【SS】ポッキーに惑い惑わされ

  • 1二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:49:33

    「フフン、次は誰を負かしてやろうかしら♪」

     11月11日。今日のアタシはサイコーに機嫌がいい。だって面白いゲームで連戦連勝しているから!こんな面白い日を今まで知らなかったなんて、なんか損してた気分。今はまだ見ぬスイーピーに対抗できる挑戦者を探してる所。何でこんな事をしてるかと言うと、少し遡る。

    「ねえねえ皆!ポッキーゲームしようよ☆」

     発端は放課後。授業も終わったからいつもの四人で集まって話しているとマヤノが鞄からポッキーを取り出した。アタシ達はそれがどんなゲームか知らないから皆顔を見合わせて首を傾げている。

    「なーなー、そのポッキーゲーム?て何だ?」
    「えーとね、ポッキーを端と端から咥えて食べ進めて、食べきるまでに口を離したら負けってゲームなんだって」
    「へえ〜…あ、あれ?でも、もし、お互いが離さなかったら…」
    「フラワーちゃんご名答!その二人はブッチュ〜てキスしちゃうね☆なんか楽しそうじゃない?」
    「ふーん…つまり度胸試しみたいなもんでしょ?面白そうじゃない!アタシやりたい!」
    「えぇ!?スイープ、本気か!?」
    「あったりまえでしょ?だるまさんマスターのスイーピーの本領を発揮してやるんだから!…じゃ、マヤノ!やるわよ」
    「へへーん、そうこなくっちゃ!」

     まごつく二人をよそにやる気満々のマヤノがポッキーを取り出す。ちょっと動かしたら折れちゃいそう…へえ、やり甲斐があるじゃない。やるからにはトーゼン勝ちを狙うし、負けたくなんてない。魔法少女の辞書に負けって文字はないんだから!

  • 2二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:49:51

    「で、では私がスターターを務めさせていただきます!よーい、どん!」

     フラワーの合図と共に無言で食べ進めるアタシとマヤノ。少し食べ進めるとマヤノが緊張した顔になり始める。…アハッ、目が泳いでるわよ?マヤノ。もしかして、本当にアタシとチューしちゃうんじゃないかって不安になっちゃってるのかしら。それなら…えいっ!

    「!?」

     食べる速度を少し上げると泳いでいた目は大きく見開いて固まってしまう。そうよね、このまま行けばアタシ達の唇と唇がくっつくんだからそんなリアクションにもなるわよね。フフン、これはつまり…。

    「だ、ダメ〜!マヤのここはもう予約済みなの!」
    「ん、やったぁー!アタシの勝ちね!」

     やっぱりね!マヤノは自分のトレーナーに懐いてるからちょっとした押しをされるとそうなるのは分かってたもん。始まる前からアタシの勝ちは揺るがなかったってこと。

    「という訳でこんなもんかしら!さ、次はどっちが相手になってくれるのかしら…あら?」
    「はえへえ…」
    「ひゃわわわ…」
    「もう、何よそれくらいで音を上げちゃって…」

     ビコーは眼をグルグルさせながら蒸気機関車みたいに湯気を立てちゃっているしフラワーは両手で顔を隠して目を背けてしまっているけどチラッと見える横顔が真っ赤になっちゃったのを見逃さなかった。…これ一応遊びよね?

    「いいわ、学園の娘達と戦ってくるからアタシは行くわよ!」

     呆然としている友達をよそに、ポッキー片手に教室を出てまだ見ぬ挑戦者を探しに行くのだった。

  • 3二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:50:20

     そこからのアタシはもう連戦連勝だった。挑戦者の意気込みと結果をダイジェストで見せてあげる!

    「このキタサンブラック!勝負事は何であろうと勝たせてもらいます!」

    「す、スイープさん顔近い近い!はぁあーもうダメー!」
    「フッフーン、キタサンもまだまだお子ちゃまね♪」
    「あ、あたしはまだお子ちゃまでいいよぉ…あ、あんなに間近で顔見たの初めてだったなあ…」
    「何ボーッとしてるのよキタサン!じゃ、アタシ行くから!」

    「アタシは何やらせても一番なんだから!遊びでもきっちり勝たせてもらうわよ、スイープ!」

    「あ、アンタねえ…そんな勢い良く来られちゃビックリして離しちゃうでしょ!」
    「それ含めて作戦だもん♪さあ、次はウオッカ…?何でアンタ鼻押さえてんのよ」
    「お、俺はそういう軟派な遊びには興じねえ!興じ…ねえし…」
    「ふーん、じゃあアタシの不戦勝ってことでいい?」
    「お、おー好きにしやがれ!俺は心広いからよ!」
    「よーし!それじゃあ次行くわよー!ウオッカ、スカーレット!また付き合いなさいよね!」
    「廊下は走るんじゃないわよー!…ヘタレ」
    「う、うっせー!そんなんじゃねーし!…関係ないけどスカーレット、ティッシュ持ってねーか?」

    「わ、悪さを働く魔女がいるのならば黙って捨て置けません!英雄譚の魔女討伐の章、始めましょう…!」

    「〜!!」
    「えぇ〜!?まだ咥えて3秒も経ってないのに何でもう離しちゃうのよ!」
    「だ、だってスイープさんが何も言わずに進めるせいで頭がグルグルしちゃって…」
    「だからっていくら何でも早すぎない!?棄権したウオッカの次にアンタよわよわじゃない!英雄がそんなのでいいの!?」
    「い、色仕掛けに弱い英雄だって古今東西存在しましたしわ、私もその内の一人という事で…あう、もうダメ…」
    「ちょ、ロブローイ!?もー!なんなのよー!」

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:50:54

     こうして、色んな娘とやってみたけど皆アタシに敵わず、今に至る。さっすがスイーピーね!…あら?あそこにいるのは…フフン、アイツもまだやってなかったわね♪

    「つーかいまっ♪」
    「うん?スイープか…凄く上機嫌だね」
    「トーゼンよ!アタシは今、連戦連勝の最強無敵の魔法少女、スイーピーなんだから!」
    「…うん、とにかく調子が絶好調なのは分かった。なんか勝負でもしてるのか?」
    「よくぞ聞いてくれたわね!これを見なさい!」

     話が微妙に飲み込めていないマヌケな使い魔にポッキーを見せて今日が何の日か示す。全く、年中行事くらいは知っときなさいよね。

    「ああ、ポッキーの日ね。…うん?じゃあ連戦連勝ってまさか」
    「そう!今アタシはポッキーゲームで色んな娘を負かしてきたの!…つまり、今!アンタもアタシの常勝街道の道になってもらうのも決定したって事!」
    「ええ?俺もやるの?言っちゃアレだけど俺達、身長差ありすぎて届かなくない?」
    「そこは…トレーナー室のなんか段になるもの使えばいいでしょ!ほらほら、移動するわよ!」

     負けるのを怖がってるのか、どこか尻込みするような態度を見せる使い魔を気にせずトレーナー室まで引っ張る。そして、手頃な台を足場にして向き合うも…やっぱりちょっと届かない。

    「もうっ!ちょっと背伸びしないと届かないとかアンフェアじゃない!…使い魔!バランス崩れるから肩貸しなさい…ん」
    「ん、…やっぱりやめた方が良いんじゃ」
    「ふ、ふんだ!ちょっとしたハンデで屈するほどスイーピーはよわよわじゃないもん!よし、じゃあ行くわよ!」

     心配そうに伺う使い魔の顔を煙に巻くようにその顔を見据える。使い魔も一度、何かを逡巡したようにうつむいたが覚悟を固めた面持ちでアタシを見返す。…へえ、アンタもそんな顔できるのね。面白いじゃない。こうして、使い魔との決戦が始まった。

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:52:18

     使い魔が食べ始めるのを確認し、アタシもそれに続く。体勢が少し不安定なせいで食べるのが少し難しいけど食べられはする。本当にゆっくり、だけど徐々に近づく使い魔の顔を少し見上げるように瞳が捉える。

     さっきキタサンも言ってたけど、このゲームは普段見ないくらい近い距離で人の顔を見る。こうしてみると使い魔って──────。

     すっごくおかしな顔してるなあ。別にブサイクってわけじゃないけどこう…何というか眺めていると力がふにゃ〜て抜けちゃうような、おかしな顔。いつもは困ったような笑顔だったり、苦笑いだったり…とにかく真剣な表情なんて、主従契約を結んだ時以来見てないかもしれない…そう思うと、アタシはまだまだ使い魔を知る必要があるのかもしれない。

     っ、ダメダメ!今は使い魔と勝負してる最中なんだから!使い魔にご主人さまが負けるなんてあっては…ってあれ?使い魔、顔近くない?ええ!?もうそんな所まで来てたの!?あ、焦っちゃダメ…まだ立て直せるはず…

    「…」
    「〜!?」

     つ、使い魔!?アンタまだ進む気なの…?そんな度胸どこに備わってたのよ!?でも、このままだとアタシ達…アタシ達…!!も、もうダメ!チューしちゃ…

     つんっ

     し、しちゃった…アタシ達、使い魔とご主人さまなのにチューしちゃ…あれ?唇ってこんな感触だったかしら?それになんか甘い…?

    「…はぁ、俺の負けだ。すごいな、ギリギリまで頑張ったのにまだ耐えるか」
    「えっ、あ、ぅう?」

     何故か使い魔が負けを認めだした。何で?アタシ達、キスしたんだから勝ち負けも何も…

    「目開けてごらん。ポッキーで君の唇ツンツンしてただけだから」
    「…キスしたんじゃないの?」
    「いや、したら俺はもう君の魔法見届けられなくなるから問題ない範囲でギリギリを攻めたよ」
    「えっと、スイーピーのお顔見た?」
    「ああうん、全力で目瞑りながら耐えてて凄いなと思ってポッキーを──」
    「つ…使い魔のバカアアアアア!!!!」

     弄ばれた…!使い魔ごときにアタシの純情弄ばれたぁ!!ホントにチューしちゃったと思ってもっとコーイの役職用意しなきゃなのかなとか思ってたのにー!しかも、キス顔っぽいの見られたとか…こんな屈辱初めてよ!絶対絶対、仕返ししてやるんだから…!と心に固く決意しながらアタシは栗東寮の自室に向かってダッシュするのだった。

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:57:40

    頑張って間に合わせようと頑張った結果間に合ったので投稿しました。
    何とも展開がベタだなあとか思っていましたがいやでもつまり王道でもあるし…と迷っていましたが作ったんだったらもう出しちゃえとなったのでお出ししました。
    他の人みたいに捻ったものを書けないのが悲しいところですがどうか許し亭

    あと解釈違いがあったら誠にごめんなさい

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 22:58:19

    よくやった!

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:02:02

    ご馳走様です!

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:11:36

    これは仕返し編も期待していいという事ですね?(確認)

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/11(金) 23:24:02

    ウオッカで草生えた
    微笑ましい雰囲気でいいっすね

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 00:22:25

    照れてるスイープにしかない栄養素がある

    ロブロイちゃん開き直らないでもう少し頑張ってほら

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 00:25:45

    使い魔以外には無双して溶けウマ娘量産するスイープ…好きだ…

  • 13二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 00:44:17

    キスされると思って身構えるの可愛すぎんか?(鼻血)

  • 14二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 06:26:04

    いいね、良かった
    シンプルで読みやすかった

  • 15二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 08:06:30

    強気な女の子がタジタジになるのはいつ見てもいい
    あとは使い魔の余裕っぷりも何だかんだで精神的な部分の強さを垣間見えてよき

  • 16二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 08:52:21

    許し亭氏の新作助かる

    色んな娘に勝負を挑んでいくの面白かった
    「もっと他の娘と勝負してたらどうなってたかな?」って想像してみるのも面白いね

  • 17二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 08:57:41

    色仕掛けにかかるロブロイちゃんすき

  • 18二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 12:04:06

    かわいい〜
    最近色んなキャラが出て来てるけどエミュに違和感ないから安心して見ていられる

  • 19二次元好きの匿名さん22/11/12(土) 17:00:33

    あまーい!!!


    あまーい!!!!!(2回目)

オススメ

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