【SS】青色炭酸水

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:00:52

    聴き慣れたリズムの入店音が響く、席に座る私を見つけるなりその青雲の様な髪が跳ねた。
    「や、キング久しぶりー」
    「お久しぶり、スカイさん」
    席に座るなりスカイさんはソーダ水を頼む、この辺りでは珍しい青色の炭酸、彼女のカラーとよく似合う。
    「積もる話が多すぎるからさーどこから話そうかー」
    「そうね、今日話せなかったらまたしばらく会う機会も無さそうだものね」

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:01:30

    お互いレースを引退して就職をした身、同じ学校、同じ寮で過ごしていたあの頃とは違い合う事は少なくなった。
    海外に行ったエルコンドルパサーさんや北海道のスペシャルウィークさんと比べれば私たちは近い筈なのだが、予定が合わずこうして顔を合わせるのは数年ぶりになる。
    「いやー私が就職をするとはねー遠くの田舎でのんびり釣りでもとか思ってたんだけどさー」
    自分の近況を語るスカイさん、その左手の薬指には彼女によく似合うアクアマリンの指輪がはめられている。

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:02:00

    「ちょっと聞いてるキングー?」
    「聞いてるわよ!」
    そんな冗談を交えた昔から変わらない私たちの会話。
    飲み物を飲む為、会話が止まる、しばしの静寂。
    先に口を開いたのは私だった。
    「⋯⋯結婚、したのね」
    「⋯⋯うん、トレーナーさんと、まあ私にとっては元だけどさ」
    「おめでとう、心から祝福するわ」
    「ありがと、キング」
    そこから結婚式はいつにするだの、みんなを呼ぶ為にはいつ頃だのと再度話が弾み気が付いた時には別れの時間になっていた。

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:02:17

    「今日はありがとうね、久々に直接話せて楽しかったわ」
    「こちらこそありがとー久々にキングを揶揄うのは楽しいね」
    「もう、スカイさん!」
    「⋯⋯だからさ、今度はキングも指輪、付けてきなよ」
    「⋯そうね、考えておくわ」

    席を立ち先に支払いを済ませて店から出る。
    「さよなら、私の初恋の人⋯」
    スカイさんが呟いた言葉は炭酸の泡と共に弾けて消えた。
    私に聞こえない様に。

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:03:12

    最後にほんのりと苦味を差してくるこの手腕よ……

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:03:56

    しゅき……ありがとう……

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:14:45

    おつらい…
    実らない百合いいよね…

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:15:55

    >>7

    良い⋯

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:20:01

    良い話だった
    まずタイトルが手慣れた人のそれなのよ

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 01:21:28

    あっすき、めっちゃすき

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 02:04:54

    投稿時間以外は良かったから上げとくね⋯

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 08:49:36

    良い⋯

  • 13二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 16:27:53

    セイキンはカプ名以外素晴らしいな⋯

  • 14二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 20:40:21

    叶わない百合も良いわ⋯

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