グランマ直伝の焼き芋魔法

  • 1二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:08:33

     休日、俺とスイープトウショウの姿はグラウンド脇のコンクリート場にあった。理由は…

    「フフン、いい天気ね!今日は絶好の焼き芋魔法日和よ!」
    「見事に秋晴れだね。程よく乾燥してて気温も心地良いしよかったよ」

     それはつい先日のこと。仕事もある程度片付いたのでお昼休みの際にコンビニで購入した焼き芋を食べていると、それを見ていたスイープから次の休みは焼き芋パーティーをしたいという提案があった。何でも、彼女の祖母が作る焼き芋はとても絶品で食べた者を例外なく笑顔にしてしまう幸せの魔法だそうで、彼女直伝の焼き芋魔法を見せてやる…という訳で今に至る。

     スイープには、乾燥した落ち葉をポリ袋に詰めてもらっている間、俺は木の枝を集めたりサツマイモを洗ったりと下準備を進める。なんと、この日のためにスイープはサツマイモを箱一個分用意していたので全部水洗いするだけでも一苦労だ。

    「使い魔ー、落ち葉はこれ位でいいかしら?」
    「おお、いっぱい集めてくれたね。ありがとう。これなら君の発火魔法もより鮮やかになるだろう」
    「えへ、もーっと褒めてもいいのよ?」

     落ち葉拾いから戻ってきたスイープを労いつつ、先ほど拾ってきた木の枝をキャンプ等でよく使われる焚き火台にセッティングする。横でやりたそうに眺めていたスイープにも棒を渡し、挿してもらう。ある程度の下準備は完成したので、スイープに促す。

    「よーし、それじゃあ先生、発火の魔法お願いします!」
    「任せなさい!ボルーカ・ストポト・インセンディオ☆」

     スイープの詠唱が終わったと同時に対面側にてマッチ棒をスイープから見えない角度で投入する。すると、たちまち煙が上がったかと思えば炎を表す朱色の熱が焚き火台を覆い始める。

    「うん、成功ね!とびっきり強いオレンジ色でしょ?これはね、生命の息吹を表す炎だからなのよ!」
    「流石はスイープだ、熱も安定してるし絶妙な匙加減だね」

     無言でもっとアタシを褒めろと言わんばかりのスイープの頭を撫でながら火が全体に廻るのを待つ。焚き火とは、見た目以上に火が廻りやすい所とそうでない部分がある。そこの温度差は、焚き火で料理をする際に出来に差が生まれてしまう原因になるのでなるべく差のないよう全体に浸透させる必要がある。そこは、スイープと他愛のない雑談をしながらその時が来るのを待つのだった。

  • 2二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:08:51

    「よし、それじゃあお芋を置いていこうか」
    「使い魔使い魔!アタシ、このおっきいのがいいっ!」
    「おー、さすがスイープ、大きくて美味しいのもひと目で見抜くか」

     ある程度熱も周ったのでいよいよ火に芋を投下していく。仮に余ったとしても日持ちするのでお菓子にも昇華できるのでジャンジャン蒸していく。数分蒸した所で燻すためにスイープが集めてきてくれた落ち葉を投入してじっくりとサツマイモに熱を加えていく。この間、およそ40分から60分とかなり長く待つことになる。

     待ってる間、暇なのでスイープとトランプ遊びをしたが手を抜いたわけでもないのに全敗してしまった。特にババ抜きは心を見透かされているのかと思うほどボコボコにされてしまった。勝ち気に笑うスイープに次こそはと何度目かもわからない再戦を要求しようとした所────。

    ピピーッ

    「…お、そろそろ頃合いかな」
    「!お芋出来たのかしら!?」
    「ちょっと待ってね…うん、火 の通りは大丈夫そうだな。はい、熱いから気をつけて持ってね」

     予定時間よりも少し長めにセットしていたタイマーが作動したので芋をトングを使って引き上げさせる。アルミホイルとキッチンペーパーの中でじっくり蒸されたさつまいもは湯気を立てており、割ってみると中は濃い黄色の、大変ホクホクした感じになっていて美味しそうだ!

    「じゃあ、食べよ────」
    「コラ使い魔、ストップ!いーい?今から焼き芋魔法の呪文を唱えるからアンタもアタシに続きなさい…トゥインクル・トゥインクル☆豊穣を司る大地の申し子よ、おいしくなーあれ!」
    「と、トゥインクル・トゥインクル…お芋様美味しくなってくださいお願いします」
    「…よし!じゃあ、食べるわよ」

     少し照れながらも魔法の呪文を唱えてから口に運ぶと、広がるサツマイモの甘みと香ばしさ。つまり──────。

    「お…おいしー!グランマと一緒に作った時と全く変わらないわ!…あちゅいけど…」
    「うん、俺的には上手く出来たかな。スイープはどうだ?」
    「!ま、まあ?食べられなくもないし?今回は褒めてあげる!よくやったわ、使い魔…ほら、屈みなさい」

     言われるがままに屈むとスイープがポンポンと俺の頭を叩き、ほんの数コンマだけだが撫でてくれた。まあ、これも彼女なりの感謝の気持ちなのだろう。ありがたくその想いを頂戴しようではないか。…それにしても。

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:09:16

    「ねえ、スイープ」
    「?なによ」
    「これ…食い切れる?」
    「…」

     そう。スイープの要望で箱一個分のサツマイモを用意したのだが、日持ちするからと言って毎日サツマイモはいくら何でも飽きる。だが、お裾分けしようにもするまでの保管場所で困る。スイープもその辺は考慮外だったのか、困った顔で足元を見ていたが────

    「!そうだわ!使い魔、この香りを強くすることは出来ないかしら?」
    「?少し煙を焚かせたら多分」
    「よーし!そうと来たら極限まで焼き芋の香りを引き立てなさい!」

     何かを思いついたのか、俺に火を煽って匂いを強くするよう求めるスイープの提案に乗ってとにかく団扇で扇ぎまくる。煙が立ち、いぶした香ばしい匂いが焚き火台周辺を覆い始めた頃、スイープが突然叫びだす。

    「よーし、今!デリュス・オン・ウィンディア☆」

     スイープが謎の呪文を大声で唱えた刹那、突然スイープの方から突風のような風が吹く。偶然だろうが、その風は第二波・第三波のように幾度か吹き、その風は校舎の方に流れていく。風が止み、そよ風になった頃スイープは俺の元に戻ってきてこれで大丈夫だと言わんばかりな顔で焼き芋に手を伸ばし始める。果たしてこれでいったいどうするのかと思案し始めると─────。

    「あれ、スイちゃん!こんな所で何してるんですか?」
    「あら、フラワーじゃない!もしかして、アンタ焼き芋の匂いにつられて来たわね?」
    「そうなんです!この辺りで美味しそうな香りがしたので見に来たのですが…あ、もしかしてお二人でキャンプでもしているとか?」
    「アタシ達は焼き芋魔法を実践してる所なの!よかったらフラワーも一個食べてく?いいわよね、使い魔?」
    「うん、沢山あるからぜひ食べてってほしいな」
    「いいんですか?…それじゃあ、トレーナーさんも呼んでもいいですか?」
    「どうぞどうぞ。」

     なるほど、スイープは風を起こして焼き芋の香りを学園にいる人間に届けて注意を引こうとしたのか。風に関してはラッキーではあったが結果的にその発想は功を奏して人を呼び込んだ。その後もニシノフラワーのように焼き芋の匂いに惹かれて様々な人がやって来た。

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:09:41

    「いいにおーい…あー!見て見てトレーナーちゃん!スイープちゃん達お芋焼いてる!」
    「おお、風情あるな…だいぶ用意したな!?」
    「アハハ…食いきれるか不安だしお二人もどう?」
    「やったぁー!ちょうどお腹ペコペコだったんだよね!くーださいっ☆」
    「ありがとう、じゃあ貰おうかな」

    「ふんふん…お!トレーナー!ついに突き止めたぞ!匂いの正体はここだったんだ!」
    「あ、ビコーさん達!今日もヒーロー活動ご苦労さまです」
    「フラワーにマヤノもいたのか!ああ、今日もこの学園は平和そうで何よりだ!」
    「ふっふーん、その平和もアタシ達の焼き芋魔法でめちゃくちゃにしてやるんだから!どうにかしたければアンタのトレーナーと一緒に食べて阻止するしか無いわよ!」
    「楽しそうだな…なあ、差し支えなければ貰っていいか?」
    「食ってけ食ってけ。俺らの魔法は一味違うからな?」

    「何やら休日なのにグラウンドの隅っこが騒がしいと思って見に来たら…そうか、火器類の使用許可申請が来ていたのだったな」
    「あ、エアグルーヴさん!見て見て、このお芋美味しそうでしょ!アタシと使い魔の魔法で作ったの!」
    「ほう…?なかなか香ばしい匂いを放っているじゃないか」
    「いい匂いだね〜」
    「先輩たち、昼ごはんまだですよね。よければお二人もいかがですか?」
    「え、いいの!?エアグルーヴがいいなら俺は是非食べたいけど」
    「ええい、断りにくい雰囲気を作ってからそのような事を言うなたわけめ!…まあ、折角の厚意を無碍にするのも何だしな。ありがたく戴こうか」
    「よっしゃ!俺ちょっとバター取ってくる!」

    「この人だかりは…?」
    「アハッ、ロブロイも来たのね!さあ、アンタも焼き芋魔法のエジキになりなさーい♪」
    「スイープさん!あの、焼き芋魔法というと?」
    「ちょっとスイープと一緒に焚き火しながら芋を蒸したんだけど作りすぎちゃってさ。よければお供の語り手さんとどうかな」
    「と、トレーナーさん…」
    「うん、英雄にも休息は必要だと思うから僕達も戴こうか」
    「で、では!魔女の焼き芋魔法、我が英雄譚の糧とさせていただきます…!!」
    「ほいほい、それじゃあ熱いから火炎魔法…やけどには気をつけてね」

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:10:06

    「うお!?何だ何だ、めっちゃ人集まってんな!」
    「何かイベントでもあったかしら…あそこにいるのはスイープ?」
    「スカーレットにウオッカじゃない!アンタたちもアタシの魔法に誘われたのね!」
    「いや、誘われたっつーかなんか人だかりあるからなんだろうって気になってさ」
    「アハハ、君たちも一つどうかな?見切り発車で沢山蒸し過ぎて二人じゃキツそうで困ってたんだ」
    「あ、ありがとうございます!では…ご厚意に甘えて戴きますね」
    「ふふん、アンタ達もこれでアタシ達の魔法の虜ね!焼き芋魔法、すごいわ!」

    「はぁあ〜ん…うん?何だろうアレ、集会?」
    「なんか楽しそうだね」
    「キタサンにダイヤ!もうっ、来るのが遅いわよ?」
    「あ、スイープさんおはよう!何かしてるの?」
    「フフーン、今はね?アタシ達の焼き芋魔法で学園を包んでやってる所よ!アンタ達にも掛けてやるんだから!」
    「もしお腹に余裕あるようなら食べていってほしいな。ちょっと処理に困ってるんで…」
    「なるほどなるほど…そういうことでしたらこのお助け大将キタちゃん!ダイヤちゃんと助力させて戴きます!」
    「フフ、お芋を蒸すと人が集う…これは良いジンクス…もとい、魔法みたいですし便乗するのが一番だね、キタちゃん」

    「ふぅン…何やら甘い匂いに誘われて面白そうだし来てみたが…」
    「なーに?タキオンまで来たの?」
    「おやおや、そんな芳しい香りを放っておいて興味を持つなだなんて酷いじゃないか」
    「ま!当然よね!アタシの魔法は科学をも凌駕するんだから!」
    「言ってくれるね。…時にモルモットくん。私達は昨日の夜から徹夜漬けで実験に没頭した。ヒトやウマ娘はこの時、βアミロイドという脳内物質が溜まるのだが、コイツが厄介でね。思考力の低下に繋がってしまう…ここまで言えばもう分かるね?」
    「甘いもの食ってゆっくり寝ようってこと?…ごめん、貰えたりする?」
    「アハハ、ぜひぜひ持ってってください。先輩もゆっくり体を休めてくださいね?」

    「あれは…スイープさん!何やらいい香りがあの辺から漂って…!先輩!ぜひご一緒しませんか!?」
    「私はいいよ、カワカミさんだけで楽しんでおいで」
    「まあまあそう言わず!姫たる者、誰か一人を置いて自分だけ楽しむなんて名が廃りますわ!私を助けると思ってどうか…!」
    「…もう、そう言われたら断れないじゃん。じゃあ、行こっか」

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:10:53

     スイープが魔法の風を吹かせてから、様々な来客が来た。休みなのに寮内が静かなので散歩しに来たフジキセキとヒシアマゾン、エアグルーヴから連絡を受けて是非戴きたいとやって来たシンボリルドルフ、ニシノフラワーから誘われて芋を食べながら木陰に寝転がるセイウンスカイと彼女が教えたのか、やってくる黄金世代の面々、スカーレットとウオッカがいると聞いてひょっこり現れたアストンマーチャンとそのトレーナーなど…。やって来た人が縁となり、また更に別の人を呼ぶという奇妙な輪が出来上がっていた。

     ある者は焼き芋を堪能し、またある者は焼き芋を持ち寄ったものでアレンジして振る舞い、友人と火のそばで肩を並べて他愛もない世間話に花を咲かせる。やって来た人たちはそれぞれが思い思いの楽しみ方に身を寄せ、まさに幸せに包まれていると言っても差し支えない空間となっていた。なるほど、これが幸せの焼き芋魔法か。

    「いや、すごいねこの魔法は」
    「でしょ?グランマはね、色んな魔女仲間をこの魔法で幸せにしてたのよ?もちろんアタシもだけど!」
    「いやはや、恐れ入ったよ。…それに、君ももう立派なこの魔法の使い手だと思うよ」
    「ふふん、トーゼンでしょ?だってアタシは天才魔法少女、スイーピーなんだから!」

     不敵に笑う彼女は秋晴れの日差しも相まってとても眩しかった。…聞くまでもないだろうが、少し聞いてみよう。

    「スイープ。今、幸せか?」
    「え?当たり前じゃない!魔法は成功したし、美味しい焼き芋にありつけたし…皆に魔法を掛けることも出来たし!言う事ないわ!」
    「そうかそうか、なら協力した甲斐があったよ」
    「…あのね使い魔」

     さっきまでの元気はどこへやら、スイープが俺の服の袖をキュッと握り、絞り出すように声を上げる。

    「?どうした?芋おかわりか?」
    「そうじゃなくて…今日は付き合ってくれて…アリガト。その…楽しかった」
    「!…うん、どういたしまして。こちらこそ、素敵な思い出をありがとう」

     幸せに包まれた霜月の休日・トレセン学園。その幸せを振りまいた魔法少女と使い魔もまた、多幸感に包まれながら天高くウマ娘肥ゆる秋の元、時間が過ぎていくのだった。

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:13:57

    秋ホーム会話のグランマ直伝の焼き芋魔法というものを見て確かに外で作る焼き芋っていいよね…てなって書いてみました
    見切り発車で箱単位で蒸してしまって処理に困ったのは身の上話を落とし込みました。
    台本形式の部分もあるので粗が目立つかもしれませんがどうか許し亭

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:19:16

    ほんわかした気持ちになれた

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:23:34

    朝からほっこりした気分になったよ。焼き芋なだけに

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:23:59

    スイープと一緒に焚き火を囲みながらトランプでボコボコにされたい人生だった

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 08:45:50

    >>9

    うまいね。焼き芋だけに

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 09:00:40

    あっ、すき…
    あなたの書くスイープとスイトレは優しい気持ちになるというか見守りたくなるような距離感の作品が多いしエミュもしっかりしてるからすごく好みです。出てくる登場人物皆が幸せでこの空間に居たい…てなりました

    いつも素敵な作品をありがとうございます!

  • 13二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 09:01:24

    これはいいものだ……芋だけに

  • 14二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 09:23:54

    かんどうしたよう(濁点サボりで)

  • 15二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 10:45:08

    のんびり過ぎる日常の中での小さな幸せを表現しててすごくすきです

  • 16二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 15:02:45

    これ読んでお芋いいなあってなってスーパーで売ってたの買っちゃった
    こんなに美味しかったんだね、焼き芋…身も心もホクホクにさせてくれてありがとう

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 16:53:06

    もっと書け😡
    間違えた書いてください😡

  • 18二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 16:56:03

    許し亭氏の新作助かる
    ババ抜きでスイープにボコボコにされる使い魔は解釈一致ですよ!!

  • 19二次元好きの匿名さん22/11/06(日) 17:14:53

    発火魔法の仕込み可愛い

  • 20二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 02:09:02

    SS紹介スレで見たけど色んなキャラを出してるけど違和感なくスッと入ってくるのでとても楽しく読めました

    カワカミの所の先輩とはシュガーニンフェかな?育成ネタにもちゃんと手を出しててキャラへの愛を感じました。良いSSをありがとうございます

  • 21二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 02:13:54

    こういうので他のトレーナー出てくるの新鮮だな
    色んな関係性が垣間見れて面白い

  • 22二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 08:01:26

    昨日の朝こんな良SSあったのか…出遅れたぜ
    心がすごくホクホクになった

  • 23二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 14:53:27

    育成実装されていないキャラのトレーナーも出すのはなかなか勇気いるだろうけど不思議とすんなり受け入れられたしこんな感じだといいなってなった

  • 24おまけ22/11/07(月) 23:20:33

     焼き芋魔法で幸せをお裾分けしてから数日。俺とスイープは相変わらず芋の処理に苦しんでいた。実際、かなりの人数が集まってくれてとてもではないが一箱では足りなくなったので急遽、もう一箱買ってきてこれまた蒸せるだけ蒸したのだが…さつま芋の満腹感を舐めていた俺達は食いきれず、その後も間食・夕食にとにかくさつま芋を入れて処理していた。ある時は─────

    「わぁ、このタルト美味しい!これもさつま芋で作ったの?」
    「世の中紅芋タルトってのもあるしタルトとさつま芋は親和性高いんだろうなあ…」

     またある時は─────
    「おさつスティック…?」
    「そのハニークリームチーズをディップして食べてごらん」
    「…美味しい!何これ、あまあまとチーズのさっぱりした感じちょうどよくミックスしてるわ!」
    「不思議と合うんだよなあそれ。俺もたまに食いたくなるよ」

     夕食にも─────
    「へえ、あの時のお芋でしょこれ?天ぷらにしたのね」
    「天つゆ、醤油お好みでどうぞ」
    「…ん〜、ホクホクで美味しい!おうどんと一緒に食べたらいい感じになるんじゃない!?」
    「残ったら明日の俺の昼飯かな…え、何その目。もしかして今日ここに泊まるの?」

     デザートにも─────
    「ふぁああ…パフェじゃない!」
    「ちょうど栗もあったからモンブランっぽくしてみようかと」
    「はぁ〜…ヒンヤリしてて最高!ほら使い魔、特別にアンタにも食べさせてあげるから口開けなさい?」

     そんなこんなであの手この手で学園での放課後、休日を利用し芋の消費にとにかく勤しみまくった。おかげで、あれだけあったさつま芋はようやく全て消化することが出来た…のだが…。

    「使い魔のバカバカバカ〜!ここ最近ずっとおいもばっか食べてたからちょっと太っちゃったじゃない!」
    「すんません、いやほんとにすんません…。ボクも4kgぐらい一気に太りました…減量しなきゃだな、お互い」
    「誰のせいよ、もう!…アンタの料理が美味しいのが悪いんだからねっ!」

     スイープも俺も思いっきり増量してしまい、予定外のダイエットをする羽目になってしまった。幸せにも守るべき用法、用量があるんだなと汗だくになってタイヤを引きながら痛感するのだった。

  • 25二次元好きの匿名さん22/11/07(月) 23:21:15

    まさかまだあると思ってなかったのでおまけ投下しました
    お目汚し失礼しました。

  • 26二次元好きの匿名さん22/11/08(火) 05:50:20

    おまけ投下してたのか!
    そりゃそうだよね、あんだけ食べたら太るよね笑

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています