- 1二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 11:47:03
「ああ。俺の力不足でなかなか上手くいかなくて・・・先輩に相談してみたんだ」
「まあ・・・ご迷惑をおかけします」
「いいさ、後輩の頼みだし。ただ荒療治になるぞ」
ある事件以降、身体の堅さが抜けないカワカミプリンセス。
マッサージ、セルフストレッチ、瞑想...様々試したものの全敗を喫し、彼女のトレーナーは先輩トレーナーに頼る運びとなった。
「それで、キングヘイローさんも同伴なんですね」
「ええ、なんでも私の力が必要だとか」
ひとまずカワカミがマットに仰向けになる。
「よろしくお願いしますわ!...あの、結果が出なくてもお2人が悪いわけでは」
「おばかね。悪い結果を先に考えても仕方ないわ。始めましょう」
カワカミが挙げた片脚をキングが肩に乗せる。
「一方の手で足関節90°で固定、もう一方の手を膝の上に当てて膝を曲げさせない、と」
まるでカワカミの脚を広げて抱くような姿勢は、見る人が見れば黄色い声が上がりそうでちょっと危険な絵。
「おお・・・⁉︎た、確かにこれは俺たちじゃできませんね」
「なに見惚れてんだおバカ。それもあるけど俺達じゃダメなのは別の理由だから頼まれてもやるなよ」 - 2二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 11:49:25
「カワカミさん、5カウントするから少しずつ力を込めながら脚を押し下げてみよう。キングは脚の位置が変わらない様に抵抗を加えてくれ。」
「かしこまりましたわ!」
「そういうことね。任せなさい」
「始めまーす。5...」
「んんんんん・・・・・・!」
「ん、流石のパワーね・・・・・・!」
「あー、俺たちじゃ無理って」
「たぶんやったら鎖骨折れるぞ」
それで済めばマシだが。
「2。 1...」
カウント終了間際。出力最高潮、顔は2人とも真っ赤だ。
反動でカワカミの腰から背中までが浮き上がる。本当はここを押さえるべきだが、今の彼女を大勢で取り囲むのは良くない為見逃すとする。
「んんーーーっ!!!」
「ぬ゛ん゛ぎぎぎぎぎ・・・・・・・・・」
「ゼロ!2人ともゆっくり脱力」
「「・・・・・・・・・ぷはあ!!!!!」」 - 3二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 11:49:59
張り詰めた力が抜け、平時から力が入りっ放しだった腿裏の筋が一気に弛緩する。
すかさずキングが緩んだ脚をスタートポジションより深く押し上げる。僅かで一時的だが、確かに可動域の改善が見られた。
「おお!やったぞプリンセス!ちゃんと効果出てる!」
「ほ、本当ですか・・・?良かった・・・ありがとうございま」
「アイソメトリックストレッチってやつだ。こんな感じで左右5回ずつな」
「「5回!?!?」」
「ここからはお前の仕事。俺見てるから」
「は、はい!...2人ともまだ大丈夫?」
「もちろんですわ・・・!」
「・・・当然よ!一流だもの」
「んぬぅぅぅううう!!!!」
「ふんぎぎぎぎぎぎ・・・・・・」 - 4二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 11:50:46
結果。
カワカミプリンセスの脚の堅さには想定以上の結果が得られた。
元が心因性によるもののためか、ストレッチの適合以上に信頼しているキングにしっかり身体を支えられる事の効果が大きいと見えた。
そういう意味では、2人が始める前よりやや明るい表情をしていた事が最大の手答えと言える。
手を取って喜び合う2人の視線がお互いやけに熱っぽいのは見なかった事にした。
「お疲れ様、キング。助かったよ」
「ええ、本当に…。筋力トレーニングの代わりは伊達じゃなかったわ」
「後半凄い顔して「忘れなさい」
「なんとか上手くいくといいな、あのコンビ」
「大丈夫よ、きっと。
──ねえ、トレーナー。私は今のところ柔軟性に荒療治が必要な程困ってはいないわ」
「だから、私のストレッチは貴方がするのよ。いいわね」
トレーナーは今日も忙しい。 - 5二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 11:51:33
おしまい。
ギャグ顔でカワカミパワーに耐えるキングが書きたかっただけ。 - 6二次元好きの匿名さん21/10/23(土) 12:35:05
後輩にはぶっきらぼうな一流がなんか新鮮
ところで
> 「なに見惚れてんだおバカ
口調移ってない?