【SS】【CP注意】ルフィがウタに遭う話

  • 1◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 21:26:33

    偉大なる航路前半、とある島。
    緑と砂浜と海しかないこの島に、サウザンドサニー号は停泊していた。


    ライブから数日が経った。
    しばらくは一斉に各地に帰還する者たちでエレジア周辺は船の往来が多かった。
    本来なら麦わらの一味もすぐに新世界に帰還したいところではあったが、
    そうは行かない理由がいくつかあった。
    そのうちの一つに、シャボンディ諸島に海軍大将がしばし定置するというものだ。
    恐らく新世界に行こうとする自分達を始めた海賊を狙ってのことだろう。
    その警戒網が緩むまでは、先に戻るのは難しかった。

    本当は理由はもう一つあった。
    がそれは最近回復を見せたため問題ないと判断され…
    今一味は立ち寄ったこの無人の島で休憩と補給をしてから出航する手はずとなっていた。

    そんな島に、真っ先に飛び降りて冒険に行ったのが一人。

  • 2二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 21:29:41

    期待

  • 3◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 21:34:34

    「全く…すっかり元気になっちゃって」
    呼び止める間もなく飛び出した船長に、航海士がため息をつく。

    「いいんじゃねェか?あれくらいがらしいだろ」
    船の芝生で横になる剣士が笑ってそれに答える。

    「…そうじゃな、ようやっと元気になれたようで何よりじゃ」
    錨を下ろした操舵手も、それに同意を見せた。

    「…そうだな、もう三日だもんな」
    「……二日でいつも通りの飯を食ってくれるようになってくれてコックとしちゃ何よりだ」
    狙撃手とコックも、これまでの数日を回顧して頷いた。

    「…さて、こっちはスーパー木材の調達だな!!」
    「あ、おれも薬草の補充しねェと」
    「あら、私も手伝うわよ?」
    「ではでは、私も!!ついでにパン」
    「やめんかエロガイコツゥ!!…さて、それじゃルフィ以外は二時間後に集合!!その後はルフィ待って出航!!」

  • 4◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 21:40:47

    「よっ…ほっ…」
    島の中央に大きく広がる森、その中をルフィは飛び回っていた。
    ロビンの話ではここは完全に無人島で獣と果物くらいしかないだろうという話だが、ルフィには関係ない。
    未知の島なら冒険する、それがルフィだった。

    ひたすら手を伸ばし、木を掴み、前に進む。
    時々果物やキノコに食らいついては吐き出したり、ちょうどいい枝を拾っては振り回したりと、
    この森を存分に満喫していた。
    確かに東の海では見ない獣もいるが、基本どれもおとなしい。
    眼の前に現れた熊であろうそれも、ルスカイナのそれと比べれば可愛いものだった。
    わざわざ拳を使うまでもなく、少しの覇王色でその場にうずくまる。
    少し可愛そうだったので、先程唯一食えそうだと思えた果実を分けて更に先に進んだ。

    久しぶりのこの感覚が心地よかった。

  • 5◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 21:47:23

    昔、フーシャ村近くの村でも似たことがあったと思い出す。
    あのときは確か猿が相手だったか。
    今考えれば、コルボ山の虎や熊と比べれば可愛らしい相手だったのだろう。
    そんなことをぼんやりと考える。

    一瞬頭に浮かんだそれを振り払う。
    既に過ぎたことのはずだ。
    昨日、改めて海に誓い直したばかりなのだ。
    「…駄目だな」
    飛ぶのをやめ、森の中を歩いていく。
    辺りからするのは虫の声ばかり。
    特になんの意図のないはずのそれにすら、
    誰かの声を思い出しそうになるから。

    駆けていった。
    ひたすら森を走った。
    気を紛らすにはあまりに杜撰な行いのうち、緑が途切れるのが見え…
    森を抜けた。
    いつの間にか荒くなっていた息を落ち着けようとする。

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 21:49:25

    red後の話…?
    とりあえず続きが楽しみ

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 21:52:17

    ウタの霊と会うのか

  • 8◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 21:54:33

    いつの間にか島の反対側まで来てしまっていたのだろうか。
    島はぐるりと海岸に囲まれている地形のはずのため、海岸を辿ればその内サニー号には戻れるだろう。

    しかし、今のルフィはまだ戻る気になれなかった。
    昨日元通りの姿を見せたばかりなのだ。
    昨日の今日で情けない姿を見せるのは船長としてしたくない。
    もう少し歩いて、腹でも減ればきっとまた元に戻れるだろう。
    そう思って海岸を歩んでいく。

    なんとなく、自分でも受け入れられなかったのは分かっていた。
    自分にとっては全て夢の中の出来事で。
    目覚めた時にはすでに船の上で。
    自分が見たのは、遠くに去る海賊船と、その上にいる者達と、
    その目の前に置かれた『それ』だけだった。

    物言わぬ船を見て、一度は受け入れたと思っていた。
    だが、それでもまだどこかで思い悩む自分もいた。
    希望を持ってしまう自分がいた。


    ─だから、なのだろうか。

  • 9◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 21:56:31

    『それ』は、いつの間にか目の前にあった。
    海沿いを歩いていただけの自分の前に、それはあった。


    違うのかもしれない。

    もしかしたら、なんとなくそれに惹き寄せられていたのかもしれない。
    今でも悩む自分が求めていたから、目の前に現れたのかもしれない。


    あるはずのない、『それ』が。

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:00:39

    なんだこのなに?

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:01:23

    棺桶?

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:02:30

    水葬の…

  • 13◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 22:05:19

    「………」

    ゆっくり、そこに鎮座するそれに近づく。
    箱の上、そこに刻まれているのは、確かに自分の尊敬する海賊のマークだった。

    手が伸びる。
    なんとなく、それの蓋に手を伸ばす。
    蓋の隙間に指をかけ、思い切り開け─



    やめた。
    流石に、それをする気にはなれない。
    その中身を、確かめる勇気はない。

    横を見ると、波の中に引きずったような後がある。
    まさに波に揺られてここに漂着した、とでもいう感じのそれだ。

  • 14◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 22:11:58

    箱のすぐ横に腰を下ろす。
    自分が寄りかかっても、箱は大して動じることがない。
    なんとなく違和感のようなものがよぎった気がするが、考える気にはなれなかった。

    「……なァ」

    「そこにいんのか、ウタ?」
    つい、箱の中に問いかけてしまう。

    返事など、返ってくるはずもないというのに。

    「…おれさ、結局起きてお前と話すことなかったよな」
    それでも、ルフィは箱に話しかけるのをやめなかった。
    なんとなく、これが本当の本当に最後な気がしたから。

    「お前、ずっとおれが寝てるの見てたりしたのか?」
    夢の中にいたとき、ウタがキノコを食べながら現実で何をしていたかなど知りようもない。
    シャンクスたちが来るまで、あのステージでじっと待っていたのだろうか。

  • 15◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 22:20:29

    「…おれ達、これから新世界戻ってよ…また海賊王目指して頑張るんだ」
    次に狙うのはいよいよ四皇の首、それを乗り越えれば、海賊王への道はぐっと近くなるはずだった。

    「…ウソップがよ、新聞でお前の歌が売られて人気出てるって言うからよ、シャボンディで買うって話になったんだ」
    歌姫最初、そして最後のアルバムが発売され大ヒットだとウソップが言っていた。
    消えてなお、その歌は多くの人に残っているのだろう。

    「凄いよな、お前の歌」
    …相変わらず、会話をしているのは一人だった。
    会話と言っていいのかすら分からないものだった。

    「…一回くらい、おれもまたこっちで聞きたかったな」
    …つい、零すつもりのない本音が出てくる。

    「こっちでもう一回会ってよ…強くなったおれ見てほしかったんだけどな」
    つい下がりそうになったそれを、なんとか奮い立たせる。

    「…まァよ、おれ頑張るから、あっちでちゃんと見ててくれよ!!多分おれの兄ちゃんのエースとかもいるしよ!!それでおれがそっち行ったら…」
    …言葉が途切れる。

    「…駄目だなこりゃ」
    一度空を仰ぎ、再び下を見る。
    聞こえてくるのは、波の音と近くを飛ぶカモメの声だけだった。

  • 16二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:22:24

    どっち(何がとは言わない)になるのか予想付かなくて心が落ち着かない

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:22:32

    このレスは削除されています

  • 18◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 22:27:42

    〜〜

    どのくらいそうしていたのだろうか、いつの間にか自分の影が角度を少し変えているのが分かった。

    長居しすぎたかもしれない。
    今頃他の一味の皆は食料集めでもしてるのだろう。
    自分も戻ろうと、立ち上がろうとした。


    「………あ、起きた?」

    横から、声がした。

    「いつの間にか寝ちゃってるんだもん、びっくりしたよ」
    懐かしい声が、すぐ隣から聞こえる。
    体を動かしたくても、うまく動かせない。

    「…ルフィ?起きてるよね?」
    なんとか、ゆっくり首を横に向ける。
    己以外の、もう一つの影の行方を追う。

    「やっとこっち見た」



    「……ウタ?」
    箱に腰掛ける彼女の姿が、そこにあった。

  • 19◆.pitCM.Fow22/11/05(土) 22:28:16

    (続きは明日投げます)

    (今回のは比較的短めです)

  • 20二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:30:17

    続きが気になるところで…!

  • 21二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:31:18

    続きが気になる…
    楽しみにしてます

  • 22二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:34:20

    すげぇ気になるところで切りやがった!?

  • 23二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:34:32

    今更ながら棺桶に赤髪海賊団のマークがあるんだな…
    楽しみに待ってます

  • 24二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:44:38

    …胸が苦しい

  • 25二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 22:45:00

    楽しみにしてるぜぇ

  • 26二次元好きの匿名さん22/11/05(土) 23:44:14

    良かったな現実で会えそうで
    なお

  • 27二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:50:44

    保守

  • 28◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 12:13:42

    「まさかこんなバッタリな再会するなんてねぇ…思っても見なかったな」
    そう言って笑うウタを、ルフィは呆然と眺めていた。

    「それにしてもこの棺桶…なんだっけ?クウイ…なんだったかな…とにかくそんな感じのやつのおかげでここまで流れてきちゃって…」
    ルフィに構いなく、ウタは話し続けている。

    「それにしてもひょんな事もあるよね…それでまたこうして会えたんだし…ルフィ?」
    棺に腰掛けたまま、ウタがルフィに声をかける。

    「…お前、なんで……」
    ただそう呟くルフィに、ウタが苦笑して返す。

    「…なんでかは、私も正直よく分かってないんだよね…神様のいたずらってなつなのかな…?」
    頬をかきながら言うウタが言葉を続ける。

    「…あのときは、あんまりゆっくり話せなかったし…せっかくだから、少し話でもしよっか」

  • 29◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 12:26:34

    「ルフィは、このあとどうするつもりなの?」
    「…新世界に行く、また海賊王になるために冒険するんだ」 「そっか…」
    二人が海を見る。
    前半の海と考えても、今日の海はかなり穏やかな波を立てている。

    「…言ってたよね、ルフィ…海賊王になったら新時代を作るって」
    「ああ、言った」
    夢の中で衝突の一つの要因だったそれが思い出される。

    「ルフィの新時代…子供のときは知らずじまいだったけど、結局どんなのなの?」
    「…夢があるんだ…お前がいなくなっちまった後に決めたやつなんだけどな」
    それを知るのは、シャンクスと二人の兄のみだった。

    「ふーん…どんなのなの?」
    「…おれはな──」

    「は?」
    素っ頓狂な声がウタから出て…次には、腹を抑えながらウタが笑い始めた。
    「プッ…アハハハハハハ!!何それ!!」
    「お前、笑うんじゃねェ!!」
    「ごめんごめん…うん、確かにあんたらしいね」
    目尻を指で拭きながらウタが答える。
    確かに驚いたが、ルフィらしい答えだと言えるのだろう。

    「そっか…それがあんたの新時代か…」

  • 30◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 12:54:15

    「…それ聞いていたら、もう少しなにか違ったのかなぁ」
    ウタが静かにつぶやく。
    そこには、隠しきれない後悔が滲み出ていた。

    「……お前、これからどうすんだ?」
    今度はルフィがウタに聞き返した。
    「…どうするって言っても…私もこれからどうなるかよく分かってないからなぁ…」
    呆然と前を見つめながら、ウタが答える。

    「…私の新時代は終わっちゃった…けど、あんたが作ってくれるなら、私も安心できる」
    ウタがそう言葉を続ける。
    自分が作る新時代に、不安など全く感じず信じてくれてるのだろうことが伝わる。

    「…お前は、見ててくれるのか」
    顔を下げながら、ルフィが更に問いかける。

    「…しょうがないから、ちゃんと見ててあげるよ…」
    帽子越しにルフィの頭を叩きながら、ウタが答えた。

    「…少しだけ、帽子貸してくれない?」
    「……いいぞ」
    了承を得たウタが、ルフィの頭から取った帽子を自分の頭に被せる。
    いつもの特徴的な髪型ではなく髪の降ろされたウタの頭に麦わら帽子が収まる。

    「……やっぱり、あんたのほうが合ってるね」
    そう呟いて、帽子を取る。

  • 31◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 12:54:29

    「…最後にした約束、覚えてる?」
    「…ああ」
    約束と呼ぶには、あまりに一方的なものだった。
    最後に託した、願いとでも言うべきそれを思い返しながらウタが帽子をルフィに被せる。

    「…ちゃんと見ててあげるから…あんたも頑張りなよ?その帽子が」
    「もっと似合うように、だろ?」
    言葉を遮るようにルフィが言って笑う。
    ウタにとっては、久しぶりのルフィの笑顔だった。

    「……もう、行くのか?」
    「うん…あんまり話しててもあれだし…仲間も待ってるんでしょ?」
    体勢を直すウタに、ルフィが向き合う。
    「…最後によ…一個、頼みたいことがあるんだ?」
    「ん?何?」

    「…お前の歌…また聞きたい」
    「歌…」
    そういえば、現実で会うこともなく、歌を聞かせることもなかった。
    「…何か、リクエストある?」
    「……あれにしてくれよ、よく歌ってたやつ」
    「はいはい…しょうがないな」

    ウタが棺の上に立ち…最後に、こちらを向いた。

    「…頑張れよ、海賊王」

    その言葉と共に、歌が海岸に静かに響く。
    その歌を聞きながら、ルフィはゆっくり、自分の意識が落ちるのを感じていた。

  • 32◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 13:01:36

    〜〜

    目覚めた時には、少しずつ日が落ち始めようとしていた。
    箱に背を預けていたルフィが、ゆっくり立ち上がろうとする。
    ふと、何かが手の中にあるのに気がついた。
    ゆっくりと手を開く。

    そこにあったのは、白い花弁だった。
    いつの間にか、どこからか飛んできていたのだろうか。

    その花弁をポケットに入れ、海岸を沿いながら歩み始める。
    頭の中には、意識が落ちてもなお流れ続けた歌がまだ流れている。

    心残りばかりの出来事だったが、ルフィにとって特に大きな心残りだったことが…夢のきっかけをくれた彼女に、見つけられた夢を伝えられなかったことだった。 
    ただの願望の幻かもしれない。
    ほんの少しの夢だったのかもしれない。
    それでも、伝えることができた。
    見届けてくれると約束してくれた。
    それだけで、十分だった。

    今度こそ、後ろを振り向くことなく歩き続ける。
    仲間のもとに、そして己の「夢」の元へと、ルフィは駆け出していった。

  • 33◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 13:02:26

    『ルフィがウタに遭う話』完

  • 34二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:05:04

    わずかな再開、少しだけあった心残り、しんみりもするし救われもするいいSSだ……

  • 35二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:06:14

    お疲れ様です。
    箱は本当に流れ着いてたんだな。
    切ねぇ……切ねぇし、それだけで全部割り切れるわけじゃねぇけど
    ルフィが立ち直るささやかなきっかけになる、優しい夢幻だったっすね……

  • 36◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 13:08:31

    縲弱Ν繝輔ぅ縺後え繧ソ縺ォ驕ュ縺?ゥア縲

  • 37二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:10:09

    ん!?

  • 38二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:10:34

    え?

  • 39◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 13:10:51

    邵イ蠑ア縺育ケァ?ソ邵コ蠕湖晉ケ晁シ斐≦邵コ?ォ鬩包スュ邵コ??ゥ?ア邵イ

  • 40二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:10:51

    なんだ!?

  • 41二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:11:27

    怖い怖い

  • 42二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:11:30

    なにこれ…

  • 43二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:11:53

    なんか近づいてない?

  • 44◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 13:12:09

    縲弱え繧ソ縺後Ν繝輔ぅ縺ォ驕ュ縺?ゥア縲

  • 45二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:13:07

    怖い怖い怖い

  • 46◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 13:13:46

    『ウタがルフィに遭う話』

    (夜更新予定)

  • 47二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:13:51

    『ルフィがウタに遭�?���

    『ウ�??がルフィ�??遭�?????�

    『ウタがルフィに遭�?���

    ……逆転した……?
    何が起こる……?

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:14:52

    綺麗に終わって泣いてたら予想外の展開に

  • 49二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:14:53

    ガタガタ震えて君を待つ 待つよ……

  • 50二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:15:14

    さっきまでがルフィ視点だったから次はウタ視点で書くことじゃね

  • 51二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:15:51

    足跡が反対側にもあるんですよね

  • 52二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:16:17

    待って!?
    続きあるの!?

  • 53二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:18:33

    >>44

    よく見るとこれ足跡の主…

  • 54二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:18:34

    こいつぁとんでもない扉を開いちまったのかも

  • 55二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:22:55

    >>44

    よく見れば砂浜の奥にウタちゃん、水平線上に船……レッドフォース号?

  • 56二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:29:26

    ほんとだ!拡大表示すると画像のノイズが晴れてウタちゃんの姿がはっきり見えるようになっとる!

  • 57二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 13:30:35

    >>44

    よく見たら海の方に黒い斑点みたいなのも新たに出てきてるな

  • 58二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 14:13:26

    レッドフォースに乗ってルフィに会いに行くのかな?

  • 59◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 19:42:22

    『ウタがルフィに遭う話』

  • 60二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:50:38

    過去のルフィに会いに行く話?

  • 61◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 19:52:16

    世の中何があるか分からない。
    たまたま訪れた国で自分の能力が鍵の魔王に出会ってしまうこともあれば、
    偶然海岸に使い勝手の良すぎる通信手段が転がってることもある。
    死にかけの体に奇跡を信じて施した処置が時間差で聞くこともあれば、
    棺桶に使われた木材がなんと凄い浮く木だったなんてこももある。

    思えば自分の人生はそんなことの連続だったなと、海を眺めながらウタは思った。
    あの後眠るルフィを背に海岸を歩いていたら水平線に見慣れた船が確認できたときは驚いた。
    甲板で再会してしまった面々とは思う存分抱き合って泣いた。
    その後、色々話し合って結局いつでも会いに行ける縄張りに秘密裏に降ろされたのは思うこともなくはなかったが、
    その島にたどり着くまでの新世界の旅を考えると何も言えなかった。

    その後は島の人々に歌を届けながらゆったりと新聞に目をやる日々を過ごし…
    やがて、そのニュースが飛んできた。

  • 62二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:54:12

    >>61

    生き返っとる!

  • 63二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:55:34

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 19:57:00

    悲しいエンドはもうたくさんなんだ

  • 65◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 19:58:34

    「…穏やかだなぁ…」
    海を眺めながらそう呟く。
    自分が船の甲板に出たことは少なくはなかったが、
    新世界の奇天烈な環境と比べれば
    前半の海はそれこそ楽園と言えた。
    カームベルトは父の覇気とやらがなければ難解だったが、
    東の海に入ってしまえばもう危険など感じることもない。
    ゆるりとした旅だった。
    …いや、途中寄ったシロップ村という場所では、一人少し大変な人がいもしたが。

    しかし、そんなこんなでの旅も、もうすぐ終着点に辿り着こうとしていた。

    「…おい、ウタ」
    後ろからの声に振り向けば、マントをなびかせる父が立っていた。
    少しばかり増えた傷が、あの島にも届いたかつての戦いを思わせる。
    「…見えてきたね」
    「ああ…お前にとっても懐かしいだろう?」
    「うん…変わらないね、あの村は」

    風に揺られ風車が回る。
    10数年ぶりの、フーシャ村だった。

  • 66◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:07:35

    「…野郎共、錨を下ろせェ!!」
    のどかな村の港に、とても場違いにすら思える大型の海賊船が着港する。
    錨が降ろされ、港にかけられた道から幹部達が降り立っていく。
    ウタも父シャンクスの手を借りながら、より強くなったざわめきの中ゆっくり降りていく。

    「全く…またとんだ大悪党が帰ってきたわい」
    港に集まって騒ぐ人混みの奥から、一人の老人が杖をついて歩いてくる。
    「久しいな村長…変わらずで安心したよ」
    「お互い様じゃ…またしばらく停泊したいと?」
    「村の者に負担をかけるつもりはないが、うちも人が増えた…長く居座るつもりはないさ」
    それに、と続けたシャンクスの後ろから、少女が歩んでいく。
    「…お久しぶりです、村長さん」
    「…驚いたわ、まさか生きとるとはの」
    ウタの顔を覗き込みながら村長が言う。
    表向きウタは未だ死んだことになってる人間である以上、それは正当な反応だった。

    「全く…今となってはあのライブも遠く感じるの」
    「…ごめんなさい」
    「別に、この村のものは誰も気にしてはおらん」
    手を振りながら、村長がシャンクスの顔を見据える。

    「…それで、つまり要件は…」
    「ああ、ウタをルフィに会わせてやろうと思ってな」

  • 67◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:23:11

    「…全く、あの悪ガキにも困ったもんじゃ…ここにどれだけ悪党を呼ぶんじゃか」
    「そういうなよ村長、うちの村一の出世頭だ!!」
    「海賊王に乾杯!!」
    「やかましいわお前ら!!」

    「ハハハ…変わらないな、この村の人達は」
    「ハハ…そうだね」
    思わず、シャンクスと揃って苦笑してしまう。

    「それならマキノに聞くといい、酒場で客の相手をしとる」
    村長が杖で指す先に、変わらぬあのバーがある。
    「マキノか…久しぶりだな、会いに行くか」
    「うん…元気にしてるかなぁ、マキノさん」
    船の船員達はロックスターが見てくれることとなっている。
    愉快な村人達に囲まれながら、幹部の人達とバーに歩んでいく。

    「邪魔するぞマキノ…ん?」
    「お邪魔しま……あれ?」
    既に、バーの中はたくさんの…柄の悪そうな人達がいた。
    「…あ!お久しぶりです船長さ……ウタちゃん……?」
    「はい…あ、グラス…」
    拭かれていたグラスが落ちて床に散る。
    それすら気に留めず、飛んできたマキノにウタが抱きしめられる。
    「ちょ……マキノさ…」
    「…良かった…生きてて……また会えるなんて…」
    「………」
    泣きながら抱きしめるマキノに言葉が見つからず、そっと背に手を回す。
    まだ、こんなにも自分を思ってくれる人がいたという事実が心に染みてくる。
    「…ごめんなさい、きっとマキノさん達にも…」
    「いいの…いいのよ、それよりまた会えて…」

  • 68◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:30:37

    「おいおいマキノ、そいつ知り合いかい?」
    カウンターにいた大柄の女性が、子供を背に抱きながら歩んできた。
    …見てわかった、この人カタギって人じゃない。
    「えっと…あの…はじめまして…」
    「ニー!!もしかして、UTAじゃニーか!?」
    「ウタ……?じゃあこいつが死んだルフィの幼馴染ってことか?」
    「…はい、ダダンさん…紹介するねウタちゃん、ダダンさんって言って、ルフィの育ての人なの」
    「山賊忘れんなマキノ」
    「え、ルフィの!?…それに山賊…!?」
    「へえ、あんたが噂の!!」
    「!?シャンクス知ってたの!?」

    その後、酒場は山賊海賊混ざっての飲み会になった。
    どうやら、シャンクスはルフィの兄のエースという人から聞いていたらしい。
    あのルフィが山賊に育ててもらったのはウタには驚きだったが、
    少し話した中でのダダンのルフィへの愛情を知ってしまえば納得がいってしまう。

    「…マキノさんの子供、かわいいなぁ」
    「ふふっ…ありがとうね」
    すでに自分で歩いて言葉も喋れるようになっている子供を抱き上げる。
    あのマキノさんが母親だというのは、ウタにとってもそれなりに驚愕のニュースだった。
     
    「…あれ、これ…」
    そんなとき、どこからかよく知る音楽が流れてくる。
    音の方を向けば、少し使い古されたアルバムが再生されている。
    「ウタちゃんの歌…あの後もみんな聞きたがってたから、この店ではよく流してるの…大人気よ?」
    「そっか…そうなんだ…」
    久しぶりに聞いたかつての自分の歌に、つい目頭が熱くなってしまう。
    「……そうだ…マキノさん、一つ聞きたいことが…」
    「分かっているわ…ルフィでしょ?」

  • 69◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:34:21

    「ルフィなら、あなた達がよく行っていたあの場所よ…行ってあげたら?」
    「…分かった、シャンクス」
    「ああ、行ってこい、おれ達もあとから行くさ」

    酒場の人達、そして村の人達に見送られながら駆けていく。
    こうして走っていると、かつてと違うところも見えてくる。
    家も人も増えているし、思い出の風車は苔が増えたように感じる。
    新しくできたものもいくつかあるらしい。

    かつて、この村をルフィと駆けた思い出が蘇る。
    懐かしいそれを思いながら、村から外れた草原を走る。

    既に日が傾き、空がオレンジと紫を帯びている。
    潮風を浴びながら、崖沿いの道を走っていき…やがて、たどり着いた。

  • 70◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:35:02

    「………やっと遭えたね、ルフィ」

  • 71二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:39:48

    今度は、ちゃんと再会できたね……

  • 72◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:43:06

    ゆっくりと、そちらに歩んでいく。
    かつての記憶にはない気が目に映る。
    誰かがこの場所に植えたのだろうか。

    「…よっと」
    ゆっくり、ルフィの手前にしゃがみ込む。

    「…久しぶりだね、ルフィ」
    最後にあったのは、たまたま流れ着いた砂浜で、たまたま補給に上陸していたときだった。
    「…あのときは、まだ自分が生きてるのか死んでるのか、夢でも見てるのかって思っちゃったなぁ」

    少し前までは、そんな夢を見ることがあった。
    実は自分はもう死んでいて、今見ているのは都合のいい夢なのではないかと。
    …そんな夢はあの日のニュースを最後に消えていったが。

    「ここ、懐かしいね…あのときは、よく私もここで夢の中にいたっけ」
    あのとき、ここに座っては歌の世界に行っていた。
    ルフィも時々誘いはしたが、すぐに飽きてはどこかに行ったり勝負が始まったりしていたが。
    「あのとき、ほんと落ち着きなかったよねぇあんた」
    慌ただしく、村に帰ってチキンレースをしたこともあったか。
    今でもあのときの楽しかった記憶は鮮明に思い出せる。


    「……すごいね、ルフィ……ほんとに新時代作っちゃうなんて」

  • 73二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:44:14

    ……ルフィ……?

  • 74二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:44:33

    ルフィの台詞が一言もない

  • 75◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:49:27

    始めてその記事を見たときは本当に驚いた。
    すべての障害を乗り越え、見事最果ての場所から、ルフィは世界をひっくり返してみせた。
    文句のつけようのない、「新しい時代」が始まった。

    「…あんたが言ってた夢の果て…あのときは笑ったけど、現実になるとはね」
    とても果てしない夢だったというのに、それを見事叶えてみせたのだ。
    この勝負に関しては、現状自分は完敗と言うべきだろう。

    「…あのときの新聞、不覚にもドキッとしちゃったなあ…」
    あの日の一面を大きく飾った写真。
    麦わら帽子を被り、満面の笑みを浮かべたルフィに、つい鼓動を早めてしまったのを思い出す。

    「…しっかり、帽子のよく似合う男になっちゃってさぁ…」
    思い返されるのは、夢の世界が閉じる直前…そして、あの日の砂浜での約束。

  • 76◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 20:50:55

    「ほんと…麦わら帽子がとびきり似合う男になっちゃって」
    風に靡く帽子の角度を、少し整えながら言う。




    「…でもさ、ルフィ」






    「せっかくなら…ちゃんとこの目で見せてほしかったよ」

  • 77二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:51:49

    何やってんだ麦わらァ!!!!!

  • 78二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:52:04

    相当無茶したからねぇ……
    どれだけ寿命を削ったのか……

  • 79二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:52:27

    まさかの、、、

  • 80二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 20:54:02

    いや、死を偽装するためのカモフラージュに違いない…!
    そうだと言ってくれ…

  • 81◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:01:27

    思い返されるのは、海賊王のニュースからしばらくしたあの日。
    新時代になってすぐ迎えに来たシャンクスの船で、ゆっくりと姿をくらましたルフィ達の一味を探していた時だった。
    突如甲板に飛び乗ってきたのは、ライブでも見た青い男の人…ルフィの仲間のジンベエという人だった。
    突然の来訪に驚いた赤髪海賊団に告げられた言葉は、あまりに残酷だった。

    海賊王の一味、麦わら大船団の解散。
    ─そして、大頭である船長…ルフィの逝去だった。

    病気ではない、怪我の悪化でも、猛毒でもない。
    ただ、既にどうしょうもなくボロボロだった体が耐えられないゆえの最期だった。

    「あれからさ、ジンベエさんの提案で、ルフィと親しいって人達に会ってきたんだよ」
    立ち直るのに必要な時間は短くなかった。
    それでもなんとか立ち上がり、世界を見た。

  • 82◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:09:44

    開かれた侍の国の龍にも会った。
    情熱の国の妖精達にも会った。
    海底から居場所を移した人魚姫にも会った。

    「凄いよね…みんなルフィに救われたって言ってたよ」

    強烈な人達に囲まれたルフィの家族とも話した。
    女性だらけの国の女帝という人は、目を赤く腫らしていた。

    海に浮かぶ水の都では、操舵手以来に会えたルフィの船員がいた。
    格好こそ変態だったが、世界を見て得た技術で夢の船をより進化させると息巻いていた姿は輝いていた。

    その人?の協力で、雲の上にあるという世界も見てきた。
    ルフィが取り戻したという黄金の鐘の音色は、今でもよく覚えている。
    シャンクスは一度これを見たことがあるというのだから驚いた。

    次に訪れた島では、浪漫を求める者達と、また一人ルフィの仲間に出会うことになった。
    どうやら彼らと共に、未だ解ききれぬ謎を探す旅をしているらしい。
    新たな夢に向けて、彼女もまた生きているそうだ。

    砂漠の国で王女を遠目に見た。
    人魚姫達によれば、彼女もまたルフィの仲間らしい。
    王女すら仲間にするとは、奇想天外としか言いようがない旅をしていたのだろう。

  • 83◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:17:30

    不思議な山の雪国では、また一人…というより一匹の仲間に出会った。
    船長を救えなかった無念を胸に、より一層腕を磨いているらしい。
    今度こそ、病以外も治す万能薬になってみせると涙ながらに誓いを言っていた。

    巨人のいるジャングルの島と賞金稼ぎの島を超え、次に着いたのはふたご岬という場所だった。
    シャンクスがかつての仲間に会いに来たと言っていたが、そこにいたのは二人の老人とルフィの仲間の一人だった。
    どうやらシャンクスがここに来る道中に寄っていたシャボンディ諸島という場所で会えなかったという人も、ここに来ていたらしい。
    先代海賊王の船員3人が話している間、ルフィの音楽家と話をしていた。
    ルフィは最期まで音楽と肉は好んでいたらしい。
    間際にリクエストした歌はビンクスの酒だったが、自分の歌もよく頼まれたと聞いて、ついまた熱いものが溢れてしまった。
    それをよそに、いつの間にか隣の老人達の同窓会に赤い鼻の人も加わっていた。

  • 84◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:29:41

    彼らと鯨に見送られながら出航しグランドラインを出る直前、最後にエレジアに寄りかかった。
    表向き死んだためここまでルフィの知人以外の前では身分を隠したウタだったが、
    ゴードンには予めシャンクスが伝えていたらしい。
    改めてのお礼と謝罪をし、復興の兆しのあるエレジアを見て回った。

    カームベルトを通り抜け、東の海に入る。
    最初に来た島は、みかんの匂いのする穏やかな村だった。
    ここまで同行してくれていたジンベエという人が入るのを躊躇っていたが、やがて来たルフィの仲間の人に連れられる形で進んでいく。
    過去になにかあったのか申し訳無さそうなジンベエに親切に村の人達が接する中、
    ルフィの仲間のオレンジの人に、みかんと共に海図が渡された。
    ゴア王国…ルフィが眠る島までの海図だった。

    その後、海図に従い海を進んでいると不思議な船に出くわした。
    どうやら海上レストランというものらしかったが、その船から突如ルフィの仲間が駆け寄ってきた。
    言ってることはよく分からなかったが、つまりはぜひ料理を食べてほしいとのことだったのでお言葉に甘えた。
    シャンクスと数名とともに頂いたが、あまりに絶品だった。
    あのルウも倒れ込むほどだ。
    お礼も手短に受け取ると、ここで働いているわけでもないらしいルフィのコックは船を出していった。
    どうやらオールブルーにまた食材調達に行くらしい。

    次の島に近づくと、何故かヤソップが渋っていたが、そんなヤソップの額に鉛玉が飛んできた。

  • 85◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:39:02

    どうやらヤソップの息子だというルフィの仲間の仕業だったらしいそれが、続けて何発かヤソップに命中したあと、本人が数名とともに姿を表した。
    どうやら彼はここしばらくこの村で嘘のような冒険譚を話して暮らしていたらしい。
    そのそばには、数名の青年と、医者だという少女がいる。
    今はこれからのことは考えてないが、これからゆっくり答えを探すと言っていた。

    ヤソップの墓参りが済んだあと、いくつかの島を見て回った。
    箱入り男と樽入少女と珍獣の島にも自分の音貝が流れていたのは驚いた。
    ある町のペットショップは、見慣れた麦わら帽子の銅像が置かれていた。
    英雄を輩出したという海軍基地は流石に遠目だった。

    海図の通りの旅も、いよいよゴア王国手前になり…一つ気づいた。
    一人ルフィの仲間と出会えていない。
    ジンベエに問うと、彼はどこにいるかどこに行くのか分からないとのことだ。
    少々残念だなと肩を落とし、部屋に戻ろうと振り返ると、3本の刀を持った男の胸が目の前にあった。
    思わず絶叫してしまった。
    どうやら気づいたらこの船にいたらしい。
    …なにがどうなったらそうなるのだろうか。
    その後、そのルフィの仲間を連れてジンベエも船をあとにした。
    此処から先は、自分達だけでルフィに会いに行くといいという気遣いらしい。

    こうして、海賊王の軌跡を追う長い旅を終え…今、ルフィの前にまで来れた。

  • 86◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:45:54

    風に麦わら帽子が揺られる。
    結局、シャンクスはこの帽子をルフィに上げたらしい。
    今もこうして、髑髏を模した墓石の上に置かれている。

    「…私さ、ちゃんと約束通り見届けたよ、新時代」
    各地を見た。
    ルフィの遺した時代を、そこに生きる人々を見届けた。
    友人の叶えた夢を、この目にしたり

    「ちゃんと、約束守ったよ」
    あの日、砂浜での約束が思い出される。

    「…ルフィも、ちゃんと約束守ってくれたね」
    かつて、あの写真の向こうの笑顔を思い出す。

    「……でもさ…私やっぱり、ちゃんと会って言いたかったよ…」
    気づけば、旅の中で枯れ果てたと思ったそれが溢れてくる。
    あの日、喉が裂けるのではと思うほど泣き叫んだ。
    今はただ、静かにそれが流れ続けている。

    「…ちゃんと会ってさ…凄いねって…似合ってるって言わせてほしかった…!!」
    少しずつ抑えきれない嗚咽が漏れる。
    何も言えず、ただその石の前でしばらく泣き続けた。

  • 87◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 21:54:28

    「……ごめんね、せっかく来たのにこんなんで」
    ようやく落ち着いてきたそれを拭き取りながら、ひどくなっているだろう声で謝罪する。

    「…覚えてる?最後に歌った歌」
    別れる直前、ルフィが眠るまで歌い続けた歌を思い返す。

    「…私、これからまたシャンクス達と世界を周るんだよ…今度は、自分を隠さずに」
    それが何を意味するかは、自分でもなんとなく分かる。
    これまでのように穏やかに過ごせるかは難しいところだろう。

    「…それでも、私頑張るよ…今度こそ、皆が幸せになれるように」
    目の前に眠るルフィが作ったこの時代で、
    皆が確かに笑って過ごせるように。

    「…私も、歌で平和な時代を作ってみせる…だから、そこで見ててね」
    伝えたかったことを伝え、立ち上がる。
    束ねたそれを一本取り出し、木のそばに植える。

    「…まだこの島に停泊するから明日も来る…明日もまた植えてあげる」
    ルフィは寂しがり屋で、賑やかなのが好きだったから。
    「ここも、華やかにしてあげる…きっと、そっちのほうが嬉しいだろうから」
    最後に帽子に手をやり、もう一度だけ角度を合わせ…再び、ルフィに背を向ける。
    「…またね、ルフィ」

    歌姫は歩み始める。
    かつて誓い、遺されたこの「新時代」を、進み始めた

  • 88◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:04:23

    〜〜

    「…久しぶりだなぁ…」
    すっかり様変わりした海沿いを歩きながら、そう呟く。
    もし小人や子供だったら道に迷ってしまいそうなその果てで待つ彼に、再び話しかける。

    「久しぶりだねルフィ…そっちはどう?私の方は、今回は大成功だったよ」
    挨拶もそこそこに今回の成果を報告する。
    今回行った島で行ったライブは大成功だった。
    かつての事件から月日が経ち、今でも自分を怖がる人もいるが、それでも受け入れてくれる人が増えてくれている。

    少なくなったが、新しい時代にも悪党はいる。
    悪党に怯える人もいる。
    そんな彼らの希望になりたくて、歌を歌い続けている。

    「…これ、また今日も持ってきたよ…よいしょ…」
    持ってきた数本のそれを植える。
    すっかり草原が様変わりしたなと思いつつ、手帳を開く。
    「7…8…9……あ、これで達成か」
    旅の中でたまたま知識を得て以来、本数を記録していた。
    どうやら目標に達したらしい。

    「…ま、あんたはどうせ意味なんて分かんないだろうけどね」
    苦笑しながら向き直る。
    「そっちはどう?寂しくない?友達はいるの?…もしかして、いい人とか出来ちゃった?」
    答えなど返らなくても、それに問いかける。
    「…ま、別にいいけどね…私の気持ちは、決まってるし」 
    景色を一望しながら言う。
    一面に咲き誇る黄色が、なんだか風に揺れる帽子に重なる。

  • 89◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:07:01

    「…それじゃ、また来るね」
    再び墓石を背に、来た道を引き返す。
    自分より高い緑に、姿を隠していく。

    「……バイバイ、海賊王」
    その言葉とともに、ウタは己を待つ家族達の船に帰っていった。


    『ウタがルフィに遭う話』完

  • 90二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:08:43

    このレスは削除されています

  • 91◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:09:06

    向日葵…『私はあなただけを見つめる』『憧れ』『愛慕』

    999本の向日葵…『何度生まれ変わってもあなたを愛す』

  • 92二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:11:09

    太陽神のお墓は999の太陽の花に包まれている……
    ありがとう、再開できなかったことは悲しいことだけど、しんみりと明るいお話だった……

  • 93二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:11:55

    しれっとヤソップが死んでるの笑う

  • 94二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:12:23

    悲しいけどいいお話でした
    一途だね...ウタちゃん...

  • 95二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:12:47

    >>93

    パンキーナの墓参りでは?

  • 96二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:13:56

    またあの文字化けくるかな

  • 97二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:14:05

    普通に泣いちゃった...

  • 98二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:14:42

    ルフィはエースと楽しくやってるさ

  • 99二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:15:08

    くるか?ルフィとウタが再開する話

  • 100◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:17:39

    お付き合いいただきありがとうございました
    そしてごめんなさい元ネタになったスレを見失いました()

    一応元というより発案のきっかけになったスレがあったのですが見失ってしまいました。
    みなさんもぜひ頑張って探してみてください
    (確か先立たれたウタちゃんが求婚を拒否しまくるスレです)

    ちなみに余談ですがルフィは最期までウタは亡くなってると思ってた(あれは夢だと思ってた)ので
    あの世でエースからウタが生きてることを聞いてサボ顔になりました。
    恐らく今でもゆっくり彼女が来るのを待ってます。

    あともう一つ余談ですが今回一番何より苦心したのは絵です。
    自分に絵は無理です。

  • 101二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:18:55

    以前ゴードンの手記ってSS書いてた人か
    最後の文字化けのが翻訳しても全部読み取れなかったけど何て書いてたんだ?

  • 102二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:21:13
  • 103◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:22:01

    ついでにこの場を借りて報告2つ


    ①前作品をうっかり執筆中にスレ落としてしまいました。

    前前作に繋げたい作品のためいつかは完成させますが

    現状ここでリベンジするか後日完成させてから支部行きかは悩み中です

     

    ②過去作を支部に上げました。

    よかったらこちらもどうぞ。

    #ルウタ #モンキー・D・ルフィ 歌姫ウタの事件簿? - アオロの小説 - pixiv─エレジア 今日、いよいよライブが始まる。 私の歌を聞きに、色んなところから人が集まっている。 …私の『新時代』が、もうすぐ始まる。 「…もうすぐ、か…」 ふと脳裏に浮かぶのは、大好きだったあの海賊達。 世界のどこかで聞いてくれてるだろうか。 …それとも、ここに来てくれるのだろう...www.pixiv.net

    それではまた次の機会に

    by一般ラインハルト


    >>99

    そこまでは考えてなかったですが割と意欲掻き立てられるので

    スレ残ってたら明日辺り書くかもです

  • 104◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:22:48

    >>102

    あっそれですありがとうございます

  • 105◆.pitCM.Fow22/11/06(日) 22:27:08

    ネタメモ

    ゴードンの手記(中)…済
    ウタinアニマルワールド(中)…revenge

    安価学園ウタラジオ(短)

    ルフィがウタに遭う話(中)…済

    (ウタ日記(中?))

    (UTA last Live(中)



    CHAOSTAMPEDE(長)

  • 106二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 22:55:17

    お疲れ様です……いいものを読めた。二段構成でびっくりしたけど、しんみりしてとてもよかったです。
    イラストも伝えたい雰囲気が一生懸命描かれてて、とても素敵でした。

  • 107二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:01:05

    心象描写が物悲しいけど美しい、素敵なssだ
    このssを読めて良かった
    スレ主に心からの感謝を

  • 108二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:48:08

    いい。すごくいいお話でした。
    なんだか物悲しくてしんみりしたけど、どこか暖かい気持ちになれたよ。
    素敵な作品をありがとう。

    さ、来世で現パロ幼馴染してるルウタを妄想するぞ!

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:49:43

    あの時ウタは実は生きてたと知ったらルフィめっちゃ曇りそうなんであの時もっと話しておかなかったんだって

  • 110二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 23:55:48

    棺桶を開けて生きてることに気づくルートはないのかな?

  • 111二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 00:41:11

    他のスレとかでもちょくちょく見かける考察(?)だけどやっぱり新時代を迎えた後こそがウタの出番なんだなと感じる
    ルフィが海賊王になって新時代をつくる → ウタが自分の歌で世界中の人に希望を与える という流れが凄く綺麗だと思う

  • 112二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 01:06:58

    ごめん。さっきジャンプの表紙見たせいか涙腺が…

  • 113二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 01:08:38

    こういうのを見るとより一層本編でルフィとウタには再会して欲しくなるよね…

  • 114二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 08:43:58

    hs

  • 115二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 18:32:51

    辛くて悲しいけど感動できる良ss

  • 116◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 19:57:48

    おまけ

    『ルフィとウタが逢う話』

  • 117二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 19:59:30

    ありがてえ

  • 118◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:04:03

    「……私、何してたんだっけ」
    背を地につけながら、ウタは考える。

    いつの間にか、この沢山の向日葵に囲まれて寝ていた。
    見れば分かる、一つ一つが自分の植えたそれだ。
    つまり、自分が今いるのはあの海沿いの丘ということだろう。

    しかし、直前の記憶がない。
    果たして自分は何をしていたのかが思い出せない。
    頭に靄がかかったかのようだ。

    考え続けると頭痛がしそうなので自分の身を確認する。
    …何故か、懐かしい服を着ていた。
    あの時のライブの時の白い服だ。
    …この場所に来るときは、決まって黒い服だった気がするが、
    忘れてこの服で来ていたのだろうか。

    なんでもいい、今はもう少しだけ寝ていたい。
    そう思ってまた体を倒す。
    …背中にやわらかいものを感じたが、そのまま目を閉じた。

  • 119◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:07:33

    「またウタが夢の中」

    …懐かしい、声がした。

    そんなはずはないと思った。
    本当に夢の中にいるのかと思ってしまった。

    ゆっくりと、閉じた瞳を開いていく。


    視界の端で、麦わら帽子が揺れていた。

  • 120◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:15:38

    「…おーい?ウター?」
    頬をペシペシと叩かれる。
    目の前に出てきた顔にすぐ近くで覗かれる。

    「お、起きたか?」
    なんてことないように、まるで昨日ぶりかのように話しかけてくる。

    「……ル……フィ…?」
    やっと、言葉を絞り出す。

    「おう、久しぶりだなウタ」
    そう言って笑うルフィを…飛び起きて抱きしめる。
    その勢いでまた倒れ込んでしまったが気にしてられなかった。

    「ルフィ……ルフィ…!!」
    溢れるものも止めずにむせび泣きながら、その名を呼んだ。
    もう二度と離れないよう、強く抱きしめる。
    やがて、ルフィの手も背に回される。

    「…ごめんな、生きてるの知らなくて…会う前に死んじまった」
    「…ううん…!!…会えて、良かった…」
    そのまましばらく、自分が落ち着くまで抱きしめ続けた。
    ルフィも、何も言わず抱き返してくれていた。

  • 121◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:25:34

    やがて落ち着いてきて、二人で向日葵畑の端の木の下まで出る。
    随分泣きついてしまったのが今頃恥ずかしくなってしまったが、ルフィは全く気にしていないようだ。

    「……ねぇ、ルフィ」
    「なんだ?」
    肩に寄り添いながら問いかける。
    本来、この木の下に建てられていたはずのそれはどこにもない。

    「…私、どんな最期だったの?」

    流石に、ここが何なのかなんとなく分かってしまった。
    そうでなければ、こんな再会はなかっただろう。

    「…フーシャ村で倒れちまって、そのままベッドの上で眠っちまったぞ」
    「…そっか」
    自分は随分穏やかな最期だったのだろう。
    若い頃の無茶が祟ってしまったことは否めないし、普通の生き方と比べれば少し短かったかもしれない。
    が、それでも悔いを残っていたわけではない。
    一つ悔いと言えるものもなくはなかったが、それは今叶っているのだから。

    「…ずっと、ここで見てたの?」
    「…エースが教えてくれたんだけどよ、そこの海から下が見えんだ…だから」
    「ふ~ん……着替えとかも見てたんだ、変態」
    「いや風呂とかは見てねーぞ!?」
    「ふふっ…冗談」
    ついムキになって言い返してくるルフィに笑ってしまう。
    なんてことのないこのやり取りすら懐かしい。

  • 122二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 20:26:29

    ぁえ?

  • 123◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:35:55

    「…このあとは、どうなるの?」
    「おれもよく知らね…のんびりしたりして、生まれ変わるの待つんだってエースは言ってたぞ」
    どうやら、こちらは随分のんびりした世界らしい。

    「…そのエースって人…ルフィのお兄さんだっけ?その人はどこにいるの?」
    「今日は別のとこ行ってる、あとシャンクス達も今はいねェけど、ウタが来たの聞いただろうし近いうち戻ってくると思うぞ」
    「…そっか…」
    思えば父と別れてからもそれなりの時間が立ってしまっている。
    懐かしい家族達に会いたい気持ちも湧いてくる。
    …が

    「…それなら、今のうちゆっくりしてたいな」
    「ん?おう」
    …もう少し、二人での時間が欲しい。
    ルフィに密着し、頭を肩にかける。

    「……なァウタ、お前さ…」
    「…?何?」
    「…いや、なんでもねェ」
    「なんでもないって声じゃないよ?」
    「…良かったのか?」
    「何が?」
    ルフィが、顔を背けて続ける。

  • 124◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:46:04

    「…お前よ、ずっとライブとかしてたのは良かったけど…ほら、よく断ってただろ?えーと…」
    「…もしかして、プロポーズのこと?見てたんだ」
    「…おう」
    確かに、ライブし終えた後に、ファンであろう男の人からプロポーズされることは少なくはなかった。
    いつまでも独り身な歌姫にチャンスでも感じたのか、花束や指輪を手に駆け寄ってくる男を、ウタは一切受け入れることはなかった。

    「おれもよくは分かんねェけど…お前時々寂しそうだったし、ほんとに一人で大丈夫だったのかなって…」
    「…ふ~ん……ねェルフィ、少しこっち見てくれる?」
    「どうしっ…」

    こちらを振り向いたルフィの顔を両手で包み、唇を合わせた。
    しばらくそのままじっと、より深く繋ぎ続ける。
    なぜ感じるのかもよく分からない息苦しさが現れ始めたところで、やっと顔を離す。
    呆然とするルフィの目の前で口を開いた。

    「…まぁ、ルフィが花なんて知ってるとは思わなかったからいいけど…ちゃんと言わないと伝わんないよね」

    「私はルフィが好き、大好き、愛してる…死んでも生まれ変わっても、一生愛し続けてる」
    ルフィの目を見てはっきりと伝える。
    止まっているはずの鼓動が高鳴ってしまうかのようだ。

    「ルフィは?ルフィは私は嫌?」
    少し意地悪な聞き方をすれば、再びルフィの手が背中に回され抱きしめられる。

    「…嫌じゃ、ねェ」
    「……そっか」

  • 125◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:54:40

    「あーあ、みんなこっち来たあとに伝えちゃうなんてなぁ…シャンクスになんて言おっかな」
    再び隣に座りながらそんなことを言う。
    どうせシャンクスのことだ、また大人げないことでも言うのだろう。

    「シャンクスか〜…なんか挨拶とかしたほうがいいのか?」
    「大丈夫じゃない?文句なんて言わせないよ」
    そうは言ったが、きっと最後にはすぐ折れるだろう。
    どうせ終わった身なのだ、怒ったところでどうにもならない。

    「…ルフィはさ、また生まれ変わりたい?」
    きっといつか、お互いここから去る日が来るのだろうか。
    新しい命として、新しい居場所に行くことになるのだろうか。 
    「…う〜ん………今は、もうちょいウタといてェ」
    そう言って寄り添ってくるルフィに、つい頬が緩んでしまう。

    「…私も……でも、もし生まれ変わっても…私、またルフィのところに行くよ」
    後ろに立つそれに、己の心は誓ったのだ。
    例えこの先自分がどこにいようとも、必ず彼のそばに往くと。

    「…一つ、また頼んでいいか?…歌」
    「歌?……フフッ、いいよ」
    ゆっくり、何度も歌った思い出の歌を口ずさむ。
    夜の空の下でも、向日葵たちは変わらず咲き誇っていた。

  • 126◆.pitCM.Fow22/11/07(月) 20:55:05

    『ルフィとウタが逢う話』 完

  • 127二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 21:19:17

    泣けるなぁ…
    二人の幸せそうな姿が見れて良かった
    本当に素敵な作品でした
    作者さんありがとう

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 22:44:28

    ウタ!!!
    ルフィのそばに生まれ変われッッッ!!!
    そして今度こそ幸せになれッッッ!!!

  • 129二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 22:45:20

    生まれ変わっても無事にくっついて幸せそうにしてるのがとても分かる

  • 130二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:04:50

    な、泣いてねぇよバガ野郎…ヒッグ

  • 131二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:07:27

    一生離れるんじゃねえぞ…

  • 132二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:14:53

    999の太陽の花が見守ってるんだ、もう一回と言わず何度でも一緒だよ

  • 133二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:22:05

    何度でも何度でも言うわ
    お前ら二人が最強だよ

  • 134二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:28:12

    遭う…好ましくない出来事や人に偶然出くわすこと。

    逢う…親しい人・好ましい人とめぐりあうこと。


    ここ海軍テストに出るよ

  • 135二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:28:51

    切ない話に切ない話、最後に救いをくれてありがとう……
    死んでも化けても生まれ変わっても結ばれて幸せになってくれ……

  • 136二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:33:35

    無数のひまわりに囲まれて満点の星空の下語り合うルフィとウタの絵が最高にエモい
    お互いが人生を生き抜いた先でやっとまた逢えたんだな…
    これからはいつまでもずっと、二人の幸せが続きますように

  • 137二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 05:57:39

    多分来世では、時々ケンカしたりしながら、それでもずっと離れないでお互いを想い合う二人なんだろうな。
    「あールフィ! わたしのパンケーキ食べないでよ!」
    とか
    「おいウタ! 勝負中にくすぐるの卑怯だぞ!」
    とか言いながら、夜寝るときにはやさしく「おやすみ」を言ってたりするんだ。

  • 138二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 12:33:48

    すげぇよ涙が止まらんよ…

  • 139◆.pitCM.Fow22/11/08(火) 21:51:50
  • 140二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 00:49:15

    ありがたい…!
    見に行ったらこれまでの作品も全部ブクマしてあって驚いた
    いつも楽しませてもらってます

  • 141二次元好きの匿名さん22/11/09(水) 03:08:19

    素敵な作品をありがとうございました。
    やっぱり2人には隣で笑いあっててほしいな

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