【ウマ娘×メルスト】一流の王と姿を持たない児

  • 1二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 18:57:18

    「……あら?いつの間に寝てしまったのかしら。外がもう暗いわね。」

    「図書室で調べ物をしているうちに寝てしまうなんて…キングとしてあるまじきことだわ。」

    「門限が来る前に早く寮に戻ら…」

    「すみません。」

    「!?」

    「おや、この姿でなら驚かせてしまうことはないと思っていたのだが…、すまなかった。服のつくりについての本を探しているのだが、どこにあるか知らないだろうか。」

  • 2二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:02:00

    「(誰かしら…小さい子供に見えるけどどこか不思議な感じ…背中にあるのは蝙蝠の羽?)」

    「え、ええ…そういう本ならこっちにあるはずよ。ついてらっしゃい。」

    「服飾関係の本はこの辺だけど…間違いない?」

    「ああ、こうしたものが載っている本を探していた。恩に着る。」

    「…ところであなた、ウマ娘じゃないようだけど、トレセン関係者の人かしら?」

    「いや、私はまだ何者でもない。ただ、この辺りで見る服が珍しかったので調べているだけだ。」

  • 3二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:03:04

    「(…少し変わった子ね。部外者はあまりここにいない方がいいのだけど…まあ悪い子じゃなさそうだし、保護者が来るまでもう少し一緒にいてあげましょうか。)」

    「お父さんかお母さんは一緒じゃないの?」

    「父とはまだ会うことはできない。ここへは一人で来た。」

    「一人で来た、って…。もう日も暮れているのよ?危ないからもう帰りなさいな。ほら、お姉さんが送っていってあげるから。」

    「心配はいらない。むしろ私がここに君を招いたのだ。この部屋で寝ている者が君だけだったから。…私の頼みを聞いてくれて助かった。君ももう、在るべき世界へ帰った方がいい。」

  • 4二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:04:08

    「…よくわからないけど…、つまりあなたの帰りの心配はいらないのね?」

    「私はもとからこの世界の者だ。心配することはない。」

    「分かったわ。それなら…少し私とお話してくださらない?」

    「話?」

    「ええ、あなたに少し興味があるの。不思議な雰囲気をしているし、それに…服飾に関心があるようだから。」

    「君も服を作ることに興味があるのか?」

  • 5二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:04:52

    「いえ、私はデザインには興味があるけど…作るのはお母さまが仕事にしていることよ。…もっとも、私に作ってくれたことはないけど。」

    「そうか。…実はこの服は、私の父が作ってくれたものなんだ。」

    「お父さんが?」

    「そう。裁縫と料理が得意な父なんだ。私のためにとこの服をくれたのだが…、少しかわいらし過ぎてな。」

    「そんなことないわ。よく似合ってる。」

    「私の父もそう言ってくれた。だから父の前ではたまにこの姿で過ごしていた。」

  • 6二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:05:45

    「…随分お父さんが好きなのね。」

    「愛している。私のために服やハンカチを作ってくれたり、好みの具を入れたスープを作ってくれたり…そして何より、私を受け入れてくれた。」

    「……」

    「君は親を愛していないのか?」

    「どうかしら、私の実力を認めさせたいとは思っているけど。…お母さまは不恰好な姿を娘に見せたがらない不器用な人だから。あなたたちみたいにストレートな愛情のやりとりをする間柄ではないのよ。」

    「…親と子の形にも色々なものがあるのだな。」

  • 7二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:06:35

    「ええ、その通り。そして人との関わりは親子のものだけではないの。友達だったり、恋人だったり…自分が大切だと思った人と、親子の関係よりももっと深く繋がり合えることだってできるわ。」

    「…それは私にもできるのか?」

    「勿論よ。」

    「では、私と友達か恋人になってくれ。」

    「え!?」

    「君の言う親子以外の人との繋がりに興味が湧いた。私にもできるのであれば、君と共に時間を過ごし、深く繋がり合いたい。」

  • 8二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:07:53

    「こ、恋人はちょっとすぐにはなってあげられないけど…。そうね、友達にならなる権利をあげてもいいわ。」

    「そうか、あり…」

    「ただし!このキングの友人なんだから、一流でなくてはダメよ!」

    「ふむ。一流とは何だ?」

    「一流っていうのは、高みを目指して歩み続けることよ。どんな困難があっても、諦めることなく前へ進み続ける。そうすることで、輝かしい栄光を手にすることができるの。私はそう信じているわ。」

  • 9二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:08:33

    「なるほど。…しかし今の私には、目指すべき行先がない。」

    「ならそれを見つけるところからね!大丈夫よ!このキングの姿を見ていれば、自ずと自分の望むものも見えてくるわ!」

    「ならば、これからよろしく頼む。」

    「あっ!まだ私の名前を言ってなかったわね。私はキングヘイロー。一流のウマ娘よ!」

    「私はレテネーブルと言う。我が友キングヘイロー、次に会う時もまた私と話をしてくれると嬉しい。」

  • 10二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:09:10

    「ふふ、あなたはもう私の友達だから、私のことをキングと呼ぶ権利をあげるわ!」

    「ありがとう、キング。…そろそろ時間だ。」

    「あら、もうお別れ?もう少しあなたのこと知りたいのに。」

    「夢は見るものであって住むものではない。光の者である君はあまりここに長くいない方がいいんだ。機会があれば、また次に会った時に語り合おう。」

    「そう…、残念ね。ならまた会った時に、あなたが見つけた目指したいものを教えて頂戴、レテネーブル。」

    「ああ、次に会う時は違う姿かもしれないが、それでも私は君の友達だ、キング。」

  • 11二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:10:06

    「……」
    「……」
    「……ん、んぅ…ん?あれ!?え、も、もう朝!?」

    「わ、私は図書室にずっといて、それで……、一晩中ここにいたの?そんな、そんなの、ありえないでしょお〜〜っ!?」


    「夜ふかし気味」になってしまった

  • 12二次元好きの匿名さん21/10/25(月) 19:11:54

    以上です。メルスト知ってる人いるかなと思いながら書きました。読んで下さりありがとうございました!

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