【SS】海軍本部雑用ロシナンテに任務を言い渡す part2

  • 1◆P.AThYg18sAI22/11/11(金) 12:07:12

    【前回までのあらすじ】

    ドレスローザ解放を待っていたかのように十三年の昏睡から目覚めた海兵、ドンキホーテ・ロシナンテ。

    養父であるセンゴク大目付の計らいで雑用として海軍に再任用されたロシナンテは、さまざまな思いを抱えながら、センゴクに付いて新世界へ船出する。コビー艦での航海を終えて、向かう先はG-5支部。そしてそこで再会したのは、立派になった後輩だった。


    ▼前スレ

    【コビー艦編】

    【SS】海軍本部雑用ロシナンテに任務を言い渡す|あにまん掲示板 目が覚めたら全てが終わっていた。 いや、まるで全てが終わるのを待っているかのように目が覚めたといった方がいいだろうか。 白い病室のベッドの上でドレスローザの奪還、ドンキホーテ・ドフラミンゴのインペル…bbs.animanch.com

    ▼まとめ

    【コビー艦編】

    海軍本部雑用ロシナンテに任務を言い渡す 1 | Writening【コビー艦編】 1 目が覚めたら全てが終わっていた。  いや、まるで全てが終わるのを待っているかのように目が覚めたといった方がいいだろうか。  白い病室のベッドの上でドレスローザの奪還、ドンキホーテ…writening.net

    【G-5編】(前スレの冒頭のみ)

    海軍本部雑用ロシナンテに任務を言い渡す 2 | Writening【G-5編】 運良く巡ってきた静養日は夏島の気候海域のど真ん中。しかも眩いばかりの晴天だった。昨夜掠めたサイクロンが嘘のようだ。 コビー艦はなんとか転覆せずにサイクロンの端を切り抜け、後処理に追われ…writening.net
  • 2◆P.AThYg18sAI22/11/11(金) 12:08:11

    「すまないな、忙しいときに」

    一番最後にタラップを降りたセンゴクが出迎えの海兵に手を上げる。コビー大佐とヘルメッポ少佐たちも、もう基地に入っている。
    その先でセンゴクを迎える基地長はロシナンテの知っている相手だ。彼は葉巻を銜えたまま肩をすくめる。全くもってふてぶてしいが、それこそが彼らしさでもある。
    だが、彼の体についたまだ生々しい傷跡は、彼に降りかかった災厄を想起させる。胸に重苦しいものが溜まった。

    「わざわざ出迎えてくれたのか」
    「かまいませんよ。どうせエルガニア列島への航海は決まってた。アンタのことだ、ウチを選んだのも織り込み済みなんでしょう…」
    「まァそう噛みつくな」

    センゴクも承知しているようで特段気にした様子もない。ロシナンテも、かわらないなと思うばかりだ。

    「スモーカーさんったら!」

    生真面目そうな部下の女海兵だけが、目をつり上げてスモーカーを叱りつける。スモーカーは馴れた様子で叱責を受け流し、二人の関係の気安さを感じた。

    「うるせェよ、たしぎ。…それくれェで目くじらたてるような人でもねェでしょう」
    「ははは、褒められたもんだな」
    「わざわざアンタが来るとは」

    葉巻を噛むスモーカーの視線がぎろりと疑い深いものにかわる。

    「…何を知ってる?」

  • 3◆P.AThYg18sAI22/11/11(金) 12:09:39

    「何のことやら」
    「エルガニア列島はただの暢気な秋島じゃねェ…。だが誰もその尻尾をつかませなかった…」

    スモーカーの言葉に、たしぎもこくりと頷く。

    「ですが、急にその島の"情報"が届くようになった。私たちの出航もその調査……」

    センゴクもロシナンテも黙って彼の推測を聞いていた。
    ただ二人を迎えに待っていてくれた訳ではなさそうだ。

    「……」
    「沈黙を続けた島から急に"情報"が出ることがあるか? アンタの行動…。それにコビー大佐たちは…」
    「それくらいにしておけ」

    スモーカーが口にする前にセンゴクが口を挟む。
    ずんと腹が重くなるような声は、久しぶりに聞く海軍将校としての命令に近い声音に、流石のスモーカーも口を閉じた。
    スモーカーの表情が険しくセンゴクを睨む。今にもその十手を振りかざしそうなスモーカーに慌てて一歩前に出ようとして、センゴクの手がロシナンテを止める。
    海軍将校としての顔を、苦笑でゆるませてセンゴクは肩をすくめた。

    「こんな場所で話すような話ではない。…そう怖い顔をするな」
    「…少々"痛い目"にあったもので」
    「そのことの報告もお前の口から聞きたい。子ども達のこともな」

    センゴクがタラップから降りる。ロシナンテもそれに次いで降りる。

    「その"情報"は……信用できるのか」
    「ああ、何よりも」

    センゴクのはっきりとした肯定にようやく殺気が収まる。
    ちらり、とセンゴクの視線がロシナンテを向く。

  • 4◆P.AThYg18sAI22/11/11(金) 12:19:54

    スモーカーの横で慌てながらもいつでも刀を抜けるように構えている女海兵もまた肩の力を抜く。

    「あんたほどの人がそこまでいうなら、信じましょう…」

    ははは、とセンゴクが陽気に笑う。ロシナンテも同じように肩の力を抜いた。
    たしぎと呼ばれていた女海兵がタラップを降りてくるセンゴクを案内しようと前に出る。

    「明朝、コビー艦を見送ってからの出航になります。むさ苦しいところですが、ゆっくりしてください!」
    「ああ、ありがとうたしぎ大佐」
    「いえ! ……きゃっ!」

    センゴクがタラップを降り、その後ろでロシナンテが降りようとしたときだった。
    たしぎ大佐がボラードにかけたロープに引っかかって躓く。

    「危ねェ!」

    咄嗟に手を伸ばそうとして、つるりと足が浮く感覚がした。
    たしぎ大佐を支えたはずが、そのままタラップを滑ったらしい。港の海面が目の前に見える。

    「……?」

    海に落ちる! と思った瞬間、たしぎ大佐ごと、柔らかな白い煙が港へ連れ戻す。流石に海に落ちるドジは洒落にならない。

    「あ、ありがとうございます」
    「大丈夫か、二人とも」

    たしぎ大佐に頭を下げられ、センゴクに呆れた顔をされる。

    「何して……ん……だ」
    「スモーカーさん?」

  • 5◆P.AThYg18sAI22/11/11(金) 12:21:08

    「!?……?……!?」

    がらん、と港に十手が落ちる音がした。
    ロシナンテはひらりと手を上げて、スモーカーに礼を言う。

    「危ねェ、ドジって死ぬところだ!! 助かったよ、スモーキー!」

    スモーカーは口から葉巻を落としかけて慌てて葉巻を抑えて口元に手を当てる。見開かれた彼の目がロシナンテを観察して、つぶやいた。
    その顔に驚愕と困惑がありありと浮かんでいる。
    スモーカーにしては珍しい素直な驚きに、部下のたしぎ大佐がきょとんとする。

    「…ロシー先輩……!?」

    なんだ知り合いか、とセンゴクが驚いた声を上げた。

  • 6◆P.AThYg18sAI22/11/11(金) 12:28:46

    前スレでは保守、応援、ご感想本当にありがとうございます。大変励みになっております!!
    ロシー先輩とスモーキーくんの再会でした!出航前にもうちょっとG-5でのんびりして、再び新世界に出航する予定です!

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:29:59

    痛い目……ああ……ヴェルゴ……

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:32:31

    スレ立てありがとうございます!楽しく読ませていただいています

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:33:23

    スレ立てありがとうございます! 

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:33:57

    即落ち回避保守

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:36:26

    スレ立てありがとうございます!G-5編も楽しみです!

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:46:26

    連鎖するドジっ子2人いいな…
    保守!

  • 13二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 12:51:53

    わぁーい好きーー!!
    ルフィと会うのかな??
    そこからローと出会ってよ
    前回の嫌なフラグ折って!!

  • 14二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 14:35:50

    エルガニアってなんぞと調べたらなるほど、良い方に転がると良いな……

  • 15二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 17:25:08

    愛称+先輩呼びか……
    2人が親しかったってのがよく分かってよき♡

  • 16二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 17:56:54

    前スレ200でドジったー‼
    再開じゃなくて再会だわ…

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 20:10:06

    ヴェルゴの話とか出そうだな……
    聞いたらロシー自分を責めそう……
    自分の正義を貫いたんだし誇って欲しい

  • 18二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 00:39:03

    保守

  • 19二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 06:02:54

    ありがとうございます!!
    スモーカーとはどれ位仲が良かったんだろう
    展開がわくわく

  • 20二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 07:07:37

    藤虎とか大将各に会う機会とかあるんだろうか…
    「気配がドフラミンゴに似てる」とか言われて曇るロシーが見たいえ

  • 21二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 08:54:27

    うわぁ…曇るやつだ

  • 22二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 13:48:54

    ドジっぷりで笑われながらG-5に受け入れられるロシー先輩見たい

  • 23◆P.AThYg18sAI22/11/12(土) 17:49:17

    G-5支部の基地の一角。
    上級将校用の宿泊室にたどり着いて息をつく。
    明日の昼にはもう出航だが、揺れる船内とくらべれば天と地の差だ。
    ロシナンテもセンゴクの付き人の扱いになっているので、雑用身分のくせに今晩は個室に泊まれることになっている。
    センゴクもスモーカーと取り付けた会議の予定時間までは腰を落ち着けるつもりらしく、コートを脱いでハンガーに掛ける。
    自分もスカーフを外してベッドに腰掛けた。
    センゴクが水を飲みながらロシナンテに話しかける。

    「スモーカー中将と知り合いだったのか、知らなかったな」
    「士官学校時代のときに、後輩だったんですよ。顔見てびっくりしました」
    「積もる話もあるんじゃないか?」
    「いやァ、あいつがおれの名前覚えててくれたのもびっくりしたくらいですけど……、いやでも効きたいこともあるな」

    ロシナンテは呟いて手のひらを見つめた。
    スモーカーたちの傷跡。
    丁寧に手当をされていて、かさぶたが残るだけに見えるがあの傷跡をロシナンテは知っている。
    剣よりも細い鋭利な何かで切りつけられた独特な傷跡。

    「……ドフラミンゴ」

    ロシナンテの呟く低い声に影が滲んだ。
    細い糸で傷つけられた傷跡だ。潜入中に幾度見てきたと思っているのだろう。イトイトの実の能力ならよく知っている。
    ぐっ、と手を握りしめて睨み付ける。

  • 24二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 17:49:55

    このレスは削除されています

  • 25二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 17:50:39

    このレスは削除されています

  • 26◆P.AThYg18sAI22/11/12(土) 17:52:32

    「どうした。どこか辛いか」
    「い、いえ!」

    センゴクが心配する声に慌てて否定する。結局自分では何一つ、なにも防ぐことが出来なかったことだ。
    センゴクにこれ以上心配かけることなどしたくない。怪訝そうなセンゴクの視線から逃れるようにそそくさと自分も水差しから水を汲む。

    「なあ、ロシナンテ」
    「はい?」

    水を飲む背中に声が掛かる。振り返らずに返事をする。

    「私に言っていないことがないか?」
    「……」
    「お前の、身体のことだ」

    ロシナンテの背中が硬直する。黙り込んでしまっている時点で、それはもう明らかなことだった。
    静かな声が、静かな部屋に響いた。

    「は……はは、そっちかァ」
    「ロシナンテ」
    「……センゴクさんのおかきをこっそり食べたことかと…」
    「ロシナンテ。私に嘘はよせ」

    ロシナンテが笑いながら振り返る。センゴクに笑みは無く、ロシナンテの笑みもぎこちなく、変に引きつっている。作り笑いが下手だった。

    「……おれの命の期限のこと、知っちまったんですね」

  • 27◆P.AThYg18sAI22/11/12(土) 17:55:13

    「……」

    センゴクは黙ってロシナンテを手招いた。ベッドに二人で並んで座る。

    「…本当に今は大丈夫なんです」
    「ああ」
    「あと一年は普通の海兵として仕事が出来るって、聞きました。それ以上は内蔵機能が低下して、そう長くは…。撃たれた場所が良かったのか、悪かったのかと…」
    「……ああ、そうきいた」
    「…だから、もう一回、おれのできることを、生きているうちにやりたくて」

    だんだんと下がる肩を、センゴクが正面から抱きしめた。

    「ごめんなさい……っ」
    「いい……もういい。あと一年、だな」
    「……はい。……運が良ければ」

    ロシナンテは頷いた。肩を抱く力が強くなる。
    心臓が握りつぶされてしまうほどに心が痛んだ。再び苦しめてしまうために、生き返ったのではないかと思うほどに。
    それでも、センゴクの喜びは本物だった。生きていて、目が覚めてくれて嬉しいと言ってくれた気持ちは本物だった。
    だから、生き返ったことを後悔はしない。

    「……ごめんなさい、センゴクさん」

    低く呟いた謝罪は、センゴクの広い背中に吸い込まれて消えた。

  • 28◆P.AThYg18sAI22/11/12(土) 18:03:59

    涙はこぼさないまでも、赤くなった目元を押さえてロシナンテは立ち上がる。

    「お、おれちょっとコビー艦のやつらの様子見てきます!知らねェ基地初めてのやつもいるし」
    「わかった。私は夕飯前にスモーカー中将と話があるから、明日の出航準備までは自由にしていなさい」
    「はい」
    「スモーカー中将と話でもしてこい」
    「えーっ」

    鼻を噛んで立ち上がり、ずるっとすっ転んで絨毯にひっくり返る。はは、っとようやくセンゴクの笑い声が聞こえて、ロシナンテもホッと息を吐く。

    「…ドジりました」
    「ふ、お前のドジは筋金入りだな」

    コビー艦から引き上げてきた荷物から、センゴクが封の切られていないおかきを取り出して放り投げる。

    「ほれ、スモーカー中将と食べるといい」
    「……はーい」

    ロシナンテは苦笑しておかきを受け取り、そのままさっていく。
    その背を見送って、センゴクはつぶやいた。おかきはロシナンテに渡した一袋しかない。

    「……棚のおかきなど食べていないじゃないか」

    息を吐いて、閉じた扉の向こうを思う。
    窓の外は重たい雲が垂れ込めていた。

  • 29二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 18:12:12

    このレスは削除されています

  • 30◆P.AThYg18sAI22/11/12(土) 18:16:52

    保守、感想本当にありがとうございます!
    めちゃくちゃ大事なセリフミスったのでちょっと打ち直してます……
    ・エルガニアネタわかった人マジですか!嬉しい!元ネタあんまり擦らないとは思いますが、名前ちょっとお借りしました。
    ・前スレ200の方ありがとうございます!

  • 31二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 18:30:31

    医者ァ~~~!!!
    出来れば死の外科医の異名とDの名を持つ白い帽子の医者ーー!!

  • 32二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 18:46:07

    ぐうぅ…いやだけど死に損ねた男としての落としどころとしては現実的なのが辛い…ドフラに撃たれる前も撃たれてるし、更にヴェルゴにもボコボコにされたもんなぁ……(目逸らし)
    うあぁ苦しめる為に生き返ったとか言わないでくれー…!あと一年かぁ…海兵として精一杯生きるつもりなのかロシーは…見届けたいけどまだ諦めきれない気持ちが湧き上がる、どういう展開になるのか目が離せない

  • 33二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 18:56:03

    続きが…気になる…!!

  • 34二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 19:28:39

    無敵のオペオペで何とかしてくださいよォーーーーーーッ!!

  • 35二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 21:53:32

    この後どうなるの

  • 36二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 23:22:24

    外科医よべ腕の経つ外科医いるだろ

  • 37二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 00:23:32

    誰かーッッ!!お客様の中に市の外科医はいらっしゃいませんかーー!!!?!?

  • 38二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 01:14:37

    >>37

    ただの町医者で草

  • 39二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 08:23:10

    保守

  • 40二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 10:20:02

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 10:23:20

    短い感覚で保守は良くないぞ
    一度書き込めば12時間スレは保つんだから

  • 42二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 16:22:05

    >>38

  • 43二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 22:08:30

    ロシナンテが活躍して新聞記事とかになってそれを目撃したドフラミンゴ(獄中の姿)の反応が見たいわ

  • 44二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 22:53:53

    家族が生きてたことを喜ぶ反面、裏切り者の処分も満足に出来なかったことを悔やみそう

  • 45二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:28:05

    新聞に載ったらローも見てる確率が上がる
    でも余命宣告されてる

  • 46二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:28:58

    これ大丈夫?
    ローだってセンゴクさんだって2度も大切な人見送りたくないよ??

  • 47二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 00:55:11

    ローでもいいしドフィでもいい……
    お前もう弟ヤる理由もねえだろイトイトで臓器補強しやがれ……

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 06:24:16

    嫌だ……コラさん長生きして……

  • 49二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:42:33

    ロシナンテはとぼとぼとG-5基地の廊下を歩く。宿舎から食堂室まではそうたいした距離でもない。
    窓の外に鍛錬をしているコビー艦の顔見知りを見つけて手を振る。
    ここでの監査は命じられていないのでのんびりとしたものだ。宿舎を出て港にでも行こうかと思った矢先に、思いっきり足を払われる。鮮やかに地面に押さえつけられて、首筋に何かが突きつけられる。押さえ込まれた瞬間に体から力が抜け、海楼石だとはじき出した瞬間に体が硬直した。

    「──まさかこんなところで、……うえっ!?」

    力の入らない顔に力を込めて振り仰げば、強面の海兵が葉巻をふかしながら不機嫌そうな顔でロシナンテを見下ろしていた。その顔にロシナンテはがっくりと体の力を抜く。

    「何だ、スモーキーかァ……」
    「…ずいぶん鈍ったな」
    「病み上がりにひでェな」

    急に奇襲をかけられたと思って冷えた肝が温む。後輩の可愛いちょっかいだったらしい。
    スモーカーの険しい視線がロシナンテを睨み付けている。
    長い十手の先には海楼石がついているらしく、体に全く力が入らなかった。

    「現役の中将と比べるな。これでも船旅とリハビリで大分勘が戻ってきてるんだぜ。……海楼石離してくれ」

    手を振って降参を示すと、海楼石が離れていく。ふーと息を吐いて立ち上がる。久しぶりに受ける海楼石の脱力感は慣れるものではない。
    立ち上がって埃を払い、おかきを取り出す。こけたときにドジって粉々だが味に変わりは無いだろう。

    「ちょうど良かった、これセンゴクさんから──」
    「なんでアンタがセンゴク大目付の側付みてェなことしてる? そもそもおれァあんたが死んだと聞いていた。腹の底が知れねェ相手をおれの艦に乗せる気はねェ」

    ロシナンテの言葉尻にかぶせるように言い募られ思わず肩をすくめる。野犬と揶揄されていた若い彼を思い出す。相変わらず鼻がきいて頭の回る、そして警戒心の強い男だ。

  • 50二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:43:06

    「あー……、言いたくねェ、じゃ……納得してくれねェみたいだな」

    言葉の途中でぎろりと睨まれて肩をすくめる。さもありなん。

    「当たり前だ。……言っただろう"痛い目をみた"と」
    「……ヴェルゴか」
    「…! それも極秘情報のはずだ」

    スモーカーの顔が一層険しくなる。ドジったな、と思いつつもロシナンテはそれを撤回するつもりはなかった。

    目覚めてから手当たりしだいに漁った近年の情勢。その中に失踪したG-5前基地長の名を見たときに全てを理解した。そのときの無力感と悔恨は生々しくまだロシナンテを苛む。
    ヴェルゴ中将──自分が死んだせいでのさばり続けた兄の相棒。
    そしてスモーカーのまだ癒えきらない傷を見た瞬間に点と点が結ばれた。
    何しろ幼い頃から知っている兄の相棒であり、初代のコラソンだ。

    「アンタ本当に海兵か」
    「おれは海兵だ!」

    恫喝に近いスモーカーの問い掛けに、ロシナンテは咄嗟に反駁した。
    語気荒く反駁して、直後に息を詰める。スモーカーの探るまなざしを見下ろして、息を吐いた。

  • 51二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:43:46

    そう思われても仕方が無いことをしている。カッとなる資格などない。
    一度は全てを敵に回そうとした。
    あげくに兄を野放しにしたまま任務も失敗。まだ十三だったガキに自分のなすべきことを押しつけて、のうのうと寝こけていた愚かな男だ。

    「……おれは、ただの海軍本部雑用のロシナンテだ」

    縋るような声になってしまった。
    スモーカーは黙ってそれを聞き、ため息を吐きながら後ろの扉を指さした。入れということらしい。

    「ウチのに話を聞かれちゃ困るんでな。アンタが海兵だと言うんなら、洗いざらい吐け」
    「イエス、サー。中将どの」

    そう言うとよせ、と苦み走った顔でロシナンテを制止する。
    入った先は予備室のような部屋だった。荷物がぽつぽつと積まれ、机と椅子が申し訳程度に置かれている程度の部屋だ。
    向かい合わせに座る。尋問でも受ける気分になりながら、煙草に火を付けた。

    「相変わらず安煙草を喫んでるな」
    「贅沢だよ」

    ふー、とふかすだけの煙を吐いてようやくわずかに落ち着く。

    「……悪かったな、その傷」
    「あ?」
    「……ドフラミンゴの能力だろう? 命があって本当に良かった」
    「それでなんでアンタが謝る」
    「おれの名はドンキホーテ・ロシナンテ。……ドフラミンゴの実の弟さ」
    「…何だと?」

    流石にぎょっとした顔でスモーカーはロシナンテの顔を見る。煙草に添えた手で口元を隠しながら低く呟いた。

  • 52◆P.AThYg18sAI22/11/14(月) 07:44:50

    「十三年前、北の海で勢力を伸ばすドンキホーテ海賊団を止めるために、あいつの弟であることを利用して潜入した。結局失敗したけどな」
    「ヴェルゴと面識があったのか」
    「ああ。だが海軍に潜入してるのを知ったのは死ぬ直前。文書もヴェルゴに握りつぶされた。そいつが前基地長って知って、お前の傷はドフラミンゴの能力のものだ。分からない方が無理がある」
    「十三年前の北の海でドンキホーテ海賊団がらみなら悪魔の実の取引か」

    ロシナンテは苦笑した。まったく頭の良い後輩には舌を巻く。
    だが、自分がその取引を台無しにした張本人だとは分かっていないらしい。

    「それからずっと眠りこけて、ついこの間目が覚めた。疑うならセンゴクさんに聞いてみてくれ。だから……ヴェルゴがここまで中枢に潜り込んでいることも、あいつがドレスローザを掌握したことも……その後のことも知ったのはついこの前さ」
    「冗談みたいな話だな」
    「信じられねェのも無理はねえが、信じてもらう他にない」
    「"情報"が正しけりゃ、信じるよ」
    「……お前ほんと、嫌になるなァその勘のよさ」

    葉巻の煙が部屋にたなびく。

    「昏睡、十三年前からずっとだったか」
    「ああ。昏睡五年目、だから八年前には海軍を除隊になってるって聞いてる。失踪もウチは五年で除隊だろ」
    「だが、おれがあんたの殉職を聞いたのは、十年前になる」
    「ん?」

    ロシナンテは首を傾げる。

  • 53◆P.AThYg18sAI22/11/14(月) 07:50:45

    「アンタは十年前に死んだことになってたはずだ」
    「えっ、そうなのか!?」
    「知らなかったのか!?」
    「そこまでは……。そっか、だからか……」
    「は?」
    「いや、おれも納得した」

    ロシナンテもふぅ、と煙を吐き出した。同じようにスモーカーも煙を吐き出す。昔、同じように士官学校の喫煙所で鉢合わせたのを思い出した。あの日と今では大分変わってしまった。

    「……アンタは昔から根っからの海兵だったと思っちゃいるんだ。不快だろうが……」
    「いや、当然だろう。部下の命も預かってるんだ。……一度は全部捨てようとした男だし、信用なんてするな」
    「……預かってるで思い出した」

    スモーカーがふと立ち上がって乱雑に積み上がった荷物を漁る。ごそごそと漁った箱の底から、平たい木箱を探り出して投げる。

    「あった」
    「うおッ」

    投げ渡された箱を開けて、息を止めた。
    ロシナンテの手の平に余るほどの大口径の拳銃。新世界のかつての最新式リボルバーで、自分が憧れて止まず、幾度となく上官に購入申請をしてようやく手に入れた思い出の愛銃と同じものだ。潜入捜査のために身辺整理をしたときに、そういえば捨てるに捨てられずにいた。
    ロシナンテの手によく馴染むそれに、ロシナンテは目を丸くする。手の大きいロシナンテのためにグリップが大きく分厚く、その代わりに口径も最大の高威力の拳銃。

    「…海軍本部型フリントロック式八連発五〇口径リボルバー、カスタムしてある……」
    「あんたの"形見"だっただろ、ロシナンテ中佐」

    同じものどころか──そのものだったらしい。
    目を見開いてスモーカーを見上げるロシナンテに、スモーカーは初めてふん、と鼻で笑って見せた。

  • 54二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:56:28

    このレスは削除されています

  • 55二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 07:59:51

    好き!!

  • 56二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 08:24:12

    大好きです!
    保守

  • 57二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 14:23:44

    ごめんなさいらちょっと誤解を招きそうなので書き直します。途中トリップつけ忘れました……。ご感想、保守ありがとうございます!めちゃくちゃ励みになってます!
    ロシナンテは愛銃を思い出した!
    わりと将校は自分の武器を海軍から支給されてるっぽいなという推測(十手、ククリナイフ等)でロシナンテにも中佐時代の武器があればいいなという予想です

  • 58二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 21:13:58

    良い先輩と後輩だなぁ…

  • 59二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 21:19:42

    白猟のスモーカーの鋭さにロシーも負けましたね…
    だよなぁ先輩後輩のよしみで許されそうで良かったけど本来なら居場所がなくなっててもおかしくないことをしたんだもんなコラさんは…
    おぉリボルバー…!この先またコラさんの戦闘見れるのかな…楽しみだ!

  • 60二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 22:51:45

    アニメや漫画でのナギナギの実での戦闘シーン好き

  • 61二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 23:47:15

    前回の鍛錬では感じさせなかったけど、実はだいぶ体弱くなってる感じ?
    武器ゲットで全盛期とはいかずとも強くなるかな

  • 62二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 07:27:01

    age 保守

  • 63二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 13:28:30

    ロシナンテを驚き返してちょっと留飲下げるスモやん
    ちょっとじゃなく仲良かったですねこれは

  • 64二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 20:05:19

    保守

  • 65◆P.AThYg18sAI22/11/15(火) 21:42:01

    時は進み、ここは秋島に向かう艦の上。
    風は南南西、カモメは愛らしく膨らみ、順風満帆で素晴らしい。艦は穏やかに秋島、エルガニア列島に進んでいる。あと一両日もなく到着するだろう。
    思い出し笑いをスモーカーに睨まれ、艦橋に呼ばれた彼が風に乗って去るのを見送った。
    ロシナンテは一人黙々と数時間前の白馬波に手綱をかけたせいでほつれたロープの補修を続ける。

    「ロシナンテさん、お一人ですか?」
    「たしぎ大佐」

    声をかけたのはこの艦の副艦長でもあるたしぎ大佐だった。
    彼女が姿が見えなくなるほどに抱えていたリネン類はあっというまに船員たちの手で甲板に張られたロープに干されてぱたぱたとはためいている。この天気ならすぐに乾くだろう。

    「ロープの補修任されていたひと、もう一人いましたよね。まったくもう、すぐサボるんだから!」
    「おれァ雑用ですから。これくらいお手の物ですよ」
    「役目は役目です。ちょっと待っててくださいね!」

    今リネンを干し終わったところだろうに、ぱたぱたと忙しなく甲板を駆け去っていくたしぎ大佐にロシナンテは思わず笑みを浮かべた。働き者でよく気が付いてよく動く、なんて良い子なんだろうか。

  • 66◆P.AThYg18sAI22/11/15(火) 21:42:39

    「雑用てめェ今大佐ちゃんと何話してやがった」
    「うわっ」

    がばりと甲板のハッチが開き、じっとりとした目つきの荒くれ海兵がロシナンテを凄む。
    今にも胸ぐらを捕まれそうになってあわてて顔の前で手を振る。

    「良い子だなって思っただけですよ!」
    「当たり前だろうが! 大佐ちゃんに色目使ってみやがれ、海賊どもと一緒に火あぶりにするからな!」
    「船首にくくりつけるからなァ!」
    「おれたちの大事な大佐ちゃんなんだぞ、雑用!」

    囲まれた海兵たちに睨まれ、ロシナンテは苦笑した。流石は名の知れたG-5の柄の悪さだ。目つきも口調も海賊とそっくりで、けれど彼らの懸念は大事な上司の安否だ。
    根は良い男達なのだろうということが分かる。

    「見つけた! あなたたちまさか新人イジメなんてしてないでしょうね!」

    一通り見て回って帰ってきたらしいたしぎ大佐が恫喝されているのを見つける。
    ぎろり、と強い視線で睨まれた海兵達は、ロシナンテに対するものと打って変わって蛇に睨まれた蛙か、教師にいたずらがバレた子どものように肩をすくめる。

    「そんなことしてねェよ大佐ちゃん! な、雑用!」
    「な!」
    「ええそうですね。今日の夕飯のおにぎりをおれに譲ってくれるって話をしてました」

  • 67◆P.AThYg18sAI22/11/15(火) 21:44:53

    しれっと嘘をついたロシナンテに海兵達がだらっと汗を流して、ロシナンテを睨みつける。ロシナンテは平然とした顔でまじめにたしぎ大佐に頷いてみせた。

    「優しいですよね」

    たしぎ大佐は目を丸くして不思議そうな顔で海兵たちを見た。

    「……本当ですか? だってあなたたち、おにぎり大好きなのに」
    「そッ……」
    「それは……」
    「梅干しも付けてくれるそうです」
    「にやにやしやがってこの……!」
    「コラ!」

    たしぎ大佐に一喝され、海兵達はがっくりと肩を落としてロシナンテの言うとおりだと肯定する。

    「仲良くしてください。もうそろそろ次の海域ですから、それまでにロープの修繕! あと、ごめんなさい、リネンの回収もあとで手伝ってくれますか」
    「はーい、もちろん!」
    「わかったよ大佐ちゃん」
    「できたら褒めてね!」

    海兵達は微笑んで背を向けるたしぎ大佐ににこにこと手を振る。
    と、彼女の姿が見えなくなった瞬間に彼らはロシナンテの胸ぐらをつかみ上げた。涙目で睨み上げられてもあまり怖くはない。

  • 68二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 21:51:12

    ロシーの方が一枚上手だったか……

  • 69◆P.AThYg18sAI22/11/15(火) 21:54:28

    「てめェこのやろう! 海賊より悪質だぞこのやろう!」
    「おにぎり絶対あげねェからな!」
    「じゃあおれァたしぎ大佐にいじめられてるって言うけど、いいんだな?」
    「う゛っ……卑怯だぞ……!大佐ちゃんには良く思われてェんだおれたちは! てめェそれでも海兵か!」
    「海兵です~」

    ベロベロと舌を出して揶揄うと、カッとなった海兵達が地団駄を踏んで、甲板がみしみしと鳴る。それほど悔しがるくせにたしぎ大佐の言葉が聞いているのか手を出してこない。海賊ならばここで一発戴いていたところだ。

    (スモーキーがかわいがるわけだよなァ……)

    ロシナンテはにやっと笑ってロープを持ち上げた。ほつれた古いロープをほどいて新しいものに撚り直すのには人手がいる。

    「ロープの修繕しようぜ、センパイ方?」
    「「すげェ燃えてるけど!?」」
    「ドジったァ!!?」

    持ち上げた拍子にほつれた部分に火がついて燃え上がる。ついでにスカーフにまで燃え広がってロシナンテはひっくり返る。

    「自分で火あぶりになるとはなんだお前良いやつだな!」
    「おれはドジっ子なんだ!やばい!帆に燃え移る!」
    「スモやん助けてー!」

    大騒ぎの甲板に、賑やかな声とスモーカーの呆れ声が届く。

    「燃やすなっつったよなァ!」
    「熱ッッッい!!」
    「バカどもが…!」

    結局その晩、そこに居た海兵たちからロシナンテは無事におにぎりを分けて貰い、自ら火炙りになった男として不名誉な一目を置かれることになったのだった。

  • 70◆P.AThYg18sAI22/11/15(火) 21:59:47

    その晩、ファーストワッチ前にセンゴクに呼ばれたロシナンテは遊戯盤を指しながら愚痴る。

    「で、センゴクさん。おれ火炙りにいい思い出ねェんですけど!」
    「まあ、打ち解けていてホッとしたよ私は」

    センゴクが肩をすくめて笑う。ロシナンテも本気で怒っているわけではないので同じように笑い返した。

    「いい奴らですよ」
    「みたいだな。基地の准将たちのことは黒馬に報告してある」
    「ありがとうございます。……王手」
    「ん! 甘いな」

    潮騒の響く船室にパチンパチンと駒が動く。

    「王手は私だ」
    「……参りました」

    相変わらずの智将ぶりにロシナンテは頬を緩めた。

    「少し手が変わったな」
    「そうですか?昔からあんまりセンゴクさんの相手にはならなかった気がします」
    「愚直なばかりじゃなく、強かになった。成長したな」

    ロシナンテを見上げるセンゴクの目元は優しい。
    どうにも気恥ずかしく、ロシナンテは頭をかいて誤魔化す他になかった。

  • 71◆P.AThYg18sAI22/11/15(火) 22:01:35

    保守とご感想本当にありがとうございます!
    本当に励みになってます。バトルシーン書けなかったので次書く予定です。

  • 72二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:21:18

    強かな雑用殿好きです おにぎりおいしいね♡

  • 73二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:25:24

    うわぁぁぁやっぱり好き!!
    やり取りがいいね!!
    バトルシーン楽しみ!!

  • 74二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:32:39

    「火炙りにいい思い出ない」ってそりゃそうだろうな
    というかそれで済ませられるの?メンタル海楼石?

  • 75二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:44:13

    お前の兄ちゃんBBQ食えねぇくらいにはトラウマになってるけど???

  • 76二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:47:07

    幼いと辛い記憶や痛い記憶って忘れることが出来る場合があるから…

  • 77二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 23:03:32

    >>74

    タバコ吸うたびに自ら火あぶりになってる人だから…いや本当どんなメンタルしてんだ


    ベロベロして揶揄うの39歳がやることじゃなくて草

    相手も下唇引っ張って馬鹿にするタイプだから仲良くなれそう

  • 78二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 23:06:49

    正直常々自分のタバコの火で火だるまになってたらそりゃ慣れるだろうなって……人にされたらトラウマ発症するかもしれないけど

  • 79二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 02:16:29

    負けて嬉しそうにするのがほんとさぁ…センゴクさん大好きだな…!!
    いろんな意味で逞しくなったロシナンテ良い…!コラさんの人生幼少期から濃過ぎるもんな…そりゃ酸いも甘いも知ってるから強かにもなるよなぁ…
    嘘つきコラソンがにょろりと尻尾を出してて好きです

  • 80二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 08:29:16

    続き気になるー!!保守

  • 81二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 13:12:39

    メンタル海楼石のワードが強すぎてアラマキ生える

  • 82二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 13:35:27

    ふと思ったけど、海楼石って石のくせにクソ硬いんだな...
    石のくせに。

  • 83二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 16:49:59

    >>82

    実際のところ、種類にもよるが石そのものは基本的に硬いものが多いのよ

    地表で長年風雨にさらされたものは風化しきってるから脆そうにイメージしちゃうけど

    石切り場で切り出すような新鮮な石だと、闇雲にツルハシを振ったってビクともしない

    火打ち石を叩いて火花が吹く時、火花の正体は叩いた打金の欠片だったりするし

  • 84二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 17:16:43

    >>83

    そこまで行くと岩じゃないのかという気持ち...

  • 85二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 17:42:07

    >>84

    細かい定義の話はスレ違いだからさておき、岩と呼んでも石と呼んでもモノは同じだぞ

    なんなら手のひらサイズの石の方がヒビなく綺麗にまとまってて頑丈まである

  • 86二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 23:00:05

    ロシナンテがスパイになる前はこんな穏やかな時間もあったのかな…

  • 87二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 04:08:15

    保守

  • 88二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 11:17:55

    保守

  • 89◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 11:45:47

    横殴りの突風が時折吹く薄曇りの空の下、メインマストの望楼で見張りをしていた海兵が歓声を上げる。

    「野郎ども三時の方角に海賊船だぞヒャッハー!!」

    海賊船が見えたという歓声にデッキ掃除をしていたロシナンテが顔をあげる。丁度右舷に居たので三時の方角に目をこらすと、岩礁の近くにマストが見えた。
    Mの文字と悲鳴を上げる子どものジョリーロジャー。ロシナンテの現役時代にはみなかったが、新世界に来て早々にこの艦に見つかるとは運のないことだ。中将と大目付と大佐が乗り合わせている船も中々ない。

    「はしゃがないの! 報告はちゃんとしてください」
    「あの旗、"トラッパー"・ケビーのだな」
    「ほー、ついに楽園を出てきたか」

    甲板に出てきたたしぎが踊り出しそうな勢いではしゃぎまわる海兵たちをたしなめ、目をこらしたスモーカーがその海賊団の名前を呟く。センゴクも顔をだしている。

    「スモやん! あいつら捕まえるだろォ!」
    「あいつらちゃんと悪党の海賊だしなァ! な!」
    「…海賊を見逃すつもりはねェ。だがあれでも賞金総額三億の海賊団だ。油断はするな。あっちはまだこっちに気づいてねェ。岩礁にかくれて背後に回り込め」
    「任せろスモやん! 野郎どもスループを畳めェ!」
    「雑用何やってんだ、ブレースにつけ! 弾丸主砲に運べェ!」
    「イエッサー!」

    岩礁を回り込むとなれば海兵達が総出で動かす帆はまるで生き物のように動く。ロシナンテも声をかけながら、艦という生き物を動かすひとつの歯車になる。
    斜めに受ける風を器用に帆に当て、舵を切れば丁度良い突風も合わさって海を軍艦が滑るように進んだ。
    流石に熟練の海兵ばかりで、ロシナンテでも中々みたことのない角度で急ターンを決める。
    ロシナンテも指示に合わせてヤードを引き、ブレースを回した。幾度かドジって転んだが海に落ちなければ問題は無い。
    岩礁がある浅瀬を避け、カモメをたなびかせて現れた海軍の軍艦に、にわかに海賊船が騒ぎ出す。

  • 90◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 11:47:14

    「気づかれたな。主砲撃て!」
    「イエッサー!」

    スモーカーのかけ声で大砲が放たれる。
    見事に命中した砲丸は海賊船のフォアマストとメインマストをへし折り、そのまま帆を破る。これでもう海賊船は動けないだろう。
    それを確認し、腰を溜めて敵船に飛び移ろうとしたスモーカーを、海兵達が慌てて止める。

    「スモやんはじっとしてなよ!」
    「おれたちが首とってくるからよォ!」
    「あ? 何言ってやがる。相手は億に近い賞金首だぞ」
    「だってスモやん、怪我治ったばっかりじゃねえか!」
    「それがどうした。たいしたことァねェ」
    「…そうですね。私とみんなでいきますから、スモーカーさんは見ていてください」

    スモーカーの顔が不機嫌そうにしかめられる。怒鳴りつけようとしたところに、ロシナンテが声をかける。

    「たしぎ大佐、おれも行くよ」
    「えっ、でもあなた雑用では…」
    「雑用でもほら、実戦経験つまねェと。な? スモーカー中将どの。万が一があっても中将と大目付がいるんだから大丈夫でしょう」

    スモーカーはそれでも何かを言いつのろうとしていたが、たしぎ大佐とG-5の海兵達のまっすぐな視線を受けて、がっくりと頭を押さえた。

    「馬鹿しかいねェ」

  • 91◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 11:47:37

    「あなたの部下です!」
    「さっさと行け馬鹿ども。大口叩いて逃げられたらぶん殴るからな」

    スモーカーが頭を押さえたまま手を振る。たしぎ大佐と海兵たちが得意げに顔を見合わせて笑いあう。

    「行きますよ!」
    「おー!」

    サーベルが突き上げられるなか、ロシナンテも海兵達より頭4、5個ぶんほど高い場所で愛銃を振り上げた。

  • 92◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 11:51:16

    保守、ご感想本当にありがとうございます。本当に励みになってます!!
    今日は夕方か夜にまた戦闘編後半まとめてきます!
    ・メンタル海楼石笑いましたしそれからの岩石講座の流れが面白くてためになりつつ笑いました。大変勉強になります!
    ・ロシナンテが火炙りネタ平気なのは幼かったのと海兵してたのと自分のドジで燃えるのが日常茶飯事なののトリプルコンボなんだと思います。

  • 93二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 13:44:38

    SSの新作だヒャッハー‼
    戦闘楽しみにしています

  • 94二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 21:35:50

    元々好きなのにG5の面々が更に好きになってしまう

  • 95二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:07:15

    楽しみ!

  • 96◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 23:11:28

    逃げようと帆を動かす敵船だが、そもそも既にメインとフォアの二つのマストを折られている。苦し紛れの砲撃をたしぎ大佐が居合いで切り落として海に落とす。海兵たちの野太い悲鳴にも眼鏡をあげて照れくさそうに笑うのが可愛らしかった。

    「切り込みます! 接舷!」

    逃げ切れないことを察した海賊の行動は一つだ。

    「野郎ども、迎え撃てェ!」

     船長らしい若い声が聞こえて海賊船の戦闘員達が一斉にいきり立つ。なるほど、新世界に殴り込みをかける海賊らしく、海軍にも物怖じしないようだった。
    相手から鉤が投げ込まれる。ロシナンテはそれを見てぎょっとする。太い柄一杯に溝があり、そこに黒い水が通っている。

    「あれ…油か?」
    「ぎゃはは! 行くぞォ!」

    その鉤を渡って進もうとした海兵の首を引っ張ってつり上げて下がらせる。そのまま船縁に掛かった鉤を蹴り上げた。

    「危ねェ!」

    折れた瞬間に火花が散り爆発的に燃え上がる鉤。踏み込んでいれば海兵の体中が海の上で燃え上がっただろう。

    「なるほど、トラッパー…」
    「あ、ありがとう……」
    「気をつけろ。無駄に命落とす気か」
    「お、おお……」

    思わず睨み付けるとこくこくと頷かれる。ふゥ、と煙草の煙を吐くと、頭が切り替わっていくような気がする。あちらから掛けられているロープにも仕掛けがあるだろう。

  • 97◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 23:12:21

    「みんな、あちらからのロープ、鉤を全て外して海に落としてください! 私が行きます!」
    「おれも行こう」

    たしぎ大佐が船縁を蹴り上げ、そのまま空を蹴る。ロシナンテもそれに続いた。
    あちらに一つ残ったミズンマストの後望楼にたしぎ大佐と共に降り立つ。たしぎ大佐の声が甲板に響く。

    「船長以下、投降すれば手荒な真似はしません! 無駄な抵抗はやめて投降する気はありませんか!」

    たしぎ大佐の顔の横に銃弾が過る。それが答えだった。たしぎ大佐の顔つきがきりりと変わる。

    「──いきます!」

    刀を構えて望楼から飛び降りる。そのあざやかな刀捌きはロシナンテも目を引くようなしなやかさがあった。力に劣る分、柳のようにしなやかな刀筋はまるで舞を踊るようだった。
    甲板に満ち満ちる海賊では相手にならず、あっという間に倒れ伏す海賊たちで甲板が埋まる。
    ロシナンテは望楼からじっと海賊達を眺めていた。

    「女に見惚れてンじゃねェぞでくの坊!」
    「ああ、悪ィ悪ィ──忘れてねェよ」

    マストをよじ登ってきた海賊がサーベルを振り回しながらロシナンテを恫喝する。ざっと見て一〇人がヤードやマストの横木に登ってロシナンテに襲いかかろうとしている。
    ロシナンテはふっと煙を吐いて、銃を向けて引き金を引いた。
    銃声は二つで十分だった。

  • 98◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 23:13:31

    一発は数人が登っている横木を折る。二発目はヤードの結び目を滑車ごと吹き飛ばして海賊を二人甲板にたたき落とす。

    「なんだその威力……! ピストルじゃねェだろ……!」

    熟練の海兵でも肩が外れるほどの威力の拳銃も、ロシナンテの体格で扱えばただのピストルだ。

    「てめェ! よくも!」

    なんとか横木にとりついた男がロシナンテに引き金を引く。ロシナンテは横目でそれを確認して煙を大きく吐き出した。

    「──ッ!?」

    しかし、そこに居たはずの"デカブツ"は忽然と消えていた。
    ただ煙草の煙だけが取り残されて漂っている。

    「な、なんで」
    「……」

    困惑する海賊の背後にぬっと影が立つ。
    本能的な恐怖で振り返るより先に、大きな手が海賊の首根っこをつかんだ。まるで子どものようにぶら下げられ、そのまま甲板に叩き付けられる。あっという間に制圧された甲板にはもうたしぎ大佐とロシナンテの他に立っているものはいない。
    ロシナンテが最後に甲板に叩き付けた男と、たしぎが首に切っ先を突きつけている男が泣きべそ声を上げた。

    「ぎゃァ! 船長ォ助けてェ!」
    「たすけて船長!」
    「マーヴとハリー兄弟ですね。……船長がいない」

    手際よく副船長格を捕縛しているたしぎが周りを見渡して呟く。

  • 99◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 23:19:17

    「ガキみたいなやつ?」
    「ええ」

    ロシナンテが観察していた中にそれらしい海賊がいたことを思い出して頷く。

    「初めに下に降りていったやつだな。おれが行こう」
    「はい。お願いします」

    拳銃の弾を詰め直して甲板をたしぎ大佐に任せて船内に潜る。入ってぎょっとする。
    花のような甘いにおいが充満し、いくつもの積み荷が甲板下の倉庫を埋め尽くしている。その中を開いて、ロシナンテは鋭く息を詰めた。

    「…"凪"」

    咄嗟に自らに凪を掛け、気配を探る。倉庫の奥から声が聞こえる。身を隠しながら耳を澄ます。電伝虫で誰かと話をしているようだった。

    ──なんで海兵が居るんだよ! このルートは大丈夫なんじゃなかったのか!助けに来てくれ!

    電伝虫で何やらわめいているのが船長だろう。

    「四皇に次ぐといわれたアンタに言われたから従ったんだ! 捕まったんじゃ割に合わねェ! そうだろう、"外科医"」

  • 100二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:20:38

    !!!

  • 101二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:21:08

    エッ!?

  • 102◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 23:21:39

    『その名で呼ぶんじゃねェよ』

    低い男の声が電伝虫から聞こえる。
    ひゅっ、と息が止まった気がした。凪をかけていなければ声が出ていただろう。

    「積み荷はもうだめだ! 海軍にバレた。は……? 無理だそんなことしたらみんな死──」

    ぞくりと肌が粟立つ。ロシナンテにも分かるほど、有無を言わさぬ男の声が電伝虫の向こうからする。目つきの悪い電伝虫は誰に擬態しているというのだろう。

    『誰が四皇より格下だ。いいからそのまま積み荷を燃やせ。船ごとだ』

    ぶつりと電伝虫が切れる。ロシナンテが呆然としている間に男の姿は消えていた。
    鼻に焦げ臭く、甘ったるいにおいがしてロシナンテは舌打ちする。

    「……嘘だといってくれ」

    ドジったと誤魔化す余裕もなく、噛み締めた煙草のフィルターが潰れる。誰にも届かない声が虚しく溢れた。

  • 103二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:21:41

    外科医って!え!?

  • 104◆P.AThYg18sAI22/11/17(木) 23:24:10

    保守、ご感想本当にありがとうございます。本当に励みです!
    そろそろ秋島に着きエルガニア列島編です。その前にG-5とわちゃわちゃしてほしい。

  • 105二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:24:22

    積み荷の中身はなんだろう?

  • 106二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:25:44

    まだ電伝虫越しだから本人じゃない可能性も…
    誰かが死の外科医を騙ってるとか…

  • 107二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 23:25:53

    実はやばい薬でも積んでたのかな

  • 108二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 01:20:11

    やっぱあの体格ってだけで強大な武器になるよねって戦闘シーン格好良かった
    乙でした

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 08:58:55

    保守保守の実

  • 110二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 09:49:12

    ローではないかも…多分…
    ワンピでも医者キャラは居るし
    積荷が気になる

  • 111二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 11:16:38

    ロシナンテ同様「嘘だと言ってくれ…」という気持ちがあるものの、「四皇に次ぐ」を勝手に「格下」と変換して噛み付くあたりに説得力がある……!!
    こういう展開大好き、オラわくわくしてきたぞ!

  • 112二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 17:17:56

    …読んでいたら描きたくなってしまう、腕を伸ばすと画面に入り切らないのでなんだか中途半端なポーズになってしまった感が否めないんですが、コラさんの射撃技術高いですよね、オペオペ奪取時の見事な腕前…
    戦闘で中佐としての視野の広さと判断のスイッチ入ってるロシナンテが好きです…こんなの雑用じゃねぇよぉ(笑)

  • 113二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 17:46:12

    まれにコラさん/ロシナンテのレスで神絵を描いてくださる神絵師が!!

  • 114二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 19:38:29

    出た!!ロシナンテのスレに現れては神絵載せる通り神絵師だ!!煮込め!!

  • 115◆P.AThYg18sAI22/11/18(金) 19:49:04

    >>112

    わー!ちゃんとデカくてゴツいリボルバーじゃないですかすごい!上からきっちり戦況把握して動いてるロシナンテとデカくてゴツくて高威力の拳銃(小さめの大砲)の狙撃の腕が立つイメージがイラストになってるすごい!デフォルメも可愛いです〜!雑用制服なのがギャップでかっこいいですね!

  • 116二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 21:45:06

    ってかこの神絵師は何で降臨して下さるのだろうか…
    やっぱりスレッド検索のロシナンテ?
    コラさんやコラソンでもちょこちょこ面白いレスあるから是非この神絵師さんも見て欲しい

  • 117二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 22:09:19

    わ~い神絵師だー!!!
    あなたの絵、大好きだぜ!!
    いつも素晴らしい絵を見せてくれてありがとう!!!

  • 118◆P.AThYg18sAI22/11/18(金) 22:59:52

    「すまんドジったァ! たしぎ大佐ァ! 退避退避!」

    船底からの爆風を背中に受けながらロシナンテはハッチを駆け上がった。ロシナンテが肩に担ぐ船長は気絶している。
    キールのへし折れる音、砕ける船板と破裂する樽や木箱の音、熱と爆風が甲板の下を震わせている。
    船縁から板を掛けて捕縛した海賊達を艦に連行していたたしぎ大佐が急に揺れ動く海賊船に顔色を帰る。

    「ええっ!? 爆発!?」
    「すまねェ、あと一分くらいで火薬庫に燃え移って沈む!」

    ロシナンテは大声でそう告げると、担いでいた船長を甲板に投げ渡した。
    一瞬ぎょっとした顔をしたたしぎ大佐だが、流石に将校たるもので瞬間的に指示を飛ばす自らもハリーとマーヴ兄弟を軍艦に投げる。慌てふためく海賊を背負いながら声を上げた。

    「皆、海賊を担いで艦に退避してください!即刻!」
    「はいよ!」
    「…まだまだ甘ェな」
    「ああっ、スモ中将待ってェ!」

    海兵の止める声を無視し、葉巻を吹かしたまま甲板にスモーカーの煙が充満する。その煙はあっという間に甲板にいた海兵と海賊をひとまとめに軍艦に引き上げる。
    ロシナンテはそれを認めると、煙草を噛んで身を翻した。
    ごうごうと船が燃える音がする。まだ甲板にまで火の手は上がっていないが、あっというまに喫水線が下がっている。沈没するほうが先になるだろう。

  • 119◆P.AThYg18sAI22/11/18(金) 23:00:21

    「ロシナンテさん!」
    「ロシやん!」

    甲板に投げ出されたたしぎ大佐と、なぜか妙な呼び方をしている海兵の声を背に受けながらロシナンテは船室に飛び込んだ。スカーフを口元に当て、構造上船長室があるはずの場所に飛び込む。吸い込んだ煙に悪心がこみ上げて咳き込んだ。

    「ゲホ……ッ」

    噎せた拍子にスカーフが水ではないもので濡れる。舌打ちをしながら乱雑にそれを拭い、ロシナンテは船長室の机を蹴り飛ばした。大事な物は側に置きたがるのが海賊だ。
    絨毯を引き剥がして、床板を剥がす。

    「先輩、何を……」
    「スモーキー! "契約書"だ! この船の積み荷の証拠がいる! 探せ!」

    声に応じて咄嗟に煙が船室に広がる。次の瞬間には霧散した煙が部屋を調べ尽くす。
    激しい音がして壁面の額縁が破壊され、その下から帳面が転がり落ちる。スモーカーの実体化した腕がそれを受け止める。

    「それか!?」
    「他に重要そうなもんはねェ! さっさと退避しろ!」

    ロシナンテの肌にも、床下が地獄の釜の蓋を開けたようになっているのが分かる。
    部屋を出ようと身を返した途端、がくりと膝が崩れる。

    「おい……ッ」

    ロシナンテを叱りつけようと振り返ったスモーカーの目が大きく見開かれる。

  • 120◆P.AThYg18sAI22/11/18(金) 23:01:06

    彼の目に映る自分は、どう見えているのだろう。口の端を血で汚し、喘鳴を漏らす死にかけの男だろうか。この男が酷く耳が良いのを思い出す。

    「……はは、ドジった…」

    愕然とした顔を一瞬で隠し通したスモーカーが低く舌打ちをした。

    「肩貸してくれよ、スモーキー」
    「捕まってろ」

    ロシナンテを煙が運ぶ。
    甲板に降り立った二人をわっとたしぎ大佐と海兵達が迎え入れた。怪我ではなくスモーカーに肩を借りるロシナンテにセンゴクが駆け寄る。

    「ロシナンテ……!」
    「へへ、センゴクさん。見てました?」
    「ああ……」

    スモーカーからロシナンテを受け取ったセンゴクは、ぐしゃりと顔を歪めて笑う。

    「……無茶をするな」
    「でもほら、手間が省けました」

    ロシナンテはスモーカーの持つ紙切れを指さし、自分のポケットから麻袋に詰まった"積み荷"を引きずり出す。その独特なにおいにセンゴクがぎくりと冷や汗を垂らした。
    麻袋の中にあるのは、さらさらとした砂金の色をした砂。粉末状のそれをセンゴクは正しく理解した。

  • 121◆P.AThYg18sAI22/11/19(土) 01:06:29

    「"JOY"、まさか積み荷全てか!?」
    「はい。まさかですよ。ラッキーでした」

    センゴクの肩から力が抜ける。そして次に現れたのは、海軍将校としてロシナンテの報告を聞く"知将"センゴクの顔だった。

    「現物と“契約書”か。よくやったロシナンテ」
    「ええ。これがあれば接触もたやすいでしょう」 
    「そう上手くいくか?」
    「あてはあります」
    「信じよう……」

    センゴクは深く頷いた。
    ロシナンテは息を整えて立ち上がった。

    ──“外科医”

    電伝虫で聞こえた名前が頭によぎり、ロシナンテは頭を振って振り払う。
    その二つ名で連想してしまった少年の名は今の自分には無関係だ。この件に関わっているはずもない。

    ドフラミンゴを打破した立役者であり、ドレスローザの救い主だ──そのはずだ。
    それに、あの優しい子がそれほど大それた悪事を働くことなど考えたくなかった。

  • 122◆P.AThYg18sAI22/11/19(土) 01:07:45

    そうなってしまっていたら、海兵としての自分はどうすれば良いかわからない。
    ぶるりと震えたロシナンテに、先程鉤を踏みかけてロシナンテが叱り飛ばした海兵が恐る恐る近づく。

    「ロシやん大丈夫か? 怪我したのかァ?」
    「大丈夫、ってかなんだよそんな……」
    「命救われたんだからそりゃあなァ!」
    「アンタのおかげで助かったよ!」
    「いや、おれァドジって船爆破させちゃったし」
    「アハハハ、秋島につくまで便所掃除代わってやるよ!」
    「それは助かる」

    ばしばしと海兵たちに背中を叩かれて、ロシナンテは思わずふは、と吹き出した。G-5の海兵たちはロシナンテを船室に追い立てる。

    「ロシナンテ、ゆっくり休みなさい」
    「はい、センゴクさん。またあとで」

    ひらりとセンゴクに手を振ってロシナンテは船室に戻る。
    カモメの向こうの空は高く、鱗雲が薄青い空を覆っている。
    もう秋島の気候海域に入っていた。

  • 123◆P.AThYg18sAI22/11/19(土) 01:10:32

    ご感想、保守本当にありがとうございます。本当に励みになってます。
    次ちょっと間が空くかもしれないですすみません。
    イラストありがとうございます!

  • 124二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 01:13:59

    >>123リボルバーとかもうロマンが溢れ過ぎて…!それを片手で扱えるのがまさに背も手も大きいロシナンテだなぁという感じでたまらないです、本編で描写の少ない中佐に割と夢見がちな人間なので海軍寄りのこちらのSSでロシーのいろんな成分を補給させてもらっております(笑)

    こちらこそいつも素晴らしいSSをありがとうございます…!

    気になる展開で続きが楽しみだぁ、って血〜!!ロシー大丈夫か…?心配になるなぁ…


    (コメントくださった方々もありがとうございます…!)

  • 125二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 04:29:34

    続き楽しみ!

  • 126二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 12:54:57

    諜報担当の元中佐としての経験を見せるロシやん格好良い…
    でも無理はしないで…

  • 127二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 20:01:31

    楽しみ
    保守

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 00:19:19

    保守

  • 129二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 05:18:53

    喀血を雑に拭ったせいで口周りがピエロメイクみたいになった状態でローと再開するコラさんが見てぇ!(ドン!)

  • 130二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 07:44:20

    うわぁーそのシュチュめっちゃ唆る

  • 131◆P.AThYg18sAI22/11/20(日) 15:16:31

    美しい花の島、エルガニア列島。
    雪のように白い花弁のサンドラコスモスが一面に咲き乱れる庭。その向こうの壁の外の街を、帽子を被った若い男が一人、巨大な屋敷の2階から見下ろしていた。
    その顔は帽子に隠れて陰っている。
    数千年前に火山で隆起したというこの列島は新世界では珍しい長閑なばかりの秋島だった。
    人々は賑やかに露店の並ぶ通りを遊んでいる。栄えている街だった。

    「お気に召したかね。自慢の庭だ」

    背後から穏やかな声を掛けられて、男は肩をすくめて窓から目を離す。
    ドアを開いて表れたのは背の高い老境にさしかかった男だった。手には金色に揺れる酒瓶が揺れている。

    「さァな」
    「きみが略奪をしない海賊で良かったよ。ご覧の通り穏やかな島だ。この島を守るのが、島親の私の役目なのでね」
    「そうかよ。…それで、いい加減おれも"観光"してェんだがな」
    「そうはいかない。島民の不安を招く札付きはここにいておくれ。それが停泊の条件のはずだ。他の船員は自由にさせてあげているだろう?」
    「…」

    帽子の男が島親と名乗る男を睨み付ける。島親は肩をすくめる。

    「これはお願いだよ。海軍にはすでにこの島に"賞金首"がいると知られているし、いつ来てもおかしくない。きみも海軍とコトを構えたくはないだろう」
    「それが客に対する態度か?」

    若い男が吐き捨てる。島親は肩をすくめて彼の言葉をいなした。

    「海賊を客として扱っているだけでも破格だと分かってくれ。私だって海軍は苦手なんだ。元海賊なものでね」

  • 132◆P.AThYg18sAI22/11/20(日) 15:17:53

    若い男はあてがわれている豪華な客室の椅子に腰を下ろして足を組んだ。島親を睨み付ける眼光は鋭い。

    「きみだからここまで許している」

    大きな窓から日差しが差し込んだ。
    帽子の下の若い男の、隈の目立つ顔立ちを照らす。

    「いつでも海賊なんてやめてこの島に永住してくれていいんだよ。そういう海賊はたくさん居る。かくいう私もそうだがね。飲むかい? この島の酒はやみつきになる」

    男は黙って首を振った。
    島親は残念そうに肩をすくめて部屋をさる。

    「ああそうだ。今から海軍の中将と会談をしなければいけないんだ。どうか部屋の中にいておくれ。君がいるなんて知られたら大変だ」

    そうだろう、と島親が笑い混じりに若い男を見る。

    「いまや四皇に次ぐ大海賊。トラファルガー・ロー」
    「……誰が格下だ」

    若い男──“死の外科医”トラファルガー・ローは閉じた扉に吐き捨てた。

  • 133◆P.AThYg18sAI22/11/20(日) 15:19:15

    保守ご感想本当にありがとうございます。
    エルガニア列島編詰めるのに時間かかってしまった。また夜か朝方に続きおきに来ます。

  • 134二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 15:29:49

    ついに死の外科医が…!
    海軍にいるやたら背の高い雑用に気づくかどうか…

  • 135二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 15:58:16

    んん?どういうこと?
    続きが気になるー!

  • 136二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 17:25:46

    おっとぉ?金色の酒?海賊船から押収したものと関係ある?
    依存性のあるものですかねェ?

  • 137二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 18:36:28

    黄金の蜂蜜酒?

  • 138二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 18:51:21

    屋敷から出ないことを条件に停泊を許されてるわけか…
    実質人質…?

  • 139二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 21:10:45

    やべぇな

  • 140二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 02:39:54

    待ち遠しく保守

  • 141◆P.AThYg18sAI22/11/21(月) 06:43:44

     花咲き誇るエルガニア列島。五つの島からなる列島は花に満ちている。
     咲き乱れる花々は殆どが島の固有種で、この島でしか見られないものばかり。花から作られる蜜の花酒の美味たるは伝説の如し。偉大なる航路だけではなく東西南北への輸出も盛んである。
    その島の正面に軍艦が一隻停泊していた。

    「ここ、火山列島なので温泉もあるんですよ、センゴクさん」

    我先にと駆けだしていった休日を勝ち取ったのG-5の面々。文字通り、停泊中にいつ休日を手に入れるかの真剣勝負にはロシナンテも巻き込まれ、運良く今日を勝ち取れた。
    船番を割り当てられてしまったり、仕事が残っている海兵達が船縁や望楼からやっかみまじりにそれを見送り、ロシナンテは手を振ってそれに応える。もちろん、帰ってきたのはブーイングである。
    ロシナンテは休日らしくラフな姿である。制服の上だけを変えて柄物のシャツを着ている。センゴクもラフな格好の上に海軍外套を羽織っていた。

    「そーかそーか。そりゃ楽しみだ」
    「旅館は取ってますからね!」
    「一仕事終えたらゆっくりしよう」

    にこにこと話し合う二人の後ろで、たしぎ大佐とスモーカーもタラップを降りていた。この二人もまだ海軍コートを脱いでいない。

    「この島の街の中央に島親さんのお屋敷兼お役所があるそうです。滞在許可はここで取らないといけないんだとか」
    「面倒くせェ」

    手の中のメモに目を落としながらタラップを降りるたしぎ大佐に、スモーカーはつまらなそうに鼻を鳴らしている。

  • 142◆P.AThYg18sAI22/11/21(月) 06:44:38

    「でもすごいですね。この島は二〇年以上海賊の被害がありません。襲ってくる海賊はいなかったんでしょうか……」
    「ああ、たしぎ大佐。それは島親が……」

    ロシナンテが口を挟もうとしたところで、つるりと足が滑る。懐かしいような慣れた浮遊感に思わず目を閉じた。センゴクがぎょっとした顔をするのが見え、直後にびっくりした顔のたしぎ大佐と呆れたスモーカーが見える。

    「ロシナンテさん!」

    親切なたしぎ大佐が慌てて支えようと手を伸ばし、タラップに躓く。
    つんのめるたしぎ大佐に慌ててロシナンテもひっくり返りつつ手を伸ばそうとして、ぼふん、と煙が視界を覆った。

    「何回同じことやってんだ……」

    モクモクと煙るスモーカーにひょいと港に放り投げられてロシナンテは頭を搔いた。

    「ありがとうございますスモーカーさん」
    「おれはドジっ子なんだ」
    「何百回聞いたかわからねェよ。おっさんが」
    「海に落ちるんじゃ無いぞロシナンテ」
    「はい、センゴクさん」

    膝の砂を払って立ち上がる。立ち上がってようやく、タラップの降り口で待っていた男が口を挟む。

  • 143◆P.AThYg18sAI22/11/21(月) 06:46:11

    「ようこそお越しくださいました。海軍の皆様。私は島親アルカニロ様の使いの者です」

    深々と頭を下げる男に、たしぎ大佐がきっちりと敬礼をして返す。

    「はい、我々は海軍G-5支部〇〇一部隊です。この度は我々の調査寄港をご許可いただき感謝します! 賞金首がいると情報がありまして……」
    「ええ、ありがとうございます。もう20年、海賊とは縁の無い島。……賞金首がいるものかはわかりませんが存分におくつろぎください。馬車をご用意しております」

    腰の低い男の手の先に、色とりどりの花で彩られた美しい馬車が用意してあった。白馬の二頭立てに、白い花かごのような馬車である。
    おとぎ話から飛び出してきたかのようなそれにスモーカーは眉間の皺の深さを数ミリ深め、ロシナンテはうわぁ、と小さく口の中で呟いた。あれに乗って街を行くスモーカーはなかなかに想像しがたい。

    「お前アレに乗るの」
    「代わってくれんのか、雑用」
    「嫌だ」

    スモーカーにぎろりと睨まれて、ロシナンテは肩をすくめる。
    すごい立派ですね!と素直に感心しているのはたしぎ大佐くらいのものだった。たしぎ大佐とセンゴクが馬車について使いの者と話している間に、ロシナンテは煙草で口元を隠しながらスモーカーに囁いた。

    「スモーキー、島親に油断はするなよ」
    「…するわけねェだろう」
    「もし"特別な美酒"とか言われて出されても飲むんじゃない」

    スモーカーの視線がこちらを向く。無言で続きを促されて、ロシナンテは低く囁いた。煙を吐き出す。

    「この島はSADの原材料のひとつを輸出していた島。巨大な麻薬カルテルの元締めだという噂がある。それは知ってるな」
    「ああ、そういう"情報"だ。……アンタの集めた情報なんだろう。ロシー先輩」

    ロシナンテは頷く。

  • 144◆P.AThYg18sAI22/11/21(月) 06:51:16

    十三年前、ヴェルゴに握りつぶされたあの文書。あれに記されていたあまたのブラックマーケットの大物達の証拠は殆どが使い物にならなくなった。ジョーカーの失墜で共倒れになった相手もいる。
    だが──文書に記した以上の情報は、ロシナンテの"頭"に残っている。

    「ああ。十三年前までのおれの調べた情報だ」

    ドフラミンゴの取引相手も、その情報も、ルートも、証拠も。文書に書いていなかったわずかなものまで。
    その中でも一番の大物がいるのがこの島だ。

    「この情報をおれが証明できれば、正式に海軍が動く。失敗すれば、おれの"情報"は無駄になる」
    「ずいぶんと信用されてねェな」
    「まァしかたないさ。一度は海兵をやめて全部捨てて死んだ男だ。センゴクさんがチャンスをくれた。本当に感謝してもしきれェ」
    「……そうか」
    「…北の海の闇も多少は晴れるはずだ。どうにかやりのこしちまった仕事をやり遂げたい」

    葉巻をふかし、スモーカーは低く呟いた。

    「変わったようで変わらねェな。相変わらず、海兵らしい海兵だよ」
    「そうか?」

    ロシナンテは首を傾げる。スモーカーは肩をすくめて、馬車に向かった。

    「じゃあロシナンテ、またあとで」
    「はい、センゴクさん!」

    可愛らしい馬車に乗り込んだセンゴクとたしぎ大佐、スモーカーを見送ってロシナンテは思いっきり伸びをした。ただの雑用相手には流石に馬車は準備されていない。仕方ないので港から街の中央まで歩くほかにないだろう。
    頭を切り替えてロシナンテはのんびりと歩き出した。風は涼しく、空は高い。
    秋島の秋の良い天気だった。

  • 145◆P.AThYg18sAI22/11/21(月) 06:55:52

    感想、保守本当にありがとうございます。本当に励みになってます!!!エルガニア列島編です。
    ・黄金の酒でミードを一発で当ててこられてびっくりしました。ありがとうございます

  • 146二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 08:20:34

    保守

  • 147二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 09:44:18

    とある創作物において黄金の蜂蜜酒っていうアイテムがあって...
    割とキーアイテムになりがちなもので、黄金の酒と言われるとまずそれが頭に出てくるんです...

  • 148二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 10:31:42

    町でハートと鉢合わせするかな
    ベポぺんシャチはコラさんの情報どこまでもってたっけ

  • 149二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 12:35:33

    不穏ではあるけど島の描写が美しい…

  • 150二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 20:25:56

    保守

  • 151二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 01:55:37

    かわいい馬車にゆられていく海兵さんたち好き

  • 152◆P.AThYg18sAI22/11/22(火) 06:09:05

    どこか牧歌的な街は、北の海の雰囲気を残している。淡い橙のレンガ造りの町並みと石畳の道の合間合間にロシナンテの名前の知らない花々が咲き誇って香りを立てていた。
    コスモスに似た白い花で埋まった花壇、群れなす蜂のような黄色い花を垂らす街路樹。店の先に垂れる赤い釣り鐘の形の花、庭先には桃色の八重の花びらの花が風に揺れる。
    港からうろうろとしながら大通りにたどり着く。大通りにG-5基地の海兵の姿は見えず、どうやらもう既に酒場にでも繰り出しているらしい。
    大通りの露店を眺めているだけでもドライフラワーや、乾かしたハーブや、お茶の葉、店先につるされた良いにおいの香るサシェ、色とりどりの花の蜜漬け。植物を利用したものばかりでロシナンテは流石にあっけにとられた。
    観光にきた客向けの露店の一つ、話し好きそうな顔をした女性に、煙草をもみ消して声を掛ける。腰を折って眺める板の上のハーブは殆どがロシナンテの知らない種類だ。

    「すげェなァ。おかみさん、これ全部ハーブかい?」

    背の高いロシナンテに一瞬目を丸くした恰幅の良い女性は、柔和な顔をくしゃりと笑みに変えた。

    「そうだよ。全部薬師さまの見つけてくださった島の草花だよ」
    「薬師様といえば……島親の」
    「もちろん! あのかたのおかげで島は平和で、豊かなのよ」

    女性はまるで自分が褒められたように嬉しそうに微笑む。ロシナンテはにこにこと笑みを浮かべて頷いた。

  • 153二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 06:15:04

    そうか、あのときのやり残した仕事を果たしに来たのか……長い長い旅だったな

  • 154◆P.AThYg18sAI22/11/22(火) 06:20:15

    「そんなに変わったのか?」
    「昔はきれいなだけの花を売っていたけど、今は薬になる花も島の外へ売っているのよ。花の蜜の酒もあの方の知恵でねェ」
    「へェ、有名だよな。この島のお酒」
    「ああ、あの方には感謝してもしきれないねェ」

    薬師と呼ばれ親しまれている男がその知識をこの島に与え、それを教授している人がいる。花の美しさの他に価値を見だし、花を材料に酒を造って外に売る──それだけを聞けば何の変哲も無い島の暮らしだ。

    「そうかァ……」

    雪のような花弁の美しいドライフラワーを一束つまみ上げてロシナンテは呟いた。この島固有の花なのだろう。知らない花だ。

    「これとこれ二つくれる?」
    「はいよ、まいどあり」
    「そうだ。おすすめの酒場とかある? さっき聞いた酒飲んでみたくてよ」
    「この島には少ないねェ……行くなら三番島がおすすめだよ」
    「ありがとう」

    サシェと花束を受け取って大通りを歩くロシナンテの隣を、深くポーラーハットを被った数人の男たちが通り過ぎる。
    一瞬、ロシナンテの足が止まった。
    顔色を悪くしてその男たちを振り返る。

    「……!」

    しかし、振り返った先にはもう誰も居なかった。
    ロシナンテは煙草に火をつけて咥えなおす。煙を吐いてため息を誤魔化す。
    運が良ければ一年、なるほど残された時間は少ないらしい。
    肩をすくめて気を取り直し大通りを離れ、細い路地を縫うように港から離れていく。

  • 155◆P.AThYg18sAI22/11/22(火) 06:40:19

    大通りと違って人の生活の気配のする細い道を歩く。樽や木箱がつまれ、コートやシャツが頭上に干されている細い道。
    賑わっていた大通りの喧騒が遠くなった辺りで、荒い声が聞こえた。

    「まて!」

    怒号が聞こえてロシナンテは思わず振り返った。
    その時にどん、と背後から駆けてきた誰かにぶつかってひっくり返る。

    「わっ、ドジった!すまねェ!」
    「悪ィ、怪我ねェか?」

    ロシナンテの下敷きになるようにひっくり返った青年は慌てた顔で、ロシナンテと同時に声を上げた。
    立ち上がるのに二人して四苦八苦していると、後ろから同じように駆けてきた男の友人らしいパイロットキャップの青年がロシナンテの手を引いた。

    「こいつがごめんな、怪我ねェ?」
    「あぁ、平気だ」

    ひっくり返ったシャツの埃を払い、手を振る。ロシナンテとぶつかった青年も慌てて立ち上がる。

  • 156◆P.AThYg18sAI22/11/22(火) 06:40:42

    石畳に転がったキャスケット帽を被り直して、至極申し訳なさそうにサングラスの下の眉を下げた。

    「ごめんな」
    「花は無事だし、慣れてるからな」
    「ならよかった……ッ!」

    背中に再度、初めに聞こえた怒声が聞こえる。パイロットキャップの男が肩をこわばらせて声の方を振り返った。

    「ヤバい、追いつかれる」
    「追われてるのか?」
    「あんたを巻き込むわけにゃいかねェ、行くぞ!」

    キャスケット帽の青年が駆け出そうとして、がくっと膝をつく。転がった時に自分を庇って足を捻ったのだと先程を思い出して悟る。
    パイロットキャップの青年が相棒に肩を貸そうと手を伸ばす。しかし、荒っぽい声は一層近づいてきていた。
    二人が眉を寄せる。
    ──その判断は咄嗟だった。
    ロシナンテは指を鳴らし、木箱の影に二人を押し込む。手を伸ばして目についた大きな服を物干しローブから引き抜く。

    「サイレント──じっとしてろ。隠してやる」

    指を鳴らして防音壁を張る。二人の青年を隠すように引き抜いたファーコートを広げ、タバコをふかす。
    声の主は憲兵らしい服の厳つい男たちだった。
    ロシナンテを怪訝そうに見ると、別の方向に走っていく。

    「ふぅ……行ったか」

    それを見届けてファーコートを肩に担いで木箱の裏を覗く。
    青年たちは驚いた顔でロシナンテを見上げていた。

  • 157◆P.AThYg18sAI22/11/22(火) 06:45:25

    ご感想、保守本当にありがとうございます。大変励みになっております。
    次はエルガニア列島にもうちょっと言及したいなと思います。

  • 158二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 12:29:50

    ペンギンとシャチ……!?

  • 159二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 12:32:49

    パイロットキャップとキャスケット帽…

  • 160二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 12:40:09

    私服の柄シャツにファーコート…
    この海軍本部雑用どっかで見たぞ…

  • 161二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 13:36:34

    やっぱハートクルーも何か調べてる?観光(意味深)って言ってたし…
    あと13年前にドフィと取引きあったなら“コラソン”を知ってるかもしれない相手にその姿を見られたことになる…
    うわーワクワクする続き楽しみにしてます

  • 162二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 16:27:46

    薬物関係なら曲がりなりにも医者を名乗る以上情報が来るだろうし、割と動いてはいるのかも。

  • 163二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 23:43:23

    二人組に気を取られてたけど、そうかファーコートか…!

  • 164二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 07:59:28

    ぶつかった時にお互い謝っちゃうの本当…
    海兵と海賊ですよねぇ?ってなっちゃう人が良い…

  • 165二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 12:52:08

    礼儀正しい

  • 166二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 17:31:45

    保守しとく

  • 167二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 20:44:50

    ローと再会フラグ立ちましたね!
    後は生存フラグですね!!
    ローも居るしちゃんと立ちますよね!
    折れないよね!!

  • 168◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 20:55:43

    「大丈夫か?」

    防音壁を解除し、二人を隠していたファーコートを吊り下げてあったハンガーに戻して振り返る。
    よく似た驚いた顔をしていた二人は慌てて頷いて立ち上がった。パイロットキャップの青年がほっと息を吐く。

    「助かった! ありがとう」
    「恩返しだから気にするな。兄ちゃん足大丈夫か?」
    「平気! 一瞬変に曲がっただけみてェ」

    キャスケット帽の青年は足首をぐるぐると回して破顔する。我ながらかなりの体格である自覚はある。それを咄嗟に庇って少し足を捻っただけとは、ただの市民ではないのだろう。

    「なんで憲兵に追われてたんだ?」
    「……」

    二人は顔を見合わせて複雑そうに口をつぐむ。
    何か言いたくない事情でもあるらしい。
    だが、この島で憲兵──ひいては島親の護衛兵と争う理由は二つしか無い。一つはまだ起こっていない争いであり、もう一つはこの島で常に起こっていることだ。
    ロシナンテは腰を屈めて二人に顔を寄せる。すん、と鼻を鳴らせば二人からは抜けきらない潮の匂いと鉄とオイルの匂いがした。この島の人間に染みついている花の匂いは殆どしない。
    島の外の人間。
    憲兵に追われていたならおそらくは海賊だろう。

    「海賊か? 海賊が一番島にいりゃあ追われるか…」
    「…アンタは?」
    「おれも似たようなもんだよ」

    船乗りという意味では、と言外に言い訳をして応える。
    途端に二人から高まった警戒に、ロシナンテは内心で驚いた。
    大方の海賊という生き物は、同類に対してわずかにでも警戒を下げるものだ。海賊が海賊に対して警戒するのは、用心深い性質の海賊団か、海賊嫌いの海賊──この二人の場合はどちらかと言えば前者に近い表情をしている。所属しているのが賢い海賊団なのだろう。

  • 169◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 20:56:47

    パイロットキャップの青年が再度礼を告げて踵を返そうとしたのを引き留める。

    「助けてくれてありがとう。おれたちは行くよ」
    「まあまあ、そう言うなよ」

    立ち去ろうとする二人の肩に手をかけて止めた。

    「そのまま行ったらまた憲兵に見つかるぜ。騒ぎを起こしたくはないんだろう? 良い道を知ってる」
    「そうだけど、アンタも島の外の人間だろう」
    「分かるか?」
    「…この島の人間は花のにおいがするから」

    キャスケット帽の青年が低く呟く。その顔に憂いを読み取って、ロシナンテは思わず口角を上げた。

    「屋敷に誰かいたりするか?」
    「……アンタ、何者だ?」
    「ちょっと事情通のお兄さんだ」

    二人からの警戒が極限まで上がる。びりびりと肌を刺すような覇気にロシナンテは煙を吐いた。優男めいた姿にみえて、驚くほど洗練された動きだ。鍛え抜かれている。本気で攻撃されればロシナンテでは到底敵わないだろう。先ほどの憲兵程度ならば簡単に殺せただろう。
    しかし、彼らはそれを一度もひけらかさずにいる。言葉の端々から仲間思いと、思慮深さを感じた。
    どこか──誰かに似ている。
    海賊だろう彼らに、なんともいえない不思議な好感を感じていることをロシナンテは自覚していた。
    それをおくびにも出さずにロシナンテは煙草をふかして二人を追う。

    「待て待て! そんな警戒するなって! ちょっと島に詳しいだけだ!」

    追い縋るロシナンテに二人が怪訝そうに顔を上げて、同時にぎょっと身をのけぞらせた。

  • 170◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 20:58:40

    「アンタ、煙草で肩燃えてるよ!」
    「ドジった!」
    「ペンギン、水ゥ!」

    街角の水場の水で鎮火され、三人ともに肩で息をする。

    「もー、なんなんだよアンタ……」
    「ドジッ子なんだ。昔から」
    「あはは」

    二人は顔を見合わせて肩を落とした。それから気が抜けたような顔で笑う。

    「分かった。道を教えてくれ」

    ロシナンテはほっとして二人に先だって道を進む。
    道すがらに話してみると二人──キャスケット帽の青年がシャチ、パイロットキャップの青年がペンギンと名乗った──は、ロシナンテが直感した以上に驚くほど気の良い海賊だった。
    北の海、それもロシナンテのよく知る極寒の最北部出身の海賊で、一〇年ほど前に旗揚げしたらしい。
    北の海の話題で盛り上がっているうちにロシナンテの案内で軍艦が繋留している港とは逆の海岸に着く。
    住民が使っている漁船の小舟が浮かぶばかりの寂れた浜辺だ。潮風が甘い匂いを吹き流しているので、人が少ない。
    波打ち際に足を運ぶ。無事に海に着いて二人はほっとしているようだった。
    すこし南に視線を向ければ大きな橋が島を繋いでいる。 
    ロシナンテはそれを見ながら、二人に声をかけた。

    「お兄さんからの忠告だ。この列島のつくりは知ってるよな」
    「ああ。四つの島が一直線につながる列島。この島がメインで、二番島、三番島って呼ばれてる」

    ペンギンが頷く。ロシナンテは磯の岩に腰掛けて補足する。落ちていた流木で五つの直線を砂浜に描く。一本の線が五つに区切られたような列島。それがこのエルガニア島だ。火山島であり、島には山が多い。

  • 171◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 21:00:53

    「……五つの島があるのがこの列島だ」
    「五つ?」
    「ああ──今はまだ無関係でいられるだろう」

    シャチが首を傾げる。

    「一番島が中心街。二番島はホテルやレストラン、温泉とかだな。三番島が歓楽街。──裏の港もここだな。海賊ならこっちに停泊してるだろう」

    ペンギンはわずかに頷く。その指がロシナンテの引いた砂浜の線の四番目を差す。

    「四番島は島親の研究施設があると聞いた。海賊も住民も、許可が無ければ入れない」
    「そうだな。島親の許可がなければ入れねェ場所だ」

    ロシナンテも頷く。
    その奥にもうひとつ小さな島があるのは、今はもう殆どの人間が知らない話だ。

    「海賊に振る舞われた金色の酒を飲んだんじゃないか? 甘いやつだ。そいつをもうこれ以上飲むな」
    「ああ…」

    覚えがあるのだろう、シャチの顔が歪む。

    「島で酒を飲んだ仲間が中毒症状を起こした。ひどかったのはおれとこいつ──あとキャプテン自身」
    「とっさにキャプテンが解毒したんだ。それを知った島親が接触してきた。キャプテンはそれに乗って、今はもう一人の仲間と屋敷にいる」
    「アドバイス遅かったか。だが、解毒できたのは凄いな」
    「キャプテンだからな!完全な解毒とはいかなかったみたいなんだけど」
    「そうか……」

    首を振りながら、ロシナンテは眉をひそめた。

  • 172◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 21:03:43

    気を取り直して磯の浅瀬を指差した。

    「こっから磯を進めば二番島に着くって聞いてる」
    「いや、海に出ればこのまま泳いで三番島まで帰れる」

    ペンギンの言葉に泳ぐ? と思わず尋ね返しかけてロシナンテは飲み込んだ。北の海育ちだと聞くので、この島の季候なら問題ないのだろう。

    「…船長はかわいそうだが、なるべく早く島を出た方が良い。長居するのは向かない島だ」

    二人はぐ、と口元を曲げた。おそらく屋敷の仲間を置いて出る気はさらさら無いのだろう。
    それ以上ロシナンテも強く勧める義理はなく忠告に止めようとして、ふと思いつく。
    ポケットから先ほど買ったサシェを二人に渡す。

    「海賊は匂いでバレるんだ。これやるからもっていきな。ちょっとは一番島でも誤魔化せる」

    サシェを受け取り、二人はきょとんとしてロシナンテを見上げた。

    「どうしてそこまで良くしてくれるんだ?」
    「……あー」

    ロシナンテは言いよどんで苦笑した。どうしてこの海賊の青年たちに良くしているのかあまり自分でもわかりはしない。
    気持ちの良い青年たちだから? たまたまぶつかっただけの自分を気に掛けてくれたから? 北の海の出身だから?
    ──あのクソガキを重ねてる?
    どれも理由になるようでならない。
    ロシナンテは昔からそういう男だった。

    「…気まぐれだよ。心配なら理屈くらいはつけれるが」
    「いや、ありがとう。本当に助かったよ。あのまま偵察で見つかってたらキャプテンに迷惑かけるところだった」

    もう一度礼を告げる義理堅い青年が、ざぶんと水の中に消えた。飛ぶように泳ぐペンギンの水影はもうすでに遙か沖に見える。シャチもサシェを防水布にしまい込んで笑って振り返った。

  • 173◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 21:04:23

    「あんた、名前は?」

    ロシナンテは一瞬逡巡して名乗る。

    「…おれはコラソン。この島をぶっ壊しにきた男だ」
    「へっ?」

    ざざんと波音が響き、遠くでペンギンがシャチを呼ぶ。

    「じゃあな、もう会わねェことを祈ってる」

    手を振ってロシナンテは橋の方に歩き出す。水音が聞こえたのでシャチも沖に泳いでいったのだろう。
    ロシナンテはフゥと煙草を吹かして、舌打ちをした。ポケットに入っている袋の中のものに触れて、眉間の皺を深めた。

    「やっぱり、ノースに流通しちまってるか、"JOY"」

    北の海に残した愛すべきクソガキを思い出す。

    「ローはこういうのに手ェ出してないといいなァ……」

    ぽつんとこぼれた愁嘆は誰にも聞こえぬまま潮風に流れていった。

  • 174◆P.AThYg18sAI22/11/23(水) 21:09:38

    ご感想、保守本当にありがとうございます。大変励みになっております。
    ペンギンとシャチと会ってほしかった。10年以上一緒にいるので端々に似通った雰囲気があったらいいなと思ってます。訛りとか好きなので北の海訛りが懐かしくて…っていうネタも入れたかったのですが蛇足と冗長になりそうなのでカットしました。長い話になってしまって申し訳ない……お付き合いいただきありがとうございます。

  • 175二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 22:01:50

    続きが楽しみです!!

  • 176二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 23:00:38

    ペンシャチに親切な理由を聞かれたコラさん
    「気まぐれだよ。心配なら理屈くらいはつけれるが」

    頂上戦争でルフィを助けた理由を聞かれたロー
    「親切が不安なら何か理屈をつけようか?」

    似たような事言ってる…ってテンション上がってしまった

  • 177二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 04:27:29

    本当…相手の警戒解くのに有効だなぁこのドジッ子体質

  • 178二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 05:11:09

    強くて賢いペンギンシャチ好き!なんか新鮮!
    キャプテンLOVEなだけでやる時はちゃんとやるんだよな!
    しかし島は泳いて渡るものってレイリーさんから学んだのか…

  • 179二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 06:39:25

    このレスは削除されています

  • 180二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 06:40:30

    普通は泳いで島を渡るのは無理なんですよ…冥界王……

  • 181二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 12:51:09

    保守保守
    続き楽しみです!

  • 182二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 18:16:35

    保守

  • 183二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 00:20:34

    ほしゅ

  • 184二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 05:57:39

    保守

  • 185保守◆P.AThYg18sAI22/11/25(金) 11:19:06

    ご感想、保守ありがとうございます。すみません、夜に更新来れる予定です。次スレになるかもしれません。
    ・極寒港生まれとはこういうものだ!という気持ちです。遠泳も得意そう。

  • 186二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 14:48:36

    そうだったのか‼くそォ…!!!
    保守して待機

  • 187二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 17:37:45

    ガープ、極寒港生まれだった?!

  • 188二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 18:00:26

    >>185

    そういや昔スイス人が真冬の海で泳いでたなあ。

    流石にハイドロは無理だと思うけど。

  • 189二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 00:28:41

    ハイドロを現実で出来る人間がいるかよ

  • 190二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:08:19

    次スレ立てました!よろしくお願いいたします。

    【SS】海軍本部雑用ロシナンテに任務を言い渡す part3|あにまん掲示板【前回までのあらすじ】ドレスローザ解放を待っていたかのように十三年の昏睡から目覚めた海兵ロシナンテ。養父であるセンゴク大目付の計らいで雑用として海軍に再任用されたロシナンテは、さまざまな思いを抱えなが…bbs.animanch.com

    現実で寒さ耐性強い人はいますが、ハイドロポンプ打てる人間がいたらきっとその人はノースブルー極寒港育ちに違いないですね!もう少しお付き合いくださいませ

  • 191二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:09:42

    次スレありがとう!たのしみうめ

  • 192二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:14:23

    うめうめ

  • 193二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:15:17

    >>190

    立て乙です

  • 194二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:15:30

    うめ

  • 195二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:16:21

    うめぼしのおにぎり

  • 196二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:16:40

    うめめ

  • 197二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:18:54

    次スレありがとうございます
    うめ

  • 198二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 01:26:13

    本当に感想、保守ありがとうございます

  • 199◆P.AThYg18sAI22/11/26(土) 01:51:39

    【閑話休題】
    「ロシやんおりねェの?」
    「おー、おれは大松かと一緒に降りるから先行っててくれよ」
    「よしきた!どっちが可愛い女の子とデートできるか勝負しようぜ」
    「おいおいそういうことすると、海兵さん♡ってよくしてくれる姉さんが減るからやめてくれ」
    「へー、ロシやん割とイケたクチか!」
    「そうでもねェが、ドジっ子はモテるんだ」
    「嘘つけ!」
    「嘘じゃねェよ!海兵さんドジっ子でかわいいわね♡って……」
    「ほー……私の知らない間に随分色々経験していたようだなロシナンテ?」
    「ひぇ……っ!センゴクさ、大目付!いやその!これは!」
    「今夜の肴が決まったなァ」
    「勘弁してください!」

  • 200◆P.AThYg18sAI22/11/26(土) 02:00:19

    【閑話休題】
    「よく持っててくれたなあ、スモーキー」
    「たまたまだ」
    「……ごめんなァ、形見になっちまったから捨てにくかっただろ」
    「アンタだけじゃないから気にするな」
    「……」
    「一度預かったもんは持っていく。それくらい出来ずに何が将校だって話だよ。ロシー先輩」
    「…かっこよくなったなァ。ありがとう」
    「その銃はアンタに似合うよ」
    「流石に海軍式の最新型を持っていくわけにはいかなかったからな……。懐かしい」
    「ふん」
    「せめてまた中佐くらいには出世するぞ!」
    「…ドジを治してから言え」

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