- 1二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:19:01
- 2二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:19:37
「「ごちそうさま」」
少しお腹いっぱいになった所で、食べるのをやめて、お鍋に蓋をする。
「お蕎麦は私が茹でるわ、それぐらいなら任せてちょうだい」
「わかった!お願いするねー!」
使い終わった食器だけ片付けて、わたしはキングちゃんの隣に座る。
「今年も色々あったねー」
「本当に、そうね」
今年もわたしは沢山レースに出た。
トレーナーからは止められたりもしたけど、お医者さんとも相談しながら無理のない範囲を走り続けた。
結果は全敗だったけど、その姿を見た他の子達から『勇気の出るウマ娘』として雑誌に載せてもらったりもした。
でも、そんな事より今年の大事件。
キングちゃんとお付き合いを始めた事。 - 3二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:20:20
「まだまだ年、明けないね」
そう言ってキングちゃんに少し近寄る。
「そうね」
キングちゃんはわたしの腰に手を添えてくれる。
暖かい手、いつも誰かを助け続けてくれたその手は今はわたしだけの手だ。
腰に添えられた手にそっとわたしの手も絡める、お互いの指は絡み合い体温を共有していく。
キングちゃんに顔を向ける、わずか数センチの距離。
「キングちムグ!」
開いた口に甘酸っぱい味。
「まだ早いわね、ウララさん」
いつの間にか剥かれたミカンをわたしの口に入れられる。
「もー!キングちゃん!」
ぷんぷんと怒りながらも、楽しい時間。
ゆっくりと流れるこの時間は大晦日の魔法なのだろうか。 - 4二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:20:42
「そろそろお蕎麦、茹でてくるわ」
TV番組が終盤に入った頃に、そう言ってキングちゃんはキッチンへ向かった。
一人の時間、時計の針の音がやけに響き、時間がゆっくりと感じた。
キングちゃんは本当にわたしのことを好きなのだろうか⋯?
キングちゃんは優しいからわたしに合わせて、付き合ってくれているだけなんじゃないか。
一人だとそんな事を考えてしまう。
そもそも女の子同士のお付き合いが間違っている事は分かっている、分かっているのだけれど。
それでも、数年と同じ部屋で過ごしたキングちゃんの事は好きだ。
そう、『好き』なんだ友人でも、尊敬でもなくて。 - 5二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:21:02
「ウララさん、茹で終わったわ」
真上から降って来るキングちゃんの声、湯気の立つお蕎麦をお盆にのせてわたしを見る。
「まだ一人になると泣いちゃうのね」
お盆を置き、わたしの涙をぬぐうキングちゃん。
「えへへ、ごめんね」
「いいのよ、お蕎麦が伸びちゃうから食べちゃいましょう」 - 6二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:21:26
TVではお坊さんやお寺が映る。
年が明ける。
大好きな人と共に過ごす大晦日は、とてもとても暖かい時間になった。
「「3、2、1」」
「「あけましておめでとう!」」
今年もよろしくと、キングちゃんとハグをする。
「キングちゃん!今年こそチュウしよう!」
「どうしようかしらね?ウララさんがもーっと大人になったら考えてあげてもいいけど?」
そんな事を言いながらキングちゃんはわたしの頬に唇を当てた。
「今はこれくらいかしらね?」
急いで後ろを向いたキングちゃんの顔は見なくてもわかる。
わたしのキングちゃんの可愛い所だから。
完 - 7二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:24:10
ありがとう…それしか言葉が見つからない。ちょっと不安になっちゃうウララもそれを感じ取って優しくしてくれるしキングもしゅき…後ろ向いた表情は気になるけどそれはウララがわかってくれれば十分ですね…しゅき…!!!
- 8二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:26:02
良き
好き
賛辞 - 9二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 00:38:53
あっいいですねこれ
- 10二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 01:04:21
これは支援だ
- 11二次元好きの匿名さん21/10/28(木) 09:27:10
これはいい…とてもいい…