【SS】ハロウィンですので

  • 1二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:10:14

    「トレーナーさん、ハロウィン用のお菓子一緒に作りませんか」  
     月末も近くなる頃、私はトレーナー室にて、仕事をしている彼へと無邪気に声を掛けた。
     パソコンから顔を上げると彼は不思議そうな表情で私を見つめる。
    「えっと……市販品のお菓子じゃあ駄目なの?」

    「市販品のお菓子でもいいですけど、せっかくなのでトレーナーさんと一緒にお菓子作れたら、楽しいと思いまして。駄目ですか」
     
     ハロウィンのお菓子は別に市販品でもいいのですが、このイベントを口実にして、彼と一緒にお菓子作りをしたいと思ったのです。
     お菓子作りを一緒にするなんて、なかなかないでしょう。それに何より私は彼に食べて欲しいのです。私の作ったお菓子を。
     それにいつもお世話になっているし、たまにはこういうサプライズもいいかなと思って提案してみました。
     すると、彼は少し困ったように眉根を寄せて視線を逸らす。

     あれ?やっぱり迷惑だったかな……。

     私が不安げに見つめているとにすると彼は納得してくれたのか、優しく微笑みながら言った。

    「───いいよ、じゃあ一緒に作るか。日時はいつにしようか」
    「…はい!じゃぁ、一緒にやりましょう」

     そう了承してくれた彼の言葉は嬉しかったくれて、思わず笑顔になる。すると彼は照れ臭くなったのか、誤魔化すようにそっぽを向いてしまった。そんな仕草が可愛く見えてクスッと笑ってしまう。
     そして二人で予定を合わせて、お菓子作りをすることになりました。

  • 2二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:12:57

     当日、私たちは学園の厨房を借りて、お菓子作りに勤しみます。材料は予め買ってきてあり、後は調理をするだけですね。
     作るお菓子は無難にかぼちゃクッキーにしました。型抜きで色んなものを作っていくだけで楽しいですしね。
     料理する前にフリルがついたエプロンを付けます。彼は私がつけたエプロン姿を見て、

    「ダイヤ、エプロンかわいいね」

    「ふふっ、ありがとうございます。トレーナーさんも似合ってますよ」  

    「ははっ、そうでもないよ。じゃあ、クッキー作ろうか」

     私は褒められて、嬉しくて、その場で彼にフリルの可愛さを見せるようにくるりと回る。
     また、彼のエプロンは紺色で、普段見られない格好なので新鮮に感じました。

    「まずは生地を作りましょうか」
    「了解、俺が混ぜていくから、ダイヤはかぼちゃの用意をしていてくれ」
    「わかりました!」
     
     私はかぼちゃを食べやすい大きさに切って、レンジで温めた後、皮を取って、かぼちゃをスプーンで滑らかになるまで潰します。彼はその間、ボウルに入ったバターや砂糖などを混ぜていきます。かぼちゃの準備ができたので、

    「ダイヤ、かぼちゃを入れようか」

    「はい!入れます。トレーナーさん、次は私が混ぜます」

    「わかった。頼む」

     私は彼に代わって、生地を混ぜます。二人で一緒に作業するのは、新鮮で楽しい気持ちになりますね。
     

  • 3二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:14:06

     しばらくすると生地が出来上がり、ラップをかけて冷蔵庫に入れて、一時間冷します。

     「トレーナーさん、ちょっと、ここで待ってて下さい」
     
     そう言って、私は厨房から出て、準備していたハロウィンのコスプレ用の魔女帽子を被ります。 
    「お待たせしました、どうですか?」
     
     私がその場でくるりと回って見せびらかすと、彼は驚いた表情を見せます。

    「へぇー、よく似合っているよ」

    「ふふ♪ ありがとうございます」

     私は軽くお辞儀をする。彼は優しい目つきで見つめてくる。そして、私は

    「トレーナーさん、トリックオアトリート!」
     
    「えっ...!、 クッキー以外は……」

     そう言うと彼は困ったような表情を浮かべる。 ええっ、そうですね。私達が作っているクッキー以外にお菓子はないはずです。そのためにこうして、わざわざ用意したんですもの。

    「ないですよね。だから、イタズラさせてもらいますね」
     
     私は悪戯っぽく微笑む。すると彼は観念したかのようにため息をつく。

    「お手柔らかに頼むよ」
    「はい! では、目を瞑ってください」

  • 4二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:15:07

     彼は言われた通り、目を閉じてくれる。私はゆっくりと彼に近づいていき、頬に手を当てて
     顔を近づけて、手に持った水性ペンで彼の顔にネコヒゲを描きます。

     書き終わった後、少し離れると、彼が恐る恐るといった様子で目を開ける。鏡を渡すと彼は呆然と自分の姿を見ていました。

    「ぷふっ...! 可愛いらしいです。猫さんみたいで」

    「笑うなよ……。というか、こんなことなら最初から言ってくれれば良かったじゃないか」

    「だって、こうでもしないとトレーナーさんは素直になってくれないじゃないですか。それにこれくらいのイタズラ許してくれてもいいと思いますよ」

    「まぁ……ハロウィン前だしな。仕方ないか…」
     
     彼は苦笑いをしながら諦めたように言いました。
     
    「なんで、ネコヒゲなんて書いたの」

    「魔女の使い魔といえば、猫さんじゃないですか。魔女のコスプレをしているので、トレーナーさんには猫になってもらいました」

    「そうか……。なんか恥ずかしいな」

    「ふふっ、似合っていますよ」

    「はは…… ありがとよ」

     そんな会話をしつつ、時計を見たら、生地を冷まし始めてから十分程経っていたので、そろそろいいかと思い、生地を取り出して、型抜きで形を整えていきます。
     
     その後、オーブンで焼いて、焼き上がったクッキーを皿に乗せて、テーブルへと持っていきます。
     出来立てのお菓子を彼に食べて貰う。それだけでワクワクします。

  • 5二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:15:32

    「どうぞ、召し上がってください」

    「いただきます。うん、美味しい。ダイヤも食べてみな」

    「はい!いただきます。……んぅ〜、おいしい!」
     
     一緒に作ったかぼちゃのクッキーはとても甘みがあって、サクッとした食感がとてもいいです。 やっぱり、お菓子作りは楽しいですね。気をうがって
     
    「トレーナーさん、私に食べさせて下さい」

    「ダイヤ、それは…」

    「トレーナーさんは今は私の使い魔です。ご主人の命令は従うべきです」

    「はいはい、じゃあ口開けて」

    「あーん」

     私が口を開けて待っていると、彼はクッキーを一切れ摘んで私の口に運んでくれました。私はそのクッキーを味わって食べる。

    「これで、満足したかい」

    「はい、ありがとうございます。また、機会があったら、今度は違うのを作ってみたいな〜」

    「そうだね。今度もまた二人で作ろうか」

    「はい!是非とも!」
     
     お菓子作りも楽しかったし、彼と一緒だったからより一層楽しく感じました。また、一緒に料理したいですね、トレーナーさん。

  • 6二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:18:29

    ダイヤちゃんとハロウィンを過ごしたかったので、書いてみました

  • 7二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 01:27:03

    貴重品のトレダイが身に染み渡る…

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