- 1二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:08:00
- 2二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:08:37
「まーね、アタシ、ネイルにコダワリあっけど、髪はパーマかけてちょっとケア気をつけてるだけみたいなさ? そんだけなんだよね。シチーに聞いてオイル使ってみたりヘアミルク試してみたりしてんだけどさ、上手くいかんくてさぁ。ほら、触ってみ?」
「あら……ちょっとぱさついてるし……枝毛もあるねぇ」
「それなーマジ下がんのよ。毛量多いから枝毛次から次に生まれてくんの。増えるワカメかっての。……っておいナカヤマ聞いてる?」
「……明日のテスト勉強会だと思ったが。ジョーダン、テメーそんな現実逃避してる余裕あんのか?」
「ないけどさぁ〜ほら休憩も大事じゃん? ついでにナカヤマもジョーダンさんの悩みごと聞け〜? マジ困ってんだって」 - 3二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:09:18
「……アキュート、後からヤマの範囲絞るの手伝え」
「いいわよぉ、でも、出題範囲すべてカバーするのが一番確実だとは思うけど……」
「ただでさえ出題範囲広いんだからもう一段階勝負に出ねぇとどうにもならん。……で? なんだ? 髪の話か? 行き付けの飯屋の客は髪の話になると一触即発もいいところだぜ?」
「なにそれ怖、キキイッパツってやつ? アキュートさんもナカヤマもどんなヘアケアしてんのかな〜って」
「あたしはねぇ、シャンプーとかリンスはふつうの、むかしむかしからある定番のものを使ってるけれど、それ以外だと椿油を使っているわねぇ」
「つばきあぶら?」 - 4二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:10:04
「ジムの生徒さんに髪のお手入れにこだわりがある人がいるのよ。ほら、ダートって砂埃で乾燥しやすいでしょう? だから、寝る前に椿油でお手入れしているのよ」
「ヘアオイル使ってるってコトかぁ。そーいえばアキュートさんもだけど、ダートの子たちって髪洗うのも乾かすのも丁寧だよねぇ、アタシも髪なげーしテキトーにはできんけど、時間がなかったりするときはテキトーかも」
「芝と違って砂粒がね、頭皮に溜まるのよねぇ。だから、シャンブーコームは欠かせないのよ。……ナカヤマちゃんは、どう?」
「石鹸」
「あら」
「えっ?! 石鹸?! マ?」 - 5二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:10:55
「っていうのは冗談で、まぁ……テキトーなの使ってるよ」
「参考になんねーじゃん!いつも使ってる銘柄とかないワケ?」
「ナカヤマちゃんの髪、しっとりまとまってるように見えるからねぇ、あたしも気になるよ」
「ね、だよねぇ?! セットがテキトーだからそうは見えづらいけど、ナカヤマの髪キレーじゃん。誤魔化さず教えろー?!」
「んなこと言われてもな……風呂で会ったときゴルシが押し付けてくんだよ。飽きたから使わねーかって」
「は? なにそれどゆこと?」
「ゴルシちゃんのお下がりってことかしらぁ? ……ゴルシちゃんの髪、綺麗だものねぇ。クセらしいクセもなくて、いつもまっすぐで、つやつやで」
「ムカつくけどたかそーなヘアケアしてそーだなって思ってはいたわ。……あれ、でも」
「うん?」 - 6二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:11:45
「ゴルシって栗東寮じゃん? なんで美浦のお風呂場で遭遇すんの?」
「さてね。でも、あいつはそういうヤツだろ?」
「それもそうねぇ」
「いやなんでナカヤマもアキュートさんも納得すんの?! ヤバ、そっちのほうが気になってきたじゃん〜もぉ〜!!」 - 7二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:12:46
- 8二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:14:16
脳内再生余裕だった
- 9二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:16:14
ウマ娘ちゃんたちのヘアケア事情が気になる夜です。
ダート組は乾燥対策必須だろうなとか、シリウスはめちゃくちゃお高いブランドシャンプー使ってそうだなとかそんなことを思いつつ、実際の商品についてはあまり詳しくない。
たまにナカヤマとゴルシの髪から同じ匂いがして「はわわ」ってなるデジたんがいるかもしれませんね。 - 10二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:16:15
ジョーダンってアキュートの呼び方アキュートさんなの?
- 11二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:18:41
- 12二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:26:11
この3人のエミュ難しくて半信半疑で書いてるのでそう言ってもらえて嬉しい。ありがとー
- 13二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:31:53
- 14二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:39:18
書いてあるだろおばか!
- 15二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:39:39
- 16二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:41:14
なんか「学生」って感じしていいな
ナカヤマはゴルシのお下がりと寝てる間にシリウスにもシレッと手入れされてそう - 17二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:41:18
かわヨ
オチなど気にせずもっとわちゃわちゃさせるのだ - 18二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 01:45:45
すげー細かくてごめん
多分シャンプーコームって書きたかったんだろなぁとは思うけどシャンブーコームてなってて一瞬何ぞそれ…?てなっちまった
流れは脳内再生余裕だった - 19二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 07:40:40
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- 20二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 07:41:53
- 21二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 07:59:22
これですよ!これ!
こういうウマ娘ちゃんの日常を垣間見るようなSSが欲しかっ - 22二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 11:11:26
みんな髪ふわっふわしてそうですき
- 23二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 17:12:46
続き書きたいことがあるので保守します〜
- 24二次元好きの匿名さん22/11/21(月) 22:24:37
続き期待
- 25二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:42:30
整いました。
シリウスがナカヤマの髪のお手入れをするお話です。会話文SSじゃなくなったのは許してほしいそんな気持ちです。
髪を触らせるのって心的距離が近くないとできないんですよね。育成のナカヤマがシリウスに髪を触らせるかはわからないんですが、とりあえず触らせられるような状況まで落ちてもらいました。
なにやらシリウス×ナカヤマの香りがしなくもないんですが書いてる人はそのつもりはないのでお許しを。 - 26二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:42:56
外国語のリスニングを流し続けていたイヤホンを外し、シリウスシンボリは知らず詰めていた息を吐き出した。鞭のようにしなやかで長い両腕を天井に伸ばし背を整えると同時に、二人部屋の境界線ちょうど中央に設けた壁掛け時計に視線を遣る。
トレセン学園の23時は真夜中と同義だ。日々トレーニングに励む寮生たちが翌朝早くからのトレーニングのことを加味すれば、この時間には床についていなければ翌日に祟ってしまう。もちろんたまの夜更しをする者もいないこともないけれど。
「遅ぇな……」
ひとりだけの二人部屋は、寒さがしみわたるような静かさを帯びている。秒針が進む音にまぎれそうな呟きが小さく響き、シリウスは眉をひそめて首を回した。
おのおのの部屋からにじみ出ていた生活音もすっかり夜に溶け消えて、世界が眠りについてしまったかのような感覚は嫌いではなかったものの、いまのシリウスにはたったひとつ、気に食わないことが存在している。
やれやれと立ち上がうとしたところで、耳が足音を拾い上げた。ず、ずず、と足を引きずるようなそれは、新入生のあいだでかならずといっていいほど噂される『夢半ばでターフもしくはダートを去らざるを得なかったウマ娘の生霊』にも勘違いされてもおかしくはない。不整脈のようにテンポが統一されていないのは、部屋の扉を避けて壁伝いに歩いているからだ。
そしてその足音は想定通り、椅子に座り直したシリウスのいる部屋の前で止まる。
ノックのひとつもなくドアノブが回されて、扉の向こうから姿を現した鹿毛のウマ娘に、シリウスシンボリはあからさまなため息を浴びせかけた。 - 27二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:45:14
「おい、……湯船で寝るなって言ったよな」
「んなしょーもない理由で競技生活終わらせるかよ」
飾り気のないランドリーバスケットからはみ出すのは寮生たちが日々袖を通す制服だ。その性質から想像がつかないと評されることが多いが、ナカヤマフェスタはこう見えて『ちゃんと』している。寮に帰ればすぐ部屋着に着替え制服はハンガーにつるされるし、流れるようにハンカチやらなにやらを翌日用に入れ替える。洗いざらしじゃない、アイロンまでしっかりかけられたものを、だ。
几帳面とまでは言わないが、トレセン学園に入学するまでに培われた習慣がなせる業におどろいたもの。
しかし、口を開けば年頃の女子とは思えない言葉が飛び出し、立っていても座っていても歩きだしても治安が悪いものだから、群れの長としての庇護欲が地まで落ちきったその瞬間を、シリウスはいまでも昨日のことのように思い出すことができる。
部屋の扉を後ろ手で閉め、ナカヤマは長く息をつく。ランドリーバスケットに適当に詰められた制服やらバスタオルやら通学カバンやらといいルーティンを守ることができないくらいに、ナカヤマは疲弊しているようだった。
いつもはもう一言二言余計な言い合いが繰り広げられるが、さきほど返された声も湯に溶けきったかのような芯のないそれで、シリウスシンボリは鼻白む。
そして、次いで告げられた言葉に眉間の皺はより深く刻まれることとなった。
「もう寝る」
「は」
ランドリーバスケットを静かに床に置いたのはなけなしの理性か、スリッパを脱ぐこともせず、ナカヤマはベッドの上にうつ伏せで倒れこんだ。わずらわしく軋むスプリングの音にシリウスは思わず耳を絞り上げる。
ぐったりとした華奢な体躯がゆるゆると力を失うより先に、シリウスは3分ぶり2度目のため息をついた。電池が切れたようとはこのことだ。 - 28二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:45:58
「まだ寝るんじゃねぇよ」
完全に意識が眠りに連れ去られてしまう前に、ナカヤマの腕を掴み上げる。いつものシリウスなら知ったこっちゃないと、イヤホンをつけ直して机に向き直るだろう。現状一線を退いてはいるものの勝利の栄光を諦めたわけではない。
寝落ち寸前を邪魔された不快感に、ただでさえ据わりがちなナカヤマの瞳が容赦のない眼光を向けてきたが、幾多の困難を乗り越えてきたシリウスにとってそれは、子犬が慣れない威嚇をしてくるようなもの。
「……用があるなら明日にしてくれ。それともあれか? 私と遊びたくて三つ指揃えてイイ子に待ってたとでも言うつもりか?」
「随分と自意識過剰なことで、マドモアゼル。……見てみぬふりをされたきゃ最後まで気張りやがれ」
半ば強制的に起き上がらせて、シリウスシンボリは嘆息する。本日3度目。いまにも瞼が落ちそうなほど眠気に襲われるナカヤマの肩口に落ちた鹿毛の髪は、お世辞にも乾いていると言えるはずもないシロモノだった。 - 29二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:46:34
***
それでもかろうじてタオルドライはこなしていたらしい。ラグの上に座らせたナカヤマの背後で胡座をかき、シリウスはガラス瓶を手のひらの上に傾ける。
ドライヤーとともに用意したヘアオイルは、シリウスの長い髪に使うには中途半端に残ってしまったものだった。広げられたテクスチャはあっというまにスパイシーなライムの香りを立てる。
トレセン学園に入学してから覚えたセルフケアもすっかり手慣れたものだ。
ヘアオイルを鹿毛の髪になじませてから、静音ドライヤーをオンにする。吹き出し口を手のひらに当てて温度を確認してから、いつもの癖が見る影もない髪に、ゆっくり温風を当てていく。
「……あぁ、」
「どうした」
「思い出した。……昔さ、……まだチビたちが生まれる前に、おふくろにこうして、髪を乾かしてもらったことがある」
「この私を母親扱いするとはいい度胸してるじゃねぇか」
耳を摘んでやろうか。一瞬よぎったものの、頭をなでつけるドライヤーの温風もあいまって、ナカヤマはぼんやりとしているようだ。いまにも寝落ちそうなのか、ゆらゆらとおぼつかない体が崩れ落ちてしまわないように、肩を掴む。
けれどいつものような応酬はない。次の大舞台へ向けての過密なトレーニングによる疲労は、ナカヤマをひどく素直にさせているようだった。
そこそこの値段がするヘアオイルだ。熱を当てれば美しい艶が出る。おのが手で原石を磨き上げるような感覚を覚えつつ、シリウスの手はふたたびナカヤマの髪を撫でた。 - 30二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:47:10
「……夕方、誰もいない花壇でさ、泣いてるんだよ」
「誰がだ?」
「ニシノフラワー」
「ああ」
唐突に話題が飛んだことに、ナカヤマ自身は気づいていないのだろう。夢と現の境目が曖昧になっているようだったが、シリウスは言及するのをやめた。
丁寧に、丁寧に、──目の前の少女の髪をととのえる。
「チビたちよりかは、年は上だが」
「そのチビたちっていうのは弟妹のことか?」
「……ああ。あの年齢だ。……いくら、この道を自分で選んだとはいえ、……心細くて、さみしくて、……放っておくのも寝覚めが悪いだろ。……声をかけたら、……スカイの奴がすっ飛んで来た」
「おいおい、騎士サマに不審者扱いされてるじゃねぇか、この悪党が」
「……とんだ濡れ衣だろ? ……あるときは、タイキシャトルに……フラワーごと抱きしめられたな。……窒息するかと思ったぜ」
「はは、そりゃァ災難だったな」 - 31二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:48:02
ぽつり、ぽつりと言葉がつづく。ドライヤーを止めふたたびヘアオイルをなじませて、その髪を梳る。先ほどまでこちらを威嚇していた子犬は心地よい微睡みとともに、すっかり大人しくなっていた。
もはや、会話の意図を見出すことを、シリウスはやめている。いまのナカヤマは小さな子どもだった。蓮っ葉で斜に構えヒリつきを求め大胆不敵に世を渡るその姿は鳴りを潜め、シリウス相手に髪を触らせるほどの隙を見せている。疲労はここまで生き物を溶かすのだろうか。その実感を持って。
けれど。──シリウスは思考する。母親を思い返し、そして幼さ故に涙したニシノフラワーに遭遇し、……さみしさに敏いタイキシャトルに抱きしめられる、その意味は。
「……こんなところか。この私が手ずからやってやったんだ。感謝するんだな」
「べつに……そもそも、頼んでねぇだろ」
「目の前で風邪でも引かれちゃ寝覚めが悪い。ほら、さっさと寝ろ。それともおやすみのキスが必要か?」
「ハ、……永遠の眠りは、……勘弁被る。……おやすみ」
「ああ、おやすみ」
のそり、と、這い上がるようにベッドに潜り込むナカヤマの背が、暖かな毛布の下で規則正しく呼吸するまでを見届けて、シリウスは息をつく。おそらく今夜のやり取りを、ナカヤマは覚えていないかもしれない。
それでも。
どんなにしたたかであっても、どんなに強靭であっても、どんなに不敵であったとしても。
寂しさを抱える一人の少女であることには、かわらない。
だから、どうか。
「……いい夢を」
眠りとともに、不安が溶けて消え行くように。 - 32二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 00:51:50
おしまい。お粗末さまでした。
シチュエーションから、育成中、ほんの少しですが年頃の女の子らしい弱さや不安を出してくるナカヤマをピックアップして書きたくなってしまいました。
会話文SSとの温度差が酷い。会話文SSを読んで下さった方も、ここまで読んで下さった方もありがとー! - 33二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 01:59:30
いい距離感だ
- 34二次元好きの匿名さん22/11/22(火) 07:41:01
蛇足だけど、
ナカヤマは小さな弟妹がいて、実家にいた頃はかなりお世話していたみたいなので、『ちゃんと』しててもおかしくはないかな、と思っています。
競走馬になるために母親と離されるウマソウル要素も入れようと思ったけど余計だなと思ったのでやめました。