- 1122/10/30(日) 08:39:40
- 2二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 08:40:11
たて乙
- 3122/10/30(日) 08:40:22
『みんなーウタだよ!みんな楽しみにしてくれたかな?告知してたゲリラライブ、始めちゃうよーー!でも、その前に目の前にいるライブを邪魔する悪い海賊たちをやつけちゃうね!』
そう言い放ったウタは間髪入れず歌い出すが、動き出すのは麦わらの一味の方が速かった。
「全員耳栓をつけろ!」
ウタの宣言とほぼ同時にゾロが叫び、一味はゴードンの話を聞いたウソップが用意していた耳栓をつけた。
ウタウタの実の能力は歌声さえ聞かなければほとんど効果がないと言ってもいい。
一味とウタが対面したときにはすぐに耳栓をつけられるよう準備していたのだ。 - 4122/10/30(日) 08:40:53
ウタの計画を知った以上は力づくでも止めなくてはならない。そう考え刀を抜き放ち、峰打ちできるように構えなおすゾロの横で誰かが倒れた。
ゾロが視線を向けると、地面に倒れ伏したルフィがいびきをかいて眠っていた。
「ルフィ!?」「さっきから何やってんだこのアホは……!?」
「まあ、ゴードンから対処法を聞いてるに決まってるよね。…ルフィは聞いてなかったみたいだけど。じゃあ、これはどう?スカーレット!」
ウタに呼ばれてどこに潜んでいたのかスカーレットがゾロたちの眼前に遮るようにして着地した。
そして眠ったはずのルフィが起き上がり、麦わらの一味に向けて拳を構えた。 - 5122/10/30(日) 08:41:20
「…やるしかねェな。ルフィを躱してあの女を止める」
ゾロの言葉にウタがため息をつく。
「ハァ……海賊ってどうして戦いたがるの?」
「その質問には前答えたはずだぜ、ベイビィちゃん」
ウタの背後ではいつの間にかメルヴィユから降りてきたシキが腕組みをして事の成り行きを見守っていた。 - 6122/10/30(日) 08:41:40
ウタの配信開始からひと月弱、ウタが10年前の映像電伝虫を見つける少し前のこと
「海賊がなぜ略奪するのか?そりゃあベイビィちゃん、自然とそうなっちまうのさ」
ウタは時々電伝虫を通してファン達の近況を聴くようにしていた。
その中でファンから海賊たちの暴虐を聞き、ふと「なんで海賊はみんなから大切なものを奪っていくのか」と呟いたのだ。
そのウタの言を聞き逃さず、部屋のソファに腰を下ろしたシキはそう答えた。
「略奪行為を正当化する気?」
眉根を寄せ不快感も露わに聞き返すウタにシキは笑って答えた。 - 7122/10/30(日) 08:42:53
「ジハハハハ!!いや、ベイビィちゃんだって覚えがあるはずだ。力があるやつはな、自然と弱者から奪っちまうのよ」
「私が知るわけないでしょ」
「いいや、ある!例えば、そうだな…。嬢ちゃんの様に電伝虫を使って配信してるのはまだ少数派だが、この海には歌手として身を立ててェなんてやつはゴマンといる。そんなやつらが世界中で認められる歌手になるためにはまずは自分のいる島で歌い、ライブを開催し、TDを発売し、一定の知名度とファンを獲得したら同じことを次の島で…、なんてことをひたすら繰り返していくわけだが、考えても見ろ!そうやってコツコツ活動を積み重ねていく歌手の卵たちの前に突然流れてくる正体不明の次元違いの歌声!!これまで自分たちのライブに来てくれた客はその歌声に夢中でもう自分たちの歌には見向きもしねェ!!そんな弱小共からすれば嬢ちゃんの歌声はまさにそいつらの聴衆を根こそぎ”奪って”行ったわけだ」 - 8122/10/30(日) 08:43:12
「それは………」
想像だにしていなかった話の流れに言葉を詰まらせる。自分が歌うことで誰かが不幸になる、傷つけるかもしれないなんて考えたことすらなかった。
言葉を継ぐことができないウタに対して、シキはまるで励ますような明るい調子で続けた。
「なに、気にすることはねェ!弱ェやつが悪いのさ!信念(はた)を掲げて生きるってのは他の信念(はた)を挫く(おる)こと、つまり”支配”するってことだ!!嬢ちゃんが信念を持って歌っている以上は負けるやつが出てくるのはしょうがねェ!信念を持ってる以上はな!ジハハハハ!」
シキはなぜか信念の部分を繰り返すとソファにどっかりと座りなおして息をついた。 - 9122/10/30(日) 08:43:28
「そもそも人間は他人から何かを奪いながら生きてんだ。強者を支配すれば支配者が得られる力はより大きくなる。この荒れ狂う海で生き続けるには強者を従え続け、力を増やし続けるしかねェ」
「何が言いたいの…?」
シキの言いたいことが掴めず質問するウタに、シキはニヤリとして告げた。
「つまりおれは海賊達を、真の強者達を支配してェのさ。有象無象の弱者共は嬢ちゃんにくれてやるよ。どこへなりとも連れて行きな」
シキの真意が掴めず首を傾げるウタ。
ウタがシキの言わんとすることを理解したのは、ウタが10年前の映像電伝虫を発見した後、贖罪のためある『計画』を考えた少し後のことである。 - 10122/10/30(日) 08:43:49
ひとまず10まで埋めました!
- 11二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 08:49:46
本編で絶対にやらなかったルフィ含めて一味を操る行為を平然とやるとはすげえなこのウタちゃん
- 12二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 08:50:36
お疲れさまです頑張ってください
- 13二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 09:00:45
俺はSSや小説と言った文章が苦手であまり見てこなかったけどこのSSは本当に読みやすくてRED本編より好きです!SSや小説の面白さが分かるようになりました!ありがとう!!
- 14二次元好きの匿名さん22/10/30(日) 19:27:56
続き楽しみにしてます
- 15二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 02:11:19
ほ
- 16二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 12:40:09
保守
- 17二次元好きの匿名さん22/10/31(月) 22:23:22
保守
- 18二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 09:16:53
保守
- 19二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 16:58:38
ほ
- 20二次元好きの匿名さん22/11/01(火) 23:40:18
保守
- 21二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 00:58:55
保守
- 22二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 07:18:34
保守
- 23二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 12:04:02
保守
・・・ここの金獅子のシキのやり取りとかまんまイメージ通りですげぇってなる。 - 24二次元好きの匿名さん22/11/02(水) 19:28:48
ほ
- 25122/11/03(木) 02:03:51
時は現在 エレジアの海岸
「……海賊は海賊同士で戦ってればいい。約束通り私のファンは”新時代”へ連れて行くわ」
背後に降りてきたシキを、ウタは暗い目で軽く一瞥し、そう吐き捨てた。
「好きにしな。まあ目の前のコイツらが、おれが支配するに足る海賊かというと疑問だがな」
ウタがシキと何かしら問答を交わしているのをチャンスだと見たのか、ゾロが強く踏み込み、ウタに向かって三刀流の峰打ちで切りかかる。
しかし、シキは圧倒的なスピードでウタの前に割り込み、右足の剣を掲げてゾロの攻撃を受け切った。 - 26122/11/03(木) 02:04:13
「チィ」
「守るに決まってんだろ?同盟相手をキズモノにされちゃあ困る」
無防備にたたずむウタはシキの台詞にゆるゆると頭を振った。
「私を守る必要なんてない」
カラン、と音がして、ゾロが口にくわえた刀を取り落とした。
その原因は、ゾロの鳩尾に入ったパンチ。
鳩尾にめり込んだ拳から続く長く伸びた腕がグングンと縮み、バチンと音を立てて拳を引き戻した。
目を閉じ眠ったままのルフィがウタを庇い、ウタの”新時代”に仇名すものに鉄槌を下す。
「”新時代”が完成するまで、私のことはルフィが守ってくれるから」 - 27二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 12:19:58
保守
- 28二次元好きの匿名さん22/11/03(木) 21:22:06
上げ
- 29二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 07:56:03
保守
- 30二次元好きの匿名さん22/11/04(金) 12:00:56
守る
- 31ホウシュウ22/11/04(金) 19:04:33
ほしゅほしゅの実を食べた保守人間。このスレを保守ってやる。
- 32二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 01:11:41
保守
- 33二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 11:43:07
ほる
- 34二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 20:07:19
保守
- 35二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 07:54:59
保守
- 36二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 09:06:39
ルフィかわいそう・・・
- 37二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:12:41
保守
- 38122/11/06(日) 22:42:30
「ゾロ!!」「寝てるってのにゴムゴムの実の能力まで使えんのかよ!?」
ルフィがゾロに殴りかかる光景に慌てるナミとウソップ。
意識のない人間を操るというのだから夢遊病のようなゆっくりとした動きなのかと思えば、ルフィのパンチは腰が入っている上に悪魔の実の能力まで使っている。この調子で攻撃されれば取り押さえるのも一苦労だろう。
「ルフィ、てめェいい加減にしやがれ!」
ゾロは取り落とした刀を素早く拾いルフィに峰打ちで攻撃するも、ルフィはジャンプして軽くかわし、波打ち際のウタの隣へ着地した。
「こりゃあ骨が折れそうだ。チョッパーとロビンちゃんたちが戻ってくるまでに片付けられればいいが」
そうこぼすサンジへはスカーレットが突進し、人間の何倍もの太さのある剛腕を振るった。スカーレットの巨大な拳によって砂浜が抉られる。サンジは余裕をもって躱すがその表情は苦々しいものだった。 - 39122/11/06(日) 22:44:23
「クソゴリラが…、ウタちゃんを慕ってるってんなら彼女の命を考えやがれ!!」
麦わらの一味がゴードンから聞いた計画の通りにライブが始まったと言うのなら、ウタは既にネズキノコを食べており彼女は余命幾許もないはずだ。
城でのスカーレットは不純な動機だとしてもウタを慕い、彼女の指示で動いているように見えたが、そのスカーレットもあの場でゴードンの話を聞いていたのだからウタの計画については当然承知の上なのだろう。
ウタの死が目前に迫っているにも関わらず、それを見て見ぬふりをするスカーレットの行動にサンジの怒りのボルテージが上がっていく。
「レディを愛する紳士として、てめェを認めるわけにはいかねェな」
そう言うとサンジはスカーレットに灸を据えるため足を構えた。
「おー、おー、スカーレットはウチの手下だってのによくもまあ手懐けてくれちまいやがって。知能を高くし過ぎたのはやはり失敗だったな」
その様子を髭を撫でながら静観するシキは膠着しつつある現状を前に次の手を打つことにした。 - 40122/11/06(日) 23:37:42
ウタワールドの中
「なんで私の歌を聴いたの?ルフィの仲間たちはみんな耳栓つけてたけど。それとも、私に負けて海賊を辞めたくなった?」
今、ウタとルフィはエレジアのライブステージで向き合っていた。ウタワールドはウタのホームグラウンド。一見余裕のあるやり取りの中にわずかな狂気の表情を滲ませ、ウタが問いかける。
「それに…、ゴードンまで」
「…君と向き合って話すためだ。ウタワールドが君にとって本当の世界だというのなら私はこちらの世界で君と向き合わなくてはならない!」
「向き合うってなによ…、そんなことして今更何になるの」
ルフィと向かい合うウタの横で、ゴードンが決意を込めた言葉を投げかける。
ゴードンは10年前の惨劇からこれまでウタの心を救うことができなかった。シャンクスから彼女を預けられ、彼女の心を守るという名目で惨劇の真実をひた隠しにし、そのためにシャンクスに捨てられたという新たな傷を、ウタに与えてしまった。
ゴードンのやっていたことは全て間違いだった。感情を揺さぶられた様子で港町から立ち去るウタを目撃して、ゴードンは強くそう思った。
ゴードンがしなければいけなかったのは、伝えることだったのだ。シャンクス達の思いや自分自身の気持ちを、逃げずにぶつけるべきだったのだ。 - 41122/11/06(日) 23:56:08
「海賊は辞めねェ。おれはお前の歌を聴きに来たんだ」
ゴードンが大声で決意を表明したのとは対照的に、ルフィの声は静かだった。
「私の歌ならこの島に来た時聞いたでしょ。『逆光』”新時代”を作る覚悟を乗せた大切な歌なんだけど、どうだった?」
「つまらねェ」
「…アンタ今、私の歌を聞きに来たって言わなかった?」
別にルフィの口から賛辞が出てくるとは思っていなかったが、あまりの素っ気なさにウタは鼻白んだ。それにウタの歌が聞きたいという発言と矛盾してるのではないか。
「大切な歌っていうなら、なんでそんな顔で歌ってんだ」
「私はもう昔とは違うの。今はたくさん私の歌を待ってくれる人たちがいて、その人たちのために歌ってるのよ」
「嘘つけ。お前一人で歌ってるじゃねェか」
ルフィの言葉の意味を即座に捉えきれず、ウタはしばらく思案したのちに納得した。
ああそうか。コイツは映像電伝虫で配信してることもわかってなくて、ウタがこの場で一人で歌っていると勘違いしているのだ。
ルフィの言葉をそう解釈したウタは虚空からマイクを取り出した。
ライブを続ければ、じきにウタワールドは”新時代”を心待ちにしている人々で埋め尽くされる。その光景を目にすればルフィも納得するだろう。
「いいわ。じゃあ、もう一曲聞かせてあげる」 - 42二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 10:33:30
続きが楽しみ保守
- 43二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:42:44
保守
- 44二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 08:03:35
保守
- 45二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 08:07:43
保守
- 46二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 13:34:55
保守
- 47二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 23:01:50
保守
- 48二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 08:47:08
保守
- 49二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 18:58:18
保守
- 50二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 00:43:32
ほ
- 51二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 01:44:39
保守
- 52二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 11:08:18
保守
- 53二次元好きの匿名さん22/11/10(木) 21:25:41
保守
- 54122/11/10(木) 21:50:27
更新が滞ってて済まぬ
続き明日の夜〜深夜くらいにまとめて投稿します! - 55二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 07:47:15
保守
- 56二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 18:21:52
楽しみにしてます
- 57二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 02:33:08
保守
- 58二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 11:59:08
保
- 59二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 18:59:17
守る
- 60二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 00:01:09
ほ
- 61二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 08:15:38
ほ
- 62122/11/13(日) 10:57:45
「ただしルフィ。”新時代”で私の歌を聴きたいんなら海賊は諦めて」
ウタが人差し指を立て腕を振り上げると、その合図を待っていたかのようにライブステージから光が消えた。
そして、どこからともなく表れた照明の光が、暗闇に包まれたステージの上でウタに集まり、その姿を照らした。
『ひとりぼっちには飽き飽きなの 繋がっていたいの』
港町の時と同様、いやそれ以上の数の兵士が次々と出現し、ルフィの周りを取り囲んでいった。
まるでウタがひとりぼっちでないことを誇示するように。
『純真無垢な想いのまま Loud out』
歌に合わせて剣や槍を持った兵士がルフィに襲い掛かる。
今も増え続け、次々と襲い掛かっていく兵士たちはルフィのいた場所に山のように積み重なっていく。
「…もう終わり?降参して大人しくしするなら助けてあげてもいいよ」 - 63122/11/13(日) 11:00:35
拍子抜けし歌を中断して声を掛けるウタ。
すると、山のように積み重なった兵士たちが爆発するように吹き飛んだ。
「ゴムゴムの!”銃乱打”!!!」
拳が分裂して見えるほどのをラッシュを食らい、兵士達が次々と吹き飛んでいく。
『胡麻化して強がらないでもう』
「つらそうな顔して!強がってんのはお前だろ!」
『ほら早くこっちおいで』
「おれたちは海賊だから、欲しいものは奪っていく!お前と勝負して、おれが勝ったらお前を赤髪海賊団の前へ連れて行く!!」
『全てが楽しいこのステージ上 一緒に歌おうよ』
「赤紙海賊団の船の上で皆でお前の歌を聴く!そんで、昔みたいに皆で一緒に歌うぞ!!」
『――――――――』
ウタは息を呑んだ。
ウタは思い出した。僅か半年前の出来事だが、ウタにとってはずいぶん昔のことのようにも思える、ウタが自分の歌を発信したいと思ったきっかけを。 - 64122/11/13(日) 11:03:39
約半年前、エレジアの海岸
歌のレッスンを終えたウタは、海岸をブラついていた。
ずっと城に籠っているのも気詰まりで、レッスンを終えた後は島内を散歩するのを日課にしていた。
中でもウタがよく歩くのは海岸だった。海岸にはよく海外の物が漂着していて、それを眺めて回るのはウタの数少ない興味の対象の一つでもあった。
こうやって一人で過ごすようになって分かったことだが、赤髪海賊団にいた時は別として、元々ウタは現実世界への興味が乏しいようだった。
しかし、島の外とのつながりを持たないウタにとって、浜辺に漂着する海外の物品はそんなウタの胸にも常にはない高鳴りを呼んでくれた。
いつものように波打ち際に近づいて波が何か運んできていないか探す。
その日、浜辺に打ち上げられているものはさほど多くはなかった。
割れたボトル、漁に使う網のようなもの、空の木箱、割れた食器の数々に紙束がチラホラ。
生活用品のようなものが多く、難破した漁船などから攫われてきたのかもしれない。ウタは落ちている紙束を拾い上げた。
「これは、手配書…?」
紙束はどうやら複数の海賊の手配書。ウタは海水でぐしゃぐしゃになった手配書を一枚一枚剥がしていく。 - 65122/11/13(日) 11:08:32
「何これ、?シロクマが海賊なの?」「シャーロット?…リンリン?名前かわいい~」
ウタはペラペラと手配書をめくっていたが、ある手配書を見ると突然その手を止めた。
「海賊…モンキー・D・ルフィ…懸賞金3億ベリー……」
「……ルフィ…?」
手配書に写っている人物は満面の笑顔でこちらに向かって手を振っていた。
忘れるはずもない。確かに面影が残っている。ルフィ…、海賊に、なっていたのか…。
そして、かぶっている麦わら帽子、これは…。
「シャンクスの…」 - 66122/11/13(日) 11:10:05
ルフィとシャンクスとの思い出が脳裏をよぎり、ウタの目からは自然と涙がこぼれていた。
ウタは、シャンクスがエレジアを滅ぼしたという話を鵜呑みにしているわけではなかった。その話が信じられなくて、シャンクスたちを信じたいという気持ちがずっと残っていた。
でも、そんな気持ちを邪魔したのが、シャンクスがウタを捨てていった事実だった。
もうシャンクスたちに歌を聴いてもらえない。一緒に歌えないという事実が今に至るまでウタを打ちのめし続けていた。
でも、あれからもう10年、ウタの中で受け入れ始めた思っていた。
そう思っていたのに…寂しくて、苦しくて涙が止まらない。
ただ…
「会いたい…皆に…また、皆と一緒に歌いたい…」 - 67122/11/13(日) 11:14:55
ウタはウタワールドが好きだった。なぜなら、皆と一緒に歌うことができるから。
ウタの歌を聞くとみんな寝てしまう。ウタが歌うと現実ではウタは一人。でも、寂しくはなかった。
ウタワールド中では皆で一緒に歌うことができるのだから。
幼いウタは体力が続かず、ウタワールドもすぐ解除されてしまったけど。
赤髪海賊団の皆はウタの歌を聴いて、とても楽しそうにしていて。
ウタワールドの中では肩を組んで、輪になってみんなで歌った。
昔から、過酷な海を乗り越える海賊たちが歌い続けてきた、あの歌を。 - 68122/11/13(日) 11:21:16
現在 ウタワールドの中
『………ヨホホホ~ヨホホホ~』
「お?」
兵士を蹴散らしウタの方に突撃しようとしていたルフィがウタが歌っている気付き足を止めた。
「シシシシ!あの歌だな!」
ルフィも息を大きく吸い込みウタに負けじと歌いだした。
『「ヨホホホ~ヨホホホ~」』
あの頃は、シャンクス、ベックマン、ヤソップ、ルウ、船員皆で肩を組んで輪になって歌っていた。 - 69122/11/13(日) 11:21:34
『「ビンクスの酒を届けにゆくよ」』
ウタとルフィは背が低いから肩を組むというよりはシャンクスの肩に掴るみたいになっていて、
『「海風気まかせ波まかせ」』
ボンク・パンチとモンスターは楽器を手に曲を盛り上げて、この歌を歌っている間はいっつも皆にお酒の量を注意してるホンゴウさんも気にせず飲んでいた。
『「潮の向こうで夕日も騒ぐ」』
マキノさんも座って手で拍子をとっていて、村の人たちが来たときはもっと輪が大きくなった。
『「空にゃ輪をかく鳥の唄」』
現実のウタは夜空の下で一人だったけど、全く寂しくなかった。
だって、皆で同じ歌を歌って、ウタと皆は心で繋がっていたから。
ウタはいつの間にか涙を流していた。
「ルフィ…、私…ルフィに…赤紙海賊団のみんなに…私の歌を聴いてほしい!…また、みんなと、一緒に歌いたい!!」
ウタの心からの言葉を聞いて、ルフィは笑顔で、迷いのない心からの言葉を返した。
「おう!!」 - 70122/11/13(日) 11:23:12
投稿遅くなってすみません!
ひとまず以上です! - 71二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 18:59:44
よし、キノコの解毒してシキたち倒したらハッピーエンドだな!
まだ解毒間に合うよな?
楽しみにしてます! - 72二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:47:29
ウタの改心成功
あとはシキをぶっ飛ばすだけだな - 73二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:59:01
保守
- 74二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 18:16:26
保守
- 75二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 22:54:53
このレスは削除されています
- 76二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 09:40:13
ほ
- 77二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 19:48:25
保守