【SS】焼けるような恋をしたい

  • 1もみじ21/08/21(土) 00:10:45

    3レスから書き始め。
    スレ主は掲示板SSは初めてです、お手柔らかに。

  • 2二次元好きの匿名さん21/08/21(土) 00:20:36

    待機

  • 3二次元好きの匿名さん21/08/21(土) 00:21:08

    おっとその他ってことはオリジナルかな?
    読むか

  • 4二次元好きの匿名さん21/08/21(土) 00:21:20

    支援!

  • 5もみじ21/08/21(土) 00:30:02

    ◆M子5歳の誕生日 M子宅
    M子「ねえパパ、わたしのママはどこに行っちゃったの?」
    パパ「…………遠い所だよ。いつかお前も、どうして行っちゃったのかわかるさ」

    M子のパパはずっと仕事をしていて、家にいるのは日曜日だけ。
    朝は寝ているM子を置いて出発、夜も帰ってくるのは午前2時。
    M子とパパが会うことは取っても少なく、日曜日にもほとんど話さない。

    今日はM子の誕生日。だけどおめでとうの言葉はなく、おやすみなんて言葉もない。
    たった一回、ママについて話しただけ。それだけなのに、言葉は確かに溝を作った。

  • 6もみじ21/08/21(土) 00:41:49

    ◆M子5歳一ヶ月 M子宅
    娘「パパはなんで私と話してくれないんだろう」
    友「なんでだろうねえわからないねえ」

    M子は外を見ました。今日も家にパパはいません。彼女は部屋で遊んでいました。
    タワーマンションの一室で、白い壁に囲まれて。アルミでできた皿と人形で一人寂しくおままごと。
    メガネをカチャカチャ鳴らしながら、今日も一人で演じます。

    娘「パパは私のこと嫌いなのかな……」
    友「そんなことないよ。子供を憎むパパなんてそんなのきっといるはずがないよ」
    娘「ママは迎えに来てくれないのかな」
    友「……わからない。でも、パパに聞いてみれば良いんじゃないかな」

    部屋にはいくつか絵本があります。『狼と七ひきの子ヤギ』『ヘンゼルとグレーテル』などなど他に。
    M子は自分のすべきことをわかっているのです。でも、絵本で学んだ家族のことを、人形でしか表せない。

    M子に家族はパパしかいない。でも、M子はパパが怖くて喋れない。

  • 7もみじ21/08/21(土) 00:50:39

    ◆M子パパ31歳 会社
    上司「M子パパ君、娘が5歳になったんだって?」
    パパ「…………ええ、一か月前に」
    上司「そうかそうか、それはめでたいことだ」
    パパ「はい、ありがとうございます」

    M子のパパはそれ以上話したくないという風に目をそらした。
    それでも、上司はまだ話しかけてきます。

    上司「……君、何か悩みでもあるのかい?」
    パパ「え?そんな……特に悩みはありませんが」
    上司「嘘はすぐにわかるよ。目にそんな大きな隈を作って」
    パパ「これは……はい、すみません。確かに悩みがあります」
    上司「やっぱりそうか。どれ、この後空いているかい?」

    話を聞かせろ、上司は暗にそう言ってきました。

  • 8二次元好きの匿名さん21/08/21(土) 00:54:12

    続けたまえ

  • 9もみじ21/08/21(土) 01:01:58

    ◆M子パパ31歳 居酒屋
    上司「それでなんだい?悩みって」
    パパ「はい、実は娘のことで……」

    パパは語りました。自分の秘密を。
    口外すると捕まってしまいそうな、秘するべき事項の数々を。
    でも一つだけ、彼は最も大事なことを言いませんでした。

    上司「……これは、児童相談所に言うべきだな」
    パパ「やはりそうなりますか……」
    上司「そりゃあM子のパパ君、きみのやってることは育児放棄だぞ!?」
    上司「一日分の食事を作って冷蔵庫に。温めてと書き置いてそのまま家を出る」
    上司「風呂は入れないしなんでもかんでも子供にやらせて、そんなことでいいのかね」
    パパ「はい……仰るとおりです」
    上司「子供部屋にテレビを置いて、教育番組を見せておけば情緒は育つと放置する」
    上司「一体なにがきみを育児から逃げろと駆り立てているんだい?」

    パパからはぐうの音も出ませんでした。だって正論なんですもの。
    彼にも事情はありました。でもそれはここで語ることじゃありません。

    上司「次の土曜日、娘さんと話しなさい」

    そう言い残して上司はパパと自分の代金を払い、店から去ってしまいました。

  • 10もみじ21/08/21(土) 01:15:47

    ◆M子5歳二か月 M子宅
    M子「え? え?」
    M子「おねえさん、おにいさん、だれ?」
    M子「パパ、教えて? この人たちだれ?」

    いつものようにM子が起き、朝ご飯を温めに向かうとリビングに5人、大人がいました。
    M子の家にお客が来るなんて初めてのことでした。

    パパ「…………M子、少しだけ話をしよう」
    M子「良いけど、誰なのこの人たちは」
    パパ「この人たちはパパとお前の会話を聞いてくれる人だよ」
    M子「そうなんだ……」

    なんで、とM子は思いましたがパパは考える暇も与えず喋ります。

    パパ「M子、今まですまなかった。僕がきみに犯してきた罪を償わせて欲しい」
    M子「パパ、なんで頭を床に付けているの? そんなことしなくていいじゃない」
    パパ「一生詫びても足りないぐらいだ。M子、これからきみに隠していたこと全部を伝える」
    パパ「パパがなんでM子と話さなかったのか、何を隠していたのか。ママはどこに行ったのか、全部だ」

    そうしてパパは語り始めました。M子の持つ、不思議で残酷な能力のことを。

  • 11もみじ21/08/21(土) 01:17:00

    説明してませんでしたがこれはどちらかというとファンタジーです。
    ジャンルとしては伝奇ものに近い。なろうでいうところのローファンタジーになります。

  • 12もみじ21/08/21(土) 01:30:02

    ◆M子5歳2か月 M子宅
    パパ「M子、きみは特別な子供なんだ。きみの眼には特別な力がある」
    M子「特別な力が眼に…?」
    パパ「ああ、きみには『見たものの温度を上げる力』がある」
    M子「温度を……上げる……?」

    パパは涙を流しながら語りました。これこそが、彼がM子を避け続けてきた理由。
    人間の持つものではない異常の力。上司にも隠していたたった一つのM子の秘密でした。

    パパ「そうだ。きみが生まれて眼を開けたとき、ママが熱を出した」
    M子「ママが……? パパ、ママがどこにいるか知ってるの?」
    パパ「……っ、ママは死んだ。きみの眼が、あの人を殺した!!」

    どごっ

    M子「痛……」
    パパ「焼け死んだ、彼女は何も知らずに!!」
    おにいさん「パパさん、やめてください!!」
    おねえさん「M子ちゃんはこっちに来て!!」
    上司「パパ君!!」

    パパがM子をぶん殴ったとき、眼鏡が割れて飛びました。
    パパはすぐにおにいさんに組み伏せられ、M子はおねえさんに保護されました。
    上司もパパを取り押さえるのに協力。
    パパは手錠を。M子は目隠しをされて別々の車に乗せられ、二人は児相に行きました。

  • 13もみじ21/08/21(土) 01:45:10

    [児相関連は私も詳しくないので時間を消し飛ばします]
    [ここだけちょっと彼女に優しい]
    ◆M子15歳 入学式
    養父「もうM子ちゃんも高校生か」
    養母「おっきくなったねえ、初めて会ったときはあんなに痩せこけていたのに」

    M子とパパが児相に連れていかれたあと、相談所の人たちの提案で、二人は別れて暮らすことになりました。
    ママを焼き殺し、パパの家族からは嫌われているM子はどこにも行く当てがなく、子供のいない老人夫婦に預けられました。もちろん、彼女の眼とそのリスクについても説明したうえで。
    彼女は分厚い眼鏡をかけ、自分の見るものを限定しながら生きることにしたのです。

    M子「ありがとね……本当にありがとうね」
    養父「気にしなくていいよ。僕らは子供がいなかった」
    養母「可愛い娘ができたみたいで誇らしかったんだから」
    M子「行ってきます!!」

    M子はおにゅーの制服を身に纏い、自分の通う高校へと駆け出しました。

  • 14作者21/08/21(土) 01:47:03

    眠いので寝ます。
    いちおうストーリーは練ってあるので朝起きたら書けます。
    パパ周りの描写はもう少ししっかりしておきたかった…………

オススメ

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