- 1二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 00:55:41
- 2二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 00:57:44
お昼ごはんを邪魔されて口論になった後の夜とかにありそう
- 3二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 00:59:44
シェアアアアアア!
ニカチュチュ🥰
<a href="https://twitter.com/hashtag/水星の魔女" target="_blank">#水星の魔女</a> — こふろ (kofuro526) 2022年10月23日 - 4二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 01:08:43
- 5二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 01:59:20
俺の脳内会議ではチュチュが受けでニカ姉のねちこい攻めという結論が出たんだが他の有識者の意見も聞きたいっすね
- 6二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 02:08:16
書きたい気もするけど流石に初めて書いた上に1日に2つも書いたからもう書く力が...
- 7二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 02:16:10
スペーシアンに嫌がらせされてストレス溜まったらチュチュで発散してるってこと!?
- 8二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 02:17:09
雑にバチクソ抱くニカ姉
- 9二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 02:18:05
- 10二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 02:30:54
デートも恋人らしいこともリードするのはニカだけど告白だけはチュチュからだったみたいなのが好き
- 11二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 02:44:40
「久しぶりにチュチュでスッキリさせてよ」
「ちょっとニカ姉…」
いつもそうだ。
ニカねえは、あーしの気持ちもほったらかしで
自分の都合ばかり優先させる…
「ねぇ、チュチュ?」
ニカねえの指があーしのほっぺたから首をなぞる。
「……うん」
細くてしなやかにみえて、すごく意思の固いメカニック特有の指が
あーしの鎖骨の上に触れた。 - 12二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:06:23
このレスは削除されています
- 13二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:16:34
ギュッと、ニカねえがあーしを抱きしめて、
「今日もね、片づけてきたよ」
囁く──、
「嫌な奴、悪い奴……。ねえ、チュチュ。わたしは地獄行きだね」
「違うよ、ニカねえは、……そんなところに行かない」
「そうかな?」
あーしを抱きしめるニカねえの腕に、ほんの一瞬、力が入った。
「だって、」あーしも、ニカねえの身体に腕を廻して、
「ニカねえが……あーしらの代わりにやっつけたヤツラが順番だよ」
「そうかなぁ」身体を放して、ニカねえは微笑んだ。「満員かなぁ」
そしてニカねえは、おでことおでこをくっつけてきた。
ニカねえの体温……熱い。
ニカねえは、身体の内がいつも熱い。──地殻の下のマグマのように。 - 14二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:25:17
おでこを離してニカねえは、
「じゃあ、いいね……? チュチュ」
あーしはこくり、と頷いた。
「ありがとう……。やさしいね、チュチュは」
そんなんじゃないよ、ニカねえ。
あーしはそんなんじゃないよ……
「じゃあ、チュチュでスッキリさせて、……よ?」 - 15二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:26:56
──カァアアアアアアン!!!!!!
ゴングが、地球寮MSハンガーに鳴り響いた。 - 16二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:27:46
「来てよ、ニカねえ、武器なんか捨ててさ!!!!」
「素手がルールよ。チュチュ、言い掛りはみっともないわ!」 - 17二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:28:51
えっ
- 18二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:30:03
- 19二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:38:09
深夜3時なのに大声で笑っちゃった
- 20二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:39:14
((ウォオオオオオオ!!!!))
寮生たちの声・声・声!
雄叫びでMSハンガーが揺れる!
「やっちまえ!」
「いけぇ、8.6倍ィ!!!」
──毎週土曜の夜は、地球寮キャットファイトクラブなのである!
「さぁ! スッキリさせてもらうわよ、チュチュ!」
「上等だよ、ニカねえ!」
相対するふたりは、不敵に笑い合う。── - 21二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:45:07
そ…ッそうきたかァ~~ッッ!!
- 22二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:47:20
- 23二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 03:50:43
ああ、猫(キャット)だな...
- 24二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 04:09:01
キャットファイトクラブのルールその1
クラブのことを決して口外するな - 25二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 04:12:50
- 26二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 04:14:45
「イッパツかますぜ」ってそういう。。。
そうか拳か、拳の方だったか - 27二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 04:29:58
- 28二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 04:52:12
カチコミぃ!? 閲覧注意ってそっち!?
- 29二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 07:11:47
卑怯だぞ!?
- 30二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 09:05:29
ニカねえの飯にガム吐かれたときによく殴りかからなかったな
- 31二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 09:20:22
(顔、覚えた。あとで始末しとこっと)
闇討ち多発で、疑心暗鬼から
アーシアンとスペーシアンとの対立はさらに
渾沌と深まっていくのだった - 32二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 10:25:51
スレ立てて寝て起きたらキャットファイト始まってて草
ニカチュチュの無限の可能性ってこと!? - 33二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 10:29:23
- 34二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 11:00:09
「久しぶりにチュチュでスッキリさせてよ」
「ちょっとニカ姉…」
あーしの返事を待たずにニカねえは、
背中から抱きついてきて、両手をあーしの胸の前で交差させた。
「ね、いいでしょ、少し……」
ニカねえの声は、いつもの気を張ったそれとは違う
甘えた感じがした。
「ニカねえ……」
背中にニカねえの体温を感じながら、
あーしはニカねえの手に、自分の手を重ねた。
ニカねえの手は、少し荒れていた。 - 35二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 11:02:47
──あーしは、ニカねえの手が好きだ。
爪は綺麗に切りそろえられていて、
繊細でやさしいのに、固くて強い意思があるから。── - 36二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 11:06:27
「チュチュ、いいにおい……」
ニカねえは、自分の頭をあーしのふたつに括った髪の間に挟んで
すんすん、と鼻を鳴らした。
「やめてよ、ニカねえ。……今日、実習で汗かいてるから」
「やめない」
言葉通りニカねえは、すんすん、と
髪の匂いを吸うのを止めてくれない。 - 37二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 11:44:42
このレスは削除されています
- 38二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 11:46:24
──チュチュ玉だね。
ニカねえは楽しそうに笑って、
あーしは、括った髪をバカにされたみたいに思ったけれども、
──綿飴(コットンキャンディー)みたいで、かわいいよ。
それから、
──ほらっ。
鳥の羽のように優しく触れて
ぽんぽん、と軽く弾ませて、
(かわいい)
そういってくれたニカねえの笑顔が忘れられない。
すん、と胸の奥に染み入るような
ニカねえの笑顔。──
(ね? 甘いにおいがするよ?) - 39二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 12:40:21
スゥー、スゥー、ハァー。
スゥー、スゥー、ハァー。 - 40二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 12:40:31
「ね、ねえ、ニカねえ……」
「んー? 何かなー(スゥー)」
「やっぱり、ちょっと、」
「んー?(スゥー)」
「恥ずかしい……」
「そう?(ハァー)」
あーしは、ニカねえにされるがままだった。
……ニカねえ……どうして……。
どうして、あーしの気持ち……分かってくれないんだ……。
スゥー、スゥー、ハァー。
スゥー、スゥー、ハァー。 …… - 41二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 12:41:57
ニカねえに背中から抱きしめられ、全身で体温を感じて、
あーしは、ニカねえの〝お気に入り〟ぬいぐるみに甘んじた。── - 42二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 12:59:56
- 43二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:00:29
ファイトクラブとにゃんにゃんクラブを兼任すんじゃねぇ!
- 44二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:08:08
このレスは削除されています
- 45二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:08:21
このレスは削除されています
- 46二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:10:02
- 47二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:11:23
- 48二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:13:13
- 49二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:17:43
付き合ってないニカチュチュ、
「クソスペーシアンとかいなくて世界にあーしとニカ姉だけだったらいいのに」
「えー。生きていくの大変だよ」
「そういうことじゃない。ニカ姉のぼく念仁…」
みたいな会話してくれ~ - 50二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:18:47
「んふっ」
ニカねえが笑った。
「やっぱり……チュチュ吸い、ね」
あーしは答えられない。
「チュチュ? どうしたの?」
「……何でもない」
「もしかして……嫌だった?」
「そんなことない」
あーしはニカねえの手を、きゅっ、と握った。
握って分かってもらおうとした。
ニカねえの手は、あーしの手より少し大きくて
そして、──熱い。 - 51二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:23:21
「……ニカねえ。スッキリした?」
「まだかなぁ」
「どうしたら満足してくれる……?」
「チュチュはチュチュのままでいいよ?」
ギュッと、あーしを抱きしめる腕に力が入った。
「それじゃ……あーし、いつまでも、」
いいかけて、慌てて口をつぐんだ。
「どうしたの? チュチュ」
「なんでもない」
「変な子」ニカねえは笑った。
そして、耳元で囁かれた。──
「じゃあ、今度は、チュチュがスッキリさせてよ……?」 - 52二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:28:31
- 53二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 13:39:19
「今度は! チュチュが! スッキリさせて!!!」
- 54二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 14:25:06
ははーん、同意が多いとニカねえが欲しがりさんみたいになるんだな? そうだろ、えっ?
- 55二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 20:25:11
- 56二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 20:52:53
- 57二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 23:31:37
──今度は! チュチュが! スッキリさせて!!!
わたしは、声のかぎり叫んでいたと思う。
かわいい後輩の前で。
年上らしさも、先輩らしくもなく。──
ううん、チュチュ。分かっているよ。
こういうことに、年下も学年も関係ないよね……。 - 58二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 23:34:32
「いいよ、ニカねえ」
にこっと、笑う彼女は
(お日さまみたい)
晴れ晴れとした笑顔……。
わたしは、すっかりこの笑顔に参ってる(やられてる)んだな、って。
かなわないな、この笑顔。
分かってる? あなたのそういうところ。
あなたの笑顔。ちっちゃくて、慕ってくれて、信頼してくれて。
その全てが愛おしい。
チュチュ。──好きだよ。
大好きだよ。 - 59二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:15:41
「わかってるよね? ニカねえ……」
〝それ〟を手にした彼女が、
わたしの前に立ちはだかる──
わたしに選択肢はない。
(久しぶりにチュチュでスッキリさせてよ)
頼んだのは、わたしだ。
小さなかわいい彼女に、懇願したのは、他ならぬ、わたしなのだ。 - 60二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:25:06
- 61二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:49:26
「ニカねえ、やるよ……」
チュチュが持っているのは白い棒状の樹脂製の──、
カチッと彼女は、スライドスイッチをオンにした。 - 62二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:55:35
ウ”ィィィイイイン……
それは偏心モータで振動する── - 63二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 00:57:06
ウ”ィィィイイイン……
「あっ、まって、チュチュ……、」
「ダメだ、ニカねえ。堪忍しな」 - 64二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:04:46
チュチュは、わたしを押さえつけ、
ウ”ィィィイイイン……
「あっあっ」
彼女が〝それ〟を、わたしの体内(なか)に、
湿った粘膜の間に、
ゆっくりと押し込んでくる。── - 65二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:35:14
ミントの香りが鼻腔を満たした……。
「しかっりしてよ、ニカねえ」
チュチュは、口を大きく開けたわたしに
呆れた様子……。
「あーしがやってあげるンだから……」 - 66二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:35:28
──ウ”ィィィイイイン……!!!!
電動歯ブラシが、地球寮洗面所に鳴り響いた。 - 67二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:35:41
このレスは削除されています
- 68二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:36:05
「きちんと磨けてないじゃん、ニカねえ」
「ごめんなさい、チュチュ」 - 69二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:36:32
──毎週日曜の夜は、地球寮「虫歯を無くそうサンデー」なのである!
「スッキリしてもらうからね、ニカねえ!」
「うん。ありがとう……」
泡となった歯磨き粉が小さな斑点にとなって
ふたりを写す鏡に散っている──。 - 70二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:36:47
~衛生編・完〜
- 71二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:38:18
- 72二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:39:47
- 73二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:42:23
また性欲持て余してる、この色ボケスペーシアン!
- 74二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:44:12
気ぶり父子に続いて百合好きモブ不良概念が誕生してる…
- 75二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 01:50:47
- 76二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 02:03:18
- 77二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 12:32:38
age
- 78二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 13:04:52
- 79二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 14:54:18
来週以降出番なさそう(ニカねえ的に
- 80二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 14:58:42
地球寮の畜舎の一画に鎖で繋がれている学生がいるらしい(学園七不思議のひとつ
- 81二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 15:04:04
ひとにやってもらう歯磨きってものすごく気持ちがいいからな、定期的にやって欲しいと思うのも無理はない
- 82二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 22:07:29
>>81 耳かきもいいぞ。。。
- 83二次元好きの匿名さん22/10/25(火) 22:11:53
- 84二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 00:07:00
「久しぶりにチュチュでスッキリさせてよ」
「ちょっとニカ姉…」
わたしの言葉に、チュチュは顔を背け、
「……ニカねえは、いっつもそうだ」
拗ねたように唇を尖らせた。
分かってるくせに……。
そんな不機嫌な顔も愛おしい。
でも──、
笑顔の方が、もっといいよ。
ね? チュチュ。 - 85二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:13:56
わたしはチュチュのことが好き。
チュチュの笑顔が大好き。
あの日から、ずっと── - 86二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 01:18:38
彼女はいつも電荷を帯びたオゾンのような匂いを発していた。
──入学してから、
入寮してもまだ。──
「なに見てンだよ!」
時に、頬に打ち身をこさえて。
「見せ物じゃないンだよ!」
目の周りを赤紫に腫らして。
「バカ野郎!」
手に拳に、擦過傷を負って。
「あッんの、スペーシアン……ッ!」
彼女は、ずっと、帯電していた。
全身の毛が逆立つかのように。──
彼女の心はいつも、ささくれ立っていた。 - 87二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:32:02
いつしか抑えることばかりに腐心していた自分と違って、
彼女は真っすぐだった。
眩しいくらいに。──
固く、強く、けっして曲げないその姿。
まるでそう、
(お日さま)
地球で見上げる太陽のよう。
一年後輩として入ってきた彼女をわたしは
──疎ましい、
とさえ思った。── - 88二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:32:30
このレスは削除されています
- 89二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 02:42:12
ここは地球じゃない。
宇宙でもない。
〝学園〟なのだ。
権力と生まれと育ちの権化──。
階級社会の顕現。
彼女は、火種になる。
わたしは、思った。
彼女は、チュアチュリー・パンランチは、
──地球寮を、わたしの生活を、危険に晒しかねない。 - 90二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 05:02:11
わたし、ニカ・ナナウラの学校生活を──
- 91二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 09:58:22
嫉妬ニカチュチュはいいぞ
ニカチュチュ
<a href="https://twitter.com/hashtag/水星の魔女" target="_blank">#水星の魔女</a> — 河丘さちお (s_kawaoka) 2022年10月23日 - 92二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 13:58:07
彼女の素行について、
寮長が注意をした。
余計な油を注いだだけだった。
「年上だからって、あれこれ指図するなッ」
それでも、一年は、一年だ。
何かにつけて物に当たる彼女を好きになれなかった。
四季のないこの宇宙、この環境、この学園。
世界はUTC──協定時間で動いている。
どうして彼女は分からないのか。
一年は、一年なのだ。 - 93二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 14:14:34
直ぐにその場で相手を叩きのめす姿は
一部の寮生には人気で、
──チュチュ。
親しみを込めて、彼女はそう呼ばれるようなった。
わたしは思う。
彼女は〝我慢〟を憶えるべきだ。
ここは、地上じゃない。
宇宙(そら)の上だ。
誰彼構わず突っかかる。
危うい。
なのにわたしは、彼女を止めなかった。
いや、そもそも
関わりたくなかった。── - 94二次元好きの匿名さん22/10/26(水) 20:49:55
- 95二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:30:42
わたしの受けたいやがらせに
彼女が勝手にお礼参りをした。
──余計なことを。
出来るのなら、わたしだってしたいのだ。
でも。
指は、手は、──大切な道具だ。
怪我をしたら、それこそ意味がない。
相手の思うつぼ、そのものだ。
だからわたしは、
争うことから
避ける、を選んだ。──
彼女には分からないだろう。
口より先に手が出るような
あの子には。 - 96二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:33:06
──それから暫くして、
「訊いたンだけどさ、」
ひとり遅くまで残って作業しているわたしのところへ
やって来た彼女は、探るように口を開いた。
「去年はかなり、その」
「いわしてた?」
「そんな感じ……」
「うん。それで?」
「なんで大人しくなったのかな、って」
「誰がそんなこといったのかな。教えて欲しいな」 - 97二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:33:27
「いや。ムリ。怖い」
「なにが?」
「その顔、──」
「うん?」
「なんで工具、握ってるの!?」
「大事な〝道具〟だから」
「怖い! そういうところが怖い!」
これで暫く彼女が大人しくしてくれたらいいのだけれども、
と、わたしは淡い期待をした。 - 98二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:35:20
「信じられない。メカニック科でしょ? 大事にしないと
……手とか、工具とか」
「パイロット科だって、手は大事でしょう」
「何とかなるんじゃないの」
彼女はどこか、むすっとしいった。
「あーしの所為で、誰かが怪我するのは嫌だ」
それには少し驚いた。
身勝手な子だとばかり思っていたのに……。
「なに? 顔になんかついてる?」 - 99二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 00:35:30
彼女がぎりっと睨みつけたので、
「ええ」わたしは首肯する。
「目が二つに、鼻と口が一つずつ」
「ああッ!?」
「冗談よ」
「あああッン!?」
「うるさいわよ」
「えっ」
わたしは人差し指を彼女の唇に添えて、
「しーッ」と、鋭く囁く。
彼女は怒りか、みるみる頬が紅潮していく。
──分かりやすい子。 - 100二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:12:11
チュアチュリー・パンランチが捕まった。
いずれ、その日が来ることは分かっていた
あんなことを続けていれば自明だ
そして、
わたしには関係ないこと──だった。
「何してくれてンだァ!!!!」
わたしの怒りは有頂天だった。
違う。
怒髪天を衝いた。
(しかし、ある種の〝娯楽〟なのは否めない)
──ここは学校。治外法権。
権力と生まれと育ちの権化。階級社会の顕現。
闘技場そのもの。
勝手にお礼参りをして、勝手に捕まって、
つまり、全部、わたしたちの気持ちの代弁で、
だから、わたしは〝怒り〟の矛先を定めそして、
わたしの〝怒り〟は寮全体に伝播しそして、
わたしたちは、武装して乗り込んだ。 - 101二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:12:28
覆面代わりにオレンジ色の警備ドローンを模したそれを被り、
パイロットスーツを改造した全身黒ずくめの姿で、
──つまり、かなりの質の良い防護服、プロテクター完備の出で立ち。
その格好を〝反省を促す〟スタイルと、誰かが呼んだ。
反省するのは──彼らだ。
決して、わたしたちでない。 - 102二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:14:11
こんなこともあろうかと、
常日ごろ準備している。
古くからの警句──備えよ、常に。
資材から作った槍、盾、棍棒。
最も原始的な武器、凶器。
(野郎共、道具は持ったか!!!)
わたしたちは学校の備品を持ち出して決闘なんかしない。
わたしたちには、専用の新型MSなんてものはない。
わたしたちにあるのは──
人の心、だ。
原始の咆哮で埋め尽くし
──小さな女の子を助け出した。 - 103二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 02:14:25
学内警備ドローンの目は、事前に遅効性塗料で潰しておいた。
(こればかりは入手に難儀したが、それだけの価値はある)
そして、そのドローンと同じものを被ったわたしたちが
今、凶器を準備し集合し、戦いに出た。
──なんて皮肉。
警備ドローンの姿で、暴力を働く。
首謀者は、分からない。 - 104二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:13:24
チュアチュリー・パンランチ〝救出作戦〟は
一筋縄でいかなかった。
当然だ。
相手も、それを見越している。
けれども、わたしたちに分があった。
強襲が効いた。
道具が舞った。
暴力が応えた。
ボコォ……!
わたしは得物を、数多もの相手の頭に、胸に、胴に、股間にと、
目一杯めり込ませ、沈めた。
「わお」
満身創痍の彼女が、にこっと笑った。
「やるじゃん」
お日さまのような笑顔、だと思った。 - 105二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:13:38
ピィィィ──!
呼び子を咥えて、合図を送った。
四方から火炎瓶が投げ込まれ、炎と黒い煙が充満した。
それを目くらましに、
わたしたちは三々五々に分かれ、
追跡をかわした。
──わたしは彼女と一緒だった。 - 106二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:13:50
「あーしのこと、嫌いだと思ってた」
縛られていた手首をほぐしながら、彼女は訊いた。
「……なんで?」
ああ、そうか。
「あなたは、知らなかったね」
「ど、どういうこと……?」
「見た通りよ」
「でも、」
「質問が多いよ、チュアチュリーさん」
それきり彼女は黙っていた。
その方が良かった。
でも、
彼女は黙っていられない性分であった。 - 107二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:14:00
「あーあ。あいつらのせいで、すっかり遅くなっちまった」
「そうだね、チュアチュリーさん」
「その、さ、」
「ん?」
「その、チュアチュリーって、やめてくんない?」
「そう?」
彼女はこくり、と頷いて、「チュチュ、でいいよ」 - 108二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:15:14
「──チュチュ」
試しに声に出してみた。
転がるような響きを
(かわいい)
と、思った。
下腹部に、ほんのりと暖かみを感じるような……
彼女はパッと顔を輝かせ、
「うん! あーしはさ、その、」
もじもじとする彼女に、わたしは
助け船を出してやった(ご立派ね。わたし)
「ニカ、でいいよ」
「ううん!」勢いよく頭(かぶり)を振って、
──ニカねえって呼んでいい!?
予想外の変化球に、たじろいだ。 - 109二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:15:25
彼女は目をキラキラとさせて、
疑うことも知らない無垢な瞳そのもので、
──弱った。
と、思った。
だから、
「えっと、〝ねえ〟……は、ちょっと、」
「ダメ?」
「んん~……」
「ダメ? ニカねえ、ダメ?」
哀しげな顔。困った顔。
もう、どうしたらいいの?
こんなにも開けっ広げで晴れやかで、
──かわいくて。
だからわたしは、
「──いいよ」
「やった!」 - 110二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:16:06
よろしい。認めよう。
わたしが彼女を避けていたのは、
彼女を疎ましく感じていたのは、
彼女に近づきたくなかったのだ。
こうなることが分かっていたから。──
きっと彼女も、チュチュも、
わたしの向ける視線に
何か感じ取っていたのだろう……。 - 111二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:16:53
不意に、ぐう、とチュチュのお腹が鳴った。
チュチュは顔を真っ赤にして、「ちちち違うから!」
「違わないでしょう」わたしはくすくす笑いが止まらない。
さらに今度は、ぐううう……と長く長くお腹が鳴った。
「お腹、空いたでしょう?」
わたしがいうと、チュチュは観念したように、
「……空いた! すっごく空いた!!」
わたしはくすくす笑いがおさまらくて、
「遅くなっちゃったもんね」
「そ、そうだよ! あー! 学食、閉まってるかも!」
「だいじょうぶだよ」 - 112二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:17:06
寮に戻ったわたしたちは、真っすぐ食堂に向かった。
案の定、すでに片づけられた後だった。
けれども、これも計画の内。
皆、ここに集う手筈なのだ。
わたしは食料庫と冷蔵庫を開け、
材料を取り出した。
「お蕎麦だから」
「えー」不満そうなチュチュに、
「天ぷら蕎麦だから」
海老を見せても、やっぱり不満そうなチュチュにわたしは、
「お蕎麦はね」
──痩せた土地でも作れる。
だから、
「貧しい人の味方だった時代があるの」
「ふーん」 - 113二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:17:31
「庶民が食べるようになって、いつしか城下町の名物にまでなったのよ」
「ふーん」それから、チュチュは、ふと、「ねぇ、ニカねえ」
「ん?」
「あーしも、〝名物〟になれるかな」
「充分、地球寮の〝名物〟だよ、チュチュは」
わたしたちは、戻ってくる他の寮生の分も
一緒に作った。 - 114二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:18:33
やがて、皆が揃って、皆で集まって
皆で食事の準備をした。
打ち身、捻挫、打撲の痕は、痛々しくも誇らしかった。
煤けた顔は輝いて見えた。
ゆで上がったお蕎麦に、海老天と刻んだネギを乗せた。
皆、好き好きに食堂のテーブルに着いた。
わたしとチュチュは、食堂の隅のテーブルに着き、
「ありがとう」食事の前に彼女は、
皆に向かって頭を下げた。
誰もが気持ちの好い笑顔で応えた。
そして、
「いただきます」
寮長の号令で、変な時間の食事になった。
わたしは、お箸を手に取った。 - 115二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:18:57
「ねえ、ニカねえ」
「なあに?」
「このエビのフリッター、衣が剥けちゃって、」
「衣は、お汁に浮かべたらいいいよ。
それがネタ抜きの〝たぬき蕎麦〟って呼ぶの」
「えー」なんだか納得いかない、
そんな顔のチュチュもかわいくて、
だから、わたしは笑いながらお蕎麦をすすった。
お蕎麦は、温かくて、やさしくて、地球の大地の味がする。 - 116二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:19:09
四季のないこの宇宙、この環境、この学園。
世界はUTC──協定時間で動いている。
一年は、一年なのだ。── - 117二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:19:38
ゴォォオオオオン……。
除夜の鐘が地球寮に鳴り響いた。 - 118二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:20:07
「「今年も! 一年! お世話になりましたァ!」」
──毎年、大晦日の夜は、地球寮「ゆく年くる年」なのである! - 119二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:20:18
食べ終わった食器を洗って拭いて水切りに置いて、
部屋に戻る道すがら、
「さぁ! 初詣の準備だよ、ニカねえ!」
「そうね。でも、その前に」
わたしは下着とタオルを持って、「お風呂、行こう?」
「うん!」チュチュは笑顔で頷いた。
そのまぶしい笑顔。晴れやかな笑顔。
──わたしの大好きな笑顔。
わたしはチュチュの裸体に思いを馳せる。 - 120二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:20:40
「ニカねえ! 背中流してあげるよ!」
その申し出にわたしは
下腹部の情欲を気取られないよう、戯けて見せた。
「チュチュに三助なんて、うまくできるかなー?」
「今年の汚れはぜんっぶ落として、
新年に向けて、スッキリさせたげるから!」
チュチュの笑顔はいつだって
(お日さま)
あと小一時間で年が明ける。
洗面器を抱えたわたしたちは、並んで浴場に向かった。 - 121二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 03:21:19
- 122二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 07:33:39
超乙!!!
- 123二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 08:32:03
「あーしは、ニカねえだけがいればいいよ」
不意に、チュチュは言った。
「うーん。それは大変かな」
「いいじゃん、ニカねえ。学校なんか抜け出してさ」
「でもね。宇宙は用意されたものしかないんだよ?
誰もいなくなっちゃったら、水も食べ物も、
機械の整備も、燃料だって、──」
わたしはチュチュの気持ちを分かっていて、わざと言った。
チュチュとふたりきり……この世界から抜け出して……
大宇宙に向かって……ふたりきり、ずっと。いつまでも。
そうできたら、どんなにいいだろう。
けれども、わたしたちもまた、カゴの中の鳥とそうかわらないのだ。
- 124二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 08:32:36
「そういうことじゃなくて」
ぷくっと、チュチュは頬を膨らませて、
「ニカねぇのぼく念仁……」
「ふたりだけの世界。難しいね」
わたしは膨れたチュチュの頬っぺたをつつきながら、
「でも、地球ならどうにかなる……かも、ね?」
「そう……だね」
寂しそうな顔をしたチュチュをわたしは、
たまらなく愛おしいと思う。
地球は、大地は、今日も赤い血で濡れている。…… - 125二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 14:57:50
アスティカシア高等専門学園、地球寮には、
「開かずの間」があると、いわれている。
チュチュことチュアチュリー・パンランチは、
ただのウワサ話だと、早々に決めつけていた。
どこにでもあるような、安い怪談噺──新入生いびり。
ひとつ上の学年のメカニック科寮生
ニカ・ナナウラに関係する「怪談」であることを知るまでは。…… - 126二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:05:36
一日の汗をスッキリと洗い流した浴場から自室へ戻るところ、
バチッと爆ぜるような音を聞いたと感じた瞬間、
うなじから全身に痛みが走った。
チュチュは自身を支えられなくなり、冷たい廊下に崩れた。
スタンガン……。
誰が、どうして。
地球寮の中では、安全だと思っていた。
スペーシアンが我が物顔で跋扈している外に比べればずっと──。
バチッ!
2度目の衝撃で彼女の意識は、混濁から渾沌の奈落へと落ちていく。 - 127二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:13:37
暗黒ニカ姉
- 128二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:16:18
>>127 失礼なこというにゃー?
- 129二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:31:39
コーホー……コーホー。
コーホー……コーホー。
規則的だが異質な呼吸音を聞きながら
チュチュは目覚めた。
ボルトで床に固定された椅子に全裸で
両手両足をやはり結束バンドで固定されて。
オレンジがかった電球色の円筒ライトひとつが
彼女の全身を舐めるように照らしてた。
襲撃者とおぼしき姿の者は、
頭に学内インフラ制御ユニット、通称「ハロ」そっくのものを被っていた。
──カボチャ頭め……。
服装は、パイロットスーツの転用か
黒一色の、体格の分かりにくいものであった。 - 130二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:35:15
コーホー……コーホー。
コーホー……コーホー。
その足下に、湯上がりに着ていたものが
きちんと折り畳まれて、洗面器の中に積まれていた。
一番上に置かれたパンツはクロッチがよく見えるよう
裏返しにして置かれている──。 - 131二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:49:40
「いったい何が目的だよ……」
未だ充分にはっきりとしていない頭で、チュチュは問うた。
自分の声すら、遠くから聞こえる。
水の中で喋っているような──。
ハロ頭はしゃがんで下着を手に取ると、
両手で横に広げ、顔を近づけ、
コーホー……コーホー。
コーホー……コーホー。
一日の汚れを確かめた。
チュチュは恐怖と羞恥でのけ反った。 - 132二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:50:20
コーホー……コーホー。
コーホー……コーホー。
オレンジ色のハロを被った
謎の襲撃者の荒い息遣いが部屋に満ちる。── - 133二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 16:59:39
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- 134二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:13:52
- 135二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:16:31
臭うぞ、おまえのアソコが
ーー「羊たちの沈黙」より。 - 136二次元好きの匿名さん22/10/27(木) 17:26:38
- 137二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 01:43:10
「またスレッタじゃん・・・」
ぼそりと、でもハッキリと遂にあーしの口から漏れ出してしまった。嫌な感情、子供っぽい嫉妬心。ニカ姉はまだ、何も言わない。
「なんでそんなにあのスペーシアンにかまうんだよ」
一度溢れ出した不満は、流れて流れて止まらない。その言葉を聞いたニカ姉はほんの少し考えるような仕草をして、そしてあーしを抱き寄せた。ふわりと、ニカ姉の香りに包まれる。
「チュチュってば、もしかしてヤキモチ?」
顔は見えないけど分かる。ニカ姉は今、絶対にやにやしてる。だったその声は軽快で、あーしの頭を撫でる手つきはさっきよりもずっと優しいから。
「・・・そうだよ。わざわざ言わないでよ。ニカ姉のバカ。ぼく念仁」
「ふふっ。かわいいなあ」
「意地悪なニカ姉は嫌いだかんね」 - 138二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 01:45:30
ニカ姉からあーし以外の人間の名前がたくさん出たこと。スレッタを助ける時間で、一緒にいられる時間が盗られたように感じてしまったこと。それらがただ気に入らなかっただけ。幼い嫉妬心がコントロールできないだけなんだ。あーし以外、誰も悪くない。ぎゅっと、ニカ姉を抱きしめ返す力が強くなる。
「ごめん。ニカ姉もスレッタも悪くないのに」
「大丈夫だよ。それに私嬉しいんだ。妬いてくれるってことは、チュチュがそれだけ私のこと好きってことでしょ?」
「・・・」
「いやー。私ってば、愛されてるな~」
なんか急に恥ずかしくなって、地蔵みたいに固まって何も言えなくなる。普段から好きだと素直に言えないあーしだから、余計に気まずい。膨大な好意の隠し場所だった心の奥から漏れ出た嫉妬心のせいだ。
「そうだよ。ニカ姉にはあーしだけ見てほしいって思ってる。誰にも渡したくないんだ。・・・好き」
最後の方は消え入るような声で、ニカ姉に聞こえたかは分からない。けど、もう全部言ってしまおうと思った。 - 139二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 03:26:59
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- 140二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 03:28:44
- 141二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 04:20:02
つづく。
- 142二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 04:20:12
立ち上がったハロ頭は下着をポケットにしまい、
──理由は分かっているか。
四方から響いた音声変換器を通したハロ頭の言葉は、ザラついて届いた。
目の前の人物から発せられたものかも定かでなく、
囚われのチュチュは、だから余計に混乱する。
無指向の加工された音声が吐き気を誘発する。
「……気分が悪い、」
するとハロ頭は暗がりに一度消え、
直ぐに戻ってきた時には、片手に水の入った透明ボトルを持って現われた。 - 143二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 04:20:22
キャップを捻って開けた音に、未開封だったことを理解したが、
チュチュは、ボトルから水を飲ませようとするのには抗った。
だが、思いの外強い力で頭を押さえ込まれ、
飲み口が唇をこじ開け、入ってきた。
水は、何の変哲もない、ただの水の味がしたが、
チュチュは嘔吐いて、ゲボ、と、戻した。
胃液と唾液の混じったものが、口から糸を引いて垂れた。
──飲め。
ハロ頭は彼女に強要した。
答えようと開く口は、ボトルで塞がれ
ボトルの中身の殆どは体の奥まで流し込まれた。
一部は、肌の上を顎から首、胸とお腹を伝いそして
足の付け根から坐った座面を濡らして、
床に黒い染みを作った。 - 144二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 04:30:12
──お前はやりすぎた。
咳込むチュチュに構わず、
空になったボトルを手にしたまま、ハロ頭は言った。
──誰彼構わず喧嘩をふっかけ、暴力を厭わないのは
全体の利益を損なう。
「……あーしの、勝手だろ」
水が腹の中で波打っているのが分かる。
万全にほど遠いのも分かる。
だが、チュチュは、彼女の芯は、
まだ折れてなかった。
「こんな真似して、只で済むと思うなよ……」
──ホゥ。
ハロ頭は小首を傾げ、少しは見直した
かのような仕草を見せたが、
冷たく言い放った。
──お前を剃毛する。 - 145二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:04:38
スペーシアンは、その環境故に剃毛している。
良家の子女なら、永久脱毛を済ませてある。
たとえば歯列矯正のように。
対してアーシアンは……自然であることが、誇りであった。
しかし、宇宙生活はそうとは限らない。
それでも、アーシアンは……大地生まれの矜持があった。
大地で生まれ、大地から訪れた来た民なのだ。
だから彼らアーシアンは、そこを美しく整えることで
アイデンティティを確立していた。
それを剃り落とされることは、
取りも直さず罪人の証であった──生え揃うまで。
もしシャワールームで誰かに見られたら。
浴場で誰かに知られたら。
恥辱で、いたたまれなくなる。
裏切り者、科人の烙印を押される。── - 146二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:05:00
このレスは削除されています
- 147二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:05:41
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- 148二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:06:30
──スッキリお股の割れ目ちゃんにする。
「あーしのカントだぞ!」
──これは〝警告〟だ。
「ふッざけんな!!!」
チュチュは暴れたが、かなしいかな
手足を縛られ、椅子も固定されているところで
所詮は無力であった。 - 149二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:07:35
……シャッシャッシャッ。
二つ折りの西洋剃刀の刃が、革砥の上を滑る。
……シャッシャッシャッ。
執行までの猶予時間。
……シャッシャッシャッ。
シャボンを、泡立てブラシで攪拌し、
クリームに仕立てた。
片手に剃刀、片手にブラシを持ち、
──動くと怪我をするぞ。
剃刀をヘソのすぐ横に当てながら、
彼女の足と足との間に、丁寧に泡を塗った。
チュチュは、その様を涙で滲んだ瞳で懇願した。
「やめて……ください……」
剃刀が泡の中に沈み、肌に触れた。
ソリ、と刃が肌の上を滑った。
泡の軌跡もろとも剃り落とされる。
──チュチュは折れた。 - 150二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:08:24
〝狂犬〟の二つ名は、
毛と泡と共に、地に落ちた。── - 151二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 06:10:37
足を伝って滴り落ちる
下腹部から漏れでた暖かな液体が
床の上の染みを黒く塗り広げた。 - 152二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 08:00:46
まだ続くンかい(゚Д゚)
- 153二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 08:23:57
何やってんっだニカ姉
- 154二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 12:23:02
深くて重い、暗い水底から
ゆっくりと意識が釣り上げられていく。
物音で気が付いた。
仄か暗いが、寮室だ……。
憶えのない内装とにおいをチュチュは感じた。
誰かの部屋と間違えたんだ。
ベッドに中、枕の上で
チュチュはぼんやりとした思いで視線を動かした。
細身の生徒の後ろ姿が目に入った。
タブレットの放つ光が
瞳で反射し、長い睫毛を煌めかせる。
浮かび上がった柔和な横顔そして
黒髪にブルーのメッシュ……
メカニック科のニカ・ナナウラ先輩その人であった。
どうして……。
ふと、ニカはテキストから顔を上げ、
まだ意識半ばというチュチュに気が付いた。
「目が覚めた?」 - 155二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 12:23:18
チュチュが訊ねるより先に
ニカが答えた。
「格納庫裏で倒れてたの」
立ち上がったニカは、
ベッドの中のチュチュのそばで腰を下ろし、
憚るような声音で言った。
「裸で……」
チュチュの顔から
すうっ、と、血の気が引いた。 - 156二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 12:24:23
慌ててチュチュは自分の股を探った。
夢じゃなかった。──
それを察してか、ニカははじけるように、
「見てないから! 知らないから!」
終わった。チュチュは確信した。
つるつるを、知られたのだ。──
「何があったか、……憶えてる?」
ニカの問いにチュチュは答えられない。
「どんな小さなことでも、」
「話したくない」 - 157二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 12:24:45
その声は、到底自分のものとは思えないほど
ひどくしゃがれていて、チュチュは咳込んだ。
慌てたニカが水のボトルを持ってきて、
そ、っとチュチュの頭の下に手を差し入れ、
(飲める?)
水は、ただ普通の水の味がした。
非現実的な一日が終わり、
日常が戻ってきたことを
チュチュは感じた。
残酷な、日常が。 - 158二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 14:27:56
チュチュはシャワー室に行かなかった。
否、行けなかった。
自室で濡らしたタオルで身体を拭って、
しかし洗髪は諦めた。
ひとが臭い始めるのは、何日目からだろう。
下の毛が生えそろうのは、どのくらいかかるのだろう。
チュチュは授業も生活も
日常の何もかもが
身に入らなくなった。 - 159二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 14:28:46
自室から出れなくなったチュチュの元に、
来訪者があった。
無視をしようとしたが、ノックの音は諦めなかった。
しつこかった。
根負けしたチュチュは、噛みつくつもりでドアを開けると、
ニカが立っていた。
咄嗟に閉めようとするより先に、
ガツッとつま先がさし込まれて阻まれた。
「あのね、チュアチュリーさん。これ」
彼女が手の中に滑り込ませてきたのは小箱で、
「良かったら、使って」
──恥毛カツラだった。
存在は知っていたが、見たのは初めてだった。
チュチュこと、チュアチュリー・パンランチは泣いた。
優しさが、時に残酷になることを知って。
胸を貫く痛みに、チュチュはひとりで耐える。
ハートに亀裂が入るのを感じながら。 - 160二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 14:44:54
- 161二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 14:46:36
- 162二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 15:50:55
──「ありがとう」と「ごめんなさい」を素直に言える人間になれ。
チュチュの心は確かにボロボロであった。
しかしまだ砕けてはいない。今はまだ。
チュチュは、皆が寝静まった時間に、こそっと自室を抜け出て
ニカの部屋へと向かった。
ニカが遅くまで勉学に励んでいるのを知っている。
はたして、ニカは起きており、戸口でチュチュを迎えた。
チュチュは先日の礼を言ったあと、
ついでのように自然に訊ねた。
「なんであーしに構うの?」
するとニカは、
「うーん、そうね」少し考え、「たまたま拾っちゃったから、かな」
「ハァ!?」 - 163二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 15:51:16
「最後まで面倒を見られないのなら、手を差し伸べてはいけない。
そういう諺があるよ」
言いながらニカは間合いを詰めて、
「それとも、嫌だった?」
微笑むニカに、チュチュは顔を背ける。
──ひとの善意を素直に受け取れる人間になれ。
そう教えられてチュチュは育った。
だから、──
「先輩の! 部屋に! 引っ越して! いいですかッ」
「チュアチュリーさん。あなた臭いので、ちょっと」
チュチュのハートは、今度こそ粉々に砕けた。 - 164二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 18:39:52
だから、一緒にお風呂、行こう?
残酷な天使が、微笑みを浮かべて誘ってきた。
「でもッ……」
「ん?」
「あーしは……行けない」
するとニカは、
「大丈夫よ」
アハッと明るく笑い、
「こんな時間だもの」
しかしチュチュの気持ちは晴れない。
「……閉まってるし、」
こんな時間だから。
なのに「平気、平気」
ニカはあくまでも朗らかだった。
──アスティカシア高等専門学園、地球寮では
先輩後輩間でライフハックが受け継がれる。 - 165二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 18:40:07
その日を境に、二人の距離は近づいた。
誰から見ても、ただの先輩後輩の間柄でなかった。
互いに「チュチュ」「ニカねえ」と呼び合う仲は
時に冷やかしの対象になったが、
「あーしはニカねえの〝もの〟だもん」
人目も憚らず公言する小さな後輩と、
「わたしは〝誰のもの〟でもないかなぁ」
ちょっと意地の悪い先輩の関係が出来た。
チュチュの胸に開いた穴には、
ニカの存在がきっちりと納まっていた。 - 166二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 19:40:13
ふたりは放課後を共に過ごし
休日を共に過ごし、
幾夜を共にした。──
ニカは、チュチュにとって〝大地〟だった。
〝根付く〟場所そのものであった。
ニカの胸の中でチュチュは、
ただの女の子にすぎなかった。
そして暗転する。
幸福の小道が奈落へと続くのは世の常である。 - 167二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:14:51
ニカの部屋を訪れたチュチュは
主不在であったが、
──あーしとニカねえの仲だもん。
勝手に入って、勝手に下着を漁った。
──ニカねえのにおい。
チュチュはうっとりとした。
自分の下着と比べて、落ち着いた色と生地と作りに、
──いつか、こんなのが欲しい。
欲望が、胸の内でゆっくりと鎌首をもたげた。
次の休み、一緒に買い物に行こう。
ニカねえに、下着を見繕って貰おう。
それは素晴らしい考えに思えた。
パールピンクのサテン生地、
レースとリボンのついたショーツを鼻にあて
胸いっぱいに吸い込んだ。
ニカねえは、どんなのが好みなのかな……。 - 168二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:15:09
選んでもらった下着を着ける自分を想像して、
──ばかっ。
自分を叱った。でも顔の緩みは、抑え切れない。
指先が、何か異質なものに当たった。
──なんだろう。
それは銀色の真空パウチだった。
中身は分からない、が。
──ニカねえの字だ。
日付が書いてある。
その日付が妙に引っかかる。
チュチュは、パウチを指で押してみた。
中身は柔らかそうな、なにか、だ。
チュチュは本能で封を切っていた。
憶えのあるものが出てきた。 - 169二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:15:22
真空パウチに封じ込められていたそれを引っ張り出し、
広げるまでもなく、──理解した。
「チュチュ?」
いつの間にか真後ろに部屋の主が立っていた。
彼女はいつも通り、顔にやさしい笑みを浮かべて、
──どうかしたの?
チュチュは自分のものだったパンツを握りしめ、── - 170二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:15:51
- 171二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:16:04
アスティカシア高等専門学園、地球寮には、
「開かずの間」があると、いわれている。
チュチュことチュアチュリー・パンランチは、
どこにでもある安っぽい怪談噺、
新入生いびりの話だと、高を括っていた。── - 172二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:16:14
「久しぶりにチュチュでスッキリさせてよ」
と、ニカ・ナナウラは微笑む。 - 173二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:16:45
歪み愛 〜地球寮の魔女~ 完
- 174二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:17:11
おい!!ここからだろ!!??
- 175二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:18:03
- 176二次元好きの匿名さん22/10/28(金) 21:23:58
勝手に満足してんじゃねえ!
- 177二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 02:58:03
チュチュからニカ姉に告白するSSを思いついたから投げます
- 178二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 02:59:09
心臓がありえないスピードで鼓動を刻む。足が震える。今、あーしは人生最大の賭けに挑戦しようとしていた。そして、目の前にはニカ姉がいる。優しい瞳であーしを見てくれていた。ニカ姉に想いを伝えること、それがあーしの大博打。
「ニカ姉、呼び出してごめん」
「いいよ。なんか嫌なことでもあった?なんでも相談に乗るよ」
あーしの不安な態度を、いつものようにスペーシアンによって嫌な目にあったと解釈したのか、ニカ姉は明るい声でそう答えた。2人きりになれる所に呼び出して、緊張しているあーしを見ても告白されるという選択肢は浮かばないみたい。そのことに結構落ち込んで、何も言えなくなる。
「チュチュ、大丈夫?さっきから静かすぎるよ」
「ごめん。何でもない」 - 179二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:00:18
ぶっきらぼうにそう返事をすると、ニカ姉はあーしの手を握った。伝わる手の温もりに、心臓の鼓動は加速する。やばい、倒れそう。
「なんでも相談に乗るって言ったでしょ。チュチュが心配なの。抱え込まないで。それとも、私じゃ頼りない?」
「だって、ニカ姉に話したら絶対嫌われちゃうことだから」
「どんなことでもチュチュのことを嫌いになんてならないよ。ね?」
甘く優しい声が耳から体全体に染み渡る。溶かされて、諦めようと喉で抑え込んでいた言葉がそのコントロールを失った。
「好き!あーしは、ニカ姉のことが好きなんだ!」
言った。言ってしまった。出したことがないような大きな声が、2人きりの空間に響き渡る。
「私も好きだよ、チュチュのこと。改まって言われると恥ずかしいね」 - 180二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:01:26
「は?」
ちょっとの沈黙の後、ニカ姉から衝撃の言葉が飛び出した。ダメだ。ニカ姉のアホ鈍感。まるで伝わってないその様子に怒りを覚えてしまう。ニカ姉じゃなかったら、絶対一発ぶん殴ってた。かしこまった友情宣言としか思っていないニカ姉に、伝える術はあるのか。必死に考えて、一つの答えに辿り着いた。だけどそれは、大胆すぎるもので。でも、やるしかない。ごめん、ニカ姉。そう心の中で謝って、あーしは足に力を入れて踏み出した。
「へ?チュチュ?」
ふわり。唇がほんの一瞬だけ重なる感覚。柔らかいな、なんてのんきにそう思った。
「あーしの好きはこういう好きなの!」
大きな声が再び響き渡った。ニカ姉は何も言わず、俯いている。流石に間違ってしまったかな。今日ここでこの関係も終わりだろう。だったらせめて、最後の最後だけはいい後輩でいさせてほしい。なんて自分勝手なのか。最低だ、あーしって。 - 181二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:02:55
「ごめん」
そう謝罪を口にしたとき、ニカ姉は慌てて手を振った。上がったその顔は、林檎よりも真っ赤に染まっている。
「待って!えーと、あの、これって現実?チュチュは私のこと、その、恋愛的な意味で好きなの?」
「・・・そうだよ」
2回も言わせないでほしい。答えはNOだって分かってるのに。ニカ姉は、そっかと言って深呼吸をした。その顔はあーしの予想とは真逆で、だらしなく緩み切っていて。
「どうしよう。すっごく嬉しい。こんなことあるんだ」
「ニカ姉、それって」
「夢みたい。これからよろしくね、チュチュ」
ニカ姉はそう言って、瞳に涙を滲ませながら笑った。その微笑みに、あーしの世界が鮮やかに色づく。これからのあーしはニカ姉の恋人なんだ。その事実に、幸せが溢れて止まらない。
「やったー!!」
あーしは、きっと人類史上一番大きな声でそう叫んだ。 - 182二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:04:46
告白を大成功に収め、地球寮への帰り道。あーしとニカ姉の手はぎゅっと握られていた。所謂、恋人つなぎってやつで。夕陽があーしたちを祝福するみたいに、そのオレンジ色をどこまでも輝かせる。
「そういえば、まだ聞いてない」
「何を?」
「あーし、ニカ姉に好きって言われてない」
それを聞いたニカ姉が、気まずそうに苦笑いする。
「えー。ちょっと恥ずかしいなって。いつか絶対言うから。ね!」
「ダメ。逃がさないかんね。今、好きって言って」
「今!?」
「じゃないと、嫌いになるよ。ニカ姉のこと」
そう押してみる。ズルい駆け引きだけど、どうしても今聞きたいからさ。後で謝るから、ちゃんと言葉にしてほしいんだ。ニカ姉は空を見上げて、ごくりと喉を鳴らす。そして、覚悟を決めた表情であーしを見つめた。その頬を真っ赤に染めながら。 - 183二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:05:39
- 184二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 03:10:03
- 185二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 05:24:32
- 186二次元好きの匿名さん22/10/29(土) 16:50:17
- 187二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:48:35