- 1二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 23:54:58
さくり、さくりと、軽い音。歩くたび、足元から届く。
この時期の山歩きは、こうした音も楽しいと、ヤマニンゼファーは思う。
「秋を感じるな」
「ええ、目にも耳にも楽しいでしょう?」
紅葉に落ち葉。山を散策するには丁度いい時期だ。
トレーナーを山歩きに誘ったのは、こうした自然の美しさを共有したかったためだ。
目論見は成功したようで、トレーナーは目を輝かせながら、山の自然を見て笑んでいた。
「うん、楽しい。ありがとう、ゼファー」
「ふふ……それは瑞風でした」
笑みを返し、並んで歩く。
時折二人の言葉が響く程度で、後は自然の音ばかり。
さくり、さくり。
ぴよ、ぴよ。
ここここここ。
決して静かとは言えないが、とても落ち着く。
その中を、この人と歩くことが、歩けることが、
「ああ……ひより、ですね」
紅葉の隙間から漏れる光と、その先にある青を見て、幸福を呟いた。 - 2二次元好きの匿名さん22/10/24(月) 23:55:10
以上、おしまい。
落ち葉を踏んだときの音が聞こえると秋を感じます。