【FILM N.G.】ルフィ「おいウタ!!」 ウタ「え!? ルフィ!?」 part9【SS】

  • 1FILM N.G.22/11/13(日) 08:30:20
  • 2FILM N.G.22/11/13(日) 08:31:04
  • 3二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 08:31:13

    スレ立て乙

  • 4二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 08:39:00

    縦乙

  • 5二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:21:23

    hs

  • 6二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:23:02

    10まで梅

  • 7二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:24:34

    立て乙です

  • 8二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:33:38

    保守

  • 9二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:35:44

    梅酒

  • 10二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:36:20

    即死回避保守

  • 11二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:40:24

    名前出しちゃダメなら消します
    スレ絵のウタちゃんが神っぽいなの女の子に見えたんだけどもう言われてる?

  • 12二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:41:57

    >>11

    前スレでスレ主本人が言ってるぞ

  • 13二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 09:43:52

    神っぽいウタちゃんかわいい

  • 14二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 12:39:14

    読み応えのある文章に魅力的な絵…
    本当にすごいと思います。

  • 15二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 19:24:16

    保守

  • 16二次元好きの匿名さん22/11/13(日) 23:11:30

    ほしゅ

  • 17FILM N.G.22/11/14(月) 00:23:34

    保守ありがとうございます!
    新スレに移ってからも頑張って更新していきます。それでは今日書けた分を投稿しますね


    ちなみにスレ主は感想を貰えると凄く喜ぶ生き物です。何でも嬉しいチョロい奴です

  • 18FILM N.G.22/11/14(月) 00:24:39

     戦場の一角が霧に包まれたと同時に他の戦場も大きく動き出す。

    「……歌姫ウタの抹殺……優先順位の変更……障害の排除を優先」

     セラフィムは命令を遂行する為に現在必要な行動を選択する。その不遜とも言える態度が腹に据えかねたのかセラフィムと似た顔立ちをした女……ボア・ハンコックが立ち塞がる。

    「ふん! やれるものならやってみるが良い……“虜の矢(スレイブアロー)”!!!」
    「ッ!!!」

     先手必勝。ハンコックは撃ち抜く物全てを石化させるハートの矢を放ち、それがセラフィムに直撃した。

    「話しには聞いていたが、本当に昔のわらわそっくりじゃな……忌々しい! この場で蹴り砕いてくれる!!」

     幼い自分の姿を模した海軍の兵器。世界政府が大きく関わるその存在を目にして否応なしに過去のトラウマが甦ってくる。
     ハンコックは憤怒の形相を浮かべて完全に石化したセラフィムへ強烈な蹴りを放つ―――

    「ッ!? 何じゃと!?」

     しかしその蹴りは空を切った。絶対に当たる軌道だった筈。ハンコックは直前に見た光景が信じられずに“地面”へと目を向ける。
     石化したセラフィムは蹴りが当たる直前……地面へと飲み込まれるように沈んで消えたのだ。

  • 19FILM N.G.22/11/14(月) 00:25:22

    「姉様が石化させて動けるわけが無い! 他にも能力者が!?」

     サンダーソニアとマリーゴールドは一緒になって消えたセラフィムの行方と、そのセラフィムを庇ったと思われる謎の存在を探ろうと見聞色の覇気を用いる。だが―――

    「……ッ!!? 違う!!! 避けろソニア!!! マリー!!!」
    「え?」

     謎の存在、そんな者は最初から存在しなかった。

    「……な!!? これは……!!?」

     大地が隆起する。“岩石”が、サンダーソニアとマリーゴールドを挟むように地面から巨大な“岩石の掌”が急激にせり上がってきたのである。

    「“千紫万紅(ミルフルール)”!!!」

     岩石の手に叩き潰される……それよりも早くロビンが咲かせた無数の腕がハンコックの妹達を引き寄せて回収、無事に圧殺攻撃から回避させた。

    「助かったわニコ・ロビン!!」
    「どういたしまして……でもこれは……!」

     岩石の手が地面に着く。それは身を起こすようにエレジアの大地から“体”を引き抜いた。
     大質量の岩石が動き出したことで地震が発生する。ロビンとハンコック達に大きな影が掛かり、眼前に現れた威容に呆然とする。

    「……岩石の……巨人!」
    「――――――」

  • 20FILM N.G.22/11/14(月) 00:26:24

     それは彼女達がこれまで見たことが無い程の“巨兵”。あのトットムジカすら赤子に思える程の巨体、まるで山一つが動き出したに等しいサイズ。

    「……障害の排除を開始します」

     岩石の巨兵となったセラフィムは感情の無い目で見下ろすと拳を振り上げる。そんな動作でさえ大気は悲鳴を上げるように唸り、これから繰り出される攻撃の威力が途方も無い物であることを物語る。

    「わらわに任せてお前達は下がっておれ!!! 芳香(パフューム)―――」

     ハンコックはメロメロの石化能力が何故か効かずしかも岩石で巨兵を作り上げたセラフィムの相手は妹達では荷が重いと判断、自分が前に出て打倒しようとする。

    「―――荒廃の世の自我(エゴ) 斬り裂けり……“二刀流・居合い”」

     そんなハンコックよりも何故か、いつの間にか前に出ていた男が一人。

    「“鬼怨(きえん)・羅生門”!!!」
    「……!!?」

     二刀で放つ居合い斬りが振り下ろした拳が真っ二つに……斬撃はそこで留まらず更に腕を斬り裂き遂には肩口まで切断され、土砂崩れの如く片腕を崩壊させた。これに動揺したのかセラフィムは喪失した腕を押さえるようにして後退る。

  • 21FILM N.G.22/11/14(月) 00:26:56

     ゾロは岩石の巨兵を見上げながら訝しげに眉を顰める。

    「……何処かで見た能力だな」
    「そなたはルフィの……! まさかわらわを助けたつもりか!?」
    「ああァ? おれはうちの仲間を助けに来ただけだ」

     そう、ロビンはロビンが此方の戦場へと向かったのを見て助太刀に入ったのだ。流石にこの重く硬い巨兵が相手ではハナハナの能力も十分な効果が発揮されにくいと考えてのことだ。それに個人的にあの“セラフィムの容姿”は気になっていた。

    (黒い翼に背中の炎……あいつと同じ種族か? デカイし)

     百獣海賊団を統べる“百獣のカイドウ”の右腕である“火災のキング”を思い浮かべながらゾロは三刀目を口に咥える。もし想像通りの相手なら尚更自分が戦うのが適任だろうと刃を研ぎ澄ます。

    「ゾロと云ったな! 巷ではルフィの右腕だと騒がれているようじゃが……ルフィの隣りに相応しいのはわらわだと此処で証明してやろう!!!」
    「……急に何言ってんだお前?」

     研ぎ澄ました刃が萎えそうになった。いきなり脈絡も無くそんなことを言われれば誰だってそうなる。

  • 22FILM N.G.22/11/14(月) 00:27:33

    「……いやじゃが乙女は三歩下がって夫の後を歩くと聞いたことも? ……ル、ルフィはどっちが好みか知っておるか?♡」
    「知るか」
    「何で知らんのじゃ!!! 副船長じゃろう!!!」
    「何に切れてんだお前は!?」

     理不尽な怒られ方をされたゾロは腹が立つよりも驚愕が勝った。目の前の女が何を言っているのか全く理解出来ない。きっと自分とは違う価値観で生きているのだろうと深く考えるのは止めることにした。

    「……危ない姉様!!?」
    「ゾロ!!!」

     そして敵はいつまでも待っていてはくれない。良く分からない言い合いをしている二人に向かってセラフィムは残った腕で薙ぎ払うような攻撃を放つ。

    「ふむ……どうやらゆっくり話す暇は無いようじゃな」
    「……通じてたか? 話し」

     一方的に喋ってただけだろうとゾロは思ったがそれを口に出せば余計拗れそうだと腹の内に留め……迫り来る脅威へと対応する。

    「とにかく」
    「先ずは」

     剛剣と剛脚が巨兵の腕を打ち抜く。砕け散る腕、それによってバランスを崩したセラフィムは尻餅を着いて倒れた。

    「「こいつ(これ)を片付けてからだ(じゃ)!!!」」
    「~~~ッ!!? ……排除対象……最優先に設定」

     セラフィムはこの2人がこの場で最も脅威であると判断し己が出せる全能力を駆使して戦闘行動に移る。
     山が動くかの如き凄まじい戦いがここに始まったのであった。

  • 23FILM N.G.22/11/14(月) 00:29:45

    今日の更新はここまで。読んでくれてありがとうございます


    ふえええ~……ハンコックのセラフィムの能力勝手に決めちゃったよ~……
    まあいっかー! どうせ二次創作だしよろしくなー!

  • 24二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 00:31:54


    かわいそうなセラフィム…ひとえにお前がこの二人を相手にしちまったからだが

  • 25二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 02:01:30

    >>24

    ワシの最高傑作がそうそう簡単に負けるわけなかろう

  • 26二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 02:16:06

    >>23

    ハーメルン版のベガパンクリリスのようにうまい感じで後で修正させればヨシッ!

    色々期待しちゃいますぞい

  • 27二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 06:21:01

    ピーカのあれかぁ……

  • 28二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 12:36:34

    イシイシの実がメロメロの実メタになってるのすげえ良いな……

  • 29二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 12:41:24

    海賊無双4でもピーカは石化しない(既に石だから)

  • 30FILM N.G.22/11/14(月) 18:19:11

    保守ありがとうございます。ちょっと書けたので投稿しますね


    ベガパンクのステラ(本体)が登場しましたね愛嬌があってかわいいお爺ちゃんでした。舌ペロと相まって老猫を連想します
    シャカ格好いいよシャカ

  • 31FILM N.G.22/11/14(月) 18:22:35

     ―――イッショウが能力を付与した刀を振る。

    「“重力刀(グラビとう)”」

     刀身が通り抜けた空間が歪む。数倍から十数倍にまで増幅された過重力はそのまま押し寄せる大波の如くルフィの元へと奔る。

    「ぐっ!!? ……ぬああああァー!!!」

     重力波を受けたルフィは自重が数倍に膨れ上がった影響で足を地面にめり込ませるもイッショウの攻撃を何とか耐えて反撃に移る。

    「殴る! 蹴り上げ、からのーー!! ……踵落としィ!!!」
    「またですかい!? 律儀に口に出さずと良いでしょうに!!! 敵同士なら弱味を突くことぐらいしたらどうです!!!」
    「うるせェこれがおれのやり方だ!!!」

     盲目のイッショウ、されどその身のこなしと刀捌きは一切それを感じさせない冴えを見せる。しかしルフィは以前にもそうしたようにイッショウに対して攻撃する時はその攻撃方法を伝えながら振るう。嫌いじゃない相手に不意打ちするような行動は出来ないのだ。

    「……それで本当にあっしらから歌姫を守れると思ってんですか!!? あんまり“大将”を舐めんでくだせェ!!! ―――“重力刀・猛虎”!!!」
    「殴る!!! おおおおォーー!!!」

     イッショウの覇気と重力を纏った刀の一撃をルフィは拳で迎え打つ。覇王色を纏って放たれた拳は黒い力場を迸らせながら刃と拮抗する。

  • 32FILM N.G.22/11/14(月) 18:23:27

    「ぬゥ!? 強烈……! だが精彩を欠いてやす!!!」
    「ぎ!!?」

     イッショウが全力で刃を押し込むとルフィは片膝を着く。

    「そっちが万全ならこっちが押し負けていたでしょうが……今のあんたじゃァあっしを止められやァしやせん!!!」

     満身創痍のルフィと万全な状態のイッショウ。純粋な力勝負ではこのような結果になるのはわかりきっていた。

    「あんたらに恩義は在るがァこっちにも通すべき筋が在る!!! 歌姫共々……ひと思いに押し潰してあげやす!!!」

     イッショウの放つ重力が更に重くなる。真正面から浴びたルフィの脚が足首まで地面に埋まる程の重力。もし持ち堪えているルフィが倒れてしまえばこの重力の奔流は彼の背後に居るウタにまで届くだろう。

    「ぐゥ~~ッ!!?」

     歯を食いしばって耐えるルフィ。

    「そんな状態でよく耐え―――……!!?」

     イッショウはこんな傷だらけの体で良くやったとルフィに対して称賛を覚えながらも止めを刺そうとした。
     しかしそれは突如頭上から飛来した“弾”によって阻止される。

    「“カマキリ流星”!!!」

  • 33FILM N.G.22/11/14(月) 18:24:27

     曲射の弾道。重力の影響を考慮したパチンコ弾は寸分違わずイッショウの元へと届き込められた火薬が起爆、成長(グローアップ)した黒カブトによって放てる重量上限一杯の火薬を詰め込まれた弾は凄まじい爆発を引き起こした。

    「どうだ見たかァ~!!? 大将がなんぼのもんじゃァ~い!!?」

     ウソップはヤケクソ気味にそう言いながらカブトを構えた体勢を維持、こんな攻撃で倒せるなど彼自身思ってはいないのだ。

    「悪ぃウソップ! 助かった!」
    「無茶し過ぎたルフィ!!」

     先の射撃は一瞬の隙を作ってルフィが逃げる時間を稼ぐ為の物。爆発の煙に巻かれているイッショウから直ぐに距離を取ったルフィはウソップに礼を言う。時間にして一分も経っていない攻防だったと云うのにルフィの息は既に荒い。

    「ルフィ! ウタを連れて逃げようぜ!? 皆だっていつまで戦えるかわかんねェんだぞ!」
    「ハァ、ハァ……! できねェ!!! おっさん達からは逃げられねェ!!! だからここで倒す!!!」
    「それが無茶だって言って―――」

     ウソップは何とかこの場から仲間全員を生かして乗り切る為の方法を考えるが……それは息が詰まりそうな重苦しい空気によって止まる。

    「……お仲間の言う通り……無茶ってもんです」

     爆煙の切れ間から姿を現わす無傷のイッショウ。彼は刀の鞘を地面に突き立てながら告げる。

    「今のあんたらじゃァ……万に一つも勝ち目はありやせん!!!」

     天を突くような重力波がイッショウから立ち上った。夜空を貫いた重力が大地へと引き寄せるのは宇宙に漂う―――

    「い、いいい……“隕石”だァ~~!!?」

  • 34FILM N.G.22/11/14(月) 18:25:05

     隕石が、ルフィ達の遙か上空から堕ちてきた。バリアの中でウタの容態を診ていたチョッパーはバルトロメオと共に目を剥いてその光景を見る。

    「おれが壊ッ……あれ……?」

     雲を突き破って落下してくる隕石を迎え打とうとしたルフィだが、ガクンと膝から力が抜けてその場に両手を着く。立っているのも限界な程に体力を消耗していたのだ。何とか立ち上がろうとするルフィだが肉体は言うことを聞かず、隕石はその間もどんどん近付いてくる。

    「うぎゃァああ~~!!? 死ぬゥ~~!!?」

     天から堕ちる脅威。大きさはセラフィム巨兵の十分の一も無いがそれだけの質量が落下による速度を得ることで予測困難な破壊力を秘める。もしこのまま落下すれば周囲一帯が吹き飛ぶだろう。

    「―――“R・ROOM(リ・ルーム)”」

     そんな恐るべき隕石が特殊な力場に包まれる。隕石自体から発生した力場は卵の殻の如く包みこむとその効果を発揮する。

    「“シャンブルズ”」

     その瞬間、隕石の落下エネルギーが“引っ繰り返った”。
     隕石から落下する力が一瞬だけ消失するも直ぐに落下を始める、しかし下から空へと突き上げる反転された力とぶつかり合い―――

    「……砕けろ!!!」

     ローがそう言うと同時に隕石は上下から掛かる圧力によって自壊、粉々に弾け飛んだ。
     飛来する隕石の欠片。放っておけば危険極まり無いがそれもローは展開した状態だった“R・ROOM”によって全て地面へと転移、被害を出さずに処理した。

    「……どうしてこう、こいつらと関わると次から次へと問題がやって来るんだ……!」

     ローは居るだけでトラブルを起こす・巻き込まれる麦わらの一味に嫌そうな目を向けると大きく溜息を吐く。

    「トラファルガー。今のは“覚醒”の力ですかい? こりゃァかなり厄介そうなだ」
    「ばかすか隕石落とす奴に言われたくねェな!!」

  • 35FILM N.G.22/11/14(月) 18:27:16

    取り敢えずここまで。出来たらまた夜中に更新したいですねー
    それでは

  • 36二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 20:20:35

    2時間かけてやっと追いついた…更新待ってます!

  • 37二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 22:25:30

    ほし

  • 38FILM N.G.22/11/14(月) 23:44:06

     ローが鬼哭に“K・ROOM(クローム)”を付与する後ろではベポが拳を構えて戦意を漲らせている。ファンの一人としてウタを殺めようとするのが許さないのだ。

    「おい麦わら屋」
    「どうしたトラ男」
    「ロボ屋とホネ屋と同じくお前も動いて良いような体じゃねェ……それをわかった上でここに立ってるんだろうな?」

     そうローが言うように現実でのダメージが大きいフランキーとブルックはバリアの内側で少しでも体力の回復に努めていた。ルフィはそんな2人よりも更に深刻なダメージを背負っているのにこうして大将と相対しているのだ。
     ローが言っていることなどルフィ自身も重々承知している。その上で彼は戦うことを選んだのだ。

    「ここでおれが戦わねェと……皆を守れねェだろうが!!!」
    「……無茶する野郎だ。言っとくが別におれはお前らと共闘する気は無ェからな? 自分に降り掛かる火の粉を払ってるだけだ」
    「そうか、ありがとう!」
    「礼を言うんじゃねェよ!? まるでおれがお前らを助けてるみたいになるじゃねェか!!」

     船長同士がそんなやり取りをしているのを黙って聞いていたイッショウは一区切り付いたと判断し刀を構える。

    「仲が良いのは結構……あっしとしてはそろそろ大手を振って軍の敷居を跨ぎたいんで2人の首、この場で頂戴いたしやすが?」

     イッショウの覇気と重力が膨れ上がる。

    「やってみろ!!!」
    「自分の首を心配するんだな!」

     ルフィとローも覇気を漲らせる。2人とも体力の消耗が著しいが……その目に宿る闘志は一片の陰りも無い。不利な状況だと云うのに絶対に勝つ気でいるのだ。

    「そうでなくちゃァ伊達に“四皇”とは呼ばれやしやせんね……! 相手にとって不足無し!!!」

     どれだけ弱っていようと油断して良い相手では無い。イッショウは威勢の良い若者を前に笑みを浮かべて攻撃を仕掛けるのであった。

  • 39FILM N.G.22/11/14(月) 23:48:12

    思ったより書けんかった……ごめんね♡
    今日の更新はここまでだ。読んでくれてありがとう!おやすみ!

  • 40二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 23:54:46

    >>39

    お疲れ様。

  • 41二次元好きの匿名さん22/11/14(月) 23:57:29
  • 42二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 07:26:06

    乙です!

  • 43二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 09:22:30

    >>39

    楽しみに待つ!

  • 44二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 15:54:19

    保守

  • 45二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 16:22:36

    ルフィなんてギア5の2倍の疲れでよく立ってんな

  • 46二次元好きの匿名さん22/11/15(火) 22:26:42

    死守

  • 47二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 00:48:40

    >>45

    立ってるのも辛いだろうけど絶対に退けない状態だからな

    2年前より遥かに強くなって、ウタ自身にしかケジメをつけることが出来ないから最後は黙って見ているしかなかったRED本編と違って

    ここを凌げばウタを守り切れるから死んでも負けられねェ

  • 48二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 06:03:42

    クソギミックボスの後にラスボス級戦力2体の連戦とか無理ゲーすぎる。シャンクスイベントはよ!ルフィ達もう限界よ!

  • 49二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 14:00:30

    保守

  • 50二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 16:43:25

    ほしゅ

  • 51二次元好きの匿名さん22/11/16(水) 22:12:27

    保守

  • 52FILM N.G.22/11/17(木) 00:39:28

    すまん。今日も更新無理でした。
    明日は更新します!!感想や保守してくれたみんなありがとうございます!!

    本編更新の代わりに次回予告でお茶を濁させてもらいます
    それでは皆さんおやすみなさい

  • 53FILM N.G.22/11/17(木) 00:40:27

    激化する海軍大将との戦い。ウタは自分を守る為に傷付いていくルフィ達の姿を心を痛めながら見詰める
    罪悪感と無力感に叫び出しそうになったウタ。そんな彼女の前に“もう一人のウタ”が姿を見せる

    夢か幻か。ウタがもう一人の自分に問い掛けられた事とは?



    次回ONEPIECE FILM N.G.

    『はじまりの歌 祈りを届ける風』

    海賊王におれはなる!!!!

  • 54二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 06:35:00

    保守

  • 55二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 07:30:45

    >>53

    ゑ?もう1人のウタ?

    映画本編ルートのウタキタコレ!?

  • 56FILM N.G.22/11/17(木) 11:05:25

    ちょっと書いたので投稿します
    ルフィ達と海軍が戦う中でウタの身に起きた出来事とは?

    はじまりはじまり

  • 57FILM N.G.22/11/17(木) 11:06:27

     意識が明滅する。各所で起きている激戦の音が遠く聞こえる。
     ウタは地面に爪を立てて強く握る。

    (眠っちゃ……駄目、なのに……)

     眠りに落ちるとはよく言ったものだ。もしこの手を離してしまえば崖から転げ落ちるように意識も手放してしまうだろう。ウタはそれに耐えながら、自分の為に命を懸けて戦ってくれているルフィ達を見る。ただ見ていることしか出来ない。

    「……ルフィ……みんな……」

     チョッパーから先程処方された薬、極僅かだが体内に吸収されたかもしれないネズキノコを解毒する薬を飲んだウタは霞む意識を必死に引き留める。
     歯を食いしばって起き続けようとするウタにチョッパーは慌てる。

    「おい無茶はダメだ! もう寝た方が良い! 手の傷は塞いだけど失った血も体力も直ぐには戻らねェんだぞ!?」
    「ウタ。チョッパー君の言うとおりだ。今、私達に出来ることは何も無い……だからお前は休んで―――」
    「そんなの出来ない!!!」

     チョッパーの意見に続くゴードンの言葉をウタは否定した。

    「全部全部!!? わたしが悪いんだよ!!? それで皆が傷付いてるのに……眠れるわけ―――ヅゥッ!!?」

     自らの叫び声が頭に響き激痛が走る。まるで頭蓋に釘を叩き付けたような痛みにウタは頭を抱えて蹲る。

    「ウタ!!? 大丈夫かウタ!!? ウタ―――」
    「~~~~ッ!!?」

     呼び掛けるゴードンの声が遠くなる。ウタの耳に届くのはバリア越しに聞こえてくる戦闘音だけ。

  • 58FILM N.G.22/11/17(木) 11:16:34

    (痛い痛い痛いいたいいたいいたいッ!!?)

     痛み。戦いの中で誰かが傷付き傷付けられる度にそれはウタの頭の中で荒れ狂う。今までも頭痛が起きることは有ったが今回のこれはその比では無かった。痛みに暴れるウタの体をゴードンやチョッパーが押さえ込むが……彼女のそれは無意識の行動であり押さえ込まれている感覚さえ満足に感じられていない。
     悲鳴が上がる。喉が裂けんばかりの痛々しい悲鳴。ウタは自分の喉が震えているのを微かに感じてその悲鳴が自分の物であると知る。それが無ければ自分が叫んでいるとはわからなかっただろう。

    (うァ……これ、ヤバ……もしかしてわたし、死ぬの……?)

     そんな自分が上げている悲鳴さえ直ぐに聞こえなくなったウタは死を意識する。意識が急速に闇へと沈んでいく。それなのに戦い争う音だけはしっかりと鼓膜を打ち脳は痛みを訴える。

    (……みんな……ルフィ)

     意識が消える、温度の無い水に沈むような浮遊感が全身を包んだ時だった。



     ウタの意識が“ウタワールド”で再び目覚めた。

    「え?」

     ウタウタの能力者であるウタは自分がどっちの世界に居るかが感覚で直ぐに理解出来る。そもそも現実とウタワールドの両方で存在出来る彼女の意識からすれば考えるまでも無くわかることだが……今は事情が違った。

    「何で……?」

     “黒一色”の世界でウタは戸惑い、怯える。本来なら現実と遜色の無い色彩で溢れる夢の世界が闇に沈んでいた。

  • 59FILM N.G.22/11/17(木) 11:20:53

     ウタは自分の姿以外は一寸先も見通せない闇に向かって手を伸ばす。そうしながら彼女は最も自分を恐怖させている事実に目を向ける。

    「……どうして……“現実(そと)が見えない”の?」

     此処にしか自分は居なかった。
     現実とウタワールドの両方で存在する筈の自分が、この闇に染まったウタワールドの中にしか居ないのだ。

    「うそ」

     ウタはあれだけ自分を苦しめていた頭痛が消えたことを喜ぶこともせず青褪めさせる。

    「……うそだ……」

     現実から消え、ウタワールドのみに存在する。その事実が意味することを考えてウタは信じたくないと叫ぶ。だってそれは彼女が計画していた“新時代”の―――

    「嘘だ!!?」

     だから認められるわけが無かった。自分が“死んでしまった”かもしれないなんて。

    「ヤダヤダ!! いやだ!!?」

     ウタは走り出す。当て所無く逃げるように。

    「……ルフィ!? ゴードン!? 皆ァ……!!?」

     助けを求めるようにウタは親しかった者の名を呼ぶ。しかしこの世界でその悲痛な声を聞いてくれる者など居らず。

  • 60二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 11:25:21

    ウタ……
    暗闇の中にいる君にこの手紙を送ろう……ルフィという太陽が照らすソラにたどり着けるように…

    この世界のどこかにいるあなたへ──
    すべての悲しみが消えるようにとか、
    すべての心がつながるようにとか、
    願うだけでは届かない想いを叶えるために
    私は進もうと思っています。
    新しい旅立ちは、意外に簡単なことかもしれない。
    もしかしたらそれは、もう始まっているのかもしれない。
    この空がつなぐ世界で
    辿り着く場所は一緒だと信じています。

  • 61FILM N.G.22/11/17(木) 12:32:35

     ウタは子供のように泣きながらただ黒い世界の中を一人走り続ける。

    「なんで……ここはわたしの世界なのに……!?」

     何度も何度もウタは能力を使ってウタワールドを操ろうとした……だが出来ない。この世界を閉じて現実に帰ることはおろか自然の風景を初めとしたエレジアを写し出すことすら出来なかった。
     何一つ思い通りにならない世界を駆けずり回るウタの心を埋めるのは恐怖だった。

    「どうして、どうして!? ―――……ぅあ!?」

     脚をもつれさせて転ぶ。何も無い場所で転倒してしまうのはひとえにウタの揺れる精神の影響が肉体にも及んだ為。
     前後左右に上下、触感や温度さえ感じられない世界でウタは倒れ込んだまま呟く。

    「だれか……」

     救いを求める声。

    「だれか……お願い……だれか……」

     闇に閉ざされた牢獄で、彼女が最後に口にするのは―――

    「……シャンクス……!」

     父の名。ウタは孤独な世界に涙を溢しながら自分が愛した父の名を呼ぶ。

    「会いたいよォ……シャンクス……!」

     捨てられた。裏切られた。そう思い続け、エレジアの真相を知った時にそれが間違いだったと気付いた。だからウタは彼等を恨み続けていた自分には会う資格が無いと思った。どれだけ恋しくても、もう一度家族として過ごしたいと願っても……それを口にするには自分の背負った“罪”が重すぎると。

  • 62FILM N.G.22/11/17(木) 12:45:30

    「シャンクスぅ……ああァー!! ……会いたい、またみんなに会いたいよォ……!?」

     それでも、この絶望に沈んだような世界でウタが最後に心から溢れ出した思いは“家族と会いたい”という願いだった。
     それは幼子のような思いだった。迷子になった子供が泣きながら親を求めるように。

    「うう……! うああああァ~!?」

     ただ一人泣き叫ぶ。その声は闇に吸い込まれて誰にも届かない。

    『……て』

     そんな時だった。

    『おきて』
    「……え?」

     この世界に自分以外の“誰か”が居たことに、その者から声を掛けられたことで気付いたウタ。彼女は涙を拭い鼻をすすりながら顔を上げ、自分のことを屈み込んで見ている相手を見て……驚愕する。

    『やっとこっち見た』
    「……“わたし”?」

     見ていたのは自分(ウタ)だった。ウタの姿をした“彼女”は意識が自分に向いたのが嬉しかったのか微笑みを浮かべて手を差し伸べる。

    『泣き虫。お手は必要?』
    「……ッ!? 誰なのあんた!?」

     ウタは自分と同じ姿をした存在を不気味に思って差し出された手を払って自力で立ち上がる。手を叩かれた“彼女”は『いったーい』と大仰に痛がりながらクスクスと笑って自分も立ち上がる。

     自分と同じ顔をした“彼女”と向かい合うウタ。その姿形を確かめるように上から下までつぶさに観察する。

  • 63二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:49:50

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:50:30

    このレスは削除されています

  • 65二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:51:05

    このレスは削除されています

  • 66二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:52:11

    おい消せ

  • 67二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:52:56

    消してくれ

  • 68二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:57:26

    あっ消せというのは今さっきの
    コメントに対してなのでお構いなく

  • 69二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 12:57:35

    何か大変な事があったみたいだな
    全安価か早バレか18爆撃か

  • 70FILM N.G.22/11/17(木) 13:09:15

    偶然見ていたので直ぐに削除しました。こわいねェ~1 8 禁爆撃

    じゃあ気にせず行っちゃいましょー

  • 71FILM N.G.22/11/17(木) 13:20:50

    そうしてウタが見ていると“彼女”は紅潮した頬に両手を添えてふりふりと身を振る。

    『そんなに熱い視線向けられるとちょっと照れるなー』
    「うるさい黙ってて」

     ウタに怒られた“彼女”は『は~い』と言って降参するようにバンザイするとそのまま唇をきゅっと拭くんで黙(だんま)りする。そんな数々の仕草がどうにも癪に障ってウタはイライラするが、何とか気持ちを落ち着かせて目の前の自分をしっかりと見た。

    (……黒い……魔女? でもこの格好って……)

     黒い帽子に鍵盤のような袖をした黒いドレス、背中には本物か偽物かわからない黒い翼。このウタワールドに相応しい黒に染め上げられた装いに身を包んだ“彼女”の格好を見てウタはあの存在を想起させる。

    「……“トットムジカ”?」

     有り得ない、そう思いながらウタが出したのはあの忌まわしき楽譜の名称……トットムジカ。

    『…………』

     そう呼ばれた“彼女”は先程まで戯けていた人物とは思えない寂しげな笑みを浮かべると、ウタに背を向けて歩き出す。

    「ちょ、ちょっと!? 何処に行くの!?」
    『……うん。そのままわたしに付いて来て……ちゃんと“ここから出られる”から』
    「出られるって……」

     慌てて追い掛けるウタがきちんと付いて来られるようにゆっくりとした足取りで黒い世界を進む“彼女”。時折後ろを見てはぐれていないか確認するその表情はとても優しく……ウタは自分が推測した“彼女”の正体が本当に当たっているのか疑い出す。

    「あんたは本当にトットムジカなの? どうしてこんな……わたしを助けるようなことを?」
    『…………』
    「この黒いウタワールドは何? あんたの影響なの? 現実のわたしは死んだんじゃないの?」

     先程まで孤独だった反動かウタは矢継ぎ早に“彼女”の背中へ疑問を投げ掛ける。

  • 72FILM N.G.22/11/17(木) 13:41:28

    「もしあんたがトットムジカなら、わたし……言いたいことが―――」
    『駄目』
    「……!」

     ウタが“何か”を言おうとした時、“彼女”はそれが言葉になる前にウタの唇へ指を当てて止めた。

    『貴女はそれを私に言っちゃ駄目だし、私は貴女にそれを言ってもらったら駄目』
    「何で……」
    『わかって。お願い。良い子でしょ?』

     “彼女”はウタの頭をよしよしと優しく撫でる。何故か……嫌じゃなかった。それがウタにとって意外だった。家族でも友達でもない、ましてや正体が想像通りの相手なら嫌悪して然るべきなのに。
     ウタはそのあたたかい手を払いのけることが、どうしても出来なかった。

    『……うん、よくできました。ご褒美にお菓子をあげよっか?』
    「いらない」
    『そっか……まあ欲しいって言われても今の私は何にも持ってないから困ってたんだけどね! あははははは! あ。お菓子の代わりに手品とかどう?』

     “彼女”は『はい、親指が外れまーす』とありきたりな手品を披露する。

    「何それ……ふっ。変なの」

     よっぽど幼い子供でもない限り喜んでくれなさそうな粗末な芸。ウタはそれが逆におかしくって笑いを溢した。“彼女”の振る舞いはまるで自ら馬鹿をやって周りの者を笑わせる道化師のようではないか。

  • 73二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 13:49:27

    スレ画の見事なイラストは彼女の登場の伏線だったんですね…想像しましたけど外見と言動、性格がとても好きです(というか禍々しく黒い格好だけど明るいってギャップがたまらない)

  • 74FILM N.G.22/11/17(木) 15:26:39

    そして何よりウタへの接し方はどうにも―――

    『あ、笑ってくれた! うんうん! やっぱり子供は笑顔が一番だね!』

     幼い子供に対してのそれに近かった。そのことに気付いたウタはどうして“彼女”に最初苛立ちを覚えていたのか理解する。

    「……子供扱いはやめてくれない?」

     子供扱いしてくる、それが原因だった。
     目線を合わせてくるのも。明るく朗らかな声を出すのも。小まめに様子を見ながら歩調を合わせるのも。大袈裟に褒めるのも―――目の前の子が笑顔になればまるで我が事のように笑うのも……全部全部、大人から子供へ行う振る舞いだった。

    『ごめんねー? 貴女は立派な大人のレディだもんね。偉い偉い♡』
    「説得力!?」

     また撫でようとした“彼女”の手をウタは今度は避ける。何処からどう見ても子供扱いしてきていた。それで撫でられなくてちょっと残念そうにする所なんてただの子供好きの反応である。

    (調子が狂う……)

     ウタは困る。そう困ったのだ。

  • 75FILM N.G.22/11/17(木) 15:26:50

     トットムジカかもしれない相手にウタは怒りも恨みもせず……出来なくて、ただ困惑する。

    (……やっぱり、“あの時”見えたのは本当で……この人は―――)

     あの時。ルフィとトットムジカとの戦いが佳境に入った時、ウタの脳裏にはある人物の“記憶”を断片的にだが垣間見た。それを見た……見てしまった所為で、今のウタは“彼女”に怒りや恨みを純粋にぶつけることが出来なくなってしまった。

    『―――えい!』
    「ぅぶ……!?」
    『また泣きそうな顔してる!! “それ”も駄目ー!!』

     ウタの顔を両手で挟んでほっぺたをぶにゅっと潰した“彼女”はプンプンと全く怖くない怒り方をしながら言う。

    『貴女はね? 私が貴女に対してやったことを絶対に忘れちゃ駄目。怒りも恨みも私に向けられて然るべき物。わかる?』
    「で、でも……」
    『わかったって言わないとチューするぞ?♡』
    「ぎゃああああ!!? やめて気持ち悪い!!?」

     自分と同じ顔にキスされるなんて悪夢以外の何物でも無い。湖面に映る己に惚れるような性癖など持っていないのだ。そうして本気で嫌がるウタを“彼女”はケタケタと笑って解放してやる。

    『ケケケケ! どうだ思い知ったかー! 私を怒らせると怖いんだぞー!』
    「……ゼェ、ゼェ……ああ、うん。十分理解したよ」

     ウタは痛みそうになる胸に手を当てて息を整える。どうやら“彼女”は絶対に自分から“その想い”を受け取る気は無いのだと理解して気を取り直す。

  • 76FILM N.G.22/11/17(木) 15:28:58

    今日の更新はここまで。読んでくれてありがとうございます


    ……いったい“彼女”は何者なんだ!? クソ! まるでわからない……!!

  • 77二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 17:24:48

    自分と同じ顔にキスされるなんて悪夢以外の何物でも無い
    →原作でいるんだよなぁ…

  • 78二次元好きの匿名さん22/11/17(木) 22:48:24

    ほしゅするえ

  • 79二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 06:37:57

    続きが楽しみすぎる

  • 80二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 12:26:23

  • 81二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 20:07:41

    保守ります

  • 82二次元好きの匿名さん22/11/18(金) 20:14:03

  • 83二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 00:00:52

    保守

  • 84二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 03:46:48

    保守 

  • 85二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 11:36:23

    敵戦につき少々保守した。
    荒らしの意思はない

  • 86二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 18:46:42

    保守

  • 87FILM N.G.22/11/19(土) 23:02:04

    保守ありがとう! なんか登場人物にめちゃくちゃ辛い境遇を背負わせようとする悪癖があるので舵取りが大変です。今回投稿するのも2~3回書き直してました。本当にすまん
    じゃあ上げていきます

  • 88FILM N.G.22/11/19(土) 23:02:42

    「……それで? 何処まで歩けば良いわけ?」
    『お。元気になってくれたみたいでお姉さんは嬉しいよ~! はいはい行き先はこちらで~す♪』

     そうして2人は進み出す。足音も立たず真っ直ぐ進めているのかさえわからない黒々とした世界を。
     “彼女”は道中の退屈を紛らわせる為か鼻歌を歌い、興が乗ったのか本格的に歌い出した。

    『……みなみの し~まは あったけェ~ あたまポカポカ アホばっか~♪』
    「いや選曲!?」
    『アハハ~。私これ好きなんだよね~』

     まさかの歌にウタは突っ込みを入れる。懐かしいと言うか何と言うか……幼少の時にルフィが歌っていた物だった。
     “彼女”が歩きながら片手を伸ばす。歩きながら目に見えない壁でも撫でるして黒い世界の表面に指を這わせると……その軌跡を追うように“ウタの思い出”が写真のように現れる。

    「これ……」

     幾つも現れたそれはフーシャ村での一幕を切り取った思い出の数々。チキンレースやバードレースそれにボートレースなどの勝負ごとの思い出も有れば、何気無い日常を切り取った物まで。

    「子供の頃のわたし達」

     幼かった頃のウタ。幼かった頃のルフィ。そして―――

    「シャンクス……皆」

     ウタの家族。父であるシャンクスと船の仲間達が笑顔で並ぶ光景。そこには勿論ウタとルフィの姿も在った。今でも鮮明に思い出せる幸福だった日々。ウタはそれを見て自然と笑顔が溢れた。
     そうして過去の光景を眺めていると、不意に“彼女”が口を開く。

    『……私は“皆”の笑顔が好きだった』

  • 89FILM N.G.22/11/19(土) 23:04:04

     “彼女”は独り言のような小さな声で話す。

    『いつか、世界中の皆を笑顔に……幸せにしたいって思ってた』
    「…………」

     浮かび上がらせていた思い出が煙のように掻き消え、黒に戻った世界で“彼女”はウタに尋ねる。

    『貴女もそうでしょう?』
    「…………」
    『歌で世界中の皆を幸せにしたい、その為の夢の世界だった』
    「……うん。そうだね」

     ウタは頷く。ライブを利用してファンの皆を、延いては世界中の人々をウタワールドに取り込もうと考えたのが彼女の“新時代”の計画。

    「わたしには無理だったけど」

     友達に阻まれた計画。結局それで世界中の皆を救うことなど不可能なのだと自覚してしまった幻想。理想郷はやはり理想でしかなかった。
     そんな風に自らの行いは愚かだったと言うウタだったが―――

    『そんなこと無い!』

     “彼女”はウタの言葉を否定する。

    『貴女の歌には皆を幸せに出来る力が在る!』

     それは力強い言葉。いったい何を根拠にそう言い切れるのか。

    「……どうして? 結局わたしが作ろうとした“新時代”は独り善がりだったのに……」

  • 90FILM N.G.22/11/19(土) 23:04:59

    『独り善がりで結構!!!』

     “彼女”はウタに伝える。

    『貴女自身が否定したって無駄よ! だって―――』

     黒い世界に新たな思い出が浮かび上がる。

    『だって貴女の“皆に幸せになってほしい”って願いは紛れも無く本物だったから!!!』

     過去の思い出が消えた世界に、今の光景が映し出される。

    「――――――」

     それはウタワールドを覆い尽くすように、ウタの視界に彼女の歌を聴いて笑顔になった人々の姿が映し出された。

    『皆良い笑顔! それだけ貴女の歌が大好きなんだよ!!』
    「…………」

     それは配信で何度も見てきた筈の姿。ウタが配信で歌を届ければ彼等はいつも嬉しそうに笑ってくれていた。
     不思議な気持ちだった。ファンのその姿はウタが何よりも好きだった物の一つ、それなのに―――

    (皆はいつだってわたしに笑顔を向けてくれていた。それなのに)

     笑顔よりも、嘆きや救いを求める姿ばかり見るようになったのは。
     いったいいつから?

    「……この世界に平和や平等なんて物は存在しないのかもしれない」

     そしてウタは思い出す。シャンクスが自分に言った言葉を。

  • 91FILM N.G.22/11/19(土) 23:05:53

    「わたし……不幸ばかり見るようになってた」

     あの日から。エレジアを襲った悲劇の真相を知ってしまったあの日から、ウタの目には人々の笑顔よりも苦しみや悲しみに怒り涙を流す姿ばかり映るようになった。

    『“あなたの歌を聴いて今日も頑張れる”』

     “彼女”は伝える。

    『“希望が持てた”』

     ウタがその耳で確かに聞いていた、でも聞こえなくなっていた彼等の言葉を。

    『“ありがとう、ウタ”』
    「――――――」

     風が吹いた。そんな気がした。
     大切なことに気付いたウタの様子に“彼女”は背を向けたまま笑う。

    『フフフ。どう? 思い出せた?』
    「……うん」

     ウタは目を瞑る。

    「そうだ。わたしはこの風が好きだったんだ」

     何処までも吹き抜けていく、世界の果てに居ても届く、そんな風が。

    「わたしの歌を何処までも運んでくれる……」

  • 92FILM N.G.22/11/19(土) 23:06:47

     ウタは目を閉じたままこの風に身を任せた。背を押されるように踏み出した足が浮くように軽い。踊るような歩みは一歩踏み出す度に波紋を広げる。
     波は音を生み、音が色を帯びる。ウタワールドに音楽が響く。

     ―――瞼の向こうに光を感じた。

    『さあ、もう直ぐだよ……皆が貴女を待っている』

     ウタの手を“彼女”の手が優しく包み光の差す方へと導いていく。

    『私には出来なかったこと』

     硝子が罅割れるような音が鳴る。

    『きっと貴女なら出来るから』

     パラパラと欠けて、ガラガラと崩れていく。

    『皆に届けよう』

     魔王が砕けた欠片から生まれた刹那の奇跡。罅割れが楽譜を作る確率は如何ほどか、そんな愛(かな)しい時間で“彼女”は精一杯ウタを導く。

    『貴女と云う歌を、世界に』

     前を歩いていた“彼女”は立ち止まると手を離してウタを前へと進める。肩を支えるように優しく押し出されたウタはそこで目を開ける。

  • 93二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 23:07:01

    来たな!!!

  • 94FILM N.G.22/11/19(土) 23:07:40

     眼前に広がる光は温かく、まるで太陽のようで―――

    「きっと」

     ウタは振り向く。光に照らされたそこには体から色を失って足下から砂のように崩れて消えていく“彼女”の姿が在った。そうしてもう二度と会うことは無いだろう“彼女”にウタは伝える。

    「きっと……世界を滅ぼす絶望は、世界を救えるぐらい優しい人の歌から生まれた」
    『…………』
    「わたしはそう思う」

     そしてウタは“彼女”から止められた感謝でも謝罪でも無い言葉を以て伝える。

    「あんたも寂しかったんだね」
    『――――――』

     遙か昔、愛した人達の骸の中で絶望の歌を叫んだ人が居た。慟哭と怨嗟によって世界に刻まれた譜は千年の時を超えて現代まで残り……破滅を振り撒き続けた。
     平和と皆の笑顔を愛していた人は、その深すぎる愛ゆえに魔王を生んだ。

  • 95FILM N.G.22/11/19(土) 23:08:41

    「大丈夫」
    『あ……』

     今度はウタが“彼女”の手を取る。逃げようとするその手をしっかり握って離さずに。

    「あんたが本当に届けたかった想い……わたしが歌に―――」

     消えゆく“彼女”にウタは笑顔で言う。それがきっと一番良い筈だから。

    「楽しい歌にしてあげるから」

     だから笑顔で見送ってあげよう。

    『……本当にこの子は……もう……』

     全身を罅割れさせながら“彼女”は笑う。隻眼から涙を、潰れた目からは血を、同じくらい熱いそれらを流しながら“彼女”は笑い泣く。

    『地獄に行く私には過ぎた言葉だよ。でも』

  • 96FILM N.G.22/11/19(土) 23:09:16

     奇跡の時間。その全てを使って“彼女”はウタを救おうと思った。

    『この力を継いだのが貴女で良かった』

     そう思っていた。だけど。

    『ありがとう』

     本当に救われたのはきっと―――

    「――――――」

     そうして“彼女”の存在は完全に砕け散った。残ったのは温かく吹き抜けていく風だけ。
     ウタはまた一人になった。あれだけ恐ろしかった孤独……でも今はもう怖くない。

    「こっちこそ……」

     ウタはもう届かない言葉を口に出すと光の方へと向き直る。そうして風を背に受けながら彼女は光の中へ踏み出す。

     ウタワールドが砕けていく。
     それはもう以前のような形には戻らない。全てが望み通りになる夢の世界、物心付いた頃から当たり前のように存在していたウタにとってのもう一つの現実。それが壊れて消えていく。
     自分の力の最も大きかった部分が消えながらもウタに後悔は無い。何故なら彼女は自分の歌の在り方を完全に思い出したのだから。

    「……わたしはウタ」

     砕けたウタワールドをその身で受け止めながらウタは力強く宣言する。

    「歌で“新時代”を作る女よ!!!」

     現実から逃げないと決めたウタ。その心が己を―――覚醒(めざめ)させる。

  • 97二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 23:12:18

    くお〜!!!

  • 98FILM N.G.22/11/19(土) 23:12:38

    今日の更新は以上です。ここまで読んでくれてありがとうございます
    更新出来たら明日の夜に更新したいです

  • 99二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 02:49:15

    ほしゅ

  • 100二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 07:39:10

    熱い!!!!

  • 101二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 10:55:04

  • 102二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 15:14:59

    ここから歌ありのおれたちの新時代

  • 103二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 20:12:09

    ほしゅ

  • 104二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 22:39:36

    保守

  • 105FILM N.G.22/11/20(日) 22:46:53

    ごめんなさい、今日の更新は無理っぽいです……
    また明日よろしく!

  • 106二次元好きの匿名さん22/11/20(日) 22:55:40

    了解保守!!

  • 107二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 04:52:18

    理解した

  • 108二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 12:21:48

    ほし

  • 109二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 13:14:44

    感動しました

  • 110二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 19:06:13

    まも

  • 111二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:00:18

    この勢いでルフィ達と共闘して欲しい
    けどいい加減休ませてあげたい気もする
    でもトットムジカの力で現実にウタワールドの力再現出来るようになった強すぎるウタちゃんも見たい〜〜〜!!

  • 112二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 06:30:59

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 13:38:16

    ほす

  • 114二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 19:20:01

    ほし

  • 115FILM N.G.22/11/22(火) 23:36:31

    全然更新出来てなくてごめんね。忙しかったよ全然書けてなかったよ
    でも何とかちょっと書けたからそれだけ更新するよ。保守してくれて本当にありがとう!

  • 116FILM N.G.22/11/22(火) 23:37:47

     ゾロは苛立ちながら岩石の巨兵を上下に分断する。

    「やっぱりあの“ソプラノ野郎”と同じ能力みてェだな!!! ちょこまかと逃げ回りやがって!!!」

     ドレスローザで戦ったドフラミンゴファミリーの幹部、“イシイシの実”の能力者である岩石同化人間ピーカを思い出しながらゾロはその時の攻略法で戦う。それは分断を繰り返して岩石に潜んだ本体を追い詰めていくと云う物だが……ピーカとは決定的に違う点が今回の敵には在った。

    「離脱……」
    「あ!? てめェ!!?」

     いよいよ逃げ場が無くなった段階、セラフィムは小さくなった岩石から抜け出すとその背中の翼で“飛んで”逃げるのだ。そして再び岩石と同化して巨兵を創造する。それの繰り返しを強制されてはゾロの怒りも溜まってくると云う物。

    「わらわの顔で随分と舐めた真似を!! 逃げずに戦かわぬか!!!」

     ハンコックもまた苛立たしげに巨兵の四肢を粉砕していくが、当然ながら岩石を幾ら破壊した所でセラフィム本体には欠片もダメージは通らない。

    「…………」

     炎を背負い羽ばたくセラフィム。逃げて逃げて……ただ逃げ回っている訳では無く、それは静かに勝利を目指して行動する。
     セラフィムは手近の岩石と同化すると幾度目かになる巨兵を創造する。それにゾロとハンコックが跳び掛かり両断と粉砕で隠れる場所を狭めていく。

    「そろそろ掴めたぞてめェの気配!!!」
    「これ以上逃げられると思うな!!!」

     岩石を潜行するセラフィムの気配を見聞色で察知したゾロとハンコックは真っ直ぐにそこへと駆け抜ける。

  • 117FILM N.G.22/11/22(火) 23:38:32

     踏み入る必殺の間合い、これで勝負を決めると2人が覇気を込めた―――

    「……“海賊狩りのゾロ”、“海賊女帝ボア・ハンコック”」

     この瞬間をセラフィムは待っていた。

    「がっ!!?」
    「ぐ!?」

     二条の光が輝いた。
     岩石に孔を空けてゾロの腹とハンコックの肩を焼き貫いたそれは“レーザー”。セラフィムは岩石の巨兵を目眩ましにレーザーで致命傷を負わせようと虎視眈々と機会を窺っていたのだ。
     レーザーに込められた光熱が標的と接触したことにより炸裂する。セラフィムの両手から発射されたレーザーが直撃した2人は光の爆発に包まれそのまま地面へと落ちていく。

    「……排除」

     身を焼かれて落ちていった2人にセラフィムは容赦無く追撃を仕掛ける。操る岩石を巨大な爪にしてゾロとハンコックに止めを刺そうとする。

    「“巨大樹(ヒガンテスコ・マーノ)”―――!!!」

     その岩石の爪に対して真っ向から衝突するのは巨大な2本の腕による掌底。

    「“魚人空手・花葱(ギガンチウム)”!!!」

     その掌底は魚人空手の流れを汲む技。革命軍に世話になった時期に教わったその攻撃でロビンは仲間に襲い掛かる岩石の爪を破壊した。

  • 118FILM N.G.22/11/22(火) 23:39:13

    「うァ……!?」

     だが大質量の岩石を打ち壊した反動でロビンの腕の骨が罅割れ皮膚が裂ける。

    「姉様ァーー!!?」

     ロビンが身を削って得た時間でサンダーソニアとマリーゴールドがゾロとハンコックを救う。息は有るが……しかし魔王との戦いから連戦でこのダメージ、2人は意識を失っていた。

    「…………」

     セラフィムは岩石から抜け出して次の標的を定める。感情の読めない薄ら笑いが月明かりで不気味に照らされ、ロビン達へ向けられた掌に光熱が収束する。

     光の槍が無慈悲に放たれた。




    「―――ロビンちゃん!!?」

     サンジの目に映るのはロビン達が居た場所がレーザーの爆炎に包まれる瞬間。
     動揺、怒り、不安……それらは今この場では致命的な隙に繋がってしまう。

    「霧の中じゃあ光が減衰する……それならァ~」
    「しまッ!?」

     サンジの目の前でボルサリーノが地面に足先を突き立て、直後にその地面が一気に膨張―――

  • 119FILM N.G.22/11/22(火) 23:40:02

    「単純な火力で吹っ飛ばせば解決だねェ~」

     それはレーザー。ただしPXに搭載された再現兵器では無い本家本元のそれは桁違いの威力を発揮する。水蒸気で拡散されないよう地中で発射されたレーザーはまるで爆弾。

    「……ガ……ッ!!!」

     地面が大きく抉れる程の大爆発はサンジの体を焦がし、発生する衝撃波は霧を呆気無く吹き飛ばした。

    「きゃああーー!!?」

     爆風にあおられ転がるナミだが途中でゼウスがクッションになって受け止めてくれたので大した怪我は無かった。しかし直ぐに状況を見て顔を青褪めさせる。

    「……痛ゥ……! ……サンジ君!? 大丈夫なの!!?」

     倒れ伏すサンジからの返事は無い。死んではいないがこのままでは拙いのは理解出来た。

    「ん~……やっぱり夜は星空が見えるのが一番だねェ~。そう思うだろう?」
    「“魚人空手奥義・無頼か―――」

     ジンベエの拳が空を切る。

  • 120FILM N.G.22/11/22(火) 23:41:08

    「ッ!!?」
    「元七武海。怖いねェ~……もし元気だったらと思うとゾッとするよォ~?」

     ボルサリーノの蹴り上げが顎に直撃したジンベエは僅かな時間意識を飛ばす。そんな彼にボルサリーノは淡々と光で作った剣を振り抜く。袈裟斬りにされたジンベエは血を吹き出して地面に膝を着く。

    「……ぐ……ぬゥ!?」
    「さァ~て、と」

     大怪我を負って動けなくなったジンベエを脅威無しと判断したボルサリーノの次の標的は勿論、歌姫。

    「任務とはいえ辛いねェ~? ……女の子を殺すなんて」
    「……! く、来るなら来いべ!!? おれのバリアは絶対無敵―――」

     ボルサリーノは軽い足取りで地面を蹴る。
     光が瞬く。バルトロメオはバリア越しでも眩しいそれに目を瞑り……次に目を開けた時に呆然とする。

    「……は?」
    「わっしから見えて、そっちもわっしが見えてる。つまり~」

     バリアの内側にボルサリーノが立って居た。

    「光が通ってるってことだねェ~。うーん、やっぱり攻撃じゃ無くて“移動”なら通れちゃったねェ~?」
    「ッ!!! “バリバリの―――」

  • 121FILM N.G.22/11/22(火) 23:41:40

     拳をバリアで覆って直接殴り掛かるバルトロメオ。

    「これで邪魔者は居なくなったよォ~」
    「……ッ!!?」

     だがボルサリーノは誇りでも払うような気安さでバルトロメオを蹴り飛ばした。ピカピカの超高速の蹴りを受けたバルトロメオはそのまま自分の張ったバリアに激突、意識を手放した。能力者の気絶と同時にバリアは空気に溶けるように消失する。

    「さあ~、歌姫ウタ。眠ってるところ悪いけどわっしは気にせず殺すよォ~?」

     地面に寝かされたウタにボルサリーノの光る指先が向けられる。それは次の瞬間にもレーザーを放っていただろう。

    「……おやおや~? そこに立たれると危ないよ~?」
    「…………」
    「死ぬ気かい? 元国王~」

     ウタの盾になるようにボルサリーノの前に立つのはゴードンだった。彼は自分の命なんて簡単に奪える恐るべき光から目を逸らさず口を開く。

    「決めたんだ私はッ!!! ウタを守るとッ!!!」

     血を吐くような叫び。

    「彼女が私より先に死ぬなど……絶対に在ってはならないんだァああーー!!!」

     強い覚悟を以て放たれた言葉にボルサリーノは目を細める。

    「……自己犠牲、天晴れと言いたいがァ~……力無き者がやった所で意味が無いねェ~。悲しいねェ~」

     ボルサリーノが突き出す指先の光がどんどん強まっていく。それは確実に標的を絶命させられるよう絶大な力を込めていく。その光に照らされたゴードンはこれが己の死神なのだと思い、その鎌が振り下ろされる時を来るのを歯を食いしばって待った。

  • 122FILM N.G.22/11/22(火) 23:42:41

    今日の更新はここまでです!
    次は明日か明後日ぐらいには更新したいです……それではおやすみなさい!

  • 123二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 23:43:17

    ゴードンさんあんたマジで立派だよ…

  • 124二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 08:29:55

    ホシュ

  • 125二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 08:42:08

    バリアの内外互いに視線が通ってるんだから光が通ってるってこの描写の説得力は何なんだ 原作でありそう(小並感)
    ていうかどうすんだよこの状況やべぇよべぇよ…

  • 126二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 15:51:49

    絶対に守るって言ってんだろ!!

  • 127二次元好きの匿名さん22/11/23(水) 20:50:54

    ゴムゴムのJETホシュ

  • 128二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 00:38:46

    自然系ってやっぱぶっ壊れだわ

  • 129二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 10:10:09

    続き楽しみにしてます

  • 130二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 18:25:47

    ほしゅ

  • 131二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 20:03:49

    見事……

  • 132FILM N.G.22/11/24(木) 22:11:15

    保守ありがとうございます
    しかし11月ももう終わりが見えてきましたね……あれ?おかしいな、予定では10月ぐらいには完結出来るだろうと思って描き始めたのに終わりが見えないよ?


    まあいっかぁ! 続き投稿します!

  • 133FILM N.G.22/11/24(木) 22:13:37

     ルフィの身体は限界だった。

    「……ゲフッ……ゴホッ!?」

     ギア5によって酷使された体にはギア2の負荷ですら重くまるで心臓が張り裂けたと思わせる激痛が全身を貫いた。

    「随分と辛そうで」
    「……ッ! うああああァーー!!?」

     動きが鈍ったルフィにイッショウの放つ“重力刀・猛虎”が直撃する。地形を変える程の威力を持つ重力波が真横に発生、胸を深く斬り裂かれたルフィはそのまま重力の奔流に呑まれて瓦礫ごと吹き飛ばされた。

    「……ぅ……ぎ……ッ!!!」

     廃墟の瓦礫と共に大地にめり込んだルフィは骨身をギシギシと押し潰してくる重力から何とか這い出そうとする……だが満身創痍の体は全く云う事を聞かない。

    「麦わら屋!!? やっぱり限界じゃねーかあいつ!!?」

     これ以上の戦いは命に関わる。ルフィの姿を見ていた全員がそう思う程に彼の覇気はか細く弱り切っていたのだ。

    「……運の尽き……此処であっしらと出会った不運を呪ってくだせェ!」

     イッショウは一個人としてルフィを好ましい人物であると思っている。だが海軍と海賊という立場がそんな感情を踏み越えさせ、手に持った刀で止めを刺そうと一息に距離を詰めて行く。

  • 134FILM N.G.22/11/24(木) 22:14:21

    「させるか!!! おれを忘れてんじゃねェぞ藤虎!!!」
    「……! トラファルガー・ロー、流石の強さと言いたい所ですが……あんただって万全とは程遠い!!!」
    「ッ!!!」

     ルフィを殺させはしないと間に飛び込んできたローだったがイッショウの言う通りローの体力もトットムジカとの戦いで殆ど使い切っていた。オペオペの能力と覇気の二重の消耗は指先を動かすのすら普段よりも重く感じられ、刀同士での打ち合いもジリジリと押し込まれていく。

    「―――“緑星・花火花”!!!」

     大将としての実力を遺憾なく奮うイッショウ。そんな彼の足下にウソップの射撃が着弾、小さな爆発がまるで火花のように連続して炸裂する。

    「やったか!?」
    「残念、外れやした」

     花火花の爆煙から指向性を持った重力が放たれる。それは寸分の狂いも無くウソップの居る場所へと飛来した。

    「ガ……ギャアアーッ!?」

     まるで重力で作られた大槌、それで全身を打ち抜かれたウソップはひとたまりも無い。狙撃手を仕留めたイッショウは粉塵が舞うそこに背を向けてローに刃を向ける。

    「……さて、まだ勝ちの目は見えやすかい?」
    「ああ、クソッ。ムカつく……!」

     ローはうんざりした様子でそう吐き捨て、そして―――

    「賽の目になんか、あいつは祈らねェよ」

  • 135FILM N.G.22/11/24(木) 22:15:05

     不敵な笑みを浮かべた。

    「……何?」

     イッショウはその態度に違和感を覚え……そしていつの間にかルフィの姿が消えていたことにそこで気付く。

    「麦わらのルフィは何処へ?」
    「決まってる。本当にムカつく野郎だ……! 同盟も解消された敵同士だってわかってんのかあいつは!」

     ローは自分にイッショウの相手を任せてこの場から離れたルフィに愚痴を溢す。強敵相手に1人残された怒りは本気で感じている、だがそれでも笑みを浮かべているのは“誰か大事な人を救いたい”という一心で無茶を繰り返す姿に懐かしさを覚えたからか。
     ルフィが一目散に向かった先は―――




     ボルサリーノが指先に集めた光が膨れ上がる。それは発射の前触れであり、前兆である筈の光でさえ肌を焼きそうな熱量を有していた。

    「……!!」

     死を覚悟するゴードン。己の身を盾に背後で眠るウタが無事で在るようにと願い両手を大きく広げる。

    「ふ~ん……エレジアでたった2人生き残った者を殺さなくちゃいけないなんてね~」

     最後の慈悲と言わんばかりにボルサリーノはレーザーの照準をしっかりと合わせる。もし狙いが逸れて苦痛が長引くことになれば可哀想だと考えてのことだ。指先がゴードンの心臓へ、そしてウタの頭部に続くように向けられた。

    「さあ殺すよ~? 痛いだろうが一瞬で終わる……さようなら」

  • 136FILM N.G.22/11/24(木) 22:15:53

     ボルサリーノの指先からレーザーが―――

    「ふんがァーー!!!」
    「ッ!!?」

     放たれる直前、この場に駆け付けたルフィがその腕を蹴り上げてレーザーの矛先を上空へと無理矢理向けさせた。

    「おれが相手だァ!!!」

     流星のように夜空を切り裂くレーザーの光に照らされながら立つルフィの瞳には陰ることの無い闘志の火が燃えている。覇王色の覇気を伴うその圧力を肌で感じながらボルサリーノは一筋の汗を流す。

    「……成る程、大海賊に相応しいね~……ここで落として行こうか四皇の一角」

     ボルサリーノはこれ以上ルフィを野放しにすればいよいよ手に負えないような、世界を大きく揺るがす“何か”に至るだろうと直感する。故に弱り切ったこの状態こそ絶好の機会。胸の斬り傷から血を流しいつ倒れても不思議では無いルフィだがそれを目の前にするボルサリーノに油断は一切無い。

    「持てる手段は全部使う」
    「ああァ?」
    「海賊を相手するのにお行儀良くする理由は無いからねェ~」

     それはただの時間稼ぎ。だが体力を消耗して見聞色が十全に使えていないルフィに“それ”を回避することは出来なかった。

    「……ッ!!?」

     上空から一直線に落ちてきたのはセラフィム。背中の炎を消しての超高速飛行でルフィに接近―――そのまま地面にねじ伏せるように強力な蹴りを放った。

  • 137FILM N.G.22/11/24(木) 22:17:18

    「ぐあああァーー!!?」

     攻撃を食らって倒されたルフィは痛みで悲鳴を上げる。ゴムゴムの能力によって打撃全般は覇気でも纏っていない限り殆ど効果は無い……しかしセラフィムは冷静に自身が持つ情報を元に有効な打撃を食らわせた。
     蹴り脚を胸の“傷口”にめり込ませながらルフィを地面に抑え付けるセラフィムは背中の炎を灯すとボルサリーノに顔を向ける。

    「……麦わらのルフィ。生死は?」
    「ん~? 海賊だよ~?」
    「了承。最も確実な手段で身柄を確保します」

     岩石を操作してルフィの四肢を拘束、そして頭上にまるで断頭台の如く巨大な岩刀を作り出す。
     持ち帰るのは別に“頭部”だけで十分なのだから。

    「……ぬゥうう~~ァああああああああーーッ!!!」
    「……!!?」

     それでもルフィを留めておくには足らない。四肢を拘束する岩石が罅割れ傷口にめり込ませた足先が押し返されたことでセラフィムは目を見開く。傷だらけの男がここまで動けるのが予想外だったのだ。歯を食いしばりながらセラフィムを睨み付けるルフィ。彼のそんな目に悪寒を感じたセラフィムは断頭台に炎を纏わせて殺傷力を極限まで高める。そうしなければこの男は殺せないかもしれないと思ったのだ。

     絶体絶命。もしこれが自分一人の命で終わるならルフィはいつかのように笑って受け入れただろう。だが彼の命の後ろには友達(ウタ)の命が掛かっている。

    「おおおおォーーッ!!!」

     何処からそんな力が出ているのか、抑え付ける地面が砕ける程の力でルフィは抵抗する。このままでは拘束から抜け出すのも時間の問題……故にセラフィムは燃え盛る断頭の刃を落とす。一秒でも早くこの男の首を落とさなければ自分達が危ないと刃に岩石の鎖を繋いで力を込めて引っ張り落とし速度を更に早める。

    「―――!!!」

     迫り来る刃。ルフィはそれから目を逸らすこと無く全力で抵抗を続ける。例え状況がどれだけ絶望的であろうと諦める訳にはいかない、ウタの為に此処で死ぬ訳にはいかないのだ。
     しかしルフィのそんな強い想いも虚しく刃は彼の首元目掛けて落下していく。次の瞬間にもルフィの首は刎ね飛ばされる―――

  • 138FILM N.G.22/11/24(木) 22:18:38

     その時だった。


    「―――ᚷᚨᚺ(gah) ᛉᚨᚾ(zan)ᛏᚨᚲ(tak)―――」

     歌が。

    「―――ᚷᚨᚺ(gah) ᛉᚨᚾ(zan)―――」

     祝福の歌が。

    「―――ᛏᚨᛏ(tat) ᛏᚨᛏ(tat)―――」

     世界を変える祈りが。

    「―――ᛒᚱᚨᚲ(brak)―――」

     エレジアに響き渡った。

  • 139FILM N.G.22/11/24(木) 22:21:38

    本日はここまで。読んでくれたみんなありがとう
    明日投稿出来たら良いなーの精神で行きます。それでは

  • 140二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 22:30:43

    勝ったな楽譜風呂に…沈めちゃだめだった…

  • 141二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 22:31:26

    さてこの楽譜がどう作用するか…
    少なくとも悪い方向ではないけど。

  • 142二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 22:31:54

    黄猿のオジキやっぱめちゃくちゃ辛い役回りだな
    なんで黄猿ばっかこんなに辛い役回りさせられてんだ?

  • 143二次元好きの匿名さん22/11/24(木) 22:36:59

    >>142

    わっし1人で皆が救われるなら…

    それは海軍大将冥利につきるってもんでしょう

  • 144二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 00:01:19

    >>143

    どっちつかずの立場は苦労するねぇ

  • 145二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 04:33:29

    おかしいな…トットムジカが流れ始めたことに安心する日が来るなんて…

  • 146二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 12:21:26

  • 147二次元好きの匿名さん22/11/25(金) 19:11:35

    保守……‼︎

  • 148二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 02:23:31

    ホシュホシュの実

  • 149二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 06:45:40

    ほしゅ

  • 150二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 12:24:54

    これで終わりだぁ!麦わらぁ!
    絶・保守・餅!!!

  • 151二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:04:17

    保守

  • 152FILM N.G.22/11/26(土) 20:05:31

    保守感謝!スローペースな更新で本当に申し訳無いです!
    それではちょっと書けたので投稿します!

  • 153FILM N.G.22/11/26(土) 20:09:08

     何が起きたのか誰も理解出来なかった。

    「――――――」

     セラフィムは手中から“失われた”凶器の残骸を見て硬直する。岩石の鎖も刃も、焼き尽くす炎も……全て水が流れ落ちるように崩れ去った。

    「ん~……? こ、れは……」

     ボルサリーノは異変を察知して直ぐにレーザーを撃とうとしたが出来なかった。虚脱感。突然理由の分からない著しい体力の消耗を感じて膝を着く。

    「……力が抜ける……! 何でございやしょうこれは……ッ」

     イッショウは周囲を圧し潰す重力を発生させようとするがレーザー同様無理だった。どれだけズシズシの能力を使おうとしても不発に終わりその代わりとでも言うように体力だけが大きく削られる。覇気を纏った刀身でさえまるで鈍(なまくら)のように斬れ味を失いイッショウはそれを地面に突き立てて支えとする。

     エレジアに満ちていた闘争の全てが消える。武器は他者を傷付けられず能力者は害意を以て能力を使うことが出来なくなった。戦う術を失った後に残るのは木々のざわめき海の波音、そして―――

    「……ウタ?」

     歌声。

  • 154FILM N.G.22/11/26(土) 20:11:06

     倒れ伏していたウタは手を付いて身を起こす。睡魔や疲労が重く残った体は緩慢な動きしか出来ない、だが彼女は確かに自らの力で立ち上がったのだ。そんなウタの口からは静かな声が……しかしエレジアに存在する全てに届く歌声が発せられる。

    「―――ᛗᛁᛖ(mie) ᚾᛖᚷ(neg) ᛟᚾ(on)―――」

     祈りと願いの意味を失われて久しい古き詞(ことば)で紡がれるのは魔王を喚ぶ歌―――全ては世界を救いたいと願った“彼女”の絶望から始まった歪み。
      世界一優しい人から生まれた世界を滅ぼす魔王(ちから)がウタウタの力を今に知られる形へと変え果ててしまった。

  • 155FILM N.G.22/11/26(土) 20:12:23

     誰も知らない。現在のウタウタの実は食べれば自覚無しに“覚醒”の力を奮わせる異常な悪魔の実であったことを。

    「―――ᚷᛁᛖᚲ(giek) ᚷᛁᛖᚲ(giek)―――」

     夢の世界も眠りし者を操る力も全ては魔王が創られた時に生まれた副産物。ウタウタの能力を覚醒させた“彼女”が世界を滅ぼす為に元々の形を崩して作り替えた絶望の塊。故に能力者は“覚醒している能力”の負荷に耐えきれず瞬く間に体力を消耗し眠りに落ちる。

    「―――ᚾᚨᚺ(nah) ᛈᚺᚨᛋ(phas)―――」

     だがその歌は詞の意味を思い出したことで姿を変えた。ルフィ達との戦いで魔王“トットムジカ”を破壊されたことで深く結び付いていた“ウタウタの実”の能力に大きな変化が起こった―――

  • 156FILM N.G.22/11/26(土) 20:13:00

     否、元に戻ったと云うのが正しい。

    「―――ᛏᛖᛉᛉᛖ(tezze) ᛚᚨᚺ(lah)―――」

     夢の牢獄(ウタワールド)はもう要らない。人の心を虜囚(とら)えて操る糸など手放せ。それらは元々在りはしなかった力。

    【響け、届け】

     七色の光が立ち昇りそこから輝く五線譜が生まれ鮮やかなる音色が彩る。眼前に浮かぶそれらに手を伸ばせば指を擦り抜けて、だけど温もりは感じられて。
     夢現の境界が消えて新たに誕生するのは唯々美しい景色。この歌を聴く者全てに見せる幻想的で心躍る楽しい光景。

    【歌を愛し、愛を歌え】

     これこそがウタウタの実の力。歴史の彼方へ消えていた……この実の“本当の名”と共に忘れ去られていた力が甦る。

    【其は音楽の神に愛されし、歌と共に生まれし者】

  • 157FILM N.G.22/11/26(土) 20:13:21

     動物(ゾオン)系ヒトヒトの実幻獣種―――

    「……これ以上わたしの前で!!」

     モデル“ムジカ”。それは太古の昔、心に響く音色によって世界中の人々を楽しませた者の名。

    「誰も傷付けさせない!!!」

     真の覚醒を経たその実は能力者に“風に乗る歌声”と“幻想を映す力”を与える。

  • 158FILM N.G.22/11/26(土) 20:15:29

    短くて申し訳無いですが今日の更新はここまで
    続きは明日書きます。それでは

  • 159二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:16:30

    あの序盤の絵本がまさかのこう繋がるんか…

  • 160二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 20:57:15

    すぐ体力がなくなるのは覚醒能力がデフォになっていたから…
    何をして過ごしてたらこんなこと思いつけるんです?

  • 161二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 22:06:51

    ウタウタの実も特殊な動物系なんじゃ?的な考察は見たことあるけどこっちも大昔の伝説の存在がモデルってことにするとは恐れ入ったわ
    確かに映画本編では外的要因なしにしても能力の強さが規格外過ぎたから最初から覚醒済みだったというのも絶妙に説得力があるというか何というか

  • 162二次元好きの匿名さん22/11/26(土) 22:52:53

    あなた尾田先生ですか?

  • 163二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 07:59:51

    絵本のこともう忘れちゃってたな
    最初から読み直そう

  • 164FILM N.G.22/11/27(日) 10:23:30
  • 165二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 10:25:45

    ………なんだ!?

  • 166二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 19:15:44

    ほしゅ

  • 167二次元好きの匿名さん22/11/27(日) 21:28:00

    保守保守

  • 168FILM N.G.22/11/27(日) 22:58:29

    すいません更新は明日の夜になります……
    保守してくれている方々ほんとうにありがとうございます

  • 169二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 00:13:15

    気にしないで

  • 170二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 08:47:38

    楽しみにしてます

  • 171二次元好きの匿名さん22/11/28(月) 17:18:34

    保守

  • 172二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 00:06:33

    あげ

  • 173二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 06:16:56

  • 174二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 12:16:36

    保守

  • 175二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 16:31:49

    ほしゅ

  • 176二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 19:50:38

    ほし

  • 177FILM N.G.22/11/29(火) 21:08:37

    お久し振りです遅れてごめんね。過去の自分が投げてきた展開のキラーパスにヤられ掛けてたよ
    更新出来ていない間のスレ保守、本当にありがとうございます

    何とか良い感じに頭をポカポカにしてきたので続きを投稿していきます

  • 178FILM N.G.22/11/29(火) 21:14:53

     その力はウタの歌声が届く場所全てに影響を及ぼしていく。彼女の足下からは周囲の戦意・害意を体力と共に吸い上げて作られた黄金の結晶が花の蕾のように顔を出す。普通の植物と違うのはウタが歩けばその動きに追従して動くことか。

    「お願い、退いて」

     ウタは大将達と向かい合ってそう言う。ボルサリーノやイッショウは何とかして攻撃出来ないか試しているが全ては文字通り徒労に終わる。ウタの足下の蕾が数を増やし大きく成長していく。

    「……参ったね~、これは」
    「手も足も出ないとは正にこのことですかね」

     やるだけ無駄。そう判断したボルサリーノは戦意を引っ込め、イッショウは少しばかり愉快そうに刀を鞘に納める。セラフィムも表情は変わらないが一旦戦闘行為を止めてくれたらしいのは突然その場に三角座りした姿から判断出来た。

    「……ふぅ……ルフィ! 大丈夫!?」

     一時的かもしれないが戦闘を止められたウタは先程まで窮地に陥っていたルフィへと駆け寄る。これまでの戦闘の負担や先程の大将との戦い……本当に心配で仕方なかったのだ。

    「おう大丈夫だぞおれは! 助かったよ、ありがとうなウタ!!」

     ただ当の本人は殺され掛けてたとは思えないぐらいケロッとしていた。それどころかウタが能力で創った幻想を眺めて楽しむ余裕すら有った。

    「しっかしこれウタワールドみたいだなー。でもこっちの方が好きだな!!」

     シャボン玉のように浮かぶ光を指でつつくルフィ。あくまで幻想なので触れはしないが何かしらの影響は有るらしく、ルフィは自分の体に重くのし掛かっていた痛みや疲労が温かく和らいでいくのを感じていた。

    「……何リラックスしてんのよもう、人の気も知らないで」

     ウタはちょっとムカついたのでルフィにチョップを食らわせようとしたのだが……急に疲労感が出て頭を少しふらつかせる。

    「ふあ~……って自分の能力なのに面倒臭ッ!!?」

     非常に強力な不戦の領域。しかしその強力さ故にか無差別であり能力者本人にも影響を及ぼしていた。

  • 179FILM N.G.22/11/29(火) 21:17:37

     無論この能力の影響範囲が“歌声の聞こえる範囲”であるならば―――




     サカズキは自身の手から熱が引いていくのを眉を顰めて見る。マグマグの実の能力者である彼の体は熔岩であり激情に呼応して高熱を発していたのだが、電伝虫からウタの歌声が聞こえてきた瞬間から急速に鎮火してしまった、

    「……こりゃあ一体何事じゃ。これもウタウタの力か?」

     海軍に集められた悪魔の実の記録。膨大な情報量を誇る其処には無論ウタウタの実の記述も存在する。しかしこのような戦う力を奪うような記述は一切無かった。
     現場に居る大将2人に戦闘兵器であるセラフィムさえも抗えない力。それを突破する手段が何かないのかサカズキが考え始めた時である。

    「厄介な力に目覚めてくれたのォ! 音域の外からの狙撃、もしくは間接的に―――」

     政府から通信が入ったのは。

    「ッ! こんなクソ忙しい時に!! ……こちらサカズキ、何用ですか!!!」

     苛立たしげにサカズキは政府からの連絡に出て―――そうして伝えられた命令を最初は理解出来なかった。

    『……中断だ』
    「……何?」

  • 180FILM N.G.22/11/29(火) 21:18:27

    『ウタとの戦闘行為を止めて撤退せよ』
    「…………」

     少しずつ言葉の意味が頭に入っていく度にサカズキの怒りが高まっていく、

    「そいつァ何の冗談で……?」
    『…………』
    「この絶好の機会を逃して退く理由は!! いったい何だと聞いとるんですよわしァ!!?」

     通信の相手である五老星は電伝虫越しで見ることは出来ないが皆一様に険しい表情を浮かべていた。彼等とて傷付き弱った麦わらの一味、特にルフィを仕留めておきたい気持ちは在ったがそれを強行するには拙い“情報”を手に入れてしまったのである。

    『……歌姫ウタはある海賊の縁者……娘であると情報を得た』
    「……! そうれが如何したと!!? 海賊からの報復が怖くて海軍なぞやってられんでしょうが!!!」 
    『ただの一海賊ならそれで通っただろう! だが今回は違う!!』

     五老星は自分達の元に直接連絡を取ってきた海賊を思い浮かべながら拳を強く握り締める。

    『……赤髪』

     海の皇帝の一角。

    『歌姫ウタは赤髪のシャンクスの娘だ!!』
    「ッ!!!」

     その名を聞いてサカズキは表情をより強い怒りで歪ませる。

  • 181FILM N.G.22/11/29(火) 21:19:26

    「……そりゃァ確かな情報で?」
    『……ああ。当人が言ったことだからな』
    「…………」

     この情報が意味する所はエレジアに向かわせたボルサリーノとイッショウが無事に帰還出来る保証が無くなったと云うこと。麦わらの一味と他の有力海賊、全員弱っているが確実に倒すとなれば消耗は避けられず……その状態で赤髪と戦うとなれば―――

    「忌々しいッ!!!」

     先行させたことが裏目に出た。シャンクスが何処まで海軍の動きを読んでいるのか不明だがこのタイミングでこの情報を開示してきたということは『自分の身内に手を出す意味』を此方に問うてきたことに他ならない。おそらく現在地もエレジアに程近いのだろう、それこそウタと麦わらの一味を仕留めて帰還する3人を待ち伏せて叩けるぐらいには近い場所に。
     如何に大将2人にセラフィムと言えど消耗した状態で万全の赤髪海賊団に狙われるとなれば分が悪いなんて話しでは無い。

    (下手を打てば大将2人を失う……この情勢下では絶対に避けるべきリスク!!)

     サカズキは歯軋りする。彼の信条はこの場でウタも麦わらの一味も仕留めろと言っているが……元帥の立場がそれを許さない。

    「……退かせる」

     命令を受け入れよう、今この時だけは。

    「ただし退かせるのは後続する部隊に合流するまで!!! その後再び本来の予定通り全戦力で以てウタの討伐へ向かう!!!」
    『……サカズキ貴様!!?』
    「赤髪がなんぼ程のもんじゃ!!! 現時点での戦力が足りないなら総力で当てるまで!!! そもそもが世界を滅ぼす魔王を想定しての出撃……四皇の一角が出張ってきたからと尻尾巻いて帰らせる理由になんぞなりゃせんでしょうが!!!」

     サカズキの瞳には熔岩の如く煮え滾る戦意が宿っていた。彼の手の中に有る受話器が軋みを上げる。

    「海賊の顔色窺って何が秩序!!! 海軍であるわしらが武力を行使する理由は一つ!!!」

     通信の向こうで未だ何かを言っていた五老星の言葉を押し潰すように受話器を粉々に握り砕いたサカズキは猛る。

    「“絶対的正義”の名のもとに!!!」

  • 182FILM N.G.22/11/29(火) 21:21:22

    本日の更新はここまで。遅くなった上に短くてごめんね
    そんなみなさんに朗報です




    次のスレから多分最終章に入りそうです
    それではおやすみなさい

  • 183二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 21:27:46

    おやすみなさい

  • 184二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 21:29:51

    そう簡単には引けんよね…大変だろう?元帥…

  • 185二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 21:57:15

    ここでクロスギルドの出番って訳か。

  • 186二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 21:58:26

    悲しいけど集まってくるのは四皇の一角じゃなくて二角なんだよな

  • 187二次元好きの匿名さん22/11/29(火) 22:05:45

    本来の予定通りってことは「ライブ当日」までは待ってくれるってことだよね?
    じゃあ後はシャンクス”達”に任せるから…

  • 188二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 04:38:34

    本当に苦労が耐えないな...サカズキさん....

  • 189二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 06:20:02

    サカさんほんとおいたわしい……

  • 190二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 12:31:45

    ここまで四皇で唯一黒ひげが出てないの怖いですね...

  • 191二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 18:04:40

    >>190

    ヤダ怖い事言わないでヨォ……もしかして他の用事で知らないとか?

  • 192FILM N.G.22/11/30(水) 20:37:01

    保守感謝です。スレ数も良い感じなので次スレを今から立ててきます






    そういえばあと1人出せば四皇コンプリートですね

  • 193FILM N.G.22/11/30(水) 20:38:13
  • 194FILM N.G.22/11/30(水) 20:47:42

    さて……どうやって畳もうかな

  • 195二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 20:55:57

    ここから作者によっては爆発落ちになる可能性が…!?ないですね

  • 196二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:27:10

    >>192

    おい怖い予言したぞこの人!

  • 197二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:29:42

    黒ひげ頼むからいらん事すんなよ。
    悲しいのはredだけで十分なんや。

  • 198二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:34:06

    トットムジカはルフィたちだけで倒して海軍も退けた今シャンクスたちが駆けつける程の存在はティーチくらいしかいなさそうだしな

  • 199二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:39:43

    ここからもう一波乱あるのか

  • 200二次元好きの匿名さん22/11/30(水) 21:40:29

    ティーチ怖い

オススメ

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