- 1二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:08:10
「うまったぁ?」
「そ、アキュートさんはウマッターのアカウント持ってない系?」
「あかうんと……カウンターならある程度経験はあるけどねぇ。ジョーダンちゃんはうまったぁでチャンピオンを目指すのかしら?」
「ウマッターは格闘技とは違うぜアキュート。……ま、レスバはある意味乱闘か。何方が先に尻尾を巻いて逃げ出すか、見ものといえば見ものだが。これだよ、これ」
「おや、ナカヤマちゃんも詳しいのかい? ……あぁ、ジムの生徒さんが見せてくれたことがあるよぉ。えすえぬえす、って言うんでしょう?」
「そ! SNS! ……ってイミはわかんないけど、いまなにしてるーとか、これめちゃかわいーとか、リアルタイムな気持ちっていうの? そーゆーのを発信して、トモダチとかと共有して〜」
「りあるたいむ……ごめんねぇ、ジョーダンちゃん、どうもあたしは、はいてくなものが苦手でねぇ。みーんなすまほを持ってるけれど、あたしはまだがらけぇなんよ。うまったぁはむずかしいかもしれないねぇ」 - 2二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:09:20
「アキュート、携帯電話の操作方法はわかるんだろ?」
「うん? むつかしいことはできないけど、お電話と、メールと、写真を撮るくらいなら」
「それだけやれりゃ充分だ。私が教えてやるよ」
「あらあら、……もしかして、あたしがうまったぁを使えるかどうかを、賭けの材料にしてるのかしらぁ?」
「ちっ違うし!! アタシは別にアキュートさんがウマッター使えないんじゃないかとか思ってねーし!」
「……ったく。わかりやすく動揺してんじゃねぇよ。お察しの通り賭けはしてるがな」
「正直な子は大好きよぉ。で、賭けはどんな内容? あたしはジョーダンちやんとナカヤマちゃん、どちらの味方になれるのかしらぁ?」
「アタシ!」
「いーや、私だね。……確かにアキュートは、現時点でウマッターを使っていない」
「そうねぇ、みんなみたいに使えたらいいんだけどねぇ」
「賭けの内容はこうだ。アキュートが、ウマッターを使っているか使っていないか」
「使えないとかじゃないかんね?! あくまで! 使ってるか使ってないからだし!」
「ふふ、わかってるよぉ。でもそうなると、あたしがうまったぁを使ってない方に賭けたジョーダンちゃんの勝ちかしら?」
「おっと、そうは問屋がおろさないぜ。……今使っていなくても、今使えるようになれば、……私の勝ちだ」
「ハァ? そんなん聞いてねーし! ……いやでもガラケーにウマッターのアプリとかないっしょ!」 - 3二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:10:23
「そうねぇ、見たことがないかもしれないわね。ナカヤマちゃん、確認してみる?」
「ないない、ぜったいなーい!」
「おいおいジョーダン、見縊られたもんだな。分が悪い賭けのほうがヒリつきゃするが、全く勝ち目のない戦いをする気はねぇぞ。……ほら、見てみろ」
「あぷり機能……?」
「ぅぇ、ウソでしょ?! そんなトコにあるとか聞いてないし!」
「いいかアキュート、ウマッターは日記だ」
「日記……?」
「今日の天気のことでもいい、トレーニングのことでもいい、食事のことでもいい。道端で見つけた花だとか、姿を見せた猫でもいい。それを日記としてしたためるためにあると思え」
「日記ならつけてるわよぅ?」
「でも、その瞬間に迸る感情は、すぐ書き映すことができない。日記帳に向かうころには熱も冷めて沸き立った感情も曖昧になる」
「沸き立つ感情……」
「で、この日記は管理者の名前を決めなきゃならん。それが、『アカウント』」
「ストレートでもフックでもないのねぇ」
「個人持ちのグローブにゃ名前を彫るだろ?」
「うんうん。名前管理は大事よぉ、あたしたちの蹄鉄だってそうよねぇ」 - 4二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:11:14
「次にパスワードだ。この日記は基本、外に向けて公開されるモンだ。だが──日記に鍵をつけておかないと、第三者がアキュートを装って、あることないことほざきやがる可能性もある」
「あらまぁ」
「……なりすましってめっちゃこえーから。アタシはそのへんシチーが手伝ってくれたから、キキカンリ? ってゆーの? バッチリらしーけど」
「あることないことって……たとえば……あたしの作る大根のぽりぽりさんは、実は既製品だったのよ、とか……?」
「……まァそんなモンだ。最もあの味が既製品なら目の色変えて探すヤツも出てくるだろうが。──ほら、ウマッターが使えるような気持ちになってきやしねぇか?」
「……そうねぇ、ジョーダンちゃんはどうかしら?」
「むぅ……ショージキ、負けるのはヤだけどぉ……えーと、そう、ウマッターは日記だけど、公開されてるから、知らん人から声かけられたりするよ」
「知らない人?」
「あなたの日記の内容サイコーですね、とか、ガチヤバじゃんとか、ウケる〜とか」
「あらまぁ、そういう反応もくるのかい? 気恥ずかしいかもしれないねぇ」
「アタシはウマトック使ってるからウマッターのことはあんまよくわからんけど、似たようなもんっしょ」
「うまとっく……?」 - 5二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:13:11
「あー、えー、……っと」
「助けを求めるように私を見んな。……日記の形態にはいろいろあるってこった。日記にだって十年日記とかいろいろあんだろ?」
「そういえばあたしの十年日記も、そろそろいっぱいになるころかしらぁ。十年ぶんの日記帳なのよ」
「……それマ? 日記とか三日坊主にしかならんし……っと、えーと、話戻す! 声かけてくる知らん人は、みんないいヤツじゃないワケ。アキュートさんを騙しちゃる! って思うヤツもいんの」
「アキュートを賭けの対象にする私たちみたいな極悪人とかな」
「あら、ジョーダンちゃんもナカヤマちゃんもいい子よ? こうしてうまったぁの使い方を教えてくれるじゃない」
「う、こーいうのなんて言うんだっけナカヤマ」
「罪悪感」
「そうそれ、ザイアクカン……これは賭けに勝つとか勝たないとかのアレじゃなくてさ、……アキュートさんすぐだまされそうじゃね? キキカンリ心配じゃね?」
「でも、あたしはジョーダンちゃんとナカヤマちゃんがいい子なのを知ってるからねぇ? 要は、知らない人に声をかけられて、騙されるかもしれない、って心配してくれてるんでしょう?」 - 6二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:13:51
「……そゆこと。内輪でわちゃつくのはたのしーよ、ウマッターにしろウマトックにしろウマチューブにしろウマスタグラムにしてもさ。その、日記? にコメントしあえんの。アタシたちだって練習中おしゃべりしたり励ましあったりすんじゃん。そーゆー、その場だけで記憶にしか残んないものが、ウマッターだと残すことができんの」
「ほうほう」
「それに、いろんなじょーほーも探せるし! あのデパートに新しいネイルチップ入ったぜとかさ!」
「旨い飯屋の営業情報とかもな」
「ウマ娘だけじゃなくていろんなシュミのひとがいるし!」
「ビーズ手芸のお友だちとかもできるかねぇ?」
「できるできる! あみもの! アキュートさん編み物も好きだったっしょ? ウマトックにも手芸アカ作ってるヒトいるし、ウマッターにもいると思うし!」 - 7二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:15:07
「……フッ」
「ふふふ」
「えっなに、なんでアタシいまニヤニヤされてんの?!」
「アキュート、賭けはどっちの勝ちだと思う?」
「そうね、ナカヤマちゃんかしらぁ? ヒリついた勝負になった?」
「まぁそこそこ、な。さて、勝敗決したな、ジョーダン。約束通り新作ハチミー、奢ってもらうぜ」
「え、待って待っていまのナシナシ!」
「ジョーダンちゃん、ナカヤマちゃん、うまったぁのお友だちになってくれるかい?」
「私で良ければ」
「えっアタシウマトック、いやウマッターもあるけどぉ、……もぉ、なんなん〜〜〜!!」
おしまい - 8二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:16:01
追伸
「そいえばナカヤマめっちゃガラケーくわしかったのなんで?」
「行き付けの店のオヤジたちがこぞってガラケーだからな」
「なる〜」 - 9二次元好きの匿名さん22/11/19(土) 09:17:30
09年組の同期がわちゃわちゃやっててほしいという気持ちで自家生産しました。
もっとほしいです。