周と絡まってきていた。 - 2◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 19:14:04
「え…あ…アルダンさん!?」
ビクリと体が震えた。この行為は一般的に『尻尾ハグ』と呼ばれるもので、特別なパートナーにやるようなものだからだ。固まる私とは対称的に、アルダンさんは何ともないような雰囲気だ。尻尾ハグについて指摘してもそれは変わらない。それどころか―――――
「私にとってチヨノオーさんは特別なので間違っていませんよ。それに、さっきみたいに喜んでいるチヨノオーさんを見ると私…嫉妬しちゃいます」
臆面もなく言い切った。夕日に照らされたアルダンさんはとても美しくて…
バクン、バクンとレースの終盤のように脈打つ心臓の音を聞きながら、私はアルダンさんの傍に座り直した。アルダンさんの特別になれているという歓喜と一連の流れに対しての恥ずかしさがまじりあい、顔が熱を帯びている。多分今の私は全身真っ赤になっているに違いない。なんにせよ、アルダンさんは私に対しそういう感情をさらけ出しているのは確かだ。
「なら…」
もう少し踏み込んでいいのかな。そう思った私は、ほんの少しだけれど前に踏み出すことにした。体を傾けてアルダンさんに寄りかかる。彼女の艶やかな髪の感触が心地よい。
「…もう少し、こうしていてもいいですか?」
アルダンさんは少し驚いた後、優しく微笑んだ。
「心ゆくまで…」
絡まる尻尾。肌に感じる温もり。ゴンドラが地上に着くまでしばしの時間が掛かる。それまでは、この二人だけの空間を楽しむことにしよう。 - 3◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 19:14:43
という訳で、尻尾ハグSSを書かないと出られないスレ
- 4二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 19:15:34
- 5◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 19:34:12
オグリンかぁ…主も書くのだ
- 6二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:26:03
『それ』は唐突に時々やってくる
ある時は休み時間。ある時は帰り道。ある時は寝る前に。
いつも唐突。
明るく元気な私のルームメイト。誰の前でも快活に振る舞い元気を振りまく。
暑くても寒くなっても。いつも元気。
だけど私は知っている。そんな彼女も時々故郷を思い出し遠い彼の地に思いを馳せている事を。
寂しげな表情をする事があるのを。
そうした時は決まっていつもそう。
私に寄り添って来ては私の尾と自らの尾を絡ませて来る。
唐突に。
だけど嫌ではありません。
なぜならこれが彼女の寂しさを紛らわすのと同時に私に対しての優しさでもあるから。
私も彼女と同じ。
同じ国を思い返しふと寂しくなる時が無い訳ではない。
…たいていは私がそう感じた時に。尾を絡ませて来る。
…だから私も何も言わずに甘えてしまいます。『怪鳥』の優しさに。
唐突にやってくるあの寂しさを紛らわす為に。
それは唐突にやってくるから。
…エル。もう…今日だけですからね~? - 7二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:26:59
書いたわよ。
オグリ達ではないけども…これで出てもよろしおすか? - 8◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 20:28:12
YES
- 9二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:33:51
レギュレーションとかってありますか?
- 10二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 20:36:14
景色に気取られてるのに嫉妬するの可愛い
さて、ss書けないからこのスレに居座るか - 11◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 20:36:14
特に無いですね。公式のガイドラインに違反しない内容であれば何でもOKです
- 12◆No1Y2dN2Lc22/10/19(水) 21:18:31
オグリキャップさん。ローカル笠松からやってきた彼女は、瞬く間に世代のトップに上り詰めた。私とは直接レースを走るようなことは無かったが、同期として日常の付き合いはさせてもらっていた。オグリさんがこちらに慣れておらず何処か危うく感じたのもあって、色々と世話を焼いたものだ。
「チヨは優しいな」
それがオグリさんの私への決まり文句だった。そんなある日、神妙な顔をしたオグリさんに呼び出された。普段とは様子が違ったので何かあったのかと思ったが、困りごとでは無いらしい。
「ちょっと後ろを向いてくれないか?」
オグリさんに促されるままに背中を向ける。意図を計りかねていると、尻尾に何かが巻き付いてくる感触があった。何かと思えばオグリさんの尻尾であった。
「ヘェ!!?」
「これは仲良しの証だって教わったんだ。チヨには沢山良くしてもらったし―――」
嬉しそうに話すオグリさん。誰にそんな事を教わったのかとか、オグリさんの私への感情とか、色々なことが頭を駆け巡りフリーズしてしまう。その後暫くの間固まっていたのを心配され、同期の皆の間で私とオグリさんのよからぬ噂が流れたのはまた別の話だ。
- 13二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 21:19:35
神はいる。そう思った
- 14二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 21:43:10
すごくすごいものを見てしまいました(NTR並感)
- 15二次元好きの匿名さん22/10/19(水) 21:50:56
うひょひょ気分でss読んでたらいきなり閉じ込められてビックリだよ
- 16二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 02:33:29
- 17二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 08:41:40
- 18◆No1Y2dN2Lc22/10/20(木) 11:40:01
スカウトされて東京に出てきてそれなりの時間が経った。ようやく生活に慣れてきて、友人と呼べる相手も増えている。
「おはようございます」
「あぁ、おはようアルダン」
このメジロアルダンもその一人。同期という事で絡む機会も多い。私達の中では一回り大人びていて、相談に乗ってくれることもある。かくいう私も今日は相談事があって、話を聞いてもらうことになった。
「友達に親愛を示すのにいい方法はないだろうか」
同期は皆優しくて、私に世話を焼いてくれている。でも、それに対してどうお返しをしていいか分からないのだ。何か送り物をするにしても中身の見当がつかない。
「そうですね…感謝の気持ちを伝えるで十分だと思いますが、しいて言うなら…」
少し思案した後、アルダンは自身の尻尾を私の尻尾に絡めてきた。毛の触れる感触がややくすぐったい。
「これは…?」
「仲良しの証のようなものです。ドラマなんかでもよく見る奴ですね」
唇に人差し指を当て、いたずらっぽい笑みを浮かべるアルダン。私はその回答に満足し、そのままお開きとなった。その後暫くのは言われた通り同期を中心に尻尾を絡めて回ったが、どうも相手の様子が変だった。何か気に障る事だっただろうか?
- 19◆No1Y2dN2Lc22/10/20(木) 11:41:04
16も皆も書くんやで。ワイもやったんやからな
- 20二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 12:28:52
- 21◆No1Y2dN2Lc22/10/20(木) 17:28:46
その日、私ことキングヘイローはトレセン学園で気まずい時間を過ごしていた。同期のスカイさんも何処かばつの悪そうな顔をしている。発端は昨日放送された人気ドラマ『Loveだっち』の最終回だ。架空の高校を舞台に繰り広げられるウマ娘の青春をテーマにしたドラマなのだが、ここに至ってウマ娘達が「尻尾ハグ」に及ぶというシーンがあった。その衝撃を受けてトレセン学園ではそこら中の会話が尻尾ハグの話題で占められるという珍事が起こったのだ。そこまでなら大した問題ではなかった。問題なのは、以前から私とスカイさんは尻尾ハグをしていたという点。多くのウマ娘が尻尾ハグの大胆さや恥ずかしさを喧伝するので、二人そろって共感性羞恥で恥ずかしくなったのである。
「お、キング」
「…スカイさん」
そして放課後、トレーナーの所に向かうスカイさんと鉢合わせした。いつも通りに振る舞おうとするも、頭の中を尻尾ハグの事がよぎり上手く話せない。それをもどかしく思ったのか、スカイさんが踏み込んだ発言を始めた。
「あれあれ~キングったら、もしかしてビビってる?」
「違うわよ!!」
スカイさんと尻尾ハグをすること自体に抵抗は無い。私にとってスカイさんは尻尾ハグをしても気にならないくらい特別に思っている。問題なのは、誰かにそれを悟られることだ。これ程話題になってしまえば、その内誰かに気付かれてしまうかもしれない。
「そんなこと気にしてるんだぁ…初心ですな~~」
「ちょっ…待ちなさい!」
私の話を待たず歩き出すスカイさん。いかにも何も無かったような振舞いだが、彼女の性格上今回の事に何の衝撃も受けていないなどありえない。事前に煽られたのもあって、彼女の一矢報いたいと思ってしまう。どうしたものか考えていると、スカイさんの尻尾から覚えのある匂いがしているのに気が付いた。それは私がよく使う尻尾用トリートメントの香り。その特徴的な香りを間違うことは無い。そして、取り寄せてる珍しい品なので私以外が使っているのを見たことは無い。それがスカイさんから香っているという事は――――私はちょっとした仕返しの意味を込めてスカイさんを呼び止めた。
「何?私急いで―――」
「私の尻尾用トリートメントの匂いがしてるわよ。いつもので移ったのかもね」
「…え」 - 22◆No1Y2dN2Lc22/10/20(木) 17:30:21
自分の用事もあるので、固まったスカイさんをおいてその場所を後にした。その後のスカイさんは露骨に匂いを気にし始めたので、内心ニヤニヤしている。私も人目に付く場所での尻尾ハグを控える様になったのでおあいこだ。
- 23二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 19:44:23
シャカールがゲームしてる。
何のゲームかはよく分かんないし、画面を見ても凄いことやってるなーって感想しか出てこないけど。
あーあ、遊んで欲しいんだけどなー、構って欲しいなー。なんて、心の中で思ってもしょうがないよね。
そういえば、最近尻尾ハグが流行ってる。私もドラマを観てドキドキしたなぁ。
……今のゲームに熱中してるシャカールなら、案外バレなかったりして。
スス…ピトッ
「…………ッ」
バレてない、のかな?ちょっとピクッとした気がするけど。どうしよう、ちょっとドキドキして楽しくなってきちゃった。
ススス…
尻尾、思いっ切り重なってるけど反応ないなぁ。もしかして尻尾ハグを知らないとか?このままハグしてもいいのかな、どうしよう
……
「オイ」
ギュッ‼︎
「!!!!??」
キャーーーーー!!!!!
シャカール!シャカールの尻尾が絡まって……!?
「あのなァ……」
「後で好きなだけ遊んでやるから。大人しくしてろ」
「ひゃ、ひゃい……!」
え?尻尾、ずっとハグしたままだよ?いいの?
私はいいけど……いいけど、顔がすっごく熱いよ〜! - 24二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 20:11:32
シャカファイ!シャカファイよ!!
- 25◆No1Y2dN2Lc22/10/20(木) 20:42:49
- 26二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 23:47:36
「――イン…ク…イン?」
「ほわぁ~……」
「ちょっとマックイーンどうしちゃったのさ!今朝からずーっとぼーっとしっぱなしじゃん!」
「ほわぁ…?テイオーさん?あ、い、いえ大丈夫ですわ!少し考え事をしていただけですので…」
「ほんとにだいじょぶー?僕が保健室連れてってあげよっか!」
「だだだ、大丈夫ですわ!」
とは言うもののテイオーさんの言う通り今日の私は気もそぞろ。
我が心は朝からてんやわんやの大騒ぎ。メジロとしてしっかり凛とした態度で過ごさねばならない
だと言うのに……きっかけはそう。今日の朝。
『尻尾ハグ?ですの?』
『えぇ、最近何かと話題ですよ?ご存知ありませんでしたか?』
『うぅ…お恥ずかしながら…そういった流行りには少々疎くて…』
『私も周りから聞きかじった程度の知識ですが…そう例えばこの様に』
イクノさんと洗面台の前で髪の手入れ等をしている時にそれはおこった。
唐突に身体を寄せて来て私の尾とイクノさんの尾が……か、絡まれて。
『この様に親愛を示す為のスキンシップを行うもののようですね』
絶対あの時私変な声あげてしまいましたわ…それからというもの気がつけば私は上の空。
イクノさんにどんな意図があったのか…ただ何気なくやっただけなのかそれとも…
まさか本人にも聞く訳にもいきませんし…なんて、延々と考えている内に気がつけば夕刻。
少々肌寒く感じる風も私の意識を覚醒させるに至らず―― - 27二次元好きの匿名さん22/10/20(木) 23:48:30
「マックイーンさん」
「ひゃい!?」
不意に声を掛けられる。聞き紛う事はない聞き慣れた声。
ある意味今一番聞きたくなかった声。…きちんとお喋りできる自信がありませんもの…
「い、イクノさんもおかえりの途中でしたか」
「はい、奇遇ですね」
「え、えぇ……」
そして訪れる静寂。やはり会話を続けられない。
朝の事を思い返してどうしても喋りづらく意識もしてしまう。
どうにか会話を続けませんと…
「い、イクノさ―」
「マックイーンさんは今朝尻尾ハグをしたのお嫌でしたか?」
なな、なんてストレートな質問ですのー!?もうまともな思考なんてできませんわ!
「しょ、しょんな事は…ありませんでございますわ…」
「良かった…今朝は突然してしまって申し訳ございません。…好奇心に負けてしまったといいますか…」
「しょ…おほん…そうでしたの。どうぞお気になさらないでくださいまし…少なくとも嫌な気分にはなっていませんので!」
思いがけず今朝の事が聞けてしまいましたわ。
…そうですわ、何もあんな動揺する事なんてなかったじゃない。
あんな風に親愛を向けてくれているというのなら決して恥ずべき事ではな―
「お嫌でなかったのなら…良ければ帰りも尻尾ハグして帰りましょう。今日はとても良く冷えるので」
へ?
ひょ…ひょわぁぁぁぁぁ!?
- 28◆No1Y2dN2Lc22/10/21(金) 11:22:43
ありがとう…ありがとう…
- 29◆No1Y2dN2Lc22/10/21(金) 19:00:10
尻尾ハグ。トレセン学園でこの言葉が話題になり始めてから、どうも落ち着かない。心が想像以上に乱れている。特別なパートナーにするというそれは、嫌でもあるウマ娘のことを意識してしまう。ダイヤちゃんだ。幼い頃から一緒にいると約束した、私にとって無二の幼馴染。もしするとしたら彼女になるだろう。でも、そんな大胆なことを切り出す勇気がない。尻尾ハグへの思いを抱えたまま悶々とした時間を過ごしていると、当のダイヤちゃんから話しかけられた。
「キタちゃん…あのね…」
既に授業は終わり、教室には私達2人だけ。そのシチュエーションが特別感をかもしだしていた。どうもモジモジして落ち着かない彼女は何かを言おうとしている。が、言葉が喉を通らないようで金魚の様に口を開閉するのみだった。数秒の沈黙の後、無言でこちらに尻尾を向けた。
「…あ」
この行動の意図は言うまでもない。ダイヤちゃんは私に尻尾ハグを求めている。先に切り出されて面喰いながら、私は彼女の尻尾に目をやった。見慣れているそれがいけないモノのように感じて思わずたじろいでしまう。でも、これはダイヤちゃんにとっての精一杯の親愛だ。ここで引いたら何か大切なものが壊れてしまう気がして、私はダイヤちゃんに背を向けた。
「………っ」
激しく高鳴る心臓を落ち着かせながら、自分の尻尾をダイヤちゃんに至近距離まで近づけた。それに反応するようにダイヤちゃんの尻尾も動き出し、私の尻尾に絡まっていく。僅かながら感じるダイヤちゃんの体温。背徳感を味わいながらその状態を保つこと十数秒。ダイヤちゃんが尻尾を離した。振り返ると紅潮した顔の彼女がいて、私にだけ聞こえるような声量で呟いてくる。
「…ありがとう」
「う、うん…」
反射的に出るか細い声。友人であるダイヤちゃんとの何かが、以前より深くに沈んでいった気がした。 - 30二次元好きの匿名さん22/10/21(金) 23:30:29
キタサトもいいね…
誰かフラファルを書こう♡僕もマクイク書いたんだからさ?(同調圧力)
あとファル子もってないねんな… - 31二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 08:45:46
尻尾ハグ概念を確固たるものにしたゼファーには感謝しかねえ……
- 32◆No1Y2dN2Lc22/10/22(土) 17:22:07
「……ッ!!!??」
唐突な尻尾の感触に体を震わせる。なんてことのない平日の夜。特別な日でもない。私はいつも通りにスケジュールに則って寮の部屋で就寝の準備をしていただけ。なのに―――
「フンフンフ~~~~ン♪」
隣にやってきた同室のファルコンさんが、自身の尻尾を私の尻尾に搦めてきたのである。それも、まるで位置もやっているような気安さで。きっかけは分かる。今朝のトレセン学園中で話題になっていたドラマ最終回の尻尾ハグだろう。でも、なぜ今…何故私に…?理解できない事象に頭が一瞬ながら混乱している。
「…理解できません」
当人に問い詰めるも、ファルコンさんは問題であるという意識が稀薄であった。むしろ、お互いに尻尾ケアをしている関係だから今更だとすらのたまっている。ちょっと責めるような言い方をすると、少し残念そうなファルコンさんは私を見つめ一言。
「フラッシュさんは、ファル子とするの…嫌?」
「――――――違います!!」
嫌なわけじゃ断じてない。ファルコンさんならスケジュールをずらしても良いと思う程度には好きだ。今回だって唐突にされて驚いてしまっただけで、しかるべきタイミングであれば断りはしなかった。そう伝えると、彼女は安心したようで嬉しそうな表情を浮かべてベッドの方へ歩いて行った。
「…ファルコンさんは卑怯です」
彼女には聞こえない声量でひとりごちる。会話の後のあのタイミングで友情を確かめる問いをされてしまえば、こちらとしてはそれを否定せざるを得ない。あれを無自覚にやってのけるのだから恐ろしい。ファルコンさんは以前カレンさんが恐ろしいなんて言っていたが、私からすればどっちもどっちだ。でも―――――
「私としても口実が出来たので良しとしましょう」
私とて尻尾ハグに興味が無いわけではない。今度予定を空けて堪能しようと心に誓った。 - 33二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 17:47:55
- 34◆No1Y2dN2Lc22/10/22(土) 21:34:11
ハートの数からして結構な人が来てるのは分かってるんだ
書け~~~~かけ~~~~かいてください~~~~~~~ - 35二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 03:06:00
フラファルもありがてえ……
- 36二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 13:42:39
「タイシンタイシンタイシーーーーーーン!!!!」
「うるっさ……」
不本意ながらルーティーンにすらなってるこの掛け合い。
一体どうやってアタシの居場所を突き止めてるんだかいっそ関心を覚える。
こういう時のチケットは大抵突拍子も無い事を言ってくる。
「タイシン尻尾ハグって知ってる!?」
そら来た。ここ何日間だけでも似たような話しを嫌というほど耳にする。
むしろ今までこいつが言って来なかったのが不思議なくらいだ。
「知ってる。」
どう答えた所で面倒だしならなるべく早く済ませそうな当たり障りの無い返事だけする。
スマホのゲーム画面を注視して適当に。
「そーなんだ!!アタシはさっき知ってさー!!」
無遠慮に私の隣に座ってスマホの画面を覗き込んでくる。
ほんと暑苦しい。…まあ気になる程じゃないけど。どうせこの後は…
「ね…ねえタイシン…」
「やらない。」
やっぱり。単純。…いやなんでアタシチケットのやりたい事読み切ってんの…
「えー―!!まだ何も言ってないのにぃぃ!!」
ちょっとまって言いそうな事までバッチリわかってんじゃん。なんなの?
…あーー腹たって来た。なんかわかんないけど。
「うー……タイシン冷たいぃぃ…」
認めたく無いけどこいつの色に染められてるって言うんだったらそれだけじゃなんか腹立つ。
チケットの方は見ずに尻尾を絡め取ってやった。
…うるさくすると思ったんだけど…横目でちらりと見たチケットは見た事のない表情。
そんな顔できたんだあんた。…少しはチケットにもアタシ色にも染まってもらわないと不公平じゃん。
「誰も”尻尾ハグをやらない”とは言ってないけど?」
ちょっと恥ずいけど…ふふ、静かになったし案外、これ使えるかもね。 - 37◆No1Y2dN2Lc22/10/23(日) 14:34:43
何だかスカーレットの様子が変だ。今朝は何事もなかったが、帰ってきてからの挙動がどこかたどたどしい。かといって、あいつの性格上理由を聞いても凄まれるのがおちだろう。そう考え、暫く放っておくことにした。そのまま時間は経過し、特に変わったことも無く消灯時間になる。オレは寝巻に着替えて布団に潜り込んだ。そして眠気に促されるまま目を閉じようとした時、スカーレットのベッドの方から足音が聞こえた。トイレにでも行くのかと思っていると、衣擦れの音と共に何かが潜り込んでくる。思わずそれに背を向けるように横向きの姿勢をとってしまった。周囲には知っている匂いが漂い、見覚えのある赤みがかった栗毛が視界の端を横切った。
「…スカーレット?」
押さえた声で問うも反応が無い。そのままの時間が過ぎ、何のつもりか再度聞こうとした時だ。下半身…いや、尻尾に何かが絡みつく感触がする。手足ではない特徴的な感覚。オレの尻尾に絡みついているのがスカーレットの尻尾なのだと気が付くのに時間はかからなかった。思い出されるのは今日の学園。人気ドラマ『Loveだっち』の最終回で披露された尻尾ハグが皆の話題になっていた。もしかして、あいつまでそれに感化されたのか?
「お、おい!スカ――――――」
「黙って!」
体を起こそうとするも制止される。スカーレットは何を考えている?尻尾ハグは本来特別なパートナー相手にするものであるはずだ。それを何でオレなんかにやるんだ?頭が混乱して考えが纏まらない。そんな心境を知ってか知らずか、スカーレットが口を開いた。
「…こっち向かないで…このままいさせて…」
いつもの喧嘩みたいなピリピリした空気は無い。あいつの言葉自体もどこか優しく語りかけるような口調だ。混乱が落ち着いてきた頭で考える。スカーレットとは日々衝突するものの、それなりの交友関係を築いてきたつもりだ。お互いに悩みを打ち明けたりすることもある。心を許せる相手であるのは間違いない。では、あいつにとってのオレはどうだ?もし、あいつが表に出さないだけで好意を向けているのだとしたら?そう考えればスカーレットの言動が線で繋がるのではないか?そう考えが至ってから、こっぱずしさで顔が熱くなってきた。でも不思議と不快感は無い。いや、寧ろ心地いいとすら感じている。オレもあいつが好きということか。 - 38◆No1Y2dN2Lc22/10/23(日) 14:34:53
「…しかたねぇな」
スカーレットの気が済むまで、尻尾ハグを続けてやろう。 - 39二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 14:57:22
(尻尾ハグ、なぁ…)
ウチは今、公園のベンチに腰掛けてぼんやり考えとった。件のドラマで知っとったとはいえ、まさかあのオグリまでするとはなあ〜、『尻尾ハグ』。ウチにして来たと思ったら次の日から誰彼構わず尻尾絡ませにいきよるみたいやし。まあ仲良しの証や言よったし、そう吹き込まれただけなんやろうけども…
「…お?」
あそこにおるんはウララか。あのじーちゃんはワンちゃんの散歩中なんかな。しかしデッカいワンコやなあ〜、飯代どんくらいかかるんやろか?
「バイバーイ! …あっ、タマモさん!!」
「よお、座り座り! なんやエラいワンちゃんに懐かれとったみたいやないか?」
「うんっ! 普段はいろんな人に吠えてるっておじちゃん言ってたけど、全然そんなこと無かったよ! すっごくモフモフしてて気持ち良かったんだ〜!」
「そーかそーか、そら良かったなぁ〜!」
(…せや!)
「…あれ、これって『尻尾ハグ』?」
「おっ、やっぱり知っとったか。」
「うん! でもこれ、特別な人とするんじゃなかったっけ…?」
「ふっふっふ〜、この『尻尾ハグ』は元々な、友だち同士でフッツーにしよったモンなんやで?」
「ええっ、ホントに!?」
「ホンマやで♪ 実際オグリも仲ええ連中にして回んよるし、ウララもみんなにしてき!」
「分かった! じゃあ早速するね!」
「おう! って、え?」
…いやいやいやいや待って待って! なんでこの娘自分の尻尾を絡んどるウチの尻尾にさらに絡みに来よるん!?
「え〜っと、ウララはん? コレはどういう…?」
「へ? だってこれ、仲いい人同士でするんでしょ? じゃあタマモさんとも仲いいから、タマモさんにもしようと思ったんだけど…ダメ?」
…いやまあええか、自業自得や。というかちょっと哀しそうな目で見んといて? 恥ずかしいんと申し訳ないんでマトモに顔見れんのよ?
「いや、いきなりやったけん驚いただけや、スマンな!」
「そっか、良かった〜…こっちこそ急にごめんなさい。」
「ええねんええねん、それよりホレ!」
「はーい!」
あーあーめっちゃ絡み合っとるわ、これ誰かに見られたらなに言われるんやろか。…はー、なんか暑いな。あとでウララと一緒にジュース飲もか… - 40二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 18:59:08
(…なんだか、せわしない…?)
その日はヤエノ先輩の計らいにより、和室で一緒に瞑想をしていました。明鏡止水…どんな時でも何があろうと、その心の状態は常に、静かな水面の如く穏やかに。けれど今日の先輩は、どこか落ち着きのないように感じました。言葉も動作も一見すれば自然、なのに尻尾だけが時折ソワソワと落ち着きがないのです。
(水を、向けてみますか…)
「…ヤエノ先輩?」
「っ! …はい。」
「お困り事ですか? 私で良ければ、相談に乗りますよ。どうぞ御遠慮なく。」
「…」
束の間の沈黙を挟み、先輩の口が開いた。
「グラスさんは…『尻尾ハグ』というものをご存知でしょうか?」
「いま学園で話題になっていますね。特別な関係の者たちで行うものですが…」
「…実は今日、オグリ先輩からその『尻尾ハグ』をされまして…」
「オグリン先輩とは、とても親密な関係なのですね。」
「いえ、そんな…いや、確かに頼もしい先輩ですし、尊敬すべき、超える相手でもあります。ですが、貴女の想像するような関係ではないと思っています。」
「オグリン先輩は、なんと?」
「行為の理由を伺ったところ『仲良しの証だから』と仰っていました。あんなに素直に答えられては、本当のことを話すのは憚られて…」
あらあら、どこの誰がそんなことを吹き込んだのでしょうね〜? 同室のタマモクロス先輩ではないとして、イナリワン先輩も考えにくい。となると可能性として考えられるのはクリーク先輩でしょうか?
まあ犯人探しはともかくとして、今はヤエノ先輩ですね〜。
「!? グラス、さん…?」
「『嘘も方便』と言うのも違いますが…ここは、オグリン先輩の弁に、便乗するとしましょう。」
掬うように少し絡めてからそういうと、向こうもおずおずといった様子で絡めて来てくださいました。
『盗人を捕らえて見れば我が子なり』
予想外の悩みの種ではありましたが、一先ずはこれにて一件落着、ですかね〜♪ - 41二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 19:12:58
- 42二次元好きの匿名さん22/10/23(日) 20:50:00
- 43二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 07:18:54
わが名は保守トレ
義によって保守致す - 44二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 15:58:48
書いたは書いたけどなんかせっかくいい場所なので保守がてらに
概念を落としていこうと思う
会長と女帝の尻尾ハグとかファンが見たら卒倒ものやで…… - 45二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 16:00:37
今さらだけどウマの尻尾て動かせるとこかなり短くなかった?
- 46二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 16:18:43
尻尾に見えるのは大半尻尾の毛だからね
でも人型になったウマ娘なら自分の尻尾の毛束を手で持つってことも出来るから、背中を向けあって、ひも結びの要領で尻尾同士を緩く絡めるのが尻尾ハグって勝手に思ってる - 47二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 18:08:49
- 48二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 22:38:45
これや作中の尻尾ピーンは馬と同じ構造だと不可能なんよな
- 49二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 06:52:28
イラストでわかりやすく纏めてるツイート貼っとく
ウマ娘で流行りの尻尾ハグについて
右手の描写を結構みるから気になったことまとめました。
ケモ娘関係では良くみる構図だけど馬がベースだと違和感が先にくるよね…って話
(構図はめっちゃいいんだけどね!) — ば² (Gyoniku2580) 2022年10月23日 - 50二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 18:28:58
保守
- 51二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:10:39
立ったままする尻尾ハグもいいし座ってする尻尾ハグもいい…
絶対カレンチャンとアヤベさん天体観測する時は尻尾ハグしてるよね…(幻覚) - 52二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 08:38:29
アヤベさんは表面上拒否ってるけど、満更でもないんだ…
- 53二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 19:59:26
マヤ「ねぇねぇブライアンさん!!私と―――」
ブラ「(無言の尻尾ハグ)」
マヤ「!!!!!!!?????」
ブラ「何だ?尻尾ハグをしに来たんじゃないのか?」
マヤ「…いやそうだけど…普通もっと恥じらいとか…」
ブラ「お前と私はそんなことを気にする仲か?」
マヤ「ッーーーーーーーー!!!!」 - 54二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:55:01
ほう、マヤブラですか…たいしたものですね。
- 55二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 21:57:43
- 56二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 06:53:59
マヤ、わからせられちゃった……
- 57二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 12:13:40
夢女子が一番反応しそうな尻尾ハグCPはどれかな
- 58二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 13:16:52
- 59二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 13:27:21
- 60◆No1Y2dN2Lc22/10/27(木) 20:22:19
「エアグルーヴ、尻尾ハグを知っているか?」
いつも通り生徒会室で雑務を片づけていると、会長が妙なことを言い出した。尻尾ハグとはここ最近学園中で話題になっている概念で、ウマ娘同士が尻尾を絡ませ合い特別な親愛を示すものだ。先日最終回を迎えたドラマでそのシーンが放送されて以降、校内での会話の多くがこれ一色になっている。端的に言えばお祭りムードだ。
「…私達はレースと学業が本分です。些か浮かれすぎなのではないかと」
「まぁ、青春もまた今の時期にしか味わえない体験だ。協心戮力の機会と思って皆を責めないでやってくれ。」
会長はどうも擁護の立場らしい。その主張もたしかに一理あるので押し黙ったが、心の中では完全に納得はしていなかった。恋愛ごとにうつつを抜かすのはどうも肌に合わない。再び手元の書類に視線を戻し、中断していた作業を再開する。数分が過ぎた頃、会長はおもむろに席を立ってこちらに近づき、唐突に尻尾を絡ませてきた。
「……ッ!!!??かっ、かかか会長!!!??何を―――」
「なに、顔が硬いと思ったのでね。少し解してあげようと」
「そういうことではなくてですね!!」
半ば衝動的にくってかかってしまった。しかし、それでも尚会長は笑みを崩すことは無かった。それどころか、その顔を近づけてきて――――
「エアグルーヴ。君は、私にされるのは嫌か?」
そう囁く会長は眉目秀麗の美青年のようで、思わず顔を逸らせてしまった。殿方に告白された訳でもないのに胸が高鳴っている。やや混乱している頭では途切れ途切れの言葉しか絞りだせなかった。
「い…いえ…嫌では…」
「そうか、それは良かった」
満足したのか会長は帰っていった。この人はたまにこういう茶目っ気を出してくるのだ。全く、こちらの気も知らないで好き勝手にやってくれる。駄目だ、顔がまだ真っ赤だ。この後は暫く動揺が続き、スズカにからかわれたりしたのは別の話だ。 - 61二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:26:27
ルドグル…生きていたか…!(換気)
- 62二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 20:33:04
久し振りのSS供給で生き返る
- 63◆No1Y2dN2Lc22/10/27(木) 20:36:25
実は>>53も私がレスしてます
- 64二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 03:37:09
ルドグルいい……
- 65二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 14:16:43
保守
- 66◆No1Y2dN2Lc22/10/28(金) 20:39:31
「あ……皆尻尾ハグしてるね…」
「昨日放送された『Loveだっち』最終回の反響と推測。多くの方が見ていたようですね」
見渡すと、あちらこちらで尻尾を絡ませる生徒の姿が見られた。トレセン学園がこれほどまでに一つのことで話題が染まるのも珍しい。私は若干隣を歩くブルボンさんの背に隠れながら移動していた。そういうのはとっても大胆だから直視できないのもある。傍から見たら怪訝な顔をされそうな行動だが、こればかりは恥ずかしいのだ。そんな私の様子を見たブルボンさんは何か考えるようなそぶりを見せた後、突然私の身体を引き寄せたとおもったら、尻尾を絡め始めた。
「ふええええええ!!?ブルボンさんッ!!??」
「いえ、恥ずかしいのであれば慣れてしまえばよいと思ったのですが、不快でしたか?」
「そ、そんなことない…けど…」
こういう思い切りの良さは彼女の美点だと思うが、今回はいささか躊躇が無さすぎないだろうか。もしかしてブルボンさんは尻尾ハグを間違って認識しているのでは。そんな疑問はすぐに解消された。私と尻尾ハグしながら歩くブルボンさんの頬が紅潮している。それどころか、こちらをしきりに見つめているようだ。その意味はすぐに察せられた。ブルボンさんは分かっていて意図的に尻尾ハグをしている。つまり、ブルボンさんは私をそういう対象として見ているということで。そう思うとこちらまで恥ずかしくなってきた。
「……あったかいね」
「……はい」
それでも私とブルボンさんはこの後暫く尻尾ハグを続けることとなった。ドギマギしながら過ごすのも悪くないと思ってしまったのは内緒だ。 - 67◆No1Y2dN2Lc22/10/29(土) 00:34:02
満天の星が輝く夜。都市部から離れた郊外の山に私とカレンさんはいた。前々から決めていた一緒に星を見るという約束の為、スケジュールの調整に難儀したものだ。ある程度天気予報で日を絞ったとはいえ、思った以上に空気は澄み、天の殆どに雲が無い。絶好の観測日和というやつだ。
「アヤベさん、あの星はなんですか?」
「ああ、あれは――――――」
まずは付き添っているカレンさんに星や星座の解説をすることから始めた。ただ語り過ぎても良くないのでほどほどに。その星や星座の軽い詳細やエピソードを紹介する。中々に気を使ったが、彼女は興味深そうに聞いてくれたので及第点だろう。
「私、ここに来てよかったです」
あらかたの話を終えた頃にカレンさんはそう口にした。肯定的な意見を聞けて内心で自信をつけていると、ふと尻尾の方に違和感を感じた。横目で見ると、どうやらカレンさんの尻尾が私おに絡まった感覚だった。それについて口を出そうとすると、カレンさんは唇に人差し指をあてる。それを言うのは無粋だとでも言いたいのだろうか。ああ確かにある種のデートの様なものではある。それで気が済むのならつき合ってあげるのも良いだろう。
「全く…仕方ないわね」
「やったぁ♪」
お互いに身体を密着させる様にもたれかかった。普段の一人での天体観測と比べ、物理的にも精神的にも暖かい時間であった。 - 68二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 01:04:18
ブルライアヤカレの尊みで死んだのが俺なんだよね……
- 69二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 08:54:19
ほ
- 70◆No1Y2dN2Lc22/10/29(土) 15:09:12
「わぁ、皆お熱いねぇ…」
私、メジロパーマーは周囲を見渡しながら呟いた。先日人気ドラマ『Loveだっち』の最終回で尻尾ハグが披露されてからというもの、トレセン学園の各所で同様の行為が見られるようになったのだ。こういう一過性のブームに乗っかるのも悪くないと思った私は、友人のダイタクヘリオスに聞いてみることにした。
「そういうのははずいっていうか…」
だが、どうも様子がおかしい。いつものテンションアゲアゲな態度はどこへやら。顔を背けてどうも煮え切れない反応をするのみだ。私はそんなヘリオスの普段とのギャップに嗜虐心を刺激され、ちょっとしたいじわるを敢行する。
「いいじゃん!私達ズッ友だし、何もおかしいことじゃないよねっ!」
すぐさまヘリオスの後ろに陣取り、彼女が動く前に尻尾を絡めた。我ながら電光石火の早業だと評価したいスピードだ。初めは何が起こったか認識できなかったヘリオスも、次第にお互いの尻尾の接触に気付いてみるみる顔を赤くしていった。
「あ…え………パマちん大胆過ぎ…わりガチキュン死にしちゃ――――」
「ヘリオス?…ヘリオス!!!!??」
直後ヘリオスが興奮しすぎてぶっ倒れたが、私達の関係が一歩進んだのは良かったと思う。 - 71二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 23:32:20
保守
- 72二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 00:02:19
なんかBL感あるな
- 73◆No1Y2dN2Lc22/10/30(日) 09:30:58
アタシは、ユキノ…ユキノビジンと良好な関係を築いていた。最初は彼女が目指す『シチーガール』に私が近かったのもあると思うが、今では内心を吐露するような間柄だ。そんなある日、さも当然の様に尻尾を絡めてきたことがあった。所謂尻尾ハグと呼ばれるもので、特別なパートナーに親愛を示す行為だ。アタシが驚いて指摘するも当人はぽかんとしていて。
「地元の友達とはとろっぺつやってたンです!」
と純粋な目で言うものだから、この行為の意味を教えるのも億劫になってされるがままを受け入れていた。でも、そんな日々に変化が訪れる。人気ドラマ『Loveだっち』の最終回にて尻尾ハグが披露されたのだ。これにより学園は尻尾ハグの話題で持ち切りとなった。これだけ騒がれたら当然ではあるが、尻尾ハグの持つ意味についての話題がユキノの耳にも入ったらしい。アタシに会うなり慌てた様子で頭を下げてきた。
「シチーさん、あたしアレの意味を分かってなかッた…本当におもさげながんす…」
「いいよ謝らなくて。アタシはユキノとなら尻尾ハグしたいし」
ぺこぺこするユキノに頭を上げさせる。実の所、彼女との尻尾ハグは嫌ではなかった。むしろそれだけの親愛を向けてくれているのだと嬉しいぐらいだ。よくよく考えればこういう風にアタシが表立ってしっかりと好意を伝えたことは無かった気がする。それを伝えるとユキノは白い頬を紅潮させた。アタシ自身も顔が熱くなってきた。
「あたしもシチーさんとしてるとはっかはっかして…もっとしてたいなって…」
「なら問題ないじゃん。これからも…ね」
「はいぃ…」
無論その後の尻尾ハグの時間が長くなったのは言うまでもない。 - 74二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 17:24:27
「尻尾ハグやりたい!」
いやぁまいどの事ながら突然…ってほどでもないか。
あれだけ学園内で噂になってるんだもんターボが興味を持ってもおかしくですわなぁ~
で、こうなるとイクノが…
「いいですね、私も少々気になっていた所です。皆さんでやってみましょう。」
で、それに乗っかってタンホイザが…
「むふっ!さんせーい!尻尾ハグ~♪尻尾ハグ~♪皆で仲良く~♪むんっ!」
で、皆してあたしの方を見る、と。
「はいはい、やります、やりますよ~っと…でも4人でやるとなるとこう…背中を向けて…こんな感じ?」
「そうですね、4人同時ともなるとなかなか…難しい…」
「絡まない様に気をつけないとぉ~…解くの大変そうだからねぇ」
「あはははは!なんか変な感じ!」
なぁ~んて私の初尻尾ハグはいつもの仲良し4人組で行われてしまった訳で。
ま、嫌じゃないんですけど?4人で尻尾ハグなんてそうそうやる事ない貴重な体験できた訳ですし?
……あぁー…なーんでテイオーの顔が浮かんでくるかなぁ…
そんなこんなあった日の帰路であたしの心はてんやわんやお祭り騒ぎの空回り。
考えないようにすればするほどトウカイテイオーの顔が浮かんできてしまう。
こんな時に限って皆はそれぞれまた別行動。あたしは一人悶々と浮かんでくる雑念を振り払おうと首を振って…
…客観的に見てなんか痛いやつに見えるよねこれ…はぁ~~… - 75二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 17:25:25
「ネーイチャ♪」
「んにゃぁぁぁぁぁ!?」
なんで今一番来て欲しくない相手が来ちゃうかなぁ…もぉ~…。
「そ、そんなに驚く事ないじゃんか…ちょっと大袈裟じゃない?」
「ご、ごめん…いやいや急に声かけられたら驚くでしょ?」
「にしし…まあ驚かす為にこっそり近づいたからねぇ~♪大成功♪」
悪戯な顔してくれちゃって…直視できないけどいつも以上にキラキラに見える…
なし崩し的に一緒に帰る事になっちゃったけど心臓がやばいくらい高鳴ってるの自分でもわかる。
「あ、ネイチャ!尻尾ハグ勿論知ってるよね?今話題だし♪」
もう勘弁してよぉ~…こっちは平静装うので精一杯だってのにキラキラの大洪水があたしに押し寄せてくる。
「まああれだけ学園内で騒がれてたら耳にも入ってこない方が不思議ですからなぁ~…
ていうかあたしもさっきターボ達と4人でやって見たんだけどねぇあはは…」
声が上ずったりしてないかとかもういっぱいいっぱいで…
その時ちょっとだけテイオーが不機嫌そうな顔をした事なんて気にしてる余裕なんてなくて…
「ふーん……そうなんだ……じゃ、僕ともしてよ♪」
夢を見てるんじゃないかと疑いたくなって思わず頬を抓りそうになった。
聞き間違えじゃなければ尻尾ハグのお誘いをあたしにして来たわけで…
「え?あ、い…いいんじゃん?」
なにを口走ってますかあたし。
もうあたしの心音テイオーに聞こえてるんじゃないかってくらいばくんばくん鳴ってる。
頭は真っ白で…体を寄せてきたテイオーの尻尾はあたしの尻尾に絡みついてきて。そっからもう気もそぞろ。
「僕の初尻尾ハグあげちゃったもんね♪」
そんな事を言っていたか言っていなかったか気がつけばあたしは寮の部屋のベッドの上。
冷静になって今日の出来事を振り返ってじたばたと枕に顔を押し付けながら悶々としている訳で…
「んにゃぁぁぁぁぁ!どういう意味よそれぇぇ!!」
「なんだかマーベラスな事あったんだねネイチャ♪」
今日絶対夜更し気味になるだろうとあたしは確信したのであった。
- 76二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 19:06:43
(さて、どう躱したものかなぁ…)
メジロドーベルは、悩んでいた。
彼女もまた『Loveダッチ』最終回を視聴し、〈尻尾ハグ〉の流行を認知しているウマ娘のひとりである。想い人同士で行われるというそれに赤面したのは言うまでもなく、されど想いを伝え合う手段としてロマンティックに感じたのだが、今はそれどころではない。
「Hey ,ドーベル! I'm coming !!」
勢いよく開いた扉とともに、タイキシャトルが部屋に戻ってきた。
「あぁ…お帰り、タイキ。」
「Oh, なんだかお疲れみたいデスね? そんなときこそ、Let's hag with me !! ワタシの胸に、飛び込んできてクダサーイ!!」
「あ〜、ありがとう、タイキ…大丈夫、ちょっと考え事してただけだから…」
実は寂しがり屋のタイキは、こうしていつものようにスキンシップを求めてくる。そんな彼女のことなので、尻尾ハグの存在を知ったなら確実にお願いしてくるだろうし、ドーベルとしても本来の意味を知った以上恥ずかしいことこの上ないのでなんとか避けたいところ、だったのだが…
(…いつものハグと比べたら、そんなに恥ずかしくない、のかな?)
「…じゃあ、ちょっとそこに座ってくれる?」
「Huh? ハイ…?」
自身のベッドに腰掛けるよう促し、その後自分もその隣に腰を下ろす。
「…はい。」
「…What? ドーベル、これ…」
「…折角なら、って思っただけ。」
タイキに背を向ける形になっているため分からないが、おそらく困惑していることだろう。無論それは承知の上。いつも誘われてばかりなのだ、たまにはこちらから迎えるのも悪くない。
しばらくすると、自分の尾が絡まれていくのが感じられた…
「Thank you, Dober. You are my sweetheart...I'm crazy for you.」 - 77二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 21:15:44
四人でとはまた……上級者(?)ですな
- 78◆No1Y2dN2Lc22/10/30(日) 21:29:48
- 79二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 08:16:42
タイキ思ったよりしっとり…?
- 80二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 20:07:43
SSが思い浮かばないので保守代わりに概念だけでも落としていこう
やっぱり尻尾ハグが流行ったのはこの季節だからというのもあるのではなかろうか
肌寒くなってきて自然と距離感が近づいてしまうので公園のベンチで一緒に中華まんを食べながら
スペちゃんに恐る恐る尻尾を巻きつけるツルちゃんとかどうだろうか