【ウマ娘SS】プレゼント【カワカミプリンセス】

  • 11◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:40:33

    「それではトレーナーさん、今日はお買い物に付き合ってくださってありがとうございますですわ!」
    「こっちも久々に色んな所を回ったりして楽しかったよ、また行こうな」
    トレーニング帰りに商店街に寄り、駄菓子やスーパー、靴屋等を見て回り、色んな買い物をした後に寮の前に戻ってきた。
    「それではまた明日ですわー!」
    そう言いながら寮へと袋を抱えながらパワフルに駆け込んでいく。元気で大変よろしい。
    「……あ、そうだ」
    走っていくプリンセスの背中を見て思い出した。半月先、6月5日はプリンセスの誕生日だ。去年もプレゼントとしてキングヘイローが使ってるブランドのタオルを手渡した(とても喜んでくれていた)。
    それならば、今年はどんなプレゼントをしようか、喜んでもらえる何かを見つけられるといいのだが。
    プレゼントの事で頭をいっぱいにしながらトレーナー寮へ戻っていった。

  • 21◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:41:15

    「うーん…何がいいかなぁ…」
    あれから丸一日考えていたが、中々思いつかない。プリファイ関連の物はもちろん揃えているだろうし、去年と同じでキングとのお揃いというのもつまらないかもしれない、何より元気づけられるプレゼントでなければ意味がないだろう。
    「トレーナーさん?うんうん唸ってどうしたのですか?」
    「あっ、いや……」
    しまった、プリンセスの前だったのにずっと考え事をしてしまっていた。何か言い訳を……
    「……実は、今度のプリンセスの誕生日についてなんだが」
    いや、無理に隠す必要もないだろう。
    「私の誕生日の事ですか?」
    「あぁ、それでプレゼントについて考えていてな、プリンセスは何かもらって喜ぶものはあるか?」
    ストレートに聞いてみる。
    「喜ぶもの、そうですわね……正直に言いますと、私トレーナーさんから頂ける物であれば何でも喜んでしまうと思いますわね」
    うーん嬉しい事を言ってくれる。
    「なるほど……じゃあプリンセスがとびっきり喜びそうな物をプレゼントしないとな」
    「あら、気を遣わなくてもよろしいんですのよ?気持ちが籠っていることが何より大事ですわ!」
    そう言いつつも尻尾の動きがいつもよりも大きくなっている。やはり誕生日プレゼントというものは特別な物だ。
    「じゃあ誕生日当日までにしっかり決めておくから楽しみにしてて」
    「はい、もちろん楽しみにしておきますわ!今からドキドキですわね!ではでは、一足お先にコースで待っていますわ!」
    そう言うとプリンセスはトレーナー室から飛び出していった。元気な姿を見るとついつい笑顔になってしまう。プリンセスにはどうかこのまま伸び伸びと走ってもらいたいと心から願う・
    「……そうだ」
    一つ思い浮かんだものがある。今日の帰りにでも早速見に行こうか。
    「その前に……俺も行くか」
    プリンセスの後を追うように、コースへと向かった。

  • 31◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:42:24

    そして来たる6月5日。トレーナー室でプリンセスを待っていた。きっと今頃は他のウマ娘達から祝福されていることだろう。
    プレゼントは箱に包まれリボンを巻かれている。このプレゼントは気に入ってもらえるだろうか。気に入らなくても形では喜んではくれるだろうが、やはりしっかりと喜ばせたい。
    「トレーナーさん、入りますわよー」
    ノックの音と共にプリンセスの声が聞こえてくる。
    「あぁ、入っていいぞ」
    普段と変わらない声色で声をかける。正直緊張してしまっているがなるべく平静に。
    「失礼しますわ、すみませんトレーナーさん、ドアを抑えててもらってよろしいかしら?」
    そう言うプリンセスの両手にはたくさんのカラフルお菓子や綺麗に装飾された箱が積まれていた。慌ててドアを抑えると「よっこらしょ」と言う言葉と共に机の上にそれらが置かれる。
    「ふぃー、ここまで来るのが大変でしたわ、午前中に貰ったものは寮に持って帰ったのですが、ここに来る途中にもたくさん頂きまして、ドアを開けるのも一苦労でしたわね」
    両手が塞がっているのにどうやって扉を開けたのかという疑問は置いておこう。
    「皆から慕われているんだな、流石はプリンセスだ」
    「もちろん、皆様から愛されるお姫様を目指していますもの!皆様の誕生日の時にはしっかりとお返しさせて頂きますわ!」
    フフン、と自慢そうに笑うプリンセスが可愛らしい。
    「それでそれで、トレーナーさんからのプレゼントはどのような物なのでしょうか?私気になりすぎて若干寝不足気味ですわよ!」
    目をキラキラさせながらこちらを見つめる。そこまで期待されていると少し渡し辛くなってしまう、なんたって飾りっ気のない物なのだから。
    「プリンセス、誕生日おめでとう!これは俺からの気持ちだ!」
    店員さんに綺麗に包装してもらった箱を手渡す。プリンセスは箱を受け取ると、その場でぴょんぴょん跳ね回り、
    「ありがとうございますわー!ここで開けてもよろしい物かしら?早く中身を確認したいですわー!!!」
    「もちろん、開けてもらって構わないよ」
    では早速!と言いながらプリンセスが丁寧に包装を破り、箱を開ける。

  • 41◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:43:11

    「これは……靴、ですわね?」
    そう、プレゼントした物はウマ娘用の運動靴である。一応プリンセスらしく、桃色の可愛らしい色の物を選んだつもりだ。
    「誕生日に靴って言うのもどうかと思ったんだけど……トレーナーからのプレゼントならこういうのがいいかなと思って」
    頬を指先で掻きながら話す。少し頬が赤くなっているかもしれない。
    「ふふっ、靴をプレゼントされるなんて、まるでおとぎ話のお姫様のようですわね!感謝しますわ、トレーナーさん!」
    箱を持ちながら器用にその場で再び跳ねるように喜んでくれている。どうやら気に入ってくれたようだ。
    「靴……ですのね」
    ボソッとプリンセスが呟く。
    「あのっ、トレーナーさん!」
    「ど、どうした?」
    ずいっと近付いてくる。何か問題でもあったのだろうか。
    「そ、その……よろしければでいいのですが……」
    先程の元気な動きから一変、急にしおらしくなってしまった。
    「何か変な所でもあったか?サイズとかも問題ないと思うが」
    「い、いえそういうわけではなくてですね……その……」
    大きく深呼吸をしてから、プリンセスが話し始める。
    「靴を……履かせてもらっても、よろしいでしょうか?」
    その顔は、俺よりも更に赤くなっていたかもしれない。

  • 51◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:44:38

    プリンセスを椅子に座らせ、靴を脱いでもらった。何故か分からないが靴を脱ぐだけの動作にも目を惹かれてしまう。
    「お、お願いしますわ……」
    プリンセスはかなり緊張しているようだ。こちらにも緊張が移ってくる。ただ靴を履かせるだけのはずなのに。
    「わかった、じゃあまずは右から……」
    少し靴紐を緩ませてから、プリンセスの足を軽く掴み、靴を履かせていく。レースではあんなに速く走るというのに、今目の前にあるのは可憐な少女の足に他ならない。
    ゆっくりと履かせ、靴紐のを再度結んであげる。
    「大きさとかは大丈夫か?痛んだりしない?」
    「えぇ、問題ありませんわ……もう片方もお願いしていただけるかしら」
    やけに大人しい気がするが、今は置いておこう。もう片方の靴も丁寧に履かせてあげる。
    「………………」
    両方履いた靴をまじまじと見つめるプリンセス、やっぱり何かがおかしい気がするのだろうか。
    「……私、子供のころからお姫様になりたかったのですわ」
    ポツリと呟く。

  • 61◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:45:26

    「だからプリファイ以外にも色んなお姫様が出てくるお話を観ていましたわ、白雪姫に、いばら姫、そしてシンデレラ」
    「その中でも、シンデレラがガラスの靴を履いてお姫様だと気づいてもらえるのが特に好きだったんですの、あのお話では他の人でしたが、いつか王子様にそういう事をしてもらいたいって憧れていましたわ」
    靴から目を離し、こちらに向く。その顔は……とても柔らかな、優しい笑みを浮かべていた。
    「……叶っちゃいましたわ、今、ここで。王子様に、素敵な靴を履かせていただいちゃいました」
    「……!」
    「本当に、本っ当に素敵な誕生日プレゼントですわ!きっと一生忘れられない思い出になりますわね!」
    満面の笑みを向けてくれた。普段の笑顔よりも何倍も眩しく、綺麗に感じた。

  • 71◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:46:13

    「……光栄です、プリンセス」
    その笑顔を向けられ、こちらもついつい笑顔になる。プリンセスの夢が一つ叶ったのはとても喜ばしい事だ。
    「さぁさぁトレーナーさん!早くこの靴の履き心地を確かめたいですわ!グラウンドに急ぎましょう!」
    椅子から立ち上がり、俺の腕を掴んでグイグイと引っ張る。
    「あぁわかったわかった、一緒に行くか」
    たとえこの靴が擦り減り、違う靴に履き替えるとしても、この思い出はプリンセスの中で形となって残るのだろう、それがとても嬉しい。そして、俺も一生忘れないだろう。そう確信できた。
    「今日もぶっ飛ばしていきますわよ~~~!!!」
    走るプリンセスの足には、真新しい靴がキラキラと輝いていた。

    終わり

  • 81◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:47:53

    読んでいただきありがとうございます。カワカミプリンセスSSをまた書かせていただきました。よければ感想とかたくさんいただけると死ぬほど喜びます。

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 00:48:23

    こういうのがいいんだよこういうのが

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 00:48:30

    なぁ……正直に言わしてもらうけどさ

    最高すぎん?

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 00:48:43

    真っ当に尊いので語彙が消失しているのですがとりあえず生まれてきてくれてありがとう>>1

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 00:52:13

    尊さの過剰供給……成仏した……ありがとう……

  • 131◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:52:15

    反応が早くてありがたい…コメントありがとうございます。本当は2倍くらいの量あったんですけど色々あった結果半分くらいになりました。

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 00:55:33

    本当に……
    本当に尊い……
    幸せになってくれ……

  • 151◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 00:57:16
  • 16二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 00:59:40

    ア"ア"ア"ア"ア"ア"
    よう沁みる…

  • 17二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:03:02

    素晴らしいです!!(画像

  • 18二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:20:51

    プリンセス書いたらすごい人だ 乙

  • 19二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 07:56:18

    良きよき

  • 20二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 07:59:58

    ウマッ❤️

  • 21二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 12:46:46

    しゅき♡

  • 22二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 20:22:19

    このレスは削除されています

  • 23二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 20:32:01

    プリンセスとのイチャイチャはそのうち癌に効くようになるのでもっと書いてくださいお願いします

  • 241◆0QST4bqSOw21/10/23(土) 21:24:38

    感想ありがとうございます、励みになります。なのでもっとください(強欲

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