この子ってさ

  • 1◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:56:54

    長女のはずなのに真ん中っ子みたいですよね。
    甘えベタだったり、何かと人に合わせがちだったり。
    なのでその原因ってなんだろうなぁ……と考えていると幼少期にライアン、ブライトとよく遊んでいたので疑似的に3姉妹のような関係がある事。
    ここで長女気質のライアンと末っ子気質のブライトが居た事により、自然と真ん中っ子みたいな立ち回りを覚えたという憶測。
    それと小さい時にお母さんが多忙で甘えられなかった為、いい子でいなきゃいけないという思いが強くて本当は甘えたいのにしっかりしようとし過ぎたあたりが今のドーベルを作ってるのかなぁと。
    SSを書く時に普段この辺りを意識してるんですけど、この概念伝えるの結構大変だなぁと思ったので。

  • 2◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:57:04

    ~Dobel' s View~

     とある日のトレーニング前。

    「ドーベルさ、長女だよね?」
    「は? 今更何を聞いてるの?」

     藪から棒に、目的が一切分からない事をトレーナーが問いかけて来る。

    「アタシ、普通に妹と弟がいるの話してたと思うんだけど」
    「あぁいや。それは知ってる。お姉さんやお兄さんはいないんだよな?」
    「いないけど」

     確かに上の兄姉の話はしたことがなかったかもしれない。いないからする訳がないんだけども。
     姉や兄はいないから、当然アタシが長女という事になる。

    「だよな? いや、なんでもないよ。忘れてくれ」
    「はぁ……? まぁ、いいけど」

     アタシが長女であることを確認したかと思うと、特にそれ以上の追及はなく。
     なんでそんなことを聞いてきたのかは、分からず仕舞いだった。

  • 3◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:57:15

    ~Trainer's View~

    「ライアン、ブライト。ドーベルって長女だよな?」
    「あ、ドーベルのトレーナーさん。はい、ドーベルにはお姉さんやお兄さんはいませんから一番上のお姉さんですよ」
    「突然そんな事を聞かれてどうされたのでしょう~?」

     カフェテリアでお茶をしていたライアンとブライトを見つけたので同席させてもらっている。
     ついでに、先日ふと疑問に思った事を二人にも聞いてみる。

    「いや……ふと『この子真ん中っ子みたいだなぁ……』と思っちゃってさ」
    「真ん中っ子、ですか?」
    「ああ、何かとドーベルって誰かに合わせがちだろ? だからあんまり一番上のお姉さんっぽくないよなぁって思ってさ」
    「ああ~! 確かに!」

     そう。ドーベルに長女かどうかを聞いた理由は長女っぽくない、と感じたから。
     知り合いの長男長女はもっと我が強いというか……俺についてこい! みたいな雰囲気を感じる。
     ただドーベルにはそれがない。むしろ他人に合わせるのが上手すぎる。トレーナーである俺にすら、だ。

    「それに妙に甘え下手というか……一人っ子の期間が長いはずだし、その辺上手くてもおかしくないんだけどなぁ……と思っちゃってさ」
    「そこがドーベルの可愛いところなんですけどね! でも確かに、もう少し素直に甘えてくれてもいいのになぁ、と思うことはあります」
    「そう! そこなんだよ! 仲のいいトレーナー達も担当の子達から年相応のワガママとか言われてるらしいんだけどさ。ドーベルってそれがないから」

     問題はそこだ。別に真ん中っ子みたいなのが悪い事だとは全く思っていない。むしろそれこそドーベルの美点だろう。
     人に寄り添い合わせてあげられる優しさこそ、彼女の良いところなのだから。
     ただ……。

    「トレーナーさんはドーベルにも年相応に甘えて欲しい、という事ですか?」
    「まあそういう事になるな。自分からあんまりそういう事言ってくれないからたまに俺が強引に連れ回しちゃったりするんだけどさ。それも嫌がられてないし、本当はしたい事あるんじゃないのかな~、と」

  • 4◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:57:27

     とにかくドーベルはワガママを言わない。
     だからこそ、本当は俺にして欲しい事があるんじゃないかと時折心配になる。
     他のトレーナー達からはそういう話を聞く事が多い為、余計に。

    「……もしかしたら私たち3人の仲が良かったからかもしれませんわね~」
    『……え?』

     唐突に。今まで話を静かに聞いていたブライトがポツリと言葉を漏らした声に、俺とライアンの声が重なる。

    「私たち、小さい頃から仲が良くてよく遊んでいたでしょう? その時の影響があるのかもしれませんわ~」
    「確かに……! あの時からブライトは素直に甘えてくれてたけど、ドーベルは遠慮しがちだったかも」

     ……合点がいった。確かに、幼少期に3人姉妹のような関係性があったなら今のドーベルの性格にも納得がいく。

    「は~、なるほど。その時に真ん中っ子みたいな立ち回りが身に着いちゃったのかもな」

     歳も上でしっかり者のライアン。甘え上手のブライト。その二人の間に挟まれたドーベルが自然と取った行動は……。
     二人に迷惑を掛けないように、自分もしっかりしようとしたのかもしれない。
     理由はそれだけじゃないのかもしれないが、それが一端にはなっていそうだ。

    「……でもそれが分かってもどうやって甘えて貰ったらいいか分からないな」
    「あははは……それはあたしも教えて欲しいです……」
    「ドーベルったら恥ずかしがり屋さんですもの~」

     そうなのだ。真ん中っ子みたいな立ち振る舞いをする理由が分かったからと言って、どうやって甘えて貰えばいいかは全く分からない。
     残念ながら俺も真ん中っ子ではないし、解決策など何も浮かばない。
     なんとなく。ドーベルがどうして人に気を遣いがちかが分かっただけで特に進展はなかった。

  • 5◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:57:37

    ~Dobel' s View~

     身体への負担も考え、今日のトレーニングは軽めだった。
     その為まだまだ夕食まで時間がある。街に少し出掛けて来ようかな、と帰宅の準備をしている時、トレーナーが喋りかけて来る。

    「なぁドーベル」
    「なに?」
    「甘えたい時には遠慮せず甘えてくれていいからな?」
    「は、はぁ!? いきなり何言ってるの!?」

     この前といい、脈絡がなさ過ぎじゃない!?
     何を思ってそんなことを言い出したのかが本当に分からない。

    「いや、仲のいいトレーナー達は結構担当の子達からワガママとか言われるらしいから。ドーベルはそういう事がないから不思議に思って」
    「別に。アンタに遠慮してる訳じゃ……」

     なるほど。アタシが他のウマ娘たちと比べてワガママを言わないから何か我慢してるんじゃないかと。
     別に我慢はしてない。良くしてくれてると思うし、今更アタシから言うワガママなんて……。
     …………。

    「ね、ねぇ? 本当に、聞いてくれる?」
    「お? いいぞ! 俺に出来る範囲ならなんでも!」

     今なら、トレーナーから催促してくれてるくらいだし。
     そんな体のいい言い訳が出来たおかげで、普段だったら出来なかったお願いがするりと零れ落ちる。

  • 6◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:57:49

    「その……ここのスイーツビュッフェ……行ってみたくて。でも一人で行く勇気はないから……マックイーンを誘おうかと思ったんだけど減量中みたいだったし……」

     最近出来たらしいスイーツビュッフェ。
     話題になってるし行ってみたかったんだけど、友達と上手く都合がつかなくて未だに行けてなかった。

    「よし! じゃあ今から行くか!」
    「え!? 今から!?」

     いつも思うけど話が早すぎない!? 行きたい、って言ったのはアタシだけどさ。もう少し準備というか……。

    「何か他に用事があるか?」
    「ないけど……」

     目的もなく街をぶらぶらしようと思ってたくらいだし予定は空いている。
     しかも都合のいい事に、時間も15時を過ぎたくらいでちょうどいい。

    「決まりだな! 俺もこういうところに男一人では入れないし正直助かるよ」

     あっ、そっか。確かに、アタシよりもこういうスイーツビュッフェは一人で入りづらいのかもしれない。
     お出掛けの準備も整えて、いざ出発、と行く前に。
     少しだけ、確認しておきたい事が。

  • 7◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:57:59

    「あのさ!」
    「なに?」
    「その……これからも、たまにはこういう事お願いしても……や、やっぱりなんでもない!」

     む、無理。他の子達はやってるみたいだけど、今日はたまたまトレーナーが催促してくれただけで。
     アタシからワガママを言うなんて、到底出来そうにもない。
     だから怖気づいて撤回しようとしたのに。

    「女の子は、ちょっとワガママ言うくらいが可愛いもんだよ」

     年頃の少女には、その言葉はスイーツよりも甘すぎる。

    「か、かわ、可愛いって……! アタシは別にそう思われたい訳じゃ……」
    「俺はドーベルの事可愛いって思ってるけどね?」
    「も、もう! からかってるでしょ!?」
    「あはははは! まあ、普段あんまり言ってくれないからさ。たまには言ってくれた方が俺が安心出来るんだよ。あ、これじゃあ俺のワガママか」

     本当にズルい。いつだって、そうやって素直になれる建前を用意してくれるんだから。

    「じゃあ……これからもアンタのワガママ、付き合ってあげる……」
    「ああ、そうしてくれ」

    (気づいてよね……あんまりワガママ言わないの、アンタのせいでもあるんだから……)

     改めて、言う必要なんてないんだもの。

  • 8◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 00:58:09

    書きました。

  • 9二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 00:58:39

    たすかった

  • 10二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 00:58:55

    どうした?最近書く頻度上がってない?
    こっちからすればドンとこいなのだが

  • 11◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 01:03:57

    >>10

    思いついたから書いてるだけなのでどこかで頻度がくんと落ちるかもしれませんね。

    別に頻度上げようと無理してる訳では特にないです。

  • 12◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 01:10:32

    ふと思い立ってそのまま書いちゃったから自分で矛盾点見つけちゃいましたね……
    やはり推敲はせねば……

  • 13◆y6O8WzjYAE22/10/22(土) 01:14:13

    しかもドーベルの綴り間違えてるじゃん……

    腹を切ってお詫びいたします。

  • 14二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 01:19:53

    感謝します

  • 15二次元好きの匿名さん22/10/22(土) 02:21:26

    ベルトレのフッ軽さとからかい上手なところで笑っちゃう
    今回も素晴らしかったです!!

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